腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

気分は~学会準備編の少し前

気分は下剋上 香川教授の陰謀 6

「真殿教授に頼んでみましょうか……」
 清水研修医らしい大胆発言だった。病院長の「親友」の父親の七光りを充分に利用していると豪語するだけのことはある。祐樹だって研修医の頃は教授職として凱旋帰国した自分に対して――関係が深まるにつれて割と踏み込んだ言動を医局騒動の時から行ってくれてはいたが――「遠慮」という深い川が横たわっていたので。
 今思えば祐樹も研修医のポジションとしては大胆な振る舞いを教授職の自分に対してしてくれていた――そしてそれがどんなに嬉しかったか、祐樹が贈ってくれたダイアモンドよりも煌めく想い出だった――しかし、清水研修医の大胆さとか遠慮のなさは驚嘆に値する。
 散々、祐樹に「恋愛全般について鈍い」と愛おしげな笑み交じりで指摘されていたが、最近では「そういう感情」を先方が持っているかは何となく分かるようになっていた。清水研修医にはそういう感じは一切受けないので、病院内のポジションが上がることを望んでいるのだろう。
「真殿教授にも何らかの貸しが有るのですか、詳しくは聞きませんが。しかし同じ時期に同じようなアンケートというのも不審に思われませんか?」
 清水研修医の考えにケチをつけるわけではなくて、純粋な疑問だった。
「実家の精神科の先生と当然良く話します。当然私の場合はこちらの病院の勤務時間なので担当はしていませんが、『発達障害ではないか』と疑って来られる患者さんが多いのです。しかし、ウチの病院では従来から有る精神病しか扱っていない点と、もう一つ、この職業ではそれほど問題になってはいないのですが――――教授が巻き込まれた、痛ましい――――」
 流石の清水研修医もそれ以上は言えないらしい。ただ、個人的には完全な過去の話で何のこだわりも、しこりもなかったが。
「ああ、医師自身が何らかのメンタルヘルスの問題を抱えているという件ですか……。しかしあの事件を受けて真殿教授が作成した診断シートを病院職員が受ける健康診断に反映されると聞いています」
 そういえば、PCのトップページ――医師しか閲覧出来ないサイトにも、発達障害やそれに伴う自閉症などの症例が多数書かれていたが、誰でも見られる大手検索サイトにも時々その文字が表示される。自分が医療関係のキーワードの入力の頻度が多いせいかとも思っていたが、清水研修医の――地震の前までは精神科医として生きていくと決めていたので、実家の病院でも精神科の医師と話す機会が多いのはある意味当たり前だ――真剣な表情を見るとどうやら違うらしい。
「大学病院でも発達障害を扱うべきだと思う二点目なのですが、真殿教授は従来の精神疾患のみを診ていくという方針で、当然知識のアップデートを行っていません。
 しかし、発達障害は知的障害を伴わないので、この大学病院の医師の中にも一定数は居ると確信しています。相手の気持ちや感情などが分からないし、想像も出来ないという障害なのですけれども……『白い巨塔』時代の医師とでも表現したら良いのかもしれませんが、そういう先生方は患者さんやそのご家族の感情とか悩みなどを共感して診ていないという弊害がありました。そういった医師を排除しなければ不定愁訴外来の呉先生のご負担は増えるばかりです。
 ただ『歩く石頭』とウワサされている真殿教授の説得には少々時間が掛かると思います」
 清水研修医も精神科には愛想尽かしをしていることは分かっていた。ただ、発達障害という――確かそれが原因で自閉症とかアスペルガー症候群になってしまう患者さんも居るらしい――割と新しい障害には「相手の感情が想像出来ない」という症状が有るのだったら、確かに医師には向いていない、少なくとも臨床には。
「感情を察知出来るかどうかという点をクローズアップして真殿教授が駄目なら呉先生に頼むと良いかも知れません。
 患者さんやご家族の方の感情を汲み取らないと下手をすれば訴訟沙汰になる昨今の風潮では、そういう障害の疑いを持つ医師が窓口に立つのは危険ですから。
 流石のお父様の御威光も真殿教授には届かないのですね……」
 「感情」という言葉をキーワードにした、全医師向けのアンケートを配布する大義名分が出来た安堵感から悪戯っぽい笑みを浮かべて清水研修医を見た。
 本人は親の七光りだと謙遜しているが――容姿は全く異なるものの――研修医の時の祐樹と何となく似ている感じがして話していると楽しいのも事実だった。
 向かい側のソファーで清水研修医も薄く微笑んでいる。
「精神科はご存知のようにMRIやCTなどそういうお金の掛かる医療機器が一切必要ないという科ですので……。お得意の寄付攻撃も効かないのです……」
 なるほどなと思ってしまう。
「呉先生は反・真殿派の筆頭でもいらっしゃる上に斉藤病院長からの覚えも目出度いでしょう。ですから、真殿教授に断られたら先生に頼むと良いと思います。
 実際問題として教授とケンカして――何でも五時間に亘る大喧嘩らしかったです――ウチの病院に残れるというのは前代未聞の快挙です」
 それはそうだろう。所属先の教授に逆らっただけでも下手をすれば医局を追い出されるリスクが高いのに、口ゲンカをして――医局は追い出されたものの――新しいブランチ設立を病院長に認めさせたというのは呉先生の実力が斉藤病院長の耳にも入っており、かつ真殿教授の怒りに満ちた病院長直訴が効かなかった点で呉先生の実力の賜物だろう。
「ただ、呉先生は不定愁訴外来に愛着を持っていらっしゃいますよね。精神科医師の希望の星なのは分かりますが、これ以上の出世は望んでいらっしゃらないので、反・真殿教授の旗手になって下さるかが問題です」
 清水研修医のコーヒーカップが空になっていたので、下げて新しいコーヒーカップに湯煎をしてからコーヒーを注いだ。
「確かにあの先生は、これ以上の出世欲はないでしょう。しかし精神科の学会とか講演会に積極的に講演者として参加していらっしゃいます。
 だから、精神科学会での評判はすこぶる高いのです」
 そういえば、森技官が一目惚れをしたのも徳島だかどこかの学会での講演だと聞いた覚えが有った。
「あ、有難う御座います。こんなに美味しいコーヒーを教授ご自身が振る舞って下さって。
 それはそうと、精神科学会での評判は斉藤病院長も当然把握していますので、真殿教授の対抗馬になり得ますね。
 真殿教授がアンケートを拒むようでしたら、呉先生ご本人が望ましいのですが……、それが叶わない場合は呉先生に熱烈なシンパシーを抱いている先生に頼むという方法もあります。
 要は……」
 清水研修医がコーヒーを飲むために言葉を途切れさせた。
 折鶴勝負のためにコツを教えただけの積もりだったのに、その御礼以上の話の展開が興味深くてついつい話の先が気になって熱心に拝聴していた。
 出版騒動が収束した時、祐樹に新しい情報を提供出来るのが嬉しくて。





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気分は下剋上 香川教授の陰謀 5

「――ここだけの話、病院長が絶対に隠し通さなければならない、いわゆる墓場まで持って行く類いの話を父は知っています。具体的なことは私にも話しては貰えませんでしたが、私が中学生の頃だと思うのですが、週に一度の我が家の一家団欒の――つまり」
 清水研修医が何を説明するのかは分かっている。
「清水家では一家全員が揃うというのはなかなかないのですよね。ご家族で、しかもあんなに大きな病院を経営なさっているのですからある意味当然かとも思います。良いか悪いかという論評はさて置いて。
 それで週に一回全員が集まる日を予め決めておいて、その日には何が何でも集まる日というご家庭内の習慣が有るのでしたよね」
 清水研修医は実年齢に近い明るい笑顔を初めて浮かべている。今までは挨拶から岡山に居るという友人の話と病院内の件を畏まった、そして冷静な感じで話していた。
 どちらかというと――顔の造作などは全く異なってはいるものの――医局で元気一杯といった振る舞いをしている久米先生と同じような表情だった。
 ただ、久米先生と清水研修医の実家は開業医という点では同じだが、病院の規模が天と地ほどの差があるので久米先生の方が屈託なく育った感じだ。
「教授がそんな些細なことまで覚えていて下さっていたのはとても嬉しいです」
 本当は何曜日かまで悉く暗記していたが、それを言ってしまうと何だか清水研修医に特別な気持ちを抱いているように誤解されるような気がしたのでそれは伏せていた方が良いだろう。自分の記憶力は祐樹に褒めて貰うだけで充分だった。ただ、その断片的な情報を活用する能力はあいにく持ち合わせていないが、祐樹がその点をカバーしてくれるので問題はなかったし。
「――ウチに相談なのでしょう、今思えば。第一応接室は家族や使用人も許可なく入ってはならないという決まりが有って、そこに割とちょくちょくいらっしゃるお客様でして、その後は勉強を見て下さったり、もう少し幼い頃には遊んで貰ったりしていました――『今日の用件は生きるか死ぬか、腹を括った感じだった。沈むかも知れないが……身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれといった感じだな……。こちらに累は及ばないように配慮はしてくれると約束したが、最悪の場合一蓮托生だ』と父にしては珍しく母に真剣な顔で言っていたことが有ります。その次の週には父も晴れやかな表情だったのでうっかり忘れていましたが、今思えばかなり危ない橋――法律とかそういう問題ではなくこの病院のことだったかと。法律問題ならウチの父を巻き込むことはないでしょうから」
 そういう話を多分幼年期から聞かされて育ったのが清水研修医の「帝王学」なのかも知れない。その頃には全く分からない話でも後に思い返してみれば腑に落ちることもたくさんあると祐樹が言っていた。自分は母が病弱だったし無口な人なのでそういう経験はなかったが。
「ああ、なるほど……。口の固さは信頼していても、頭が上がらないような秘密の共有をしているわけですか。
 ウチの病院への寄付などの貢献度の他にそういう武器をお持ちでしたならすんなり通るような気もします。
 それに、外科の催し物の――その節は本当にご協力とそしてたゆまぬ努力を有難う御座いました――時に何となく感じたのですが、病院長は各科の縦割りをなくそうという意向をお持ちのようなので……乗って来て下さいそうですね」
 専門分野に特化した大学病院なだけに――その分高度な医療を提供出来るが――科ごとの連携が殆んどないのも実情だった。ただ、人体の全てが解明されているわけでもないので、他科との情報共有が活発に出来るようになって欲しいというのも本音だった。
 祐樹が激務に激務を重ねてまでバイパス手術に使える未知の大動脈を探してくれているのは大変嬉しいが、それで身体を壊しても何にもならないので是非他科の情報も欲しいという側面もある。
 それに自分にとって医師としての祐樹も物凄く重要だったが、それよりも優先順位が高いのはやはり「生涯に亘るパートナー」なので健康で居て欲しいと切実に願ってしまう。
「しかし、斉藤病院長に提出するのが前提なら……この旧態依然とした病院のことなのでタテマエとホンネが異なるかも知れませんよね……」
 清水研修医が呟くように言った。
「確かにそれは有るかと思います。好きな人間はともかく好感度が低い人間――例えばですけれど本当はゼロの箇所にマークなりチェックなりを入れたいとしても、おまけというか……心理的ストッパーが働きますよね。特に病院長がチェックするとなると……」
 自分にはゼロを付けたくなるような教授は居ないし、そして祐樹からは愛おしそうな笑顔で「鈍い」と散々指摘されていたがその程度のことは分かる。そんなある意味手加減というか本音を隠したままのアンケート用紙が果たして役に立つのだろうかと思ってしまう。発想は素晴らしいし、是非とも実施したいのはやまやまだったが。




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気分は下剋上 香川教授の陰謀 4

「病院長命令ということにしては?
 円滑な組織運営のために是非必要だとか、病院一丸となって――事務局主導ではなくて教授を始めとする本来の指揮系統で――経営を見直すためにとか色々と口実はあるでしょう。
 事務局に不満を抱いている先生達って意外と多いのです」
 清水研修医が事もなげに言った、ごく平静な口調で。
 祐樹も医局の慰安旅行の時に色々と言われたようで――具体的なことは聞いていない、言う必要があれば絶対に告げてくれると信じているので――確かに不満を持っている。
「それは救急救命室のメンバーだけのことですか?」
 だとすれば、万年赤字の――これは病院のため、医療のためにはある意味仕方ない。例えば救急車や消防車、そして警察官とパトカーみたいに普段は必要がないが無ければ困るという存在で、後者の場合は国家公務員として働いているし、市民の理解は得られているので問題ないが、国立病院という税金で運営されていたモノが独立行政法人となって採算というものを考えるようになった今となっては赤字イコール悪という風潮だ――象徴でもある救急救命室の「皆」が思っていることでも、他の科は異なるといったことも充分考えられる。
「いえ、確かに救急救命室でもそんな話は出ますが、精神科の先生達もお薬の処方などで色々と干渉されると聞いています。たとえば点滴と錠剤だったらコストパフォーマンスの良し悪しで決めろとか、そういう専門家が決めたことを事務局から煩く言って来るようなので……」
 外科から遠く離れた――少なくとも自分の医局は短期入院がメインなので、元々精神病を患っている人以外では発症もないため交流のしようがない――精神科でもそういう愚痴が出ているなら、きっと他の科からも同じような反感は抱かれている可能性が高い。
 教授職本来の――自覚し出したのは最近で、それまでは自分の科のこと以外はほとんどスルーして来た――物事の見方というかそれ以上の視点で認識出来る研修医というのも、ある意味新鮮だった。
 それに今でこそ外科という本来居るべき場所で輝いている彼がベテランナースに叱責されながら、しかも地震の時には「居ても居なくても同じ」という扱いだったとは。
 多分、真殿教授も気付いていないのだろう、この研修医の只者で無さ加減というものに。研修医は――実際問題、ベテランナースの方が経験も豊富なことは認めるが――目先の仕事を覚えるのが精一杯だし、なかなかそういう大局的に立った視点を持ち辛いのに、良くもこんなに見ているなと感心してしまう。
「病院長にはどうやって説得を?確かにその大義名分的な命令が出れば個性豊かな教授陣も従うでしょうが……」
 祐樹や――そして内心は祐樹も多分尊敬している――森技官が使いそうな手段ではなくて、例えばそのアンケートで自分に10の評価を付けた人間からより点数の低い人間に説得して貰うという方が極めて穏当のような気がする。
 ただ、問題は斉藤病院長も――病院改革には燃えているが――説得しなければならないという点だ。
「私の父の寄付が救急救命室だけだと思いますか……」
 愛息の授業料という名目で億単位の寄付をしてくれた太っ腹な人なので、斉藤病院長も「親友」として援助を受けていることは想像に難くない。
「なるほど……。具体的なことは結構ですが、つまりは影の発言力を多大に持つということですよね」
 攻撃的な――という言い方は祐樹には失礼だろうが――対人関係を作って潰していくという方法よりも自分にとって親和性が高いのは清水研修医の提示してくれた方法であることは確かだった。それに、祐樹の場合は敢えて矢面に立つことによって自分を守ろうとしてくれている、有り難いことに。だから祐樹には時が満ちた時に清水研修医の親友が作成した多次元尺度構成法の表を――話を聞いてのざっくりとしたイメージだが、入試で使ったような日本の戦国時代の人間関係図とか姻戚関係、そして同盟の有無を記した各大名家の勢力分布図のような感じなのだろう――見せれば、それはそれで祐樹的にも貴重なデータとして使えるハズだし。
「そうですね。ウチの病院でも科同士の軋轢と言いますか、そういう不協和音が実際に有ります。この病院と比べると些細な問題かもしれませんが、当事者にとっては重大です。
 そういう人間関係のややこしさを少しでも解消して、より良い組織作りをする上で充分以上の効果を発揮した――いえ、事実なのです――という点を父から切り出すように頼んでみます。
 これで御礼になりましたか?」
 清水研修医の話が示唆に富んでいてとても興味深かったので、本来の目的である清水研修医の来意が「御礼」だとすっかり忘れてしまっていた。
「充分過ぎるほどです……。こんなに有益な話を聞かせて下さって有難う御座います。
 ただ、病院長は確実にアンケートを実施して下さって、そして貴方の友達に渡るでしょうか……」
 清水研修医はふと思いついた感じでコーヒーカップを大切そうにテーブルの上に置いた。




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気分は下剋上 香川教授の陰謀 3

「流石ですね。その通りです。
 それはそうとお父様と斉藤病院長は元同級生で、今でも親友として仲良くしていらっしゃるのですよね。教授選や病院長選挙でも助け合った仲だと思いますが、具体的にはどのようになさったのですか?」
 清水研修医はピンと来た感じで頷いている。自分の教授職は病院始まって以来の外部からの招聘だったが、それまではまさに政治家の選挙と同じような手順で、当然斉藤病院長もその熾烈な争いに身を投じて勝利を掴んだようだった。ただ、今教授職に就いているので自分が聞きたいことは病院長選挙のことだということくらい、清水研修医ほどの逸材でなくとも容易に見当が付くだろうが。
「ああ、その件ですか……。味方になってくれそうな人間は――主に教授職ですが、上司に反感を持っている准教授とかあるいは医局のキーパーソンなど様々です――とことん懐柔して、中立派にはこちらに付くとこういう良いことが有りますよといった好条件でこちらに寄せて――接待の席でも設けて色々と説得したり歓心を買ったりですね――敵となりうる、もしくは実際に病院長選挙に出そうな人間には早い段階で弱味を握って野望を潰すとかですかね」
 コーヒーの湯気を頬に満足そうに当てながら淡々と語られる内容は一々尤もなことではあったが、実践は難しそうだ。
「味方になってくれそうな人は分かります。しかしその他の敵に回りそうな人間とか各医局の勢力分布図みたいなものはまるっきり分かりません」
 そもそも今まで他科のことなど――共同オペなどの業務で関わりあった程度の付き合いだ――関心を持ったことはなかったし、そもそも他科のことに干渉するのは病院の不文律でもある「内政干渉」に当たるので務めて避けてきた。
「ああ、斉藤病院長の時代にはなかったので、ウチの父も泥臭い選挙戦しか出来なかったようですけれど、今はPCが普通に使えますよね。
 そのPCで『多次元尺度構成法』を使って人物相関図を作れば良いと個人的には思います。教授・准教授・センター長などに『誰のことをどう思っているのか』を10段階でヒアリングするのです。例えばですけれど、白河教授が香川教授に対して好きが10で嫌いがゼロというアンケートですね。まあ、白河教授の場合、香川教授には10と答えるでしょうが、だったら真殿教授に対しては……まあ、仮に5と答えるとしますよね。で、他の5と答えた人はどういう人なのかとか、ゼロと答えた人はどんな人かでだいたいの親近感とか嫌悪感とかは分かります。
 全く関係のない産婦人科などの教授の場合でも、どの教授と親しくしているのかとか、香川教授のことをどう思っているのかも分かるという計算になります。
 あ、すみません説明が下手なので……。分からない点が有りましたら遠慮なく仰って下さい」
 息継ぎのようにコーヒーを飲んだ清水研修医がこちらを心配そうに見ていた。
「いえ、大丈夫です。分かりますよ。つまり、私に10を付けた人間は敵に回ることが少ない上に、その人が影響力を持つ人までこちらの味方になってくれるということですよね」
 弱味を握って……というのは、祐樹が得意とする分野だし、それはそれで最も威力を発揮することも分かっている。
 しかし、清水研修医の提示してくれた方法は――少なくとも自分にとっては――斬新だったし、それに何より「弱味を握って言うことをきかせる」という最終兵器を使わなくてもその人に影響力を持つ人間からの説得を先にして、それでも駄目な場合にのみ最終兵器を使用するという方法の方が後々のためにもなりそうだ。
「その『多次元尺度構成法』は簡単に作成出来るものなのですか?PCのシステム上の問題として」
 まずは技術面から聞いていこうという気になった。清水研修医とはまだまだ浅い縁ではあったが、外科医としての才能以上にそういう「政治家」というか大物の器を感じさせる。
 多分、京都一の私立総合病院の後継者に相応しいように英才教育だか帝王学だかは正確には知らないがそういうモノを学んでいるのだろう。
「ソフトが有れば簡単ですし、入力の手間とかを総合的に考えれば友達に頼むことも出来ます。いえ、医学部ではなくて工学部で実際にそういう研究をしている人です。
 ウチの大学はそういう分野は遅れているとかで、わざわざ岡山大学に行ったのですが。
 ただ、個人名が入っている機微情報といえばそうなりますよね?だったらウチの大学よりも岡山大学の工学部の院生に頼んだ方がリスクは低くなります」
 なるほどなと感心しながら聞いていた。確かに医学部の、しかもウチの大学と関係のある人だったら漏洩する可能性は高くなる。
「その方は秘密厳守でして下さいますか?そもそも良くそういう人と友達……ああ、高校とかの同級生ですか」
 清水研修医の経歴とか学歴は詳しくは聞いていない。ただ、京都生まれの京都育ちだし、しかも京都では誰もが知っているであろう私立病院の経営者の御子息なだけにそれなりの小学校――場合によっては幼稚園からかもしれない――から高校までを出ているに違いない。
 清水研修医が年齢相応のはにかんだ笑みを浮かべた。
「中学からずっと親友です。ま、普段は京都と岡山なので滅多に会えませんがお盆とお正月には毎年会っています。それに今はスカイプとか色々な手段で話せますし。お互い職人気質な点が似ているので気も合うし……気の置けない友達なので秘密厳守でしてくれます。
 私はデータを送るだけですね。アンケート用紙をPDFファイルか何かにして」
 清水研修医は事もなげに言い切った。もともと細部まで目配りの出来る人間だということや、批判めいたことも遠慮なく言うタイプだと地震の時に分かっていたので、その彼が言うのだから大丈夫だろう。
「そのアンケートを実施する方法というか、口実が必要ですよね。技術面はクリア出来たとしても……」
 教授にも色々居て、例えば北教授のような人は自分の研究と救急救命医療以外には興味のない人間だって存在する。そういう人が好感度のアンケート用紙に記入して提出してくれるかどうか、はなはだ覚束ないのも事実だった。自分なら期日までに確実に提出しそうな気はするが。





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気分は下剋上 香川教授の陰謀 2

「そんな……教授――いえ、ウチの真殿教授なら全く構いませんが――他でもない香川教授お自らがコーヒーを淹れて下さるなど……。畏れ多くて。
 しかし、私は呉先生のように自分でコーヒーを淹れたことがないので、お手伝いをしても却って足を引っ張るのが火を見るよりも明らかですし……」
 権威大好きの斉藤病院長が「親友」扱いする大病院の御曹司だし――スケールや知名度は長岡先生の婚約者の日本で最も有名な私立病院よりは劣るものの、長岡先生も長い春に終止符を打って結婚退職すれば、あれだけ家事に向いてない女性でも院長夫人として内助の功の使用人たちの束ねや内科の責任者としての二足の草鞋を履くことになっている――そう考えれば清水研修医がコーヒーは家政婦さんだかお母様だかが勝手に運んで来るものという「常識」で育ったとしても仕方のないことだろう。出来ることと出来ないことをきちんと伝えて無理に手伝おうとしない辺りも清水研修医の人柄が滲み出るようだった。
「呉先生ほど上手では有りませんが、この部屋にいらして下さったからにはお客様です。
 秘書が不在であれば私が淹れるのは当然だと思います。ごくごく稀に叱責のために自分の医局員を呼び出す時にはもちろんコーヒーなど淹れませんが、清水先生は形式的に精神科所属ですし、救急救命室に多大な貢献をなさってはいるもののウチの所属ではないのでお客様扱いをさせて頂きます。
 それに、呉先生のブランチで折鶴の練習をなさっていたのでしたよね?あの味と比べる意味でも是非どうぞ」
 自分とは所詮育ちが違うのだろうが――いみじくも彼が言った通り「子供に親は選べない」というのは至言だ――斉藤病院長の「親友」の施した「帝王学」めいたものは良い方向に育ったようだった。
「外科主催の折鶴勝負のことは、もちろん父にも申しました。そして商品価値など皆無の私の作品も持ち帰って見せましたし、教授や田中先生の芸術作品と表現したくなるほどの素晴らしい出来映えについても。
 すると直ぐに斉藤病院長に電話を入れて入札のお願いをしていました」
 斉藤病院長は――自分が知る限り――祐樹と自分のを三個ずつ計六個入札中で、最高値を更新し続けている。
 部屋にコーヒーの香りが漂ってきた。秘書も帰り、一番落ち着く時間帯だったし、コーヒーの香りが傾きかけた太陽の光りの中で漂うと一日が無事に終わったという満足感と充足感を抱いてしまう。
「え?あのオークションは職員番号と名前が一致すれば誰でも入札出来ますよね。もちろん清水先生も……」
 コーヒーを湯煎済みのカップに細心の注意を払って入れた。
「はい。それも申したのですが、研修医の身分でそういう目立つ行為は止めろと強く言い切ったのでそれも一理有るなと判断しました」
 流石は斉藤病院長が「親友」扱いをしているだけのことは有るなと思ってしまう。
 旧弊な点は――経費削減だとか利益重視を目指しているとはいえ――未だに残っているのも事実だったし、研修医がいわば趣味の分野に入るだろう折鶴を落札したという評判が高まれば余計な反発を招きかねないことまで咄嗟に判断して斉藤病院長に直接談判に及んだに違いない。
 二人の息子を母校に入れた――実際のところ、教授クラスのお子さんであっても私立の、そして知名度は決して高くない医学部に入学させるのがやっとだったという愚痴めいた話しが教授会の前後の時間に出た記憶があった――だけでも快挙なのに、その後もご子息のためを思っての動きとかどんな経営の達人でも黒字化は不可能だと言われている救急救命室に巨額の機器をポンと寄付して息子の授業料代わりにするだけで器の大きな人だと考えていたが、流石、海千山千と噂されている斉藤病院長の「親友」だと心の底から感心した。
「どうぞ。お口に合うと嬉しいです」
 トレーに砂糖などの必要な物を全て載せて運ぶと目を丸くしてから慌てた様子で立ち上がって一礼した。ただ、自分がこういうことをすると例外なく驚くので気にしてはいない。
 教授職に就く実力というか今までは職人のように完璧な手技だけを目指してきたが――他の職務は黒木准教授を始めとした、向いていると判断した人に全てを任せてきただけだ――これからは清水研修医のお父様とか斉藤病院長の動きというか政治力も培わなければ病院長選挙の勝利はうたかたの夢と消えてしまう。元々これ以上の俗にいう出世に興味はなかったが世界の全ての人間を引き換えにしても祐樹を選ぶくらい愛している人を教授職に就ける――実際に祐樹の方が教授には向いている、決して愛する者の贔屓目ではなく――ためには自分がさらに上を目指すしかないので。
「とても美味しいです。呉先生のも極上の味だと思いますが、教授のは苦味が少し濃いですね。好みの違いだと思いますが、両方ともお金を出してまで飲みたい味です。
 ウチの家政婦も一応調理師免許など各種資格は持っていますが、これほどの味は出せません」
 祐樹の好みを考えて呉先生から教わった淹れ方はそのままに豆を替えたのを清水研修医はピタリと当てる舌の正確さも持ち合わせているらしい。












 
【お詫び】
 リアル生活が多忙を極めておりまして、不定期更新になります。
 更新を気長にお待ち下さると幸いです。
 本当に申し訳ありません。
 お休みしてしまって申し訳ありませんでした。なるべく毎日更新したいのですが、なかなか時間が取れずにいます……。
 目指せ!二話更新なのですが、一話も更新出来ずに終わる可能性も……。
 なるべく頑張りますので気長にお付き合い下されば嬉しいです。
 
【にほんブログ村】
 システム移行に伴う障害が発生しているようでして、マイページという更新を知らせる場所にすらたどり着けないという(泣)
 当面のところ「下剋上のどれか」と「蓮花の雫」の二本の記事をアップ出来そうですので、こまめに覗いて下さると嬉しいです!



        こうやま みか拝
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