腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します 申し訳ありませんが書く時間を最優先にしたいのでリコメは基本的に致しません。 要望・お礼などは「日記」記事でお応えしますが、タイムラグがあることも多いです。

気分は~ 学会終わった頃。

お知らせ

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本日、近親者が肺ガンのため逝去致しました。
しばらくブログ更新出来ません。
ご理解と、ご寛恕をお願い致します。
取り急ぎご報告まで。

気分は下剋上 白衣の王子様 番外編 16(I5禁)

イメージ 1

「祐樹が、綺麗な花びらを用意してくれたので、出来ればベッドの上で」
 薄紅色に染まった指が祐樹の着衣を流れる水のような滑らかさと艶やかさで床へと落としていく様子も絶品だった。
「何だか、この部屋は高校とかの保健室を思い出しますね。薔薇は流石に用意されていませんが、ベッドの雰囲気とか古めかしさとか……」
 一糸纏わぬ姿になった祐樹は、最愛の人の清楚な桃色に尖っている場所を歯で甘く噛みながら、ベッドに押し倒した。
「祐樹は……保健室で……、こういうコトを……したことが……有るのか」
 強く噛んでは舌先で先端部分を突くと、艶やかな感じで声が上下に乱れるのも扇情的だった。
「まさか。ここのように、絶対に人が入ってこないという保証はないので、そんなリスキーなことは致しませんよ。
 腰の部分……。確かこの辺りでしたよね」
 先日の愛の交歓の時に肢体を固定するために掴んだ場所を、今度は愛の仕草の一環として強く掴んだ。
「そうだ……。祐樹の手は、どこを触られても……、とても悦いが……」
 シーツに散らした真紅の薔薇よりも艶やかさと瑞々しさが勝っている肢体を強く抱き締めた。
 人は入って来ない上に、鍵までかけている密室ではあったが、一応は職場という公的な場所という背徳感が悦楽の速度を加速しているのだろう。
 密着させた下半身が熱く育っている、お互いに。そして最愛の人が尖りを強く噛むごとにお互いの先端部分を濡らしている熱い水晶の雫が愛の協奏曲を奏でているのを五感で感じてしまう。聴覚と触覚だけでなく。
「祐樹は、私の肌を……悦ばせるのが……とても……上手だ……」
 甘く蕩けた小さな声が、蒼い薔薇のような言葉を紡いでくれる。
 最近はよりいっそう悦楽を具体的に表現してくれる最愛の人だったが、こういう無意識の殺し文句が上手い点は出会った時から変わっていないのも嬉しかった。
「それは、聡だからですよ。愛の交歓の時の……反応が、とても愛らしくて。……時には……可憐に、そして時には……淫靡に振る舞って……下さいますので。
 ちょうど、今の……二つの胸の尖りと……同じですね……。
 歯で愛している方は……薔薇よりも紅く染まって……いて。もう片方は、可憐な色です。
 聡も、ご自身の目で……確かめて、下さいませんか……」
 お互いの熱く滾った部分を擦り合わせる気持ち良さに、つい耽ってしまう。
「本当だ……。こんなにも……色が違うのだな……」
 まなじりを真紅に染めた最愛の人が目を瞠っている様子は、瞳が無垢で透明な光を放っている、そのギャップに眩暈がしそうになる。
 腰を掴んでいた手を離して、花びらを一枚取って最愛の人の先端部分から滴り落ちる熱い水晶の雫で濡らしてから綺麗な薄紅色の尖りへと滑らかな素肌を辿っていった。
 薄紅色の素肌が薔薇の花弁の色に変わって行くのを目で愉しみながら。
「この花弁と……同じ色に……聡の……指で。染めてみて……ください」
 真紅の艶やかな花弁と水晶の雫で唆す。
「分かった……。もう……片方の……指は?あっ……」
 祐樹の歯で上下に微細に動かされた上に舌全体で転がされた尖りが薔薇色の切ない声を上げている。
「胸の……尖りを、愛されると、切なく……疼く場所が、花園の……中にあるでしょう。
 そちらを弄って……いただくか。それとも、私のモノと二本まとめて、指で愛して下さるかのどちらが……良いですか?」
 胸の尖りを強く甘く噛むと、ベッドの上の肢体が紅色の弧を描く。その拍子にシーツの上の花弁もついでのように舞い落ちていくのも、とても綺麗だった。
「祐樹は……、どちらがよりいっそう感じて……くれる?」
 紅に染まった唇が健気な言葉を紡いで、ベッドの上の花弁よりも部屋の空気を艶やかに染めていくような錯覚を覚えてしまう。
「聡の……お好きな……方で……構わないです、よ……」
 祐樹の丹精込めた愛の行為で艶やかに咲き誇った花園の中に、一人遊びのように指を挿れているのも捨て難いが、今の状態では見えないという致命的な欠点があったし、それに何より愛の交歓は身体、いや魂まで使ったコミュニュケーションだ。
 だから、一方が押し付けるのではなくて、二人で決めた方がより気持ち良くなれる。
 それに、最愛の人の細く長い指が胸の尖りを摘まんで、祐樹の唇の動きとシンクロして動かしているだけで視覚が焼き切れそうなほど扇情的だったし。
 最愛の人の冷たい指が二つの熱い滾りを精緻な動きで掴んで、熱く濡れた音を響かせている。
「とても……、気持ちが悦いです……。直ぐに真珠の……迸りを……放ってしまうかも……」
 二人分の熱い水晶の雫で濡れた指が、祐樹の弱い場所を的確に狙ってくる。
 それに、胸の尖りを自ら慰めているような大胆で華麗な動きを目の当たりにしているので。
「私もだ……。一緒にっ……」
 幽かに上擦った甘い声が切なさを帯びて震えている、絶頂の直前の最愛の人の声は相変わらず慎ましげだったが。
「ああっ……」
 お互いの腹部に白い真珠の迸りを同時に放ちあった。



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◆◆◆お知らせ◆◆◆

<夏>後日談の教授視点をこちらのサイト様にちまちま投稿しています。
https://novelba.com/works/882441


何も考えていなさそうで、そして主体的に動かなかった彼ですが、何故そういう風に振る舞ったのかを綴っています。
興味のある方は、是非♪♪
PCよりも、アプリの方が新着を通知してくれるとかお勧め機能満載ですし、読み易いかと思います~♪
こちらは不定期更新ですので、本当に投稿時間がバラバラですので、アプリのお気に入りに登録して頂くとお知らせが来ます!興味のある方は是非♪♪
<夏>後日談では祐樹が考えてもいなかったことを実は森技官サイドでは企んでいますので。





◆◆◆バレンタイン企画始めました◆◆◆

といってもそろそろネタもないため――そして時間も(泣)
ノベルバ様で「後日談」の森技官視点で書いています。


覗いて下さると嬉しいです!
また、本日も向こうの更新は済ませました!
両方とも、独白部分は終わって物語が進みます。
森技官は「夏」の事件でキーパーソンでしたが、割と簡単に人をこき使ったり、のびのびと振る舞ったりしていましたが、実際は彼もかなりの苦労をしています。その辺りのことを書いて行こうと思っています♪

こちらのブログと違って隙間時間に書いたら即公開していますので、更新時間がバラバラです!


今は久米先生視点(医学部生時代)を投稿しています。
https://novelba.com/publish/works/884955/episodes?page=1



読んで下されば嬉しいです。





やっと!!このヤフーブログもFC2さんに引っ越しが出来ました!!
と言っても、当分はミラーブログに徹する積もりです。

やふーさんが指定した「移行先」などと比べてみて、その後の身の振り方を考えます←大袈裟
三月になって少し暖かくなりましたね~!!雨は雨でも優しい春の雨みたいな。

リアバタで更新時間のマチマチさと、一話しか更新出来ないことをお詫び致します。。
本日も読んで頂きましてありがとうございます。
     
  こうやま みか拝

気分は下剋上 白衣の王子様 36<了>

「香川教授、この度は孫がお世話になります。
 ご高名はかねがね漏れ聞いておりましたが、まさか孫の件でこのようなご縁が出来るとは思ってもおりませんでした」
 普通は――といっても、自分の場合ある程度の年齢の人が患者さんだったので、あくまでも伝聞に過ぎないが――子供が患者さんの場合、ご両親がこのような挨拶をするのが普通だが、やはり代々の政治家一族として有名な家柄のしきたりなのか、お祖父様が昔ながらの家長らしい挨拶を述べている。
 政治の世界は百合香ちゃんのお父様でもあるご子息に譲って、すっかり隠居状態だと雑誌で読んだことは有るが、こういうプライベートは別なのかもしれない。
「いえ、こちらこそ全力を尽くします。今は手術に耐えられる体力を付けることに重点を置いております。
 主治医なのですが、百合香様の御意向も汲んだ上で、こちらの田中が務めさせて頂きます」
 テレビで観る現役の総理大臣だった頃は、孤高の政治家といった他人を寄せ付けない感じを醸し出していたが――他の政治家は割と徒党を組むというか、グループで行動しているのが普通っぽいが――引退したからか何だか笑顔も親しみやすい感じだった。
 ただ、眼光の鋭さは現役時代と変わっていない。
 百合香ちゃんが「祐樹とお祖父様は似ている」と言って最初は拒否したのも、目の力の強さが印象的だったからかも知れない。
 祐樹の場合、患者さんと向かっている時は眼差しの鋭さを隠している。ただ、百合香ちゃんは子供の直感めいたもので判断したのかも知れない。
「田中祐樹と申します。以後宜しくお願い致します」
 それなりに広い特診患者の個室だが、お祖父様とご両親、そして病院側からは祐樹と自分、そして高平看護師で人口密度は高くなっている。
「百合香の父です。田中先生、これから宜しくお願い致します」
 与党政治家の次代のホープとして、そして政党の顔としてテレビで良く見る顔ではあったものの、雰囲気的には敏腕の営業マンといった感じだった。名刺入れを魔法のように取り出して自分に手渡す仕草も含めて。
「あいにく名刺は持ち歩いておりませんが、何か有りましたらご遠慮なく仰って下さい」
 自分はスーツのポケットに名刺入れを常備していたが、普通の患者さんは医師にまで名刺を差し出すことはほぼないので――ただ、Aiセンター長としてCTやMRIなどの医療機器会社の担当者とかその上司が病院に来た時には祐樹も名刺を交換していると聞いている――胸に下げたIDカードを指で持って目に触れやすいようにしている。
「教授、カンファレンスルームを使ってご家族の皆様にご説明をと病院長からの指示です」
 高平看護師が黒子のように寄ってきてそう耳打ちしてくれた。
「了解ました。どうも有難う御座います」
 患者様も含めて充分な説明責任を果たす職務上の義務があるものの、今回は6歳の女の子ということで病院長も――いや、もしかしたらご家族の意向かも知れないが――特例を認めたのだろう。
「百合香、田中先生や香川教授の仰ることを良く聞いて、先生方を困らせないようにしなさい」
 お祖父様が、かつてのように眼光鋭く、ただ、傲岸不遜な感じを与える薄い唇には苦笑めいた笑みを浮かべてながらそう諭していた。
 多分、主治医を決定する時にワガママを言ったようなことが過去の病院でも有ったのだろう。そんな失礼なことを確かめる積もりは皆無だったが。
「はい。香川教授も田中先生も英語の御本を読んで下さったり、ゆり……いえ、私の知らないお話をたくさんして下さってとてもためになります」
 百合香ちゃんは控え目な笑みを浮かべてお祖父様に申し上げるというニュアンスを込めて言ってくれていた。
「ほう、そんなに百合香が懐くとは珍しいですな……。病気のせいもあって甘やかして育てたものですから……」
 この空間では、何だか男尊女卑といった空気が支配している。
 お母様は百合香ちゃんのベッドの直ぐ近くに寄ってはいたものの、特に言葉を発しないのも、そういう家風なのだろう。
「いえ、そんなに大したことはしておりませんが。これからの大雑把なスケジュールや術式の件などは別室でご説明申し上げます」
 高平ナースがどの段階で病院長の指示を受けたのか分からないが、お祖父様とお父様は当然のような感じで頷いていたので、斉藤病院長からそう聞かされていたのだろう。
「お母様、これを田中先生にお渡しして欲しいの」
 百合香ちゃんが一枚の上質紙をお母様に手渡していた。その紙を見たお母様は大きな目を瞠ってご主人や舅にかざすように見せている。国会議員の妻は「内助の功」が未だに必要とされているので、吉田家もその例に漏れないのだろうが。
 その紙を見た男性陣にも暖かい笑いが広がっていった。
 ただ、祐樹と自分が立っているところからは見えないものの、直ぐに分かるに違いなかった。何しろ「田中先生」宛のシロモノだったので。
「有難う御座います。絵もとても上手なのですね……」
 祐樹が笑みを浮かべてお母様から手渡された上質紙を見ていた。
 そこには子供らしいタッチではあったものの、祐樹と自分と思しき二人の絵と、その下に「白衣の王子様達へ。百合香より」と可愛らしい字で書いてあった。
                               <完>




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だから、アプリで読んで頂くと新着を知らせてくれるために読み飛ばしはないかと思います。宜しくお願いします!!

PCの前でのまとまった時間は取れなくなってしまいましたが、アイパッドなら何とか隙間時間で記事を作成出来るので、すみません、このブログの更新頻度は減りますが、ノベルバ様の方では香川外科の面々がどのように教授や祐樹を見ているかを書いています。

今は久米先生視点(医学部生時代)を投稿しています。
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いやぁ……。ヤフーブログが終了するとは……。

一応、FC2ブログに移行しようと試みましたが(前ブログのはどうにか完了しました)このブログが何故か引っ越せないんです(泣)

まあ、もうしばらく猶予期間もあるので、色々なブログを見てからお引越しを決めようかなと思っています。

しばらくはヤフーに居ますが、キリの良いところで新ブログ会社に切り替えるか、小説投稿サイト様だけに頼るか考えます。

私のPC音痴のせいで、FC2ブログお引越しが、旧「腐女子の小部屋」は無事完了したのに、こっちのは何故か記事が0という。

旧ブログは(ざっとしか見ていない)記事は無事みたいなので、宜しければ覗いて下さいね。

https://mikakouyama1002.blog.fc2.com/blog-entry-2532.html
本日も読んで頂きましてありがとうございます。
     
  こうやま みか拝

気分は下剋上 白衣の王子様 番外編 15

「これらの画像をご覧になっていらっしゃったのですか?
 私はお風邪ではないかと心配したのですが、杞憂で良かったです」
 PCの画面に柏木先生などが送ってくれたサイン会の画像が表示されていた。彼女達が撮ったシロモノなので、密着度の高いものばかりなのは言うまでもない。
「いや、私はこんなに幸せそうに笑っていたのだなとか、祐樹の手が腰に回された時に感じた暖かみとか確かな感触が肌に蘇ってきて……」
 更に紅を刷いたようなまなじりの艶めかしさと共に、唇は活き活きとした紅の薔薇の笑みが一際印象的だった。
「貴方のことですから心配はしていませんが、画像にロックは掛けておいて下さいね。
 ……そうですよ、朝露に濡れた薄紅色の薔薇の風情で笑って下さってました、会場でも。
 ただ、画像には限界があるのか、もっと綺麗な笑みだったのに、忠実に再現出来ていなくて残念です。
 ただ、画像は画像として置いておいて……。
 私の視覚にもっと綺麗な貴方を刻み付けたいのですが、如何ですか?」
 ともすれば画面、特に背中から腰の流れるような肢体のラインが祐樹の手で触れたことでよりいっそう際立っている画像に見入ってしまいそうなのを我慢して恭しく手の甲に口づけた後に、付箋紙をチラリと見せた。
 律義で几帳面な最愛の人は、定時で秘書が帰宅した後に画像を開いていたのだろう。
 そして人知れず頬とか指に紅の彩りを加えていたのだろう。
 ドアをノックした時の奇妙な間は、表情の選択に困っていたのかもしれない。
 祐樹が丹精を込めて花開かせた肢体とは裏腹に、出会った時から変わらない無垢な精神を持ち続けているこの人なだけに。
 付箋紙を見た瞬間、大輪の紅い薔薇が開いたような艶やかさと瑞々しさが匂いやかに執務室の空気を染めていくようだった。
「了解した。手術室の手配を済ませたら……」
 PCのキーボードの上を紅色の指が的確かつ鮮やかに動いて、無機質の機械までもが綺麗な花を咲かせているような錯覚を抱かせてしまう。
「柏木先生には今夜の救急救命室ででも念を押しておきますね。
 旧館での忍び逢いの時に……、無粋なサイレンの音とか、更に非情な呼び出しがかからないことを祈るばかりです……」
 定時上がりの最愛の人とは異なって、祐樹はいわば休憩時間というか待機時間なだけに、いつ中断のコールが鳴るか分からない。
 ただ、そういう仕事だと分かりきっている最愛の人の口から「仕事と恋人どちらが大切なのか」のような、ある意味比べようもない不毛な言葉が出たことはない。
「そうだな……」
 USBメモリを――そんなモノまでフランスの老舗ブランドが作っているとは知らなかったが――専用らしい小物入れにいそいそと仕舞っている最愛の人の仕草とか艶やかさを増した笑みを浮かべた怜悧で端整な容貌に見入ってしまう。
「非常階段の鍵は開けておきますので、部屋は分かりますよね」
 久米先生と岡田看護師は薔薇の花をシーツに敷き詰めてはいないので――祐樹の指示のせいだが――先に行って準備した方が良さそうだ。
「ああ、分かる。――ただ、花びらを使った後のシーツはどうするのかな、と」
 心配性の恋人の耳朶を軽く噛むと、しなやかな肢体からシトラスの香りが仄かに強まった。
「その点はご心配なく。研修医の頃には病室のシーツ替えまで叩き込まれましたから。
 あの時は、何故こんな雑事までしないといけないのかと思っていたのですが、今となっては貴重な経験として役に立ちます」
 医師の資格は、医療従事者の最上位なので普段は看護師がするような業務も「表向き」出来るようになっていなければならない。ただ、そういうふうにこき使われていた時には内心、穏やかならぬ気持ちを抱いていたが、今となってみれば琥珀のように鈍く光る想い出の日々に変わっている。
「では、貴重なお時間を頂きまして有難うございました」
 どの教授の秘書かまでは知らないが、執務室のドアを開けると妙齢の美女が歩いていたので丁重な挨拶をして執務室のドアを静かに閉めた。
 旧館の逢引きも、物凄く楽しみだったが。
 夜の気配が漂う小道を歩きながらも、スーツに白衣姿だけの祐樹は――多分、これからの愛の時間の期待からだろうが――ちっとも寒さを感じないのも我ながら現金なものだなと思いつつ自然と足が速くなる。
 純白のシーツと、先程までの最愛の人の肌の色を考えて、薔薇の色を決めるという楽しい悩みも相俟って。
 耳を澄ませていなければ分からないほどの密やかなノックの音が、人の気配の全くない旧館の部屋には相応しい。
 そして、ドアを開けた最愛の人が、シーツにふんだんに撒いた真紅の薔薇の花よりも綺麗な笑みと薔薇色のため息を零している様子も絵のように綺麗だった。
 待ち侘びた感じで首に縋る最愛の人に深い口づけを交わしながら、ジャケットを床へと落とした。久米先生はともかく、岡田看護師は掃除も上手らしかったので、その点も安心だったが。
「祐樹……。腰の辺りを……強く抱き締めて……欲しい……」
 祐樹の手で露わにされた紅色の肢体は、色香の外には何も纏ってはいない。先ほどよりも濃厚に香るシトラスの香りと共に甘く薫る声が艶やかでいながらもどこか清涼さを保って耳に心地いい。
「立ったままですか……。それともベッドの上で?」
 祐樹の声も欲情に掠れているのを自覚しつつ、しなやかな肢体を指で辿っていくと若木のように撓むでは、祐樹の身体へと凭れかかってきた。





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一応、FC2ブログに移行しようと試みましたが(前ブログのはどうにか完了しました)このブログが何故か引っ越せないんです(泣)

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季節の変わり目ですのでお身体ご自愛ください。
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  こうやま みか拝

気分は下剋上 白衣の王子様 35

 こういう雑談は、少なくとも患者さんとのラポール(信頼関係)を築く有効な手段でもあり、そして手術の際にはラポールが高ければ高いほど良好な結果が得られるというレポートも有る。執刀医としてもこの会話には参加すべきだろう。
「コンビニなどで売っていますが、百合香ちゃんの場合はあまり行かれないでしょうね。
 あれはあれで美味しいのですが、毎日食べると流石に飽きます」
 実際のところ、カップうどんはともかくとして作り溜めをしていたカレーを朝はパンに塗って、昼はパンに挟んで食べそして夜はご飯にかけて食べることを毎日繰り返しても個人的に何の不満も抱かなかったし、他人もそうだと思い込んでいた、祐樹と住むようになるまでは。
 ただ、病院一の激務をこなす祐樹が――本来は病院の宿直室で仮眠を取るほうが合理的だし、むしろ自分のマンションに律義に帰宅してくれるのは個人的に嬉しいものの――睡眠時間を確保するために病院に泊まり込む生活を始めるという「万が一」が有れば、手の込んだ料理を作るようなことはしないし、カレーで一週間の食事を賄うだろうが。
「コンビニエンスストアには割と行ったことがあります。病気が判明する前ですけど、父に連れて行ってもらって。『赤いき○ね』も見たことは有りますが、実際に食べたことはないです……」
 国会議員でも地元民との交流を殊更大切にしていると聞いたことはある。お父様は多分百合香ちゃんを連れて行くことで、会話に幅を持たせるとかそういう目的が有ったのかもしれない。政治家である限りは、有権者の支持を得る草の根運動的な、地元回りも重要な活動だ。特に百合香ちゃんのお父様は党の顔として選挙期間中はそれこそ全国を秒刻みで飛び回ると雑誌で読んだことが有るので、地元の票は「日常生活」にかこつけてこまめに回っていらっしゃるのだろう。
「それなら……」
 祐樹が職業上の「慈愛に満ちた」笑みと、滑舌の良い話し方で話を進めている。
 ただ、この話は割と有名だし、自分も話に加われそうで良かったと思う。マンガの話――この先、お父様やお祖父様がいらっしゃらなければという前提だが、必ずその話になるハズで、そうなったら自分は話に参加出来ないので、ラポールの構築をもう少し進めておく方が良いだろうなと思いつつ祐樹の話に百合香ちゃんと同じく耳を傾けた。
「関西で販売されているのと、関東のでは味も違いますので手術が無事に終わった後に関西土産として持って帰って、関東のと食べ比べをするのも面白いかと思いますよ。インスタント食品ですらそういう味の違いを出すほどに関東と関西では違いますので」
 百合香ちゃんは興味深そうに聞いていたし、口元に浮かぶ笑いも以前とは打って変わった感じの子供らしい感じだった。
「マンガも読みました。とても面白かったです。絵で描いてある分、手軽に読めました。
 ただ、いくつかの点が疑問で……」
 百合香ちゃんはレースの室内着に相応しい愛くるしい笑みと知的好奇心めいた瞳で祐樹と自分を交互に見ている。
 マンガは書店でパラパラとめくっただけなので、自分に答えられるような知識はあいにく持ち合わせていない。
「一点目は、主人公が麻酔を使う場面が何度か出て来たのですけれど、麻酔って医師以外でも扱うことが出来るのでしょうか?」
 祐樹が、こっそりと目配せを送って来た。ラポール構築のために答えてくださいという意味だろうと判断して口を開いた。
「医師でも麻酔科の専門医でないと扱えません。外科医の私達ですら扱えないのが現状なので、それ以外の人間が扱ったらダメですね。
 ただ、マンガとか映画では『絶対に無理だ』と常識的に思うようなことでも話しの都合上か何かだとは思うのですが入れて来ますので、その一環ではないでしょうか?
 そういう疑問とか矛盾を持って調べると割と面白いですよ。
 それに、テレビドラマの場合にリアリティを重視すれば、放映時間的に収まりにくくなってしまいます。
 時代劇などでは、人を斬った刀を即座に鞘に収めている場面しかないのですが、実際には血液や油分が鉄でもある刀に付いたままなので、その後使えなくなります」
 6歳の女の子が時代劇を観ているかどうかは接点がないために分からないが、百合香ちゃんは、華麗なる政治家一族の一員なので色々な世代の人とも話す機会を持っているだろうな……と判断したから言ってみたら、案の定無邪気な称賛の眼差しで自分の方を見てきた。
「そういうモノなのですね……。良く分かりました。
 先生方とお話しているととても楽しいです。
 もう一点、スケートボードで車道を走っているシーンがたくさん出てきたのですが、あれも本当はしてはいけないことなのでしょう?」
 運転免許は持っていないが、常識的に考えてダメだろうと思う。ただ、医師国家試験の結果待ちの暇を持て余して六法全書は暗記したが、道路交通法は六法全書に含まれていなかったので、眼差しで祐樹に合図を送った。
「それはダメですね。警官に見つかったら大変なことになりますし、事故った場合は命にも関わるので絶対にしてはならないことです。
 車道を走ることが出来るのは自動車やバイク、そして耕運機――ご存知ですか?」
 百合香ちゃんの自宅は横浜に有るし、お父様の選挙区も同様だ。祐樹は都会に住んでいる彼女が耕運機を知らない可能性を想定したのだろう。
「はい。乗ったことはないですが、田んぼや畑などを耕す機械ですよね。図鑑で見ました」
 多分だが、心臓疾患のせいでベッドに居る時間が多い彼女は本で知識を吸収しているのだろう。家庭教師の先生を自宅に招いているようだったが。
「ああ、ご存知でしたか?あれも一応は車両と見做されるので普通に道路も走ることも可能です。しかし、確かそんなにスピードが出ないので、人間の数よりも馬や牛の数の方が多いような田舎ではともかく、それ以外の場所では迷惑極まりないかと思います」
 耕運機が先頭をノロノロと、いや、牧歌的な感じで走っていて、その後ろを普通の車が走っている有様を想像したのだろう、百合香ちゃんも無邪気な笑みをふんだんに振り撒いている。
 その笑顔をもっと活気に満ちたモノにするためにも、弁膜症の手技は万全を尽くそうと密かに決意を固めた。
 ノックの音が花束で飾られている病室に響いた。
 時計を見なくとも16時ジャストだと分かったので、ご家族一同がいらしたようだった。




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読んで下されば嬉しいです。

いやぁ……。ヤフーブログが終了するとは……。

一応、FC2ブログに移行しようと試みましたが(前ブログのはどうにか完了しました)このブログが何故か引っ越せないんです(泣)

まあ、もうしばらく猶予期間もあるので、色々なブログを見てからお引越しを決めようかなと思っています。

しばらくはヤフーに居ますが、キリの良いところで新ブログ会社に切り替えるか、小説投稿サイト様だけに頼るか考えます。

私のPC音痴のせいで、FC2ブログお引越しが、旧「腐女子の小部屋」は無事完了したのに、こっちのは何故か記事が0という。

旧ブログは(ざっとしか見ていない)記事は無事みたいなので、宜しければ覗いて下さいね。



季節の変わり目なので、読者様もお身体ご自愛ください。

【力尽きなければ、本日二本目の記事を2時間後を目途に上げます。】
本日も読んで頂きましてありがとうございます。
     
  こうやま みか拝
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