腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

気分は ホワイトデー2023

気分は下剋上 ホワイトデー狂騒曲 63

 最愛の人のしなやかな肢体に纏った薄緑色のシルクのランジェリーは骨の隆起まではっきりと見える。それにそういう場所は濃い緑色に色合いを変えているのも物凄く素敵だ。
 それにフワッと羽織った同色の短めのガウンもくっきりと浮き出た鎖骨を半ば隠していて即座に剥がしたくなるような、何時までも眺めていたいような二律背反めいた気分にさせてくれる。
「思った通り良く似合いますね……。そこの()椅子(ウチ)に横たわって下さると嬉しいです……」
 妖精の羽根のような薄手のシルクなので衣擦れの音がするハズはないのに、彼の歩みに従って音が聞こえるような気がした。
 そして素肌の露出が多いせいか滑らかな素肌が紅色の粉を撒いているような風情でリビングルームを歩んでいてそれだけで、このランジェリーを贈った甲斐が有ると思ってしまった。
「これで良いのか……?」
 艶やかさを増した声が部屋を紅く染めていくような気がした。
「聡にはとても似合うと思っていましたが、予想以上ですね……」
 直ぐに艶やかな素肌に触れたいのを必死で耐えて視線だけでしなやかな肢体の輪郭を辿った。
「その絹の衣よりも薄紅色の素肌の(ほう)(あで)やかでとても素敵です。ちなみにそのシルクの着心地は如何(いかが)ですか?」
 祐樹の視線に(あぶ)られたせいか、精緻な白いレースから覗いている胸の尖りがシルクを押し上げているのも扇情的だった。
「シルクの……普通の……シャツよりも……軽いし……肌触りも……最高だ……。これは、ナイトウエアなのか……?」
 紅に染まった唇が渇くのだろうか、赤く濡れた舌で湿らせている、祐樹の熱く甘い視線を素肌に受けた証しのようで堪らなくそそられる。
 ただ、紡がれる言葉には無垢な響きが色濃いのはランジェリー、しかも女性用だとは全く思っていない・そういう無知さが愛おしい。
 流石にブラジャーとかパンティはお母さまと暮らしていた頃に見ているだろうし、学生の頃に救急救命室に搬送された患者さんの衣服を切り裂いた時にも当然目にする機会もあっただろう。
 ただ、母子共に慎ましく暮らしていた時に見ていなければ――そしてこういうシルクの布に精緻なレース付きといった物はお母さまが身に着けていたとも思えない――下着ごと切り裂いた服など目もくれずに患者さんの容態だけに集中していただろうことは想像に難くない。
 女性用のランジェリーだと明かすべきか一瞬迷った。
「そうです……。『ナイトウエア』です。しかも特別な日に着けるための、ね……。特に恋人と甘く熱い一夜を過ごす日には……」
 祐樹の視線だけで肢体が熱くなったのか、それともこみ上げる欲情のせいか、()椅子(ウチ)の縁に載せた頭を左右に振っているのも最高に素敵だった。
 頬も紅色に染まっている。そしてレースから覗く尖りも硬度と紅さが増していて指を、そして唇で愛したいという欲求が大波のように押し寄せてくる。
「こういうナイトウエアを着て下さって有難うございます……。却下されるかと内心はドキドキしていました……」
 カウチの上で下半身を(ひね)っているのは多分愛情と欲情の証しが兆して来たからだろう。
「いや……豪華客船の……映画を……一緒に……観に行った……帰りに……約束したのでっ……」
 あ!と思った。あの映画でヒロインが着ていたのとは全く趣きが異なっていたので全くの別物と捉えていたのは祐樹だけで、そういえばあのヒロインも絹と思しきガウンを身に纏って恋人に絵を描いて貰うためにハラリと脱ぎ捨てていた。
 そう考えれば似ていないこともない。律儀で几帳面な最愛の人はその約束をきっちりと覚えていたのだろう。
「この続きはベッドルームで致しましょうか?
 私が愛してやまない聡の、シルクよりも艶やかな肢体を全部見せてください。いや、別にそのままでも構わないのですけれども……」
 艶やかで無防備な肢体に祐樹の理性も雲散霧消してしまった。ガウン状の軽やかなシルクを広げて素肌を露わにした。
 衣擦れの音を立てて艶やかな肢体の両側へと艶やかな残像を残して滑り落ちていく。
 白いレースと小さなルビーの煌めきの対比と薄緑色のシルクを押し上げている小さな尖りの両方を指で()まんでキュっと押した。
「ゆ……祐樹っ……。祐樹から貰ったナイトウエアを汚したくないので……。あっ……()ぃ……とてもっ……。
 ただ、ベッドに行く前には……脱がせて……欲しいっ……」
 艶やかに濡れた眼差しが懇願の色を浮かべている。
「本当に汚していないのですか……?」
 シルクの滑らかな布地を指で楽しみながらその下の素肌の温かさと艶やかさを触覚と視覚で堪能し下半身へと下ろしていく。
「ゆっ……祐樹っ……。触れられたらっ……そのっ……」
 慌てた天使のような口調が可憐で、そしてどこか妖艶だった。
 祐樹が指で触れたら先端から雫を零してしまうのだろうなと思うと愛おしさが募る。
「妖精の羽根のように華奢な『ナイトウエア』でも愛の交歓には邪魔といえば邪魔ですね……。脱いでくださいますか?それとも脱がしましょうか?」
 肩ひもの部分を引っ張ると「あっ……」と濡れた艶やかな小さな声と二つの尖りがくっきりと浮かび上がった。そして薄緑色のシルクが濃さを増して尖りの真下を緑色に艶めかせている。





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気分は下剋上 ホワイトデー狂騒曲 62

「綺麗な薄緑色だな……。それにシルクの艶やかな光沢とレースの精緻さがとても素敵だ。有難う、祐樹」
 最愛の人は薄紅色の細く長い指で愛おしむような感じでシルクに触れている。
 ネガティブな反応が返ってくるのではないかと内心思っていたのだけれども艶やかな眼差しにそういう色は全く浮かんでいない。
「いえ、貴方が身に纏えばもっと素敵でしょうね。バレンタインデーのチョコレートのほんの気持ちだけのお返しです……」
 切れ長の目が驚いたように見開かれた。
「ああ、そうか……。そう言えばそうだったな……。すっかり忘れていた……」
 薄紅色の唇が無垢な感じで言葉を紡いだ。最愛の人は祐樹が貰ったたくさんのチョコのお返しを手配してくれていたというのに、彼自身はリストに入っていなかったのだろうか……。
 緻密過ぎる頭脳の持ち主なのに自分のことは全く考えない性格は付き合い始めた頃から変わっていない。そういう点も堪らなく愛おしい。
「これを着れば良いのだな?このベッドルームでか?それとも、リビングで着替えてから戻った(ほう)が?」
 予想に反してさしたる抵抗もなく妖精の羽根のような華奢なランジェリーを薄紅の指で持ち上げて嬉しそうな眼差しで見ている。
「そうですね……。私がリビングに移動しますから、此処(ここ)で着替えてリビングにいらして下さい」
 切羽詰まった衝動(リビドー)が暴走してうっかり寝室に来てしまった。
 折角()椅子(ウチ)っぽい物が有る部屋を予約したというのに、目論見が台無しになるところだった。
 そういう衝動を冷ましてくれたのは最愛の人の無邪気で無垢な喜びの表情だった。
「分かった」
 シルクのランジェリーを両手で広げて真剣な表情で見ているのは多分どう着るかを考えているのだろう。
 後ろ髪を思いっきり引っ張られる感じで部屋を移動した。
 頭を冷ますためにあれだけ店で抵抗した呉先生とあっさりと受け入れた最愛の人の違いについて考えてみよう。
 最も大きな差異は店舗に実際に出向いたかどうかだろうか?
 呉先生はブラジャーとかパンティも陳列されているスペースも当然見ていたし、婦人用のブランドが並ぶ階だということも相俟って「女性用の下着」という認識が有った。
 その点彼はデパートにすら出向いていないので、もしかしたら下着ということも気が付いていないのかもしれない。個人的には最高に気に入らないLGBТ法案だけれども服装の多様化についてだけは賛成したくなった。似合っていたら何を着ても良いと。
 あの法案の一番の問題点は差別された!人権侵害だ!と騒ぎ出す一部の人間が現れて逆に何も迷惑を掛けていない性的マイノリティー全体が却って顰蹙(ひんしゅく)を買う可能性が高いことだ。
 そもそも日本はキリスト教の教えのように同性愛を(こと)(さら)忌避する文化はない。確かに頑迷(がんめい)固陋(ころう)の魑魅魍魎が跋扈する大学病院では最愛の人と祐樹との真の関係が暴露されれば恰好のスキャンダルの(まと)になるのは必至だろうけれども、同性愛だからというわけではなくて不倫でも略奪婚でもそれは同じだ。
 要するに足を引っ張りたいと思っていて、隙あらばその弱みを握ろうと虎視眈々と狙っているだけだ。
 トランスジェンダーとして生まれた「男性」が全ての手術を受けて女性ホルモンの注射を打って「女としての生を生きる」のもその人の自由だとは思うし、またそこまですれば戸籍だって替えられる今の法律で充分だと個人的に思っている。
 手術もせずに生まれ持った身体のままの男性が女性用のトイレやお風呂に入る「権利」を要求するのは世の女性達の反感を買うだけだろう。
 身体を手術で変える努力もしないで権利ばかりを主張するのはワガママ過ぎる。
 車椅子なしでは生活出来ない某有名人がフロアスタッフはたった三名しか居ない、美味だと評判のイタリアンだかのお店に行って車椅子を(かつ)いで階段を上がる人手が足りないと断られた怒りをSNSにアップしたことが有って所謂(いわゆる)「炎上」騒ぎになったことが想起される。
 店にも無言電話や怒りの電話が殺到したらしいけれども、某有名人への非難の声も多かった。
 そのイタリアンがどれほど食べたかったのかは知らないけれども、こじんまりした店という点や二階にあるということは事前にネットで調べることも出来ただろうし、店に電話を入れて何故確認をしないのかと思ってしまったのも事実だった。
「車椅子の人間はイタリアンを食べることも出来ないのか」と怒りの投稿をする前に、車椅子対応可能な店かどうかを確認すれば良いだけの話だと思う。
 このホテルは勿論車椅子可能だし、そういう店を探して行くのが「普通」の考えだと思う。
 確かに車椅子生活は大変だろうしその点は気の毒に思うけれども、自分を受け入れてくれなかった店に対して怒るのは違うと思う。
 祐樹を含む大多数の人がそう考えるハズだ。車椅子の人にも優しい社会を作ろうという点は祐樹も異論はない。
しかし、車椅子の自分に皆が合わせてくれる社会を望むのはワガママだろう。
 世間の人はきっとドン引きするだけだ。
 それと同じように過剰な要求は世間一般から白眼視されかねない。
 最愛の人や祐樹は所謂ゲイだけれども殊更に権利を叫ぼうと思わないし、世間に認めて貰おうとも思っていない。そういう考えの人がゲイバー「グレイス」でも多かった。
 声高に権利を主張すると逆に引かれることを分かっているからだ。確かにキリスト教の教えがバックボーンの西洋では深刻な差別が有るのかもしれない。しかしここは日本なので事情が異なる。それでも法案を通したとしても救われる人間がどの程度居るのだろうか?
 そんなことを考えていると、寝室のドアが開いた。呉先生でも充分に似合っていたけれども、最愛の人はもっと似合うハズだと視覚に意識を集中させた。





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気分は下剋上 ホワイトデー狂騒曲 61

 エレベーターがチンという澄んだ控えめな音を立てて停止した。
「お手洗いを使う外科医学会の理事が居るかも知れないので話の続きは店に入ってからに致しましょう……」
 言葉を紡ぎそうになった唇を指で触れた。
「分かった」
 「バー」も「(シャン)(タオ)」も5階のフロアに有るので要注意だ。ただ、彼もそのリスクについては把握している感じだった。
 彼が歩む一歩後ろに続いた。「バー」の店内はこのホテルの内装に合わせたイギリス風で、何だか19世紀の英国の貴族や上流階級が集う社交クラブといった趣きだ。
 生演奏も適度な音で奏でられていたし。イギリス貴族のドレスコードは全く知らないけれども、タキシードに蝶ネクタイとか、今では普通に売っていない宝石を付ける前提のネクタイを締めて山高帽に――だったと思うが定かではない――装飾用のステッキを手に持ったお貴族様が居ても全く違和感のない空間だ。
 最愛の人はさして迷うふうでもなく周りに客が居ないボックス席に腰を下ろした。
「そう言えば、外科医学会の会長とかのお偉方に前髪を下ろしている件は聞かれませんでしたか?」
 実はずっと気になっていたことを聞いた。
 照明を意図的に絞った豪奢な空間にしっくりと馴染む最愛の人が怪訝そうな表情を浮かべている。懸念事項ということもあったし、スタッフが注文(オーダー)を聞きに来るまでの時間稼ぎの意味もあった。
 その後は最高に愛し合う恋人としての会話を交わしたかった。
「え?誰も何も言わなかったけれども?」
 皺ひとつないワイシャツからすんなりと伸びた首を優雅に傾げている。
「納得しました……」
 杞憂だったことに思い至って苦笑してしまった。
 向かいの席に背筋を伸ばして座っている彼が怪訝そうな煌めきを放つ眼差しで祐樹を見ている。
 自己完結してしまったな……と反省して種明かしをした。
「心臓外科医学会の人は貴方の病院内の姿を見たことがない人ばかりでしたよね……。何しろ他大学の病院勤務の方ばかりですし、手術(オペ)の画像では髪の毛は当然隠れているので分からないでしょう。
 いえ、私の認識では職場では前髪を上げていらっしゃって、プライベートの時は下ろしているという固定観念が出来上がっていたみたいです……。それを皆様はご存知ないので聞かれなかったのも至極ご尤もだと思います」
 目の前の端整で優し気な顔に花の咲いたような笑みが浮かんだ。
「心配してくれて有難う。あ、オリエンタル・ジントニックをお願いします」
 彼が気に入っているカクテルの一つだった。普通のジントニックとは異なって、柚子とか蜜柑が入っていると聞いている。
「『(ひびき)』の30年物を、ロックでお願いします。あと、フルーツの盛り合わせを」
 スタッフさんが密やかな足取りで遠ざかると彼の笑みが深くなった。
「先ほどの話だけれども、一回きりでも構わないと思い詰めていたのが嘘のようだ。
 生涯に亘るパートナーとして私を祐樹が選んでくれるとは思ってもいなかったので……。
 だから全然怖くないな……。幸せ過ぎて夢のようだとは思う時は有るけれども」
 満面の笑みを浮かべる最愛の人の顔は一階のロビーに活けてあったどの花よりも綺麗だった。
「それは私も同じです。このホテルで初めての夜を過ごした後にJRの車内で貴方が手を差し伸べて下さらなかったら、一夜の夢を見ただけだと思い込んでしまったでしょうね……」
 懐かしそうな眼差しの光を浮かべていた人が表情を改めた。
「お待たせいたしました」
 案の定と言うべきか控え目な声が聞こえてきて、若干低めのテーブルにお酒とフルーツのお皿が供された。
「あの時は渾身の勇気を振り絞って手を重ねて本当に良かったと思っている……」
 ほんのりと笑った彼はカクテルグラスを傾けている。祐樹もグラスの存在を思い出して一口呑む。
「あの時まで私は本当の恋愛を知らなかったと思います。それを気付かせてくれた貴方の存在がどれほど尊いものか……。
 身体ではなくて、精神で繋がる喜びを教えて下さったのも貴方ですから」
 甘く低い声で告げると、薄紅色の指が微かに震えていた。その震える指で器用にフォークを持ってメロンを薄紅色の唇へと運んでいる。
 その瑞々しい果物と唇が織りなす精緻な美しさに見入ってしまう。
「祐樹……精神だけで良いのか?」
 薄紅に染まった眼差しが祐樹を意味ありげに見ていた。
「精神も、そしてその肢体も全て欲しいですよ、勿論……」
 より一層低くそして甘い声で告げた。
「実は部屋に貴方への贈り物を用意しているのです。勿論下心はありますけれど……」
 ウイスキーのグラスを傾けながら真摯に告げた。
「え?それは嬉しいな。祐樹がくれるものはどんな物でも大歓迎なので……祐樹……。部屋に行きたいな……」
 苺を啄ばんでいた唇が薄紅色を濃くしている。
「分かりました。是非最愛の貴方に着て頂いて、そして私の手で脱がせたい物を用意しています。あれを着た貴方を存分に拝見してみたいのです……」
 ウイスキーを呑み干して甘く低い声で告げた。
「それは楽しみだ……」
 頬が紅く染まっているのはアルコールのせいではないだろう、多分。
 ジントニックを急いで呑み干す仕草が艶めいた愛らしさに満ちている。
 フルーツは残っているけれども、それよりも遥かに二人きりになりたい気持ちが大きかった。まあ、クラブラウンジでもフルーツはふんだんに用意されているのでまた食べよう。
「え?祐樹……。このエリアはスイートルームだけれど……」
 木製っぽいカードキーで支払いを済ませてエレベーターに乗って部屋まで直行しようとしたら、隣を歩む人が怪訝そうな表情で祐樹を見上げている。
 その無垢な眼差しと艶やかな薄紅色の唇のアンバランスに廊下を歩んでいるにも関わらずキスを交わしたくなる衝動を必死で耐えた。心臓外科医学会の面々は居ないのは分かっていたけれども、一応は公共の場所なので。
「そうです。貴方に着て頂きたい物にはこちらの部屋が相応しいと考えまして……」
 カードキーをかざして部屋のロックを外す。数秒で解除される仕組みの鍵がとてももどかしい。
 部屋に入った瞬間に唇を重ねた。始まりを意味する接吻を長く交わした後に指を付け根まで繋いでベッドルームへと向かった。
「この服なのですけれども……?」
 経験則でスタッフが荷物を置いてくれる場所は知っていた。紙袋を不思議そうに眺めてから紅色の濡れた唇が開いた。
「中を見ても良いのか?」
 熱く甘く紡がれた言葉に頷きで返す。
 紙袋の中身を見た時にはどんな反応を返してくれるのか大変気になってはいたけれども。





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気分は下剋上 ホワイトデー狂騒曲 60

「それは構わないけれども……」
 エレベーターで売店の有る一階まで下りて煙草とライターを買ってホテル外の喫煙所に向かった。
 この辺りはオフィス街なので土曜日の夜に喫煙所が混むことはないと思っていたのだけれども案の定だった。
「何だかデートに思いっきり水を差されたようで……」
 煙草の煙と共に溜め息を吐いた。
「そうだな……。不幸中の幸いは二人きりで美味しい料理を食べ終わっていたことだな。
 前菜の時にでも遭ってしまったら、あの人たちと気の張った食事をしなくてはならなかった……」
 彼にしては珍しく弱音を口にしている。若干華奢な肩も竦めていたし。
 ただ、彼のスーツは御用達のブランド物だけあって、肩の辺りの仕立ての良さが際立っていたけれど。
「あのご一行様は電車で帰る人以外は京都に移動するらしいので、恋人同士の甘い時間を取り戻すためにバーで軽く呑んでから部屋に戻りましょうか?それとも部屋で二人きりの甘く濃密な時間を過ごしますか……」
 喫煙所に居た先客が煙草を揉み消して立ち去ると都会のエアポケットのような空間になった。
 彼の肩を抱いて刹那の口づけを交わした。
「少しバーで気分転換をしてから部屋に行きたい。流石に落差が大きすぎて……。折角祐樹とのデートだと思っていたのにいきなり心臓外科医学会のお歴々が現れて……」
 愚痴を溢す唇が愛おしい。
「私もですよ。貴方と過ごす時間は煙草を吸いたくならないのに、今夜はこんな体たらくです」
 仕事を終えてデートという流れはたくさんして来た。
 しかし、デートの最中(さなか)に事情を知らない上に、物凄く気を使う人達に乱入されたのは初めてだ。
「五階のバーに参りましょうか?あそこの重厚な感じも大好きですし、それにカクテルもお好きでしたよね?」
 日本のフルーツを使ったカクテルが素材の味を十二分に引き出して美味しいと言っていた。
「中華風のインテリアだった『(シャン)(タオ)』と異なったヨーロッパ風の店内の調度を見ながら語り合ったら気分が変わると思う。
 『バー』というある意味強気なネーミングに恥じないカクテルも独自の味わいを出していてどれも好きだな……」
 ふんわりと笑う最愛の人は花束を抱えているような雰囲気だった。
「煙草を吸い終わったら五階に上がりましょうか?『香桃』の心臓外科医学会は20時半でお開きだそうですのでその時間をずらせば大丈夫だと思いますよ」
 彼が白い花のように微笑んだ。
「心臓外科医学会の理事就任おめでとう!祐樹」
 薄紅色の笑みが街路灯の下で弾けるような鮮烈さだった。
「正直まだ実感がわかないです。入るのが遅きに失した貴方と違って、私は意外過ぎて……。
 それに何だか森技官対策でギリギリ入った感じなのが何とも複雑で……。准教授が一人、その他は皆教授ですよね。そういう場所に入って行って良いのかも良く分かりません」
 彼の小さな笑い声が弾けた。
「祐樹がそういうことを気にするとは思っていなかったな……。日本に帰国して柏木先生すら遠巻きにしていたのに、祐樹は距離を詰めて来てくれただろう?あれはとても嬉しかったのだけれども……」
 良い感じの流れになって来たと思いつつ短くなった煙草を揉み消して灰皿に捨てた。
「そろそろバーに参りましょう。
 確かに今思い返してみると、我ながら無謀だったと思います。ただ、貴方も割と私に構って下さっていましたよね?そういう誘い水が有ったので……」
 ホテルのエントランスはドアマンが開けてくれる。ペルシャ絨毯(じゅうたん)を――ちなみに値段は付けられないほどの価値らしい――踏むと別世界に来たような気がする。
 そういう場所だからこうして足繁く通ってしまうのだろうけれど。
「それは私が祐樹に会うために帰って来たからだ」
 若干人の目を気にしているのか笑みを消しているのが残念でもあり頼もしくもあった。
「申し遅れましたけれども、長岡先生に聞きましたよ。T京大学附属病院からもオファーが有ったのを蹴った時の貴方の表情を」
 エレベーターに乗って二人きりになった時に話題を恋人モード全開にしてみた。
 隣に佇む彼は頬を薄紅色に染めている。
「ちなみにウチの病院も准教授のポストしか用意しなくても帰って来て下さったのですよね?」
 更に紅に染まった頬がその証拠だろう。
「私は手術(オペ)が出来ることさえ出来れば……、そして祐樹が病院に居てくれさえいれば別にどんなポストでも構わなかった……。所属者一覧を先に送って貰って、祐樹の名前を見つけた時は本当に嬉しかったし、逆に怖かったけれども……」
 彼の場合、数値化出来ないものや目に見えないものを信じないという不器用な頑なさを持っていた。それが徐々に軟化していったのは彼自身が変わろうとしたせいだろう。祐樹はあくまで触媒に過ぎなかったと今は思っている。
 それにこんなに恵まれた容姿を持っているのに、全く気付いていなかった点も彼らしくて良いと思っている。
 自分の魅力を過大評価してひけらかす人間の方が多かったので。特にゲイバー「グレイス」に集まる人にはそういう人が多かったのも事実だった。
「今でも怖いですか?」
 否定の言葉が前提で聞いてみた。




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気分は下剋上 ホワイトデー狂騒曲 59

 そう言えば、先程最愛の人が理事職に就くまで――ついでに何故か祐樹も名前を連ねてしまった――京都での心臓外科医学会が催されないとか言っていた。
 各地の国公立大学の教授達が理事に就いている場所で開催されるとか。
 そして最愛の人と祐樹がこの中華レストランにたまたま訪れていたせいでこの二次会に呼ばれた。
 祐樹達も偶然会って驚いたけれども会長以下も同様だったのだろう。
「はい。芸子さんや舞妓さんなどは私達には手が届かない高嶺の花なので、こういう機会でないとなかなか……」
 准教授だとそういう遊びには参加出来る機会は少ない。斎藤病院長もお茶屋遊びが好きなので教授会の後は皆で行くとか彼が言っていたような気がする。勿論、そういう席を好まない最愛の人は抜け出すことばかり考えていたけれども。祐樹は極上の愛想笑いを浮かべて羨ましそうな表情を繕った。
「ちなみに二次会が終わるのは何時ですか?そして直ぐに京都に発つのでしょうか、皆々様は?」
 だったらクラブラウンジには誰も泊まらないという祐樹にとって最高の結果になる。笑顔などいくらでも作れるという感じだった。
「20時半にお開きでして、その後すぐに京都に移動します」
 ハイヤーでも呼んでいるのかな?と思った。教授職がぞろぞろJRで移動しないだろうし。ちなみに最愛の人はそういう点には全く拘りがない。
「なるほど。ああ、では仙台でまたお会いしましょう。香川教授がお呼びですので……」
 さっさと移動したいと思ったけれども、この准教授は縋るような眼差しで祐樹を見上げている。話している間に穴子を炒めた料理がサーブされて来ていた。
 祐樹が一度は食べてみたいと思っていた「黄金穴子の葱生姜炒め」だろう。内心では食べてみたいなと思って見ていたけれども、まさか初対面の人――しかも相手は心臓外科の准教授だ、どこの大学病院かまでは知らなかったけれども――そういう人に食べ物を強請るような真似は出来ない。
 ただ准教授は料理どころではないといった真剣な表情を浮かべて祐樹を見上げていた。
「ウチの医局にも色々と不満分子も()りますのでご教示をお願いしたく存じます」
 やはり医局員から不満の声などが上がっているのだろう。(自業自得だ!バーカ)と思ったけれども親身そうな笑顔を浮かべた。
「私も理事会について色々お伺いしたいので宜しくお願い致します」
 一礼して最愛の人が居るテーブルへと向かった。といっても直行ではなくてビールの瓶に残っているお酒を数人にお酌がてら挨拶を交わした後だったけれども。
「香川教授、ただ今戻りました」
 心の底から尊敬する上司に対する――恋人としても生涯に亘ってのパートナーだ――笑顔を見せた。
「会長が芸子さん遊びを誘って下さったのだけれども…………」
 ああ、そういうことかと納得した。要は一緒にハイヤーにでも乗って京都に行こうとでも誘われたに違いない。
 そして彼は上手く断れずに祐樹を呼んでくれたのだろう。
「……実はウチの医局の将来有望な研修医と看護師の披露宴で主賓を務めていらしたので、そして、その上その研修医は京都では有名な病院の御曹司でした。
 各方面からの招待客全てに角が立たないようにスピーチの文面を考えたり色々な有名人との社交の場になってしまいまして食事は全く摂れず仕舞いになってしまったりしておりまして。実はかなりお疲れなのです。
 食事は先程やっと済ませましたが……」
 久米先生と脳外科のナース、アクアマリン姫の披露宴という「設定」だったけれども、久米先生の実家は普通のクリニックで若干の無理が有る。教授職の人にとって研修医はゴミのような存在というか居ても居なくても良いという感じなので久米先生についてなどは詳しく聞くようなことはないだろう。
 京都一の私立病院の御曹司なのは救急救命室に助っ人で来てくれている精神科の清水先生だ。まあ、そういう人が何故京都ではなく大阪で披露宴をするのかというツッコミが入ることを予想して、久米先生の母親と花婿がこのホテルをこよなく愛しているとかそういうことにしよう。
 京都にもリッツは有るけれども、雰囲気は全く異なるので、このホテルのヨーロッパの貴族の屋敷風の内装を物凄く気に入っているとか。
「ああ、なるほど。それでしたらご無理は申しません。それに香川教授と田中先生とはこれからもじっくりと話し合う機会も多いでしょうから」
 会長は鷹揚な感じで頷いている。
「香川教授、主だった教授達とのご挨拶はお済みでしょうか?」
 例の准教授と会話をしていた時にチラチラと見ていて、メインテーブルの人達とは一通り会話をしていることは把握している。
「皆様は学会誌でも良く拝見している方ばかりなので、(こと)の外話は弾んだ」
 祐樹の意図を汲んでくれたのか最愛の人は花のような笑みを唇に咲かせている。
「でしたら、そろそろお(いとま)する頃合いではないでしょうか?食事の時からお疲れのご様子でしたし」
 この程度の嘘は良心の呵責なく()くことが出来る。
「そんなにお疲れでしたか。知らぬとはいえお引止めして申し訳なかったです。では仙台でお会い致しましょう」
 会長と副会長が立ち上がって挨拶してくれた。二人のディナー代金を支払って下さった件を丁重にお礼を言ってから宴会スペースを出た。
「……疲れた……。体力はそんなに使っていないはずなのに……」
 中華風の派手さと重厚さでまとめられた店内を出た最愛の人は溜め息を零している。
「お疲れ様です。心臓外科医学会の人たちと鉢合わせするとは想定外でした。
 あ、私も割と疲れたので煙草を吸っても良いですか?」
 吸いたい気分だったのと、プライベートなデートだったハズが、心臓外科医のお歴々との遭遇というオフィシャルな場所に入ってしまった気分転換をしたかった。




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