「古式ゆかしい『初夜』――まあ、私の大学入試の時の記憶なのですっかりうろ覚えなのですが、貞操観念というか初夜で初めて身体を開くというのは江戸時代からで……しかも、武士階級程度だったらしいですね。
平安時代などは密通し放題でしたし、何も知らない姫君を侍女が手引きして貴公子を部屋に招き入れたとかそういう話をたくさん読まされました。
随分と残酷だなと思って読んでいましたよ……。
江戸時代の武士階級くらいしか『初夜』が本当の意味での初めてではないという認識で合っていますか……」
質問の体裁を繕ってはいるが、実はベッドの上の言葉の戯れだった。
そして次のステージに進むための序曲でもあったが。
「合っていると思う。それに日本人の貞操観念は明治以降の西洋を見習ってという側面もあったようだが……」
ルビーよりも紅くて蠱惑的に煌めく尖りを祐樹が舌で清めた赤い薔薇の花びらでツンとつつく。
「あっ……」
当然ながら薔薇の花びらの硬度はないに等しいので、それほどの刺激にはならないが、ルビーの煌めく赤とベルベットのような深紅の赤の対比がとても綺麗だった。
「この愛らしくて慎ましい尖りをもっと強く弾くと、聡の極上の花園の浅い場所が硬度を増すのも存じていますが……、熱くて厚い濡れたシルクの内壁も妖しく動いて下さいますよね?私を愛らしく求めて下さって……」
紅く染まった滑らかな首筋が縦に振られるのも物凄く綺麗だった。
純白のシーツの上だったので尚更に花が咲いたような優美さを添えている。
「孔雀の羽根ですが――多くの人が孔雀と聞いて思い浮かべるのは羽根で円を描いた姿ですよね?聡もですか……?」
胸の尖りを花びらで微かに愛しながら確認のために聞いてみた。
「ああ、そうだな……角度が何度なのか正確には知らないが、扇以上に開いた……そして体の何倍も面積だけはありそうな綺麗な姿を写真とかで見た覚えは有るが……」
胸の尖りを薔薇の花びらで微細に辿られて気持ちよさそうな、そして先ほどまでの愛の交歓の残り香のような妖艶な笑みを浮かべて唇が花開いている。
「最も信じられている学説では、あれは求愛のために広げるらしいですよ?
普段はあんな大きな羽根は邪魔でしかないので折りたたんでいるそうです。
求愛、つまりは交尾ですが……、そのお誘いに羽根を広げるらしいですね。
お気に召した個体を見つけたら……。
孔雀の羽根の使い方なのですが……聡の花園の蠱惑的な動きが分かるように芯のところだけ挿れて、羽根と連動させた花園の極上の動きを視覚的に見るという愉しみ方も有りますね……。
孔雀の求愛よりももっと綺麗な弧を描いて下さるような気も致します……。
求愛という点では同じでしょうし、意中の人という点も変わりがないので……」
唆すような甘く低い声で告げると、その淫らで奔放な自分の痴態を想像したのか純白のシーツに預けた肢体がより一層、紅色に染まっていて、とても綺麗だった。
「――ただ、孔雀の羽根を一本だけ挿れるのも、何だか『おもちゃ』のようで何となく抵抗感は有りますね……。
『初夜』に相応しい話題ではなかったようです。すみません。
鳥繋がりで思い出しましたが、聡の紅に染まった肢体……しかも汗などの透明な雫を纏っているので尚更に、フラミンゴを彷彿とさせますね……。
とても瑞々しくて、そして淫らな感じ、そして優美な姿が似ていなくもないです……。
ご存知でしたか?フラミンゴの色の赤さの違い。群れの中で最も惹きつける個体は、一番紅い色の羽根を持つそうです。
きっと、この紅色の素肌がそんな色でしょうね……。
惹きつけられて、そして虜になってしまいそうな極上の赤い肢体ですから……。
聡の性格も勿論愛して止まないですが、この極上の肢体も最高に良いですよ……。身体の外も、そして花園の中も全てが私を虜にして止まないです。
――もっと、紅く華やかにベッドの上で咲き誇らせたい気持ちでいっぱいなのですが、夜は長いので……、ゆっくりと愉しみましょう……。
ただ、薔薇の花びらでこうして微かに辿っただけで紅を刷いたように染まる素肌も素敵ですよ……。
それに、群れの中で最も紅いフラミンゴよりももっと紅い肢体も綺麗です。
花園の門に孔雀の羽根を挿れて……この尖りを歯で甘く噛んだら……求愛のダンスをする孔雀のように羽根を大きく動かして下さいますか……?」
実行する気は更々なかったが、そんなことは言わないと分からないし、祐樹の表情も真剣そのものと言った感じなのは腕の中でヒクリと震えている最愛の人も分かったのだろう。
「――祐樹が、それを望むならば……するけれども……。
祐樹への私の愛情がその行動で測ることが出来ると――祐樹が判断したなら――清水の舞台から飛び降りる気持ちで――」
嬉々としてイエスと言われた方が祐樹も引いてしまうだろう。そういうプレイめいたことを苦手としている人だからこそこんなに強く強く惹かれていたのだから。
最愛の人の肢体は祐樹の丹精で淫らな大輪の花のように咲き誇ってくれたことは望外の喜びだった。しかし、無垢な精神は知り合った当時から変わっていない点も稀有な宝石よりも貴重だった。
そして、なるべく祐樹の言う通りに応えようと――内心は羞恥ですくみ上っているような表情だった――必死に言葉を紡いでくれるのも愛おし過ぎて……。
「孔雀よりもフラミンゴの方が綺麗ですからね……。
良く考えれば青とか緑が混じった羽根の色単体で見ればそれほどの魅力は感じないです。
ああ、あのネクタイの青い薔薇は見事ですし、普段身に纏っていらっしゃる薄緑色のワイシャツも大好きです。
しかし、孔雀の羽根一本にあれだけの寒色系の色を混ぜたのを愛の交歓で使うのは止めにしましょう……。
あくまでも、暖色系の色の方が色香の他には何も纏っていない聡には良く似合うので」
最愛の人の唇から安心したような溜め息が零れた。
「あっ……」
祐樹が指で尖りを押すと、薔薇色の溜め息が甘く寝室に響いた。
「フラミンゴの赤さにはない、この煌めきを揺らすと艶やかな声を上げて下さるだけで充分過ぎるほどの求愛のダンスだと思います。
ここを押すとね、指を弾く弾力が心臓まで届くような気がします。
花園の中も私にとっては天国ですが……。ただ、こうして同じベッドに横たわってしなやかな肢体を指で、そして目で確かめているだけでも充分過ぎるほど幸せです……。
小道具など必要ないほどの魅惑を湛えた肢体ですから……」
そう言いながら強く抱きしめると、お互いの汗の雫が交じり合って魂までも一つになるような気がした。
お互いの最も敏感な場所で繋がらなくても、そう思えてくるのは「披露宴」を終えた「初夜」だからだろうか?
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こうやま みか拝
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◇◇◇
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