腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

気分は~健康診断

気分は下剋上 健康診断 6

「それは全然構わないが、謝礼というか……」
 そういうことかと微笑ましく思いながら薄紅色の唇に唇を重ねた。
 職場で――と言っても祐樹はこのセンターに常駐してはいないが――交わすキスは禁断の味がして普段以上に気持ちが良かった。
 標準的より薄めの唇もひんやりとしているのも――愛の交歓の時には体温も上がっているのでそうでもなかったが、平熱は標準よりも少し低めだからだろうか――祐樹の熱を与えるのと共に最愛の人の少し冷たい唇を味わうのもベッドの有る部屋で交わすキスよりも非日常的な感じがする。
 愛の交歓といえば、センター長室で……という約束をしていた。
 そのためには検診衣に――シャツのコットンなどよりも織り目が粗いので大丈夫だろうが――着替えた最愛の人の胸の尖りが布地をツンと可憐に押し上げている必要があった。
 少し煽っておこうかという下心が働いて、唇を甘く噛みながら、ジャケットのボタンを外して、水色のワイシャツの上からしなやかな上半身に手を這わせた。
 その部分は「未だ」存在を主張していなかったけれども、祐樹の指は最愛の人の肢体を本人よりも良く知っているので、的確に見つけ出して軽く叩いた。両方の感じやすい箇所を。
「あっ……」
 息継ぎをスマートにするために完全に重なった唇を少し離すと最愛の人の唇が甘く熱く声を紡いでくれた。
 そして、祐樹の指で少し硬度を増した二つの尖りが水色のシャツをしっかりと押し上げていたし。
「そう言えば、三つ揃いのスーツを着ていらっしゃるのを拝見したことがないのですが『こういうコト』を期待しているわけではないですよね」
 違うと分かってはいたが――何しろ病院内での愛の交歓をすることすら最近になってやっと許して貰えるようになったばかりだったし、人一倍羞恥心の強い人がそんな目的でベストを着ていないわけでは絶対にないだろう――そういう会話そのものが最愛の人の感じやすい肢体に火を注ぐのは知っていた――胸の尖りから程よく引き締まった腹部や肋骨の輪郭を指で確かめるように撫でまわしながら聞いてみた。
 こういう際どい言葉を祐樹が紡いでいるのは先ほどまで完全に仕事モード――専門ではないものの――から愛の交歓モードに速やかに移行して欲しかったせいもある。
「それは、違うな……。三つ揃いは確かにスーツよりも格の高い仕事着だが、私のような若輩者が着用していて、病院長とかそういうお偉いさんが着ていなかったら却って失礼に当たるし、何だか自分は偉いのだ!というアピールをしているような感じなので憚られるというか……」
 そういうさり気ない気遣いが出来る人だとは知っていた。それに教授職の上は病院長くらいしか居ないのが大学病院なので職階こそ上級職ではあるものの、旧国立大学附属病院しかも元帝国大学という出自を持つ全国の病院の中で最も歳の若い教授職に就いているのが祐樹最愛の人なので、そういうお偉いさんアピールは却って反感を買う面も言われてみれば確かにある。
「ああ、なるほど。ドラマの中でも官僚とか会社の社長とか大臣とかしか着ていませんからね……。
 貴方も偉いとはいえ、最年少の教授職なのでそういう配慮は必要かも知れませんね。
 ただ、三つ揃いのスーツだからこそ、脱がす愉しみとか、中途半端に乱れて、肝心な場所は全て空気に晒した姿とかを拝見したい気も致しますが。
 ほら、いつぞやのドライブデートの時にボタンが通常の倍以上もある服を着て下さいましたよね。あの時も逸る気持ちとは裏腹に脱がす手間が掛かる服が期待を持続させてもらえましたし……。
 一度、三つ揃いのスーツでこういうコトを致しませんか」
 水色のワイシャツをツンと押し上げている二つの尖りを弾きながら扇情的な声を紅色に上気した耳朶へと注ぎ込んだ。
「ゆ……祐樹っ……。それ以上したら、直ぐにセンター長室に行きたく……なるのでっ……。
 検査は先にした方が良いだろう?
 あれって、検査時刻も印字されて病院長とかしかるべき人のアカウントでは閲覧が可能……なのだから……。あまり遅い時間になったら怪しまれる……かもっ……」
 甘く熱い息と艶っぽい声でそう紡ぐ唇もほんのりと熱を帯びていた。
 しかも、最愛の人がつけているシトラスの香りも濃くなっているのは体温が上昇している証しだろう。
「そういえば時刻もキチンと記録には残りますね。
 ただ、そこまで細かく見ている人なんていないと思いますよ。病院長などは一度このAiセンターにいらしたことが有るのですがCTを写した時に『何故何も映らない?壊れているのではないか』とか平気で言っていましたから。
 ほら、画像となって出て来るタイムラグが病院長のような古手の外科医には分からなかったのでしょうね。
 だから機械のミスで……とかウソを言っても軽く納得しそうですし。
 ただ、前の戯れはこの程度にして撮影をしますか。
 ではこちらにいらして下さい。
 そしてこれが『例の』検診衣です」
 カーテンの仕切りなどというモノはこのセンターにはない。そもそもご遺体の画像検索を行う場所なのだから患者様のプライバシーなどに配慮して作られてはいない。普通の診察室とは異なって。
「有難う。ここで着替えれば良いのだろう?」
 予め誰も居ないと言っていたし、実際に人の気配も皆無なだけに最愛の人は祐樹がボタンを外したジャケットを脱ぎながら聞いてきた。
 最愛の人がこのセンターに来ることもほとんどないのだが、病院内の建物の設計図とか勤務形態なども悉く記憶している彼は思い切り良くジャケットを脱いでワイシャツのボタンをしなやかな長い指で器用に外している。
「そうですね。衣服はこの戸棚の空いているところに置いて下さい。指輪は預かっておきますね。小さな物ですし、当たり前ですが丸いのでどこかに転がっていったら大変です。
 私が贈った物を無くすのは貴方の本意でもないでしょうし……」
 無くした時のことを考えると、最愛の人がどんなふうになるのか痛いほど分かったので予め受け取っておいた方が良いだろう。


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感想(757件)




















最後まで読んで下さいまして誠に有難うございます。

何とか自分に課していたノルマ以上は更新致しました。
何だか大雨が続いているようですが、お外に出る方はお気をつけ下さいね。
私は銀行の支店長とのアポが有るので外出しなくてはいけませんが。

明日も読みに来て下されば嬉しいです。

    こうやま みか拝






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気分は下剋上 健康診断 5

「死因は外因性の複雑骨折と、肋骨が肺に突き刺さったことによる呼吸不全という複合的なものでしょうね。

 それまでは私でも分かるのですが、歴史学者の研究の場合は何故そのような事故だか他殺だかが起こったのかとか、犯人は誰だとかそういったことまでを解き明かさなくてはならないみたいですね。

 ですから、この外傷が何故起きたのか程度はこちらにも見解を求めて来ると思います。

 まあ、他の人間による暗殺かも知れないですが、そういうライバルというか王位簒奪を目論む人間が居たとまでは聞いていませんが……。取り敢えずは死因の周辺事項を聞かれるでしょうね」

 最愛の人のために自販機で紅茶を買って戻った。といっても紙コップ式の飲み物なのであまり美味しくはないのが欠点だったが。

 まあ、ないよりはマシという程度の感じだった。

「この頭骨陥没と、二つの穴が気になるな。直径は見たところ同じだし、しかも形まで似ている。何か対になっているような感じだ……。動物の歯かもしれない」

 動物か……それは確かにそうかもしれないなと思ってしまう。ただ、王様が庶民のように単独行動しているとも思えないし、動物に襲われるものだろうか?なんだかお付きの人とか護衛の兵士なんかをわんさか連れて乗り物に乗っているイメージだった。

「動物ですか?

 ナイル川には大きなワニとかカバとかが居たというのは知っていますが……。

 どちらも物凄く狂暴だとか読んだ覚えが有りますが……」

 ミイラになっているために皮膚などの損傷具合は――ミイラを作っている時に出来たのかもしれないし――定かではない。

「カバも牧歌的な外見には似合わないほどだという話は私もどこかで読んだことがある。

 ワニはないだろうし、それほど詳しくないので歴史学者のチームが来た時には脚注付きで聞いてみなければならないが……」

 最愛の人がやや薄い、そして引き締まった唇に手を当てて考え込んでいる様子だった。

 そういう真剣そうで怜悧な目の涼やかな光も祐樹にとっては宝石よりも貴重な煌めきだった。

「ああ!ワニに襲われたなら常識的に考えて脚の部分、ワニの大きさにもよりますが下半身をもっと損傷しているとお考えなのですか?」

 最愛の人の方が科学的な知識も豊富だし、答えというか正解を導き出すようにとの問いを与えられたらそれを解かずにいられないタイプだった。

 それ以外のことは――容量が無限大ではないかと密かに祐樹などは勘ぐってしまっているが――覚えているもののスルーしていることの方が多い。

「それも有るが、ワニもカバも基本的には水辺にいるだろう?ナイル川だとは思うがあそこは葦が生い茂る湿地帯だったらしい。そんなぬかるんだ土地で、頭骨が陥没するような怪我は負うはずがない。日本の川だったら河原に大きな石が転がっているということも考えられるけれどもナイル川は毎年増水しては引いていくことの繰り返しだからどんな大きな石でも増水した川の流れに巻き込まれてしまうとか読んだ覚えがある」

 なるほどなとしみじみと感心してしまった。

 やはり最愛の人のアドバイスを貰って良かったなと。

「なるほど。そういえばそうですよね。あの頭骨の陥没具合は自転車に乗っていて車にぶつけられた患者さんを思い出してしまいました。もちろん意識不明の状態で救急救命室に搬送されて来たのですが。そういう類いの外傷ですよね……」

 最愛の人が祐樹の顔をマジマジと見ている。

 見つめられて嬉しいものの、そこには――これからCTMRI検査の後に約束しているセンター長室で愛の交歓をする時のような――艶やかさは皆無で、怜悧で理知的な光しか宿していなかった。

「事故で頭を打った時にもああいう感じの陥没が起こるのだな?

 だったら、二つの穴もその時に付いたものだろう。

 おそらくはライオンだとは思うが、そのような大型の動物で、水辺近くにはほとんど居ない――まあライオンだって水を飲みに来る時くらいはあるだろうが――大型動物に襲われたに違いない。

 カバという線も考えられるが、ああいった歯形――これも歴史学者のリームに聞いてみないとはっきりとは分からないが――を二個残せるのはライオンくらいだろう……」

 ライオンといえばアフリカというイメージしかないし、祐樹も救急救命室勤務は長いものの近くにはサファリパークもないのでそういう大型動物に襲われた患者さんを診たことはない。ただ、野犬の群れに襲われたという患者さんが搬送されて来たことはあった。

「そういえば、野犬の群れに襲われた人の場合、まずは脚をそして、転倒したら馬乗りにされたとか言っていた過去の患者さんはいますね。

 まあ、野犬なので噛み傷の方が多かったですが。

 けれど、ライオンってエジプトに居たのですか?」

 あまりにも初歩的な質問だったので笑われるかと思ったのだが、最愛の人はごくごく真面目な表情で頷いている。

「生息していたみたいだな。ライオンの世界分布は現在の私たちが思っている以上に広かったようなので。

 ライオン狩りがこのミイラの時代に盛んだったのかどうかは知らないが、軍事訓練と兵士への慰安も兼ねて行われていた時もあったらしい。

 しかし、その相手のライオンの状態が全く分からないので確信めいたことは何とも言えないが、王様主催のライオン狩りとかではなくてお忍びで出かけた時に奇禍に遭ったという感じだな。

 ライオンに襲われて噛まれた傷がこの二つの穴だろうと推測される。まあ、その辺りは研究者の方が詳しいと思うので、ライオンの牙とか持っていたら傷口と合致するかどうか確かめられるだろうし。

 そして転倒させられた処に運悪く石が有ったのではないだろうか。

 肋骨の骨折はライオンが体の上に乗ったからでは?」

 ライオンがエジプトに居たという事実を祐樹が知らなかったとはいえ、見事な推論に頭が下がってしまった。

 死亡時画像診断も仕事の一部とはいえ、歴史の造詣の深さとか科学分野にも秀でている点は最愛の人に聞いてみて本当に良かったと思った。

「有難うございます。取り敢えず中間報告として貴方の仰ったことをメールで伝えて良いですか?」

 確認というか断られない前提で聞いたのに、最愛の人は白鳥よりも優雅な首を緩く横に振っていた。

 いったい何が問題なのだろうか?

 
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最後まで読んで下さいまして誠に有難うございます。もう六月も終わりですね。
一月に母が亡くなったので、月日が過ぎるのも例年よりも遥かに早く感じます。
人が一人亡くなるのも辛く悲しい出来事ですが、うちの場合は会社も経営していますので消去法で代表になってしまったので忙しさもひとしおです。
暑くなりましたが読者様もお体ご自愛くださいませ。
    こうやま みか拝










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気分は下剋上 健康診断 4

「ああ、それは構いません。貴方も基本的な読影は出来ていらっしゃいますよね?
 心臓だけでなくて、骨折とかもお分かりになられるのは存じています。
 分からないことは私が責任を持ってお教え致しますので、お気軽にいらして下さい。
 検診衣に着替えて撮った後……、楽しみにしていますから。
 二人きりになるのを……」
 病院関係者が多数通りすがっていくので、不自然にならないような距離を保って小声で告げた。
 その声に反応して耳朶が紅を刷いたような桜色に染まっているのもとても綺麗だった。
「分かった。私も、そのう、両方とも愉しみにしているので……。
 では、後ほど……」
 最愛の人が医局階で降りる祐樹に唇だけで微笑んでくれた。
 愛情を込めた眼差しで返すと、その花のような唇が綺麗な笑みを浮かべてくれた。
 「両方」という言葉が意味有り気なイントネーションで――と言っても最愛の人の微かな変化まで漏れなく愛を込めて観察している祐樹にしか些細な変化は分からないだろうが――彼が、専門ではないものの学問的興味というか知的探求心という頭脳面のことと、そしてセンター長室での愛の交歓という肉体面での悦びのどちらも心待ちにしてくれていることが分かって思わず唇に笑みを浮かべてしまった。
「祐樹が白衣を着ているのも新鮮だな。地震の時以来のような気がする」
 定時ジャストにAiセンターの扉を開けた最愛の人はこの建物を出たら帰路につくためのスーツ姿だった。
 そして「うっかり」病院内で――と言っても最新型の高性能MRIとCTが設置されているだけに病院の新館と旧館からは独立している、万が一大事故が起こっても病院の機能が損なわれないための保険のようなモノだったが――苗字ではなくて下の名前で呼んでしまったことに気付いたようで慌てて周りを見回している。
「大丈夫ですよ。貴方が気兼ねなく振る舞えるように検査技師すら帰しましたから。
 白衣を褒めて下さって有難うございます。似合いますか?」
 そう言えば医局ではブルーのスクラブユニフォームを着ている。ちなみに救急救命室では血の色が目立つように手術着と同じ緑色だったが。
 教授職のように「権威を失墜させないように白衣を着るべし」という病院長命令が出されている職階とは異なるし、何よりも白衣だと動き辛いし、白衣の裾が様々な器具や医療用の機械を転倒させる原因にもなり得るので――まあ、祐樹の場合は反射神経とか咄嗟の判断力や身体能力にも恵まれていると自負しているもののリスクは極力減らすに越したことはない――作業着ともいうべきスクラブを着用している。
 まあ「これを着ていると技師とかのコ・メディカルにしか見えなくて、何だか抵抗が有る」とか文句を言っているプライド高い系の医局員も居たが、祐樹は幸いなことに一回で患者さんに顔と名前、そして医師であることも覚えて貰っている。だから特に問題はない。ただ、ご高齢で多少頭が……な患者さんに話しかける時には、その上から白衣を羽織るが。
 最愛の人が医局に下りて来た時にはスクラブ姿が多いので、ある意味新鮮だったのだろうが。
「とても似合う。―-そのう、センター長の部屋で……二人きりになった時というか、愛し合う時にも、その白衣を着ていて欲しいな。
 何だか人の目を気にしつつも職場内で密会せずにいられないカップルみたいで……とても興奮するだろうから、色々な意味で」
 最愛の人の薄紅色の唇が艶やかな花のように咲き誇っていた。
「つまりはオフィスラブってことですよね?
 了解です。検診衣も――素材は全く異なりますが――スクラブに似ているので文字通りオフィスラブ、しかも医師同士といった禁断の行為、いや、患者さんに手を出す、いけない医師みたいで愉しめそうです。
 ――というのは冗談ですよ。もちろん」
 最愛の人も祐樹も仕事に関して矜持を持っている。だから医師以外の恋人同士がするような「お医者さんごっこ」に対して――まあ、そんなプレイをしていると自己申告する人間は居ないだろうが――ある意味嫌悪感を抱いていた。
 案の定整った細めの眉がくもったのを見て、慌てて付け加えた、キス付きで。
「――頭骨にかなりの損傷が有るな。これは外部からの力だろうな……」
 祐樹が用意していた画像を見ながら所見を述べる彼は真摯で怜悧な口調だった。
「多分そうでしょうね。ミイラ職人が誤って付けた傷という線も捨てきれませんが」
 最愛の人は細く長い首を白鳥よりも優雅な感じで振っていた。
「それはないだろう。ミイラの保存状態から考えて、丁寧な職人仕事という感じだ。
 確か鼻孔から脳を取り出すと本で読んだので、頭骨自体に職人が手を触れることはないだろう。
 あと、肋骨が3本俗にいう複雑骨折か。これは肺に刺さるほどだっただろう……。
 そして大腿骨を含む脚部の骨折も6か所か」
 このミイラしか画像は見たことがないので一般的かどうかまでは分からないものの、内臓は綺麗に抜き取ってあるため、肺に刺さっているかどうかまでは確認出来ない。
 しかし、この骨折の角度から考えると肺に深く刺さっていたと考えるのが妥当だろうな」
 テキパキと読影を続けていく最愛の人の的確さは専門外とはとても思えないほどだった。
「ああ、この脚の骨、穴が開いているな……縮尺比を考えると直径1センチほどの穴だな。それが二つと……」
 怜悧な声がより一層の知的な感じで二人きりの空間に響いている。
 そういう仕事モードの声も大好きだった。
「その穴は何から出来た物なのか分からなかったのですが……。結局は外傷による失血死だとは考えていましたが……」
 最愛の人は細く長い指を顎に当てて何やら考えているようだった。
 祐樹も頭蓋骨陥没するくらいの外傷とか肺に突き刺さるような肋骨骨折をした古代エジプト人が助かるとは思っていない。
 ただ、どうしたらこれほどの傷が負えるのかはサッパリ分からなかったので、色々なことに詳しい最愛の人の力を借りたかったのも事実だった。
 研究者の一団が結果報告を求めに来た時にも彼の英語力を借りる積りだったが。


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最後まで読んで下さいまして誠に有難うございます!

そしてすみません……!!両親が他界したら色々と親戚問題が浮上してきまして、精神的にどっと疲れてしまって、ストックしていたのを更新しか出来ないです。
 
他の話を楽しみにして下さっていた読者様がいらっしゃったら本当に申し訳ありません。
 
少し休んだら元気になると思いますのでそれまでお待ち下されば嬉しいです。
  こうやま みか拝








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気分は下剋上 健康診断 3

「え……?
 Aiセンターにはあまり入ったことがなくて、勝手が良く分かっていないのだが祐樹が一人になれるというか……二人きりになれる場所が有るのか……?」
 コーヒーの香り高い湯気を薄紅色に染まった滑らかな頬に当てているのも、そして無意識だろうが、ごく淡い紅色の唇を紅い舌が辿っているのも花よりも綺麗だった。
「常駐はしていないとはいえ、一応センター長ですから、個室が有ります。
 まあ、教授執務室に比べれば重厚感には欠けますが、貴方もご存知のように新築なので、機能的な感じの部屋になっています。
 まあ、貴方ほどのマメさはないので、CTやMRIの画像から推測されるレポートの類いなどがあちこち散らばっていますし、お世辞にも整頓された部屋ではないのですが……。
 ただ、鍵もキチンと付いていますし、完全に二人きりになれますよ。
 ご存知とは思いますがMRIやCTの場合、事故ると大変なことになりますので、その防護のためにも頑丈な作りになっている建物なので、防音もばっちりです。
 愛し合っている時にどんなに甘く溶けた声を出しても私以外の誰にも聞こえません。
 如何ですか?
 貴方の手術着での愛の行為などは出来ないと諦めていますが、せめてもの代わりに検診衣姿で……と強く願ってしまいますね」
 手術室は新館にある上に、手術スタッフも多いのは当たり前だ。しかも手術では――最愛の人の華麗で水が流れるように清々しさを感じる秀逸な手技ではほとんどなかったが――血や体液が飛び散ることもままあるので、消毒液とかシャワーは当たり前になっている。
 しかも、旧態依然の病院内ヒエラルキーのせいで教授職の最愛の人は個室のシャワーと更衣室だし、祐樹の場合は一介の医局員なので、皆と一緒のシャワールームとロッカーが並んだ更衣室だった。
 だから手術が終わって最愛の人が部屋を出て行ってからは手術着姿の彼を見ることは出来ない。
 まあ、その後スマホのラインで――以前はガラケーだったのでメールだったが――「昼食を一緒にどうだ?少しの時間でも一緒に居たいので」という、以前の素っ気なさがウソのような文面が祐樹のスマホに届くこともかなりの頻度で有ったが。
「誰も居ないなら、大歓迎だが……」
 満開の薔薇の艶やかさと瑞々しさを彷彿とさせる笑みが最愛の人の顔や雰囲気から漂って来て、お誘いして良かったと見ている祐樹までもが幸せになった。
「ついでと言ったら何ですが、貴方がいらっしゃる時間までに例のミイラの画像も撮っておきますよ。見解をざっくりで良いのでお聞かせ願えると幸いです」
 最愛の人は大空に向かって咲く凛とした大輪の薔薇のような感じに表情を改めた。
 二人で密会という「秘め事」を話している時はあんなにも艶っぽかったのに、話題を変えると即座に雰囲気が変わるのも外科医に相応しい精神の切り替えの早さゆえだろうが。
 そういう点も大好きだったが。
「私は唯物論者ではあるが、敢えて観念論者の視点に立てば、古代エジプト人がミイラにならなければ来世でも生きられないと信じていたから、現代の私達なら――まあ、亡くなってしまえば痛みなどは感じないというのはこの際置いておいて――絶対に嫌だろうと思われる内臓とか脳などを取り出されるのはむしろ本望だろうとは思う。
 ただ、約3千年前の人間があんな機械に入ったらさぞかし驚くだろうなとは思う。
 それにMRIはバケツをガンガン叩くような音がするだろう?
 ミイラは物質だからというのも置いておいて、物凄い恐怖だろうな……」
 想像力がさほど豊かでないと最愛の人本人は言っているが、祐樹的にはそんなことを考えたこともなかったので、そう言えばそうだなと納得してしまった。
「確かにそうですよね。ま、物質になってしまっているので当然思考とかは不可能ですが、もし、意識が有ったら恐怖そのものでしょうね。
 私にとっては、ご遺体と同じで解析するためのモノとしか思っていませんでしたが、そういう見方も有るのですね。
 というか、貴方はご自分で仰っていらっしゃった以上に想像力がおありなのではないでしょうか?」
 切れ長の目が驚いたように丸くなって無垢な光を宿しているのも綺麗だった。
「そうなのか?だったら、それは多分、想像力も豊富な祐樹と一緒に過ごした時間が長いので……その影響だろう?
 ほら、一緒に過ごす時間が多いほど思考パターンも似てくるとか心理学のレポートでも読んだことがあるので……」
 淡い薄紅色の唇が晴れやかな笑みの花を咲かせているのもとても綺麗だった。
「では、定時で仕事を切り上げてAiセンターの方にいらして下さいね。
 容態急変などの突発的なことが起こったら連絡をくださいね。
 まあ、私はその間、ミイラの画像を解析しておくことにします」
 病院の職員用の門が見えて来たのでそう言った。
「それは勿論。ただ、祐樹と違って私は放射線科の各種資格は持ち合わせていないのだが、良いのか?」
 少し心配そうな声でそう告げる最愛の人の白皙で
 医師免許さえ持っていれば診断は出来る。極端な話、森技官などは臨床経験皆無のペーパードライバーならぬペーパードクターだ。
 しかし、大学病院などの大きな病院に所属しようとすれば、各科には必要な資格が必要となる。祐樹もAiセンター長になる前提として画像診断専門医の資格を取った。
 まあ、勉強をするのもそれほど苦ではないし、同僚を見回しても要領は良い方だと思っている。その上、准教授に次ぐポジションなだけに役職手当が付くので、モチベーションアップにもなったし。


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最後まで読んで下さいまして誠に有難う御座います。
更新お休みして誠に申し訳ありません。実は去年亡くなった父のことを出身地の岡山の親戚(絶縁したのに)の耳にも入ってしまって「遺産を少しでも分けてくれんじゃろか?」と。
父の法定相続人は(当時存命だった)配偶者と私達子供でそれ以外は権利です。遺言書が有ったなら話は違って来ますが、それもなかったので。
そういうことを縷々説明しても「あんなに仲良かったのに」とか父が絶縁したのも忘れているらしく感情論でウダウダと……。
精神的に疲れ果ててブロク更新が出来ませんでした。。。
しかも、新しい原稿書く精神状態でもなかったので、ストックしてあったのを更新しました。
しかも、体調不良でして。
少し休んで体調が良くなったらいつものペースに戻りたいと思っていますが。。。
勝手を申してすみません。


   こうやま みか拝







気分は下剋上 健康診断 2

「ツタンカーメンのミイラをCTで解析したら骨折の跡が多数見つかったので一人乗りの馬車から落ちたという説が有力になりましたよね。
 また、マラリアにも罹っていたらしくて、骨折の痛さと発熱で苦しんで亡くなったのかと思うと王様として君臨しても死に際は悲惨だったようですね。骨折は――幸い私は経験がないのですが――かなり痛いらしいですし……。
 そういう死に方は真っ平ご免こうむりたいのですが……。
 まあ、それは置いておいて、今の歴史学は医学の力を借りることに積極的です。DNA鑑定とか病気の有無などで定説が覆されることもあるとかで。
 で、ウチにもAiセンターが有るので是非とも解析した上で専門医のご意見を聞かせて欲しいというアメリカの高名な歴史学者の依頼だったのですが、そのチームにあいにく日本人が居ないのです。
 私はご存知の通り医学用語と日常会話レベルの英語は一人でこなすことも出来るようになりましたが、歴史学などは思いっきり門外漢なもので……。
 だから『文学部英文学科の教授にでも通訳をお願いしたい』という旨を先方にお伝えしたところ『そちらの文学部には歴史学科も有るので、論文を書くまでは機密情報だから協力は困る』と拒否られてしまいました。
 まあ、確かに論文発表前のネタを同業者に知られたくないという気持ちは分かりますが。
 『だったら、医学部教授という畑違いの人間ならば大丈夫か?』と聞いてみたらOKが出ました。
 貴方がツタンカーメンの死因についての論文を英語で読んでいらっしゃったのは存じていましたから、歴史用語にも造詣が深くていらっしゃるのでしょう?」
 最愛の人は長くて細い首を優雅に傾げて祐樹の言葉を聞いていた。
「造詣が深いというレベルではないが、論文を読む程度は出来るし専門用語もそれなりには知っている。
 アメリカの研究チームはウチの病院のAiセンターに足を運んで来るのか?それとも、CTやMRIの画像だけを送ってそれに報告書を付けるだけなのだろうか?」
 書面にするのと言葉で説明するのはやはり違うので気になったのだろう。
「書面だと伝わりにくいこととか、素朴な疑問とかが出て来た時に困るので京都までいらして下さるそうですよ。
 CTやMRIの結果については私が話しますので、貴方は歴史的な言葉を翻訳して下されば大変助かります」
 朝食を一通り食べ終わって「ご馳走様」と手を合わせた最愛の人はコーヒーを淹れるために燕のような身軽さで立ち上がっている。
「その程度ならお安い御用だが……果たして私で大丈夫なのだろうか?そんなに詳しいわけではないので……」
 謙遜する彼だったが、語学力も知的探求心も持ち合わせている人だけに居て貰えると心強い。
「大丈夫ですよ。いざとなれば筆談という手もありますし、その間に分からない単語はグーグル先生に聞いてみることにしますから」
 ただ、大学は「象牙の塔」とも呼ばれているだけあって、ネットで検索するよりも人間が発する言葉の方に重きを置かれるのも事実だった。
「ああ、コーヒーの良い香りがキッチンに流れると、やる気が出てきますね。
 やる気といえば、貴方の健康診断の一環のCTとMRIは本人の希望を尊重した結果、Aiセンターで行うと放射線科に言っても良いですか?唯物論者とか無神論者が多い病院でもご遺体という物質を置いたというそれだけで精神的なモノに優位を置く観念論にコロリと変わってしまう人間が多いですからね、希望者が極端に少ないのが現状なのです。
 だから貴方がAiセンターにいらして下さるのなら大歓迎ですよ」
 唯物論というのはマルクスが提唱した考え方で、物質に優位を置くというものだ。
 だから精神的なことを――例えば祐樹の目の前でコーヒーを飲んでいる人をこよなく愛してはいるが、そういったファクターは精神的、つまり観念論に過ぎないとバッサリ切って捨てられる類いの感情だ――顧慮しない。
 だからご遺体の載った機械だから気味が悪いとかいう「感情」は唯物論とは相容れない思想なのだが、日頃から唯物論で生きている医師の中にも「これはこれ、あれはあれ」という考えの人間が多い。
「ああ、お着換えとかは大丈夫ですよ。放射線科から貫頭衣みたいな検診衣をパク……いや、分けて貰っていますから。
 ご存知だとは思いますが、あの検診衣って手術着の色によく似ていますよね。
 それに割とゴワっとした着心地なので、貴方の敏感な場所が尖ってしまうかもですね。
 ほら、写りやすくするために色々無理な体勢とかも取って貰うでしょう?
 その時に布地も擦れてしまうので。
 流石に手術室でコトに及ぶことは出来ませんが、手術着に似た、しかも脱がせやすい服、そして胸の尖りが視認出来たら……センター長室で愛を交わしませんか?
 両の尖りって愛の行為の最中でなくても、その気になっていない時でもピンと立つことが有りますよね?
 手術室でそうなっているのをチラリと一瞥して職務に集中しないとならない哀れな私を救済すると思って……。
 ダメ……ですか?」
 燦燦と朝陽が射し込むキッチンでそんな話を振ってしまったのは間違いだったかも知れない。
 厚労省の肝いりで設置が決まったAiセンター長の座は、以前祐樹が術中死としか思えない患者さんの死因を調べるために放射線科に掛け合ったという「功績」が認められて――というか消去法で選ばれただけかも知れないが――祐樹の手中に舞い込んで来た。
 ただ、それほど人手が要るわけでもなくて、死因を調べて欲しいという依頼が舞い込んだら対応している感じだった。
 だから貫頭衣状の検診衣を着た最愛の人が粗めに織った布地に擦れてツンと押し上げているところをなし崩しに押し倒してしまったほうが良かったのかも知れないと反省をした。



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今日は大雨の中、メインバンクの支店長さんと話し合いに行って来ました。
メインバンクといっても地元の信用金庫なのですが。
信金でも支店長は数年周期で変わるので、母が懇意にしていた人から新しい人に替わっていました。
私は一応法学部法律学科を出ていて、株とかもしています。FXもちょこっと。
そういうパーソナルデータを知らない(前の支店長さんは知っていた)方だったので「連帯保証人と連帯債務者って違うんですよ」的な話を延々と語って下さいました。
「遥か昔に大学で習った程度のことは知っています。法務とかには携わってないですけど」と言ったら物凄く驚いていました。法学部卒の女性って確かに割合としては多くないので、仕方ないのですがね。

そんなこんなでバタバタしています。
気長に更新をお待ち下されば嬉しいです。


    こうやま みか拝




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