「あぁ……っ!ゆ……祐樹……っ、とても……っ、悦……っ!祐樹の熱い……っ飛沫が……脳を……赤いマグマのように……っ、溶かしていく……っ、ようで……っ」
紅色に染まった口から甘い断末魔の声が聞こえたのと同時に祐樹の腹部に熱い真珠の放埓が勢いよく飛び散っているのも快感と共に満足感を覚えた。
「聡、愛しています。それはそうと……。今回の聡の愛らしく艶やかな声、クリスマスカラーの赤にまつわるモノしか仰っていませんでしたが、それは意図したことなのですか?」
いつもよりも不自然な体勢は最愛の人の負担になるかと思って繋がりを解いた。
「あ……っ」
名残惜しそうな声が純白のシーツに花びらのように落ちている。
「いや、無意識だけれども……。ロビーで見た見事なブリザードフラワーのせいで、そう感じたのかも知れない、な」
真っ赤な薔薇の花弁のような花園が祐樹の退く動きのせいでチラリと覗く。薔薇の花弁に真珠が宿っているようでとても綺麗だった。そして祐樹の先端部分と満開の紅い花のような門との間につかの間の白いアーチが掛かっているのも最高過ぎる眺めだ。
「最愛の聡……、すっかり、奥処の奥で私の白い飛沫を浴びるのが癖になりましたね……」
弛緩した身体が元に戻った後に紅色の秀でた額や瞼にキスをしながらツンと尖った二つの胸のルビーにゆうるりと指で輪郭と硬さを確かめた。最愛の人は満足げな吐息を零している。
「祐樹、愛している。そうだな……。祐樹にされて悦くないことは全くないのだけれども、最も感じるのが其処になった……」
怜悧で健気な言葉を紡ぐ最愛の人の艶やかな声に聞きほれた。そして唇ではなくて紅色の細くしなやかな指に恭しく口づけをした。
「少し落ち着いたら、ロビーに降りて一際大きなクリスマスツリーを見に行きませんか?シャワーで二人が繋がった場所などを洗い流すのに時間が掛かりますよね?だったら人も疎らになっているでしょうし……。聡の『月光』は本当に素晴らしかったです……この指がとても器用なのも存じていましたし、見ただけで覚える秀逸過ぎる記憶力と身体能力なのも知っていましたが、ピアノを演奏して下さるとは思いも寄らかなったので嬉しいサプライズでした。今でも頭の中では聡が私のために演奏してくれた『月光』がエンドレスでリピートしています、よ」
しなやかな指にキスを落としながら真剣な口調で告げた。
「そうか。それはとても嬉しい……。バーの支配人だか責任者だかは知らないが関さんや他のスタッフにワガママを言って、私が演奏することを内緒にしてもらった甲斐があったな……」
薔薇色の微笑みと愛の交歓の余韻の艶めいた声は祐樹だけの独占だ。
「毎年ツリーが変わるのだな……。以前は樅ノ木にプレゼントの箱……といっても中身は入っていないだろうけれども。そういう古典的なツリーだった。しかし、真っ赤な薔薇のブリザードフラワーで飾られたツリーも素敵だ」
一階に降りてきたら案の定人気はなかった。しかし、暖炉には奇跡的(?)に火が残っていた。
「暖炉も人工の燃料ではなくて本当の薪を使ったらもっと風情が有りますよね?暖炉のような人体に危険のない火は人を安心させる効果があるようです。そういう火を貴方と一緒に見たいと思っています。ちなみに……」
最愛の人のしなやかな指に着けているダイヤモンドの指輪を手首ごと持ち上げた。
「こういう煌めきのあるモノに人間が惹かれるのは水を欲した祖先の記憶だそうですよ」
左手の薬指にキスを刹那のキスを落とした。人がいないことは気配で分かっていたので。
「またクリスマスには遅れてしまいましたが、貴方へのプレゼントとして……」
シャワーを浴びたとはいえ、愛の交歓の名残りを残す潤んだ切れ長の目を瞠っている。
「祐樹のクリスマスプレゼントか……?それは楽しみだ……。何か用意する物はないのか?」
具体的に言うのはヤボなのでヒントだけにしよう。
「防寒着が必要ですね。何でもフード付きのが良いそうです。後はマフラーを編んで頂けますか?今の流行りは単色だそうですよ。私のクリスマスプレゼントなのに貴方に負担させるのは心苦しいのですが……」
彼は朝露に濡れた大輪の紅い薔薇のような笑みを浮かべている。
「マフラーとかセーターや手袋を編むのは大好きな作業なので却って嬉しい。雪に関係があるのだろう?だったら防寒も当然必要なので、準備から楽しい。
いや、正確には祐樹とクリスマスを共に過ごせたこと、そして毎年絶対に祐樹と一緒に過ごせるという確信が有ることが更に嬉しい、な」
最愛の人がさり気なさを装って辺りを見回している。二人で並んで座っている暖炉の傍の椅子だけでは後ろを見ることが出来ない。普段、周囲に目を配るのは祐樹の役目だったので、彼が何の意図でその動作をしているのか分かってしまう。
「祐樹、心の底から愛している。生涯一緒に居て欲しい」
最愛の人の手を取って付け根まで強く絡めた瞬間に薄紅色の唇が祐樹の唇と重なった。頭の中では祐樹のための「月光」が流れていて心に沁みるキスだった。
<完>
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