腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します 申し訳ありませんが書く時間を最優先にしたいのでリコメは基本的に致しません。 要望・お礼などは「日記」記事でお応えしますが、タイムラグがあることも多いです。

2023年05月

気分は下剋上 離宮デート 38

 お湯呑みと茶托が二つ、そして茶筒や厚い布をかぶせたティポットに似た形状の物や急須が置かれている。急須とティポットは同じような用途で使うので何故だろうと思っていたのだけれども、最愛の人は綿入りと思しき緑色の絹を細く長い指で持ち上げた。
「ああ、この模様は『辻が花』だな……。ほら藤の花と思しき紫色の花房が描かれている」
 確かに先ほど見た藤の花にそっくりだった。
「こういう染物は手が込んでいる分さぞかし高価なのでしょうね……」
 母はそれなりに知識があるようだが祐樹にはサッパリ分からない。
「『辻が花』には人間国宝が居て、その人が手掛ける振袖とか訪問着は300万円以上で売っていると読んだ覚えが有る」
 そんなに高いのか……と驚いたけれども、人間国宝に選ばれるとなるととてもハイレベルなので適正価格かもしれない。
 それに藤の花房が垂れ下がっている模様は華やかで成人式などに着る振袖には持ってこいの図柄だろう。
「そんなに高価なのですね。しかし、季節が藤の花が咲く前というふうに限定されないのですか?」
 振袖といえば成人式と大学の卒業式がメインだろうなと思ってしまう。あとは結婚式に出席するとか。
 茶筒を開けて薄紅色の手を振ってお香を「聞く」感じで茶葉の香りを確かめている最愛の人は藤の花よりも華やかな笑みを浮かべてティポットを確かめるように撫でている。
 ティポットは艶やかな白磁で、薄紅色の指と良く調和している。
「昔と異なって和服を着る機会は成人式とか結婚式など特別な時だけだろう?だからそういう世情に合わせて藤の花以外の他の季節の花も描くことで一年中着ることが出来るように工夫されている振袖が多いな。
 茶道の家元とか歌舞伎などの伝統芸能の家に生まれた人やそういう家に嫁に入った女性、そして皇室などの和服を着る機会が多いお家柄とか歌舞伎鑑賞に行くのが趣味の人向けには季節限定の花しか描かれていない着物をお納めする呉服屋さんも有るらしいけれども……」
 色々と奥が深い世界らしい。
 そう言えば母の留袖(とめそで)は各季節の花が控え目に描かれていたなと朧な記憶を想起した。母は着道楽でもないし、歌舞伎に行くとかいうような高尚な趣味も持っていない。
 また季節ごとに着物を誂えるくらいならそのお金は貯金しておくことを選ぶ人だ。
「ああ、ニュースで観ましたが天皇陛下主催の皇居での園遊会で皇后陛下が菖蒲(しょうぶ)と思しき花を――貴方が菖蒲と杜若(かきつばた)(あや)()の違いを教えてくれたお蔭です――中央に描いてあるお着物をお召しになっていましたよね。
 あれ?しかし菊も入っていたような気も致しますが……」
 菊はお葬式とか仏壇に供える用途も有るので花屋さんに行けば一年中売っているが、古文の知識では9月9日の重陽(ちょうよう)の節句に使われる花だ。三月三日のひな祭りに桃の花が使われるのと同様に。
「皇室のご紋にもなっている花なので敢えて描かれたのではないかなと思って拝見していた」
 知識の宮殿のような人らしい蘊蓄(うんちく)に感心してしまった。
「皇后陛下は皇室に最も(ゆかり)の有るお花を加えられたのですね……」
 和紙で覆ってある物が気になって中を見ると薄茶色のコロンとした小さな和菓子が8つ並んでいた。それほど食欲をそそる色ではないし、茶色はどちらかというと冬のイメージだ。何故今ここに用意されているのかと内心で首を捻った。
「祐樹、この茶葉は玉露で、お湯の温度は70℃くらいだ……」
 弾んだ声を紡ぐ薄紅色の唇がどんな花よりも魅惑的だ。
 いそいそといった感じで鮮やかに動く指が茶葉を急須に入れて白磁のティポットを高い位置からお湯を落としている。家でお茶を淹れてくれる時はこういう仕草はしない。
「それはどういう意図が有るのですか?」
 不思議に思って聞いてみた。
「玉露は60℃のお湯で淹れるのが最も美味しいのだ。こうして注ぐと外気温に晒されてお湯の温度も下がるので……」
 最愛の人の敏感な指は――元々はバイタルサインとか患者さんの色々な部分の温度をざっと知るために使っていたのだろう――温度までも分かるのだなと感心してしまう。
 ただ70℃とか60℃は人体の中では存在してはいけない温度だ。
 例えば熱中症よりも症状が重い熱射病では腋下温度は38℃以上深部体温が40℃以上で脳機能障害や肝臓・腎臓・血液凝固障害が起こる。救急救命室で速やかな冷却療法と人工透析や輸血を行わなければ死に至る。
 故に40℃以上の熱は職業とは関係ない。もしかしたら祐樹のために凝った料理を作る時にそういう温度を計るためだけに覚えてくれたのだろうか?
「そうなのですね?鬼退治アニメの主人公も玉露が好きだとどこかで言っていましたが、それほど美味しいとは思わかなかったです。もしかして温度の問題だったのかも知れません」
 細く長い首を優雅に傾げた彼は注意深く蓋をした急須を見ている。
「好みの問題も有るからな……。祐樹が気に入ってくれれば嬉しいのだけれども……」
 彼は二つのお湯呑みに交互にお茶を注いでいる。
「貴方が淹れて下さるお茶は美味しいに決まっています。その順繰りにお茶を注ぐのも意味が有るのですよね?」
 そういえば、自宅で日本茶を淹れる時にも同じことをしていたなと思い出した。
「茶葉からお湯にお茶の成分が溶けていくのだけれども、濃さを調節して同じにするためにこうして注ぐのが良いとされているな」
 急須の蓋を薄紅色の指で開けて中を熱心な眼差しで見て安心したように笑みを浮かべている。
「なるほど……。とても勉強になります。何故急須の中を気になさるのですか?」
 花のような笑みが深くなった。
「玉露はお湯を最後の一滴まで絞り切らないと、二煎目以降の味が落ちてしまうのだ」
 薄紅色の指が湯呑みを茶托に置いて祐樹へと差し出した。
 ふわりと香るお茶の清々しい感じと青葉のようなお茶の色がとても綺麗だった。




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気分は下剋上 雪遊び 77

「炎の柱は世襲ですよね。そして痣のことも『無限列車』で活躍したキャラのお父さんが読んでいた書物に――主人公の耳飾りも『書いてあった』と父親が逆切れの嫉妬の余り、ずたずたに破いてしまっていましたけれど――『(あざ)』という文字が辛うじて読めたました。ああ、だからあの連綿と続く炎の柱の家系には痣が出ていないのですね。出ていたら嫉妬なんてしませんし……」 
 最愛の人が言いたいことが徐々に分かって来た。彼はすき焼きの『割り下』と生卵を混ぜた物に肉や豆腐やエノキや春菊をバランスよく入れている。日本でしか食べられないらしい「卵かけご飯」の豪華版を作る積りのようだった。
 祐樹は海外で生活したことはないけれども、学生時代の試験前とか課されたレポートが山積みになってしまった時には「玄関開けたら二分でご飯」がキャッチフレーズのレンチンご飯と生卵を混ぜて食べるある意味簡単に作る(?)料理で空腹をしのいだことが多々あって、スタンダードな料理(?)だと思い込んでいた。
 ただ、Ai(死亡時画像診断)の積極的な推進者の医師兼作家の先生の小説を「何かの時に逢った時に備えて」という理由と単純に読み物として面白いからと読んでいた。
 祐樹も隣に座って薄紅色の笑みの花を咲かせてお箸を器用に使っている最愛の人も「例の地震」の時のことをまとめた共著の本を出版して具体的に感想を述べてくれた人に対してとてもとても感謝したし、その先生達には好意を抱いた。
 多分その先生も同じだろう。会うと分かってから急いで読むよりも普段から準備していた(ほう)が良いと考えていた。その先生の多数の著作の中で具体的な書名は忘れてしまったのだけれども外国で医師として長いこと勤務していた女性が久しぶりの帰国で「何を食べたいか?」という質問に卵かけご飯と間髪入れずに答えていた。
 きっとヨーロッパ圏内では卵が新鮮でないとかそういう事情で食べることが出来ないのだろう。いわば日本のソウル・フードなのだろう、多分。
「心拍数の問題は置いておいて、痣を出すと良いということをご先祖の手記で読んだせいで妊娠した妻にワザと火を見せたのではないかと考えている。そのせいで髪の毛の色が変わったのだろう……。あ、祐樹も要るか?卵かけご飯……」
 白いご飯に割り下と新鮮そうなぷっくりとした卵の黄色い色が幸せの象徴のような湯気を立てている。
「成る程……敢えて妊娠中に火を見せることで痣を出すという逆転の発想ですね……。炎の呼吸は他の呼吸と異なって家相伝ですから――何せ『奥義』に苗字が使われているというのは他の家の人には『奥義』までは教えないみたいです――痣の有る息子が生まれる点は悲願だったのかも知れませんね。
 桜餅の食べ過ぎで髪色が変わったり雷に打たれて金髪になったりしたという『合理的な』説明がまかり通る作品ですから、お腹の中に居る時に髪の毛の色が炎色に変わったという点も説明が付きます。
 主人公達も『継子(つぐこ)』に誘われていましたけれど……。柱が直々(じきじき)に稽古をつける才能のある人を『継子』と呼ぶみたいですよね。毒を使って鬼を殺す蟲柱(むしばしら)の『継子』は花の呼吸でしたので呼吸が異なっていても大丈夫みたいです。
 まあ、お腹の中に居る時に同じく火を見たと思しき弟(くん)は髪色こそ同じでも剣の才能に恵まれなかった点は気の毒でしたが……。
 その貴方の説は説得力がありますね……。流石です……」
 最愛の人は誇らしやかな感じの笑みを浮かべて頷いている。
「ただ、清水研修医とか医局の皆も親が医者をしているという人も多いので、武道に限った話ではなさそうです……。森技官なんて産婦人科のクリニックを継ぎたくない一心で厚労省に入るというコペルニクス的な発想の転換をしましたよね。
 医師の家に生まれるのもある意味プレッシャーですよね……。
 私『が』医学部以外の学部に進んでも誰も文句は言わないですし、すんなりと受け入れられる思います。
 あ、頂きます。ただ割り下は少な目でお願い致します……」
 最愛の人は思い当たったという感じの笑みを浮かべている。卵かけご飯は好きだけれども、割り下の砂糖と味醂(みりん)の甘さは少し苦手だった。
 祐樹は医学部に入りたかったがそれはあくまでも個人的な問題で、落ちたとしても母親からは何も言われないだろう。母の願いは立派な学歴を付けて欲しいという曖昧な物だった。勿論親戚とかにも煩いことを言われたことはなくて、合格後物凄く祝福された程度だった。
 最愛の人も親戚に医師はいないので雑音は入らないという点では一緒だったのだけれども、病院の馬鹿令嬢と将来結婚してその病院を継ぐという条件で生活費の援助を受けていた。
 だから医学部を落ちてしまったら――最愛の人が不合格になるとは考え辛かったけれど、「受験は水物(みずもの)」とも言われているのも事実だった――だから親とか親戚とは異なるしがらみが出来ていたので敢えて「私達」とは言わず「私『が』に限定して話した。
「ああ、砂糖の味か……。分かった。では味を調節するな」
 薄紅色の指が醤油の入っている焼き物を傾けて新しい卵を水の流れよりも鮮やかな箸裁きで祐樹用の卵かけご飯を作ってくれている。
 炭の火の赤や黄色、そして青色の部分がとても綺麗で、こういう江戸時代から続く日本式の調理用具とも相俟って二人だけが別の次元に放り込まれたような気がする。
 第二の愛の巣とも言うべきホテルにも西洋式の暖炉が冬になると火が入るけれども、そちらよりもより親密な感じがする。




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すみません!!体調不良でダウンしてしまっていました。ただ、今日も絶対に外せない仕事が有りますので、本日更新はあと一記事だろうと思います。
すみませんがご理解とご寛恕をお願い致します。
 こうやま みか拝


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気分は下剋上 ホワイトデー狂騒曲 (I8禁)65

 薄紅色の花びらの中につぷりと指を()れると厚く熱いシルクがひたりと包み込んでは奥へと誘ってくれる。
「あっ……」
 満開に咲いた花の満足げな溜め息のような婀娜(あだ)めいた声がシーツの波を紅く染めるようだった。
「聡の花園の極上のシルクの感触には、私が差し上げたプレゼントなんて足元にも及びません……。凝った硬い(つぼみ)此処(ここ)……」
 最愛の人の弱い箇所を二本の指で摘まんでもう一本の指で軽く叩く。
「ゆっ……、祐樹っ……。そこっ……()っ」
 中指を微細に動かすと紅に染まった肢体が切なげに揺れている。すっかり育ち切って先端から大粒の水晶の雫を絶え間なく零している花芯も期待に戦慄(わなな)く感じで震えている。
「祐樹っ……。とても悦くて……、ただっ……」
 紅に染まった肢体がシーツの波の上を跳ねて濃い紅色の粉を撒いているような錯覚を覚えた。
「ただ、何ですか?」
 指だけでこんなに気持ちが良いのだから、祐樹の最も敏感な場所で感じたら即座に絶頂を迎えそうだ。
 最愛の人の極上の花園の中は祐樹にしか許されていない天国のような場所でもあり、蠱惑に満ちた魔性の場所でもあった。
 この愛しい人の最高の花園の感触を知っているのは祐樹だけだと思うとなおのこと愛おしさと優越感がこみ上げてくる。
 指で熱く厚いシルクの感触を、目では艶やかな肢体が乱れていく様子を味わうと祐樹の欲情の証しも徐々に滾ってくる。
「そこを……弄られると……こちらもっ、愛して……欲しくなるっ……」
 背筋がしなやかに反って、ルビーの艶やかさで煌めいている二つの尖りが祐樹の身体の(ほう)へと傾げられた。
「先ほど愛して差し上げましたよね……。今度はご自分で弄って下さい」
 乳液の助けを借りたとはいえ、すんなりと三本の指を迎え入れることが出来るようになった花園は祐樹の丹精の賜物と生来の資質だろう。
 ただ、初めての夜からずっと最愛の人は祐樹の許しがないと何もしない無垢さは変わっていない。そういうギャップにも物凄くそそられる。
 濃い紅色に染まった長く細い指がおずおずといった感じで二つの尖りへと差し伸べられて祐樹の中指が凝った蕾を軽く叩くリズムに合わせて先端部分のみ円を描いている。その微かな指の動きも次第に速さを増していく。羞恥めいた戸惑いよりも悦楽に全てを委ねた感じがとても良い。
 濃い紅色の細い指がルビーの光沢を辿っている様子は独りで慰めているような背徳の淫靡さに満ちている。
「あっ……。ゆ……祐樹っ……。頭の中で……花火がっ……爆ぜている……ようでっ……」
 先ほどよりも鮮やかな紅に染まった肢体が若木のしなやかさで反った後に動きを止めた。
 嬌声を紡ぎ続けていた濡れた紅い唇と、先端部分から水晶ではなくてオパールの乳白色も混じっている花芯が震えているだけだ。
 花園の蕾と胸の尖りの愛撫だけで乾いた絶頂を迎えることが出来る最愛の人が今まさにその状態に至ったのだろう。
 普段は理知的で怜悧な印象を与える端整な顔立ちも紅く染まって涙の粒が魅惑的に煌めいている。
 こういう滴るような色香を醸し出している顔を見ることが出来るのも祐樹だけだと思うと愛おしさが募る。初めて夜を共にした日はまだ硬質さを色濃く残していたなと懐かしく思い出してしまう。
 ただそう思ったのは一瞬だけだった。
 彼への愛おしさだけではなくて、指をキュっと包み込んで大胆かつ繊細に動く花園の感触を祐樹の最も敏感な場所で感じたいという衝動に駆られる。
「そろそろ、私の愛情と欲情の象徴を愛する聡の極上の天国に()れて良いですか?」
 紅色の耳朶(じだ)に切実な言葉を注ぎ込んだ後に甘く噛んだ。
「祐樹っ……。私の中に……早くっ…‥来て欲しっ……」
 涙の雫を宿した扇のような睫毛が開いて艶やかな眼差しが切実な光を放っているのも無垢さと淫らさに満ちていて視線を釘付けにする吸引力だった。
 指を抜こうとすると厚く熱いシルクが引き留めてくれるのも愛おしい。
「愛していますよ……聡。うつ伏せになって腰を高く上げて……」
 特別な日だからこそ繋がった場所をこの目で見たくて淫靡な示唆を耳朶へと流し込んだ。
 最愛の人は純白のシーツの波から艶やかに染まった肢体を蝶のように翻した。そして思い付いたような感じで祐樹の顔に艶やかに濡れた顔を近づけてキスをしてくれた。濡れた唇が驚くほどの熱を孕んで祐樹の唇にも火を点けるような甘美な感触だった。
 愛の交歓の時にも祐樹の指図で動く人が自発的にそういう行為をするのは珍しくてそして愛おしい。
 熟した桃のような双丘がベッドの上に高く掲げられすんなりと伸びた脚も大きく開かれている。
 祐樹は両手を彼の胸へと回して肢体を固定しつつ尖りの硬さを掌全体で感じつつ、祐樹の愛情と欲情の証しをゆっくりと()れていく。
「あっ……、開かれる……感触が……とても()っ……」
 彼の花園の中は祐樹を迎え入れて花びら達がヒタリと密着しているものの、弱く強くバラバラな動きで祐樹の楔を締め付けてくれる。
 身体だけでなく魂まで繋がる湿った音が寝室を愛の色に染めていく。
 先ほどよりも紅く染まった花園の門へと祐樹の滾った楔が埋め込まれていく様子も絶品だった。




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気分は下剋上 離宮デート 37

「真言宗や天台宗の寺院は女人(にょにん)禁制だった。稚児は器量(きりょう)の良い子供が選ばれやすかったらしい……。
 寺の門から出ることが出来ない大人の僧侶達にとって、稚児は『そういう』欲望というか、憧れの対象として見られていたみたいだな……。
 日本の芸能人はあまりそういう呼ばれ方はしないみたいだけれども、韓流のスターなどは『〇〇様』とファンの間で呼ばれることもあるらしいので、そういう感覚に近いのではないか?
 その稚児と『特別な関係』だったか、それともアイドル的に見ていたのか全く分からないけれども、所謂(いわゆる)アブノーマルな関係性で、先生が生徒に語りたくないと考えた末に言葉を濁したのではないかなと……」
 手を指の付け根まで繋いで隣を歩む最愛の人が苦い笑みを淡く浮かべている。
「ああ、戦国武将とかは我々のような生粋の少数派の性的嗜好ではなくて、妻子も居てというバイセクシャルの人が当たり前でしたよね……」
 すとんと腑に落ちて最愛の人の切れ長の瞳を感心の笑みを浮かべて見詰めた。
「男性の噂がないのは豊臣秀吉だけだったという説もあるな……。大名とか天下人の『嗜み』として必須だと考えた家臣が選りすぐりの美童を寝所に送って、次の朝にその彼にコトの首尾を聞いたら『そなたに姉か妹は居ないのか?』とだけ聞かれて何もされなかったらしい。
 それが『珍しいこと』として伝わっているのだから、他の大名は皆が当たり前のようにバイセクシャルだったのだろう。
 お寺は女性禁制なのでそういう場所では異性愛者だった人も同性に『そういう』欲望を抱いて行為に及ぶ人も多かったらしいけれども……」
 古文の教師が言いたがらなかったのはそういうことかと納得した。
「日本人は男色文化について大らかですからね……。
 ただ、あの教師が口を濁した気持ちも分からなくもないですけれど……。
 この離宮には時代的に豊臣秀吉が訪れたことはないでしょうが、彼が唯一れっきとした異性愛者だったと思うと何だか可笑しいです。しかもそれを『異端』だと認識されていたと思われていたとは……」
 祐樹に発言する資格が有るかは大変微妙だけれども、バイセクシャルが「普通(ノーマル)」で異性愛者がアブノーマルだと思われていたという点は非常に興味深い。
 最愛の人も祐樹も生粋の同性愛者なので戦国時代だったらどちらにも属さないのだなと。まあ、上杉謙信は一生涯独身だった理由が仏道に深く帰依(きえ)していたからというのが高校の教師の説明だったけれども、同性愛者だったからという説もある。
 仏教では殺生(せっしょう)は大罪だったし、お酒も禁止されている。戦国武将だから当然戦で人の命は奪った――直接的に手を下したかどうかは知らない――だろうし、酒好きとしても有名だった点は最愛の人と「雪遊び」に行った時に話しに出た。
 熱心な仏教徒だったら教義に反したことを二つもするだろうかという疑問点からもれっきとした(?)同性愛者だったという説の方が正しいような気がする。
「秀吉が美童と共に夜を過ごしたにも関わらず、手を出さなかったという噂は直ぐに広まったらしくて……。『そもそも農民の成り上がり者だから(みやび)の道が分からない』と陰で笑われていたらしい」
 若葉の木漏れ日も先ほどよりも濃く煌めいている。
 最愛の人と手をギュッと握って他愛のない会話を交わしつつ歩むのも心までが翡翠の緑に染められていくようだった。それに木の緑を見るのは目にも良いらしいので普段は酷使している目も休められそうだ。
「あそこに東屋(あずまや)が有りますよね?少し休んで行きませんか?」
 特に疲れているわけではなかったけれど――そして最愛の人も若干華奢な見かけに反して標準以上の体力の持ち主だ。まあそうでないと外科医は務まらない――この万緑の庭園を座って眺める価値は充分以上に有るだろう。
 それに庭木の配置や建物の調和はどの角度から見ても完璧だった。折角こういう場所に二人きりで来ることが出来たのだから全てを堪能したい。
「そうだな……」
 花よりも綺麗な笑みを浮かべた最愛の人が晴れやかな表情で祐樹を見上げている。真っ白い砂利が敷き詰められている道を歩んで東屋へと続く階段を二人で上った。
 青葉と花の香りを運んでくる風や燦燦(さんさん)と日光が射している広大な場所で人目を気にせず手を繋いで歩く多幸感は何物にも代えられないほど貴重な時間だ。
「あれ?これも私達のために用意されているのだろうか?」
 最愛の人が切れ長の目を瞠って繋いでいない(ほう)の薄紅色の指で示している。
 四人程度が入って座ることが出来る空間だったけれど、真ん中にテーブルめいた物が設えてあってその上に錦の布をかぶせた割と大きめのお盆が載っていた。
「そうみたいですね……。好きに使って良いということだろうと思いますよ?ここまで歩いて来ましたけれども、無駄な物は一切なかった上に庭の状態も完璧でしたよね。
 手入れが行き届いているという感じだったので、誰かが使った物を置きっぱなしにするとは到底思えないです」
 最愛の人が紅色に弾む指先で赤と金の布をそっと外している。
「手が込んでいますね……。それに、こういう心遣いが『おもてなし』の具現化なのですね……」
 心の底から感心して薄紅色の指が露わにした物と最愛の人の弾んだ笑みを浮かべる顔を交互に見た。





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気分は下剋上 雪遊び 76

「祐樹も知っての通り(あざ)というのは色々あるけれども、赤い痣は皮膚科では『血管腫(けっかんしゅ)』と呼ばれていて、あのアニメの描写と似ているのは血液中に存在する赤血球が皮膚にまで浮き出た物を言うな。
 ちなみに茶痣は表皮に存在するメラニン色素が多いために周りの皮膚よりも濃く見える物で……」
 薄紅色の長い指が弾んだ動きで祐樹の取り皿に良く煮えた豆腐と白菜と大ぶりの椎茸(しいたけ)を入れてくれている。彼は祐樹の苦手な食材を当然把握しているので、その中には含まれない物かつ、そして少しでも身体に良い物を摂って貰いたいという意図だろう。
 ただ、「祐樹も知っての通り」という枕詞的(まくらことばてき)な言葉を付けて説明されると祐樹としては背筋にむず痒い感覚が走る。
 皮膚科は大学時代に単位取得のために勉強した覚えはあるけれども、祐樹得意の一夜漬けの試験勉強の後に大学に行ってB4の答案用紙に書いて提出した後には綺麗サッパリ忘れ果てるという「どうでも良い」科目の勉強法の中に入っていたのが実情だった。
 実家がクリニック経営をしている同級生などは外科であれ内科であれ患者さんの「ついでの相談」で「皮膚科の勉強もしなければならない!」と恨めしそうに言っていたのを「大変だな」と他人事(ひとごと)として聞き流していた。
 学生時代の祐樹は専門性に特化した大学病院である程度の(はく)を付けたら私立の大きな病院に移るか、大学病院で停年まで残るかの二択だと考えていたので――そして最愛の人と巡り合った後は後者一択になった――皮膚科の知識は忘却の彼方だ。
 こと皮膚科に関しては問題の有る病院にハケンの医師として潜入捜査をする森技官の方が詳しいのではないかと思ってしまった。
 森技官の場合も「皮膚科大全」という書物を患者さんに「見せながら」診察するという大学病院ではあり得ない方法を取っていると聞いている。皮膚科の専門医ではないので書物(アンチョコ)を見ながらの方が確実なのは確かだし合理的だと思って聞いていた。
 ただ、医師としてはペーパードライバーの森技官に負けているのは何だか悔しい。しかし皮膚科の勉強をする時間などはないのも事実だった。
 心臓外科とは全く関係ないし救急救命室に搬送される患者さんも皮膚科とは縁がない。だから学生時代の(おぼろ)な記憶が上書きされる機会(チャンス)は皆無だった。
 幸せそうな笑みを浮かべて弾むようにお箸を動かしている最愛の人にそこまで自己申告する必要はなさそうなので曖昧に笑って誤魔化した。
「とにかく痣が有るというのは――特に顔とか他人の目に触れる場所だったら――あまり見た目が良いとは言えないだろう?」
 彼の紡ぐ言葉に頷いた。
「何のドラマか覚えていないのですが、徳川将軍の顔に大きな赤い痣が有ってそのせいで劣等感(コンプレックス)を感じて性格もねじ曲がったという設定の物を観た覚えが有ります……」
 彼が取り皿に入れてくれた椎茸は椎茸独自の味と香りとそれに絡まったすき焼きの割り下が絶妙なバランスで口の中に広がって行く。祐樹の好みよりも甘いけれどもこの程度なら許容範囲内だ。
「祐樹の言う通り(あざ)はない方が良いだろう?
 そこで民間伝承というか……、少なくとも江戸時代から明治大正、いや昭和の時代でも地域によっては深く信じられたお(まじな)いみたいなものが有って『妊娠中の女性に火事を見せるな。見せるとそのお腹の子供に痣が出来る』と。
 妊婦さんの精神状態を平穏に保つための戒めみたいなものだろうけれども……」
 祐樹が小学校の頃に近所で家一軒が全焼する火事が有った。濃い煙の匂いと火の手を見て走って見に行った覚えが有る。
 知り合いの家ではなかったし、消防車とか消防団、そして警察などが出動して懸命な消火活動を行っているにも関わらず火はなかなか消えずに祐樹などはワクワクして――ちなみに家の中に人はいないと隣で見ていた大人達の噂で知っていた――その様子を見物していた。
 無邪気な子供時代だったから「わくわく」で済んだのだけれども大人だったら色々気を揉むことも多いだろう。精神状態だって不安定になるのは必至だろう、多分。
 特に江戸時代は消火方法がなくて類焼のリスクが極めて高かった。そのため周りの建物を壊して燃える物を無くすといった消極的な手段しか取れなかったらしいし、火事によって起こった強風で燃えた木片が遠くまで飛んでいってそちらも燃えたとかそういう実例も多数あった。
 妊婦さんは(自分の家が燃えたら)とか色々と恐怖を感じたり危惧や不安の念を抱いたりすること自体が身重の身体に悪いという理由で最愛の人が言う「お(まじな)い」というか格言めいた言葉が生まれたのだろう。
「ただ、鬼退治アニメの中で痣は身体能力の飛躍的な向上などが見込めるし、どうしたって鬼よりも劣る人間なので痣が発現するのは好ましいことだとされている。始まりの呼吸の剣士にも生まれつき痣が有ったらしいし」
 アニメの痣の発現条件は心拍数が200という普通の人間だと動けなくなるし、救急搬送されるレベルだ。
 大した手術ではないので専門性に特化した香川外科では行っていないものの、カテーテルアブレーションの治療を行う場合も多い。
 この治療というか手術には心臓の異常な回路や部分にカテーテルを使って焼灼(しょうしゃく)または冷凍凝固を行う。普通だと三泊四日の入院で治るしそれ以降は普通に暮らせる。
 香川外科では行っていないものの、救急救命室では何度も行っているので祐樹は割と得意な手術だ。
 しかし虚構(フィクション)の鬼退治アニメでは――そして選ばれた人間のみが――この状態になって身体能力の向上や反射速度が上がるとされていて、痣が発現していない人とそうでない人とでは強さが全く異なるとされている。
 あくまでフィクションとして楽しみたい作品なだけに雷に打たれて黄色い髪になったり桜餅を食べ過ぎたせいでピンクと緑の髪色になったりする「合理的」な理由があるならば、赤色と黄色の髪色も何かしらの理由が有るのだろう、最愛の人の秀逸過ぎる頭脳の中には。





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