政略結婚でも愛情が生まれることもあるだろうが、稀なような気がする。お互いを熱烈に愛し合う二人の関係は革命前のフランスの場合、愛人と呼ぶ方がしっくり来るような気がした。ヨーロッパの王族の肖像画が多数残っている理由も相手側に「こういう容姿ですよ」と画家に美化して描かせたモノを送ったと国際公開手術のレセプション会場で無知を曝け出さないために読んだ本に書いてあった。結婚式まで顔も合わせないのが普通だとも。
祐樹の指で尖りを愛撫されて艶やかな濡れた声を上げている最愛の人の容姿は初めて会った時に恋に落ちるほど祐樹の好みだった。彼は学生の頃から祐樹を好きになってくれていたと恋人になって初めて知ったのだが。ともかく容姿と性格をある程度知ってから正式なお付き合いを始めたので政略結婚とは真逆だろう。
「密会というよりも逢引き……っ、だろうな……っ」
祐樹がルビーの尖りを強く弾くと、声がより高くより濡れた艶めきを帯びているのも愛の行為の中休みという感じだった。
「少なくとも……っ、ベルサイユ宮殿で……っ暮らす……貴族達は……っ同性同士より……も……っ、夫婦間では……っ、なくて……っ、愛人との……っ、子供を……っ妊娠して、そして産む……っ方が、よほど……っ嘲笑の……的に、なっていたらしい……っ」
固く尖った二つのルビーの感触が気持ち良くてずっと手で、そして唇で愛していたい。最愛の人も祐樹の屹立を口で二回も愛してくれたのはきっと祐樹と同じ気持ちだったのだろう。
「え?しかし、遺伝学を誕生させたのはメンデルですよね?彼は1865年に論文を発表したと記憶しています。フランス革命以後ですよね……?まあ、顔が似ているとかそういうことは経験則で知っていたと思いますが……。日本でも千年前に書かれた『源氏物語』でも光源氏と父帝の妃だった藤壺女御が密通して出来た子供を不義の子とバレないかと悩んでいましたから。しかし、光源氏の母と藤壺女御は顔が似ているという理由で帝に寵愛されていましたし、帝の血を引く光源氏も父の遺伝が半分有りますよね。だから似ていても全くおかしくないのに、何故そんなにうじうじと悩むのか高校の時に理解に苦しみましたよ……」
メンデルの法則を習ったのは中学生の頃で「源氏物語」を女々しい光源氏にイライラして読んだのが高校生の頃だ。最愛の人ほど秀逸な記憶力は持ち合わせていないが、最も知識を吸収出来てしかも忘れない時期に知ったことは今でもくっきりと覚えている。
「フランス人は……っ、金髪碧眼の……っ人も居れば……っ、黒髪に黒い目の……っ人も……っ。メンデルの法則の……っで……優劣の法則……っが有るだろう……っ?金髪も碧眼も……っ」
濡れた声が精緻な音楽のように響いている。
「ああ、金髪も碧眼も劣性遺伝子ですよね。夫婦が共に金髪碧眼だった場合、黒い髪と瞳を持った赤ん坊が産まれたら、当時の『常識』では怪しまれるどころか不義の子決定ですよね。こうして……」
尖りを爪で弾いていた手を下半身へと艶めく素肌の感触を楽しみつつ動かした。最愛の人の蠱惑的な煌めきを放っている尖りはとても敏感だ。だから敢えて素肌に触れないようにしていた花芯が再び育っているのを手でツンと突いた。
「あ……っ、ゆ……っ祐樹、とても悦……っ」
水晶の雫を溢している先端を丸く撫でた。指の動きに淫らな水音が混ざっているのも、そして祐樹の愛撫を強請るかのように腰が動いているのも至福の眺めだ。このまま愛の交歓に雪崩れ込みたい気は満々だったが、最愛の人が二回も口で愛してくれたお返しに祐樹の自制心の箍が外れるまでは時間を掛けて愛したい。「グレイス」で聞きかじった言葉が脳裏を過る。「愛欲という料理は冷めるほど美味だ」と。誰が言ったのか覚えていないし、真偽のほどは定かでないのだが。「冷める」というのは時間がある程度経過した後というほどの意味だろう。
「こうして同性同士で愛し合うよりも、金髪碧眼の両親から黒髪で黒い目を持った赤ん坊が産まれた方が醜聞だったわけなのですね。現在では劣性同士でも稀に優生遺伝子を持った子が産まれるというレポートを読んだ覚えがありますが、そこまでの知識は流石に持っていなかったでしょうね……。ちなみに、金髪の夫ではなくて黒髪の愛人の子だと分かった場合はどうしたのですか?社交界デビューなどは不可能ですよね?」
純白のシーツの海を紅色の魚が跳ねるような風情で水晶の雫を溢れさせた花芯が祐樹の指に擦り付けられる。もしかして「積極的」と言った祐樹の言葉を忠実に守ってくれているのだろうか。そうだとしたら祐樹の指や掌に腰を擦り付ける動きはひたむきな愛情が添った動作だ。そう思うと狂おしい愛おしさで胸がいっぱいになる。
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ロンドン編 離宮デートの後
慌てている天使のような風情で最愛の人も祐樹の括れをやや冷たい唇で挟んで舌全体を使って舐めてくれた。祐樹の屹立した楔の熱に唇の感触が心地よい。何だか同じ愛の動作をしていると、自分のモノを自らが口淫しているような錯覚を覚えて脳が焼ききれそうなほど良い。物理的には不可能だと分かっているけれども。多分最愛の人も同じように思って高揚しているのか、二人ともすっかり勃ち上がった欲情の象徴から水晶の雫が滴り落ちてロウソクの灯りを反射しているのも蠱惑的だ。
口の位置を変えて横笛を吹くように花芯の根元から先端部分まで唇で挟んで動かすと彼も祐樹に倣った愛の仕草で返してくれた。熱い嬌声が鼓膜と滾り切ったモノの両方に天国にいるような心地良さをもたらしてくれる。祐樹も思わず声が出そうになっていて、その声を呼吸に変換して育ち切った花芯へと吹きかけたら更に大きさが増した。口の中に挿れて先端を上顎で擦ると、最愛の人が先ほど言っていた通りの悦楽を感じた。そして彼も同じようにしてくれているので、先端部分がざらついた上顎に当たって物凄く良い。そして重さは腕で散らしているとはいえ最愛の人の艶やかな肢体の上に乗っているので、硬く尖った二つの粒が素肌に当たっているのも良い。ただ、最愛の人がしてくれているように喉を開いて熟れ切った花芯を飲み込む愛技まで祐樹は不可能だ。そのお詫び代わりに二つの熟した果実を手に取って揉みしだいた。律儀な人は祐樹の手の動きに合わせて同じようにしてくれる。二人の愛情と欲情の象徴からあふれ出た水晶の雫と唇が奏でる湿った淫らな水音がカーテン状の布で区切られた「密室」の温度と湿度を上げていく。
「ゆ……っ、祐樹……そろそろ……っ」
切羽詰まったような熱い喘ぎと、そしてより育った花芯が限界を訴えている。
「私も、です……。真珠の放埓をばら撒くのは口の中が良いですか?それとも……」
祐樹は一回目だが、彼は二度目だ。決して美味とは言えない白濁を続けて飲ませるのも気が引けた。
「顔で……っ、祐樹の熱を……っ感じたい……っ」
清冽な声が淫らな言葉を紡ぐのも悦楽の速度を加速させることに彼は気付いているだろうか。いや全てが自然体な最愛の人は無自覚に違いない。
「祐樹は……っ、飲まなくて……っ、良いので……っ」
切羽詰まった天使が焦っているような声も素敵だなと思った瞬間に堰が切れそうになった。口の中から急いで退いて思いの丈を最愛の人の顔に注いだ。
「あ……っ、顔も……っ悦……っ」
最愛の人は祐樹の口戯の拙さからか、まだ余裕が有るようで、汗の雫を纏った肢体をしなやかに動かしている。必然的に祐樹の唇から抜けた花芯は今にも弾けそうだ。二つの果実としどけなく開いた花園の門の間にある箇所を繊細に愛すると紅色の肢体が若木のように撓ってごく小さな穴から真珠の迸りを放っているのだろう。その数秒の白い噴水もとても綺麗だった。弛緩した身体を必死で動かして最愛の人と寄り添って横たわった。
「愛する聡の口戯は絶品ですよね。とても感じました」
紅色に染まった白皙の顔に真珠の雫が飛び散っていて、ロウソクの灯りを受けてオレンジがかったオパールのようで無垢な淫らさを強調している。
「祐樹も、とても悦かった……」
言葉を紡ぐ紅色の唇にも真珠の小粒が宿っていて艶やかな色香を放っている。
「食事の時に祐樹が……フランス風で良かったと言っていただろう?このベルサイユ宮殿の貴族の寝室にありそうな天蓋付きのベッドとロウソクの灯りで、何と言うか……、禁断の密会をするフランス貴族のような気分になった」
フレンチでメインの料理の前に供される口直しのシャーベットのような会話に相応しい話題だ。
「え?その当時、こういった同性同士の関係は禁忌ではなかったのですか?」
ロウソクのオレンジ色の灯りに映える二つのルビー全体を弱い力で転がす。
「あ……っ、祐樹……っ!悦……っ」
紅色の唇が悦楽の言葉を紡いでいる。こういう彼を見ることが許されているのは祐樹だけで、その眩暈がしそうな幸福を味わった。しかも怜悧で端整な顔には祐樹が放った真珠の雫が滴り落ちている艶やかさも最高に綺麗でそして淫らだ。
「えと、当時の……キリスト教では……当然同性愛は……禁止されていたけれども……している人はしていた……らしい……な……。公然の秘密と……いう感じだった」
祐樹がルビーの尖りを強く摘まむと声が高くなる。といっても、最愛の人の愛の交歓の最中の喘ぎ声は祐樹の知る限り最も慎ましくて可憐だが。
「結婚は……勿論……政略結婚が主流で……夫婦それぞれが……愛人を作っていることも……珍しくなかった……そうだ。『夫婦の語らいの部屋』とは別に、それぞれが……寝室を……持って、いたとか」
砂糖菓子のような甘い声で告げられる言葉は途中休憩に似つかわしい。
「そうなのですね。それでしたら、この部屋は密会の部屋といった感じでしょうか……?」
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薄紅色に染まった手で瑞々しい双丘を開いて花園へと指をゆっくりと挿れている。二本の紅に染まった細い指が自らを慰めているような感じで抜き差しをしているのも良い意味で意外過ぎる眺めだった。最愛の人は祐樹が居ないと劣情を催さない人なのは知っている。だから自慰もしないという極めて稀な人だ。ま、祐樹は欲情すると彼が居るので自分でする必要がないのも確かだが。
最愛の人が極上の花園が感じやすいのも事実だけれども、祐樹が椅子に座って彼が絨毯の上に跪いて屹立を美味しそうに口で奉仕してくれるというこの愛の営みの形ではもっと敏感な胸の二つの尖りを指で弄っても祐樹には見えないと判断したからではないだろうか?「積極的」という言葉を重視してくれる余りに指を花園の中に自ら挿れるという行為をして祐樹の目をも愉しませてくれているような気がする。多少の欲求は有ったにせよ。最愛の人の顔の上下に従って無垢で淫らな水音が奏でられる。そして勿論物凄い愉悦をもたらしてくれて即座に必死で堰き止めている堰が弾けそうだった。
祐樹の滾りが一段と大きくなったのを喉で感じたのか、誘うように腰が高く掲げられて三本の指が大きく大胆に動いているのも聖なる淫らさに溢れている。
「聡の……口戯……いつも以上に……良くて、そろそろ……」
瞳を閉じて一心に耽っていた彼が濡れて艶めいた眼差しで祐樹を見上げている、「分かった」と。一際大きく頭を祐樹の方へと濡れた音をさせて近づけた瞬間に臨界点を越えた。思いっきり最愛の人の喉の奥へと真珠の雫をばら撒く絶頂はいつもよりも長かったような気がする。最愛の人はうっとりとした表情を浮かべてその放埓を嚥下してくれた、決して美味なモノではないハズなのに……。呼吸を整えた後に口戯でより濃さを増した唇を指で労わるように辿った。
「絶品でした……。次は聡の指が挿っている花園を愛しましょうか?」
最愛の人は紅の瑞々しい色香に染まった顔を横に振っている。
「祐樹のこの熱く硬いモノをもっと愛したい、口で……そして、喉でも……」
健気な淫らさに満ちた一途な声だ。
「良いのですか?それは『積極的』過ぎるかと思いますが。何だか、私一人が気持ち良くなっているようで気が引けるのですけれども……」
すらりと立ち上がった最愛の人の素肌は先ほどよりも色香が濃くなっている。桜色の尖りをもう片方と同じ色にするべく指で摘まんで強く捻った。
「あ……っ……、祐樹……っ……とても……悦……っ。もう片方も……同じように……っ……、強く触れて……っ欲し……っ」
二つのツンと尖った慎ましい箇所を指で摘まんで強く引っ張りながら捻った。
「ゆ……っ、祐樹……、今のような……強い快楽では……っ、ないけれども……口の中も……っ……それなりに……感じるので……。それに……あ……っ」
爪で尖りを強く弾くと薄紅色の上半身がしなやかに反って愛撫を強請るように祐樹の方に突き出してくるのも最高の眺めだ。
「昨夜聡が使ったベッドで愛し合いましょう。先に向かって下さい」
不承不承といった感じで頷く人の薔薇色の頬に宥めるキスを贈った。きっと手を繋いで寝室に行きたいと思っているだろうから。若干細いしなやかな薄紅色の肢体から努力して視線を外した、見入らずにはいられない肢体だったので。最愛の人の舌戯よりは劣ると自覚しているので小道具が必要だろう。先ほど食事をしたリビングルームに戻ってキャンドルスタンドを手に取った。スーツを脱ぎ散らかして寝室のドアをノックして開けて蝋を零さないように注意して室内を裸足で歩んだ。
「祐樹……待っていた」
最愛の人は純白のシーツの上に薄紅色の肢体を横たわらせていた。
「これをベッドサイドのテーブルに置いてください」
ロウソクの灯りで見る彼の姿はより一層の艶やかな色香を放っている、むせかえるような。
「分かった……」
その声も無垢でいて滴るような蠱惑に満ちている。天蓋付きのベッドのカーテン状のモノの下ろし方は知らなかったが勘を頼りに手を動かすと本当に二人だけの密室という感じになる。しかも最愛の人の愛の交歓を期待している艶やかな顔やルビーの煌めきを放っている二つの尖りはロウソクの灯りの揺れで普段以上の壮絶な色香を放っている。
「ベルサイユ宮殿に住まう貴族は、きっとこうして愛し合ったのでしょうね……。聡が黄金もロウソクの灯りで見たら派手さがなくなると教えて下さいましたが、貴方の艶やかで色っぽい肢体はいつも以上に綺麗で……そそられます。その証拠に、ほら……もう、こんなです……」
彼の細く長い指を手で促して再び勃ち上がったモノに触れさせた。
「聡、お互いがお互いの口で愛し合いましょう」
彼のしなやかな肢体の上に乗って先ほどの刺激で半ば育った花芯の括れを唇で挟んで舌全体を使って先端部分を揺らせたら花芯が育っていく。
「あ……っ……」
一際熱を帯びた艶やかで小さい声がロウソクの灯りに溶けていくようだった。
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厚手のバスローブから匂い立つような素肌が見えている。身じろぎしたせいで露出度がわずかに上がって鎖骨の窪みが健康的な色香をふんだんに振りまいていた。その後もシャンパンやワイン以外は祐樹のナイフやフォークで最愛の人の唇へと運んで、最愛の人も祐樹に食べさせてくれた。
「ご馳走様でした。積極的なお祝い有難うございます」
指を付け根まで絡めてキスを交わした。ワインの香りと味がする深いキスに酩酊するような気分だ。
「とても美味しかったな。ただ、お祝いの本番はこれからだろう?」
艶やかな眼差しが祐樹を意味ありげに見ている。
「そうですね。こちらへいらしてください」
若干華奢な手首を柔らかく掴んでリビングルームから寝室に移動しようとした。
「祐樹……、少し待っていて欲しい。このままだと百合の花が可哀想なので……」
テーブルの上に置かれていた花束を抱えた最愛の人はボトルの入っていないワインクーラーにラッピングを器用に解いた花を活けている。そういう細かな心遣いをする彼も大好きだ。先ほどまで一緒に眠っていた寝室でも良かったが、このホテルに着いた日の晩に最愛の人が使ったエリアへと向かった。バスローブの紐を解くと薄紅色の素肌が艶やかな光を纏っているようでとても綺麗だった。そして未だ桜色の小さな尖りが可憐過ぎて指で愛さずにいられない。ごく狭い面積を繋いでいない方の指で摘まんでキュッと捻った。
「あ……っ、祐樹……っ」
薄紅色の唇が婀娜めいた声を紡いでいるのも、祐樹が摘まんでいる尖りが濃い紅色に染まっていて、もう片方は桜色をしているというアンバランスさも最高の気分だった。
「ゆ……っ、祐樹……。積極的な……お祝いをしたい。これだと、普段の愛の行為になってしまう」
愛らしさと律儀さに劣情が煽られていく。
「それは確かにその通りですね。お祝いらしく特別なコトですか……。聡の口戯は絶品ですから、まずは口で愛して下さいませんか?」
目についた安楽椅子に座った。
「そんなことで良いのか?」
最愛の人の濡れた眼差しが不審そうに煌めいている。最愛の人の極上の花園の良さは言うまでもないが、口淫も祐樹が知る限り最も上手い。といっても最愛の人がしてくれるその行為が下手だったとしてもその愛情だけで充分嬉しいのだけれども。
「はい。充分過ぎるほどですよ……」
取って置きの低い声で唆すように告げた。
「愛する祐樹、本当におめでとう」
安楽椅子に座った祐樹にキスを仕掛けてきた最愛の人は既に恍惚とした眼差しを浮かべている。舌を絡ませて強く吸うとしなやかな肢体が反ってバスローブが素肌から滑り落ちていく音が微かに聞こえる。
「口戯の最中は羽織って頂いても構わないですよ?」
薄紅色に染まった首を優雅に横に振っている。祐樹はスーツ姿で今は何処も乱れていない。それに反して最愛の人は色香のみを纏った肢体だ。その落差に眩暈がしそうなほど感じた。そしてその快感で祐樹の屹立もみるみるうちに勃ち上がっているのを自覚した。
「手を使った方が良いのか?それとも口で素肌を露わにした方が……?」
怜悧な声に淫らさが混じっていて最高にそそる。
「出来れば、で良いですので口でお願いします。無理だったらその細く長い指を使って下さっても構わないですよ……」
嬉々としたという感じで跪いた彼は祐樹のスラックスのジッパーを歯で噛んで下ろしている。通常時でも難易度が高いハズなのに、今はすっかり勃ち上がっている状態だが難なく下ろしてくれた。当然祐樹の状態を分かっている最愛の人は急いたような感じで唇と歯を使って布から祐樹の屹立を文字通り解放してくれた。そして紅色の頬を愛おしそうにソコに当てて上下に動かしてくれた。先端から滲み出た先走りの雫が薄紅色の肌に宿って淫らでそして清らかな光を放っている。括れの部分をサーモンピンクの舌で辿られると更に愛情と欲情の象徴が育ってしまった。彼の髪を優しく掴んで先を促した。その意を汲んでくれたのか最愛の人は祐樹の屹立を唇で挟んだ後に一気に喉の奥まで飲み込んだ。
「聡の極上の花園は濡れた厚いシルクの感触で包み込んでくださいますが、喉を開いて締め付けるのも堪らなく良いです……。先端を上顎のざらついた場所で擦って下さいませんか……」
先ほどよりも艶やかさを増した眼差しが祐樹を上目遣いに見ているのも最高だ。顔を大胆に動かして先端部分を刺激してくれるのも堪らない。肝心な場所だけを露出した祐樹と、素肌を全て曝け出した最愛の人というのは、この部屋の荘厳な雰囲気も相俟ってお貴族様とその使用人兼愛人という風情だ。そういう背徳感も快感へとすり替わっていく。
「聡、とても気持ちが良いです。やはり貴方の口戯は絶品ですね……。聡の手が空いていますので、お好きな場所を弄って下さって構わないです、よ?」
最愛の人は特に胸の尖りが感じやすいのは熟知していた。だから其処に細い指を這わすのかと思っていたら、意外な所に両手を当てていて目を瞠ってしまった。
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「キャンドルの炎がとても綺麗だな」
腕に抱えた大輪の百合の花束よりも綺麗な笑みを浮かべた最愛の人がため息混じりに言ってくれた。
「どうぞ」
立ち上がって椅子を引いた。彼の昨夜の体調不良がまだ続いているのではないかと案じていたので、早く座って欲しい。
「いや、その前に、祐樹へのお祝いとしてシャンパンのコルクを抜きたい」
晴れやかで怜悧な声が遮光カーテンを下ろしたリビングルームに泡のように弾けている。どうやら祐樹の心配は杞憂だったようだ。ワインクーラーに入っていた紅色のボトルをしなやかに手に取っている。フルートグラスを彼の前に置いた。
ポンという音と共に「祐樹、本当におめでとう!絶対に成功すると思っていたけれども、実現した時の喜びはまた格別だな」
フルートグラスにシャンパンを注いでくれた。細かな白い泡が薄紅色のシャンパンから立ち上っているのもお祝いに相応しい感じだった。
「有難うございます!貴方と肩を並べる外科医になりたいという夢が一歩前進しました」
細く長い指に精緻なデザインのフルートグラスが良く似合っている。そして薄紅色のシャンパンがその指に映えてとても綺麗だった。
「一歩どころか、既に肩を並べているような気がする。少なくとも国際公開手術を動画で見た外科医達が祝福のためにあんなに集まってくれただろう?ああいう反応は今までに一回もなかったと主催者側に聞いた。それに……」
二つのフルートグラスを合わせると精緻な音を奏でている。
「乾杯!」
意図せずして二人の声が一つになったのを二人視線を絡めて笑いあった。花のような唇が開いてシャンパンを美味しそうに呑んでいる。
「このホテルがフランス風で良かったですね。イギリスの料理も意外と美味しかったですが、お祝いの食事向きでないと個人的に考えています。やはりこういう席にはフランス料理が最も相応しいと思いますので……」
ルームサービスの係が運んできたテーブルには向かい合って料理を食べる用意がしてあったが、祐樹は敢えて隣り合って食事が出来るように配置を替えた。ロウソクの炎がキリリと冷えたシャンパンに幻想的な灯りを落としている。
「『それに』何ですか?」
最愛の人は今朝起きてから何も口にしていない。アルコールだけ胃に入れると昨夜服用した抗鬱剤にどんな影響を及ぼすか祐樹には分からない。とっくに薬効は切れているかも知れないが。前菜は、二人の第二の愛の巣とも言うべき大阪のフランス料理店と同様に小ぶりのお菓子のような感じだった。もしかしたら本場フランスの流行なのかも知れないが、確かめるほどのことではなかった。三つ有る一つを手で持って最愛の人の唇に近づけた。切れ長の目が嬉しそうに煌めいて祐樹を見ていて視線を絡めたまま口に入れた。
「とても美味しい。祐樹もきっと気に入る味だと思う」
普段以上に鮮やかな笑顔を浮かべている。
「出来れば食べさせてください」
これほど生気に満ちた表情なのだから昨夜の症状は快癒したのだろう、多分。くすぐったそうな笑みを浮かべた最愛の人は祐樹の前から前菜を白く長い指で摘まんで鮮やかな仕草で祐樹の口に運んでくれた。歯で噛むとキャビアの塩味とコクが口の中に広がっていく。
「先ほどの話の続きなのだが、日本の心臓外科学会で国際公開手術の成功術者は祐樹と私の二人だけだろう?日本という狭い括りの中限定だけれども、充分肩を並べる外科医になっていると思う」
怜悧だが熱の籠った声が祐樹の鼓膜をも酔わせてくれるようだった。
「それはそうなのですが、リカバリー医のアッシュベリー先生などを見ているとまだまだ上が居るなと実感しました。貴方の背中を必死で追いかけて来た積もりだったのですが、まだまだ道は長いのだとしみじみ思いましたよ」
隣に座った最愛の人は祐樹の目と胸のバッヂを交互に見ている、とても嬉しそうに。
「手技を磨く必要は誰にだってあるだろう。アッシュベリー先生も『自信は半分くらいで、後は己の恐怖心に打ち勝つように自己暗示を掛けている』と言っていた。ただ、今だけは漠然とした将来の不安ではなくて、昨日の見事な手技のお祝いをしたい、な……」
薔薇色の笑みを浮かべる最愛の人の言うことも尤もだ。「了解」の代わりに二つ目の前菜を薄紅色の唇へと運んだ。
「祐樹、お返しだ」
弾んだ声と共に白魚のようにしなやかな指が祐樹の唇に触れた。前菜を舌で受け取った後に余りの吸引力のせいで指も舌で辿った。
「あ……っ」
微かな声が漏れてキャンドルの灯りに煌めきを添える。
「貴方の指もとても美味しいですよ……」
籠に掛かっていた布を取り除くとホカホカと湯気が立っているパンが数種類綺麗に並べられていた。
「バターはいつもの量で良いですか?」
シャンパンを呑んでいる彼に聞いてみた。
「後でソースを絡めて食べる積もりなのでバターは少なめでお願いする」
確かに黄金に似たソースが掛かった肉料理もとても美味しそうだった。それに肉だけを絡めても食べきれないに違いない。
「では、この岩塩を大目にしますね」
適当な大きさに千切って薄紅色の唇に運んだ。最愛の人が極上の笑みを浮かべてパンを食べた後、身を乗り出してパンの籠に指を伸ばしている。その肢体にドキリとした。
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