腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します 申し訳ありませんが書く時間を最優先にしたいのでリコメは基本的に致しません。 要望・お礼などは「日記」記事でお応えしますが、タイムラグがあることも多いです。

2017年10月

気分は下剋上 ジャズナイト 25(I8禁)

イメージ 1

「素敵な夜を有難う御座います。どんな宝石よりも艶やかな尖りとか、肝心な場所だけを露わにして愛の行為に没頭する聡は、私の腕の中だけで花開く月下美人の花のようでとても素敵です。
 以前は、月の脆い光に誘われて消えてしまいそうな儚さを感じたのですが、今の聡は何が有っても私の腕の中に戻ってくるという安心感がありますね……」
 汗の雫を纏って弛緩した肢体を抱き締めながら熱く囁いた。
「そうか?私が居たいのは、祐樹の腕の中だけなのは最初から……だったが?」
 怜悧さよりも甘さが勝った声が車内の静謐な空間に愛情の彩りを加えていく。
「最初は捕まえておかないとどこかに消えてしまいそうでした、よ?天橋立に行った時には切実にそう思いました。
 ですが、徐々に心も、そして肢体も開いて綺麗な花を咲かせたような感じで……。まぁ、花園の見事さは最初の夜から予感していましたが、それでもここまで華麗かつ優美に咲き誇るとは思いも寄りませんでした。
 知っていますか?車内での愛の行為の時には車体も不自然に揺れるのです、普通は、ね」
 驚いたように艶やかな瞳が見開かれた。切れ長の綺麗な目の持ち主だけに、鈴のように大きく開かれるだけで普段とはまるで印象が異なって見えて祐樹だけに向けられる「特別」な感じがして余計に愛おしさが募る。
「どうしてだ?」
 艶めいた小さな声だったが、無垢な煌めきを加えているようで、祐樹の愛情と欲情の証しを迎え入れたままで微細かつ精緻な淫らさで強く弱く動く花園とか、咲き切った花のように甘く薫る肢体との落差が際立った。本当に思い当たるフシがないという感じの訝しそうな声が却って愛おしくて堪らない。車内の狭さが逆に密着感を増してくれているようで、抱き締める手に力を込めた。
 祐樹の愛情で花開いた華麗な場所については散々説明してきたハズだったが、最初の頃は愛の行為の時に理性を飛ばしていた可憐な人だったので、多分聞いてはいても記憶には残ってないのだろう。器用そうにみえる――確かに器用ではあるものの――最愛の人の精神の根底は不器用この上ないことを知っているのは祐樹だけで充分だった。
「あくまでも聞いた話なのですが、私達だって愛の交歓の時に二種類のパターンがあるのはご存知でしょう?最近では、そうですね……ほら「あの」エプロン姿の時にした愛の行為が一番分かりやすいかと」
 明石海峡大橋近くのホテルの広大な庭園を二人で散歩していた時に結婚式を挙げた花嫁さんのドレスで認識を改めた最愛の人に良く似合いそうな上品かつ扇情的なエプロンを選んで購入した。レースもその辺りで売っているような安っぽい感じは一切なくて精緻さと繊細さで素肌を引き立てるような作りだったし、素材も最高級のシルクの艶やかな肌触りと鈍く光るコクで目を愉しませてくれる逸品だった。しかも着ている人の最上級の磁器の滑らかな素肌と相俟ってついつい視線がそちらに行ってしまい、その瞳の熱で煽られた感じ易い肢体が次第に花開いていく様子に堪り兼ねてキッチンで後ろから貫いてしまっていた。
「ああ、あの時か……。ああいう大きな動きも大好きだが?
 というか、祐樹にされて嫌なことは何もないな……」
 以前から思っていたが、無意識に発する殺し文句の達人なのは相変わらずだった。そういう点も愛情を加速させていくが。
「普通はああいう大きな動きでないとなかなか最後までは逝けません。
 それを車内ですると……どうなるかはお分かりですよね?」
 「あの時」の行為を具体的に花園が思い出したのか、熱い濡れたベルベットの花びら達が強く弱く祐樹の熱を煽っていく。
「揺れるだろう……な……。あんな風に……強く激しく……動かれたら……。
 車体の構造上、圧力は……分散される……仕組みの……ようだしっ」
 甘い嬌声を上げるのを我慢している感じの脆い怜悧さが逆に悦楽を煽った。
「聡の、極上の花園は……そんなに……大きく動かなくても……充分な悦楽を与えて下さるのです。
 それに、襟ぐりの深いニットとはいえ、大胆に露出して下さったのも最高に……嬉しかったです。これからは、肩まで開いたニットを室内着にして下さると……よりいっそう、部屋に帰る喜びが……増えます、ね」
 小刻みに上へと腰を動かすと、甘く艶やかな声と共に紅色に染まったしなやかな肢体が優雅な弧を描いた。
「分かった。そう……するのでっ……。
 もう一度っ……愛して……欲しっ……。今度は……こちらの……尖りを……歯で……噛んでっ」
 紅色の細く長い指がルビー色に艶めく、濡れていない方の尖りに添えられている。
「了解です。ジャズの旋律よりも……大人の甘くて熱い音楽を……二人して奏でましょう。そちらの方が……熱烈に愛し合う……私達には相応しいか……と」
 指ごと唇と歯で刺激すると、甘い声が車内に熱く響いた。
                        <了>









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◇◇◇


本日は【二話】更新を目指しますが、二時間を目途に更新されなかったら「力尽きたんだな」と思って下されば幸いです。
「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
 
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。


最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
                   こうやま みか拝

「気分は、下剋上」<夏>213

「……病院の看板教授なのも事実ですが、そして医局員からも――それこそメスを持ってのカチコミ、いや殴り込みに行こうとする人間が出るくらい――人望もお持ちですが、それを妬みややっかみで見ている教授連中もいないとは限りませんし、普段は『雲の上』の存在の教授職までウワサに加担するとナースとか研修医レベルのウワサよりももっと大ゴトになるかと思うので……。下半身ネタは教授の名誉に関わります。女性でも隠したがるのに、男性だと尚更嘲笑の的になり得るので避けた方が良いでしょう」
 救急救命室では通称「凪の時間」という患者さんが搬送されてこない時間が割と存在する。そういう時には休憩室で暇を潰すことになるのだが、小説や雑誌などを読むことも多い。本とか雑誌ならば、搬送の電話――室内に丸聞こえなのは性質上当たり前だったし、救急救命室の責任者でもある北教授もそれを熟知していたからこそ、祐樹の携帯番号ではなく救急車から急を知らせてくれた――が来た瞬間そこで閉じられるのでその点は便利だ。
 カチコミは反社会的勢力を題材にした小説で読んだ覚えがあるが、一般社会では使われない単語なだけに、呉先生が知っているのは意外だったが意外と読書好きなのかも知れない。
 それ以外の意見は至極ご尤もだったので、祐樹に異論はなかった。
 世間に漏れなければ何をしても良いと考えているらしい斉藤病院長――戸田教授の奥さんのカードがパンクした件も最初は教授会での笑い話で収まったらしいし、最愛の人と祐樹の真の関係を知っているものの、その点には触れて来ないのはあくまで病院にとってその方が得だと判断したのだろう。今はともかく帰国当初は最愛の人の「病院に対する愛着」よりも「祐樹への愛情」の方が高かったことも彼の口から告げられたこともあるのでその判断は間違ってはいない。祐樹にとっては最高の歓びだが「病院を取るか祐樹を選ぶか」の二択問題に一瞬の躊躇もなく後者を選んでくれただろうから――はある意味森技官に似ている。精神的波長が合ったせいで「良い人」認定なのかも知れなかったが。
「こういう時に森技官が居て下さればさらに『尤もらしい話し』にでっち上げてくれるでしょうけれどもね……」
 被害者の実名とか住所は流石に黒く塗りつぶされていたテンプレ文を読んでため息を押し殺してついぼやいてしまった。
 ただ、森技官は趣味と実益を兼ねた「特技」を遺憾なく発揮して欲しかったので、単なる愚痴だったが。
「でっち上げが得意ですからね……。まあ、その点は人としてどうか?とも思うので、状況によっては叱りますが。
 同居人には到底敵わないものの、何とか頑張りますので、田中先生は筆記係と細部の修整をお願いします」
 「あの」森技官を容赦なく叱っている場面に同席した過去も有る祐樹には一見虫も殺さないような可憐な野のスミレのような人の意外な激しさを知っている。流石の森技官も――惚れた弱みが有るにせよ――たじろぐ勢いでまくしたてていた呉先生の雄姿を思い出して、砕けていた魂の欠片が少しだけ修復されたようだった。
「始めましょうか?」
 右手はずっと最愛の人の指――精神的なショックなので寝ている時には震えていないが、悪夢を見たらどうなるかは分からない――を繋ぎ直して、左手に呉先生が用意してくれたボールペンを持った。
「『同僚の北と教授会が終わった後に帰途の途中で自宅マンションである』ええと、このマンションの正式名と正確な住所を教えて下さいませんか?」
 呉先生も生活を共にする森技官に似てきたのか、それとも生来の性格なのかは分からないが、割と成り切って言える人らしい。
 祐樹も何とかこなせる自信はあるものの、最愛の人には絶対に無理な芸当だ。正直過ぎて本当のことしか言えないし、口に出すべきでないと判断したら黙り込むタイプなだけにこういう役目には向いていない。そういう愛すべき不器用さも大好きだったが。
「ああ、森技官から聞いていませんか?」
 エントランス――受付嬢が居るという理由で自動ドアを開く勇気がなかったようだが――の外の植え込みに腰を預けていた呉先生だけに、当然住所とマンション名は知っていると思っていたのだが。
「ええ、同居人からは病院の近くで一番高くて豪華なマンションだとしか。まあ、それだけでピンと来たのでそれ以上のことは聞いていません」
 職場近くなのである程度の土地勘も有るのだろう。それに他の都市と異なって京都は高層マンションを建ててはならない条例だかがあるそうで、このマンションもその例に漏れない。
 具体的な住所とマンション名を告げて続きを促した。
「『長掌筋に沿ってメスが確かめるように動いて、手を縛られたままで必死に抵抗しました。なぜなら、その筋肉を切断されると手の動きが永久的に失われることを知識として知っていたからです』……田中先生、大丈夫ですか?」
 呉先生が悄然と雨に打たれて野のスミレのような儚い笑みを無理に作って聞いてくれた。
 穏やかで綺麗な声の持ち主だが、耳で聞いてしかもそれを文字で書くという作業がこんなに辛いとは思ってもいなかっただけに。
 文字だけでも禍々しいのに、最愛の人が「その」時どういう気持ちだったかを想像するとさらに魂が砕けてドライアイスの冷たい熱さで心を抉り続けているようだった。
「大丈夫です。事実は変わらないので……それに診断書にも書きましたし……。続けて下さい、筆記しますので」
 ちっとも大丈夫ではなかったが、この辛い記憶を最愛の人が再現して心を病むよりはマシだったし、諸悪の根源はアイツとはいえその予兆を充分に察知していながら未然に防げなかったのは祐樹の痛恨の失態だったという責任感も手伝って。
「『抵抗しようと身じろいだ私の肌を見て』ええと、この辺りは田中先生のお力が必要となります。『錯乱した』と書くのが一番良いのですが、そう書くとアイツの弁護士は必ず心神喪失とか心神耗弱に依る無罪もしくは減刑を求めて来るので、お勧めは出来ません。
 まあ、刑務所から出所しても京都と滋賀の県境にある精神病院に即座に入院させるので、心神喪失でも構わないと言えばそうなのですが……。ただ、病院長が民事裁判を考えていらっしゃるのであれば有罪に持ち込まないとマズいような気もします」
 祐樹の隠れた特技でもある同類を見抜く目に密かに自信を持ってはいたが、森技官の場合は「同類」がさらに細分化して見えるようだ。つまり――恋人の呉先生に対してはそうは振る舞っていない感じだ――同性しか愛せないという性的嗜好だけでなく、サディストを見抜くという特殊さも持ち合わせている。
 その森技官がお勧めの病院なだけにメンズナースはアイツの「若さ」と「生意気さ」のみ――他に長所は見当たらないし、容姿の点では最愛の人は最高峰だとすると、呉先生は標高がかなりある山だろうが、アイツはイケメンと評されてはいない久米先生にすら劣っているのも主観的かつ客観的な事実だろう、まあ、森技官は呉先生を最高峰に据えそうだがそれは単純に好みの問題で最底辺は変わらずにアイツを指名するだろうから――で精神的にも肉体的にも苛むだろうが、それは本人の自業自得なので一切同情の余地は見いだせない。
 それに堅く閉ざされていた――多分必死で守ろうとしたのだろう、祐樹にしか許さないと心に決めてくれている花園の門だけに――場所をこじ開けようとした形跡は擦過傷とも呼べないレベルではあるものの残ってはいた。その時の最愛の人の絶望感と切迫感がヒシヒシと感じられて魂の欠片が容赦なく心を冷たいドライアイスが切り裂くようだった。
 同じ目に遭えば良いと思ってしまうのも人情だろう。
 呉先生も同じ気持ちのようだったので、共犯者の笑みを交わして文面を考えることに手中しようと試みた、無駄な抵抗だと理性で分かってはいたものの。










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本日は【二話】更新を目指しますが、二時間を目途に更新されなかったら「力尽きたんだな」と思って下されば幸いです。
「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
 
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。


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気分は下剋上 ジャズナイト 24(I8禁)

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 エンジンを切らないまま――切ってしまえばクーラーも効かないので――車から降りて助手席のドアを開けた。
 最愛の人の艶めいた表情とか薄紅色に染まった素肌を月明かりだけが照らしていて、とても綺麗だったが、天橋立で見た月に呼ばれるのではないかと思わせてしまう儚さよりも祐樹の腕の中に居る悦びに震えている肢体を抱き締めた。車体に傾ぐ肢体を預けて深い接吻を強請る最愛の人の舌の付け根まで強く吸うと白魚のような肢体が紅色に跳ねた。何だか車内のフックに掛けた金魚よりも艶やかさが勝っている。
「聡の服を脱がすのもとても愉しみなのですが、この状態では流石に危険なので……ご自分で脱いで下さい、ね」
 一歩下がって最愛の人が自分で衣服を乱す姿を熱く見ながら、祐樹も手早く下半身の肝心な場所を外気に晒した。下半身が育ち切っている最愛の人のあられもない姿が月の光にも艶やかさで勝っていて煌めいている。それに月の雫を思わせる水晶の滴りが一瞬だけの儚い煌めきを放って先端から滴り落ちるのも。
 襟ぐりの深いサマーニットを着ているものの、二つの尖りを同時に露わにするにはたくし上げるか、襟の辺りの布地に強い圧を掛けないと無理だったので、どうするかを見ていると――ただ、高価な衣類なだけに祐樹には恐れ多くて不可能だったが――紅色に染まった指が月光よりも艶やかに動いて事もなげに最上級の磁器のように滑らかな肩から鎖骨、そして二つの胸の尖りまで下ろしている。
 最愛の人が値段よりも「一店舗で全てが揃う」という理由だけで老舗高級ブランド品を愛好しているのは知ってはいたものの、祐樹などには思いも寄らない無造作さだった。
 ただ、青い月の光に照らされた静謐さも加えて煌めく慎ましやかな胸の尖りのルビーの尖りは文句なしに綺麗だったが。
「月の光に照らされた聡もとても綺麗で、そして甘い砂糖菓子のように儚げでいながら、愛の動作を待ち望んでいる風情もとてもそそられます。
 ほら、私のも……」
 先端同士を擦りつけると、二倍以上の水晶の雫が月の光を宿して滴り落ちた。
「ゆ……祐樹っ……早く……欲しいっ」
 艶やかな月の精のような小さな声が紅色の唇から甘く零れた。
「分かりました。先に助手席に座りますから、その上に乗って下さいね」
 シートを最大限に後ろまで滑らしていると、待ち構えた感じで最愛の人が太刀魚のような身のこなしで祐樹の太ももの上に肢体を翻した。心地よい重みと普段よりも体温が高めな肌の感触が心地よい。
「頭とか手をぶつけないように気を付けて下さいね。車内は狭いですから。
 それに、その位置で良いのですか?」
 目の前に艶めくルビーの尖りを唇や歯で確かめたい欲求を必死に堪えた。
「……祐樹が歯で甘く噛んでくれたら、私も腰を動かす」
 甘く艶やかな小さな声で淫らな交渉をする最愛の人の胸の尖りの側面部に歯を立てた。
「あっ……。悦いっ……。ただ、もっと強くっ」
 太ももに乗った肢体が悩ましげに傾いで小刻みに動いた。側面部を甘く強く噛んで先端部分を舌で強く押した。もう片方は指でボタンを回すように強く捻りながら。
「とても……悦いっ……」
 濡れた砂糖菓子のように甘く蕩けた小さな声が車内に響き渡った。同時に太ももから一瞬だけ重さが無くなったかと思うと、しどけなく開いた花園の門が先端部分にあてがわれて、祐樹の腰に回した両の脚がさらに開かれる。
「あっ……んっ……。尖りに……歯を立てられながら……、花園を……拓かれる感じが……とてもっ」
 自ずから開花していく花のように最愛の人の花園の中に迎え入れられたと言う方が正確だったが、この際些細なことはどうでも良くなるほどの圧倒的な快感が咲き誇った花園から与えられて祐樹も低く呻いてしまう。
 ルビーの硬さを歯と舌で小刻みに味わっていると、同じ動きで幾分華奢な腰が動いて奥処まで繋がった愛の音を奏でてくれる。
 先程のジャズの音楽よりも更に「大人」の愛の協奏曲が狭いせいでより密着感の愉しめる車内を薔薇色に染めていく。
 それに祐樹の腹部に当たっている濡れた熱い場所も淫らな水音を立てて愛の音楽の一部になって震えながら次の出番を待ち構えているようだった。
「ゆっ……祐樹っ……もうっ……」
 甘い断末魔の声が熱く震えて車内を艶やかな色で染めていく。
「私も……です。……聡の……極上の花園の……動きが……素敵過ぎて……」
 少しだけ大きな動きで上へと突き上げると、しなやかな肢体が大きく震えた。
「ああっ……。ゆ……祐樹っ……愛しているっ」
 腹部に熱くて甘い真珠の雫がばら撒かれた瞬間、祐樹も紅色の場所に真珠の迸りを放った。
「私も……愛しています、よ」











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「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
 
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。


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「気分は、下剋上」<夏>212

「こんなに詳しく書かないといけないものだとは思ってもみませんでしたよ」
 快活そうな苦笑を装って内心では、最愛の人が遭った被害を追体験する辛さで少しは復旧した魂の欠片が心を再び熱く鋭く抉ってしまうだろうと予感して心の準備をした。
 ただ、今の精神状態での最愛の人に――普通の、と言っては語弊があるが犯罪被害者、特に性犯罪に遭った人間には却って残酷過ぎる記憶を呼び覚まさせる内容を「平気」で思い出すことが出来るのだろうかと深い疑問を覚えた。妙齢の女性の被害者に向かって質問を浴びせかけるのは多分男性の警察官のハズで、余計な心の傷まで作りそうだった。
 何しろ、克明な被害状況に加えて何故そこの道を通ったのかとか、そういう割とどうでも良いコトまで詳しく書くというか、話さなければならない決まりのようだった。
「オレもここまでとは思いませんでしたが、患者さんの中にも犯罪被害が切っ掛けで抑うつ状態になった人を多数診て来ました……。これではセカンドレイプのようなモノです。
 ただ、今の教授にこれを書かせるのは絶対に避けたい事態なので、やはり何としてでも私達が聞いたふうを装って書き上げて警察署に提出しなければなりません。
 田中先生には残酷な要求かもしれませんが……」
 先程書いた診断書はA4用紙一枚分だったが、タブレットに転送されたテンプレ文を見る限り四枚以上が必要そうだった。
 呉先生も細い眉根を顰めて蒼褪めたスミレ色のため息を零していたが、祐樹の心情をも思い遣ってくれた結果なのだろう。
「いえ、大丈夫です。これは私の仕事というか義務のようなものですから」
 最愛の人の血の気を失った指とか、点滴のラインが繋がった痛々しい姿で横たわっている事態を招いてしまった責任の一端は紛れもなく祐樹自身の読みの甘さだった。
 どんなにレベルの高い手技をこなす時でも汗をかかない最愛の人の青く秀でた額に汗の雫が宿っているのも、鎮静剤では抑えきれない悪夢を見ているからに違いなかったので。
「北教授の被害届がこちらです。プリントアウトした方が良いですか?ただ、プリンターの在り処が分からないのですが……」
 タブレットを器用に操りながら呉先生は北教授が警察に提出した――多分これは漏洩してはマズイ文書で、島田警視正がこっそり流してくれたのだろう程度の予想は付く――文書を読んだ。
 アイツにスタンガンで襲われたという内容「のみ」でA4用紙が二枚費やされていて――勤務先の病院の官僚主義とか権威主義にはウンザリしていたものの――警察もそう変わらないのだな……と実感した。
 まあ、島田警視正が鹿児島出身なので初代警視総監だったか――正式名称は詳しく覚えていないが――ともかく警察を作り上げた人が薩摩藩出身なので元薩摩藩出身者が優遇されるという話も俄かに現実味が帯びてきた。しかも今時手書きの書類が一般的のようだったので正直驚いたが。
 まあ、電子カルテがまかり通っている病院内でも診断書は手書きが原則なのでそういうモノかも知れないが。
「プリンターは書斎に有りますが、文字通り手が離せないので北教授が災難に遭われた時間さえ合わせておけば大丈夫でしょう。外傷については全て暗記しているので問題はないです」
 呉先生が可憐な瞳に驚嘆めいた光を宿して祐樹を見た。
「凄いですね……。全部覚えていらっしゃるんですか?私なんてとても覚えきれないかと。
 流石は外科医ですね……」
 普段の最愛の人の記憶力の凄さを誇りたい気はするものの、救急救命室では特に暗記することが多いので被害に遭ったのが祐樹最愛の人でなくて、思い入れなど微塵もない見知らぬ第三者であっても悉く覚えていることは基本中の基本なのも事実だ。
「褒めて戴くようなモノでもないかと思いますよ。
 汗を拭ってからで構いませんか?」
 最愛の人の蒼褪めた顔を痛ましい思いで見下ろした。
「はい、もちろんです。なるべく快適に過ごして戴きたいので……。
 この調書を書き終えたら、点滴も外しますので、お身体も拭ってあげて下さい。オレは適当にそこいらで寝ますから。キッチンの椅子でもお借りして」
 お客様というかわざわざ無料で診に来てくれた専門家に――この事態が起こらなかったら瀟洒な佇まいの由緒有り気な邸宅のふかふかのベッドだろう、多分――そんな場所で仮眠を取って貰う失礼はしたくない。
「リビングのソファーか、私専用の個室のベッドどちらが良いですか?狭さという点では同じようなモノだとは思いますが……」
 客用寝室などは当然ながら準備していないし、今まではその必要もなかったので「二人分」のスペースしか設けていなかったのもある意味仕方がないと割り切ることにした。
 呉先生も最上級のおもてなしを期待しているわけではないだろうから。
「この部屋から近いのはどちらですか?同居人も深夜に力尽きてリビングルームのソファにベルトだけ外して寝ているという経験をしてみるのも良いかも知れませんので」
 呉先生の穏やかな微笑に少しだけ艶やかさが混じったのは、森技官のことを思い出したのかも知れない。
「森技官はアイツを楽しく尋問中でしょうね……。お得意の情け容赦のない攻撃を期待したいものです。もう心の底から切実にそう思いますよ」
 「あの」森技官なら祐樹が期待している以上の成果は上げるだろうが。
「その点は大丈夫ですよ。ああ、先程の訴訟の件ですが……民事で、ですよね?だったら解決法はお金しか請求出来ないのです。アイツやアイツの家族の違法な口座はどんどん凍結するでしょうから、早めに何らかの方法を考えないと一文無しになる可能性すら有ります。
 それでなくとも不動産などはアイツの名義ではなくて別人のモノのようなので、口座に有るお金とか、後は金とかプラチナなどの換金性の高いモノを差し押さえるかですよね。
 まあ、教授自身は金銭にそれほど執着を見せるタイプではないようなので、どうでも良いような気もしますが、病院長を始めとして超過勤務手当――まあ管理職なので残業代は出ないでしょうが――などの損失とか、香川外科の医局の皆さんの負担が増したことを思えば病院にお金を請求する権利くらいは有りそうです。
 ただ、裁判沙汰になったら一年程度の時間は掛かりますし、アイツにも――まあ、弁護士を雇えるだけのお金が残っているかどうかは定かではないのですが――言い分とか……そのう、違法なというか超法規的な感じと表現した方がマシかもしれませんが……イレギュラーな対応をされたとか反論されそうな気もしますので、一度同居人に聞いてみた方が良いとは思います」
 一年もかかるとは知らなかった上に確かにアイツに反論の機会を与えるのもマズいような気がする。森技官が逆に悪者にされかねない上に厚労省は――自業自得の側面も多いものの――マスコミの格好の餌食なので。
「そうですね。法律のこととか裁判のことは全く分からないので、病院長御用達の杉田弁護士に聞いてみます。ああ、島田警視正もある程度詳しそうですが。もちろん森技官も」
 呉先生の顔を立てて慌てて言い添えた。
「杉田弁護士って、ウチの病院が訴えられた時に代理人を務めた先生ですよね?ご存知なのですか?」
 祐樹がかつて行きつけだったゲイ・バーで知り合ったとは何となく言いづらい。病院とは別ルートでたまたま意気投合しただけだったし、昔はともかく今は――呉先生の鬼門でもある――救急救命室の名物ナースのご主人でもあったので。
「まあ、一応は友達のような付き合いをさせて戴いています。病院長には内緒ですが……ちなみにこの人との真の関係を知っている数少ない人のウチの一人です」
 というか、出会った頃の最愛の人の考えがまるで分からなかったので相談に乗ってもらっていた。ただ、呉先生は自分の性的嗜好について森技官と出会うまで自覚しておらず、ゲイ・バーのような場所に足を運んだこともないだろうから一応伏せておくことにした。
「そうなのですか?それは心強いです。
 ご存知のように同居人は孫子とかマキャベリを尊敬していますので、拙速を尊ぶ思考の持ち主なだけに、なるべく早く動いた方が病院側にとっては良いかと。
 それに、同性に狙われたという――教授は過失など全くありませんが――不名誉なウワサが流れるのも防いでくれそうです。京都の街はどこで誰と繋がっているか分からないので、病院に漏洩すると格好のウワサの温床になるでしょうから。
 特に……」
 呉先生の唇が言いよどんだのを見ながら、出来るだけ優しく丁寧に最愛の人の汗を拭いつつ次の言葉を待った。










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本日は【二話】更新を目指しますが、二時間を目途に更新されなかったら「力尽きたんだな」と思って下されば幸いです。
「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
 
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。


最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
                     こうやま みか拝

気分は下剋上≪震災編≫226(I8禁)

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「ああっ……ゆ祐樹っ……。強くっ……拓かれる……感じがっ…とてもっ」
 胸の尖りも上下と左右に強く弾かれて背筋が撓って祐樹の身体へと傾ぐ。
 頭の中は紅いダイアモンドが炎で爆ぜているような豪奢かつ圧倒的な悦楽で真っ赤に染められていく。紅い炎を少しでも散らそうと――そうでなければ直ぐにでも真珠の迸りをばら撒いてしまいそうだったので――汗の雫で濡れた首を振ったものの全く効果はなかった。
 待ち焦がれていた花園が熱く甘く祐樹の灼熱の楔を嬉しそうに迎え入れては花びら達が微細な動きをてんでばらばらの饗宴を繰り広げていく。
「聡の極上の花園の動きも最高に気持ちが良いですが、蕾に当たるように……ご自身も腰を動かして下さい」
 祐樹の濡れた低い声とか、まるで本物のルビーを掴み上げるような強い指の動きとか、そして何より熱く滾った祐樹の欲望と愛情の象徴が淫らな水音を奏でながら力強い律動を刻んで花園の中に挿ってくる悦びに身体が薔薇色に震えた。
「あっ……んっ。とてもっ……悦っ……。もっと……深くまで……来て。
 こう……か?ああっ……。もうっ……」
 腰を上下に揺らした瞬間、頭の中の炎に包まれた紅いダイアが大きく爆ぜて、真珠の雫をばら撒く寸前で必死に止めた。
「良いですよ。聡の紅色の指が水晶の煌めきを加えて……濡れた紅い薔薇のような場所に挿って行くのを拝見しただけで……私も暴発しそうでしたから。
 それに、今の聡の極上の花園は真っ赤な牡丹のように包み込んで厚ぼったい濡れた精緻な動きで……私を誘って下さっていますよね。
 繋がったままで腰を振る聡を拝見したら……私もっ」
 熱く掠れた祐樹の声も、そして呼吸も熱くて切羽詰まっているようだった。
 花園の奥処に真珠の迸りを感じた瞬間、薔薇色の大波が脳を真っ白に染めていく。
「ああっ……祐樹っ……愛しているっ」
 真珠の雫が窓ガラスに散らばっていくのを何だか遠い世界にいるように眺めながら愛の言葉を紡ぐのが精一杯だった。
「私も、聡を……永遠に……愛して、います、よ」
 身体を繋げて囁かれる愛の言葉は魂までも繋がったように感じてしまって、存分にばら撒いたハズの真珠の雫の大波がさらに押し寄せてきた。
「ゆ……祐樹っ……またっ……あっ……」
 強張った身体を上下に揺すると胸のチェーンが尖りの先端部分に当たって水晶の音を立てた。
「聡の花園は甘い麻薬のようですね……。そんなに……腰まで揺らされると……ほら」
 一度は力を失っていた祐樹の愛情の熱い楔が再び大きくなって花園の中を嵐のような激しさで貫いて奥処を衝く。湿った淫らな音が一際大きく寝室に響いた。
「ゆ…祐樹っ……。そこではなくてっ……胸をっ……触って……欲しっ」
 真珠の雫をばら撒いている場所に触れられると紅い閃光で脳が焼き切れそうだった。
「逝ったばかりなので……物凄く……敏感になっていて……お辛いのでしょう……?」
 祐樹も大きく息をしながら下半身ではなく胸の尖りへと指を這わせてくれた。
「紅いルビーにも……真珠の雫が……よく似合います……ね」
 湿った指先が濡れた音を立てて小さな尖りを甘く熱く摘まんでは左右に揺する。
「もうっ……脳がっ……白くっ……焼き切れそうでっ」
 こんなに長い時間真珠の放埓を放ち続けたのは初めてのような気がする。
「胸の尖りを……強く摘ままれたまま……、花園の中を擦られるのも……お好きなのですよ、ね」
 窓ガラスに付けていた肩が汗で滑って身体のバランスが崩れそうになったのを祐樹が後ろから抱きとめてくれた。
「祐樹にされることならっ……何でもっ……好きだがっ……あっ」
 脳が紅い閃光に満たされてばら撒く感じとは別の絶頂のうねりに巻き込まれそうになった時、奥処に熱い飛沫で満たされた。
「聡の花園の中も物凄く熱いですよ。いつまでも挿っていたくなるのですが、花びらたちの魔性の動きで直ぐに達してしまいそうになるのが難点ですね」
 弛緩した身体を床に委ねて二人して息を整えてから口づけを交わした。
「もう、ラウンジには行けませんね……」
 繋がったままの状態で、胸の尖りを優しく転がされる。
「どうしてだ?」
 祐樹はむしろ驚いた感じで目を見開いた。このホテルで愛の交歓をしたことはそれこそ数えきれないほどあったし、その後クラブラウンジに行ったことも有ったので。
「こんなに甘く乱れて……悦楽に蕩けたお顔とか……、いつも以上に愛の行為の後の甘やかな香りを放つ紅色の素肌を誰にも見せたくないからです。
 肝心な場所は当然隠しますが、それ以外の場所も愛の交歓の痕が色濃く残っているので……。そういう姿は私だけで独占したいので……」
 祐樹の唇がこめかみから目尻に甘く降ってくる。
 涙と思しき液体を優しく吸ってくれるのも甘やかな満ち足りた気分だった。
「そうなのか?
 祐樹に独占されるのも大好きなので、それはそれで構わないが……。
 それに繋がったまま、こうしているのも……。もう少しこのままでいても良いか?」
 後ろ手で祐樹の汗に濡れた髪の毛を持って自分からキスを仕掛けた。
 食後酒のような甘いキスの味にも酔いしれる。
「少しなら構いませんよ。
 ただ、し残したことを思い出したので……。
 聡のお身体には負担は掛けないと思いますが、愛の行為の続きをしましょうね、もう少し経ったら……」
 何をし残したのかは分からないが、祐樹の素肌に密着しているだけで個人的には最高の幸せだったので、曖昧に頷いた。











どのバナーが効くかも分からないのですが(泣)貼っておきます。気が向いたらポチッとお願いします!!


◇◇◇
リアバタと体調不調で一週間も更新をお休みしてしまったことを深くお詫びいたします。
申し訳ありませんでした。

本日は比較的自由な時間が取れたので【三話】更新しました!!毎日こうだと良いのですが……。
「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
 
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。


最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
                    こうやま みか拝
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