「素敵な夜を有難う御座います。どんな宝石よりも艶やかな尖りとか、肝心な場所だけを露わにして愛の行為に没頭する聡は、私の腕の中だけで花開く月下美人の花のようでとても素敵です。
以前は、月の脆い光に誘われて消えてしまいそうな儚さを感じたのですが、今の聡は何が有っても私の腕の中に戻ってくるという安心感がありますね……」
汗の雫を纏って弛緩した肢体を抱き締めながら熱く囁いた。
「そうか?私が居たいのは、祐樹の腕の中だけなのは最初から……だったが?」
怜悧さよりも甘さが勝った声が車内の静謐な空間に愛情の彩りを加えていく。
「最初は捕まえておかないとどこかに消えてしまいそうでした、よ?天橋立に行った時には切実にそう思いました。
ですが、徐々に心も、そして肢体も開いて綺麗な花を咲かせたような感じで……。まぁ、花園の見事さは最初の夜から予感していましたが、それでもここまで華麗かつ優美に咲き誇るとは思いも寄りませんでした。
知っていますか?車内での愛の行為の時には車体も不自然に揺れるのです、普通は、ね」
驚いたように艶やかな瞳が見開かれた。切れ長の綺麗な目の持ち主だけに、鈴のように大きく開かれるだけで普段とはまるで印象が異なって見えて祐樹だけに向けられる「特別」な感じがして余計に愛おしさが募る。
「どうしてだ?」
艶めいた小さな声だったが、無垢な煌めきを加えているようで、祐樹の愛情と欲情の証しを迎え入れたままで微細かつ精緻な淫らさで強く弱く動く花園とか、咲き切った花のように甘く薫る肢体との落差が際立った。本当に思い当たるフシがないという感じの訝しそうな声が却って愛おしくて堪らない。車内の狭さが逆に密着感を増してくれているようで、抱き締める手に力を込めた。
祐樹の愛情で花開いた華麗な場所については散々説明してきたハズだったが、最初の頃は愛の行為の時に理性を飛ばしていた可憐な人だったので、多分聞いてはいても記憶には残ってないのだろう。器用そうにみえる――確かに器用ではあるものの――最愛の人の精神の根底は不器用この上ないことを知っているのは祐樹だけで充分だった。
「あくまでも聞いた話なのですが、私達だって愛の交歓の時に二種類のパターンがあるのはご存知でしょう?最近では、そうですね……ほら「あの」エプロン姿の時にした愛の行為が一番分かりやすいかと」
明石海峡大橋近くのホテルの広大な庭園を二人で散歩していた時に結婚式を挙げた花嫁さんのドレスで認識を改めた最愛の人に良く似合いそうな上品かつ扇情的なエプロンを選んで購入した。レースもその辺りで売っているような安っぽい感じは一切なくて精緻さと繊細さで素肌を引き立てるような作りだったし、素材も最高級のシルクの艶やかな肌触りと鈍く光るコクで目を愉しませてくれる逸品だった。しかも着ている人の最上級の磁器の滑らかな素肌と相俟ってついつい視線がそちらに行ってしまい、その瞳の熱で煽られた感じ易い肢体が次第に花開いていく様子に堪り兼ねてキッチンで後ろから貫いてしまっていた。
「ああ、あの時か……。ああいう大きな動きも大好きだが?
というか、祐樹にされて嫌なことは何もないな……」
以前から思っていたが、無意識に発する殺し文句の達人なのは相変わらずだった。そういう点も愛情を加速させていくが。
「普通はああいう大きな動きでないとなかなか最後までは逝けません。
それを車内ですると……どうなるかはお分かりですよね?」
「あの時」の行為を具体的に花園が思い出したのか、熱い濡れたベルベットの花びら達が強く弱く祐樹の熱を煽っていく。
「揺れるだろう……な……。あんな風に……強く激しく……動かれたら……。
車体の構造上、圧力は……分散される……仕組みの……ようだしっ」
甘い嬌声を上げるのを我慢している感じの脆い怜悧さが逆に悦楽を煽った。
「聡の、極上の花園は……そんなに……大きく動かなくても……充分な悦楽を与えて下さるのです。
それに、襟ぐりの深いニットとはいえ、大胆に露出して下さったのも最高に……嬉しかったです。これからは、肩まで開いたニットを室内着にして下さると……よりいっそう、部屋に帰る喜びが……増えます、ね」
小刻みに上へと腰を動かすと、甘く艶やかな声と共に紅色に染まったしなやかな肢体が優雅な弧を描いた。
「分かった。そう……するのでっ……。
もう一度っ……愛して……欲しっ……。今度は……こちらの……尖りを……歯で……噛んでっ」
紅色の細く長い指がルビー色に艶めく、濡れていない方の尖りに添えられている。
「了解です。ジャズの旋律よりも……大人の甘くて熱い音楽を……二人して奏でましょう。そちらの方が……熱烈に愛し合う……私達には相応しいか……と」
指ごと唇と歯で刺激すると、甘い声が車内に熱く響いた。
<了>
以前は、月の脆い光に誘われて消えてしまいそうな儚さを感じたのですが、今の聡は何が有っても私の腕の中に戻ってくるという安心感がありますね……」
汗の雫を纏って弛緩した肢体を抱き締めながら熱く囁いた。
「そうか?私が居たいのは、祐樹の腕の中だけなのは最初から……だったが?」
怜悧さよりも甘さが勝った声が車内の静謐な空間に愛情の彩りを加えていく。
「最初は捕まえておかないとどこかに消えてしまいそうでした、よ?天橋立に行った時には切実にそう思いました。
ですが、徐々に心も、そして肢体も開いて綺麗な花を咲かせたような感じで……。まぁ、花園の見事さは最初の夜から予感していましたが、それでもここまで華麗かつ優美に咲き誇るとは思いも寄りませんでした。
知っていますか?車内での愛の行為の時には車体も不自然に揺れるのです、普通は、ね」
驚いたように艶やかな瞳が見開かれた。切れ長の綺麗な目の持ち主だけに、鈴のように大きく開かれるだけで普段とはまるで印象が異なって見えて祐樹だけに向けられる「特別」な感じがして余計に愛おしさが募る。
「どうしてだ?」
艶めいた小さな声だったが、無垢な煌めきを加えているようで、祐樹の愛情と欲情の証しを迎え入れたままで微細かつ精緻な淫らさで強く弱く動く花園とか、咲き切った花のように甘く薫る肢体との落差が際立った。本当に思い当たるフシがないという感じの訝しそうな声が却って愛おしくて堪らない。車内の狭さが逆に密着感を増してくれているようで、抱き締める手に力を込めた。
祐樹の愛情で花開いた華麗な場所については散々説明してきたハズだったが、最初の頃は愛の行為の時に理性を飛ばしていた可憐な人だったので、多分聞いてはいても記憶には残ってないのだろう。器用そうにみえる――確かに器用ではあるものの――最愛の人の精神の根底は不器用この上ないことを知っているのは祐樹だけで充分だった。
「あくまでも聞いた話なのですが、私達だって愛の交歓の時に二種類のパターンがあるのはご存知でしょう?最近では、そうですね……ほら「あの」エプロン姿の時にした愛の行為が一番分かりやすいかと」
明石海峡大橋近くのホテルの広大な庭園を二人で散歩していた時に結婚式を挙げた花嫁さんのドレスで認識を改めた最愛の人に良く似合いそうな上品かつ扇情的なエプロンを選んで購入した。レースもその辺りで売っているような安っぽい感じは一切なくて精緻さと繊細さで素肌を引き立てるような作りだったし、素材も最高級のシルクの艶やかな肌触りと鈍く光るコクで目を愉しませてくれる逸品だった。しかも着ている人の最上級の磁器の滑らかな素肌と相俟ってついつい視線がそちらに行ってしまい、その瞳の熱で煽られた感じ易い肢体が次第に花開いていく様子に堪り兼ねてキッチンで後ろから貫いてしまっていた。
「ああ、あの時か……。ああいう大きな動きも大好きだが?
というか、祐樹にされて嫌なことは何もないな……」
以前から思っていたが、無意識に発する殺し文句の達人なのは相変わらずだった。そういう点も愛情を加速させていくが。
「普通はああいう大きな動きでないとなかなか最後までは逝けません。
それを車内ですると……どうなるかはお分かりですよね?」
「あの時」の行為を具体的に花園が思い出したのか、熱い濡れたベルベットの花びら達が強く弱く祐樹の熱を煽っていく。
「揺れるだろう……な……。あんな風に……強く激しく……動かれたら……。
車体の構造上、圧力は……分散される……仕組みの……ようだしっ」
甘い嬌声を上げるのを我慢している感じの脆い怜悧さが逆に悦楽を煽った。
「聡の、極上の花園は……そんなに……大きく動かなくても……充分な悦楽を与えて下さるのです。
それに、襟ぐりの深いニットとはいえ、大胆に露出して下さったのも最高に……嬉しかったです。これからは、肩まで開いたニットを室内着にして下さると……よりいっそう、部屋に帰る喜びが……増えます、ね」
小刻みに上へと腰を動かすと、甘く艶やかな声と共に紅色に染まったしなやかな肢体が優雅な弧を描いた。
「分かった。そう……するのでっ……。
もう一度っ……愛して……欲しっ……。今度は……こちらの……尖りを……歯で……噛んでっ」
紅色の細く長い指がルビー色に艶めく、濡れていない方の尖りに添えられている。
「了解です。ジャズの旋律よりも……大人の甘くて熱い音楽を……二人して奏でましょう。そちらの方が……熱烈に愛し合う……私達には相応しいか……と」
指ごと唇と歯で刺激すると、甘い声が車内に熱く響いた。
<了>
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本日は【二話】更新を目指しますが、二時間を目途に更新されなかったら「力尽きたんだな」と思って下されば幸いです。
「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。
「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。
最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
こうやま みか拝
こうやま みか拝