「それは分かったよ。引き受けたからにはキチンとする。
 今も、聴衆を惹きつける選挙カーの上での話し方を勉強しようしてさ、映画を参考にしようとしていて……。
 どうせなら二人で観たいんで、そのために駄菓子とか飲み物とかを買いに来ている途中なんだ。
 取り敢えず委任状の件とかお墓の件は話しておくよ」
 普段は買わない1・5ミリリットルのコーラの圧が腕に掛かり続けている。
 二人でも多分最後まで飲めないだろうが多少は炭酸が抜けた状態でも救急救命室に持って行けばきっと久米先生辺りが喜んで飲んでくれそうなのでその点は気にしない。
 というか、自宅で映画館の気分を味わうためには大ぶりのグラスに注いだコーラと温かいポップコーン――最近はキャラメル味とかもあるらしいが、祐樹が映画館に行っていた時は田舎だからか塩味しかなかったので「弾けるポップコーン」と題した手作り(?)のを入手済みだった――それを焼いてポップコーンにしてお皿に積み上げれば映画館気分が多少なりとも味わえるような気がした。
「それはそれは……。相変わらず仲が良くて安心したわ。祐樹が聡さんに愛想を尽かされないように頑張ってちょうだいね。
 じゃ、また聡さんの返事を聞かせてね。『嫌なら嫌ってハッキリ言ってね』とちゃんと念を押しておいてね。じゃ、また連絡するわね」
 祐樹が切りたそうにしているのが分かったのだろう、母は上機嫌で電話を終えてくれた。
 市役所が認めるカップルというかパートナー制度よりも昔ながらのお墓に入る方が喜んで貰えそうな気もしながら最愛の人のマンションへと戻った。
 愛想尽かしとか不吉なことを言っていたが、母親の直感で祐樹が最愛の人と付き合っているせいで真っ当な人間(?)になっていることが分かったのだろうなと苦く笑ってしまう。
 最愛の人と巡り合わなかったら祐樹は世をすねたというか斜に構えた人間になっていただろうことは想像に難くない。
 ただ、最愛の人も祐樹と同じ分量の愛情を持っていることは分かっていたので、まさか愛想尽かしをされることはないだろうが。
 ただ、基本的には悲観論者の最愛の人だけに、祐樹が愛情という名の水を与え続けなければ枯れてしまう可能性は充分にあった。
 その点を母も心配しているのかもと思いながら広壮なマンションのエントランスにキーをかざした。
 この辺りは――まぁ大学病院の関係者用の入り口周辺限定で24時間人の行き来は有るし、特に救急救命室の救急車専用の駐車場に続く車道はサイレンの音が空気を切り裂くように鳴っている時も存在するが――特に最愛の人のマンションに続く道路は閑静な雰囲気だった。
 多分だが、高級マンションを建てるに当たって病院の喧騒も計算に入れているに違いない。
 ただ、空間を贅沢に使っている上に――今は受付嬢の居ない時間だが――マンションの玄関も広大な面積だった。こちらも外の喧噪を取り除く工夫なのだろう。
 正直、コンビニの袋を持って歩くには少々気が引ける感じだった。多分、このマンションの住人はコンビニよりも百貨店とか高級スーパーしか利用しないのだろう。まあ、他人の目を気にして住む気はないし、実際隣の住人と顔を合わせたのも二度くらいだった上に何をしている人なのかなども知らない。
 まあ、祐樹が学生時代から住んでいたマンションというかアパートに毛が生えた程度の部屋なら隣から生活音も聞こえて来たし、多分学生が住んでいるんだろうな……程度のこと分かったが、このマンションは防音もセキュリティも完璧だったせいもあるのだろうが。
 お墓の話とか戸籍の話はどのタイミングで切り出そうかと楽しく考えながらエレベーターに乗った。
 もう直ぐ最愛の人と逢えるのかと思うと――といってもコンビニに買い出しに行くために部屋を後にしただけだが――コーラのペットボトルも気のせいかも知れないが軽くなっているようだった。
 鍵は当然持っていたが、敢えてチャイムを押した。
 まあ、室内のカメラで確認しなくとも祐樹だと分かってくれるだろう。この時間に訪ねて来るような真似は「あの」森技官もしないだろうが、呉先生が森技官と口喧嘩でもして「自分の家」を「実家に帰らせてもらいます!」的なノリで駆け込んで来る可能性はあったが、そういう場合はマンションの外側の部屋番号のキーボードを押して中から開錠する仕組みなだけに、最愛の人の部屋のチャイムだけ押すという人間は祐樹しか存在しないので。
「祐樹……お帰り」
 最愛の人が玄関まで出迎えてくれた。習慣になってしまっているお帰りのキスを済ませた最愛の人の薄紅色の唇と切れ長な眼差しが不思議そうな感じに煌めいている。
 それも当然かもしれないが。コーラの大きなペットボトル、いや普段のデートとかで自販機に寄っても祐樹はコーヒー、最愛の人は紅茶を選ぶのが習慣になっている。
「映画館にはもちろんウーロン茶とか他のドリンクも売ってはいますが、最も売れているのはコーラらしいです。マクドナル〇のように紙だかプラスティックかは知りませんが、ああいう容器ですが、マクドのLサイズよりも大きかったと思います。
 そしてポップコーンもバケツのように大きな容器に入って売っていますよ?
 コンビニにはあいにく普通の大きさの紙コップしか売っていなかったので、そちらは諦めましたが、大ぶりのグラスで妥協しましょう」
 感心したような表情に薔薇色の笑みを浮かべた最愛の人は加熱しないとポップコーンにならないちゃちなフライパンのような容器(?)を珍しそうに見ていた。
「こういう物が有るのか……。ほら、六甲山にドライブデートした時にコンビニに行ったが、その時は駄菓子コーナーしか見ていなかったから知らなかったな……。
 ただ、ポップコーンを作るのも楽しそうだ……」
 一応「作り方」が書いてあるのでそれを読みながら薄紅色の笑みを綻ばしているのも瑞々しくてとても綺麗だった。
 祐樹の母の提案は映画の後にしようと決意した。今は軽やかな雰囲気のまま映画を観る方が良いだろう。
 弾んだ笑みとか表情をしばらくは楽しみたかったので。




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円がお安くなっていますね~!安倍首相の後任が誰かで相場が動くので目が離せません。多分買い市場だと思うのですが。。。













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最後まで読んで下さいまして誠に有難う御座います!

心身共に疲れている上に、岡山の親戚からひっきりなしに電話があって……。
その対応は仕事よりも百倍以上疲れます(´;ω;`)


お蔭で皮膚病までが悪化する始末でして。。。

そんなわけで、更新時間はマチマチ、しかも三話更新は(運が良ければしますが)ほぼ絶望的ですが、なにとぞご容赦下されば幸いです。

    こうやま みか 拝






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