腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

気分は下克上 震災編

気分は下剋上≪震災編≫229

「鎮痛剤が夜中に切れる可能性のほうが高いので、今注射した方が良いだろうな」
 愛情に裏打ちされた本能というか欲望の発露を二人で交歓し合うのも大好きだったし――それこそ、個人的には再会で祐樹的には初対面だった時から両想いになった後ですら、祐樹の愛情と欲情の確かな証しはこの目で見ることが出来たので確信していたが「愛情」という不確か過ぎるものは――今思えば頑な過ぎるほど――「信じていない」と散々言ってきた。
 その氷山とか南極の氷みたいな硬さと強度の「思い込み」を辛抱強く――祐樹は確かに人間的にも容姿的にも非の打ちどころがないものの、決して気の長いタイプではないというより短気と表現した方が的を射ている。その祐樹が自分の永久凍土のような硬い心を辛抱強く溶かしてくれたのはある意味奇跡のような気がする。
「ええ、お願いします。今日は聡もお疲れでしょうから、夜中に薬剤の効果が切れて起こしてしまうよりもずっとマシですし」
 流石に肌に付けているのは祐樹が贈ってくれたチェーンだけなのは恥ずかしかったので、「この部屋に居る時にはこの服で」と言われたカーディガン――それでも露出部分が多いので若干の恥ずかしさは有ったものの、何も纏っていないよりは良い、五十歩百歩のような気もするが。
 あれだけ激しい愛の行為の後でも包帯は自分が巻いたままだったのは祐樹が気を付けて動いてくれていたせいなのか、手先の器用さにはいささかの自信がある自分の几帳面な結び方のせいだったかは不明だが。
 病院を離れる時に黒木准教授に手配してもらった――三日分どころか一週間は保つだろう、最低限の使い方だったら――治療用の一式セットの入った容器を開けて包帯を解いた。
「流石は世界レベルの名医ですね。手際がとても良くて惚れ直します。
 ただその恰好で他の患者さんに治療は施さないで下さいね。
 それこそ盛大に焼き餅を妬きますよ」
 祐樹が笑いを含んだ声ながらも何だか底光りのするような感じだった。
「こんな格好の医者は居ないだろう……。だから心配しなくて大丈夫だ」
 「杞憂」という故事成語が頭の中をリフレインしているうちに注射も無事に終わったし、包帯もキチンと巻いた。
「疲れたでしょう?流石に調子に乗って聡の甘く薫る肢体を愛しすぎた上に地震発生からずっと起きていらっしゃったし、いち早く病院に駆けつけて下さって慣れていらっしゃらない病院非常事態宣言の責任者もなし崩し的に務められたのですから」
 祐樹がベッドに横たわって右手で上げたシーツの中に身体を滑り込ませて祐樹の素肌の温かさや確かな質量、そして包帯部分は避けてシャワーを浴びた祐樹の香りに包まれると目蓋がくっついてしまっていたし「お休み」と告げた声も呂律が回っていなかった。祐樹には内緒にしていたものの、呉先生から眠剤を分けて貰った過去がある――よほどの非常事態だけだったが――がそれでもこんなに呂律が回らなくなったのは初めてだった。
 自覚している以上に心身共に疲れているのだろう……と思った瞬間に眠りの国に強制送還される勢いで眠ってしまった。
「お早うございます。そろそろ起きませんか。神戸にタピオカ入りココナッツミルクを飲みに行く計画でしたよね?」
 祐樹の方が――地震発生以前から救急救命室勤務だったし、その後休む暇もなく、そして怪我をおしての自分の補佐役で疲れているだろうに――覚醒は自分よりも早かったらしい。
「お早う。祐樹の疲れは取れたか?私は夢も見ずに熟睡したせいか何だか三日ほど寝ていたような感じだな……」
 こめかみにキスをされた後に唇を触れ合せて啄むような接吻を交わしながらも体調を気遣ってしまうし、それは多分祐樹も同じなので現状報告がてらだったが。
「私は墜落睡眠に慣れていますし、三晩徹夜も日常茶飯事です。救急救命室勤務が終わってマンションに帰って聡のベッドで三十分だけでも眠りについたら元気は回復するように身体が慣れてしまったのでしょう」
 職場に最も近い自宅とはいえ、病院の仮眠室で休む方が「合理的」な時間の使い方だと理性では分かっているものの、祐樹が帰宅してくれることを待ち侘びて午前三時に起きてしまう自分も心も身体も祐樹に依存しているからだろう。以前読んだ精神医学と心理学の専門書にも「恋愛は依存の一種だが、病的な共依存とは異なってある意味自然な人間関係だ」と口――正確には文章だが――を揃えて書いてあったことをふと思い出した。
「身支度が済んだらクラブラウンジで朝食を摂りましょうね。お口には合わないと存じていますが、糖分も摂取した方が良いですよ」
 祐樹の心遣いも――他の人間に言われるのは論外だが――とても嬉しい、愛情の証しのような気がして。
「分かった。昨日のように祐樹の前髪を上げて良いか?無造作に下ろしているのも大好きだが、祐樹の場合、せっかく秀でた額を持ち合わせているし、私も祐樹の前髪を上げた顔が大好き……というより惚れ惚れするほど魅力的だと思うので
 何回目か正確には数えていないのが残念だが、昨日は何度も惚れ直している」
 ベッドに横たわったまま前髪を後ろに流すように梳いた。
「それは嬉しいですね。貴方は前髪を下ろしたら全く印象が変わるのですが……私も同じなのでしょうか。
 ただ、前髪を下ろしても下ろさなくても貴方の容貌は私の好みにド・ストライクなのですが。
 今は、非日常デートの真っ最中ですよね?だったら朝食を済ませて神戸に向かう経路も、普段のデートと異なる趣きの方が良いような気がします。
 神戸に向かう電鉄会社は三種類有って……。いつぞや『あの』森技官に医局のため、いや正確には私達の夜這いデートを成功させるために直接交渉に赴いた時に乗った阪急電車と、馴染深いJRの他に阪神電鉄が存在します。
 こういうことを申し上げて良いものなのか分からないのですが、下町というか……乗客の生活レベルが決して高くない場所を走っている電車なので敢えて避けて来ましたが『ローマの休日』ごっこなどを心の底から楽しんで戴いたのですから、庶民的な電車もきっと非日常で珍しいのではないでしょうか?」
 乗ったことは当然ないものの――そもそも祐樹と晴れて両想いになってからしか日本の旅には興味の対象に入っていなかった――それでも、路線図とか地図は見ているだけで自然に暗記していたので、記憶をスキャンするだけで良かった。
「祐樹は優しいな……。ますます惚れ直した」
 こめかみと唇に自分の唇を重ねてしまう、感謝を込めて。
「優しいですかね……。私が優しくしたい……いや思いっきり甘やかしたい人はこの世の中でたった一人、今ちょうど額にキスをして下さっている最愛の恋人だけなのですが……」
 生涯で唯一無二の恋人だと言われた時にも天にも昇る気持ちだったが「自分以外には優しくしないとか甘やかしたい」と睫毛が触れ合うほどの近さで瞳を絡ませて言われたので頬が上気してしまった。
 今、核のボタンを押されるとか空から隕石が降って来ても幸せな微笑みを浮かべながら天に召されるだろうな……と心の底から思ってしまう。
 核や隕石という「不幸」な事態は出来れば避けたい。祐樹と共に僻地のクリニックを経営して穏やかで平穏な毎日を過ごすのが理想的だったので。











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◇◇◇
一日二話更新を目指します(目指すだけかも……)

「心は闇に~」を待っていて下さった方いらっしゃるんですね!かなりびっくりしていますが、とても嬉しいです。年が明けたら読み直しがてらお引越しを致します。「気分は~夏」と同じような感じで引っ越しが完了したら再開致します。





ちなみに時系列的には「夏」→「震災編」です。【最新の短編】は「震災編」の後の話です。




最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
                  こうやま みか拝

気分は下剋上≪震災編≫228

「そこのカウチに座って下さい。
 ああ、ホテルの密室とはいえ、香り立つ色香の他にチェーンしか纏っていない素肌の聡が、シックな高級感を醸し出す椅子に座っている眺めも絶品ですよ。
 何だか背徳的で禁欲的な趣きも最高にそそられます」
 足首を恭しそうに持ち上げられて、祐樹の甘く掠れる低い声を聞いているだけで身体も心も祐樹の色に染まって弾ける極上の黄金色のシャンパンの泡のような細かいけれども快楽中枢を確実に刺激していく確かさがとても心地よくて酔ってしまう、祐樹の存在に。
「昔の映画とかで高貴な人に捧げるキスは手の甲と決まっていたようですが、手だけでなく足の甲まで接吻を送ります。どこもかしこも聡は綺麗ですね。
 紅色に染まった肌理細やかな素肌はもちろんのこと、足の指すらすんなり伸びて……とても素敵です」
 比較的大きなリップ音が寝室に神聖かつ淫らに響いた。
 ただ、祐樹は昔の騎士のように膝を折った格好で自分を見上げているという状態なのも、一抹の心苦しさと共に奇妙な高揚感に包まれてしまう。
「足の甲……だけなのか?
 いや、それでも充分な、というか過分な御礼だと思うが……手の指のことを祐樹はいつも褒めてくれるので……」
 情動のままに言葉を紡ぐ。以前祐樹が「アメリカから参考資料として予め送られた指に惚れたのが最初ですね。その後貴方を知るごとにさらに愛するようになりましたが」と言ってくれていた上に、手の指も弱い場所の一つだった。ただ手の甲よりも皮膚の薄い付け根の方がもっと弱い場所ではあるのだが、快楽の在り処を自分以上に熟知している祐樹を唆すように言ってしまう。
「もちろん手の甲も予定していますよ。
 ただ何となくこういう格好の方が『御礼』の意味が深まるかなと思いまして。
 聡の指も弱い場所ですよね?特に皮膚が薄い場所は……そういう場所全部を唇と舌で優しく辿ります。その程度なら極上の花園もそんなに強く反応しないでしょうから。
 ココと異なって……」
 祐樹の指が胸の尖りを一瞬強い力で捻った。
「そこはっ……直結しているので……」
 先程よりも甘い声を紡いでしまう。
 祐樹の唇が魅惑的な、そして幾分皮肉めいた感じの極上の笑みを浮かべる。祐樹のそういう表情が一番好きなのを、自分は口に出して言っていただろうかと悦楽の細かい泡の弾ける頭の隅で考えた。
「祐樹……私に向かって優しく微笑んでくれる唇も大好きだが、一番好きな表情は誰にも真似の出来ないほど見事な口角の上げ方で苦笑いをすることだ……な。
 今さっきまで浮かべていた表情だが……。
 何時もだと私も困ってしまうが、時々してくれればとても幸せな気分になれるので大歓迎だ」
 鎖骨の下の皮膚を唇と舌で丁寧に辿っていた祐樹が不意に顔を上げた。
「そうなのですか?
 まあ、生涯で唯一無二だと決めた最愛の恋人にあまりそういう表情はしたくはないのですが……ああ、医局にいらっしゃればいつでもあんな顔をしているのでお時間の有る時にでも覗いてみてください。
 『香川教授の懐刀』と呼ばれていることは聡もご存知かと思いますが、あれこれと煩いことを言い続けたせいか『香川外科の小姑』という別称だか蔑称も有るようです。まあ、誰かが締めないといけないので、その役割を自負してきましたし、そう呼ばれるのもある意味光栄だと思っています」
 そう言えば医局の慰安旅行で行った道後温泉に向かうバスの中で祐樹の細かい注意とか適度な叱責――もちろん自分に向けられたものではなかったが――を思い出してなるほどなと思ってしまう。
「これからは医局にもなるべく顔を出そうと思う……。それに祐樹が損な役目を引き受けていてくれて助かってはいるものの、私が出て治まるのであれば遠慮なく言って欲しい……」
 弱い場所からシャンパンの泡の黄金色の陶酔が弾けては消える心地よさに酔いしれながらも今後の課題を思いつくままに唇に載せる。
 姑や小姑――正しくは祐樹のお母様がもしかしたら「姑」的な存在かも知れないが、歓迎して下さったり電話で心配して下さったりと感謝することは山のようにあるが、小言とか叱責などは受けたことは皆無だった――の確執をテーマにした小説は山のようにあるらしいし、実際自分も受験の時にそういう文章に当たったこともあるものの実感はわかないのも事実だったが、宝石のような想い出の道後温泉の往路では柏木先生のビールの飲み過ぎを注意していたのも事実だった。
「大丈夫ですよ。細かい注意などは公的には黒木准教授、私的には私程度が言えば済むことですので……。ただ、医局に顔を出して下さると皆の士気が高まるのも事実なのでお勧めしたいですね」
 手の甲に接吻を落としながら恭しげに囁かれた。
「指の付け根はっ……特に弱いっ……のでっ」
 うっかりするとまた祐樹を求めてしまいそうになる衝動に耐えながら小刻みに震える身体を祐樹の方へと傾けた。
「ギリギリのラインで止めますよ……。普段よりも感じやすくなっている聡の肢体の状況も加味した上で……。
 こういう触れ合いもたまには良いでしょう?
 愛の交歓もとても素敵ですが、何だかこうしている方が官能的な感じがしますね……」
 指の付け根に低く甘い息が掛かるだけで黄金色のシャンパンの甘美で細かな泡が背筋に弾けて……激しく求められるのとは異なった黄金色の凪のような悦楽だった。
 ずっとこのまま優しく愛されていたいという甘酸っぱい気持ちは何だかレモン色の爽快さを伴っている。
 指の付け根を中心に祐樹の舌が動く度にもっとして欲しいという欲求とこれ以上したら止め処が無くなるという理性の狭間で揺れる気持ちも何だかレモン色の嬉しさで染まっていくような気がした。
「もうっ……御礼は充分受け取ったので……」
 唇が次の言葉を紡げなかった。止めて欲しいのか、もっと深い悦楽の深淵を覗かせて欲しいのか自分でも分からなかった。
「そうですか?明日は神戸に行く予定でしたよね?タピオカ入りココナッツミルクがお気に召せば良いのですが」
 「御礼」のピリオドのように唇の表面だけが重なっている状態でそう言われた。
 鼓膜と唇二つからの祐樹の言葉が重なって聞こえるのも何だかココナッツミルクの濃厚さのようでクセになりそうだった。











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◇◇◇
メリークリスマス!!
読者様に良いことが起こりますように。
体調不良が長引いてしまって長いお休み申し訳ありません!年のせいかなかなか完治には至らず、まだぐったりしてしまう今日この頃です。



ちなみに時系列的には「夏」→「震災編」です。【最新の短編】は「震災編」の後の話です。




最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
                   こうやま みか拝

気分は下剋上≪震災編≫227

「花園の真紅の花びらから白い蜜が滴っているようで、とても綺麗ですね」
 今まで花園の中を確かで熱い質量で満たしていた祐樹の愛情と欲情の楔が引き抜かれて、その部分から零れ落ちた白く熱い真珠の雫が太ももへと滴っていく感触すら薔薇色の悦楽に変わっていく。
「立てますか?今度はこちら向きで」
 祐樹の甘く熱い眼差しが確かめるように顔に当てられるだけでシャンパンの泡のような細かい悦楽が心の中で弾ける。
「大丈夫だが……?」
 「し残したこと」が何かは分からないものの、祐樹とこうして二人きりになっている時が一番幸せな宝石のように煌めく、そして甘い蜜のように心と身体を溶かしていく時間なのは確かなので祐樹の言葉通りに立ち上がった。
「愛の交歓の痕跡を肢体のあちこちに残して、甘く薫る素肌の聡が一番綺麗でずっと眺めていたいのですが、『御礼』をするのを忘れていました。
 推薦状を書いて下さったことや、学会発表用の原稿の推敲をお願いしたでしょう?
 つい恋人としての気安さから図々しく頼んでしまいましたが、本来ならば教授職の方にモノを頼むにはそれ相応の御礼が必要なのです」
 大学病院勤務歴――少なくとも研修医とか医局員としての経験は皆無だ――からして祐樹の方が病院の慣習というか因襲を良く知っているのでそういうものなのだろうかと思ってしまう。
 昨夜から一睡もしていないだろう祐樹が眠っている暇つぶしが第一の目的だったので割と軽い気持ちで書いた推薦状だったが、祐樹にはそうは思われていない感じだった。
 それにアメリカ時代の経験とか人脈を使えば英語の推薦状を書き上げることとか然るべき人間に送り付けることは自分にとっては簡単な作業で、そんなに労を要することはしていない。アメリカの医学会の方が日本の何かしら面倒な旧弊さを未だ頑なに残している学会よりも自分にとっては親しみやすいシロモノだった。それにメインはNHKのカメラマンがたまたま撮っていた神憑り的な手技の画像だったので、自分の推薦文はむしろ「おまけ」のようなもので、そんなに感謝されるほどのことをしたという自覚も全く持っていなかった。
 それにこの話が教授執務室で交わされているならまた話は別だが、第二の愛の巣のホテルの密室だし、しかもこの部屋に居る時は「愛の時間」と決めているようだったので「御礼」も堅苦しい話にはなりそうにない。
「私はお金など……。それより祐樹の愛が欲しい」
 甘えるような声で小さく本音を呟いた。充分愛されている実感はあるものの、さらにと望んでしまうのはワガママかもしれないが。
「金銭に恬淡とした人なことは充分承知しています。ただ、教授の推薦状、しかも差出人が他ならぬ貴方なので、物事がスムーズに運んだことも事実でしょう?世界レベルで名医と認知されている日本の医師はそう多くはないハズです。そういうことも考え合わせると金銭で支払うのは無理なので、愛情と身体で支払います」
 絨毯が敷き詰められている床に座ったままの祐樹が凛然とした表情と熱い眼差しで見上げてきた。
 「身体で支払う」というのはつまり、愛の行為の続きなのだろうと思うと甘い予感に心に薔薇色の雫がシャンパンの泡のように弾けては湿った素肌を熱く染めていく。
 足を折った形で座りなおした祐樹が足元に跪く格好になって、意外さの余り呆然と立ち尽くしてしまう。告げるべき言葉が見つからなくて、唇が空回りしてしまうもどかしさを久しぶりに実感した。
「ゆ……祐樹っ……そんなことは気にしなくてもっ。あっ……」
 足の指に恭しく唇を触れられたかと思うと足の指の付け根に向かって舌が這わされた。
 心だけでなく身体ごと愛してくれる祐樹との夜を重ねたせいで――しかも祐樹は愛の仕草が物凄く上手だ――足の指の付け根も弱い箇所なのは知ってはいたが、こういう格好では愛されたことがなくて、驚き交じりの甘い声が上がってしまう。
「ゆ……祐樹っ……。そんなことはっ……しなくて良いのでっ」
 実力に相応しいプライドの高さを――逆に自分は手技以外に矜持を持てるモノがないことを祐樹に指摘されて暖かい笑いを浮かべられたことは有った――持ち合わせている祐樹がある意味屈辱的なことをしてくれているという奇妙な背徳感と高揚感で足の付け根の悦楽が背筋から頭に薔薇色の細い閃光を放って背筋が仰け反った。
「最愛の聡だけにしか、こういうことは致しません、よ。
 聡にはそれだけの価値が有ることをいい加減自覚して戴きたいです。私が跪く相手は地球上で聡一人ですので」
 濡れた足の指の付け根に熱い息が掛かることすら薔薇色の悦楽が背筋を奔って脳を甘く溶かしていく。
「それ……気持ちは良いがっ……。ベッドの上で……続きをっ」
 背筋が傾ぐせいで身体のバランスが取り辛い上に普段なら支えてくれる祐樹の腕は――怪我で使えないという現実もあったが――床に付けたままだったので、覚束なさの余りにそう強請ってしまった。
「ベッドでは……御礼にはならないでしょう……。ああ、こちらへ来て下さい」
 何事にも目敏い祐樹に思っていたことを見抜かれたのか、上半身を起こした祐樹の右手が恭しく差し出された。
 ベッドの中だったら、自分もお返しの愛の行為が可能だったのに……と思うと少しは残念な気もしたが、祐樹の甘いエスコートに身を委ねた。











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◇◇◇


本日は【二話】更新を目指しますが、二時間を目途に更新されなかったら「力尽きたんだな」と思って下されば幸いです。

 
ちなみに時系列的には「夏」→「震災編」です。


最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
                    こうやま みか拝

気分は下剋上≪震災編≫226(I8禁)

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「ああっ……ゆ祐樹っ……。強くっ……拓かれる……感じがっ…とてもっ」
 胸の尖りも上下と左右に強く弾かれて背筋が撓って祐樹の身体へと傾ぐ。
 頭の中は紅いダイアモンドが炎で爆ぜているような豪奢かつ圧倒的な悦楽で真っ赤に染められていく。紅い炎を少しでも散らそうと――そうでなければ直ぐにでも真珠の迸りをばら撒いてしまいそうだったので――汗の雫で濡れた首を振ったものの全く効果はなかった。
 待ち焦がれていた花園が熱く甘く祐樹の灼熱の楔を嬉しそうに迎え入れては花びら達が微細な動きをてんでばらばらの饗宴を繰り広げていく。
「聡の極上の花園の動きも最高に気持ちが良いですが、蕾に当たるように……ご自身も腰を動かして下さい」
 祐樹の濡れた低い声とか、まるで本物のルビーを掴み上げるような強い指の動きとか、そして何より熱く滾った祐樹の欲望と愛情の象徴が淫らな水音を奏でながら力強い律動を刻んで花園の中に挿ってくる悦びに身体が薔薇色に震えた。
「あっ……んっ。とてもっ……悦っ……。もっと……深くまで……来て。
 こう……か?ああっ……。もうっ……」
 腰を上下に揺らした瞬間、頭の中の炎に包まれた紅いダイアが大きく爆ぜて、真珠の雫をばら撒く寸前で必死に止めた。
「良いですよ。聡の紅色の指が水晶の煌めきを加えて……濡れた紅い薔薇のような場所に挿って行くのを拝見しただけで……私も暴発しそうでしたから。
 それに、今の聡の極上の花園は真っ赤な牡丹のように包み込んで厚ぼったい濡れた精緻な動きで……私を誘って下さっていますよね。
 繋がったままで腰を振る聡を拝見したら……私もっ」
 熱く掠れた祐樹の声も、そして呼吸も熱くて切羽詰まっているようだった。
 花園の奥処に真珠の迸りを感じた瞬間、薔薇色の大波が脳を真っ白に染めていく。
「ああっ……祐樹っ……愛しているっ」
 真珠の雫が窓ガラスに散らばっていくのを何だか遠い世界にいるように眺めながら愛の言葉を紡ぐのが精一杯だった。
「私も、聡を……永遠に……愛して、います、よ」
 身体を繋げて囁かれる愛の言葉は魂までも繋がったように感じてしまって、存分にばら撒いたハズの真珠の雫の大波がさらに押し寄せてきた。
「ゆ……祐樹っ……またっ……あっ……」
 強張った身体を上下に揺すると胸のチェーンが尖りの先端部分に当たって水晶の音を立てた。
「聡の花園は甘い麻薬のようですね……。そんなに……腰まで揺らされると……ほら」
 一度は力を失っていた祐樹の愛情の熱い楔が再び大きくなって花園の中を嵐のような激しさで貫いて奥処を衝く。湿った淫らな音が一際大きく寝室に響いた。
「ゆ…祐樹っ……。そこではなくてっ……胸をっ……触って……欲しっ」
 真珠の雫をばら撒いている場所に触れられると紅い閃光で脳が焼き切れそうだった。
「逝ったばかりなので……物凄く……敏感になっていて……お辛いのでしょう……?」
 祐樹も大きく息をしながら下半身ではなく胸の尖りへと指を這わせてくれた。
「紅いルビーにも……真珠の雫が……よく似合います……ね」
 湿った指先が濡れた音を立てて小さな尖りを甘く熱く摘まんでは左右に揺する。
「もうっ……脳がっ……白くっ……焼き切れそうでっ」
 こんなに長い時間真珠の放埓を放ち続けたのは初めてのような気がする。
「胸の尖りを……強く摘ままれたまま……、花園の中を擦られるのも……お好きなのですよ、ね」
 窓ガラスに付けていた肩が汗で滑って身体のバランスが崩れそうになったのを祐樹が後ろから抱きとめてくれた。
「祐樹にされることならっ……何でもっ……好きだがっ……あっ」
 脳が紅い閃光に満たされてばら撒く感じとは別の絶頂のうねりに巻き込まれそうになった時、奥処に熱い飛沫で満たされた。
「聡の花園の中も物凄く熱いですよ。いつまでも挿っていたくなるのですが、花びらたちの魔性の動きで直ぐに達してしまいそうになるのが難点ですね」
 弛緩した身体を床に委ねて二人して息を整えてから口づけを交わした。
「もう、ラウンジには行けませんね……」
 繋がったままの状態で、胸の尖りを優しく転がされる。
「どうしてだ?」
 祐樹はむしろ驚いた感じで目を見開いた。このホテルで愛の交歓をしたことはそれこそ数えきれないほどあったし、その後クラブラウンジに行ったことも有ったので。
「こんなに甘く乱れて……悦楽に蕩けたお顔とか……、いつも以上に愛の行為の後の甘やかな香りを放つ紅色の素肌を誰にも見せたくないからです。
 肝心な場所は当然隠しますが、それ以外の場所も愛の交歓の痕が色濃く残っているので……。そういう姿は私だけで独占したいので……」
 祐樹の唇がこめかみから目尻に甘く降ってくる。
 涙と思しき液体を優しく吸ってくれるのも甘やかな満ち足りた気分だった。
「そうなのか?
 祐樹に独占されるのも大好きなので、それはそれで構わないが……。
 それに繋がったまま、こうしているのも……。もう少しこのままでいても良いか?」
 後ろ手で祐樹の汗に濡れた髪の毛を持って自分からキスを仕掛けた。
 食後酒のような甘いキスの味にも酔いしれる。
「少しなら構いませんよ。
 ただ、し残したことを思い出したので……。
 聡のお身体には負担は掛けないと思いますが、愛の行為の続きをしましょうね、もう少し経ったら……」
 何をし残したのかは分からないが、祐樹の素肌に密着しているだけで個人的には最高の幸せだったので、曖昧に頷いた。











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◇◇◇
リアバタと体調不調で一週間も更新をお休みしてしまったことを深くお詫びいたします。
申し訳ありませんでした。

本日は比較的自由な時間が取れたので【三話】更新しました!!毎日こうだと良いのですが……。
「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
 
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。


最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
                    こうやま みか拝

気分は下剋上≪震災編≫225(I8禁)

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「肝心の場所が見えそうで……見えないのが……興奮すると……聞いていたので……」
 この部屋専用の室内着として買ったカーデガンをボタンは留めずに肩を大きく開いて羽織っただけで、胸の尖りや半ば育った場所とか双丘などは布地に隠れている。
 ただ、白く薄い紗が砂糖菓子のように胸の尖りを飾って透けて見えているが。
「極上の眺めですよ……あちこち紅く染まって熟したしなやかな肢体は味わわれるのを待つ風情ですが……、伏し目がちなところや半ば育った欲望を手で隠そうとなさっている点は初々しくて……。
 それに薄紅色の滑らかな素肌もとても素敵です」
 祐樹の熱の帯びた眼差しが当たる場所が熱く滾るようだった。甘く低く紡がれる祐樹の声に唆されたように窓の近くまで歩んでカーデガンを身体から滑り落とした。
 火照った肩を窓ガラスで冷ますように密着させて、腰を高く掲げた。
「こんな格好でお祝いのプレゼントになるかどうかは分からないが……」
 足を大きく開いて双丘の扉までを祐樹に晒して、左の指で花園の紅い部分を開いた。同時に胸の尖りを摘まんで強く擦った。
「あっ……」
 祐樹が見ているとはいえ、自分で自分を慰めている背徳感も加わって紅い紗のカーテンが蒼く燃えているような悦楽の炎が頭の中で爆ぜる。
 ガラスに映った紅い尖りは確かに普段よりも紅く硬くなっていて、紅色の指で弾くたびに背筋が熱く甘く痺れるように仰け反ってしまう。
「最高のプレゼントです、よ。まるで私の留守に一人でご自分を慰めていらっしゃるようで……。まあ聡はそんな真似はなさらないことは存じていますが……。薄紅色の指が紅い花園に挿って行くのも、とても綺麗です。
 もう少し奥に挿れて……蕾を触ってみてください……」
 甘く淫らな祐樹の声も欲情に滲んでいるようだった。もっともっと祐樹の目を釘付けにしたくて……いったん花園から指を抜いて、前へと指を動かした。
 胸の尖りに紙縒りを作るように指で刺激し続けていたせいと祐樹の熱い視線に炙られたようになっている下半身はすっかり育ち切って先端が淫らな雫を大きな水晶のように宿らせていることは分かっていたので。
 その透明な雫をたっぷりと指に載せて――滴り落ちてしまった小さな粒も有ったが――祐樹に見えるようにわざとゆっくりと花園の扉まで運んでしどけなく開いた門を広げながら指を動かした。
 自分の身体――特に花園の中は――祐樹の方が詳しいが、大体の場所は見当くらい付く。蕾の近くまで指を三本挿れて、二本はY字型に大きく開いて祐樹の目を愉しませる――浦東に満足してくれるかどうかは分からなかったが――ことに専念しながら水晶の雫の滑りに助けられて挿れること自体はそんなに難しくはなかった指を小刻みに蕾へと近づかせた。
 同時に胸の尖りを弄っていた指の力を強く。そして精緻さを増して捩じった。
「ああっ……ゆっ祐樹っ……紅い大きなっ……ダイアモンドがっ……粉々にっ……砕けてっ……燃えているようでっ
 先にっ……放ちそうっ」
 真珠の迸りをばら撒きそうなほど身体は一人遊びの悦楽に蕩けているのに、胸と蕾から指が離せずに、逆に力を強めて擦ってしまう。
「もう少し……我慢して下さい。紅色に染まった細く長い指が紅い場所を弄っているのを拝見していたいので……。
 蠱惑的過ぎて眩暈がしそうなほど、扇情的です。
 飛び切りのプレゼントをもう少し眺めていたいのです」
 物理的に堰き止められているわけではないものの、祐樹の低く掠れた声は見えない鎖のように頂点に達するのを防いで……行き場のない熱い熱が身体――特に感じやすい場所――をさらに熱と疼きが燃え広がって背筋が反りかえった。
 汗の雫で滑りやすくなった胸の尖りの側面部を親指と中指できつく捻って人差し指で先端部分を優しく叩く。と、同時に熱いシルクの感触で指を包み込んでいる花園の中の蕾がヒクリと動いて指を弾いた。
「ああっ……ゆ……祐樹っ。紅いダイアがっ……熱で爆ぜてっ……青いっ……炎に包まれて……いるっ」
 言外に早く欲しいと伝えた積もりだったが。
「いつもと同じ程度の慎ましやかな嬌声ですが、普段以上に甘くて脆い感じがするのを自覚していますか?
 耳まで私を虜になさって下さって嬉しいですよ。しなやかな肢体が紅色に染まって汗の雫を素肌に宿して……聡が身じろぎする度に透明なダイアのように煌めいてとても綺麗です。もちろん、紅い花園やルビーの煌めきも天上の紅に染まっているようで……。惹き付けられずにいられません。最高のプレゼントを有難う御座います」
 いつの間に脱いだのかは全く分からなかったが、祐樹の素肌に強く抱きすくめられて安堵と悦楽の予感に紅色の肌が甘く震えた、肌だけではなく心も。
「祐樹だけの鍵で……扉を開けて……、花園の中を存分にっ……味わって……欲しっ……」
 指を抜いて祐樹の腰に手を回した。
「鍵だけで良いのですか?私は胸のルビーの尖りとか水晶の雫が滴り落ちている場所も愛したいのです、が」
 耳朶を甘く噛まれて右の尖りを弾かれた。
「あっ……そちらもっ……愛して……欲しっ」











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◇◇◇
リアバタと体調不調で一週間も更新をお休みしてしまったことを深くお詫びいたします。
申し訳ありませんでした。

本日は比較的自由な時間が取れたので【三話】更新しました!!毎日こうだと良いのですが……。
「ジャズナイト」では神戸ルミナリエの話題が出ていますが、あれは12月なんで、「夏」以降のまだ祐樹が精神的に回復していない時期なのですよね。
ただ、書きたい気はしますし、かといってクリスマスに繋げると辻褄が合わないので悩み中です……。
 
ちなみに時系列的には「ジャズナイト」→「夏」→「震災編」です。


最後まで読んで下さいまして有難う御座います。
                 こうやま みか拝
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