「コンビニは祐樹も良く知っていると思うが、至るところにあるだろう?コンビニの大手三社はそれぞれ有名な洋菓子店とかと期間限定でコラボレーションもしているみたいだが、杉田弁護士事務所の有る烏丸御〇とかのオフィス街にもたくさん店舗が有って――あんなたくさん有ったら競合が大変だろうなと個人的には思うが――会社から歩いて数分で大手三社のお店に行けるだろう?
 だからOLさんは生活の延長線上にコンビニがあるので買おうと思ったらすぐ手に入る。
 そういうモノをお土産にしても全く新鮮味がないので、やはり祐樹が買って来てくれたような特別感のあるお菓子の方が良いのだと何かで読んだ覚えが有る。
 ナースとも気軽に会話出来る祐樹が、そういう裏話的なことを知らなかったのは意外だな……。私が教えることが有ってとても嬉しいが」
 確かに彼の言う通り、コンビニにあるモノはたとえ期間限定であっても――と言っても祐樹は甘いモノは自分のために買おうとは全く思わないが――特別感はないような気がする。
 その点、百貨店は「頑張れば行ける」程度の距離なので、職場を少しの時間だけ抜けだして買いに行くというわけにもいかないので、外回りの会社員が購入して特別感を出すのだろう。
「なるほど……。それは寡聞にして存じませんでしたが……。
 あと、救急救命室の出口から歩いて5分の所にファミリーマー〇の新規店が出来て、久米先生は『お遣いの時間が短縮出来る』とか単純に喜んでいましたが、そこから歩いてまた5分の所にもファミマが有るのです。
 私は『おでん』はセブンイレブ〇が一番美味しいと思っていますし、お米も――貴方が作って下さるレベルの遥か下に有るのですが、コンビニ各社の中という狭い括りの中では――最も美味しいと思うので久米先生が嫌がろうともセブイレを断固として推しますが、それはともかく同じ系列のお店があんなに出来て経営は大丈夫かと思います。
 石を投げれば歯科医院に当たるというのは医療従事者としての常識ですが、やはり歯医者さんの場合、上手い下手が有りますし、先生の愛想のよさとか説明の上手さで差別化を図ることが出来ると思うのです。
 その点、コンビニは同じ品ぞろえですし、差別化なんて無理ですよね?それなのに何故そんな無謀な出店をするのでしょうか?」
 祐樹もそれなりに本は読んでいるが、最愛の人は更に多い知識量を持っているし、ビジネス雑誌に良く取材されている関係上、出版社から掲載された雑誌が送られて来て「子供に通わせたい私立中学100選」という、最愛の人には縁もゆかりもない記事すら目を通していることは知っていた。
 日常生活でも口数の少ない人だが、どうしてそんな記事を読んでいることを祐樹が知ったかというと、東京からわざわざ彼の手技を慕って――それ自体は珍しいことではない――来てくれた患者さんの孫娘さんが着ていた制服を見て「ああ、最近人気上昇中の学校ですね。入学するのは大変だったでしょう?」と声を掛けていたからだった。
 祐樹がその患者さんの主治医だったので傍に居たが、見覚えのない制服なのによく知っていたなと感心しながら聞いていて後でそういう記事を読んだのでと言っていた。
 だからコンビニ業界のこともビジネスパーソンが読む雑誌に載っていないかな?と思って聞いてみることにした。
 祐樹もなるべく「高尚な」雑誌を読むように心掛けてはいたが、主治医を務める患者さんは祐樹と「週刊誌ネタ」で盛り上がるのを心待ちにしているようなので――多分、親しみやすさのせいだろうと良いように自己解釈している――ついついそちらに流れてしまっていた。
「ああ、フランチャイズ契約の闇の部分だな。ほら、節分の時の恵方巻とかの大量廃棄は祐樹もニュースで見ただろう?
 ああいう廃棄される期限切れのモノは本部ではなくて店側、つまりはオーナー負担だ。それに本部は全体としての売り上げが上がればいいので、店が多い方が良いしフランチャイズ料金も店舗数が多い方が得という考えだな。
 だから歩いて数分のところに同じコンビニが出来てしまって泣くのはオーナーだけということになる。
 24時間頑張っているオーナーには気の毒な話だが、実際のところは本部が儲かれば良いというのが闇らしい……」
 祐樹も研修医の時は年金や税金などもろもろ引かれて手取りの額が悲しい数字だった時がある。その時はコンビニでバイトしたほうが実入りも良いのでは?と真剣に考えたことが有ったが、どこにでも身を置いていないと分からない「闇」は存在するらしい。
「ところで、祐樹はどのケーキを食べたいのだ?」
 最愛の人はコンビニのオーナーの悲しい境遇に思いを馳せて沈んだ表情を一転させていた。
 ただ気持ちの切り替えが早いのは外科医としての特性が有る証拠だったし、その上、大好きな洋菓子店のケーキに気を取られるのも――特に女性ばかりの行列に居心地の悪さを我慢して買って来た苦労が思いっきり報われたようで――嬉しさの方が勝ったが。
「レモンのにしようか、それともシュークリームにしようか悩み中です。
 貴方はショートケーキですか?」
 レモンの酸味が効いたケーキとか、そんなにくどくないシュークリームの中身――確かカスタードクリームという名前だったハズだが――のどちらかを消去法で決めようと思っていた。
 最愛の人はショートケーキをいつも真っ先に食べていたので、今回もきっとそうだろうなと思って聞いてみた。




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最後まで読んで下さいまして有難う御座います。

「小説家になろう」様にリンクのために行ったら、小説の続きが気になってしまって、そっちで更新をしてしまってたという……。自分が書いたモノなのですが、細部は忘れているのでついつい。。。。

あと二時間後に私が力尽きずにお会い出来ることを祈りつつ。


    こうやま みか拝

















なろう版 気分は下剋上 やっと、上のリンク「長岡先生視点」の終わりまでたどり着けました!!併せてお読みくだされば嬉しいです。






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