腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

【再掲】「心は闇に囚われる」

「心は闇に囚われる」 131

「あの人着……!コンビニ強盗の!!」
 ニンチャクという単語の意味は分からなかったんだけれど、西野警視正の鋭い目線が一点に集中していた。もしかして緊急配備が掛かっている犯人を見つけちゃったのかな?
 そういえば、何だか人目を憚るような感じで自転車を走らせている。
「マルタイ発見!今は――」
 カーナビに表示してある住所機能を読みあげている。そして携帯に――無線じゃないんだなって余計なコトを考えてしまった――指示している。
「この辺りにも緊配の人間がたくさんいますよね?それにお任せするわけにはいかないのですか?
 正直、あの犯人確保も大切だと思いますが、それって警官なら誰でも出来ますよね?言い方は悪いですが。
 しかし、東野副部長に会いに行くのは西野警視正しか出来ない仕事なので、手柄はこの所轄の誰かに譲れば良いかと思いますけど……」
 幸樹が俺の言いたいことを代弁してくれる。というか、幸樹も心の底からこの「事件」を早く解決したいと思っているんだろうけど。
「ちなみに、人着っていうのは、人相とか容姿、そして犯行の時の着衣で逃げる犯人が多いので、『人着』っていうんだ。マルタイは対象者っていうほどの意味だな。あ、そっちは姫神池の時に遼もたくさん聞いていたから知っている……か?」
 姫神池という固有名詞を聞いて、白いワンピースで浮かんでいた有吉さんの姿が脳裏に甦ってしまった。
「所轄が現着するまで――つまり警察官がココに付くまでという意味だが――取り敢えずこちらを追う。
 まだここは辛うじてH庫県だが、あの川を渡ればO阪府になるだろう?
 橋の手前で確保しなければ、龍崎さんの仕事が増えてしまうので情報を下ろしてくれる時間も遅くなるから仕方ないと思う」
 幸樹が珍しく整った唇を不満そうにゆがめている。
「あの犯人も何でココに来たのか……。『犯行をしたら川を渡れ』と犯罪者の常識みたいなのだが……それにJRとかの交通機関を使わないとかチャリや原チャで動くという常識も知っているみたいだな……。
 仕方ない。遼動けるか?自転車を転倒させてとっとと捕まえよう。
 西野さんは今手錠を持っているんですか?」
 確かに見た感じでは犯人は屈強そうな感じでもなくて、どちらかと言えば運動不足の中年男といった感じだった。
「え?大丈夫かい?
 幸樹君の身体能力が優れているのも知っているが……。
 ああ、手錠は持っているよ。署長室に一日中座ってハンコ押しを延々し続けているよりも現場にいる方が私の性に合っているみたいなので、現場仕事が大好きなキャリア署長と一部では有名なのだ、一部ではね」
 幸樹がカーナビの画面を後部座席から見ている。視力の良い幸樹にはそんなのは楽勝なのだろう。
「動けるよ。自転車を転倒させるってどうするの?」
 ウチの家の近くではそれほど自転車が走っていないんだけれど、一応というか自転車の乗り方はお父さんに教えて貰ったし、実際走らせたこともある。
「この先でちょうど道路がT字型になっているだろう?そしてあの犯人は川を渡るっていう原則は知っているみたいだからO阪府に逃げ込む積りなのはほぼ確定だ。
 だったら絶対に左折する。右折したらH庫県のママだもんな。右折した瞬間に、自転車の車輪目掛けて、んとそうだな。何か細い棒みたいな物が有れば良いんだが。なかったら石でも良いので投げて自転車を転倒させる。
 遼それは出来るか?」
 幸樹がテキパキとその場を仕切ってくれている。そのリーダーシップにも惚れ直すって感じだったのだけれど、それ以上に幸樹がノイズというか……あのコンビニ強盗の犯人と思しき人間の思わぬ出現にも臨機応変に対応していたことの方が嬉しい。
 だって、谷崎君は「北の国の地上の楽園」を布教(?)することには物凄く熱心だったけど、それ以外のことはどうでも良いっていう感じだった。
 だから幸樹にも――考えるのも正直イヤな――「闇に囚われる薬」の症状が出た場合は、あのコンビニ強盗もノイズとしか思わないんじゃないかな?って思う。
 それなのに幸樹も頭を絞って考えている逮捕の仕方とかそういう対処方法を考えることが出来るというのは「まだ」その症状が出ていないんだって思えたから。
「出来るよ。瞬発力と反射神経には自信が有るから。それ以外はともかくさ……」
 幸樹の手がバックミラーの死角になるような位置で俺の手をギュッと握ってくれた。
 トクンと跳ねる心臓の音が耳にこだまする。
「この作戦には遼の一撃で自転車を倒すことが出来たら成功したも同然なんだ。
 だから頑張ってくれ……」
 西野警視正は飄々とした雰囲気を醸し出しながら、速度を上げている。
 そして割と無理な車線変更をしているんだけど、運転技術が上手いせいなのか他の車にクラクションは鳴らされていない。まあ、クラクションを鳴らされて犯人の注意をむやみに引いてしまうことのリスクを考えたのかもしれないけど。
 どこにでもある白いセダンを運転中なので、警察関係の車とも思われていないだろう。
「私はここで待機しているよ。遼君が自転車を転倒させて、幸樹君が犯人を取り押さえるとうい段階で私も応援に入るから。くれぐれも怪我には気を付けて。
 犯人は逃亡時に刃物をコンビニに置いてきたらしいので、危険は少ないと思う。
 こういう犯人は強盗が成功した段階で逃走に不利な余計な荷物は放置する傾向が強いのでそれ以上の刃物は持っていないと思われるが……。ああ、この棒で良いかい?」
 ハザードランプを点灯させながら路肩に停めた車の中で――何せ犯人は自転車なのでまだまだここに着くまでに時間はかかるだろう――西野警視正は普段よりも真剣そうな表情を浮かべていた。
 西野警視正が魔法のように出してくれた棒をホカンとして見つめてしまった。







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「闇に囚われる」 131

「西野警視正、もし宜しければ運転しましょうか?」
 キーを手に持って駐車場に向かって歩いて来る飄々とした感じの西野警視正に――多分、何も知らない人が見たら、警察関係者とは思われないだろう、な。なんか財布とかを落としてこの署に預かってもらっていて、それを取りに来て気分はスッキリしている一般人って感じだった――幸樹が声を掛けている。
 この気遣いとか大人の対応は「まだ」いつもの幸樹だった。
 それは嬉しいんだけど、え?と内心目をぱちくりしてしまった。
 とはいえ、俺が運転したらかなりの確率で税金が投入されている(んだろう、きっと)車に傷を付けて修理費とかで税金の無駄遣いをさせそうなので敢えて声は出さなかったんだけど。
 ウチの母さんはベンツを――そういえばN宮市のK戸屋というレストランに置きっぱなしだけど、きっと西野警視正の有能な部下がレストランの人に言ってくれているか気を利かして西野警視正が署長を務める署の駐車場にでも動かしてくれているかのどっちかだろうなと思う――幸樹が運転するなら快く貸し出すクセに俺には緊急事態じゃないとキーをくれないという点からも分かるように運転技術は雲泥の差がある。
「あのな、幸樹君……。自分がどんな薬を摂取したのかもう忘れたのかい?
 頭痛薬ですら『車の運転はしないでください』と注意書きに書いてあるだろう?
 いくら半減期が早い薬とはいえ、身体にどんな作用が残っているか分からない人間に運転なんてさせられると思うのかい?
 そんな身体で事故った場合は――アルコールだったら明確に法律違反だが、薬物は明文化されていないがね――私の保護者としての管理責任まで問われることになるのだよ」
 あ!という顔をしている幸樹だったけれど、そういう普通の人だったら間抜けに見える表情までもがカッコイイと思うのは恋人の贔屓目じゃないと思う。
「ああ、オレそういえば薬飲んでいましたよね。アドレナリンが分泌されているせいかすっかり身体は忘れてしまっていました。
 ただ、薬は余り飲まないので、市販の頭痛薬でもぼうっとしてしまうことが有ります。
 言って下さって有難うございます」
 幸樹がペコリと頭を下げている。
 俺も「幸樹、薬飲んでいるけど良いの?」って思っていただけに西野警視正の大人の判断にホッとした。
「助手席に座りたいのですが、まだぼうっとしているので、後部座席で遼に凭れ掛かっていて良いですか?」
 西野警視正は意味ありげに俺達二人を見て不思議の国のアリスに出てくる猫のような笑みを浮かべている。
 ――これはもしかして……。でも下手に弁解したら逆にドツボにハマってしまうダメなヤツのような気がして全力でスルーすることにした。
「確かに警察車両には色々なモノが装備されているからね。薬の作用でフラッとしてどこかにぶつけたら大変だ。だからそういう物がない後部座席に座りなさい。クラっと来たら遼君の身体をクッションにするんだよ?」
 どこまでが本当か分からないことを言っている。ドラマで観た警察車両でパトカーじゃないヤツって普通の乗用車と変わらないんだけどな。
「幸樹、お薬そんなに苦手だったの!?それは知らなかった!!」
 そう言えば幸樹が薬を服用している――「あの」合宿で大野さんに飲まされていたのは別にして――のを見たことがない。正露〇は匂いがダメで飲めないというのは知っていたけれど、薬全般だったとは知らなかったな。
「ああ、オレはバファリ〇とかもダメなんだ。これはガチ……」
 幸樹が俺の耳元で小さく告げてくれた。その呼吸が耳朶を赤くしていくのを自覚してしまった。
 今夜――まだ未確定だけどさ、これ以上の緊急事態は起こりそうにないと思うんだけれどもまだ分からない。まだ生き残ったゼミの全員が然るべき施設に保護されたという報告は来ていない。多分「緊配」とかいう警察署で最も優先順位が高いとかいう配備が解かれていないのだろう。コンビニ強盗の身柄の確保が出来ていないってコトなのだろうけれど、H庫県を超えてO阪府に入ったら龍崎さんも色々と厄介なことが起こるらしいので待機中とか根回し中なのかな――俺の部屋でHをするという約束は出来ている。
 そういうことを嫌でも意識してしまう幸樹の低くなった声に身体が反応してしまっていて、慌てて他のことを考えた。
「あのさ、谷崎君の方が大量に薬を摂取したのに何故薬が効かないのかとか、幸樹は薬入りの缶コーヒーを三口しか飲んでないのに直ぐに効果が出たのかな?って考えていたんだけど、幸樹の体質が薬にそれほど耐性がなくてさ、谷崎君には有ったってことじゃないかな?
 それが谷崎君の体内にあるハズの『闇に囚われた薬』のせいかどうかは分からないけどさ……」
 この考えは物凄く魅力的だった。谷崎君の「闇に囚われる薬」が大野さんのニンニクみたいなアマゾン由来の薬のせいだったら、幸樹は同じように耐性が出来ているハズだ。
 と言っても、新種の薬(?)なので全然的外れかもしれないし、バファリ〇とかの製薬会社が作ったお薬と天然物由来のモノとでは違うのかもしれないし。
 個人的に思うんだけど「植物由来だから身体に安心」とかっていうCMがテレビとかYouTubeなんかで良く流れているけど、トリカブトとかいう植物を――どんな形をしているのかとかは全く知らないんだけど――使って殺人事件も起こっているし、植物だからといって人体に優しいなんてことはない。
 ああ、そういえば法律で禁止されている大麻も普通に栽培出来るとかテレビで見た覚えがあるし、法律で禁止されていないけれども、依存度では大麻よりも有害なタバコだって葉っぱを乾燥させて作っていたんじゃなかったっけ?
 あ!大麻は滅茶苦茶ハイテンションになるとかワイドショーで芸能人とかが捕まった時に言ってたけれども……、それって脳に何らかのパルスって言うのかな?とにかくハイテンションになるように!っていう信号を送っているんだろう。
 だったら、谷崎君とか有吉さんが「闇に囚われた」状態もお薬が脳にヘンテコな情報を送り続けているんだろうなって思う。
 幸樹が、駐車場で交わしていた二人だけの会話を西野警視正にテキパキと的確に伝えている。
「なるほど……。確かにK都大の研究室に残っている人間が私の見た厚労省のリストの中に含まれている可能性は高いな。
 二人のお蔭だよ。これは東野副部長――もちろんホンモノのほうだがね――あれ?」
 西野警視正が運転しながら変なトコで言葉を切った。
「あれ?」って何か思いついたのかな?





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「心は闇に囚われる」 130

「もしかしたらさ、ミツビ〇商事の薬剤部門の方が優秀な研究員って言うのかな?どう言うかは知らないけれども、そちらの方にも有吉さんとか国見君、そして谷崎君の尿とか血液とかを送った方が良いとか思うんだけど……」
 だって大野さんが在籍していたとかいうK都大学の生物学の研究費が削減されたとか言っていたし、この不況なので税収も減っているからこそ天下のK都大学様でもそういう費用が出ないんだろうな……って思った。
 その点ウチの大学は一応文部科学省に認可を受けた大学法人だか学校法人だけれども、古い校舎をドンドン壊して新しいのを建てているし、三田という、良く言えば新興住宅地悪く言えばド田舎にもキャンパスを作っている。
 学費が他の私立大学よりも高いワケでもないとかお母さんも言っていたし、学費でがっぽり儲けてはいないんだったらお金は国立大学よりも有るんじゃないかな?とか勝手に、そして漠然と思ってしまった。
 そして、有吉さんとかの身体……は、K戸大学医学部病院に運ばれているし、谷崎君もそっちに連行(?)されたらしい。そしてK戸大学といえば国公立大学なので予算削減の打撃を受けている可能性は高い。それに比べて民間の商社の方がお金持ちなんじゃないかなって思ったからなんだけど。
「遼、それは良いアイデアだな!流石に閃きとか機転が利くよなぁ」
 最寄りの警察署に着いて、西野警視正が車を借りる交渉に行った隙だったので幸樹はクシャって俺の髪を撫でてくれた。
 それだけで滅茶苦茶嬉しい。署の駐車場の片隅にはきっと緊急配備とかで署員さんが出払っているんだろうか?人っ子一人いなかった。
「あとさ、東野副部長は北の隣国とこっそりと取引をしていることをネットとかに流されることを物凄く怖がっているからさ、その線で責めたらK都大の生物学の研究室出身者とかも動員してくれるかも知れないな。
 いや、いっそのこと現役の研究生をインターンシップとか適当な名目をでっち上げて連れて来た方が良いかもだな……」
 幸樹はいつも俺の行き当たりばったりの思いつきを元に素晴らしいアイデアとか推理を推し進めてくれる。
「ああ、それは良いね。大野さんと同じ研究室に居たとかアマゾンに一緒に行った人でもまだ大学の研究室に居る人を呼べたら良いんだろうけど、やっぱりそれはワガママかなぁ……?」
 ワガママと言われても何と思われても良いから先に大野さんが盛ったと思しき薬の研究(?)とか対策(?)とかをして欲しかった、一刻も早く。
 幸樹が男らしくて形の良い指をパチリと鳴らした。
「それは良いアイデアだな。
 大野さんと一緒にアマゾンに行った人のリストに載っている人も居たらさ、あわよくばだけれど、研究が進んでいるかと思うんだ」
 幸樹が日光のような笑みを浮かべている。
 あ!!って思った。そっかぁ、厚労省のリストに載っているだけで別に逮捕(というのかな?)麻薬取締官が行った場合も……刑事訴訟法の講義も一応取っているけれど、大学での講義はあくまで一般的なモノを言ってくれるだけで、個別的・具体的なことは教えてくれない。だからこういうケースは大学では教えてくれないので良く分からない。
 まあ、それは置いておいて厚労省のリストに載っているのは確かなんだから、そしてその得体の知れない薬を研究している可能性は大きいと思う。
「そうだね!!生物学だか薬学だかは知らないけれども、研究者ならさ、研究するのが仕事なんだよね。
 だったら、俺達が遅れを取っている研究もさ、天下のK都大学の優秀な人達が進めているかも知れないね!!」
 幸樹はどこまで気付いているのか分からないので、心の底から嬉しそうな笑みを浮かべることは出来ない。観察眼の鋭い幸樹にはピカピカの太陽みたいな笑みを浮かべてしまったら俺が隠している「幸樹も大野さんの怪しい薬を摂取してしまっている可能性が高いコト」まで見抜いてしまうんじゃないかなって思うと。
 でも!!何だか一筋の光明が見えてきたみたいで本当に嬉しい!!
 神様に祈りまくったからかな?是非ともお礼参り(?)をしたいんだけど、思いつくだけのありったけの神様に祈ったからどの神様とか仏様からの加護か分からないんだけど。
「とにかくさ、ミツビ〇商事の東野副部長次第だな。
 まあ、北の将軍様の国と密かに商売しているということをネットでばら撒いてやることも――あくまで脅迫罪にならない程度にしないといけないけどな――辞さないということを伝えて上手く交渉してみせる」
 幸樹の揺るぎない黒い瞳がひと際鋭い光を浮かべている。
 脅迫罪って――刑法何条かはすっかり忘れたケド――例えばこれをしないとネットにばら撒くとかでも成立したと思う、うろ覚えなのが法学部生としては恥ずかしい。もちろん他にも「殺す」とかそういう言葉もダメだったような……。
「そうだね。ほら、北の将軍様の国とかその隣の国に対して物凄い嫌悪感を持っている団体が有るよね?
 そういう団体にミツビ〇商事の密かな商売がバレたら不買運動とかデモとかにも発展しかねないもんね。
 何しろさ、そっちの国の女優さんをCMに起用しただけで不買運動とか起こしていたよね?」
 あの団体はリーダーが暴力的な言動を繰り返しているので俺的には苦手だったんだけど、背に腹は代えられないというか、幸樹が「闇に囚われる」という最悪の事態を考えたら立っている者は親でも使えって気持ちだった。
「そうだな。あと、そっち系の学校に大音量で嫌がらせしていたよな。まあ、ネットに流す積りもなければ、脅迫罪で捕まるようなヘマはしないけどさ……とにかく東野副部長を頑張って説得することにする」
 幸樹の黒い瞳がより一層輝きを増した。と言っても谷崎君みたいにイヤな感じは一切しないのが嬉しい、ホントに。





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「心は闇に囚われる」 129

「その違いだよね……?あっ!ほら、ハ〇高原に二人で行った時にさ『上野教授のゼミは今年が初めて』ってわかば会のパートをしている若奥さんが言ってなかったっけ?」
 推理力とかはないけど、咄嗟の閃きは俺の方が幸樹よりも優れている数少ない特技(?)だった。
「ああ!!そうか。三回生や四回生なら『恒例の』と言っても『え?』ってなるだろうな。それなりに三回生と四回生の交流もあるしさ、ウソは直ぐにバレる。
 ゼミの飲み会は当たり前だけど、居酒屋とかで開催されるから飲み物と料理も店の人が調理して運んでくれるから、手の加えようもないし、な」
 幸樹の真っ白な歯が唇を悔しそうに噛んでいる。多分、その用意周到さとか今まで辛い思いをして亡くなった皆のことを考えているんだろう。
「大野経由の薬も物凄く気になるのも事実だが、現状を鑑みると上野ラインを追ったほうが良いのではないかな?
 厚労省からは何の返答もないし、龍崎さんも緊配で手が空いていないのだろう」
 沈思黙考の構えでいた西野警視正がそう言ってきた。
「え?でも、世の中に対する怒りとか恨みは大野さんの方が大きいでしょう……。そっちから調べた方が良いかと思うんですが……。それにカツオのタタキのニンニク(?)をわざわざ厨房を空にしてまで――ほらパートに行くハズの『わかば会』の主婦さんとか料理も得意だった……有吉さんとか麻田さんまでも遠ざけてさ――忌々しいお薬を混入したのは大野さんだし……」
 ウチの大学の女子は――例外は居るらしいけど――料理が得意な人も多い。彼女達もそうだったみたいだけれど……、手料理を食べたのはあの合宿で作ってくれたおにぎりが最後だったし、今頃二人はK戸大学で……調べられているんだと思うと物凄く悲しい。
 それはともかくとして俺は出来ればそっちを先に調べて欲しい。だって幸樹も摂取している可能性があるから、いつ闇に囚われてしまうのか分からない恐怖に耐えながらなんてイヤだ!って言いたいのだけれど口に出したら幸樹も――もしかしたらその可能性に気付いているかもだけど――どうにかなってしまいそうで物凄く怖いのでどうしても言えない。
「それは確かにそうなのだが、ただ、上野の薬はさ、北の独裁者の国から買っているんだろう?そしたら商品としては研究されていると思う。北の国の薬はどうだかは知れないけれど、日本の場合は薬剤を商品化する場合は効能や副作用、そして精神系の薬だったら特に拮抗剤まで分かっていることが多い。
 そこまで北の国がしているかどうかは全く分からないけれど、ある程度は研究されているだろ?
 その点アマゾンかどこかから大野さんが持って帰った薬はさ――いや薬の原材料でしかないのかもしれないが――全く未知なモノなので、時間が掛かってしまうんだ。
 何しろ一から調べないといけないのだから。
 上野と大野の二種類の薬で手っ取り早くオレ達が調べられるのは前者しかない。
 大野ルートの薬についてはK戸大学に集まっている専門家に任せた方が早いだろうな」
 幸樹の言うコトは至極ご尤もだった。
「あ、西野だがね。山田巡査に伝言した件は伝わっているかの確認の電話なのだが……」
 西野警視正がどこかに電話している。多分自分の署だろうと思うんだけど。
「そうそう、こちらの方が優先順位も高いと判断したので、ハンコ押しを頼みます。
 何か分からないことが有ったらこの携帯に掛けて欲しい。有吉裕子さん不審死事件の方を捜査したいので、勝手を言ってすみませんが代理で私のハンコ押しをして……そう、そのハンコ押しが終わったら帰って良いので。
 宜しく頼みます」
 会話の内容からして副署長さんかな?と思う。
 大野さんの薬も充分怪しいというのは二人にも分かって貰えたんだけれど、確かに原材料を持ち帰っただけだったら、俺とか幸樹が出しゃばる余地はないだろう。
 それに、大野さんだって伊達に法律の――と言っても二回生なので一般教養科目の方が多いんで法律学は他の学部生よりもちょっとだけ多い程度だった――勉強をしているわけでもないだろうし、自分の不利になるようなことは言わないだろうと思ってガックリと肩を落としてしまった。
「こちらの署長に恩を売っておいたので、多少のワガママは通る。そうと決まればパトカーで署に戻って、一般車両を貸してもらおう」
 西野警視正が飄々とした顔に相応しくないキビキビとした感じで言っている。
「一般車両を借りてどこに行くのですか?」
 素朴な疑問を覚えてしまう。
「ミツビ〇商事の大阪支社さ。本物の東野副部長に事情を聴きに行く。
 北の国は密輸品とかも多いが、そういうモノのリストアップは仕事上当然しているハズだし、他の違法行為は目を瞑る代わりに上野教授に渡した薬の件を詳しく聞くつもりだ。
 超一流の総合商社だけに薬も扱っている。だから自社にも薬剤部門が有るハズなので、そちらでキチンと調べて貰っているかも知れない、ま、希望的観測だがね」
 幸樹がパトカーの扉を開けながら事も無げに口を挟んだ。
「あ、言い忘れていましたが東野副部長には既に連絡済みです。
 薬剤部門に調べて貰えないかということも要請しておきました。不本意ですが父の名前を使って圧力をかけて、急がすようにとも言ってあります」
 いつの間に……と思ってしまったのだけれど、幸樹は「まだ」普段の幸樹だと思うと二重に嬉しい。
「流石幸樹君だな。それにしても良くそこまで考えられたな……」
 エンジンキーを回しながら後部座席に二人で座っている幸樹のことを称賛の眼差しで見ている。
「いえ、東野副部長の名刺を手に入れようと西野警視正がミツビ〇商事に行かれた後にその名刺を写メして送って欲しいと言いましたよね?
 その名刺を見て――携帯電話の番号も書いてあったのは助かりましたが――夜分に電話しておいたのです」
 相変わらず手回しが凄いなぁと惚れ直す思いだった。
 それに「まだ」幸樹はいつも通りで、大野さんが摂取させたお薬が効いているようには思えないな……と思って、また閃いた。
 もしかしたら。




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「心は闇に囚われる」 128

「ああ、持っている画像を全部送ってくれたみたいだな。流石は院に残って研究者になって法曹資格を取ろうとしている人らしく――まあ、西野警視正が言っていたみたいにさ、実際に弁護士として活躍できるかどうかは知らないけれども――細部にまで拘ってくれたみたいだ……。
 思った通りだったな」
 幸樹の声が弾んでいるのは、きっと推測というか推理(?)が当たったからだろう。
 確かに上野教授と送ってくれた先輩と思しき人が写っている画像は全部が全部整然と片付けられている。
 学問の世界と言うか、象牙の塔という言葉にピッタリのキチンと片付けられた――むしろ几帳面過ぎるくらいに――部屋だった。
 法学部の教授は――上野の部屋に有吉さんのお葬式の許可を貰いに行った時にも切り口上で怒ったように告げていたけど――「ジュリスト」という法律家とか法学部生しか読まない専門雑誌に論文を載せることが仕事の一環で、書き上げた原稿というかプリントアウトしてから誤字脱字のチェックとかをしないといけないらしくて――と言っても俺の知識では漫画家さんの修羅場な様子とかを描いたヤツしか知らないけど――紙も散乱するだろうし、調べ物をした時には本もいっぱい散らかっている感じなのに、上野教授の部屋は微塵も散らかっているとは言えない状況だった。
 そして上野はともかく先輩らしい人の服装からして一年中がそうなんだろうなって思ってしまった。
「幸樹……『いきなり訪ねてもいつもきちんと整理整頓されていた』って書いてあるよ、ね……」
 画像を見た上でその文字を見た。俺の目もまだ信じられなくて……幸樹に尋ねるように呟いた。
「だよな……。いきなり訪ねたっていうのはオレ達だって条件は一緒だよな?
 しかも、この先輩はしょっちゅう行っていたみたいだし、たまたまってことはないのは画像を見ても明らかだ。
 やっぱり『無頓着』っていうキーワードが当てはまるよな……」
 幸樹がフェイスブックのメッセージにお礼の言葉を入力した後に「最後に上野教授の部屋に行ったのはいつですか?お手数をお掛けして申し訳ないのですが、なるべく早めに教えて頂けると嬉しいです」って文章を素早くタップしていた。
「どういうこと……?」
 西野警視正も目を丸くして画面を見ていた。
「この先輩が最後に部屋に入ったのが一年前とかだったら情報の鮮度が落ちるだろう?」
 ちょうどログイン中だったらしく、画面に文字が現れた。さっきまでのタイムラグはこんなにたくさんの画像を送っていたので読み込みに時間がかかったらしい。
 その点文字だけならそんなに容量がなくても送信可能なんだろう。
「夏休みが始まる前だけど……。質問の意図が分からない……」
 先輩は四回生とか言っていたし、谷崎君の籠城事件はニュースになっているかも知れないけど、他のみんなは「自殺」として片付けられている。
 日本では確か年間3万人前後の自殺者がいるらしくていちいちニュースになんてならない。新幹線の中で焼身自殺とかそういう場合は別だろうけど。そして、夏休み中なのでキャンパスも人がまばらだし「二回生が自殺したらしいぜ」的なウワサは広まってないんだろうなって思う。これが休み中でなかったらウチの大学では自殺者なんて滅多に出ないので絶対に広まっていると思う。
 しかも二回生の上野ゼミの人間が相次いでとかだと余計に広がってしまうんだろうなって思う。
「すみません。話すと長くなるのでお詫びを兼ねて飲みに行った時に詳しく説明しますので。とにかく有難うございました。またメッセージ送ります」と幸樹が素早く文字を入力していく。
「まぁ、この『事件』が解決してからになるだろうが、そのくらいは待っていてくれるだろうし……。
 それにさ、この先輩は上野教授がテレビで言っているような過激な言動は一切見てもいないし体験しても居ないらしい。
 ほら、テレビって極論を言っている人間が重宝される傾向にあるだろう?普通のコトを言っても視聴者はつまらないとか無責任に思うだけだからさ。
 だからあれはテレビ用のパフォーマンスだと思い込んでいたみたいだな、この先輩は」
 え?って思ってしまう。高校の時のクラスみたいにランダムに選ばれて集まるから格別上野教授のことを慕っているとかそういうのはない。高校の時だって担任教師が好きか嫌いかなんてある程度時間が経ってからしか判断出来ないのと一緒だし、嫌いだからといってクラスを替えることは出来ないのと事情は同じようなモノなのかもしれない。
 三回になってから選ぶゼミの場合は専攻科目なので、俺みたいに「親の会社を手伝えるようにと会社法を学んでおいた方が良いかな?」とか「就職に物凄く有利」みたいな理由で選ぶこともあるだろうけど「ゼミ担当の教授に好感を抱いて」という人もたくさん居るって聞いているし、ゼミの結束も固いし飲み会も度々行われるとかは何となく耳に入ってくる。
「つまり、上野はゼミの飲み会の時にあんなふうにならなかったってコト?」
 幸樹は端整な顔に複雑な笑みを浮かべている。
「そうみたいだ。至って普通のゼミの飲み会だったみたいだな。結局のところ、あの合宿の異様な飲み会みたいなことは一切行われていなかったみたいだ……。
 たださ『貴方たちが嫌いです』とか言っていたよな?それってこの大学に通う全ての学生に対して思っているんだろう?だったら、ターゲットはこの先輩のゼミでも充分有り得るよな……。なんでオレ達のゼミなんだ?よりによってさ……」
 幸樹が忌々しそうに呟いていた、その形の良い唇の動きについ見惚れてしまう。その時脳裏にある考えが閃いた。






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