「え?不思議ですか……具体的にはどういったことでしょうか?」
 アニメは休日の「自宅まったりデート」の時に一緒に観ている。テレビの画面に集中しているわけではなくて、最愛の人の髪の毛を梳いたり彼が用意してくれたお菓子や飲み物を口に運んだりしている。なんなら食べさせ合いっこすら。ストーリーは追っているものの最愛の人に気を取られてしまっていることも多い。集中力を分割可能だけれども、休日はそういうこともしたくないので。
「主人公は『拾った』と言っていた。別に嘘を()く必要はないし、作中で『嘘を()くという発想がそもそも無いタイプ』と言われている。だから百葉箱から持ち出した可能性は低いと考えていて……。主人公は本当に校内のどこかで拾ったのが正解だろう」
 校舎の周りを手繋ぎで歩きながら、月明かりが冴え冴えと最愛の人の白皙の顔を照らしている横顔を堪能する。そして怜悧な声は星の光のように綺麗だ。
「ああ、確かに『あ!それ拾ったわ』とか回収に来た呪術高専生に言っていましたね」
 そういえば主人公も嘘を吐くという発想をしないタイプだ。そういう点では最愛の人との類似点だと言える。けれども、陽気さとか人とすぐに仲良くなる「良いヤツ」という性格は全く似ていない。そもそも、ああいう能天気なタイプは祐樹の恋愛対象外だ。対象にされた方が困るだろうけれども。
「そしてこの高校がモデルの杉沢第三高校の制服はブレザーだ」
 そうだっただろうか?と脳の底の方にある記憶を掘り起こした。
「ああ、そうでしたね」
 オカルト研究会の女の先輩がセーターと白いシャツに普通のスカートをはいていたなとようやく思い出した。
「アニメでは省略されているのだが、単行本の一巻で、主人公が世界レベルの弾丸投げをするシーンがある」
 聞いていますよという合図に付け根まで絡ませた指の力を強くした。空気の綺麗さなのか最愛の人の滑らかな顔に星の光が宿っているような気がした。
「その他登場人物というか画面の中に一コマだけセーラー服の生徒が一人だけ描き込まれていた……」
 マンガも救急救命室の凪の時間などに読んではいるものの、そこまで細部は見ていない。
「それはおかしいですね。ジャケットが制服ならセーラー服をわざわざ描き込むようなミスはしないでしょう。漫画家さんが忙しい職業だということは仄聞していますが、アシスタントさんも居るのですよね。そして編集者さんのチェックもあるとか……。しかしセーラー服の女子学生って作中に出ているのは……?ああ、劇場版の敵役のグループに一人いましたね。小児科の寄付を募るべく内田教授がアドリブで言った『百鬼夜行』の宣言、あれをアドリブで言うことが出来るのも凄いと思いましたが」
 最愛の人も綺麗な眉を開いて祐樹を見上げている。
「内田教授の演技力が、あれほどまで凄いとは思っていなかった……」
 最愛の人の卓越した記憶力は本人にとって当たり前だという認識があるためにセリフの丸暗記はスルーらしい。その反面、芝居っけが全くないので内田教授を尊敬の眼差しで見ていたらしい。そういうズレたところも愛おしい。
「そうですね。ハロウィンの催し物という小児科では周知のことでも内科の内田教授は初見ですよね。それを咄嗟に再現出来るのですから……。まあ、内田教授は『病院改革の闘士』として敵対する教授に色々な懐柔策を行っているそうです。心にもないことを言うお芝居も出来るようですから、それに比べて何回も観たと仰る劇場版の再現は簡単だったかと思いおます。それはそうと、その時にブレザー姿とセーラー服の双子がいました。宣戦布告に来たというのに竹下通りのクレープ屋に行きたいとか言って緊張を和らげていましたね。それはともかく、セーラー服は砲丸投げの見物人に敵の一派が混ざっていたということですね。たまたま見物だけに高校に来たとは思えないので百葉箱から特級呪物を持ち出して主人公が見つけやすい所に置いておいたということですか……?」
 一巻時点でそんな伏線を張ってあったのは驚きだ。柏木先生と救急救命室の凪の時間に雑談している時に「あのマンガ雑誌はアンケート至上主義で結果が悪いと情け容赦なく連載終了決定だ。『俺たちの戦いはこれからだ』とブツっと切られて『〇〇先生の次回作にご期待ください』とか書かれていたらそれは打ち切りを意味する」と言っていたような気がする。久米先生もそばでゲームに勤しんでいたが、彼の場合は清楚かつ知的な顔にあり得ないほど大きな胸、そして華奢すぎるウエストに『安産型』のキュートなお尻の美少女の部屋で「二人きりになった!これからエッチに持ち込むには!?」とかブツブツと呟いていた。脳外科のアクアマリン姫こと岡田看護師と付き合うようになってから鬼のような課金はしていないらしいが、凪の時間に相変わらずハマっているのは確かだ。岡田看護師は清楚な品の良さを感じさせる綺麗な女性で、そういう人とリアルに付き合っているのに、二次元(?)の「作り物」の女性に熱を上げる気持ちは全く分からないが……。久米先生がゲームに勤しんでいる時には柏木先生と生暖かい目で見ている。




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