
「祐樹……私のジャケットの右ポケットに……裁縫セットが……入っているので……それを取って……」
紅色の細くて長い指がツンと可憐に布を押し上げている側面部をキュっと捻りながら薄紅色の唇が甘く蕩けた声と普段よりも高い喘ぎ声交じりの声が部屋の空気を淫らな華やかさに変えていくようだった。
「そんなものを持ち歩いていらしたのですか?有り難く使わせて頂きますね」
感謝の口づけの積りで唇を重ねると、最愛の人の唇が花のように開かれて祐樹の唇を熱い舌先で輪郭を確かめるように辿られた。
祐樹も唇を開いて最愛の人の舌を誘い込むと、嬉々として入って来た舌の先を前歯で軽く噛んだ。
「あっ……」
しなやかに背筋が反ったのを見て、背中に手を回して抱き留めた後に彼の衣服を置いた場所に足早に近付いた。
「ああ、大阪のリッツに置いてあったヤツですね。備品を持って帰るのは私の十八番ですが、貴方もなさっていたとは思いませんでした」
開けてみると、白や赤、そして需要の高そうな黒色とかの糸がコンパクトにまとめられている。こういう持ち運び用の裁縫セットには――と言っても祐樹はじっくり見た記憶はなかったが――必需品なのだろう、小さなハサミまで入っていた。
「ボタンが取れてしまった時のためとか、そういうイザという時のために最適かなと思って持ち歩いていた。
祐樹との愛の行為で使えるとは今の今まで思っていなかったが……。
あっ……んっ……悦っ……いっ……」
裁縫ではなくて、手術では当然医療用の糸を使う――しかも医療用のハサミでもあるクーパーなどを使って糸を巻き付けることくらいお手の物だった。そして、清潔で整った身だしなみはボタンが外れてしまった服を着ていると大きくマイナスになるので、最愛の人らしい心配りだった。
「もっと強く巻いた方が良さそうですね。糸がキュっと食い込むくらいに左の尖りは工夫しますね。ああそうだ……胸の真ん中でエックスのように絡ませると、同時に二つの尖りを愛することが出来ますよね?
硬く尖って熱を持っている聡の慎ましやかな粒が白い糸に強調されてとても綺麗で、そして物凄く淫らで可憐ですね……」
糸で巻かれていない先端部分を親指で強く弾くと、切なそうな口調で「もっと」と強請るのも、そして胸をせり出すようにする仕草が瑞々しい花のようだった。
祐樹にはいわゆるSとかMの趣味は皆無だったが、緑色の検診衣を身に着けた最愛の人が胸の両の尖りを強調するかのように巻いた糸とか、中央部でエックスの形に結わえた淫らな肢体を見ると「そういう」プレイが好きな人の気持ちも分かるような気がした。縄などで縛る趣味は祐樹にはないが。
それに、胸の可憐な粒を祐樹の指よりも細い糸でキュっと締め付けられていたせいで、最愛の人の下半身も育ち切って布地を押し上げている様子も物凄く綺麗だった。
「そちらもしっかりと反応して下さっていて嬉しいです。
口で愛しても良いですか?それとも指で……」
白衣姿と検診衣という――と言ってもここはAiセンターなだけに患者さんはいない。祐樹が診るのはあくまでもご遺体だけだし、白衣は医局では滅多に着ない――恰好では何だか患者さんに悪戯をするとんでもない医師のような気がした。
実際に患者さんをどうこうする趣味は一切なかったけれども、図式としてはそんな感じなのが背徳感を醸し出していて興奮の度合いを高めてくれる。しかもここはセンター長室で、兼務で忙しくてそんなには居ないものの一応は祐樹の「城」だったので尚更だった。
「祐樹の……唇で、愛して欲しっ」
熱く蕩けた声が砂糖菓子の甘さに満ちている。検診衣は撥水性なので確かめようがないが、最愛の人の身体のことは祐樹の方が良く知っているので先端からは水晶の雫を零しているのは確実だった。
それにこの検診衣の良い所はハラリとめくりあげれば全ての愛の行為が出来る点だ。
膝を床に付けて、重力に逆らっている部分から布を上げた。
愛撫の期待からかフルリと震えた先端から水晶の雫が床に滴って行くのも物凄く綺麗でそそられる。
「物凄く綺麗ですよ……。ああ、聡は胸を弄られると、花園の中の凝った場所もより一層硬くなるのでしたね」
先端の括れに痛さを感じないギリギリのラインで軽く歯を立てて、そう告げながら胸の中央のエックスの真ん中を指で押し上げた。
「ああっ……悦っいっ……。
何だか……ルビーの欠片が……直接……神経に……触れている……ような、感じ……」
どう感じているかを祐樹に伝えてくれる最愛の人の律儀さも殊の外に愛おしい。
口いっぱいに最愛の人の熱く滾った物を挿れて首を水平に動かしながら、指は後ろへ回して双丘を揉みしだいた。
「ああっ……悦いっ……けれどもっ……、中の、凝った場所を……弄って……欲しっ……。
祐樹の……指で……直接っ……」
甘く強請る声がルビーの色に彩られたように無機質な部屋に束の間の煌めきを放っているようだった、濡れた甘い輝きを。
祐樹がずり上げた検診衣は若干細い腰も外気に晒されている。
紅色に染まった滑らかな素肌が汗の雫を纏ってとても綺麗だったし、祐樹の唇の動きに従ってヒクリと動く平らな腹部から空中に小粒のダイアモンドの粉を撒いたように散っていく雫もとても艶やか過ぎて脳が沸騰しそうだった。
双丘を両手で割り開くと、秘められた門がしどけない動きで祐樹の指を包み込んでくれる。
せかすような妖しい動きが欲求に素直過ぎてとても愛らしい。
「ああっ……とてもっ……悦っいっ……。
ソコ……もっと……強く……押してっ……。
頭の中でルビーが爆ぜる……ようでっ……。すごっく……悦っ……い」
凝った部分を強く押すと、しなやかな肢体がヒクリと跳ねた。そして祐樹が唇で横笛を吹くように愛している箇所も大きさと硬さを増している。
「ああっ……もうっ……頭の中で……大きな……ルビーの爆発がっ……」
せめて最愛の人がいつもしてくれているように白い飛沫を口の中で受け止めようと気管に入らないようにだけ気を付けて「その時」を待った。
--------------------------------------------------
二個のランキングに参加させて頂いています。
クリック(タップ)して頂けると更新のモチベーションが劇的に上がりますので、どうか宜しくお願い致します!!

にほんブログ村

小説(BL)ランキング

最後まで読んで下さいまして誠に有難うございます!
今宵の更新はノルマを達成出来そうです。
雨が続いていますし、九州では大変なことになっていますが、読者様も足元などに気を付けて下さいね。
こうやま みか拝




