「脱ぐっ……。あのヒロインも……自分でっ……脱いで……いただろうっ……」
 精緻な白いレースを押し上げている紅い尖りがより一層の煌めきを放っている。
 尖りの下から上へと爪で強く弾くと(あで)やかな小さな声がリビングに紅色の粉を撒いたように煌めいては溶けていく。
「ゆっ……祐樹っ……。脱ぐのでっ……待っていて……欲しいっ」
 紅を()いたシルクよりも滑らかな頬に涙の雫が零れている。意志の力ではどうすることも出来ないハズの生理現象を必死で我慢しているような苦し気で、妖艶な表情が濡れた蠱惑に満ちている。
 ただ、映画の感想として戯れに交わした約束を彼が覚えていてくれた点が――もともと記憶力の良い人だけれども、知識面はともかく睦言めいた言葉まで覚えて実行しようという気持ち――とても嬉しい。
 渋々ながら指を外すと()椅子(ウチ)からすらりと立ち上がった肢体が濡れた紅色に艶めいている。
 しかも、紅色に染まった素肌に薄い緑色のシルクが身体の隆起に沿って濃く薄く濃淡が出来ていて最高の眺めだった。
 二つの胸の尖りとか、若干育ちかけた花芯とかは生唾モノだった。祐樹が半ば外した艶やかな緑色の肩ひもを薄紅色の震える指で持ち上げて肩から外すと艶めかしい艶を纏ったシルクが紅の素肌から艶やかな生き物のように滑り落ちていくのも圧巻だった。
「やはり私の聡は色香以外、何も纏っていないお姿が最も綺麗で、そして物凄くそそられます……。愛していますよ……」
 抱き締めてキスをしようとすると、紅色の指が祐樹の胸を優しく押して拒否の仕草をした。
 成る程……と祐樹も衣服を脱ごうとしたら、スラックスのベルトを器用に外してくれる。紅色の素肌が祐樹の視線に全て晒されたことで、育ち切った先端部分が水晶の雫を溢れさせていた。
 祐樹が贈ったランジェリーも――最愛の人はそのことはまだ知らないみたいだったけれども――濡らすのを嫌がった愛しい人は祐樹のスーツも同様なのだろう。
 紅色の細い指が震えながらも的確に動いて祐樹の下半身を露わにさせてくれた。
「積極的な聡も大好きですよ……。ああ、それと……もう一つホワイトデーに相応しいアイテムを用意しました」
 ジャケットのポケットから小さなプラスチックの容器を取り出して指に載せていると、濡れた眼差しが更に紅さを増している。
 その香りを纏った指を彼の顔へと近づけた。二人が最初の夜を迎えた時に使ったこのホテルに備え付けられていた「思い出」の乳液で今は使用されていない。
 ただ、メーカーなどはスタッフから聞いていたのでここぞという時には使っている。先ほどの食事とかその後の心臓外科医学会の宴席では酔いの気配は露ほども感じさせなかった最愛の人が酩酊したような眼差しを祐樹に向けている、期待に煌めかせて。
「ゆ……祐樹っ……早く、ベッドルームに……行こうっ……。そうでないとっ……」
 艶めいた小さな声に切羽詰まった感じを纏っている。
「そうでないと?」
 お互い何も身に纏っていない状態で抱擁を交わして唇を重ねた。
「この場で……祐樹がっ……欲しくなるっ……」
 濡れた唇が紅色に戦慄(わなな)いているのも無垢な妖艶さに満ちていた。
「今夜はホワイトデーのお祝いですので、ベッドルームでゆっくりと愛の交歓を致しましょう……。最愛の聡と性急に求め合うのも大好きですけれども、こういう特別な日はやはりベッドで心行くまで愛し合いたいです……」
 祐樹の胸部に二つの硬い尖りが当たっていたり、育ち切って雫を零している花芯が下腹部の肌を押していたりするのも最高の感触だった。
「……分かった……」
 折角、指に一滴垂らした白い油が勿体なくて、ルビーの煌めきを放っている先端部分に宿らせた。
「あっ……()っ……」
 しなやかに反った肢体を抱き締めて寝室へと向かおうとした、紅い尖りに宿った白い液体の煌めきに魅了されながら。
「少し待って下さい。この瓶は持っていかないと……」
 最愛の人の扇情的な肢体に見惚れてしまって折角用意した白い乳液を危うく置き忘れるところだった。
 白いシーツの波の上に紅色のしなやかな肢体を横たえると、秀でた額が汗の雫で紅く艶めいている。
 愛の交歓の始まりの具現化のような深い口づけを交わした。
 白いシーツの波に紅い肢体が白魚のように跳ねて徐々に紅い足を広げていくのも積極的で扇情的だ。
「枕を腰の下に敷いた(ほう)が良いですね。聡の極上の花園の門を今夜は目と指でじっくりと……えっ?」
 祐樹が動くよりも早く紅色の指が枕を掴んで撓む腰の下に(しつら)えてくれたのだから。
 今夜の彼は普段以上に情動に支配されているのかも知れない。
 花芯から幹を伝って流れてくる水晶の雫を口で愛したいという気持ちは有ったものの、最愛の人が求めているのはむしろこちらだろうと熟した桃の風情を漂わせている双丘を左手で割り割きながら右の指にはたっぷりと乳液を纏わせる。
 祐樹にしか拓かせない秘められた花園の門が戦慄くような、そして花開くような感じでせわしなく動いているのも最高の眺めだった。
 愛の交歓の(あと)は真っ赤に染まる場所も今は綺麗で無垢な桃色だ。祐樹との夜を重ねたせいで淫らに花開いた肢体だったけれども、最初の夜と見た目は変わらないのが彼の精神の無垢さの表れだろう。
「指を挿れます、ね」





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