「あ……っ、祐樹……っ!悦……っ」
奥処まで一気に貫くと白い枕を紅に染めるような声が聞こえた。繋がった場所からも湿った肌が奏で合う淫らな協奏曲が聞こえて堪らない。さらに祐樹が丹精込めた花園の中は妖しく貪婪な動きで祐樹をもっと奥まで引き寄せている。その強く弱く包み込む淫らなお誘いを遮るように一旦しどけなく開いた門まで退いた。
最愛の人の汗の雫を纏った紅の肢体は腰を高く掲げていて肩甲骨の窪みが一際、鮮やかだ。それに祐樹の指に二つの胸の尖りを押し付けては回すという上半身の動きも我を忘れて快楽の深淵を貪っているようなひたむきな淫らさに満ちている。両手の親指と中指で二つの尖りを強く挟んで人差し指をごく狭い先端宥めるように動かすと、紅の背筋が綺麗で健気な弧を描いている。腰を大きく振ってより奥処を目指した。
花壁の妖しく蠱惑に満ちた締め付け具合も愛の交歓の際は諸刃の刃だ。祐樹だけに誂えられた場所は気持ち良すぎるのだけれども、気を抜くと即座に真珠の放埓をばら撒いてしまいたくなるのだから。
「そろそろ……、放って良いですか……?聡の……極上の花園、とても素敵で、長く居たいのは……やまやまなのですけれども……」
盛りの付いた学生時代でもこんなに早く極めることはなかったような気がする。学生時代と言っても京都府の日本海側の田舎ではそういうお仲間を見つけることは出来なかったし、何より受験勉強で忙しかった。だから祐樹が肉体関係を持ったのは大学に入ってからだ。そんなことを考えながら必死で耐えた。最愛の人は幾らでも調べることも出来そうなのに愛の交歓について頑なに調べようともしない。祐樹が与える愛の手管だけを健気に受け入れてくれる点も大好きだ。だから早い・遅いは気にしないのは分かってはいるものの、沽券に関わるような気がしてなるべく堰を切るのを遅くしている。そんなことを考えているのも当然気を散らすためだった。
「ゆ……祐樹……っ……早く……っ、欲し……っ」
散らされるのを待ち望んだ花のような声が祐樹の愛の鞭撻の音に混じって聞こえる。尖りを愛していた右手をすっと下ろして華奢だけれどもしっかりと筋肉の付いた肢体を指で辿った後に花芯を確かめた。下腹部に付く勢いで反りかえった欲情と愛情の象徴の先端は溢れて幹に零れ落ちている様子だった。最愛の人も絶頂は近そうだと判断した。
「では……、そろそろ……」
禁を放とうと奥処の奥へと灼熱の楔を挿れた。
「あ……っ」
紅の肢体が強張るのと同時に真珠の迸りが祐樹の指をしとどに濡らしていく。その指先の熱さと共に奥処の奥に放埓を放つ解放感で身体も震える。
「祐樹……愛している」
快楽で息も絶え絶えといった感じの声が堪らなく愛おしい。
「私も……聡を愛しています」
ベッドのタオル部分に二人して倒れ込みながら睦言を交わした。
「今夜は何度も愛し合ったせいか、快感が研ぎ澄まされていて……目の前に火花が散っているようでとても良かった……」
花が咲ききったような満足そうな笑みを浮かべている最愛の人が極上の感想を紡いでくれた。
「私は、いつも極上の悦楽を聡から得ています、よ?聡が満ち足りた絶頂を迎えられたようで何よりです。先ほどはタオルで阻まれてしまったようで……すみませんでした。人によっては、ラバーをしていると快楽が鈍るからという理由であまり望まないと言う人も居ますからね。医師としては危険極まりないと諭すしかないのですが……」
腕の中にいる最愛の人の描いたように綺麗な眉が悲し気に顰められたのを見て慌てて言葉を続けた。
「私だって今後、聡以外の人と性行為をする積もりは毛頭ないですけれども、以前はラバーなしなど絶対にしませんでした。二人の初めての夜は突発的に訪れましたよね?だから当然持ち合わせがなかったのですが、その時の快楽が忘れられずにずっと愛の交歓はラバーなしでしています。聡はラバーなしでの行為は初めてでしたし、その上病気はお互いに検査を受けているので大丈夫ですが、聡の身体に対しての負担が懸念事項ですけれども……」
眉が花のように開いている。
「大阪のリッツカールトンで祐樹に初めて抱かれた時は天に昇るほど嬉しかった、な。それに特に負担が掛かっていると思ったことはないし……。祐樹だって、救急救命室から深夜三時に帰宅してくれるだろう?仮眠室で眠った方が30分以上余計に眠れるのに……。個人的には嬉しいけれども……」
最愛の人の秀でた額に張り付いている前髪を後ろに掻き上げながら笑みを浮かべた。
「聡の顔や気配がある方が良く眠れますし、それに一緒に過ごす時間は宝石のように貴重ですので。それに聡の作って下さる朝ごはんを食べないと身体に悪い気がします。全部好きでしていることなので大丈夫ですよ……」
最愛の人は安堵したような笑みを浮かべている。そして祐樹の手を握ってくれた。
「そうか。だったら今のままで良いのだな。完全プライベートなデートも私にとって稀有な宝石のような時間だけれども、心臓外科学会で行先が決まらない旅行もこうして二人して来ることが出来るのだからどちらも捨てがたいな……」
紅に染まった唇が甘い言葉を紡いでくれた。
「そうですね。これからもずっと一緒に学会に参りましょうね。もちろん二人で行先を決めるデートも」
誓いのキスを交わした。
<完>
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読者様はいかがお過ごしでしょうか?最後まで読んでくださって有難うございます。私は家事と仕事で毎日バタバタしています。一話も更新出来ない日もあるかと思いますが、そんな時には「忙しいのかな」と思って頂ければ嬉しいです。
「仙台デート」やっと<完>が打てたのでロンドン編再開します。しますが、色々宿題の多い身ですので気長にお待ちいただければ幸いです。
こうやま みか拝
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