「お疲れ様。これらの画像は念のために野口准教授にも見せますが、特に異常は見つかっていないです。
 貴方のことですから、お身体の異常を感じたら即座に仰って下さるとは思いましたのでそれほど心配はしていませんでしたが、自覚症状のない症例も多数ありますので心配はしていましたが、全く問題がないみたいで本当に良かったです」
 健康には気を付けているし、体調管理も仕事のうちなので律儀に守っている最愛の人だったが、人間何が起こるか分からないのも事実だった。
 ミイラの相談をしたのも、そして検診衣に着替えた最愛の人の――下心満々の「そういう意味」での触れ合いという意味合いも当然あったが――健康診断を少しでも後回しにしたかったからというのは内緒にしておこう。
「祐樹も特に何の異常もなくて良かったな……。私『も』一瞬神に祈ってから結果を見たので、そう思ってくれると本当に嬉しい」
 内緒にしていたのだが、どうやら最愛の人にはお見通しだったようだ。
「ああ、私はいつ受けることが出来るか分からなかったので、お昼休みを5回も犠牲にしてまで職員の義務を果たしましたよ。
 もう結果は出揃っていたとは存じませんでしたが」
 病院内でまことしやかに流されている「病院一の激務の医師」は大袈裟だとは思ってはいたものの、多忙なのは確かだった。
「ああ、全部が正常値の範囲内だったし、レントゲンやCT、MRIも異常なしだった。念のために私も読影してみたが大丈夫だった。
 結果は全員のが出揃ってから手渡しされるだろうな」
 最愛の人が太陽に照らされている花の綻ぶような極上の、そして瑞々しい笑みを浮かべている。
「健康で長生きしないと二人の共通の夢のクリニック経営が頓挫してしまいますからね。忙しい毎日ですが、息抜きというか休憩を適度に挟みながらメリハリを付けながら一緒に仲良く暮らしていきましょうね。私にとって一番のストレス解消……付き合って貰えますか?」
 可憐に尖って緑色の布を押し上げている両の胸を掌全体で転がすと、甘い溜め息が零れて来た。
「ゆ……祐樹っ……センター長室に……連れて行って……欲しいっ……」
 誰も来ないとは分かっているとはいえ、矢張り公共のスペースなので気になるのだろう。
 切なげに揺れる涼しげな眼差しには艶やかな光が混じっているのが魅惑的だった。
「承りました。貴方の衣服とか持ち物一式はセンター長室に運んでおきました、よ。
 その方がゆっくりと愛の時間を心行くまで堪能出来るかと思いまして。
 愛しています、よ。心の底から、そして永遠に……」
 緑色の検診衣に身を包んだ最愛の人は祐樹の言葉を聞いて耳朶までが紅に染まってとても綺麗だった。
 そして、ワンピース状の緑色の裾から露出しているすんなりとした両の足も薄紅に染まっていた。
「私も祐樹を愛している。未来永劫……」
 歩きながら最愛の人が指を絡めてきた。付け根まで絡め直して、唇を重ねた。
 無機質な部屋で交わすキスと繋いだ手だけが薔薇色に染まっていくような気がした。
「どうぞ。職務上散らかっていますが……」
 昔ながらの重厚さと由緒有り気な教授執務室とは異なって、近未来的な感じの部屋に招き入れた。
「祐樹の部屋って感じで何だか懐かしい気がする……」
 ドアの鍵をワザとカチャリと音を立てた。
 そして最愛の人の腰を引き寄せて強く引き寄せてから啄ばむようなキスの雨を落とした。
「早くこうして抱き締めたかったです。貴方の香りも何だかとても心が安らぎます」
 背中を手で辿るように愛撫すると、しなやかな肢体が祐樹の方へと凭れ掛かってきた。
「祐樹の白衣の消毒液の清らかな香りも普段っぽくなくて、何だかとてもドキドキする。
 心臓を触って確かめて欲しい……な」
 確かに祐樹が白衣で居る時の方が珍しい。ただ最愛の人の愛らしく強請る口調は心臓ではなくてツンと押し上げている尖りを愛して欲しいのだろうなと微笑ましく思った。
「本当ですね……。心拍数が標準値を超えています。
 もっと、ドキドキしてもらえるかは分からないのですが、こういうので尖りの側面を巻くというのは如何でしょう?」
 あからさまな「おもちゃ」は生理的に無理なので、祐樹が用意したのは昔ながらの書類を綴じる時に使う黒い紐だった。
「あっ……とてもっ……悦っいっ……」
 可憐かつ淫らに布地を押し上げている場所の側面部をキュっと摘まむとせがむように背筋が撓って祐樹の指の方へとより密着してくる。
「……んっ……え?それで、ココを……?」
 見開いた瞳が紅色に染まっているような艶やかさだった。愛の交歓への期待からだろうが。
 紐を持っている祐樹の片方の手が離れたので薄紅色に染まった指で自らの尖りを弄っているのも最高に淫らな眺めだった。紅色の細く長い指が緑色の検診衣の色によく映えていたし、その上硬く尖った場所がツンと布地を押し上げていて、ソコを弄っている指の動きも艶やかさと健気さに満ちている感じだった。自分で弄るというのは祐樹が唆さない限りあまりしない人だったけれども、検査の前に祐樹が散々煽った上に検査の時に様々な体勢を取るために必然的に擦れてしまって熱く甘い疼きを持て余していたのかもしれない。
「それも良いけれども……。もっと細い糸の方が……多分もっと感じると思う……」
 予想外の乗り気な提案だったが、あいにくこの部屋には糸などはなかった。
「確かに、白い糸とかの方がビジュアル的にも物凄く魅惑的ですよね。硬い尖りをより一層強調して括り出すのですから。
 それに、細い糸の方がより締める力が強くなりますよね……。
 しかし……」
 この黒い紐よりも細い糸の方が最愛の人が感じる度合いが増すことは分かっている。単純な例えだが、1㎠程度のピンヒールで40キロの女性が踏むとその圧は40キロが一点集中で掛かる。その点男性の靴の場合たとえ100キロの巨体であっても靴の表面積で体重が分散されるので踏まれてもさほど痛くないのと同じ理屈だった。
 何を思ったのか最愛の人は堕天使のような妖艶な笑みを薄い唇に浮かべていた。
 何か考えでもあるのだろうか?




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本日の更新は(「公認カップル~」は投稿予約済みです)三本を目途にしていますが、寝落ちしてしまったら済みません!!


  こうやま みか拝




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