腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します 申し訳ありませんが書く時間を最優先にしたいのでリコメは基本的に致しません。 要望・お礼などは「日記」記事でお応えしますが、タイムラグがあることも多いです。

密会編 Vt2018の後

気分は下剋上 密会編 22

「分かった。ただ……。祐樹に追いつければ良いなと……速足で駆けたものだから……。
 せっかく祐樹に貰った……真珠の雫が……零れ落ちて……しまって……いるのも……ある」
 艶やかな甘い声が次第に小さくそして、か細くなっていったのは何よりも大切にしてくれている祐樹の真珠の迸りを零してしまったせいだろう。
 ただ、普段の大輪の花のような怜悧で凛とした、また愛の交歓の後には無垢な淫らさで咲き誇る大輪の花の風情ではなくて、フラワーショップで売っている紅いガーベラとかその他祐樹が知らない割と可憐な花のような風情も悪くはない。
「そんなことで悩んでいらっしゃったのですか?
 聡の花園の門は特別で、普通は立て続けの愛の行為の後には皆真珠の粒が転がり放題ですよ。
 それにエプロンを着けるのに支障はないでしょう。直ぐに拭いて差し上げても良いのですが、午前三時の花嫁に相応しい愛の小道具を調達して参りますので、着替えた後に素晴らしく美味しい夜食を作っておいて下さい。直ぐに戻りますので」
 柑橘系の薫りと百合の花の匂いは意外なほど調和した最愛の人の唇に唇を重ねてから部屋を出た。
 この時間に人に会ったこともないし、そしてバカ高い管理費も支払っている、その上「花盗人に罪はない」という便利な言葉も有るので最大限に活用しようとして、百合と共に活けてあった真紅の薔薇を――全体の調和を崩さないように最大限の努力は払って――五本抜き取った。
 幸いなことに今回のアレンジメントのメインは早咲きの――固有名詞はあいにく知らないが染井吉野でないことだけは確かだった――桜の比較的大きな枝だったので百合や薔薇を多少抜き取っても大勢に影響はないのが救いだ。
 多少は気が咎めたので隠すように背中で持ってエレベーターへと向かった。
 セキュリティ上カメラはたくさん付いているらしいが、この「鷹揚な」人しか住まない場所で薔薇と百合を失敬しても、そして祐樹が最愛の人を御姫様抱っこしている画像も何か犯罪でも起これば別だろうが――正しくは祐樹が花をパクったのは犯罪かも知れないがそんなことで一々目くじらを立てるような無粋な真似はしない――後にチェックなどしないだろう、ただ蓄積されていくだけで。
「ただ今戻りました。とても良い眺めですね」
 キッチンには昆布と出汁雑魚の薫りが平和な家庭そのものといった感じで温かい湯気を立てているし、大阪のホテルを見習ったのだろう鶏肉は別の鍋で醤油とみりんが加わった香ばしさを放っていたが、それ以上に絶品なのは最愛の人の紅色の肢体に鈍い光沢のある白い絹のエプロンと百合の花しか纏っていない姿だった。
「お帰り……どこに行って来たのだ」
 菜箸で菊菜の火の通り加減をチェックしていたのだろう、細く長い紅色の指が箸を持ったまま祐樹の方へと振り返る。
「その白いエプロンと精緻なレースも素敵ですが、愛の交歓の後の甘い気怠さとか熱い余韻を残す素肌は絶品ですね。特に胸の尖りは厚いシルクをも押し上げて……紅色の絹糸で吊ったかのようにツンと上を向いていますし……。それに艶めいた紅色の素肌にはやはり白色が似合いますね。百合の花にも良く合いますし」
 長岡先生御用達の――といっても彼女は賢明にも料理「も」専門家に任せていると聞いている――自宅で行うパーティ用の上品な形と材質のエプロンだったが、祐樹が余りにも喜んだせいで最愛の人は色違いを何着も持っている。
「午前三時の花嫁にはこの色が相応しいかと思って……。
 エントランスでの愛のホール……いや花嫁さん抱っこもとても嬉しかったし。
 え?ゆ……祐樹っ……」
 慌てている天使の無垢さと艶やかさが混じった声が夜中のキッチンに響いた。しかも各種美味しそうな香りを上げている「日常」さとエプロンの後ろの部分は何も着けていない紅色の滑らかな素肌――いや純白の精緻なレースで縁取られたシルクのリボンは几帳面に結んであったが――へと回って良く熟れた桃の瑞々しさと艶やかさで薫り立つ無防備な双丘を指で開いてしどけなく開いた濃い紅色の門を飾っていたり、若木のようにすんなりと伸びた足の内側を滴っていたりする真珠の飾りを真紅の薔薇の花で掬い取った。
「聡の極上の花園の薔薇よりも紅い花びらには適いませんが、こちらも素敵ですよね。
 幾重にも重なった薔薇の花に真珠の煌めきを乗せている姿は。
 真っ紅な薔薇にはやはり真珠の雫が一番似合いますね……。この花で艶やかさを保持したまま拭う方がロマンチックですよ」
 太ももに滴っている真珠の小さな滝を薔薇の紅さで掬い取った。
「そんなに微細に……触れられると……」
 菜箸を置いて火を止めた最愛の人が甘い吐息と共に紅色の和扇のような艶やかさで足を開いていく。
「もう少し……花園の中まで……真珠の粒を拭った方が……良いようですね……」
 真紅の花弁を二枚千切って真珠の迸りで濡れているのを良いことに指に付けて花園の中へと挿る。
「ゆ……祐樹っ……ソコは……弱いのでっ……」
 春の嵐に見舞われた八重桜のような妖艶さと桜の若木のようなしなやかさで肢体全部が反って胸の尖りをより鮮明に括り出すようだった。
 最愛の人の弱い場所は熟知しているので、ワザと……だったが。魅惑の花園の中の凝った蕾を指で強く押したのは。
「ご存知ですか?花嫁さんは食べる時と寝る時以外全部の時間を愛の交歓へと費やすことを……。召し上がるのと……愛の行為どちらが良いですか?」
 未だ使っていない薔薇の花をルビーの尖りの輪郭を辿るように動かした。純白の鈍い煌めきを放つシルクに瑞々しい真っ紅な薔薇の花が動くのも天使の無垢さと悪魔の淫靡さのようでとても綺麗だった。












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◇◇◇



体調が戻るまで不定期更新になりますが何卒ご容赦下さいませ!!




最後まで読んで下さいまして有難う御座います。

        こうやま みか拝

気分は下剋上 密会編 21

 祐樹が最初にこのマンションに訪れた時には(無駄な空間とか豪華な花で高級感を演出しているのだな)としか思わなかったのだが、この場合は大変役に立つ。
 それに腕で抱えた最愛の人も――職業柄当然と言えばそうなのだが――祐樹の気管支を圧迫するような縋り方はしていない。
 薫り高いカサブランカの花――だろう、多分。呉先生情報に依ると百合は種類が多いし大輪の白い百合は交配して多数の種類があるそうだが――を一本無断で引き抜いて最愛の人の耳朶に挿した。
「真紅の薔薇でも良かったのですが……。今の濃い紅色に染まった艶やかな素肌には白い花の方がお似合いだと思いまして」
 話していた手で最愛の人の肢体を抱き留めて、愛の交歓の残り香のような甘く艶めく重さを実感した。
「最近の結婚式ではこういうのも流行りらしいですよ。
 ただ、新郎に体力がなかったり途中で落とす危険性があったりする場合も多いので、実際にするカップルは珍しいようですが。
 ホテルの雛壇で心の底から嬉しそうに笑う聡を拝見して、一度はこういうのをして差し上げたかったのです。
 それに百合の花の花言葉は『純潔』らしいので、聡には相応しいかと。午前三時の花嫁にも……」
 純白の大輪の百合を飾りにして紅色のこれ以上ないほど嬉しそうな笑みを浮かべる最愛の人の端整な容貌を見下ろした。
「何だか人知れず結婚式を挙げているようで……とても嬉しい。盛大なパーティも一世一代の大イベントだったが、こういう秘密めいた祐樹の愛情表現とか結婚式を彷彿とさせる密やかさもとても幸せだ」
 百合よりも綺麗な笑みの花を咲かせる最愛の人の肢体を抱え直して、エレベーターへと向かった。
「このホールドの仕方……俗に何と呼ばれているかご存知ですか?『お姫様抱っこ』です。
 聡はお姫様という可憐な呼び名ではなくて王女様という呼称こそが相応しいのですが、そういう些細なことは抜きにして……。仕事以外でこんな抱き方をしたのは生まれて初めてです。
 聡が魅力的過ぎるので、ついついこうやって抱きしめたくなりました」
 最愛の人が肢体は祐樹の両腕にしっかり固定したまましなやかな首筋を伸ばして唇を重ねてきた。
 耳に挿した百合の薫りが接吻を交わす二人を隠すかのように匂いやかに漂っている。
「何だか結婚式を終えて二人きりになったカップルみたいですね……。
 いや、ハネムーンを終えて心も身体も結びついた若妻のような無垢でありながらどこか色っぽいというか……。
 愛の交歓は数えきれないほど交わしたのに聡のそういう初々しさを保ち続けられる点も最高に気に入っています」
 エレベーターのボタンまでは何とか操作出来たが、玄関の鍵は流石に無理だったので渋々「お姫様抱っこ」を断念してゆっくりと最愛の人の肢体を下ろした。
「無垢か……。自分では分からないのだが、他ならぬ祐樹が言うのだからそうなのだろう。
 午前三時の花嫁も魔法が解けたシンデレラ状態で……。全然ロマンチックではないのだが……」
 紅色の艶めいた端整な容貌を引き立てる百合の花もどこか恥ずかしげな感じで揺らめいている。
 「ロマンチックではない」という最愛の人の言葉に思い当たることが有って思わず笑いを零しながら部屋へと入った。
 お帰りなさいのキスも百合の薫りが楚々とした色気を玄関先に振り撒いていた。
「実は私もです。夕食を食べ損ねてしまった上にあれだけの愛の交歓でしたからね……。
 まあ、時間を忘れて『禁断の逢瀬』をせざるを得ない『秘密の恋人』ならばある意味仕方のないことでは有りますが。
 何か作りますか?」
 夜食というには遅い時間だったが、朝食には早すぎる。軽い食事でも食べてから最愛の人の極上の花園を洗い流す祐樹にとって楽しい時間を味わいたい。
「いや、大阪のホテルで祐樹が気に入った『煮込みうどん』の麺を実はシェフに聞いて取り寄せた。レシピは当然ながら門外不出なので教えて貰えなかったが、多分似たような味に出来ると思う。
 花嫁には……」
 紅色の艶やかな表情に仄かな羞恥の色が混ざってとても綺麗だった。
「花嫁には?」
 大阪のホテルの「煮込みうどん」――フランスのホテルなのにこういうメニューが有るのも日本人客の需要を見込んでのことに違いないが――は確かに祐樹の大好物だった。
 ただ、ルームサービスで頼む時には愛の交歓の後だったので「空腹は最高の調味料」を地でいっているのかもしれないが。
「空腹とかそういう気持ちが芽生えないものなのかも……」
 愛の交歓の時にはあんなに欲望に忠実で奔放かつ淫らに振る舞う人なのに、それ以外は咲きたての桜の花のような初々しさで煌めいているギャップも祐樹を惹き付けずにはいられないことを最愛の人は多分分かっていない。
「そんなことはないですよ。ウチの母の時代には花嫁さんが披露宴で物を食べるということ自体が恥ずかしい行為とされていたらしく、式の直前にバカ食いしたらしいです。
 今は結婚式も多様化していますよね。病院関係者でも――特に出世を諦めた医師などは反りが合わない上司とかお義理だけで呼ぶ同僚なんてバカらしいと――友人とか呼びたい人間だけ招待して、気の置けない式を挙げるカップルも居ると聞いています。特に医局の人間関係が希薄な感じとか、教授が高圧的な人の場合はね。そういうこじんまりとした式では花嫁さんも招待客と同じ料理を食べるらしいです。
 柏木先生の時は花嫁さん用の小さく切ったサンドイッチとか一口で食べられるようにスライスしたステーキなどが用意されていましたよ?
 お腹が空くのはむしろ自然なことですし、実際私も実は空腹なので煮込みうどんを作って戴けるならとても嬉しいです。
 ただ、新妻に相応しく、あのシルクのエプロンを着けて下さればよりいっそう嬉しいのですが」
 明石海峡大橋を臨むホテルでの挙式にたまたま行き合わせた花嫁さんのドレスとレースがこっくりとした感じのシルクで出来ていたために、認識を改めた最愛の人は長岡先生御用達のお店でエプロン――といっても料理をする実用を排除してゲストをもてなすためにだけ着用する類いのものだったが――を購入してくれた。ただ、長岡先生はメイドだかケータリングだかは知らないがそういう専門家に頼らなければ高級なシルクで作られた精緻なエプロンを台無しにしかねないが、最愛の人の場合は「料理」単体でエプロンを汚す恐れは皆無に近い。有るとすれば不測の動作とか何かの弾みで花園から真珠の滴りが零れて来ることだろうが、幸い(?)なことにその懸念が有る場所は素肌が露出しているので肢体を変な方向へと曲げるとかそういうコトがない限りシルクを汚すこともないだろう。
「分かった。あのエプロンで良いのだな?着替えて来るので……」
 空腹――夕食も摂らずにあれだけの愛の行為をしたのだから当然の生理現象だろう――を恥じている最愛の人がどこか安堵の色を浮かべてクローゼットの方へとゆっくりとした動作で向かった。
「新妻に相応しく……他には何も着けてはなりませんよ……。ああ、純潔を象徴する百合の花以外は……」
 念を押すように告げると、花の芯のような艶やかさを纏った首筋――襟足は几帳面に切り揃えられている絹のような髪がしっとりと濡れている――が紅を増して風に煽られた大輪の花のように横に振られるのも無垢な艶やかさと八重桜の妖艶さに満ちていて魅入られる。









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すみません、リアルで少しバタバタする事態になってしまったので、更新お約束出来ないのが申し訳ないです!!
「心は闇に囚われる」引っ越し作業のために○キソニンを飲んだら何だか苦痛が緩和したので、もう一本書けるかも……と頑張りました~♪





最後まで読んで下さいまして有難う御座います。

        こうやま みか拝

気分は下剋上 密会編 20

「酔っていて、そして眠いフリでもして私の肩にでも顔を預けていて下さいね。
 二人だと身元がバレる可能性がより高まりますので」
 二人を歓迎して迎え入れるかのようにタクシーのドアが開いた。
「分かった。そうする」
 運転手さんに行先を告げると最愛の人は祐樹の肩に顔をうずめて酔ったフリをしてくれた。
 先程までの愛の行為で艶めいた顔を誰にも見せたくなかったし、ましてや京都の人間に認知度の高い人間が単体でもマズいのに、二人でいれば更にリスクが高まるのも事実だった。
 それにこの時間まで呑んでいたら眠気が来るのも当たり前だし、タクシーの運転手は嘔吐には嫌悪感を示す――何しろ車内清掃も運転手の仕事だと元患者さんに聞いたことがある――がそれ以外なら特に注意を払われることもないだろう。
「大丈夫ですか?いくら東京本社への栄転祝いだからといってあんなに呑まなくても。
 いや、気持ちは分からなくもないですよ。皆が憧れる本社勤務に同期の柏木さんが大抜擢されたのですから、祝杯を重ねる気持ちは。ただ限度というものが……。
 酔っ払いを一人にしておくのは心配なので、今晩は家に泊まらせて下さいね」
 全てはタクシーの運転手さんに聞かせるための言葉で、祐樹だってそれほどサラリーマンの実態に詳しいわけではないが、運転手さんが元会社員とかいうレアケースでなければ誤魔化せそうな気がする。
 それに自宅マンションに「泊まる」口実も二人が同居していることを悟られないためには言っておかなければならないことだった。
 午前三時の京都は昼間の名物めいた渋滞とも無縁だったしマンションはもうすぐだ。
 街頭の灯りが熱愛中の恋人達を祝福してくれるように明るく道路を照らしている。
 元々無口な性格なのか、それともこの時間――しかも肩に顔を預けて寝たフリをしている最愛の人に遠慮も兼ねて――だからかは分からないが運転手も無言でカーナビの「もうすぐ踏切です」などと言ったアナウンスとエンジン音だけが響く静かな車内だった。
「そろそろ着きますよ。起きてください」
 これ見よがしに華奢な肩をやや強く揺すった。
「ああ、いつの間にか眠っていたようで……。ただアルコールは体内に残っている感じだな……。平衡感覚がおかしい気がする」
 ホテルのチェックインの時に――二人の「特殊な」関係を弁えた上で歓迎してくれる大阪のホテルとは異なっているのは一見の客という要素もあるだろうが、ただあのホテルは二度と使えないだろう、部屋をあんなふうにしてしまったからには――普段は持ち歩かない主義の人がわざわざ現金を用意してくれたのも嬉しかったが、最愛の人も身元が割れることや二人の真の関係が心無いウワサになることを望んでいない。
 まあ、テレビのバラエティ番組に出ている人のように少数派の性的嗜好を売りに出来る社会に住んでいないのだから仕方のないことだし、理解の有る人だけに祝福されているだけで充分幸せだと最愛の人は思ってくれているみたいだったしそれは祐樹も完全同意だ。
 「平衡感覚がおかしい」と最愛の人が聞こえよがしに言ったのもつまりはタクシーの運転手に聞かせるためだけで、そう言っておけば不自然な距離の詰めかたも納得してくれるだろう。
 手早く料金を支払って――この時間なのに割と近距離なのも悪い気がして――「おつりは良いです」と告げて最愛の人の肩と腰に手を回して車から降りた。
「祐樹……。何故直ぐにエントランスに入らないのだ?」
 酔ったフリでしな垂れかかりながらも、怜悧な声が夜の静寂に溶けていく。
「少し待っていて下さい。ほんの少しで済みますから……」
 この時間でも煌煌と明かりを点けたマンションのエントランス前で佇む祐樹とその身体に凭れかかる最愛の人のシトラスの薫りとか確かな温かさや重みを心地よく受け止めて、タクシーが完全に視界から消えるのを待った。
「もう大丈夫ですね。花園から真珠の滴りがこれ以上零れないように……。そして私が貴方をどれだけ愛しているのかが分かるように行動で示しますね」
 上体を屈めて膝と腰をしっかりホールドして抱え上げた。
「え?ゆ……祐樹……。この恰好はとても嬉しいが、ただ……他人に見られたら」
 慌てている天使の風情で愛の行為の余韻に艶めく瞳が当惑気に揺れる。
「大丈夫です。この時間に他人と遭遇した確率はゼロなので。ほぼ毎日この時間に帰宅している時期も有った私が言うのですから間違いはないです」
 首に手が回されて――もちろん呼吸器は意図的に外されていた――縋る仕草も愛おしい。
「部屋までお運び致しますよ。この時間は管理人さえ休憩だか仮眠の時間ですし。
 それにね、結婚式の披露宴の際に新郎が花嫁を抱き上げる儀式が本当に有って……。
 ライスシャワーとかブーケトスは不可能ですけれど、この程度はして差し上げたかったのです。
 パーティの時にあんなに嬉しそうな無垢な笑顔を浮かべて下さった聡なら、きっと喜んで下さると思いまして。
 午前三時の花嫁というのも、私達らしくて良いのではないでしょうか?」
 普段は電気の無駄だと思っていたエントランスホールとか、大阪のホテルにも引けを取らない豪華なフラワーアレンジメントだけが二人の愛を寿いでくれるかのようによりいっそうの煌めきと瑞々しさを加えて咲き誇っているような気がした。
「祐樹……。とても嬉しい……。
 ライスシャワーやブーケトスがなくても、何の問題もないほど……。え?エレベーターに乗るのでは?」
 思いついて歩む方向を変えた祐樹を怪訝そうに揺れた眼差しが艶やかに煌めいている。
「花嫁に相応しい物をと思いまして……。手でしっかり掴まっていて下さいね。こちらの手は外さなくてはならないので」











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        こうやま みか拝

気分は下剋上 密会編 19

「では、また会える日を心の底からお待ちしています。少しでも早く次の逢瀬が実現することを祈っております」
 紅色に艶めく肢体――ちなみに浴室には運ばなかったものの、素肌の表面は濡れたタオルで丁寧に拭った――をベッドの上に残して部屋の扉を少しだけ開けて廊下に人が居ない科確認してから忍び出た。
「ゆ……祐樹、早く逢いたいので、さよならは言わない」
 背後にその言葉を聞いてそっとドアを閉めた。
 JR京都駅でも流石にこの時間にはタクシーも――昼間は長蛇の列で並んでいるのは知っていた――しばらく待たなければならないようで、タクシー乗り場の最前列に佇んで、今夜の甘く熱い愛の交歓とかいつも以上の煌めきとか感度の良さとか極上の花園の素敵なうねりなどを楽しく思い返して唇だけで笑みを刻んだ。
 午前三時のJR京都駅の様子が普段通りなのか、それともあいにくタクシーが長距離客でも乗せてたまたま出払っているだけなのか判断材料に欠けるので分からないが、ツンと澄んだ深夜の空気も甘い愛の交歓で火照った身体にはむしろ心地よかった。
 ちょうど夜勤から帰宅する時間と同じなので、病院と自宅マンション周辺の様子は祐樹にとって手に取るように分かったが、この辺りにこの時間来たことはないのでひたすらタクシーを待つことにした。
 駅の周辺には(凍死したらどうするのだろう)と思えるサラリーマンの酔っ払いが熟睡中なのと、空き缶だの週刊誌だのを拾っているホームレス風の男性の姿しかなかった。
 タクシーが来ないことも、先程の「ごっこ」遊びを兼ねた愛の交歓の熱く燃えた身体には好都合だったが。
「祐樹……」
 聞き慣れた凛とした声が甘く弾んで背後から掛けられて、夢か幻聴ではないかと思いながら振り返った。
「どうして……」
 最愛の人が愛の行為の余韻を甘く薫らせた肢体にスーツを纏って早足で近付いて来た。
「早く逢いたくて堪らなくなって、部屋に帰って驚かそうかと思ったのだが、ここで出会えて良かった」
 それは全く構わないというか、むしろ大歓迎なのだが身支度をする時間とチェックアウトをする時間が余りにも早すぎたことの方が驚きだった。
「こんなに早く逢えるとはとても嬉しいですよ。
 風邪を引いてしまっては大変です」
 酔って寝ている――ただ駅のごく近くなので暖房が来ているのだろうが――人とホームレス風の人しか周りには居ないので、それを良いことに最愛の人の肩に手を回して祐樹の体温と、そして最愛の人の愛の籠った贈り物で暖かさを分けた。
「他人に見られたら大変だな」
 心配そうな言葉とは裏腹に声は春の陽光のように弾んでいる。
「この時間ですからね……。しかも金曜日なので『酔っていた』で済みそうですよ。それにしても良くこんなに早くチェックアウトが出来ましたね」
 最愛の人は祐樹と同じ毛糸の束に包まれて極上の笑みを浮かべている。
 いくらフロント――ちなみに祐樹が通りすがった時にはマニュアルにでも有るのだろう、書類に目を落とすフリをして挨拶もなかったのは「不倫」とか「密会」の帰りだと判断された結果だろうが――に他の客が居なかったとはいえ早すぎる最愛の人のチェックアウトと身支度だった。
 ただ、甘い愛の交歓の痕――肢体中に散らばった真珠の迸りとか――を隠すためかシトラス系のコロンがいつもよりも濃く薫っていた。
「それは……チェックインの時にクレジットカードを使うと流石に名前と顔が一致してこちらの身元が分かるだろうと事前に判断したので、現金で支払うと告げたら『先払いをお願い致しております、決まりですので』と言われた。だからフロントには先に支払っていたし、大阪のホテルのような鍵ではなくてカードキーだったのも幸いした。あれは時間が来れば自動的に使えなくなるシステムだと雑誌で読んだ。だったらフロントに寄らなくても大丈夫だろうと……」
 チェックインの時は当然祐樹も居合わせなかったのでその経緯も知らなかったが、確かに前髪を下ろすとかなり印象が異なるとはいえ、クレジットカードは当然本名で登録してあるので人の顔と名前を覚えるのも仕事の一つのホテルマンならなおさらのこと身元はバレるような気がする。
「そこまで考えて下さったのですか?まあ、確かに身元はバレない方が良いでしょうね」
 二人きりの部屋で何をしていたのかは客室清掃の人間なら直ぐにピンと来る類いのものだろうし、最近はSNS使用が厳禁になったと聞いてはいるが――「有名人がホテルに来た」のような書き込みが過去に実際あったので――油断は厳禁だった。
「ただ、早く祐樹に逢いたくて逢いたくて……シャワーを浴びる時間も惜しかったし、そしてもしかしたら追いつけるかもと早足で駆けて来たので……」
 健気な言葉と共に艶やかさの混じる声が「二人の秘密」を余すところなく伝えてくれる。
「花園の門から零してしまったのですか……。まあそれはそれで二人だけが知っている秘密っぽくて良いですね。
 ただ、これ以上は零さないようにゆっくりと帰りましょうか?
 帰ったら直ぐにでも浴室に行って洗い流して差し上げます」
 その前に――多分最愛の人が喜んでくれそうな、そしてこの時間にしか出来ない愛の行為を思いついた――二人だけで行うのが勿体ないが、仕方ない行為をしようと心に決めた瞬間空車状態のタクシーが乗り場へと到着した。











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        こうやま みか拝

気分は下剋上 密会編 18(I8禁)

イメージ 1

「天国の門を英語では何と言うか聡はお分かりでしょう」
 熱く滾った先端部分を真っ紅に染まった花びらと真珠の粒で飾られた場所にただ当てているだけなのに、最愛の人が小刻みに肢体を揺するので甘く濡れた淫らな音が愛の音を奏で続けている。
「真珠の門……パルティ・ゲート」
 甘く乱れた息が束の間の怜悧さで正確な発音を紡ぐ。
「そうです。私にとっての天国に相応しい飾りですよね、今の聡の花園の入口は……。
 ゆっくり挿れますから……、繋がっていく過程をその目で見ていて下さい」
 艶やかな期待に揺れる紅色の眼差しが鏡へと向けられた。
「あっ……ゆ……祐樹のがっ……私の中に……。徐々に……挿って来て……拓かれる……感じとっ……聴覚は……いつもだがっ……視覚から入って来る……情報がっ」
 甘く溶けた声が何だか慌てている天使のようで艶やかさの中にも聖なる無垢さが滴っている。
 ただ、眼差しは夜の満開の八重桜よりも妖艶な煌めきで繋がった場所を注視していたが。
 重く濡れた音が室内を緋色に染めていく荘厳さと真珠の弾ける音が天上の荘厳な音楽よりも耳に心地いい。
「ああっ……。ゆ……祐樹っ……。胸もっ……」
 真珠の飾りを纏ってはいたものの、花園の凝った蕾を先端部分で衝くと濃い紅色の背中が強請るように緋色の弧を描く。
「純白の泡に包まれた……ルビーの尖りも……普段よりも……ツンと上を向いて……愛されるのを……待ち焦がれて……いるようです……よ?
 それに……聡の花園の……私の天国は……シルクの密着感と……ベルベットの熱いうねりの……波に攫われる……ようで……」
 二つのルビーを一際煌めかすように上下に強く揺すった。
「ああっ……。真っ紅なっ……閃光が……頭に……白く爆ぜるっ……」
 祐樹の全てをしなやかにしどけなく迎え入れた花園の動きも普段以上に熱く強くてそしてうねるような大胆さまで加えている。
「そんなに……締め付けられると……直ぐに……。本当の……天国へと……。
 ああ、しっかり……その目を開いて……最後まで……見届けて……下さい……」
 濃い紅色に染まった濡れた唇から甘い声を絶え間なく零している最愛の人は天国の悦楽に耽るためか涙の雫を纏った長い睫毛を閉じていた。
「あっ……ゆ……祐樹っ……抜かないでっ……」
 メレダイアを纏った睫毛が扇のように開かれた。ただ、滑らかな紅色の頬に涙の細い川で滴っていて、とても綺麗だったが。
「一度……真珠の……門を更に……白く染めて……いや、薔薇の赤に……ミルクが載った感じかも……知れません……。その後……一気に……奥処まで……貫きますので……」
 繋がりをいったん解くと、真紅の花弁の上に載った真珠が虚空や紅色の素肌にばら撒かれた。
 その束の間の煌めきの残光すら愛の妖精のような儚さと艶やかさで祐樹の目を射る。
「しっかりと……愛する人と……繋がって、一つに……肉体だけでなくて……魂までもが、ね……その様子を……その綺麗な瞳にも……焼き付けて……下さい」
 祐樹の方へと傾ぐ紅色の肢体が様々な愛の彩りに満ちて艶めいてはいたものの、その状態だと鏡に映らなくなる。
 華奢な肩を掴んで空中に固定してから一気に貫いた。
「ああっ……薔薇色に……煌めく……淵に……墜ちてっ……いくようでっ……」
 後ろ手に回された濃い紅色の細く長い指が縋るように祐樹の腰へと回される。
「良いですよ……一緒に……二人の……天国に……墜ちましょう……。奥処まで……挿っているのが……分かるでしょう……」
 強張った肢体なのに紅色の指が奇跡のように動いて、真珠の門と祐樹の楔を確かめるような感じで辿っているのも、そして濃艶さを増した澄んだ眼差しが鏡に映っているのも愛の妖精のあどけない蠱惑に満ちて祐樹を最高の天国へと誘ってくれる。
「ああっ……奥……熱いっ……迸りをっ……」
 濡れた紅い大理石の彫像のように強張っていた肢体が若木のように跳ねて純白のリネンの上に、それよりも白く煌めく飛沫をばら撒いている無垢な奔放さがこの上もなく愛おしい。
「愛しています……聡だけを……」
 弛緩しそうになる全身の力を手に回して、紅色の肢体を祐樹の方へと傾がせて、床に二人して墜ちた。
「物凄く……感じた……。魂が……とろとろと……溶け合うかと……思うほど。
 祐樹だけを……愛して……いる」
 荒く熱い甘い息で唇が愛の言葉を紡ぐのも健気な蠱惑に満ちている。
「この部屋では……最高の……恋人同士ですが……、外に出ると……他人ですよ……」
 ワザと突き放すようなことが言えるのも「ごっこ」遊びの醍醐味だろう。普段ならその言葉だけで蒼褪めて震える薔薇の風情になってしまうので。
 もちろんそんな酷な言葉を一生かける積もりは毛頭なかったが。
「それは……分かっている……。この部屋だけ……」
 愛の行為のピリオドを打つような甘く蕩けた接吻を交わした。
「そろそろ時間ですね……。浴室に行って……」
 ごっこ遊びのタイムリミットはもうすぐだ。祐樹が部屋を出る時間から逆算すると真珠の放埓をばら撒いた花園を洗い流す時間が来ている。
「今夜は……このままで……。ぎりぎりの時間まで、こうして繋がっていたい」
 意外な言葉に絶句してしまう。











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◇◇◇
やっと「気分は、下克上」<夏>無事完結致しました。私の都合でお休みしたり、話が長くなってしまったりで最後まで読んで下さった読者様、本当に有難う御座います。

実はこのページを最初に書くもので、昨日は本当に終わるかどうか分からなかったという……。
今後の更新ですが長年の宿題になっていた「心は闇に囚われる」の引っ越し作業が完了次第そちらをメインに書いていきたいと思っています。

そして「学会準備編」は思ったよりも長くなりそうで(いつものことですが)の更新をメインに「密会編」もと考えています。




最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
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