「ゆ……っ。祐樹……っ、熱くて……硬い……っ、祐樹の物で……開かれる……っ感じが……物凄く……っ、悦……っ」
甘く濡れた歔欷の声が祐樹と彼が繋がった場所から奏でられる肌の擦れ合う音や動くたびに立つ淫靡な水音と相俟って客室を愛の空気で満たしているように思えた。といっても、最愛の人の声は慎ましやかで、若干辛そうな感じに聞こえる。祐樹の経験した男性の中では最も声が小さいのも事実だ。その点も非常に気に入っている。忍びに忍んで声を上げているという感じがして愛の温度を上げていくような気がするので。辛そうに聞こえるといっても、彼は全くそう思っていないことは確認している。
「聡の、私だけの極上の花園もとても良いです。熱く厚い濡れたシルクが包んでくださって……。しかも花壁に咲いた花びらが強く弱く締め付けて、最高ですよ……。浅い場所を衝くのが良いですか?それとも奥処が……。または緩く腰を回しましょうか……?」
その言葉に汗を纏った紅色の背中がしなやかに反った。祐樹との濃密な夜を重ねたせいでそのどれもが甘美な快感を得ることが出来ると知っているからだろう。
「胸……っ……もっと強くして……っ欲し……っ。そして先ほどみたいに……っ……」
無垢で淫らな言葉を高く低く紡ぐ最愛の人が愛おし過ぎる。深く繋がっていた祐樹の愛情と欲情の象徴を一旦浅い場所まで退かせた。
「あ……っ」
彼が望んだことなのに残念そうな響きを孕んだ声も魅惑に富んでいる。そして花園の中に咲く花びらが妖し気に動いて、祐樹を奥へと誘うようだ。このまま奥処に留まっていたい気がしたけれども最愛の人のリクエストに応える方が先決だ。
「ココ、ですか?」
浅い部分の小さく硬い蕾に祐樹の先端部分を当てる。そして胸の熱く尖った二つのルビーを親指と中指で強く掴んで捩じって、人差し指で転がした。
「あ……っ、ゆ……っ……と、ても……っ、悦……っ」
白いシーツの上で紅色の肢体が慄くように震えているのも最高の眺めだ。花園の浅い部分にある小さく硬い蕾は最愛の人が最も悦び、また最も恐れている弱い場所なのは知悉している。どうすればもっと悦んでくれるかも。先端部分でコリコリとした場所を強く弱く衝きながら同じリズムで胸の二つのルビーを人差し指を強めに叩く。
「ゆ……っ、祐樹っ……頭の中のっ……紅い……っ花火が……大きく……っ、爆ぜるっ。あ……っ」
強張る紅色の肢体が綺麗な弧を描いているのも最高に淫らでそして綺麗だ。祐樹の先端で感じる蕾も硬さを増していて衝いている祐樹も快楽を感じている。
「聡、真珠の放埓を思いっきりばら撒けましたか?」
そういう気配がないことは耳で確認済みだ。ただ、ベッドの上の睦言めいた質問はお互いの快楽を高める。
「ばら撒いていない……乾いた……絶頂のようで……っ、悦楽の大波が……っ……次々と……っ」
濡れた髪の毛が頭の動きに従ってシーツの上に水晶の雫をポタリポタリと滴っている。バスルームで祐樹が洗った水だけが成分ではないだろう。
「愛する聡の魅惑的な花園の奥処にお邪魔しても良いですか?……先ほどの真珠のネックレスの話ですが……あれを使えば更に奥処に当たりますよね。聡の花園の最奥は最高の愉悦を私にもたらしてくださいますが……、聡も同じですよね?そこに真珠の玉が当たっているのを想像してみてください……、きっと頭の中の花火が大きく爆ぜるでしょうね……」
実際の真珠のネックレスも捨てがたいが、最愛の人の意に沿わないことは祐樹には出来ないし、したくない。しかし、想像を煽るのはまた別の話だ。
「分かった……っ……。ああ……っ……。ゆ、祐樹っ……とても……っ」
充分熟れた花園の中に熱い屹立を挿れると、紅く濡れた嬌声が切れ切れに上がった。花びらたちが待ち構えていたかのように祐樹の愛情の象徴に絡みついて悦楽を高めてくれる。幹の部分もヒタリと包み込んで強く弱く締め付けてくるのも最高に気持ちが良い。ともすれば快楽の呻き声が口から出そうになるのを必死で堪えた。
「想像してみてください。私の屹立の先に丸い真珠の玉が入っている、と……」
紅色の背筋が淫らで優美な弧を描いて反った。
「想像……っ、したっ……ら、紅くて……っ、銀色の……っ大きな……花火が……っ爆ぜている、ようで……っ。ゆ、祐樹……もっと、奥を……っ、思い切り……っ、衝いて欲し……っ。大きな動き、で……っ」
濡れた声が淫らに、そして切実な響きを孕んでいる。
「愛する聡に、そこまで強請られると……抑えが効かなくなってしまいます、よ?」
全てを花園の門から出して、彼のお願いに備えようとした。
「あ……っ」
喪失を惜しむような声がベットの上を蒼く染めるようだ。
「指はどうしますか?このまま尖りを愛しましょうか。それともすっかり育ち切った聡の花芯を扱きましょうか?」
淫らな二択を提示してみた。
--------------------------------------------------
二個のランキングに参加させて頂いています。
クリック(タップ)して頂けると更新のモチベーションが劇的に上がりますので、どうか宜しくお願い致します!!
にほんブログ村
小説(BL)ランキング
2ポチ有難うございました<m(__)m>
本記事下にはアフィリエイト広告が含まれております。
2024年07月
「病院内に倫理委員会が設置されていることはご存知ですか?」
教授・准教授クラスとか看護総長や事務局長などは指名されるので当然知っているだろうが、前線に立っている人間は知らない人も多いので聞いてみた。祐樹最愛の人は教授職だけれども「手技と医局運営に尽力したいです」と言って委員になることを拒否したという話は聞いていた。何しろ彼は病院の看板教授だし稼ぎ頭なのでそういう我が儘も通る立場だ。実際には「祐樹と過ごす時間を減らしたくない」という一心で委員になることを拒んだと聞いている。そういう一途で健気な性格もこの上なく愛おしい。そういえば彼は祐樹が救急救命室勤務だと思っているだろう。急に久米先生に交代して貰ったのだから上司である彼も把握していないに違いない。夕食の準備も祐樹が居ない時は簡単な物で済ませていると聞いている。簡単といっても手作りの料理を解凍させた料理だが。早く帰宅出来ることは知らせておいた方が良いだろうと、スマホをポケットから出して三好看護師には視線で断って手早くLINEを送った。
「え?倫理委員会ですか?」
案の定、三好看護師は首を傾げている。
「医療倫理に関しての問題が起こった時に呼び出されて吊るし上げが行われる委員会です。香川外科では倫理に反したことは一度たりとも無いのですからご存知ないのもある意味当然です」
なまじ彼女が内情を知っていたら逆に厄介だったのでラッキーだ。
「ちなみにリンリ・リンリとコオロギかセミのように騒がしいのは事務局長だと仄聞しています」
ミックスジュースをストローで飲んでいた三好看護師は薄いピンクの口紅だかリップクリームを塗った唇を歪めている。医師や看護師から蛇蝎のように嫌われている事務局長なだけに尤もな反応だった。
「経費削減を呪文のように唱えているだけではなかったのですか?ボールペンの替え芯も使い切った物を見せなければ支給しないなんて、ふざけていると皆が怒っています。現場を何だと思っているのかと……。そんな悠長なことをしている時間なんてないというのに!」
ストローで氷を叩いている彼女はきっと氷を事務局長の頭に見立てているに違いない。
「香川教授や内田教授が標榜なさっている、医療従事者視点での病院改革が上手くいったら、そういう怒りもなくなると思いますが、まだまだ道半ばといった感じです。次期病院長選挙で香川教授が選出された暁に期待しましょう」
さり気なく選挙のアピールも混ぜた。祐樹が殊更言わなくても陰ながら応援してくれるに違いないが。
「そうですね。私達も香川教授が病院長になれば、腹黒タヌキ……いえ、斎藤病院長のように外向きの采配は決してなさらないと言い合っています。早く学長が停年になるか死んで欲しいとすら思っています。ここだけの話」
外向きとは上手いこと言うなと感心した。人脈作りとか権力や権威を必死に求めている斎藤病院長のせいで事務局長が跋扈しているのも事実だ。
「タヌキと言えば、暇な科の有志が行った病院のクリスマスパーティで……」
祐樹に対して失言を悔いるような表情を浮かべている彼女の心を軽くするために話題を逸らした。ちなみに香川外科の人間は出席するような時間がなくて出ていない。祐樹は最愛の人と過ごすクリスマスに時間を割きたかったし、彼もそう思ってくれていた。医局の責任者でもあり、尊敬の対象でもある教授が出ないなら意味はないと多忙を言い訳にして皆出席しなかったというのが実態だ。
「クリスマスパーティで何が有りましたの?」
事務局長の頭に見立てた氷を叩くのを止めている。
「会場に義理で参加した不定愁訴外来の呉先生から聞いたのですが、ナースの中でコーラスのサークルが有りますよね。大胆にも病院長の前で『ぽんぽこ たぬき』の歌を歌ったそうです、フリ付きで。『ぽんぽこぽん』ではお腹を叩くジェスチャーをした時に、皆の視線は病院長の腹部に釘付けだったらしいです。そして特に『お山でお月見だ』は」
三好看護師は心の底から可笑しそうに笑っている。
「田中先生、私が言っても良いですか?『お月見だ』は病院長の頭に参加者の視線が集まったのでは?でも、笑うわけにはいきませんよね。皆の反応が見たかったです」
斎藤病院長は良く言えば恰幅がある。祐樹などは「出産間近の妊婦さんですか」と心の中で突っ込んでいる。そして、頭はてっぺん禿を隠すために苦心惨憺している努力は認めるが、髪形の不自然さから皆が気付いている。
「個人的には腹黒タヌキと表現するよりもハゲ狸と言った方が正確かと思います、よ。それはそうと、倫理委員会で事務局長が『我が大学病院の医療従事者に対しても高潔な倫理観を持つべきだ』とのたまったらしいです」
もちろんそんなことは言っていない、祐樹の思いつきだ。ただ、祐樹としても恨み重なる事務局長を悪者に仕立て上げることに一切の躊躇はない。
「え?医療倫理を問題にする委員会ではないのですか?」
三好看護師は首を傾げている。祐樹の読み通りのリアクションだ。わざと溜め息を吐いた後におもむろに口を開いた。
--------------------------------------------------
二個のランキングに参加させて頂いています。
クリック(タップ)して頂けると更新のモチベーションが劇的に上がりますので、どうか宜しくお願い致します!!
にほんブログ村
小説(BL)ランキング
2ポチ有難うございました<m(__)m>
本記事下にはアフィリエイト広告が含まれております。
最高に魅惑的で、それでいて無垢さを感じさせる白い飛沫を宿した紅色の顔をこのままにしておきたいという切実な欲求に駆られたが、最愛の人には不快かと思って薔薇の香りのお湯を浸したタオルでゆっくりと拭った。瞳を閉じた彼はとても安らかな笑みを浮かべている、と言っても壮絶な色香を放っていたが。睫毛に宿った小さな真珠の粒まで拭き取ると精緻な宝石細工を壊したような不思議な罪悪感を抱いてしまった。
「綺麗になりましたよ」
最愛の人は薄紅色に染まった細く長い指で顔を確かめるように辿った後に、紅色の唇を祐樹の唇に重ねてくれた。ひたむきなキスに祐樹の劣情も刺激される。
「聡もこんなになってお辛いでしょう?早くベッドに参りましょう。私も早く聡と愛し合いたいです」
キスの合間に真摯な言葉を告げる。バスタブから立ち上がった彼のしなやかで紅色の肢体が水滴を弾いているのも蠱惑に満ちている。そして何よりバスタブから出てバスローブを取りに歩みを進める彼の歩き方は普段のてきぱきとしたモノではなくて、腰が蕩けたような色っぽさを醸し出している。愛の交歓の時はもっと足元が覚束ない感じの歩みなので却って新鮮な眺めだった。
「祐樹は来ないのか?」
バスローブ姿の彼が振り返って紅色の唇で甘い言葉を紡ぐのも濡れた蠱惑に満ちている。
「愛される予感と期待に満ちた聡の艶姿についつい見入っていました」
想いを吐露すると、彼の滑らかな頬に朱を一刷毛加えた彩りに染まっている。祐樹との濃厚な夜を幾夜も過ごして肢体は淫らに咲き誇っているというのに、精神は無垢で初心なままというのも大変好ましい。祐樹も立ち上がってバスローブを纏った。そして彼の指と付け根まで絡めてベッドまで歩いた。大胆な愛の交歓も大好きな彼だが、こういう些細なスキンシップも大層好んでいるので。
「身体も洗ったので平気でしょう?バスローブを脱いでベッドにうつ伏せになってください。そして足を開いて腰を高く上げて下さい」
灯りを付けたままだったので、濡れた白いタオル地を薄紅色の指が器用にハラリと床に落としていく様子を堪能する。艶めいた素肌が露わになった。蕩けた腰の動きも艶めかしい。
「次は、熟した桃のような双丘を聡の指で開いてください」
祐樹の意図を察したのだろう。紅色に染まった指が慄くように震えながら瑞々しい双丘を割り割いていく。祐樹もバスローブを床に落としてベッドに上がって、彼の指で開いた花園の門に顔を近づけた。
「愛する聡が口で私の物を愛して下さったお返しです、よ」
彼の手で開かれた極上の花園の門に唇と舌を這わせた。チラリと覗く花園の内部は綺麗で清楚なベビーピンクだ。そこに尖らせた舌を挿れて熱く厚いシルクの感触を堪能しつつ唇で広げた。
「あ……っ、祐樹っ……」
しなやかな背筋が撓んで肩甲骨がくっきりと浮かび上がる、羽根を捥がれた天使の風情で。すっかり育ち切った花芯からは水晶の雫が止め処なく溢れているのを両手で確かめた後に、敢えて其処には留まらずに胸の尖りへと辿り着かせた。
「ゆ……祐樹……っ」
慎ましく存在を主張する両の尖りを強く捻ると婀娜めいた声が白いシーツの上に小さな赤い花びらを撒いた風情で零れている。リップ音を立てて一旦舌を抜いた。
「聡、もう少し双丘の間を開けませんか?そうでないと、目指す蕾まで届かないので」
淫らな示唆に紅の指が扇のように広がって力を込めているのも最高にそそる。親指と中指で尖りを挟んでキュッと捩じり人差し指でごく狭い先端を叩いた。
「祐樹の指、とても悦……っ」
艶やかな声が室内を愛の空気で染めていく。先ほどよりも開かれた花園の門に再度舌を挿れて動かす。小さな、しかし淫らな水音がバスソルトの薔薇の香りと共に立ち上っている。
「ゆ……祐樹……っ。もう少し……っ、奥っ……」
花園の中の固い蕾は彼の弱い場所だ。祐樹の舌が其処に届くのを待って、いや焦れているのだろう。切羽詰まった声が耳に心地よい。そして双丘を開く彼の指も、そして足もより大胆に動いている。舌で感じる極上の花壁は厚く熱い濡れたシルクが包み込む動きが鮮明に伝わってきて情欲を煽る。その淫らで艶やかな動きに舌が誘われて、ようやく目指す場所まで辿り着く。コリコリした蕾を舌で叩く。両の人差し指の動きと連動させて。
「ゆ……祐樹……っ……、とても悦……っ。あ、もっ……」
艶やかな嬌声が切羽詰まった響きを帯びている。きっと絶頂が近いのだろう。硬く強張った紅の肢体に大粒の汗の雫が水晶のように煌めいている。
「あっ……」
小さな声が感極まったような響きを帯びている。ただ、弛緩はしなかった肢体なので祐樹の密かな目論見通りになったかと尖りを弾いていた右手を下腹部へと下ろした。真珠の放埓をばら撒いた形跡は全くなくて、育ち切った花芯が大粒の涙を幹へと伝わせている。案の定、乾いた絶頂だったようだ。
「私も聡の極上の花園を味わっても良いですか?」
紅の細い首が縦に振られるのを確認する。そして胸の尖りを弄っていた手はそのままで、祐樹の最も敏感な場所の先端をしどけなく開いた花園の門から一気に貫いた。
--------------------------------------------------
二個のランキングに参加させて頂いています。
クリック(タップ)して頂けると更新のモチベーションが劇的に上がりますので、どうか宜しくお願い致します!!
にほんブログ村
小説(BL)ランキング
2ポチ有難うございました<m(__)m>
本記事下にはアフィリエイト広告が含まれております。
向かいの席に座って古びた合成革と思しきメニューを捲っている三好看護師に聞いてみた。職場では見慣れた顔だったが私服姿は初めてだ。
「大阪風ミックスジュースにします」
パタンとメニューを閉じる爪が何も塗られていない点も職業柄好ましい。尤もネイルは自粛するような看護師しか香川外科には居ない。ナースの憧れの対象でもあり、ファッションリーダーの座に君臨していると聞いている長岡先生だって病院内では爪に何も塗っていない。お盆や正月などの長期休暇中は異なるのかもだが、祐樹は最愛の人と二人で過ごすのが習慣なのでその期間中に会ったことはないので知らない。
「田中先生はいつもブラックコーヒーですよね?それなのにカフェオレをオーダーするなんて意外です」
彼女は驚いたような表情を浮かべている。ああ、そのことかと半ば安堵した。もちろん後の半分は「どう話を進めたら三好看護師の疑心を抱かせずに医局内不倫のことが看護師のウワサになっていないか」を聞き出す本来の意図に頭を回転させていた。
「甘いコーヒーが苦手なのです。だからミルクで味を誤魔化して飲む習慣が出来てしまいまして」
これは本当のことで、すらすらと言葉が出て来た。
「そうなんですか?……ドトールとかの方が良かったのでは」
声がマスターとアルバイトらしい大学生風の店員に聞こえないように声を潜めている。そういう配慮が出来る看護師しか香川外科に居ないのも事実だ。
「いえ、店内の雰囲気は好きですよ。ちなみに三好さんはどこの会社の株を買ったのですか?」
気になっていたことと、いきなり本題に入るのも失礼だという点から先ほどの話の続きを試みた。
「私は阪急阪神ホールディングスです。株主優待に惹かれてしまって」
祐樹の恋人も株主優待で株を買うのもアリだという趣旨の発言をしていたなと思い出した。不定愁訴外来の呉先生のために吉野家の株も2,700円以下になれば祐樹のスマホに証券会社からの通知が来るように設定している。可憐な野のスミレといった風情の呉先生だが、吉野家の牛丼をこよなく愛している。その恋人の森技官もお祖母様の料理を幼い頃から食べ続けていた反動で吉野家の味が好きだそうだ。「スーツは男の戦闘服」とどこかで見たか読んだ記憶がある。森技官はいかにも官僚様でござい!といったアルマーニを常に着ている。戦闘服に見栄を張りたいのではないかと祐樹などは勘繰っているが。そのスーツ姿ででも平気で牛丼屋に入ると聞いて流石は鋼の精神力だと感心した覚えがある。
「どんな株主優待なのですか?」
興味を惹かれた。阪急電車には殆ど乗らないのだけれども。
「まずは合計三往復出来る無料乗車券ですね。阪急電車と阪神電車を乗り継ぐと奈良にまで行くことが出来ます。その運賃が無料になるのはお得だと思いました」
祐樹は第二の愛の巣と言っても過言でない大阪のホテルに行く時にJRは使うこともある。最近は専ら車だったが二人の気分次第で初めての夜を共に過ごした翌朝を想起させるJRを使うこともある。
「奈良まで行かれるのですか?」
三好看護師はお寺巡りよりもファッションに興味のあるタイプかと勝手に思っていたので意外だった。
「先生ほどではないですけれども、ストレスが溜まりますよね、この職業も。だから、ふらっと東大寺の広大な境内を回って心を清めてから四月堂でしたっけ?もしかしたら三月堂かもしれません……。そこから見える奈良市内の景色と空を眺めると心が洗われるような気持ちになります。周りは大学生のカップルとかリタイヤした感じの老夫婦など二人連れが日没を待っていますけれど、私は一人で巡るのが好きなので。ただ、展望台みたいになっている場所は他人のことは気にしていないみたいなので気が楽です」
そういう穴場的な所なら是非最愛の人と訪れてみたい。
「そうなのですね。京都から奈良まで無料というのは良いですね」
三好看護師は身を乗り出している。
「それと、リッツカールトン大阪のレストランや宿泊費が10%オフなどの冊子も貰えます」
え?と思ってつい身を乗り出してしまった。
「10%オフですか?それも美味しい特典ですね」
三好看護師は深く頷いている。
「あ、でも……レストランはお食事のみに適用されてアルコールとかソフトドリンクなどは除外ですけど」
三好看護師は残念そうな表情を浮かべている。祐樹は良いことを聞いたなと内心ほくそ笑んでいると飲み物が二人分運ばれて来た。次は阪急阪神の株を精査してみようと思いつつ猛烈に甘くて歯が浮きそうな飲み物を口にする。しかし、糖分摂取のおかげか良い口実が脳裏を過った。
「ここだけの話なのですが」
咳払いをして真剣な表情に切り替えた。祐樹の経験則では特に女性はこういう切り出し方をした方が有効だ。ただし、「ここだけの話」が守られることは少ないのも充分に知っていた。むやみに口外しないという言質を取ることは必要だろう。
--------------------------------------------------
二個のランキングに参加させて頂いています。
クリック(タップ)して頂けると更新のモチベーションが劇的に上がりますので、どうか宜しくお願い致します!!
にほんブログ村
小説(BL)ランキング
2ポチ有難うございました<m(__)m>
本記事下にはアフィリエイト広告が含まれております。
「聡の紅色に染まった綺麗な私好みに顔に艶やかな真珠が宿っているのも最高に綺麗ですよ。睫毛に私の真珠の放埓の細かい飛沫が精緻な宝石細工のように宿っているのも……」
理知的で端整な容貌が無垢な淫らさに煌めいているのを見ることが出来るのは祐樹だけの特権だ。愛の交歓には積極的な人はサーモンピンクの舌を出して頬から伝って落ちて来る白い粒を美味しそうに愛おしそうに舐めている。決して美味ではないその白濁なのに……。そういう健気な点も大好きだ。
「祐樹が満足してくれたなら、私はとても嬉しい」
紅色の鮮やかで瑞々しい花のような笑みを浮かべている。いつまでも見詰めて、いや魅入ってしまいたい艶姿だったが、お湯を張りかけのバスタブも気になった。
「既にお湯も充分ですよね。あちらに移動しませんか?その前に顔を綺麗にしましょうか」
愛の証しだとしても現実的には不快だろう、多分。
「もう少しこのままでいたいな……」
可憐で淫らな笑みを口淫で真っ赤に染まった唇に浮かべている様子も最高の眺めだ。
「分かりました。では、一緒に来てください」
恭しく手を差し出して、最愛の人を誘った。馥郁たる薔薇の香りのするバスタブに二人して浸る。祐樹の胸にしなやかな背中を預けた形で。祐樹はともかく、彼は一度も頂点を極めていない点を考慮して情動を高めるべく健康的な紅色に染まった耳朶を軽く噛んだ。そして薄紅色の胸の尖りをルビーの紅に変えるべく掌で軽く転がし続ける。
「祐樹……とても気持ちが悦い……」
祐樹の掌に押し付けるためにしなやかな背中が胸から離れる仕草の快楽に浸りきっているのだろう。ただ、彼は強く愛されるのを好んでいるのは知っている。この程度では物足りないだろう。
「聡が大人のおもちゃをお嫌いなのは存じています。具体的にどのような点が苦手なのですか?」
二人の恋の応援をしてくれるが、お茶目な悪戯好きの杉田弁護士が送りつけて来た、男性器を大袈裟にデフォルメされたシロモノを導火線に着火した爆弾みたいに投げてしまったのは知っている。そういう話は行為の最中でなければ聞けない類のモノだ。
「え?人工的に……そして行為のためだけに作られた点だな……」
艶やかな声が薔薇の香りに混じっている。祐樹も別段、そういうおもちゃを好んでいるわけではなくて、最愛の人の性感を研ぎ澄ませたいだけだ。
「では、人工的なモノでなければ良いのでしょうか?例えば真珠のネックレスとか。聡の真っ赤に咲き誇った花園の中に8ミリ、いや1センチくらいの真珠の玉を次々と挿れると綺麗だと思います、よ?」
更に紅くなった耳朶を甘く噛んで舌で宥める。律儀な恋人はまざまざと想像したのか、しなやかな肢体が紅く跳ねた。掌で転がすのではなくて、爪で二つの尖りを弾く動きに変える。
「それに、しどけなく開いた花園の入り口に間断なくコリコリとした真珠が当たるのも一興だと思います」
実行する積りはさほど無かったものの、彼の返答次第で決断しようと思った。実際紅く染まった最愛の人の花園は蠱惑に満ちている。その紅壁に真珠の鈍い煌めきを添えたらどれほど綺麗だろうと想像するだけで眩暈がしそうだ。爪を下から上に削ぐ勢いで弾くと濡れた艶やかな声が薔薇の香りよりも芳しく浴室に立ち込めているような錯覚をもたらしてくれる。
「……それはっ、祐樹の……望みなのか……?」
切れ切れに上がる甘い嬌声に混じって怜悧な響きが堪らない。想像して感じているのと共にきっと祐樹を悦ばせようとする心遣いなのだろう。
「正直なところ拝見したい下心はやまやまなのですが、聡は抵抗がありますよね?だったら涙を呑んで諦めます……。真珠のネックレスではなくとも、真っ赤な花びらのような極上の場所に真珠の熱い雫をばら撒いているので、実質的には同じですよね。硬さは異なりますが……」
安堵したような吐息が甘く紡がれた。祐樹のリクエストには応えようとしてくれる最愛の人だけれども、おもちゃめいたモノを使ってというのはかなり抵抗があるらしい。そういう点も愛おしいのだが。愛らしく固く尖った場所から指を離して程よく引き締まった腹部を経由して下腹部へと滑らせた。きっと具体的に想像したのも奏功したらしく花芯は育ち切っている。
「あ……っ……」
祐樹の指がお湯ではない水晶の液体を零している先端部分に円を描くとより一層艶やかで小さな声が浴室に紅い花を撒いているかのようだった。
「聡、そろそろベッドに参りませんか?」
取って置きの低く甘い声を紅色に染まった耳朶に浸透させる。最愛の人は、祐樹の肩に凭れ掛かっていた頭を動かして祐樹と視線を絡めてくる。上気した頬に真珠の雫が蠱惑的に煌めいていた。
--------------------------------------------------
二個のランキングに参加させて頂いています。
クリック(タップ)して頂けると更新のモチベーションが劇的に上がりますので、どうか宜しくお願い致します!!
にほんブログ村
小説(BL)ランキング
2ポチ有難うございました<m(__)m>
本記事下にはアフィリエイト広告が含まれております。