腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

気分は 離宮デート 花見ランチの後

気分は下剋上 離宮デート 102(最終話)

「見事な借景(しゃっけい)になっている、な……」
 愛の交歓の甘い残り香と余韻を余すところなく纏った薄紅色の肢体に純白のシルクが映える最愛の人も祐樹の傍らに立って潤んだ目を瞠っている。
「そうですね。見事な日本式のお庭の灯篭の間に『五山送り火』の一つの『大』の字の山が見えますね。
 尤も、今日は当然火こそ焚かれていませんが、あんなにも綺麗に見えるのですね……。
 ああ、このバルコニーいや露台と表現するのが相応しい場所なので、やんごとなき人が『送り火』の日にご覧になることを想定してこの精妙な位置に椅子と机を置いたのでしょうね。火は入ってないのが残念ですが……」
 最愛の人が祐樹の指の付け根まで細く長い指を絡ませてくれた。
「寒くないのでしたら、少しだけ夜風に当たって『大』の字と共に庭園を眺めませんか?」
 ……それに愛の交歓の後の戯れをしていない。
「全く寒くはない、な」
 夜の闇に鮮やかで瑞々しい声が蛍のように飛んでいる気がした。
 椅子は四脚用意されていたが、当然のように一脚に二人で腰を下ろした。
 この場所が出来た時に文字通り舶来品として運ばれて来たのだろう、二人で座ってもまだ余裕の有る大きさだった。
「祐樹……」
 紅く染まった唇がキスを強請るような角度に上げられているのも愛らし過ぎる。
「愛していますよ……」
 熱く告げて接吻を交わす。そしてシルクのトロントした布を可憐に押し上げている尖りを指で辿った。
「あっ……」
 微かな嬌声が紅い唇から零れ落ちるのも最高だ。
 唇から紅色に染まった耳朶、そして細く長い首とくっきりと浮き出た鎖骨へと唇の刻印を捺していく、指の付け根を強く弱く握りながら。
「激しく愛し合うのも当然大好きですが、愛の交歓の後の匂いやかな聡の肢体を……もう一度情欲の火が燃えないように配慮しながら愛する時間も宝石のように貴重です……。
 それに……シルクのナイトウエアも良くお似合いですよね……。こうして指が滑るところが特に良いです……」
 祐樹の指を固く押し戻している小さな尖りも愛おしい。
「私も、愛する祐樹とこうしている時間が何よりも好きだ……」
 無垢で無邪気な言葉を紡ぐ紅い唇に唇を重ねた。
「借景とは、この庭だけでなくて、『大』の字……送り火で焚く山までも庭の一部みたいに見せること、ですよね?」
 多分合っているとは思うが知識の宮殿のような最愛の人に聞いておこう。
「そうだ。ただ、隣接している大庭園を借景にしているお寺などは多いらしいけれども、こうして山を切り取ったように眺めることが出来るのは珍しいのではないかと思う。
 それはそうと『五山の送り火』の日に『大』の字でも『舟』でも何でも良いのだけれどもその火を(さかずき)に映して呑むと無病息災のお(まじな)いになると言われているな……」
 大学入学を機に京都に来て驚いたのはお盆を家で行うのではなくて街全体でご先祖様の霊だか魂だかを送り出すということだった。
 ちなみに観光客も物凄く多いので日常生活に支障をきたす。
「無病息災ですか?ここでは充分に盃に映せそうですが……、送り火の日に借りたいとは言えないですね、残念ながら。
 送り火って8月16日でしたっけ?その日に見ることが出来るホテルなどを調べて取りましょうか?」
 桂離宮やこの御所宿泊の便宜を図って下さった山科さんは京都で絶大な力を持っているらしいけれども、大抵の国民があまり宜しくない感情を持っている宮家と太い繋がりがあるらしい。
 そして山科さんの属する「白足袋族」に関連する人物を実名で公表するYouTube配信者がいると知ったからには尚更だ。
 そんな祐樹の危惧懸念を感じ取ったのか祐樹の肩に凭れ掛かっていた彼の首が白魚のように動いた。
「8月16日……か……。
 その日もこうして穏やかに、そして晴れやかな気分で祐樹と過せたら良いなと切実に願う……。
 どこに居ようとも……」
 イエスともノーとも言わない最愛の人に一瞬怪訝な気持ちを抱いたが、彼からの情熱的なキスで雲散霧消してしまった。
「そうですね。どこに居ても、聡と一緒ならば私は充分に幸せですよ」
 至近距離で絡ませた視線の先の最愛の人の眼差しが多彩な煌めきに満ちていた、火のように紅く蒼く。

   <了>


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気分は下剋上 離宮デート 101

「いや、全然。京都は地下に水が多く含まれている盆地だろう。
 だから名水として名高い滝などはあるけれども、温泉が出るとは思っていなかった。
 湯冷めどころか未だ身体が火照っている……」
 レモン入りの水を一口飲むと紅色の喉が扇情的に動くのを見ているだけで幸せな気分になった。
 心行くまで愛の行為を交わした余韻が薫るように煌めくように白いシルクのナイトウエアから甘い色香を零れさせていて目が離せない。
「祐樹、水を飲むか?」
 思い付いたように切れ長の潤んだ眼差しが祐樹を見上げてきた。
「聡の唇で飲ませて下さるならば是非とも」
 花よりもなお瑞々しい笑みを浮かべた唇に水を含んだ彼が愛おし過ぎて身長差を埋めるべく腰をかがめて、爽快なレモンの香りのするキス付きで水を飲むのも心躍る。
「どこから引いているのだろうな……?」
 濃い紅色に染まった唇に紅色の細く長い指が沿わされているのも無垢な妖艶さに満ちている。
「名水として名高い……、ああ、清水寺にある滝とかですよね?」
 何となく離れがたい気分になって、シルクに包まれた肩を祐樹の肩に寄せた。確かに普段よりも温かい肌をシルク越しに感じる。
 最愛の人も祐樹の肩に凭れ掛かるように肢体を倒してくれた。
 愛の行為の余韻が残る熱い素肌と、お互いの身体を洗ったボディソープの清潔な香りのミスマッチさが却って新鮮さを醸し出している。
 「清水の舞台」で有名なお寺は京都観光のベストスポットだ。その反面、地元民はわざわざ訪れないらしい。
 祐樹も最愛の人とのデートに相応しいと判断しいなかったせいもあって赴いたことはない。
 正確には祐樹は地元民ではなくて京都の日本海側で生まれ育って、大学に受かってから京都市内に住んでいただけの地方民だ。
 しかし、同級生の誰もが行こうとしなかったし、殊更お参りしたいとは思ってもいなかったため訪れたことはない。
 ただ、久米先生のデートプランを救急救命室の凪の時間に柏木先生と考えるために「大人のデート」的な雑誌で見ていた。
 久米先生はお祖母ちゃん子だったせいか神社仏閣が大好きで、脳外科のアクアマリン姫こと岡田看護師も同様の趣味を持っているので恰好のデートコースだ。
 女性のハイヒールに気を付けて歩けと散々言ったせいかも知れないが、岡田看護師ではなく久米先生本人が清水寺の近くの(さん)寧坂(ねいざか)で思いっきり転んでしょげていた。
 何でも産寧坂は「三年以内に死ぬ」という俗信があるので。
「音羽の滝、有名な清水の舞台から急勾配(きゅうこうばい)の道を降りて行ったところにある……。
 あそこの滝の水はとても美味しかった覚えがある……」
 おや?と思った。最愛の人は京都生まれ京都育ちだけれども、病弱なお母様が居たために家の中で過している時間が多かったと聞いている。
 遠足にも社会見学にも修学旅行さえ不参加だったと言っていた。高校生の時にはお母様の入院先の病院のバカ令嬢と婚約して、生活費などの援助を受けていたらしいが余計なお金を使うのは遠慮していたと聞いている。
「行ったことがおありなのですか?」
 間近で見つめ合う祐樹がよほど意外そうな表情を浮かべていたのか、薄紅色の薫るような笑みが返ってきた。
「小学校の低学年の時に遠足で行った。母の体調も随分良さそうで、笑みを浮かべて『行ってらっしゃい』と言ってくれてお弁当まで作ってくれて……その時くらいだな、遠足に参加したのは……」
 懐かしそうな笑みが若干悲しそうなニュアンスを帯びている。
 彼の顔はお母様譲りだと聞いているので、綺麗な人だったのだろうなと、つい面影を探してしまった。
 ……小学校低学年の時の彼も見てみたかったなとは思ったが、お母様の死とか彼がアメリカに行ってしまった断絶が有って昔の荷物は残っていないと聞いている。
 無理は言わない方が良いだろう、大切なのは現在と未来なのだから。
「その遠足ではまさか産寧坂で転ぶなどということはなかったですよね?」
 思わず真剣に聞いてしまった。
 冷静に考えると、俗信でも三年の間に命が……というもので、もう時効だろう、多分。
 ただ、精緻なフランス窓にも肢体の一部を預けている最愛の人の子供の頃は、きっと天使のように愛らしかっただろうなと想像してしまった。
「え?ああ、産寧坂の話しか……?それは大丈夫だったな」
 若干華奢な肢体の持ち主だが、運動神経も反射神経も卓越している。
「それはそうとベッドで休みますか?」
 純白の大理石が最愛の人の紅色の肌を一際引き立てていて、どうしても浴室での愛の行為をしたかった。優雅で精緻な猫脚付きのバスタブというのも非日常に溢れていたし……。
 ただ、ベッドとは異なって硬かったのも事実で最愛の人の負担になっているのは確実だった。
「いや、もう少し身体の熱を冷ましてからが良いな。あ、祐樹、ここの窓は他の物と異なるな……」
 祐樹から身体を離して、興味深そうに呟いた後に紅色の細く長い指が精緻な動きを奏でている。
 寄木細工のようにカタリと音がして窓だと思っていた箇所が扉だったことが分かった。
「バルコニーみたいな物なのでしょうかね?」
 祐樹も最愛の人に並んで外を見、目を瞠った、意外さの余り。




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気分は下剋上 離宮デート 100

 そして、深紅の濡れた薔薇の花びらのような花園の中には祐樹の放った真珠の放埓がごく細いネックレスのように滴っている。
 花壁の赤を反射してオパールのように煌めいているのも無垢な蠱惑に満ちていて息を吞むほど綺麗だった。
 祐樹の熱い視線に反応したのか、深紅の厚い花びらが風を受けたようにヒクリと動いて白い珠が鈍く赤く染まっているのも、愛の交歓の共同作業の余韻のようで最高の眺めだった。
 いつまでもこうして眺めていたい気持ちを理性で辛うじて散らし、シャワーを出して指を挿れて掻き出した。
 排水口に白い液体が流れ込んでいくのを名残惜しい思いで見てしまう。
「これで大丈夫だと思いますよ……。不快な箇所は有りませんか?」
 最愛の人の極上の花園は祐樹の(ほう)が知悉しているが念のために聞いてみると、薄紅色の首が優雅に横に振られる。
「祐樹、お返しと言うか、いつもして貰っているので、今宵は私が身体を洗うな……」
 最愛の人の紅の唇が健気な言葉を紡いでいる。
「有難う御座います」
 お互いの汗の雫が混じり合った身体を洗いっこするのも良いだろう。
 マンションの浴室も充分広いけれども、この豪奢でレトロな雰囲気の白い大理石の浴室は比べ物にならないのだから。
 紅色の細く長い指が祐樹の手からシャワーノズルを受け継ぐ際に紅色の唇が祐樹の唇に重なった。
 愛の交歓のデザートのようなキスも唇だけでなく心に沁みるような気がした。
「シャンプーは、ああこれか……」
 最愛の人の紅い指がプッシュして掌に溜めている。奇しくも白い色のシャンプーだったので、先程洗い流した真珠の放埓が蘇ってきたような錯覚を覚える。異なる点といえば甘い薫りくらいだった。
 祐樹の濡れた髪の毛を細くて力強い手がシャンプーを万遍なく塗ってその後頭皮を強めに円を描くようにマッサージしてくれるのも、とても気持ち良い。普段は効率重視で髪を洗っているだけになおさらに。
「不快なところはないか?」
 先ほどの祐樹の言葉と同じ言葉で確かめてくれるのも几帳面で真面目な人らしくて愛おしさが募る。
「不快なところはないですが……、出来れば頭頂部を強めに押して貰えれば嬉しいです」
 精緻な動きで頭頂部の凹んでいる部分を押されるととても気持ちが良かった。最愛の人も祐樹も西洋医学のパラダイム(学問体系)が常識として脳に染みついているけれども、ツボとか肩凝りなどは中国医学の(ほう)が優れているような気がする。
 といっても、運動が基本の西洋医学とは異なって身体は動かさない(ほう)が長持ちするという説は首肯出来ないのだけれども。
 何でも清朝の皇帝はそのパラダイムに従っていて、宮殿のどこに行くにも宦官に輿(こし)を引かせていたと読んだ覚えがある。
「とても気持ちが良いです……」
 確かストレスとか頭痛・肩凝り、自律神経の乱れに効くツボだったような気がする。さほどストレスは溜まっていないし最愛の人よりも血流の良い祐樹の身体は肩が凝っていないハズだけれども……。
「もっと押すか?」
 怜悧で真面目な声が大理石を蒼く染めていくようだった。
「もう充分です。有難うございました」
 お湯で丁寧に洗い流された髪にコンディショナーを入念に揉み込むように梳かれるのも絶品だった。
「少し時間を置いた(ほう)が効果的だそうで……、身体を洗う、な?」
 シャンプーやボディソープが置いてある棚の上部には糸瓜(へちま)のボディスポンジまでが用意されていて最愛の人が適度な強さで肌を(こす)ってくれた。
「先ほどの『お湯殿の方』と呼ばれた将軍の側室ですけれども、こういう気持ち良さを与えてくれたのなら……、押し倒す気にもなるでしょうね……」
 最愛の人の瑞々しい笑みが祐樹を心のツボを優しく押してくれるような気がした。
 交互に身体を洗い合って浴室を出た。
 最愛の人の愛の交歓の余韻の残る紅色の素肌や二つのルビーの煌めきが眩しい。そして甘い色香しか纏っていない最愛の人の肢体に視線が全て持って行かれる。
 バスローブを着てお互いの髪の毛を乾かし合うのも楽しい作業だ。
「ナイトガウンまで用意されているのですね……。聡にはこちらを着て頂きたいです……」
 最愛の人は切れ長の目を瞠って祐樹の差し出したモノを見ている。
 愛の交歓の余韻の薫る艶やかな眼差しが紅色を増していて最高に綺麗だ。
「この薄いシルクのナイトウエアか……」
 祐樹は英国のお貴族様が着ていたようなごくごく普通のモノを着ている。
「聡は薄手の白いシルク()似合いますからね。紅色の素肌に映えてとても綺麗でしょうね」
 紅色の唇が花のような笑みを浮かべている。
「分かった」
 衣擦れの音も艶めかしくて最高だった。それにルビーよりも紅く煌めく小さな尖りがツンとシルクを押し上げているのも。
「湯冷めはしていませんか?」
 最愛の人が紅色の指でバカラと思しきグラスにレモンの入った水を注ぐ仕草も愛の行為の後の甘やかさに満ちている。
 それに紅色の肢体に白く薄いシルクのナイトウエアは良く映えていていて殊更目を楽しませてくれる。




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気分は下剋上 離宮デート 99

 出会って直ぐの頃は言葉が全く足りない最愛の人が何を考えているか全く分からず意地になって身体を繋げるとその(・・)最中(さいちゅう)だけは無我夢中になって本音を漏らしてくれていた。
 しかし、関係が深まるにつれて徐々に話してくれるようになっていった。
 要するに祐樹以外の男性の白濁の迸りを直接花園にばら撒いていない、ある意味無垢な肢体だということを。
 そのことを聞いて一途に祐樹だけを愛していてくれたのだと思うと魂が震えるほど感動したし、この人だけは一生大切にしなければと思い定めた。
「愛する聡とこうしている時間も私にとっては天国ですよ。
 激しく愛し合う時間も宝石のように貴重ですけれどもね……」
 水晶の雫を纏った前髪を梳いて紅色に染まった額に口づけを落とした。
「私も祐樹とこうしている時間は天界の紅色の雲の上で揺蕩(たゆた)っているような気持ちだ……。
 もちろん、二人の身体が溶けあって一つになりそうな愛の交歓の時間も何物にも代えがたい至上の時間だけれども……」
 花のように夢見るように笑みを浮かべる紅色の唇の感触を祐樹の唇で確かめた。
「そろそろ、背中が痛くなりますよね。
 猫脚のバスタブとか大理石の大きな浴室で愛を交わすことが出来て幸せな時間でしたが……」
 精緻な筆で名人が描いたような眉が寂しそうに寄せられた。
「……この寝室は二人用だろう?それなのに、バスルームはホテルのスイートルームよりも広いのだな……」
 最愛の人がこの言葉を紡いだのは単なる疑問ではなくてこうして愛の交歓の後の戯れを引き延ばしたいと思ってくれているからだろう。その程度のことは何となく分かる。
「ここは御所ですからね。高貴な人なだけに入浴の時にも御用係というか介添えの人が入るだけの空間を取ったのではないでしょうか」
 前髪を梳きながら随喜の涙の雫が煌めいている長い睫毛を優しく吸った。
「ああ、なるほど……。
 そういえば、江戸城の大奥にはお湯殿にも女性が将軍の背中を流すとかで数人は居たらしいな。
 水蒸気で衣が透けて……それが扇情的だったらしくて、お手付きになった女性が居たらしい。
 大奥にも確固たる序列が有ったらしいが、湯殿役から一躍お手付きになった嫉妬を混じりに『お湯殿の(かた)』とか呼ばれたらしい……。一種の蔑称というか嫌がらせだろうな……」
 激しく愛し合った後の凪のような時間に相応しい話題かも知れない。時代劇で観たそういう女性は真っ白な浴衣状の物を纏っていたように思う。
 最愛の人にも同じように肢体が透けると絶対に艶めかしいに決まっている。今度そういうコトを試してみようと密かに決意した。
「『お万の(かた)』とか『お夏の方』のように愛称ではなさそうですね……。
 女性の嫉妬は正直怖いですよ……。張り合ったり足を引っ張ったりで……」
 涙の膜を張った涼やかで艶やかな瞳が話の先を促している。
 祐樹が異性に興味が全くない点と、看護師の本音などを聞くことのない最愛の人は女性の嫉妬の具体的なことまで知らないのだろう。
「師長選なども物凄いと聞きます。次期師長と目されている人が二人以上居た場合は『誰誰と不倫している』とか書いた怪文書が出回ったり、看護短大の頃の、つまりその当時は20歳以下ですよね……酒場で撮ったビールを呑んでいるシーンやタバコを吸っている写真が現師長の元に匿名で送られてきたりすると聞いています。
 それにブランド物のバッグを買って病院に持って来たら素直に羨ましがる人だけではなくてそのバッグよりも高価なバックをこれ見よがしに後日持ってくるような人も居るみたいです」
 最愛の人の綺麗な眉が心配そうに寄せられた。
「そうなのか……。ブランド物のバッグといえば長岡先生などはどう思われているのだろう……?」
 最愛の人がプライベートでは妹のように思っているだけに気になるのだろう。
「ああ、あのレベルになると突き抜けていますからね。車を買うことが出来る値段どころか家まで建てられるバッグまで持っていますよね。
 しかも雨に濡れるのがダメだそうで、京都市指定ゴミ袋に入れてそれを持っていましたよね……。シベリアでしたっけ?
 流石に病院には持って来ていないみたいですが……」
 3千万円と聞いて祐樹などは一瞬気が遠くなりかけた。ただ、車の運転中だったため辛うじて自制したが。
「ヒマラヤだな、正確には…。
 ヒマラヤを買うお金が有ったらまず家を検討するだろうな……」
 正直シベリアだろうとヒマラヤだろうとどちらでも良い。長岡先生が居なければ日常生活で出てくる単語ではないのだから。
「家だって車だって、ローンを組んで買うのが普通ですよね。それなのに、そのレベルの物をポンと買ってしまう長岡先生は別格扱いされていて、妬みの対象にはなっていないのでご安心ください」
 話にピリオドを打つように、強めに口づけを交わした。繋がりを解くと淫らで甘美な音が浴室に小さく響いた。
「花園の中を綺麗にしますから、壁に手を付いて、足を広げて下さい」
 最愛の人を抱き起しながら有無を言わせない口調で告げた。
 後の戯れの行為は天蓋付きのベッドででも出来るので。
 ゆらゆらと湯気の白さが薄雲のようで、その雲のベールを纏った紅色の肢体も絶品だった。肩甲骨がくっきりと浮かんでいる辺りは更に濃い紅色に染まっているのは後の戯れの時にお湯の流れる大理石に加減したとはいえ祐樹の体重も載せて横たわっていたからだろう。
 そして、若干細いウエストも紅色の長方形を形作っている。
 良く熟れた桃のような双丘も愛の交歓の余韻で薔薇色に染まっていて、引き締まった太ももへと真珠の雫が滴っている。
 ひとしきり目で愉しんだ後にシャワーノズルを左手で持った。
「開きますね」
 瑞々しくて紅く染まった双丘の(あわい)を手で押し広げると、濡れた赤薔薇のような花園の入り口に祐樹がばら撒いた真珠の粒が点々と散っているのも絶品だった。




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気分は下剋上 離宮デート (I8禁) 98

「ゆっ……祐樹っ……、愛しているっ……どんな時でもっ……。そして……信じて……いる」
 普段より熱の籠った艶やかな声が紅色の唇から紡がれる。艶やかさは言うまでもないが、切実な響きを帯びているような気がするのはどういう心境の変化なのだろうか?
 二人が愛の頂きに二人して上り詰めた状態ではそう長く息が続かないのに、最愛の人は必死に紅色の唇を動かして告げてくれた。
 今日の最愛の人の肉体的・精神的なコンディションは普段と異なっていたのは事実だった。
 祐樹も真っ赤な薔薇色に染まっていると思しき花園の奥処に熱い真珠の飛沫をばら撒くだけで精一杯だった。
 その甘やかな違和感を聞き(ただ)したいとも思ったが、愛の交歓の余韻で熱く激しい息吹でそれもままならないのが残念だ。
 真珠の迸りをばら撒いた場合、100メートルを全力疾走した後の身体状況と同様になるのである意味仕方なかったが。
 ただ、最愛の人の薄紅色の背中が硬い大理石の床にずっと当たらないように腕を回して抱き留めることだけは怠らなかったが。
「今宵の……聡も素敵でしたよ……。
 こういうクラシカルな浴室で愛を交わすのもたまには良いですね。背中、痛くはないですか……」
 床を流れているお湯の湯気よりも未だ熱い息を零す二人の唇を至近距離まで近づけて愛の交歓の余韻に震える紅い唇に啄ばむようにキスを落としながら聞いてみた。
 バスタブを支える猫脚が愛の行為を終えた祐樹の目にはより魅惑的に映ったのは最愛の人の艶やかな吐息が浸透して紅く染まっている錯覚を抱いているからだろう。
「大丈夫だ……。もう少し、このまま祐樹の心地よい重みを味わっていたい……」
 激しい行為も、だけれども、後の戯れに似たスキンシップも大好きな人なので特に奇異には思わなかった。
 しかし、このままでは背中が痛くなりはしないかと心配だった。
 最愛の人は紅色に染まって水晶の雫を宿した両の腕を祐樹の背中に縋るように回している。
 祐樹が花園の中から出ていくのを(おそ)れるような風情が愛おしくて背中に回した両の腕と指でギュッと掴んだ。
「良いですよ。
 ご存知のように、直接ばら撒いた真珠の放埓は直ぐに洗い流さないと花園の中では異物として認識しますが、最愛の聡の私だけが奏でることの許された名器は特別みたいですからね……」
 愛の行為について最愛の人は全て祐樹に委ねてくれて情報収集などをしない可愛い人だが、当然ながら医学的な知識は持ち合わせている。
 大学で習った前立腺や講師が余談めいて話す「そういう」知識は最愛の人も知っている。
 祐樹のためだけに咲き誇ってくれた花園の中は祐樹が知る限り最も(まれ)だ。
 筋肉のハズなのに熱く厚いシルクがヒタリと包み込んでくれている点とか、祐樹が律動を刻まなくても最愛の人の花園の動きだけで天国に導いてくれる点など枚挙に(いとま)がない。
 祐樹はラバー(コンドーム)を装着しない状態で愛の行為を営んだのも腕の中で扇のような睫毛が紅色の目蓋を引き立て束の間の幸せそうに揺蕩(たゆた)っている人だけだった。
 それ以外のかつての恋人というか今思えば単なる性欲の発散相手に対しては必ず着用してからコトに及んだ。
 彼との初めての夜は怒りに似た感情に任せてゲイバー「グレイス」から連れ出して、京都では他人の目もあることから今では第二の愛の巣とも言うべき大阪のホテルまで赴いた。
 深夜帯だったのでホテルの売店は閉まっていたし、そもそもそんな行為を想定していなかったのでラバーは持っていなかった。
 一応了承を得て挿れて……病みつきになったのも事実だ。二回目からもごくごく薄いとはいえ遮蔽物を隔ててしたくないという気になった。
 性病のリスクはないことも確かめていたし。まあ、それ以外にも気にすればキリがないことも全てがどうでも良くなるほどの吸引力を秘めていた。
 最愛の人は日本に一生帰国しないと考えていたアメリカ時代に一度だけそう(・・)いう(・・)関係を持った男性が居たと聞いている。
 しかし、当然ながら安全な行為だったらしく、そして大仰に相手を褒めるアメリカ人、といっても日系アメリカ人だったらしいが生粋のアメリカ育ちなのだから同じだろう。
 それなのに、極上の花園は褒められなかったと聞いている。身体の相性が悪かったのかとも内心思ったが、次の誘いもあったらしいのでそれはないだろう。
 つまりは、祐樹にだけ淫らに精緻に花開く極上の名器なのだろうと思っている。
 精神状態で花園が咲き誇るという特殊な肢体を持っている。それに真珠の迸りに対してある程度の耐性を持っているのは遺伝的なバグだろうと考えている。
 学部は異なるものの(おや)不知(しらず)が生まれつき生えて来ない人も居ることも知っていた。
 そういう素晴らしい肢体を持っている最愛の人も素晴らしいけれども、初めての夜以降もラバーを付けるのを嫌がった理由を後で聞いて感動してしまった。
 一人だけ一度だけしかそう(・・)いう(・・)行為をしていない、しかも安全には充分配慮してのことだったので、祐樹にラバーなしでも大丈夫だと思って誘ってくれたということに。




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