腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

「気分は~Vt 2018

気分は下剋上Vt2018   20(I8禁)

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「チョコよりも……苦く眉を寄せて……そして甘く蕩けたお顔をなさって……溶け合った場所は熱く甘くて……。
 そういうお顔を拝見出来るのは……世界で私だけかと……思うと。
 愛しています……」
 甘く紡がれる言葉と荒い息遣い、そして身体をさらに繋げようと祐樹の腰の動きも相俟って。
「ああっ……。祐樹っ……もうっ」
 チョコよりも甘い極上の悦楽の頂点を迎えそうな身体を制御しようとして背筋を撓らせた。
「一緒に……」
 奥処の更に奥まで繋がった場所に爆ぜる感じで熱い飛沫を受け止めながら堰き止めていた禁を放った。
 祐樹を先に絶頂に導けた安心感と共に。
 汗の雫を纏った身体を祐樹の方へと傾いでしまったが、その身体を祐樹の大きな手が愛おしそうに受け止めてくれた。
「とても、素敵でしたよ」
 祐樹の甘くてチョコの香りがする唇が顔のあちらこちらを辿ってくれて、何だか心も身体も蕩けたチョコのようになったようだった、祐樹に味わわれるためだけに存在する。
「私も……とても……感じた……」
 熱い呼吸を持て余し気味に告げる。
「少し……休みましょう。
 世界でたった一つの、そして私だけに贈るためだけに作られたチョコよりも、作らせた聡の行動の過程の方こそ愛情が籠っているような気がして……天にも昇る気持ちです。
 というか、本当に良く手に入りましたね……。
 皆が『世界中どこを探してもない』とか口々に言って来たので、当然聡も用意出来なかったのだろうな……と漠然と考えていたのですが?」
 過程を聞きたがっているような感じを受けたので、こちらも愛の交換条件を出すことにした。
「話すから……祐樹の指で……両の尖りを……ルビー色に……」
 それだけで通じるようになった二人の愛の歴史の深さにも甘い声が咽喉の奥から溢れ出た。
「その程度は、お安い御用です……。むしろ、それだけで良いのかとすら思ってしまいますが……。ただ、ここを強く弾くと……」
 祐樹の爪が両の尖りを上下に揺らす。
「ああっ……悦っ……。シェリエの……小粒を包んであるのと……同じ色の……悦楽がっ。
 えと、先ずは……」
 悦楽の奔流に流されないように、必死で記憶を辿った。
「まずは?
 ただ、聡のルビーの煌めきを放つ場所を愛すると……繋がったままの花園の蕾が凝って当たってしまって……私も歯止めが……効かなく……なりそうで……」
 それはそれで甘くて熱い悦楽の深淵に二人して墜ちていくのも悪くないと思ってしまう。
「百回……祐樹を絶頂に……導くと……約束したのでっ……それでも……構わない……が?
 そういうのは……臨機応変で……。私の歓びは、愛する祐樹を悦ばせることだけなので……。あっ」
 一際大きく弾かれて、熱したチョコの感じで背筋が撓る。
「聡も……何だか……私に似てきたような……感じですね。
 何だか更に魂が……寄り添った……感じがします……全てに亘って……」
 祐樹の甘く低い声も悦びに弾けている感じだった。
「そうだったら。とても……嬉しい……。
 日本中のどこの店舗にも……本社の通達のせいで……ないと聞いて……。
 アメリカ時代の知り合いに……ゴディバの関係者は居ないかどうかをメールで確認したらっ……
 ちょうど。奥さんも……家族性……高脂血症で……手術も視野に入れている……人が見つかって……。
 先方も私の……名前は知っていて……細やかな便宜――といっても、普段通りにっ……対応するだけだが……。
 その見返りに……世界のどこかで……生産ラインを動かす……密かな……契約を……交わした」
 祐樹の指が強く弱く愛の動きを変えるたびごとに、自分の声も高く低く甘さを変えている。
「それはとてもロマンチックで……、そして『格別感』に溢れた……密かな契約ですね。
 そこまでして下さるとは思ってもいなかったので……本当に嬉しいです。
 では『恋人としての――そして生涯に亘る――密かな契約』をベッドの上で、もう一度」
 二人の身体が溶けたチョコよりも熱く甘く繋がり合う濃厚な時間への期待に魂まで蕩けてしまいそうになる。
 世界で一つだけのチョコに負けないほど、お互いを想い合っている恋人同士の甘い「契約」のサインを身体で交わすために。

              <了>










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        こうやま みか拝

気分は下剋上Vt2018   19(I8禁)

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「この甘酸っぱさと、濃厚なリキュールの配分が絶妙ですね。それに、ほら」
 何度目か分からない深い口づけが唇を開けるようにと甘くノックをしてくる。
 唇を開くと祐樹の口の中で溶けた最高のリキュールの甘さで噎せかえるような多幸感と、そろそろ次の行為を強請ってしまいそうな身体の奥の幸せな疼きを感じてリキュールよりも甘い吐息を零してしまった。
「リキュールが流れ出た後の、チョコの裏側を舌で味わって下さい。最も美味しい場所です」
 祐樹の好みはリキュールだとばかり思っていたが、どうやら違うらしい。
 ただ、相手が一番好みそうな場所を、お互いが譲り合っていたのかと思うと何だかとても嬉しくて、そして幸せで……。
「うん……?本当だ……」
 リキュールの甘さが凝縮されたような濃厚さとチョコの苦さが程よく混じりあって本当に美味しかった。
「来年も、まあ包装紙が異なるのはさしたる問題ではないので、全く構いません。
 この世界で一つだけ、私のために作られた聡の愛が凝縮されたチョコを受け取れる私は世界一の幸せ者ですよね?
 いえ、チョコそのものよりも、聡が私のためにと色々考えて下さったり実際に行動して下さったりした過程の方が私にはとても嬉しく思います。
 ずっと愛していましたが、その嬉しい上書きをこれから何度なさって下さるのかとても楽しみです。
 チョコの御礼といってはほんのささやかなお返しですが、聡のお好きな交わりの形で愛し合いましょうか?
 聡のことは魂の奥から愛していますし、こんなに私が愛した人は初めてです。
 百回でも千回でも何度でも誓えます。言葉が良いですか?それとも極上の花園にリキュールよりも熱い真珠の迸りを放った方がより実感出来ますか?」
 間近で見つめ合った言葉よりも饒舌な祐樹の瞳の輝きに心と身体が吸い込まれていきそうだった。
「私は祐樹しか愛したことはない、これまでもそしてこれからも……。
 愛の言葉も、花園への熱い迸りも大好きだが……私は祐樹を百回天国へと導きたいような気がする」
 お互いの素肌を甘く熱く濡らし合っていた愛情と欲情の象徴の確かな質量を身体の中の最も敏感な――そして魂の場所に近いような気もする――場所で感じたい。
 そう思うと自然に身体が動いて、祐樹の太ももの付け根近くに腰を預けて広い背中へと足で縋った。甘く見つめ合ってキスを交わしながら。
「可愛い人ですね。花園の中へはご自分で導いて下さるのですか……。だったら……」
 祐樹の手がベッドサイドに伸ばされて紅色に輝くチョコの包装紙を器用に剥して両手で慎重な感じで割って、ツンと熱く尖った胸の尖りへと垂らした。
「あ……」
 祐樹の舌全体で胸の尖りを愛されて、もう片方は爪で弾かれて寝室がリキュールの濃厚な薫りと甘さで満たされていくようだった。
 背筋の撓りを利用して、祐樹の先端部分を花園の待ち構えていた入口へと当てて一気に腰を落とした。
「ゆ……祐樹っ……感じて……くれている……か?」
 100回絶頂に導きたいと言ったのは自分だったし、祐樹はいつも褒めてくれる場所でもあるが、自分では確かめようもない場所なだけに思わず口に出して聞いてしまう。
「聡の極上の花園は……いつ訪れても……最高に気持ち良いのですが……。
 唯一の難点は……」
 尖りを歯で挟まれながら開かれていく感じは最高に気持ち良くて甘い嬌声混じりの喘ぎ声が漏れてしまう。
「難点っ……?」
 不安に目を瞠ってしまうが、祐樹の瞳の輝きとかこの上もなく満足そうで、かつ切羽詰まった甘い笑みを目の当たりにして心の底から愛する悦びに震えて、もっと深く――魂まで届くようにと――繋がりを深くした。
「リキュールよりも甘い肢体……なのは……大歓迎なのですが……、私を常に迎え入れて……熱く咲き誇った薔薇の花びらのように……密着しては……てんでばらばらの……動きをする花園の……私だけしか……奏でられない……名器のような……場所には、直ぐに……真珠の迸りを……放ってしまいたく……なるのが……欠点ですか、ね」
 奥処まで――そしてこの形でないと到達出来ない深みだ――祐樹を迎え挿れて、小刻みに腰を動かした。
「百回以上……でも……良いので……。
 ああっ……私もっ……」
 下からも衝き上げられて理性と本能がチョコレートのように蕩けていく。絶頂の予感に身体は強張ったままだったが。
「一緒に……ね……」
 大粒の汗の雫を浮かせた祐樹の凛々しい眉が甘い苦痛に耐えている感じを見られるのは自分しか居ないと思うと、それだけで背筋にリキュールの甘い電流が奔って火花を散らす。
「もうっ……」
 繋がりあった場所が熱く溶けたチョコの音よりも甘くて淫らな愛の音を奏でた。
 祐樹の熱いエッセンスが弾ける予兆に薔薇色の花火が頭の中で弾けたものの、必死で耐えた。











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        こうやま みか拝

気分は下剋上Vt2018  18

 クリスマス・イブに同じ系列の大阪のホテルのレストランを訪れたことは何回か有ったが、雑誌とかテレビとかで騒いでいるほどの混雑ではなかった。このホテルの価格帯の問題なのかそれとも「大人の上級の隠れ家」的な雰囲気に敷居も高く感じられるのかは自分には見当もつかない問題だが、バレンタインという「女性から男性にチョコを贈って告白をする日」という初々しさに満ちた日に――しかも平日だし――ホテル利用客は少ないらしいのが何だか密会めいていて心が薔薇色の泡が弾ける。
「いつも二人でチェックインするでしょう?
 まあこうして『非日常』の雰囲気を漂わせた廊下を二人で歩くとか、先程のロビーで人待ち顔で佇む貴方を見ているのもとても素敵なのですが……、先にどちらかがチェックインして部屋番号だけをメールで送って……部屋で愛を確かめ合った蜜のような濃密な時間を過ごした後にこっそり部屋を出ていくという他愛のない遊びなのですが。
 不倫の恋というか禁断の関係めいて何だか淫靡な感じが深まるかと」
 そういう趣向――不倫の恋自体はそれほど興味もなければ関心もなかったが――祐樹と愛の行為だけを愉しむ「イベント」なら大歓迎だ。
「部屋で待つ役は私がしたいな……。いや、それでは道後の時のように待ち焦がれて……居ても立ってもいられなくなる可能性があるので、メールを送って貰う方が良いかもしれない」
 隣を歩む祐樹の男らしく端整な横顔を見詰めながらあれこれと「愛人ごっこ」の計画を考える時間も蜜のように甘くて宝石のように煌めく大切な時間だった。
「この部屋ですね……。どうぞ」
 重厚な木材と思しきドアを祐樹が開けてくれる。ホテルの廊下はまだ「公共」の場所だが、このドアを潜れば二人きりの愛の空間だ。
「有難う」
 熱く溶けたチョコレートのように疼く身体の奥とか布地を押し上げて期待に震えている小さな尖りを妙に冴え冴えと意識してしまって、頬がさらに紅に染まっていくのを自覚しつつ、一歩部屋の中に踏み込んだ。
「そういえば肝心なことを忘れていました……。食事はどうしましょう?」
 恋人としての祐樹は完璧主義の傾向が強く出るが、今回はどうやら「入手不可能」なチョコのせいで調子が狂ってしまったのか、それともあんなに拒んでいた執務室での愛の交歓を許したせいなのかは分からないものの、割と規則正しい自分の生活時間帯では「夕食」の、そして患者さん次第という面も強い救急救命「センター」勤務のランダムな食事に慣れている祐樹との差だったのかも知れないが。
「食事よりも……祐樹が欲しい……。ずっとそう思っていた……」
 魂の奥からこみ上げる甘い情動のままに言葉を紡ぎながらコートを床へと落とした。
「世界中でたった一つだけのチョコを用意して下さった聡の愛情もとても嬉しくて天にも昇る気持ちなのですが、そうして甘く誘って下さる聡の存在そのものがチョコよりも匂いやかに薫り立って私を惹き付けて離さないのをご存知でしたか?
 チョコの包装よりも……聡の服を脱がすほうがよほど楽しみです。ベッドルームに参りましょう」
 口づけを交わしながらお互いの衣服を乱していく。ただ器用な祐樹の手には鈍い黄金色のチョコの箱がずっと存在していたが。
「せっかく祐樹のために用意したチョコだしっ……それに……今年はまだ包装紙の在庫があったので良かったが……来年からはこのピンク色の包みではなくなる可能性の方が高いっ……ので……」
 お互い生まれたままの姿になってベッドへと重なり合って崩れ落ちる。ただ祐樹の手は愛の手管に満ちていて薔薇色のため息を零しつつ、チョコに添えられていた手紙の内容を予め伝えた。
「え?来年も用意して下さるのですか。私だけのために……」
 ベッドサイドに置いた黄金色の箱が恭しく開けられた。
「来年だけではなくて……祐樹が要らないと言う年まで贈り続ける積もりだ……が……」
 紅色に煌めく包装紙からチョコを大切そうに出して口に放り込んだ祐樹は直ぐに唇を重ねて来た。
 ついでに紅色の包装紙を手に胸の尖りを強く弾く。
「あっ……」
 薔薇色の嬌声を紡ぐ唇を唇で塞がれて、すぐさま開けるようにと唇が唆してきた。
 チョコの中に入っている甘いリキュールがどちらの口の中に溶けだすのかを試す積もりらしかったが。
 甘いチョコを直ぐに祐樹の口へと返した。出来るだけ祐樹の口の中に有る時間を多く作りたくて。
 祐樹の滑らかな素肌の重みを感じながらチョコレートの甘美さを二人で楽しむという行為に背中が撓っていく。それにお互いの腹部で存在を主張している愛情の象徴もしとどに蜜に濡れては零れ落ちていたし。小刻みに身体を揺すり上げながら交わすキスの甘さはチョコレートの極上の甘やかさよりも自分を夢見心地にさせてくれる。
 それにチョコよりも熱く蕩けた身体の奥が祐樹を求めて妖しく動いていくのも。
 二人の口の中の熱さのせいで溶けたチョコの香りが寝室に媚薬のように薫り立って、素肌が奏でる水音と共に愛の湿度を上げていく。
 脆く崩れそうなチョコを祐樹の口へと移動させた。
 甘くて香りも豊かなリキュールを祐樹に味わって欲しかったので。











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        こうやま みか拝

気分は下剋上Vt2018  17

「駄目なわけはない……。いつだってどこだって祐樹の愛の行為は大歓迎なのだから。
 ほら」
 祐樹の手首を掴んで先程から心拍数が上がりっぱなしの心臓の位置まで大きな手を導いた、上着とワイシャツの間に。
「本当ですね。それに胸の尖りも可憐に咲いています」
 指で弾かれて蕩けた身体が甘く撓った。
「あっ……。続きはホテルの部屋で……。そうでないと……、祐樹をここで求めてしまいたく……なるっ」
 祐樹の甘く輝く瞳が悪戯っ子めいた光を放った。
「可愛い人ですね……。ホテルに行く前に……」
 チョコを食べてもいないのに、甘く薫る口づけを交わしながら祐樹の指がワイシャツのボタンを外して……暖房の効いた部屋の空気に胸の尖りが晒された。
「薄紅色の可憐さも捨て難いですが、やはり愛の交歓の後に真っ紅なルビーの煌めきを放っている方が素敵です。でも、硬さは同じですよね……ほら私の視線を浴びて少しだけ紅が濃く、そして無垢な煌めきを放っているようです。指で弾きたくなるので、これ以上は後に回しますね」
 執務室での愛の行為も期待していた身体の奥も甘く蕩けて祐樹の熱さを待ち侘びているような感じだった。
 シャツのボタンが元通りに留められて、ただ布地を押し上げている微かな甘い感触に身体が震えた。
「祐樹……。そのチョコは持ち歩いても大丈夫なのか?」
 先程はナース達から貰った山のようなチョコを「教授執務階で敵を作りたくない」からという配慮を怠らなかったのに、自分が贈った世界で一つだけのチョコは大切そうに持って部屋を出ようとしていたので。
「これは生涯で最愛の恋人から頂いた本命中の本命チョコなので、特別です。これと同じにね……」
 外に出ても差し支えがないようにコートまで着込んだ祐樹は自分が愛情はたくさん込めたものの、そんなにお金は掛かっていないモノを大切そうに指で示してくれる。
 とても喜んで受け取ってくれたことも知っているが、こうやって大切そうに扱ってくれるのも心が薔薇色に弾んでしまう。
「それにホテルの部屋で……世界で一つしか用意されていない『私専用』のチョコを、二人の唇で味わうのも素敵ですよね……。甘いリキュールがどちらの口の中で溶けて流れていくのか分からないという愛の行為も楽しめます」
 甘いモノにはさしたる関心もない祐樹の、たった一つの例外のチョコが入手出来て本当に良かったと薔薇色に震える気持ちで痛切に思った。
「どうぞ」
 余所行きの声で祐樹が執務室のドアを開けてくれた。これから祐樹と「特別な」愛の行為をするという自分には過ぎたご褒美への期待に甘く疼く心と身体を理性でかろうじて制御する。
「病院からは上手く抜け出せましたね……。ただチェックインをして参りますので、貴方はそのままの表情を保ってここで待っていて下さい」
 祐樹の輝く眼差しもチョコよりも甘い感じで自分を見ている。
「分かった。この顔で大丈夫か?」
 祐樹が病院前の乗り場から拾ったタクシーで運ばれて来たのは第二の愛の巣とも呼ぶ程度に定宿になっている大阪のホテルと同じ経営の場所だった。
 ただ、雰囲気とか入っている店舗などは全く異なるし、クラブラウンジのような密室性の高さは存在しないので、知っている――もしくは先方だけが一方的に――人間に遭う恐れは充分にあったため一応祐樹に聞いてみた。
「大丈夫ですよ。いかにも仕事です……みたいな顔をなさっていれば、それで……」
 頷くと祐樹はフロントへと長い脚をリズミカルに動かして遠ざかっていく。バランスの取れた長身とか濃紺のコートに包まれた広い背中を、笑みを浮かべないように用心しつつ見惚れてしまう。
 ちなみにコート――ごくごくシンプルな形なので街でも良く見かけるし、病院内でも着ている人が多い形なので――は色違いのお揃いだ。祐樹は濃紺だが自分は茶色という相違しかないが、それでも「お揃い」に宙に浮いているような心が更にフワフワと薔薇色の泡が弾ける、そうあのシェリエの紅色の包装紙のように。
「お待たせしました。大阪のクラブラウンジの方の名前を出したのが良かったのでしょうかね。良い部屋が取れました。
 今度は『愛人ごっこ』でもして盛り上げましょうか?」
 祐樹が速足で自分の傍まで歩んでくる。鮮やかなブルーと濃紺の混じったマフラーが一際目について、愛されている実感で背筋に甘く熱い旋律が奔り抜けた。
「愛人ごっこ?」
 二人しか聞いていないのを確かめてからこっそりと目配せを交わし合う薔薇色の多幸感に包まれながらエレベーターの方へと向かった。
 素肌を愛される予感に震えるほどの期待と甘さを忍ばせつつも何気ない顔つきで歩むのももう少しだ。
 早く二人きりになりたくて、それしか考えられなくなる。










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        こうやま みか拝

気分は下剋上Vt2018  16

「祐樹。あのチョコの山は持って帰らないのか?」
 甘く溶けたチョコレートの熱さを心と身体の両方で嬉しく実感しながらも、なかなか言葉に出来ないので、つい祐樹が――コートなどと共に持っていると思っていたナース達からの「本命」チョコがないことへの疑問を口に出してしまう。
「流石に教授執務階にあれだけの量のチョコが入った紙袋を持って上がる勇気は有りませんよ。
 通りすがりの教授に『これ見よがし』だと受け止められては困りますので。敵はなるべく作りたくはないのです。病院内でももっと出世をしたいので……。ですから、宅配便でウチまで送って貰うことにしました」
 医局内人事――といってもほぼ年齢的に順送りだが――は自分の裁量で何とでもなるが、祐樹はそれ以上を狙っていることも知っているので(なるほどな)と思った。
「滝川さんの件ですか?それとも谷さんの……」
 祐樹はデスクの上に置いたままの秘書がくれたチョコを見ながらも仕事モードの顔だった。ただ、祐樹の最近はとみに大人らしさを増した凛とした顔を見ているのも大好きだったが。
 多分、ブランドの刻印の入った包装紙を見て、自分が祐樹のために用意したものと勘違いしているような気がしたので、唇から小さな笑い声が出てしまう。
「いや……。ここに呼んだのは患者さんの件ではなくて、あくまでプライベートなことで……」
 滝川さんと谷さんは祐樹が執刀予定の患者さんの名前だったが、総責任は自分が負うことに変わりはない。ただ、事前に提出された祐樹の術式も自分でもこうするだろうなと思える妥当なものだったので、何の問題もなかった。
「プライベートなこと……ですか?」
 祐樹の男らしく整った眉が微かに寄せられて他意なく卓上に置いたままのチョコの包装紙を見ている。
「それは、秘書から貰ったモノで……祐樹用のは……」
 今朝一番で届いた世界で一つだけのチョコを一番下の引き出しを開けて両手で捧げ持った。
「ゴディバでは義理チョコ文化をなくそうという提案をしたそうで……もちろんこれは本命中の本命チョコレートなのだが、受け取ってくれる、か?」
 黄金色に鈍く光る箱を怪訝そうに見つめている。
「貴方以外の本命チョコなど受け取りませんが……。ナース達のは遊びの範囲内なのも知っていますし。
 ただ、この箱……もしかして?」 
 去年自分が贈ったのと同じ色の箱で、ゴディバがバレンタイン用に売り出しているもっと豪華なパッケージとは異なるので直ぐにピンと来たらしいが。
「祐樹のために作って貰った世界で一つしかないシェリエの詰め合わせで……。
 ただ、執務室に呼び出したのは……」
 声がチョコよりも甘くて、そして上気した頬はきっと薔薇色に染まっている自覚は有った。
 身体の奥も蕩けたチョコレートよりも熱く疼いていたし。
「……祐樹さえ良ければ……。ここで……愛してくれても……構わないので……」
 熱く震える声もチョコの中に詰まっているハズのリキュールよりも甘いような気がする。
「……喜んで受け取りますが、貴方との約束はこうでしたよね。『シェリエを入手出来なければ』という前提で『ここでの愛の交歓を許す』という内容でした。
 前提条件が守られているので、後半部分は無効でしょう……」
 祐樹の瞳の輝きも太陽のようで心と身体を更に溶かしていくようだった。
 半ば残念な思いと、残りは安堵の気持ちで揺れ動く自分の気持ちを読んだのか、祐樹が受け取ったチョコを大切そうに持ったままで、デスクの内側に歩み寄って来た。
「……意外と律義なのだ……」
 「な」と発音しようとした唇を祐樹の甘い口づけで閉ざされる。
 甘いリキュールのような接吻に束の間酔いしれた。
「真面目で律義なのは貴方の性格ですが、ほら、長年連れ添った夫婦はお互いの思考とか行動パターンも似てくるとか言いますよね。どうやらそれと同じような状態のようです」
 間近に熱い視線を絡ませ合いながら――お互いの顔しか瞳には映っていない嬉しい距離感だ――甘く告げられた言葉にも夢見心地になってしまう。
「ただ、据え膳は美味しく頂くタイプなのは聡もご存知ですよね?
 折角定時で上がるというご褒美まで下さったので、それも久米先生に夜勤を替わらせるという裏ワザまでお使いになって……。以前の聡なら考えもつかない方法だったものですから、私も咄嗟には分かりませんでした。
 病院以外の場所で……心置きなく聡のチョコよりも甘く薫り立つ肢体を存分に味わっても良いですか?
 予想外過ぎて、嬉しさのあまり心と身体が暴走してしまって……。
 ここでの愛の交歓までお許しが出るとは本当に思ってもいなくて……。
 とても嬉しいのですが、人目のない時を見計らって許して下さればそれで充分です。
 愛の交歓の後の甘く匂い立つ大輪の花のような聡を病院内の誰にも見せたくはないもので……。
 道後の時と同じく夜這いのような時間帯を狙います。
 で、この世界で一つしかないチョコへの御礼の意味も込めて、ホテルに行きませんか?」
 甘く低く囁かれた言葉にさらに身体も心も熱く蕩けていく。
「マンションではなくて?」
 最も早く二人きりになれるのがマンションなのでついそう言ってしまった。
「マンションだと『特別感』に欠けるでしょう?
 せっかく、世界に一つだけしかないチョコレートを手配して下さった聡の愛の深さに報いるためにも……ホテルに行きましょう……。ダメ……ですか?」










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