「分かった。ただ……。祐樹に追いつければ良いなと……速足で駆けたものだから……。
せっかく祐樹に貰った……真珠の雫が……零れ落ちて……しまって……いるのも……ある」
艶やかな甘い声が次第に小さくそして、か細くなっていったのは何よりも大切にしてくれている祐樹の真珠の迸りを零してしまったせいだろう。
ただ、普段の大輪の花のような怜悧で凛とした、また愛の交歓の後には無垢な淫らさで咲き誇る大輪の花の風情ではなくて、フラワーショップで売っている紅いガーベラとかその他祐樹が知らない割と可憐な花のような風情も悪くはない。
「そんなことで悩んでいらっしゃったのですか?
聡の花園の門は特別で、普通は立て続けの愛の行為の後には皆真珠の粒が転がり放題ですよ。
それにエプロンを着けるのに支障はないでしょう。直ぐに拭いて差し上げても良いのですが、午前三時の花嫁に相応しい愛の小道具を調達して参りますので、着替えた後に素晴らしく美味しい夜食を作っておいて下さい。直ぐに戻りますので」
柑橘系の薫りと百合の花の匂いは意外なほど調和した最愛の人の唇に唇を重ねてから部屋を出た。
この時間に人に会ったこともないし、そしてバカ高い管理費も支払っている、その上「花盗人に罪はない」という便利な言葉も有るので最大限に活用しようとして、百合と共に活けてあった真紅の薔薇を――全体の調和を崩さないように最大限の努力は払って――五本抜き取った。
幸いなことに今回のアレンジメントのメインは早咲きの――固有名詞はあいにく知らないが染井吉野でないことだけは確かだった――桜の比較的大きな枝だったので百合や薔薇を多少抜き取っても大勢に影響はないのが救いだ。
多少は気が咎めたので隠すように背中で持ってエレベーターへと向かった。
セキュリティ上カメラはたくさん付いているらしいが、この「鷹揚な」人しか住まない場所で薔薇と百合を失敬しても、そして祐樹が最愛の人を御姫様抱っこしている画像も何か犯罪でも起これば別だろうが――正しくは祐樹が花をパクったのは犯罪かも知れないがそんなことで一々目くじらを立てるような無粋な真似はしない――後にチェックなどしないだろう、ただ蓄積されていくだけで。
「ただ今戻りました。とても良い眺めですね」
キッチンには昆布と出汁雑魚の薫りが平和な家庭そのものといった感じで温かい湯気を立てているし、大阪のホテルを見習ったのだろう鶏肉は別の鍋で醤油とみりんが加わった香ばしさを放っていたが、それ以上に絶品なのは最愛の人の紅色の肢体に鈍い光沢のある白い絹のエプロンと百合の花しか纏っていない姿だった。
「お帰り……どこに行って来たのだ」
菜箸で菊菜の火の通り加減をチェックしていたのだろう、細く長い紅色の指が箸を持ったまま祐樹の方へと振り返る。
「その白いエプロンと精緻なレースも素敵ですが、愛の交歓の後の甘い気怠さとか熱い余韻を残す素肌は絶品ですね。特に胸の尖りは厚いシルクをも押し上げて……紅色の絹糸で吊ったかのようにツンと上を向いていますし……。それに艶めいた紅色の素肌にはやはり白色が似合いますね。百合の花にも良く合いますし」
長岡先生御用達の――といっても彼女は賢明にも料理「も」専門家に任せていると聞いている――自宅で行うパーティ用の上品な形と材質のエプロンだったが、祐樹が余りにも喜んだせいで最愛の人は色違いを何着も持っている。
「午前三時の花嫁にはこの色が相応しいかと思って……。
エントランスでの愛のホール……いや花嫁さん抱っこもとても嬉しかったし。
え?ゆ……祐樹っ……」
慌てている天使の無垢さと艶やかさが混じった声が夜中のキッチンに響いた。しかも各種美味しそうな香りを上げている「日常」さとエプロンの後ろの部分は何も着けていない紅色の滑らかな素肌――いや純白の精緻なレースで縁取られたシルクのリボンは几帳面に結んであったが――へと回って良く熟れた桃の瑞々しさと艶やかさで薫り立つ無防備な双丘を指で開いてしどけなく開いた濃い紅色の門を飾っていたり、若木のようにすんなりと伸びた足の内側を滴っていたりする真珠の飾りを真紅の薔薇の花で掬い取った。
「聡の極上の花園の薔薇よりも紅い花びらには適いませんが、こちらも素敵ですよね。
幾重にも重なった薔薇の花に真珠の煌めきを乗せている姿は。
真っ紅な薔薇にはやはり真珠の雫が一番似合いますね……。この花で艶やかさを保持したまま拭う方がロマンチックですよ」
太ももに滴っている真珠の小さな滝を薔薇の紅さで掬い取った。
「そんなに微細に……触れられると……」
菜箸を置いて火を止めた最愛の人が甘い吐息と共に紅色の和扇のような艶やかさで足を開いていく。
「もう少し……花園の中まで……真珠の粒を拭った方が……良いようですね……」
真紅の花弁を二枚千切って真珠の迸りで濡れているのを良いことに指に付けて花園の中へと挿る。
「ゆ……祐樹っ……ソコは……弱いのでっ……」
春の嵐に見舞われた八重桜のような妖艶さと桜の若木のようなしなやかさで肢体全部が反って胸の尖りをより鮮明に括り出すようだった。
最愛の人の弱い場所は熟知しているので、ワザと……だったが。魅惑の花園の中の凝った蕾を指で強く押したのは。
「ご存知ですか?花嫁さんは食べる時と寝る時以外全部の時間を愛の交歓へと費やすことを……。召し上がるのと……愛の行為どちらが良いですか?」
未だ使っていない薔薇の花をルビーの尖りの輪郭を辿るように動かした。純白の鈍い煌めきを放つシルクに瑞々しい真っ紅な薔薇の花が動くのも天使の無垢さと悪魔の淫靡さのようでとても綺麗だった。
せっかく祐樹に貰った……真珠の雫が……零れ落ちて……しまって……いるのも……ある」
艶やかな甘い声が次第に小さくそして、か細くなっていったのは何よりも大切にしてくれている祐樹の真珠の迸りを零してしまったせいだろう。
ただ、普段の大輪の花のような怜悧で凛とした、また愛の交歓の後には無垢な淫らさで咲き誇る大輪の花の風情ではなくて、フラワーショップで売っている紅いガーベラとかその他祐樹が知らない割と可憐な花のような風情も悪くはない。
「そんなことで悩んでいらっしゃったのですか?
聡の花園の門は特別で、普通は立て続けの愛の行為の後には皆真珠の粒が転がり放題ですよ。
それにエプロンを着けるのに支障はないでしょう。直ぐに拭いて差し上げても良いのですが、午前三時の花嫁に相応しい愛の小道具を調達して参りますので、着替えた後に素晴らしく美味しい夜食を作っておいて下さい。直ぐに戻りますので」
柑橘系の薫りと百合の花の匂いは意外なほど調和した最愛の人の唇に唇を重ねてから部屋を出た。
この時間に人に会ったこともないし、そしてバカ高い管理費も支払っている、その上「花盗人に罪はない」という便利な言葉も有るので最大限に活用しようとして、百合と共に活けてあった真紅の薔薇を――全体の調和を崩さないように最大限の努力は払って――五本抜き取った。
幸いなことに今回のアレンジメントのメインは早咲きの――固有名詞はあいにく知らないが染井吉野でないことだけは確かだった――桜の比較的大きな枝だったので百合や薔薇を多少抜き取っても大勢に影響はないのが救いだ。
多少は気が咎めたので隠すように背中で持ってエレベーターへと向かった。
セキュリティ上カメラはたくさん付いているらしいが、この「鷹揚な」人しか住まない場所で薔薇と百合を失敬しても、そして祐樹が最愛の人を御姫様抱っこしている画像も何か犯罪でも起これば別だろうが――正しくは祐樹が花をパクったのは犯罪かも知れないがそんなことで一々目くじらを立てるような無粋な真似はしない――後にチェックなどしないだろう、ただ蓄積されていくだけで。
「ただ今戻りました。とても良い眺めですね」
キッチンには昆布と出汁雑魚の薫りが平和な家庭そのものといった感じで温かい湯気を立てているし、大阪のホテルを見習ったのだろう鶏肉は別の鍋で醤油とみりんが加わった香ばしさを放っていたが、それ以上に絶品なのは最愛の人の紅色の肢体に鈍い光沢のある白い絹のエプロンと百合の花しか纏っていない姿だった。
「お帰り……どこに行って来たのだ」
菜箸で菊菜の火の通り加減をチェックしていたのだろう、細く長い紅色の指が箸を持ったまま祐樹の方へと振り返る。
「その白いエプロンと精緻なレースも素敵ですが、愛の交歓の後の甘い気怠さとか熱い余韻を残す素肌は絶品ですね。特に胸の尖りは厚いシルクをも押し上げて……紅色の絹糸で吊ったかのようにツンと上を向いていますし……。それに艶めいた紅色の素肌にはやはり白色が似合いますね。百合の花にも良く合いますし」
長岡先生御用達の――といっても彼女は賢明にも料理「も」専門家に任せていると聞いている――自宅で行うパーティ用の上品な形と材質のエプロンだったが、祐樹が余りにも喜んだせいで最愛の人は色違いを何着も持っている。
「午前三時の花嫁にはこの色が相応しいかと思って……。
エントランスでの愛のホール……いや花嫁さん抱っこもとても嬉しかったし。
え?ゆ……祐樹っ……」
慌てている天使の無垢さと艶やかさが混じった声が夜中のキッチンに響いた。しかも各種美味しそうな香りを上げている「日常」さとエプロンの後ろの部分は何も着けていない紅色の滑らかな素肌――いや純白の精緻なレースで縁取られたシルクのリボンは几帳面に結んであったが――へと回って良く熟れた桃の瑞々しさと艶やかさで薫り立つ無防備な双丘を指で開いてしどけなく開いた濃い紅色の門を飾っていたり、若木のようにすんなりと伸びた足の内側を滴っていたりする真珠の飾りを真紅の薔薇の花で掬い取った。
「聡の極上の花園の薔薇よりも紅い花びらには適いませんが、こちらも素敵ですよね。
幾重にも重なった薔薇の花に真珠の煌めきを乗せている姿は。
真っ紅な薔薇にはやはり真珠の雫が一番似合いますね……。この花で艶やかさを保持したまま拭う方がロマンチックですよ」
太ももに滴っている真珠の小さな滝を薔薇の紅さで掬い取った。
「そんなに微細に……触れられると……」
菜箸を置いて火を止めた最愛の人が甘い吐息と共に紅色の和扇のような艶やかさで足を開いていく。
「もう少し……花園の中まで……真珠の粒を拭った方が……良いようですね……」
真紅の花弁を二枚千切って真珠の迸りで濡れているのを良いことに指に付けて花園の中へと挿る。
「ゆ……祐樹っ……ソコは……弱いのでっ……」
春の嵐に見舞われた八重桜のような妖艶さと桜の若木のようなしなやかさで肢体全部が反って胸の尖りをより鮮明に括り出すようだった。
最愛の人の弱い場所は熟知しているので、ワザと……だったが。魅惑の花園の中の凝った蕾を指で強く押したのは。
「ご存知ですか?花嫁さんは食べる時と寝る時以外全部の時間を愛の交歓へと費やすことを……。召し上がるのと……愛の行為どちらが良いですか?」
未だ使っていない薔薇の花をルビーの尖りの輪郭を辿るように動かした。純白の鈍い煌めきを放つシルクに瑞々しい真っ紅な薔薇の花が動くのも天使の無垢さと悪魔の淫靡さのようでとても綺麗だった。
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体調が戻るまで不定期更新になりますが何卒ご容赦下さいませ!!
最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
こうやま みか拝