腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

気分は下克上 ドライブデート

気分は下剋上 ドライブデート 130

「宝塚のサービスエリアは割と最近出来たようなので、もしかしたら対策が講じられているかもしれませんよ。ただ、貴方なら類推は可能でしょうが」
これ以上のヒントを出すと正解に辿り着かれてしまうかもしれないなと思いつつ、サービスエリアに入るために走行車線から変更した後にスピードを緩めつつ宝塚サービスエリアの近代的な建物を横目で見ながら広大な駐車場へ車を停めた。
「裕樹は直ぐに食事を摂りたいのか?」
全国的に有名なコンビニエンスストアも敷地面積は街中よりもかなり広く取ってあるのを珍しげに見ていた最愛の人が無邪気に弾んだ声で問いかけてくる。
すっかり夏の計画に気もそぞろといった感じで裕樹の方が明石で鯛飯を食べ、彼はおやつ程度の明石焼きのみだったことすら何だか忘れていそうな様子が普段の最愛の人の明敏さや思慮深げな佇まいとは異なっているのも却って好ましく感じてしまったが。
こういう面も持ち合わせていることを知っているのはこの世に裕樹しか居ないので。
「それほど空腹ではないので、先にカブト虫やクワガタが出没しそうなところに参りますか?」
夜のサービスエリアーー昼間なら道後温泉とか昨日とかに立ち寄っていたので最愛の人も体験済みだーーの雰囲気を物珍しそうに切れ長の目を見開いていた彼は助手席のシートベルトの解除ボタンを心急くような弾んだ動作で外しているーー運転席に座っているので見えないものの気配で分かってしまってーー唇がついつい緩んでしまった。
大型トラックとか夜行バスのような普段の生活では余り見る機会のないーー最愛の人の行動範囲は基本的に徒歩圏内で事足りていたし、厚労省に行く時も新幹線利用が一番便利だったのでーーなどの大型車両の駐車スペースがほぼ埋まっている様を一瞥してから、車から降りてドアキーを押した裕樹の方へと静かな足取りながらも心が弾んでいるのが分かってしまう優雅な感じで。
大型車両用のスペースよりも裕樹達のような一般車両の方が建物に近い配置なのはどこのサービスエリアでも同じだろうが、そして道後温泉に行った時に貸し切りのバスを利用したのでその辺りのことは最愛の人も分かったらしいが、夜のサービスエリアは昼間とは異なった感じの静謐な混雑振りが珍しそうな感じで周りを見回している無邪気な表情も花火の残り香と相俟って「健全な」ドライブデート「しか」していない、付き合って間もない初々しい雰囲気を漂わせている肢体や表情も魅惑に富んでいたが。
この際同性同士という点は除いて考えるとしても、昨夜の妖艶かつ淫らに咲き誇った大輪の花のような趣きも捨て難いが、今は後部座席に大切そうに置かれた清楚なピンクの薔薇とかラムネの瓶のような雰囲気を醸し出している。
「穴場はね、建物よりもこちらです、よ」
裕樹が手で指し示すと山の迫っている感じの一角の方に弾んだ感じの視線を当てていたので辺りにこちらに注意を払っている人の目がないことを確認した上でそっと手を繋いで歩みを進めた。
「喫煙スペースとも関係がなさそうだ、な。後は何だろう?」
夏休みの観察絵日記をーー宿題だから無理やりしていた裕樹などと異なってーー心の底から楽しんでいる小学生のような感じの小さな、しかし心の弾みは充分伝わってくる声で裕樹を見上げる最愛の人の無垢な煌めきを湛えた表情を自ずと溢れる慈愛のこもった笑みを浮かべて視線を絡めた、指だけではなく。そして裕樹が意味を込めて上を見上げると最愛の人も倣った感じで頭上の遥か上にあるライトを見た。
「集光性……か、な。図鑑には小さな文字で書いてあった。生物学的には『正の走性』だろうが。
ああ、正解でも答えなくて良いので。仮説が正しいかどうかは夏に検証するので」
裕樹が答えようとしたのを遮るように最後の方はやや早口になっていた。
こういう些細な楽しみを重ねることが出来るのもドライブデートの醍醐味だろう。
食事はまだだったが、一応の締め括りとして、周りに人の気配がないことを確かめた上で触れるだけのキスを交わした。朧な星の光と煌めくライトの光に照らされながら。
《了》


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◇◇◇
都合により、一日二話しか更新出来ないーーもしくは全く更新出来ないかもーーことをお詫びすると共に、ご理解とご寛恕をお願いいたします。


諸般の事情で、クライマックス近くにも関わらず中断してしまっていた「気分は、下剋上」夏 ですが(プロットは流石に覚えていましたが、ちょっとした登場人物の名前などその場で思いついた名前とかは忘れてしまっていたため、復習に時間がかかりましたが、「ドライブ~」か「震災編」が終了次第再開する予定ですのでもう暫くお待ちくだされば嬉しいです。
あと、熱烈リクエストがあった「蛍の光の下のデート」も超短編で書こうかと目論んでいます!ただ、ストーリー性が強いのは「夏」なので、そちらを優先したいのですが、予定は未定(泣)

最近またリアル生活の変化でバタバタしてしまいまして更新時間がまちまちになってしまい申し訳ありません。
ただ、「ドライブデート」が終わったので、明日からは「夏」を更新する予定です。

気分は下剋上 ドライブデート 129

「美味しいです。他ならぬ貴方が飲ませてくださったからでしょうね。夜勤の時に良く飲む銘柄のコーヒーなのですが、別物のような味です。有り難う御座います」
夜の高速道路、しかもあまり多趣味とは言えない裕樹にとって最愛の人を助手席に乗せてドライブするという行為そのものが趣味になりつつあった。元々運転は好きだったが、この人が生涯の恋人になってくれるという揺るぎない確信に満ちたからこその新車購入だったが、もう少し早めても良かったような気が今ではする。
「もう神戸ではなくて西宮市に入ったようだな。次は宝塚か。夜の高速道路は誰かの歌にあったように夜空に飛び立ちそうでとても綺麗だ。
まだ山の中を走っているようだが、この辺りでもカブト虫やクワガタは捕まえることが可能なのか?もちろん夏の話だが」
高速道路の無機的で独特のなライトが最愛の人の怜悧で端整な横顔をより繊細に浮かび上がらせていて、しかも夏の虫探しという『初めて』の行為の予定と、先ほどの花火の余韻に無垢な感じの薄紅色に頬を染めている様子と記憶を辿ろうとしている理知的な容貌の精緻なバランスも裕樹にしか見せない表情なのでよりいっそう強く視線を惹かれてしまう。運転には支障がない範囲内に自重したが。
「この辺りでも可能ですよ。運が良ければ高速道路のサービスエリアの広い駐車場で、そうですね、道後に行く途中の出来事でしたが、タバコを吸うために昼食を素早く済ませた私と束の間の二人きりになりたくてーーあれも物凄く嬉しかったのですがーー喫煙エリアにいらしたことがあったでしょう?ああいう場所は穴場かもしれません」
道後温泉は医局の慰安旅行だったので「夜這い」という本来の目的ーー公私混同を嫌う責任感が裕樹よりも遥かに強い最愛の人にとってはギリギリのラインだったようだし、裕樹的にも履き違えた目的なのは百も承知だったがーー以外に二人きりの空間を楽しむにはああいう方法しかなかったのだろうが、喫煙エリアは割と建物から遠くに追いやられているのが昨今の風潮なので、カブト虫やクワガタも夏の夜には捕まえられそうだ。
「道後温泉か、あれもとても楽しかったな。二人きりで忍び逢う夜も宝石のように貴重な時間だったが、それ以外もとても。あのサービスエリアででも捕まえられるのか?
だったら本当に歩き回らなくても良さそうだが。樹液はこの際関係なさそうだ、な。
確かあのサービスエリアの喫煙所に甘い飲み物が溢れていた記憶はないし、むしろそれなら家族連れの子供さんがたくさんいた飲み物の自動販売機周辺だと甘い飲み物も溢れていそうなので」
春の陽光の煌めきに似た弾んだ声が車内を幸せ色に染めていくようだった。
「甘い飲み物が常に有るとは限らないでしょう。それにほぼ100%の確率ですので、樹液に似た甘いモノは関係ないですね」他に何が有ったのか良く考えてください」
あまりヒントを出し過ぎると卓抜した記憶力を誇る最愛の人には思い当たってしまうかも知れない。
「あのサービスエリアではどうでしょうか?海が近いので、逆に捕まえられない可能性が有ります。むしろ六甲山からの夜景を見に二人で行った芦屋と有馬温泉を繋ぐ道路の方が可能性としては高そうです」
薄紅色の滑らかな頬が甘い色香を放って羞恥に艶めいたのは、六甲山から神戸方面を見た後の愛の行為を思い出したからだろう。有馬温泉まで行く時間の余裕もなかったので六甲山ーー六甲山系は広いので今走っている場所も正確には六甲山系の一部だった。ただ、防音壁のせいで山とは隔てられているので山のオゾンに満ちているわけではないし、どちらかといえば人工色の方が強かったので、高速道路には当然備え付けられているモノでは有るもののカブト虫などが寄ってくる可能性は逆に低い。
「甘い香りなら、貴方の艶めいた生まれたままの肢体の方がより相応しいと思いますが、私一人しか独占させたくないお姿なので、もちろんそんな手段は使いませんよ」
それに余計な昆虫も寄って来そうだし、中には素肌に炎症を起こす成分を持った虫もたくさん集まっている場所なので、素肌の露出は出来るだけ避けたいのも本音だった。
艶やかな絹のような素肌に紅い情痕を咲かせるのは裕樹の悦びでもあったがそれ以外のいかなる外傷も負わせたくないのも。
艶めいた薔薇色の吐息を零してから気分転換のためか細く長い首を優雅に振ってから頬に指を当てて考え込む仕草も理知的かつ無邪気な知的好奇心に煌めいていてとても綺麗だった。
「甘い物は関係がなくて……。そしてカブト虫などが棲息しているのは山なのは知っているのであの広い六甲山は最適だろうが。これから寄る予定の宝塚サービスエリアでも捕まえることも?」
裕樹の横顔に無垢さに弾んだ感じの視線が当てられて「夏休みの楽しみ」に想像を巡らす小学生めいた感じなのもとても新鮮な初々しさに溢れていた。
「あの喫煙エリアみたいな感じで大勢の人が居ずに、かつ、とある条件が揃えば可能ですね。」
他愛のない話を心置きなく、しかも他人の耳には絶対に入らない車内で最愛の人と交わすのもドライブデートの醍醐味の一つだったので、ヒントを小出しにしていくのもとても楽しい。目を輝かせて聞いてくれている人が居るのでより一層。
「分からないな。宝塚サービスエリアに実際に行ってみたら分かるだろうか?」
無邪気な弾んだ声が車内にラムネの泡のように弾けた。










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都合により、一日二話しか更新出来ないーーもしくは全く更新出来ないかもーーことをお詫びすると共に、ご理解とご寛恕をお願いいたします。
やっとリアバタがー段落ついたので、次回更新分からは毎日更新を目指します!(目指すだけかも……(泣)


あと、熱烈リクエストがあった「蛍の光の下のデート」も超短編で書こうかと目論んでいます!ただ、ストーリー性が強いのは「夏」なので、そちらを優先したいのですが、予定は未定(泣)

気分は下剋上 ドライブデート 128

「いつまでもこうしていたいのはやまやまなのですが、そろそろ車に戻りませんか?」
花火の残光がすっかり消えた夜の海岸ーーしかも二人きりという絶好のシュチュエーションだったがーー予想以上に最愛の人が喜んでくれたので大まかに決めた時間を大幅に過ぎていたのも事実だった。
「そうだな……。夏にもう一度来よう。その時がとても楽しみだ。ああ、そうだ、忘れ物があった」
花火よりも綺麗に弾んだ声が瀬戸内の穏やかな潮騒と夜の闇に溶けていく。
そんなモノが有ったのかと内心怪訝に思いつつしなやかな動作で立ち上がった最愛の人に倣って砂浜を指を深く絡ませて歩いた。
「ああ、それですか。では私も一緒に掘り出した方が早いですよ、ね」
二人で埋めたラムネの瓶を今度は取り出す作業ーー埋めるよりも時間がかからないのは当たり前だったがーーをしながら、灯台の仄かな灯りに浮かび上がる最愛の人の薄桃色の無垢さに煌めく極上の笑みを見詰めてしまう。そして何の変哲もないガラス瓶ではあったが、砂浜に半ば顔を出しているので危険だろうし、子供が怪我でもしたら困るーー割れてしまえばより一層危険だったーーとの思いからなのだろうなと漠然と思っていると、細くしなやかな指がガラスの瓶に付いた砂を払う仕草が夜の闇に白魚か太刀魚のような仄かな煌めきを放ってとても綺麗だった。そしてその指が空中にかざされて紅色の艶やかさが強調された指が何の変哲もないガラスの瓶を極上の煌めきに変えている。
最愛の人が「神の手」と呼ばれているのは周知の事実だったがーーそして誰にも負けない鮮やかな手技をこなす度ごとに感嘆の眼差しを送ってしまう裕樹だったーーそれとは異なった意味でも見入ってしまう。どんな手のモデルよりも綺麗で繊細な長く細い指が裕樹だけに見せる肌の色に艶めいていたので。
「この瓶を持ち帰っても良いか?初めての花火の記念にしたくて。間違っても中のビー玉を取り出そうとは思わないので」
無垢な感じに弾んだ声が夜の闇をラムネ色に染めたような気がした。
微笑ましさに思わず頬が緩んでしまった。
「では、私も持ち帰って宝物の一つに加えます。今まではバラバラの物だったでしょう?こういう値段の付かない『宝物』は。
尤も私にとっての最高の宝物は道後温泉で貴方が折ってくださった鶴ですが。あれには私を待ち焦がれる貴方の想いがこもっていますので」
灯台の仄かな光にも薔薇色に頬を染めた最愛の人が唇には裕樹が贈ったベビーピンクの薔薇のような笑みを花開かせているのは、きっと砂の城や花火の方が鮮烈な印象を与えたからだろう。どんなに激しい愛の交歓を重ねてもーー肢体は淫らに咲き誇ってくれてはいたがーー「初めて」の花火や砂の城に無邪気に興じる無垢な魂は出会った時よりもより透明度の高いダイアモンドの煌めきを放っているようだった。
「私にとっては裕樹から初めて貰った手書きの携帯番号のメモだな」
この上もなく弾んだ声で小さく告げられて赤面してしまった。あの頃ーー今は単なる八つ当たりにも似た嫉妬心だと明瞭に分かっていたがーーの裕樹の態度はお世辞にも大人の対応ではなかったし、携帯の番号を聞かれてたまたま有った付箋紙、しかも製薬会社の営業マンが病院に大量にくれるシロモノだった。
「あれには気持ちがこもっていません、が」
むしろ、上司に理不尽な要求をされて怒りに似た感情のまま書き殴った記憶がある。
「しかし、私にとっては『初めて』裕樹から貰った掛け替えのないモノなので」
そんなに大切にして貰えると分かっていたら、もっとマシな紙と丁寧な筆跡で書けば良かったと思いつつ海岸から車へと戻った。
「空腹ではありませんか?何なら淡路島で買ったパンを……」
車のキーをオフにしつつ、駐車場にポツンと置かれた自動販売機を目に留めた。
「裕樹は?私は特に空いていないので。きっと裕樹が色々な『初めて』をくれたので胸がいっぱいなのだろう。ああ、ただ喉は少し乾いたな。海岸を走ったせいかもしれないが」
裕樹の視線がどこを向いているのか分かったらしく薄い紅色に弾んだ声が助手席の方へと歩み寄っている最愛の人に頷いて自販機の方へと歩みを早めた。
「次は宝塚のサービスエリアなのだろう?セミの幼虫は容易く捕まりそうだが、カブト虫やクワガタはどうすれば100%ーー裕樹が言うことなので全く疑ってはいないが」
海岸沿いの道路では夜の海岸に視線を寄せがちだったが高速道路に入った瞬間に裕樹の方へと無邪気な視線を向けて、前の車のテールランプよりも綺麗だったが運転中に横を向けないのが残念だった。
「貴方はどんな予測を立てていらっしゃるのですか?」
他愛のない会話すら二人きりのエンジンの音が静かに響く密閉された空間で交わすのは楽しかった。
「夜行性だということと、夜の山に樹液を求めて集まって来ることしか知らないので……。ただその方法だとセミの幼虫よりも見付ける難易度は高そうだし違うのだろう?」
助手席からーー運転の邪魔にはならない程度にーーシートベルトを装着したままわずかに裕樹の方へと身動ぐしなやかな肢体はテールランプに照らされてとても綺麗だった。
「コーヒーを飲ませてくだされば、ヒントくらいは出しますよ?」
特にコーヒーが飲みたいわけでもなかったが、ラムネの瓶を宝石のように際立たせていた指が裕樹の唇に近づくのかと思うとそれだけで期待で胸が高鳴った。
最愛の人がどんな図鑑を見たのか具体的には知らないが、多分小さく書いてあっただろうし、普通の記憶力の持ち主なら忘れているだろうが、最愛の人の卓抜した記憶力なら覚えていても全く不思議はなかった。
正解を紡いだとしても、教える積もりはーー最愛の人の「初めて」を奪うのは夏のドライブデートの時の楽しみだったのでーー実はなかったのだが。
コーヒーのプルトップを開ける微かな音が車内に奏でられた。その次の瞬間ブラックコーヒーの缶が細心の注意を払った感じで裕樹の方へと薄紅色の細く長い指がしなやかに動くのを横目で捉えてこの上もない充足感を抱いた。











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気分は下剋上 ドライブデート 127

最後の一本になってしまった線香花火を最愛の人の綺麗な指に手渡して火を点けた。
「セミの幼虫用にはそこいらで拾える木の枝で充分ですよ。ああ、カブト虫などと異なって少し歩いて探さないといけないので、懐中電灯は用意してくださったら嬉しいです」
線香花火の煌めきよりも綺麗な笑みが夜の闇に浮かび上がった。
「裕樹と遠足気分を味わえるのだ、な。しかも夕方なのだろう?」
花火よりも弾んだ透明な声にふとした違和感を抱いた。二人きりの時間を大切にしてくれている最愛の人だったが、何だかそれだけではない期待感めいたニュアンスも含まれていたのでなおさらだった。ただ、最愛の人の決して幸せではない寂しい過去を裕樹が根掘り葉掘り聞く気分にもなれなかったので、視線だけで話しの続きは促したがごく弱い感じに留めておいた。話したくなければそれでも良かったし、話たいのであれば聞こうという曖昧な視線の先に若干は寂しそうな煌めきを含みながらもそれでも嬉しそうな無垢な眼差しを線香花火と裕樹の顔に交互に当てていたのも儚げな印象を与える、線香花火のせいだけではなく。
「小学生の高学年からだったと記憶しているが、母の体の具合がーー今思えばあの時から心臓疾患を抱えていて、無理やりにでも入院させれば良かったのかも知れないーー良くないのは子供心に分かっていたので、昼間の遠足はともかく、宿泊を伴った学校行事は全て断っていた。母から目を離してはいけないような気がして。だから林間学校などの思い出を話すクラスメートの話しか聞いていないし、楽しそうだとは当時から思っていたが、自分とは縁のないモノだと思っていて……。
ただ、裕樹が夜の山でセミの幼虫探しを提案してくれて、とても嬉しい」
最愛の人の過去は大まかな話としては聞いていたが、ここまで具体的に話してくれたことはなかったような気がする。今までは言葉の端々でそれとなく察するだけだったので。
「それでは、夜のセミの幼虫探しはことさらゆっくりと行いましょうか?夜の木立の中をあちこち歩き回るのもきっと楽しいですよ」
下手な同情の言葉はこんなにも儚げな笑顔を見せる最愛の人には返って失礼かもしれなかったのでーーそして花火の煌めきよりも期待感に弾んだ表情の方が彼の気持ちをよりいっそう雄弁に物語っているような気もしたしーー敢えて快活な感じの声と笑いを実際よりも強く表現した積もりだった、成功しているかどうかは分からなかったが。
「そうだな。裕樹と一緒ならどこに行っても楽しいが、セミの幼虫探しとかは、林間学校でも有ったようなので……。裕樹と二人で出来るのならとても嬉しい」
小さな火玉が今にも落ちそうになっているのを心許なげに見入っている最愛の人の少し寂しさを伴った透明に弾んだ笑みは花火の煌めきに似て多彩な印象だった。
「そうですね。そういうご事情でしたら、新神戸駅に有るホテルの安っぽさは却って貴方には良いかと思います。貴方には相応しくないかなとも思っていたのですが、公立高校の修学旅行にも利用されるホテルなのでーーもちろん神戸はあまり旅行先には選ばれず、全国区で人気なのは京都なのですがーー」
公立高校の限られた予算内の悲しさでーー大学時代の同級生とか医局に居る人達は修学旅行が海外だったとか、一流老舗ホテルに泊まっただとかの体験談が何かの拍子に出ることも有ったのでおおよそのことは知っていたがーー裕樹が修学旅行で泊まったホテルもあんな感じのチープな感じだったし、林間学校はバンガローだった。
「そうか、それはとても楽しみだ」
小さな火玉が今にもポトリと落ちそうな儚げな最後の名残りのように煌めく一瞬を狙って最愛の人に誓いの口付けを落とした。
花火独特の香りが残っている海岸の風景に相応しく触れるだけの瞬きのようなキスだったが。











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気分は下剋上 ドライブデート 126

「今度こちらの海岸に来る時は、花火を単体で売っている店を見つけるか最高に気に入って下さったヘビ花火がたくさん入っているかどうかを確かめてから購入しますね」
セミの羽化とかカブト虫やクワガタの話ですっかり夏のドライブデートーー最愛の人の好みでは多分ないだろうホテルが山から最も近いのが残念だったがーーに思いを巡らしていると思しき無垢な笑みを花よりも綺麗に綻ばせている最愛の人より楽しんで貰おうと花火の話に戻した。
「花火は詰め合わせではなくてバラ売りでも買えるのか?
ただ。セミの幼虫の活動時間と花火の時間がかち合うような気もするが」
裕樹の幼い頃に夏限定で花火を各種お任せで購入出来た文房具屋がーー当たり前だが実家にいた頃の話だし、今その店が営業を続けているかどうかすら知らないーー有ったのは事実だが京都の街中にそういうお店があるかどうかなど興味の範囲外だったので当然知らない。最愛の人がこんなに喜んでくれたので、次も花火付きのデートプランを練っただけで花火そのものにはさしたる吸引力は感じないのも事実だった。
「布引ハーブ園に行った時のことも当然覚えていらっしゃるでしょうが、神戸の中心地側ーーというには少し離れていますが、ただ新幹線の駅と直結している便利さはありますーーループウエーの乗降口に行くために通り過ぎたホテルを次の宿泊先にしようと考えているのですが、貴方にはあまり相応しくないホテルかも知れません」
基本的に裕樹のすることには何でも喜んでくれる人ではあるものの、一応の予防線というか最愛の人の反応を確かめたい。
草むらに座り込んで線香花火を息を殺して見詰めている最愛の人の無垢な表情が線香花火の煌めきよりも綺麗だった。
「もちろん覚えている……あのハーブ園では裕樹に死ぬほど嬉しいことを言われたし」
花火の赤さよりも薔薇色に染まった最愛の人の懐かしそうで幸せ色の笑みの方が比べようもないほど綺麗なのは言うまでもなかったが。
「ああ、あの時の言葉ですか。その想いは降り積む雪のように深くなることこそありますが、その逆は金輪際ありませんので安心してくださいね」
花火の煌めきを加えた最高の笑みを幾分薄い唇が極上の花を咲かせたように鮮やかに花開いた。
「ああ、それはもう疑ってはいないので……。で、あのホテルにするのか?私は裕樹さえ側に居てくれるならどんな場所でも天国なので……特に異存はない」
花火や海岸を走り回るというーーもしかしたら前日のドライブから始まっていたのかも知れなかったがーー心の弾みを率直に紡いだだけの言葉だろうが、裕樹にとっては宝石よりも貴重な愛の言葉だった。
「セミの幼虫は個体によっては夕方頃に土の中から出て来るのも居ますので、先に幼虫を捕まえてから、花火ーーああ単体で買える店が有るかどうかはこれから調べますがーーを楽しんだ後にカブト虫やクワガタを探しに行けば時間的にもぴったりだと思います。
セミの羽化が始まってしまうかも知れませんので、虫カゴのようなモノは必要でしょうが」
今にもポトリと落ちそうな赤くて小さな火を花火を息を殺して凝視している眼差しの無邪気な光を湛えた切れ長の目の綺麗な光に見入ってしまうが、職業柄とか生来の器用さのせいで二つ以上のことを同じ集中力を保ちつつ出来るーーもちろん裕樹も彼ほどではないにしろ可能な技ではあっったがーーので、裕樹の話に微笑みの濃さを増していてピンクの大輪の薔薇のような風情だった。
「では虫カゴのようなものは私が用意する。セミ用のと、カブト虫などは分けた方が良いのだろう?」
裕樹の目を見る最愛の人の眼差しには夏の計画の期待からか無邪気な煌めきが先ほどよりも増していてダイアモンドの無垢さを彷彿とさせてくれたが。
「セミの羽化の時に限って言えば妖精の羽根のように繊細なので、余計な力が加わってしまった場合は羽化が失敗に終わって飛べないセミになってしまいます。病院内でご覧になったことは有るとは思いますが成虫になってしまえば羽も割と丈夫なので平気なのですけれども。カブト虫やクワガタは既に成虫なのでカゴは一個だけでもある程度の大きさが有れば大丈夫です、よ。多分百貨店かスーパーでお買いになるのだと思いますが、カブト虫用のセットも同じコーナーに売っているはずなのでそれも忘れずに買って頂ければと」
今回は赤い小さな火玉がポトリと落ちてしまって落胆のようなため息を零した最愛の人だったが、それでも唇にはーー今は車に中に置いて有るーーピンクの薔薇よりも綺麗な笑みを浮かべているのは新しい楽しみを裕樹が提示したからだろう。
「カブト虫用のセットが有るということはクワガタ用も?」
次の花火に火を点けて小さな儚い風情の煌めきを放っている線香花火をダイアモンドよりも無垢な光を宿したまま見詰めていたものの、唇の薄紅色が清純な色香を放って甘く匂い立つようだった。
「多分売ってはいると思いますが、どうせ中身は同じ成分なので、一つで良いですよ。
虫カゴというかケースと言うか、まあご覧になったら分かるかと思いますが要するにプラスチック製のモノでーーああ、すみませんが花火を持って頂けますか」
夜目にも薄紅色の煌めきを放つ細く長い指が、秀逸過ぎる手技の時のように慎重かつ繊細に動いたのは線香花火の火玉がセミよりも儚く生を終えることに気付いたせいだろう。
一瞬だけ触れ合った指先の快いーーそしれ走った後なのでひんやりとしている普段の指とは異なって温かみを帯びているー感触を楽しみながら花火を手渡した。
薄紅色に煌めく指に花火の弾けるような赤や黄色の火花が映えてとても綺麗で花火よりも指を見詰めてしまいながら、ケースの大きさを両手で表現する。
「だいたいこの程度の大きさ以上であれば問題はないかと思います」
息を殺して花火に見入っていた最愛の人だったが視線は裕樹へと流してくれたので、薄紅色の細く長い指が花火で飾られているという裕樹にしか見せない指の色と無垢な煌めきを放つ瞳が儚い花火の光でよく見えたのは僥倖以外の何物でもなかったが。
「ケースの件は了解した。セミの幼虫用には何が必要なのか教えてくれれば有難い。私にとっては初めてのことなので、裕樹だけが頼りだし」
一般常識にもやや欠ける点はあるものの、卓越した彼の世界レベルの手技と同様の頭脳の持ち主なので、言葉にはしないもののインターネットで検索するというそこいらに居る人間でも容易に考えつく手段は当然思い至っているだろうが、そういう言葉を言わない点も最愛の人の美点の一つだと心の底から思ってしまう。
裕樹自身も自覚しているが、負けず嫌いな性格なのを最愛の人も当然知っているからこその言葉だろうから。
過去の今思えばチャチな恋愛ごっこの最中でも、相手が浅薄な知識をひけらかすーーちなみに研修医時代は実際の職業とか職場を明かさないまま恋人もどきも居たので、裕樹を普通の会社員だと自己申告したのをそのまま信じた人も割と多かった。それに勤務先イコール出身大学が分かるような職場だったのでごくごく普通の会社員を装うために学歴すら言っていなかったから仕方のないことかもしれないがーー自分の方が賢いと思い込んでいた人も居たのも事実で、そういう人は裕樹の好みからは大きく外れてしまう。
ただ、最愛の人は医局内などで他人の目が有る場合は教授と一介の医局員としての言動をするのが病院内、いや社会のルールなので逸脱はしないものの、二人きりの時には何事も立ててくれる奥ゆかしい性格も最高に惹かれてしまっていたのも厳然たる事実だった。











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