腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します 申し訳ありませんが書く時間を最優先にしたいのでリコメは基本的に致しません。 要望・お礼などは「日記」記事でお応えしますが、タイムラグがあることも多いです。

2020年06月

気分は下剋上 公認カップル騒動 54

「まあ、大事に至らなくて本当に良かったですけれど、今後は火遊びをなるべくなら止めるとか、後腐れのない厳選した相手とだけにするとかの改善をお願いします。呉先生まで巻き込んだ騒動になるようなことになったら――多分ですけれど、火遊びが露見してしまったら私の恋人に相談が有ると思いますので――今回の件も合わせて報告させて頂きます。
 それだけは先に言って置きますね」
 森技官に説教が出来る日が来るとは思ってもいなかったが、まあ終わり良ければ全て良しとしよう。
 取り敢えず電話もチャイムも切ったし、食べ〇グの運営の方に「悪質なイタズラ」として報告しておけば大丈夫だろう。
「はい、肝に銘じます……本当にすみませんでした」
 深々と頭を下げられるとそれ以上言及するのは大人げないなと。
「さて、それぞれの恋人の待つ部屋に戻りましょうか?
 今回の騒動の顛末も、疑問点は全て解決しましたから一件落着ということで」
 氷が解けてすっかり薄くなったアイスティを飲み干して立ち上がった。
「そうですね。本当に有難うございました。
 これに懲りて身を慎むことにします。
 精神科専攻だったのが却ってアダになったようです」
 再び深々と頭を下げられて、森技官に一つ貸しが出来たようで嬉しかった。
 話は終わったので応接室に戻ろうとしたら、森技官が意外な行動に出たので驚いてしまったが。
 同じようにアイスティを飲み干した森技官は二人分のグラスを持ってキッチンと思しき方向に消えて行った。
 森技官は縦のモノを横にはしないタイプだと思っていたし、盆栽とかそういう趣味の世界ではマメなのかもしれないが、お茶汲みとかそういう家事に類することは全くしなさそうなイメージだった。
 祐樹がそうだったように、呉先生との生活で家事を手伝うようになったのだろうか?
 厚労省とか派遣先の病院ではそんな気配りはしなさそうではあるし、一応これでも出世頭なので回りが気を遣いそうな感じがする。
 祐樹の場合は医局で看護師などの手を煩わすのはタブーなのでセルフサービスが原則だったが。
 最愛の人のように秘書が付いているわけでもなかったし。
 と言っても根っからの庶民育ちの祐樹は――最愛の人も育ちは庶民だけれども、アメリカで世界的な知名度を得たならそういう好待遇も当たり前だと思うし彼は教授職を特別なモノとは思ってもいないようだし、秘書も病院長に「付いているのが当たり前。で、どんな妙齢の美女が良いかね?」的なことを聞かれたらしいが、実務能力だけを鑑みて停年間近の女性を選んだという彼らしい素っ気なさだった――人に指図してどうこうしてもらうよりも、自分で動いた方が遥かに面倒もないことも知っているので現状で満足している。
 しかし森技官の場合はお坊ちゃま育ちだし――詳しくは知らないが――専業主婦のお母様以外にも家政婦さんとかが居ても全く驚かないハイソサエティな生まれ育ちなので、そういう雑務をするのが意外だった。
 リビングの向こうからは食器を手で洗う音まで聞こえて来たので尚更のこと。
 最愛の人のマンションには食洗器が備え付けてあって――何事も一桁違うのではないのか?と思いたくなってしまう長岡先生が帰国準備で多忙を極めていた彼に代わってあの部屋に決めたと聞いている。
 部屋に予め付いていたものか、それとも長岡先生が全権代理を任されていたので購入したのかという点は聞きそびれている。多忙な朝などは最愛の人にお祐樹にとって食洗器は必要不可欠な機械だが、その出どころには興味がない。
 そしてマンションにはハウスキーパーが入っているけれども、二人が仕事に行っている間に掃除や洗濯などを済ませてくれるので長い間あのマンションに住んでいながら顔を合したこともない。
 そういう機械のように――と言ってはキーパーさんに失礼だろうが――するべきことをきっちりとしてくれて、しかも舞台の上の黒子よりも目立たない存在なら充分に許容範囲だが、対面ともなるとそうはいかないだろうし。
 それに森技官が食洗器も使わずに手でコップなどを洗っている図というのは意外過ぎて笑ってしまう。
 洗い物などは全くしないイメージだったので。
 まあ、呉先生は外見のスミレの花の可憐さとは裏腹にケンカも必要に応じてはするような性格だし特に恋人の森技官に対しては心の底から激怒している迫力は相当のモノだった。
 まあ、滅多に怒らないとは思うものの、その破壊力は――そして今回の火遊びが露見したら森技官のメンタルまでやられそうな勢いだろう――凄まじいだろう。
 まあ、一度きりの過ちを――と言っても森技官の口ぶりでは何度も火遊びとやらをしてそうな感じだったが――呉先生に知らせても良いことはないだろうし、しかも連日連夜、四六時中デリヘ〇の電話とか食べ〇グで見たとかいうお客さんがこの薔薇屋敷を「民家を改造したバー」という認識で開けて欲しいと怒鳴ったり玄関のチャイムを鳴らしまくったり挙句の果ては門を思いっきり蹴られたりしたらおちおち眠れないのは火を見るより明らかで、睡眠不足とか――そして愛の行為が出来ない状態で欲求不満でイラついているのも分かる。
 欲求不満と言えば、何故寝室に大人の「おもちゃ」がこれ見よがしに置いてあったのかは依然としてナゾだった。
 始発の時間まで開店しているバーという食べ〇グの情報を鵜呑みにした泥酔客が押し寄せて来るならば尚更のこと愛の交歓は出来ないわけで、欲求不満になりがちだ。
 だったら「ハマってしまった」という呉先生がそういう「おもちゃ」に頼らないのだろうか? 
 まあ「人のセック〇は笑ってはいけない。何故なら貴方も同じようなことをしているから」とか書いてあるものを読んだ覚えが有るので、これ以上の詮索は止めよう。
 ただ、森技官は二つのグラス以外にも洗い物を続行している食器の重なる音が響いてきた。
 自分の使った食器だけでなくて、多分シンクに置きっぱなしにされてあった食器をまとめて洗う積りなのだろう。こんなにマメだとは思っていなかったし、思いっきり意外過ぎて何だか仰天した魂が大気圏外に飛んで行きそうな気がした。
 いつも座り心地の良いソファーにふんぞり返っているイメージしかなかったので意外過ぎて驚愕というか、大袈裟に表現するならばムンクの叫び状態のような心境だった。
 リビングで待っていても仕方ないので応接室へと戻った。
 すると、最愛の人が助けを求めるような眼差しを浮かべている。
 一体呉先生は何を言ったのだろうか?




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感想(757件)























最後まで読んで頂きまして誠に有難うございます!

今回4話も更新した理由は二点有りまして。

昼間は銀行に行ったついでにネカフェで原稿書くとかしていまして。そして本日、いやもう昨日ですね。
下書き保存した積りが、公開設定にミスっていました。慌てて下書きにし直ししましたが。だからブログ村とかで新着に載ったのに「記事がありません」のエラーでパニくらせてしまったお詫びが一点目。

そして、親戚からの毎日の電話攻撃で参ってしまって……それを一時でも紛らわせたいなと。
小説書けないメンタルの時も有りますが、今日はそうでもなかったので一種の現実逃避です。

今夜更新分からは三話を目指します!

   こうやま みか拝








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気分は下剋上 健康診断 5

「死因は外因性の複雑骨折と、肋骨が肺に突き刺さったことによる呼吸不全という複合的なものでしょうね。

 それまでは私でも分かるのですが、歴史学者の研究の場合は何故そのような事故だか他殺だかが起こったのかとか、犯人は誰だとかそういったことまでを解き明かさなくてはならないみたいですね。

 ですから、この外傷が何故起きたのか程度はこちらにも見解を求めて来ると思います。

 まあ、他の人間による暗殺かも知れないですが、そういうライバルというか王位簒奪を目論む人間が居たとまでは聞いていませんが……。取り敢えずは死因の周辺事項を聞かれるでしょうね」

 最愛の人のために自販機で紅茶を買って戻った。といっても紙コップ式の飲み物なのであまり美味しくはないのが欠点だったが。

 まあ、ないよりはマシという程度の感じだった。

「この頭骨陥没と、二つの穴が気になるな。直径は見たところ同じだし、しかも形まで似ている。何か対になっているような感じだ……。動物の歯かもしれない」

 動物か……それは確かにそうかもしれないなと思ってしまう。ただ、王様が庶民のように単独行動しているとも思えないし、動物に襲われるものだろうか?なんだかお付きの人とか護衛の兵士なんかをわんさか連れて乗り物に乗っているイメージだった。

「動物ですか?

 ナイル川には大きなワニとかカバとかが居たというのは知っていますが……。

 どちらも物凄く狂暴だとか読んだ覚えが有りますが……」

 ミイラになっているために皮膚などの損傷具合は――ミイラを作っている時に出来たのかもしれないし――定かではない。

「カバも牧歌的な外見には似合わないほどだという話は私もどこかで読んだことがある。

 ワニはないだろうし、それほど詳しくないので歴史学者のチームが来た時には脚注付きで聞いてみなければならないが……」

 最愛の人がやや薄い、そして引き締まった唇に手を当てて考え込んでいる様子だった。

 そういう真剣そうで怜悧な目の涼やかな光も祐樹にとっては宝石よりも貴重な煌めきだった。

「ああ!ワニに襲われたなら常識的に考えて脚の部分、ワニの大きさにもよりますが下半身をもっと損傷しているとお考えなのですか?」

 最愛の人の方が科学的な知識も豊富だし、答えというか正解を導き出すようにとの問いを与えられたらそれを解かずにいられないタイプだった。

 それ以外のことは――容量が無限大ではないかと密かに祐樹などは勘ぐってしまっているが――覚えているもののスルーしていることの方が多い。

「それも有るが、ワニもカバも基本的には水辺にいるだろう?ナイル川だとは思うがあそこは葦が生い茂る湿地帯だったらしい。そんなぬかるんだ土地で、頭骨が陥没するような怪我は負うはずがない。日本の川だったら河原に大きな石が転がっているということも考えられるけれどもナイル川は毎年増水しては引いていくことの繰り返しだからどんな大きな石でも増水した川の流れに巻き込まれてしまうとか読んだ覚えがある」

 なるほどなとしみじみと感心してしまった。

 やはり最愛の人のアドバイスを貰って良かったなと。

「なるほど。そういえばそうですよね。あの頭骨の陥没具合は自転車に乗っていて車にぶつけられた患者さんを思い出してしまいました。もちろん意識不明の状態で救急救命室に搬送されて来たのですが。そういう類いの外傷ですよね……」

 最愛の人が祐樹の顔をマジマジと見ている。

 見つめられて嬉しいものの、そこには――これからCTMRI検査の後に約束しているセンター長室で愛の交歓をする時のような――艶やかさは皆無で、怜悧で理知的な光しか宿していなかった。

「事故で頭を打った時にもああいう感じの陥没が起こるのだな?

 だったら、二つの穴もその時に付いたものだろう。

 おそらくはライオンだとは思うが、そのような大型の動物で、水辺近くにはほとんど居ない――まあライオンだって水を飲みに来る時くらいはあるだろうが――大型動物に襲われたに違いない。

 カバという線も考えられるが、ああいった歯形――これも歴史学者のリームに聞いてみないとはっきりとは分からないが――を二個残せるのはライオンくらいだろう……」

 ライオンといえばアフリカというイメージしかないし、祐樹も救急救命室勤務は長いものの近くにはサファリパークもないのでそういう大型動物に襲われた患者さんを診たことはない。ただ、野犬の群れに襲われたという患者さんが搬送されて来たことはあった。

「そういえば、野犬の群れに襲われた人の場合、まずは脚をそして、転倒したら馬乗りにされたとか言っていた過去の患者さんはいますね。

 まあ、野犬なので噛み傷の方が多かったですが。

 けれど、ライオンってエジプトに居たのですか?」

 あまりにも初歩的な質問だったので笑われるかと思ったのだが、最愛の人はごくごく真面目な表情で頷いている。

「生息していたみたいだな。ライオンの世界分布は現在の私たちが思っている以上に広かったようなので。

 ライオン狩りがこのミイラの時代に盛んだったのかどうかは知らないが、軍事訓練と兵士への慰安も兼ねて行われていた時もあったらしい。

 しかし、その相手のライオンの状態が全く分からないので確信めいたことは何とも言えないが、王様主催のライオン狩りとかではなくてお忍びで出かけた時に奇禍に遭ったという感じだな。

 ライオンに襲われて噛まれた傷がこの二つの穴だろうと推測される。まあ、その辺りは研究者の方が詳しいと思うので、ライオンの牙とか持っていたら傷口と合致するかどうか確かめられるだろうし。

 そして転倒させられた処に運悪く石が有ったのではないだろうか。

 肋骨の骨折はライオンが体の上に乗ったからでは?」

 ライオンがエジプトに居たという事実を祐樹が知らなかったとはいえ、見事な推論に頭が下がってしまった。

 死亡時画像診断も仕事の一部とはいえ、歴史の造詣の深さとか科学分野にも秀でている点は最愛の人に聞いてみて本当に良かったと思った。

「有難うございます。取り敢えず中間報告として貴方の仰ったことをメールで伝えて良いですか?」

 確認というか断られない前提で聞いたのに、最愛の人は白鳥よりも優雅な首を緩く横に振っていた。

 いったい何が問題なのだろうか?

 
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最後まで読んで下さいまして誠に有難うございます。もう六月も終わりですね。
一月に母が亡くなったので、月日が過ぎるのも例年よりも遥かに早く感じます。
人が一人亡くなるのも辛く悲しい出来事ですが、うちの場合は会社も経営していますので消去法で代表になってしまったので忙しさもひとしおです。
暑くなりましたが読者様もお体ご自愛くださいませ。
    こうやま みか拝










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気分は下剋上 学会準備編 409

「女性に申し上げるのは憚られる内容でして……。本当にお知りになりたいのでしたらグーグル検索などをなさってください」

 検索をして事実を知るのであれば、それは彼女の自己責任というか、祐樹がセクハラをしたという事実すら無くなってしまう。

 一流ホテルのバーに相応しい長さのテーブルクロスの下で最愛の人が感心したような感じで祐樹の指の付け根から先端までを強く握っては離すという些細ではあるモノの、医局員の前では大胆過ぎる愛の仕草をしてくれるとは思ってもみなかったが。

 ただ、遠藤先生だって心の弾みで――医局への迷惑とか女性がいるという配慮もかなぐり捨てて「暴挙」を仕出かそうとしたのも何となく分かる――あんなことをやらかしたのだから、医局員というかこの場に集っている人のテンションは爆上がりなのだろう、人知れず指を絡めている最愛の人や祐樹も含めて。

「分かりました。この飲み会が終わればスマホを使って検索エンジンで探してみます」

 久米先生が慌てた感じで「いや、そこまでしなくても……。そういえば田中先生の彼女さんは来ていなかったみたいです」と岡田看護師の腕を引っ張って音量を落とした声で告げている。祐樹の彼女の件は人間ホルマリンの話題を有耶無耶にしたい久米先生なりの機転だろう。

「ひと昔前ですが、外科医の世界って完全な男社会でしたし体育会系のノリが珍しくなかったのですよ。

 だから遠藤先生もその古い慣習でついついやらかしてしまいそうになったのでしょう。

 ま、レッドカード宣告はしましたからこれ以上の悪ノリはしないと思いますが……」

 黒木准教授が取り成し顔で最愛の人に告げていた。

 「一昔前」が文字通りの意味ならば確か10年前ということだろう。

 祐樹も最愛の人も医局には当然居なくて、学生だった時期なので男性社会かつ女性禁制みたいなノリだったハズだし――今でも女性の外科医はそんなに多くないしウチの大学病院の外科医は男性ばかりだ――看護師などは医局の飲み会には参加しないという不文律が有ったと聞いている。

 ま、だからこそ黒木准教授はその「痛い」宴会芸の数々を見て来たのだろうなと。

 そして人間ホルマリンという名前を聞いて慌てて止めて下さったことにも物凄く感謝だった。

 歩く三大無礼講に医師も入っていると道後温泉での医局慰安旅行で聞いていたものの、実感はなかったが――実際宴会の時には秩序正しく盛り上がっていただけだった、まぁ騒がしかったかも知れないが――昔は下半身露出とかが「当たり前」だったとしたら普通の人の顰蹙を買いまくりだろうな……と思ってしまう。

「有難うございます。あのような宴会芸はお店だけでなくて女性にも不快ですからね……。それに下半身を露出しての宴会芸などウチの医局には相応しくないでしょう。喜んで見るような人は居ないと思いますし……」

 最愛の人が黒木准教授に深々と頭を下げている。

 祐樹も性的嗜好は少数派で、同性にしか「そういう欲望」は抱かない。しかし、久米先生のような異性愛者と異なって女性の胸が大きければ大きいほど良いし、グラビアアイドルが肌も露わにとか胸には何も着けずにいるのをニマニマと見る!というような趣味はあいにく持ち合わせていない。

 だから男性器を見せられても祐樹は何とも思わないし最愛の人だってそうだろう。そういう点で多数派の嗜好を持っている人間とは異なると思っている。

 ま、祐樹が母親に隠れて読んだ――隠しておいたハズが見つけられてしまっていたのは想定外だったが――「そういう雑誌」は「行為」のハウツー本としてのみ活用していただけだったので、そこに載っている男性モデルにムラムラした覚えは皆無だった。

 最愛の人はそういう雑誌を手に取ったことすらないのは火を見るよりも明らかだった。

 指をこっそりと繋いでキュっと強く握っては小刻みに動かしたりしている最愛の人は祐樹の愛情の象徴をこよなく愛してくれるが、それは祐樹の身体の一部だからだ。それ以外の「そういうモノ」を見ても――しかも学生時代などは献体されたご遺体を使っての解剖実習も有るし、そういう場合は当然衣服を着けていないので、女性でも男性でも裸は見慣れている――別にヘンな気持ちになったりはしないだろう。

「まあ、泥酔という言葉を辞書で引けばその人の写真が載っているような状態になってしまった、恨み重なる人間にはね……「ちょんまげ!」とか言って男性器を頭の上に乗せて盛り上がると共に意趣返しをしようとする人間も居ましたね。今だとスマホで直ぐに写真を撮ることも出来ますが、昔はガラケーだったので容量も少なくて、しかも撮影に手間が掛かったのでそういうことをする人間は居ませんでしたが」

 黒木准教授が半ば呆れたように、そしてもう半分は懐かしそうな表情だった。

 「ちょんまげ」は多分、武士の髪型のことだろうが頭の中央部にアレを乗せるのは正直勘弁して欲しかった。

 ただ、祐樹も「医局の小姑」という異名も囁かれているので、他人事ではなかったが。

 しかし、黒木准教授は「そういう」下品な行為を嫌っているのは本日医局の皆の知るところとなったので、したくてたまらない人間がいたとしても自粛してくれるだろう、多分。

「お、田中先生恋人さんが来られなくて残念だったな……。せっかく――いや一生に一度かも知れない――晴れ舞台だったのにな」
 柏木先生の言葉を聞いた最愛の人が祐樹の指を強弱をつけて握ってきた。「可笑しい」とか「祐樹の尤もらしい恋人設定に皆騙されているのだな」というほどの意味だろう。

「ただ、見たところ田中先生よりも、久米先生のほうがガッカリしていたぞ……。

 バリバリの商社レディなんてそうそう拝めるものでもないからな、久米先生的には。

 ま、田中先生はいつでも会えるから別に良いって感じだな……。

 香川……教授は赤ワインか。ささ、お酌を致しますので……」


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最後まで読んで下さいまして本当に有難うございます。

精神的にも肉体的にも気ぜわしい毎日を送っています。しかも急に熱くなりましたしね。
無理せずに更新をしたいと思っておりますけれど(読者様をお待たせしてもなんですし……)どうしてもダメな日はあると思います。
ご理解とご寛恕を賜りまりますととても嬉しいです。

     こうやま みか拝










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心療内科医の寝室事情 13(I5禁)

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「だから、身体が火照って辛い一人寝の時には『おもちゃ』を俺の代わりに使って下さっても良いですよ。
 浮気されるのは物凄く辛いですので、それは止めて頂かないと困りますが『おもちゃ』で延々と痴態を晒してご自分を慰める分には問題ないですからね……。
 それに随分と気に入って下さっているようですし……」
 勝気な恋人はこういうふうに言うと「絶対に使わない」とムキになることも想定内だった。
「えっ……。それって……こんなふうに……なるのはっ……お前が……見ているから、だろっ。
 一人で……そんな……寂しい……コト……出来ないっ……」
 おもちゃを激しく出し入れする淫らに湿った音と振動音がそんな言葉を裏切っている。
 そして腰を覆っているシーツもピンと立ってその中央部分から滴るほどの水晶の液を零していたし。
「そうですか?
 乳首用の『おもちゃ』はもっと強く挟み込むのがお好きなのですよね?
 これではご不満ですか?初心者用っていうコトでこれにしたのですが……」
 ポップなピンク色のクリップと乳首が触れ合う場所に温感クリームをこれ見よがしに塗ってから思い切り開いてパチンと音がしそうなほどの勢いで留めた。
「ああっ……イィっ……。凄く……感じるけどっ……。
 でも、それは……お前の前だから……でっ……」
 両の乳首にはクリップを挟んで、しかもシーツに覆われているとはいえピンと立った場所とかしとどに濡れた中心部とかが丸分かりだったし、腰を高く掲げているせいで今にもハラリとシーツが落ちてしまいそうだった。まあ、先走りの液である意味固定されているから大丈夫なのかもしれないが。
 ただ、俺の放った白い液にも助けられているのか、おもちゃを奥の奥にまで挿れて振動はマックスに設定した俺の恋人は物凄く妖艶かつ淫らな感じの恍惚、いや法悦といった感じの表情を浮かべていた。
「では、おもちゃを買って来たらこのテーブルに放置しても良いですか?
 医療用のパッケージと同じで、破いたらすぐに分かるようになっています。
 一人寝の寂しさを感じたならば使って下さっても構いません。
 ああ、パッケージごと使うというのはお勧め出来ませんよ?
 体内に挿れるということは雑菌とかのリスクを負うことですからね……。貴方も医者の端くれならば常識でしょうが……。
 そして、出張から帰って来た時にパッケージが破かれてない状態ならば次の『おもちゃ』でプレイしましょう」
 俺の恋人はおもちゃに甘く熱く苛まれて蕩けた高い声を上げているのも物凄くクる。
「え?
 雑菌って……言うなら……、今夜、生で出したのもっ……危ないだろっ……。そんくらい、分かれよな……。
 それに、一人で……なんて……絶対に、しないからっ……。そんな……みっともない……コトっ……」
 普段はゴムを着けている。まあ後始末が大変という意味合いも有ったが、直腸内に必ず存在する雑菌で俺の大事な息子に炎症が起こってしまったりしない用心だったが。
 性病予防という観点は俺の恋人限定では無かったけれども。
 たまに、つまみ食いをする人間には絶対にゴム無しではしないのは当然の防御だった。性病なんて貰ってしまったら、職業柄医師は多数知っているものの、だからこそ余計に行き辛い。
 それにたまに許してくれる俺の恋人の「生」の行為は、どんなに薄いゴムを使っても拭い切れない距離感を感じることがないのでかなり気に入っている。
「今度はどんなのに致しましょうか?ああそうだ。〇ーターを先に挿れてもっと太いおもちゃで奥の奥まで挿れましょうか?
 振動は有った方が良いですよね?
 楽しそうなグッツ専門店には色々なバリエーションのモノが置いてありましたよ?
 昔から有ったと思しき男性を模した……というか、もっと大きくディフォルメされたモノとか……。
 ああいうものの味も是非味わって頂きたいものですね……」
 俺の言葉のせいなのかおもちゃの効果だかは分からなかったものの、シーツから出ている華奢な脚が紅色の弧を描いて跳ねた。しかも足の指は丸まっていたので、絶頂まではもう直ぐだろう。
「吸盤付きの〇―ターも有りましたよ。
 乳首に吸い付いて細かく振動を与えてくれます。
 そういうのを買って来ますので……」
 ベッドの白いシーツの――といっても愛の行為の後なのでくしゃくしゃに乱れているばかりかお互いの体液で濡れそぼっている――上で紅色の華奢な身体が金魚のように跳ねているのも眼福の至りだった。
「ああっ……イィっ……。なんか、さっきみたいに……身体の中から……ジワっと……快感が……溢れる……感じでっ……」
 細くて綺麗な眉が寄って、その下の目は閉じられている。ただ睫毛は長いのでそこには涙の雫が宿ってとても綺麗で艶っぽかったが。
「前立腺を刺激するのは必須事項みたいですね……。
 そんな甘く蕩けた顔とか高い声まで出して貰えるとは、買って来た甲斐がありました。
 で、次回は吸盤付きの〇―ターで乳首と、そして下の可愛い口もそして、今ピンと立っている場所も繊細な動きで乱れてみませんか?」
 単に逝くというのならば俺にだって身に覚えは有り過ぎる。だから「その」瞬間は何も考えられないことも知っている、あまりの快感のせいで。
 しかし、ドライで逝くというのはどの程度聴覚が残っているかなんて全く知らないので、返事は特に期待していなかったのだが。


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最後まで読んで下さいまして誠に有難うございます。

「公認カップル~」でベッドの横のテーブルに何故あんなモノが置かれていたのかまでは書くことが出来ましたが、読者様の想像は当たっていましたか?

あと、一話か多くても二話でこの話も終わりです。最後までお付き合い下さればとても嬉しいです。

  こうやま みか拝









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気分は下剋上 健康診断 4

「ああ、それは構いません。貴方も基本的な読影は出来ていらっしゃいますよね?
 心臓だけでなくて、骨折とかもお分かりになられるのは存じています。
 分からないことは私が責任を持ってお教え致しますので、お気軽にいらして下さい。
 検診衣に着替えて撮った後……、楽しみにしていますから。
 二人きりになるのを……」
 病院関係者が多数通りすがっていくので、不自然にならないような距離を保って小声で告げた。
 その声に反応して耳朶が紅を刷いたような桜色に染まっているのもとても綺麗だった。
「分かった。私も、そのう、両方とも愉しみにしているので……。
 では、後ほど……」
 最愛の人が医局階で降りる祐樹に唇だけで微笑んでくれた。
 愛情を込めた眼差しで返すと、その花のような唇が綺麗な笑みを浮かべてくれた。
 「両方」という言葉が意味有り気なイントネーションで――と言っても最愛の人の微かな変化まで漏れなく愛を込めて観察している祐樹にしか些細な変化は分からないだろうが――彼が、専門ではないものの学問的興味というか知的探求心という頭脳面のことと、そしてセンター長室での愛の交歓という肉体面での悦びのどちらも心待ちにしてくれていることが分かって思わず唇に笑みを浮かべてしまった。
「祐樹が白衣を着ているのも新鮮だな。地震の時以来のような気がする」
 定時ジャストにAiセンターの扉を開けた最愛の人はこの建物を出たら帰路につくためのスーツ姿だった。
 そして「うっかり」病院内で――と言っても最新型の高性能MRIとCTが設置されているだけに病院の新館と旧館からは独立している、万が一大事故が起こっても病院の機能が損なわれないための保険のようなモノだったが――苗字ではなくて下の名前で呼んでしまったことに気付いたようで慌てて周りを見回している。
「大丈夫ですよ。貴方が気兼ねなく振る舞えるように検査技師すら帰しましたから。
 白衣を褒めて下さって有難うございます。似合いますか?」
 そう言えば医局ではブルーのスクラブユニフォームを着ている。ちなみに救急救命室では血の色が目立つように手術着と同じ緑色だったが。
 教授職のように「権威を失墜させないように白衣を着るべし」という病院長命令が出されている職階とは異なるし、何よりも白衣だと動き辛いし、白衣の裾が様々な器具や医療用の機械を転倒させる原因にもなり得るので――まあ、祐樹の場合は反射神経とか咄嗟の判断力や身体能力にも恵まれていると自負しているもののリスクは極力減らすに越したことはない――作業着ともいうべきスクラブを着用している。
 まあ「これを着ていると技師とかのコ・メディカルにしか見えなくて、何だか抵抗が有る」とか文句を言っているプライド高い系の医局員も居たが、祐樹は幸いなことに一回で患者さんに顔と名前、そして医師であることも覚えて貰っている。だから特に問題はない。ただ、ご高齢で多少頭が……な患者さんに話しかける時には、その上から白衣を羽織るが。
 最愛の人が医局に下りて来た時にはスクラブ姿が多いので、ある意味新鮮だったのだろうが。
「とても似合う。―-そのう、センター長の部屋で……二人きりになった時というか、愛し合う時にも、その白衣を着ていて欲しいな。
 何だか人の目を気にしつつも職場内で密会せずにいられないカップルみたいで……とても興奮するだろうから、色々な意味で」
 最愛の人の薄紅色の唇が艶やかな花のように咲き誇っていた。
「つまりはオフィスラブってことですよね?
 了解です。検診衣も――素材は全く異なりますが――スクラブに似ているので文字通りオフィスラブ、しかも医師同士といった禁断の行為、いや、患者さんに手を出す、いけない医師みたいで愉しめそうです。
 ――というのは冗談ですよ。もちろん」
 最愛の人も祐樹も仕事に関して矜持を持っている。だから医師以外の恋人同士がするような「お医者さんごっこ」に対して――まあ、そんなプレイをしていると自己申告する人間は居ないだろうが――ある意味嫌悪感を抱いていた。
 案の定整った細めの眉がくもったのを見て、慌てて付け加えた、キス付きで。
「――頭骨にかなりの損傷が有るな。これは外部からの力だろうな……」
 祐樹が用意していた画像を見ながら所見を述べる彼は真摯で怜悧な口調だった。
「多分そうでしょうね。ミイラ職人が誤って付けた傷という線も捨てきれませんが」
 最愛の人は細く長い首を白鳥よりも優雅な感じで振っていた。
「それはないだろう。ミイラの保存状態から考えて、丁寧な職人仕事という感じだ。
 確か鼻孔から脳を取り出すと本で読んだので、頭骨自体に職人が手を触れることはないだろう。
 あと、肋骨が3本俗にいう複雑骨折か。これは肺に刺さるほどだっただろう……。
 そして大腿骨を含む脚部の骨折も6か所か」
 このミイラしか画像は見たことがないので一般的かどうかまでは分からないものの、内臓は綺麗に抜き取ってあるため、肺に刺さっているかどうかまでは確認出来ない。
 しかし、この骨折の角度から考えると肺に深く刺さっていたと考えるのが妥当だろうな」
 テキパキと読影を続けていく最愛の人の的確さは専門外とはとても思えないほどだった。
「ああ、この脚の骨、穴が開いているな……縮尺比を考えると直径1センチほどの穴だな。それが二つと……」
 怜悧な声がより一層の知的な感じで二人きりの空間に響いている。
 そういう仕事モードの声も大好きだった。
「その穴は何から出来た物なのか分からなかったのですが……。結局は外傷による失血死だとは考えていましたが……」
 最愛の人は細く長い指を顎に当てて何やら考えているようだった。
 祐樹も頭蓋骨陥没するくらいの外傷とか肺に突き刺さるような肋骨骨折をした古代エジプト人が助かるとは思っていない。
 ただ、どうしたらこれほどの傷が負えるのかはサッパリ分からなかったので、色々なことに詳しい最愛の人の力を借りたかったのも事実だった。
 研究者の一団が結果報告を求めに来た時にも彼の英語力を借りる積りだったが。


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最後まで読んで下さいまして誠に有難うございます!

そしてすみません……!!両親が他界したら色々と親戚問題が浮上してきまして、精神的にどっと疲れてしまって、ストックしていたのを更新しか出来ないです。
 
他の話を楽しみにして下さっていた読者様がいらっしゃったら本当に申し訳ありません。
 
少し休んだら元気になると思いますのでそれまでお待ち下されば嬉しいです。
  こうやま みか拝








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