「……頼長様……」
我が邸の車宿りに左大臣家からの牛車が着いたのは漆黒の夜の帷に桜の花が艶なる雰囲気で散りしだいている頃合いでした。
物語の姫君のように、殿方との逢瀬の後の次の日は物思いにふけって過ごすというわけには参らずに、父上に妹の芳子の裳着についての頼長様のご好意、そしてその父君の忠実様に献上すべく菖蒲や杜若が手に入れられないかと話し合ったり、兄君の関白忠通様の御気持ちが少しでも動くような和歌を作ったりと実際は目まぐるしい一日を過ごした後に、身体を清めて装束を整えて牛車に乗ったら、私邸でお待ちのはずの頼長様が牛車の中にいらっしゃったのですから驚くなというほうが無理でしょう。
「夜桜の君に早く逢いたくて、つい牛車に乗ってしまった」
頼長様もきっと内裏での政務で――実際にどんなことをなさるのかは下々の身には分かりかねましたが――少しお疲れのようでいらっしゃいましたが、却ってそれが凛々しい御顔に影を添えていて、目を奪われてしまいました。
そして頼長様の長く優美な指が私の直衣の袖を掴んだかと思うと肩と腰を抱いて下さって唇を重ねて下さいました。
「私もお逢いしたくて、夜が来るのを待ち侘びておりました……」
日が暮れるのを待っていたのは誠のことでしたが、すべきことをこなす合間合間に頼長様のことを慕わしく懐かしく想い出したり、身じろぎした瞬間に頼長様の薫物の上質で男らしい香りが衣から漂ってきた刹那に焦がれるように想ったりしたというのが真実でした。
頼長様の唇が銀の細い糸を引いて離れると、結い上げているせいで露わになった首筋を舌と唇が熱く甘く辿って行きます。それと同時に紐も解かれて白い上衣と緋色の絹が素肌を滑り落ちていく感触にすら甘い吐息を零してしまっていました。
「牛車の中で……そのような……。ああ……」
牛車は当然ながら揺れも致しますし、何よりも舎人や牛飼い童が外に付き添っているものです。
そんな中での睦み合いは憚らねばならないと思いつつも、首筋を甘く噛まれ、早くも芯を作ってしまった胸の小さな粒を指で愛されると頼長様の二藍の直衣に縋っていた背が撓んで指で抓まれた芯を更に押し当ててしまっておりました。
「夜桜の君……。案ずるな……。車宿りではなく……直接寝殿に着けるようにと命じたので。
それに今宵は誰も近寄るなと楓にも申しつけている。
明日の日が昇るまでは、寝殿は人が侍らぬように……。夜桜の君のそういう姿を私以外は誰も見ないように、申しつけてあるので、存分に乱れると良い。
白珠のような素肌が朝日に匂う桜の花よりも艶やかに染まっているのも、そして桜の花弁が咲く寸前の蕾のような愛らしい芯も……誰にも見せたくはない。
衣や帯を運び入れるのも手ずから行うので安心せよ」
頼長様の御声がぬばたまの夜よりも静やかに私の心と身体に沁みこんでいくかのようでした。首筋を舌と唇で愛される合間に告げられた意外過ぎる、そして何よりも嬉しい御言葉に、夢見心地になりそうでした。
ただ、後ろから抱き締められて首筋には濡れた音と熱い愛を、胸の二つの芯には指が当てられて乱されていきます。そして、下の口に――といってもまだ装束は着けたままでしたが――頼長様の熱く猛った男根が触れているのも心の底が灼熱の炎で炙られたような心持ちが致しました。
頼長様を早くお迎えしたくて……そして身体の奥で頼長様の熱さを堪能した後に堰を切って放たれる白珠の熱さを――出来れば同時に――素肌の外と中の両方に浴びたいと思ってしまっておりました。
「夜桜の君、袖で唇を塞いで……、忍び音で堪えているのも風情が有るが……。少しの声では外には漏れない故……」
「頼長様……。頼長様の香りに包まれて……、首筋と……胸の芯を……そのように弄られますと……、そして下の口に……熱く……逞しい……男根を衣越しにでも……押し付けられると……どうにか……なりそうです……」
頼長様の指が胸の芯だけでなくその周辺の淡い桜色の部分まで円を描くように繊細な動きに変わりました。
「頼長様……早く……邸に……連れていって……下さい……」
首筋と胸の二つの桜の蕾を愛されただけで、甘く熱い忍び音が出てしまって、閉じられなくなった唇から雫が零れております。
「車を急がせよ」
頼長様は扇を鳴らしてやや大きな、そして凛とした涼しげな声で命じられました。
御命令の通りに牛車は速さを増しましたが、その代わり揺れも激しくなって下の口に当たった物だけでなく、二つの桜の蕾に当たる指も荒々しいとさえ言えるほどになってしまって、あられのない声が出てしまっておりました、声だけではなくて私の男根も天を衝くかのように指貫を押し上げてしまっているのをまざまざと自覚して、息も絶え絶えな心地がしました。
「夜桜の君……、私に掴まって下りるか……。それとも抱き上げて寝所まで運ぼうか」
牛車から牛が外される気配を感じてはおりましたが、魂は宙を舞う季節外れの蛍のように身から離れたような心許なさで頼長様の指や舌、そして下の口に当たっている男根のみが確かな生の証しのように思えてなりません。
「いえ、大丈夫です……。まだ……歩けるかと……存じます」
屋根の高い、今めいた感じのするお邸の寝殿前に牛車は停められており、灯りだけはふんだんに灯されてはいるものの、深々として人の気配が全く感じられないのは頼長様の御命令が行き届いていたからなのでしょう。
その灯りに照らされた頼長様は可笑しそうな御顔をなさって「まだ」と鸚鵡の瑠璃のように返されました。
「灯火の下で見る夜桜の君は――乱れ散る桜花のように艶やかで……そして何よりも綺麗だ。寝所ではなくて、ここで睦み合いたいほど――」
耳朶を甘く噛まれて低く仰る頼長様の熱が、私の身体をも更に熱くしていきました。
「それでも……構いません。――約定通り、御人払いをなさって下さいましたので――」
艶めいた声が自分のものとは思えないほどでした。
そして、その瞬間頼長様の御腕が、私の身体を後ろから抱きすくめて帯を解いて下さいました。
そしてそのまま背に頼長様の直衣の絹の滑らかさと、熱い身体を重ねたままで床に崩れ落ちていきました。
「……頼長様……指ではなくて――こちらのを……」
下の口に二本の指がすんなりと挿るようになった私の身体でしたが、それよりも確かで熱い頼長様の男根で貫いて欲しいという渇望に、震える指で頼長様の指貫の中を探って脈打つ熱い楔を取り出しました。
我が邸の車宿りに左大臣家からの牛車が着いたのは漆黒の夜の帷に桜の花が艶なる雰囲気で散りしだいている頃合いでした。
物語の姫君のように、殿方との逢瀬の後の次の日は物思いにふけって過ごすというわけには参らずに、父上に妹の芳子の裳着についての頼長様のご好意、そしてその父君の忠実様に献上すべく菖蒲や杜若が手に入れられないかと話し合ったり、兄君の関白忠通様の御気持ちが少しでも動くような和歌を作ったりと実際は目まぐるしい一日を過ごした後に、身体を清めて装束を整えて牛車に乗ったら、私邸でお待ちのはずの頼長様が牛車の中にいらっしゃったのですから驚くなというほうが無理でしょう。
「夜桜の君に早く逢いたくて、つい牛車に乗ってしまった」
頼長様もきっと内裏での政務で――実際にどんなことをなさるのかは下々の身には分かりかねましたが――少しお疲れのようでいらっしゃいましたが、却ってそれが凛々しい御顔に影を添えていて、目を奪われてしまいました。
そして頼長様の長く優美な指が私の直衣の袖を掴んだかと思うと肩と腰を抱いて下さって唇を重ねて下さいました。
「私もお逢いしたくて、夜が来るのを待ち侘びておりました……」
日が暮れるのを待っていたのは誠のことでしたが、すべきことをこなす合間合間に頼長様のことを慕わしく懐かしく想い出したり、身じろぎした瞬間に頼長様の薫物の上質で男らしい香りが衣から漂ってきた刹那に焦がれるように想ったりしたというのが真実でした。
頼長様の唇が銀の細い糸を引いて離れると、結い上げているせいで露わになった首筋を舌と唇が熱く甘く辿って行きます。それと同時に紐も解かれて白い上衣と緋色の絹が素肌を滑り落ちていく感触にすら甘い吐息を零してしまっていました。
「牛車の中で……そのような……。ああ……」
牛車は当然ながら揺れも致しますし、何よりも舎人や牛飼い童が外に付き添っているものです。
そんな中での睦み合いは憚らねばならないと思いつつも、首筋を甘く噛まれ、早くも芯を作ってしまった胸の小さな粒を指で愛されると頼長様の二藍の直衣に縋っていた背が撓んで指で抓まれた芯を更に押し当ててしまっておりました。
「夜桜の君……。案ずるな……。車宿りではなく……直接寝殿に着けるようにと命じたので。
それに今宵は誰も近寄るなと楓にも申しつけている。
明日の日が昇るまでは、寝殿は人が侍らぬように……。夜桜の君のそういう姿を私以外は誰も見ないように、申しつけてあるので、存分に乱れると良い。
白珠のような素肌が朝日に匂う桜の花よりも艶やかに染まっているのも、そして桜の花弁が咲く寸前の蕾のような愛らしい芯も……誰にも見せたくはない。
衣や帯を運び入れるのも手ずから行うので安心せよ」
頼長様の御声がぬばたまの夜よりも静やかに私の心と身体に沁みこんでいくかのようでした。首筋を舌と唇で愛される合間に告げられた意外過ぎる、そして何よりも嬉しい御言葉に、夢見心地になりそうでした。
ただ、後ろから抱き締められて首筋には濡れた音と熱い愛を、胸の二つの芯には指が当てられて乱されていきます。そして、下の口に――といってもまだ装束は着けたままでしたが――頼長様の熱く猛った男根が触れているのも心の底が灼熱の炎で炙られたような心持ちが致しました。
頼長様を早くお迎えしたくて……そして身体の奥で頼長様の熱さを堪能した後に堰を切って放たれる白珠の熱さを――出来れば同時に――素肌の外と中の両方に浴びたいと思ってしまっておりました。
「夜桜の君、袖で唇を塞いで……、忍び音で堪えているのも風情が有るが……。少しの声では外には漏れない故……」
「頼長様……。頼長様の香りに包まれて……、首筋と……胸の芯を……そのように弄られますと……、そして下の口に……熱く……逞しい……男根を衣越しにでも……押し付けられると……どうにか……なりそうです……」
頼長様の指が胸の芯だけでなくその周辺の淡い桜色の部分まで円を描くように繊細な動きに変わりました。
「頼長様……早く……邸に……連れていって……下さい……」
首筋と胸の二つの桜の蕾を愛されただけで、甘く熱い忍び音が出てしまって、閉じられなくなった唇から雫が零れております。
「車を急がせよ」
頼長様は扇を鳴らしてやや大きな、そして凛とした涼しげな声で命じられました。
御命令の通りに牛車は速さを増しましたが、その代わり揺れも激しくなって下の口に当たった物だけでなく、二つの桜の蕾に当たる指も荒々しいとさえ言えるほどになってしまって、あられのない声が出てしまっておりました、声だけではなくて私の男根も天を衝くかのように指貫を押し上げてしまっているのをまざまざと自覚して、息も絶え絶えな心地がしました。
「夜桜の君……、私に掴まって下りるか……。それとも抱き上げて寝所まで運ぼうか」
牛車から牛が外される気配を感じてはおりましたが、魂は宙を舞う季節外れの蛍のように身から離れたような心許なさで頼長様の指や舌、そして下の口に当たっている男根のみが確かな生の証しのように思えてなりません。
「いえ、大丈夫です……。まだ……歩けるかと……存じます」
屋根の高い、今めいた感じのするお邸の寝殿前に牛車は停められており、灯りだけはふんだんに灯されてはいるものの、深々として人の気配が全く感じられないのは頼長様の御命令が行き届いていたからなのでしょう。
その灯りに照らされた頼長様は可笑しそうな御顔をなさって「まだ」と鸚鵡の瑠璃のように返されました。
「灯火の下で見る夜桜の君は――乱れ散る桜花のように艶やかで……そして何よりも綺麗だ。寝所ではなくて、ここで睦み合いたいほど――」
耳朶を甘く噛まれて低く仰る頼長様の熱が、私の身体をも更に熱くしていきました。
「それでも……構いません。――約定通り、御人払いをなさって下さいましたので――」
艶めいた声が自分のものとは思えないほどでした。
そして、その瞬間頼長様の御腕が、私の身体を後ろから抱きすくめて帯を解いて下さいました。
そしてそのまま背に頼長様の直衣の絹の滑らかさと、熱い身体を重ねたままで床に崩れ落ちていきました。
「……頼長様……指ではなくて――こちらのを……」
下の口に二本の指がすんなりと挿るようになった私の身体でしたが、それよりも確かで熱い頼長様の男根で貫いて欲しいという渇望に、震える指で頼長様の指貫の中を探って脈打つ熱い楔を取り出しました。
______________________________________
宜しければ文字をクリック(タップ)お願い致します~!励みになります!
2クリック有難うございました!!
【お詫び】
リアル生活が多忙を極めておりまして、不定期更新になります。
更新を気長にお待ち下さると幸いです。
今日は12月とは思えないほど暖かかったです。何だか気温の変化に身体がついていってくれるか心配な今日この頃です……。
読者様もお身体ご自愛くださいませ。
こうやま みか拝