「大丈夫だと思う。これはキャラメルではなくて、チョコレートなので。
 ほら、マカロンってパステルカラーが基本だろう?だからチョコレートの焦げ茶色というか黒というのはそぐわないので、こういう色に工夫されているだけで。
 それにマカロンには珍しいほどダークチョコレートの味が再現されていたし。祐樹もゴディ〇のダークチョコは食べているよな?あんな味なので大丈夫だろう……」
 バレンタインの時にはナースや事務局の女性から相変わらず山のようにチョコを貰って祐樹だったが、殆どが最愛の人の口に入っているのも事実だった。
 毒見という思いは多分持っていないだろうが、これなら食べることが出来るのでは?などと教えてくれる最愛の人の味覚も優れているのも知っていた。
 まあ、ゴディ〇のような定番中の定番――と言っても久米先生などは「そんな本命価格帯のモノを義理チョコで貰えるなんて凄く羨ましいです!」と半ば本気で恨み言を懲りずに毎年言っているような気がしたが、正直なところ祐樹が貰ったチョコは殆どが最愛の人が食べていることは内緒だ。
 そして、祐樹が欲しいと思うのは最愛の人からのチョコだけだったので、正直なところチョコの獲得数はどうでも良い部類に入っている。
 そんなことを言うと久米先生とか、そして瞬く間にウワサとしてナースや事務局の女性にまで広まってしまうことも必至なので口が裂けても言えないが。
 今のところ、職場の人間関係は良好だったけれども、敵はなるべく作りたくないのも本音だったし。
「そうですか?では頂きます」 
 そう言って口を大きく開けると最愛の人は極上の笑みを浮かべて紅色に染まった長くしなやかな指を祐樹の唇へと近づけてくれた。
 マカロンを口に入れてくれる最愛の人の指を舌で舐めた。
 最愛の人の指の――まあ、マカロンの繊細な甘みも漏れなく付いてきたが――方が祐樹にとっては極上の美味だった。
「ああ、本当ですね……ビターチョコの味がしてとても美味しいです。
 しかし、私にとって最も美味しいのは貴方の指ですが。全部食べてしまいたいほど……ですよ……」
 確かに最愛の人が勧めてくれたマカロンはとても美味だったが。
「祐樹にそう言って貰えるととても嬉しいな……。
 さてと、祐樹が買ってきてくれたマカロンは食べ終わったので、笹飾り作りを手伝おうとしようか……」
 最愛の人が手を洗いに立ったのを好機とばかりに聞いてみた。
 本当はいつ祐樹の最も知りたいことを切り出そうかと内心ジリジリしていたのも事実だったし。
「あのう、この立派な化粧箱とかってダストシュートに入りきれませんよね?
 ほら、以前伊勢海老とか松茸などを患者さんから頂いた時も立派な桐箱に入っていたでしょう?
 ああいうのはどうやって処分なさっているのですか?」
 独り暮らしをしていた祐樹の場合、ゴミの収集日に間に合わないこともあった。まあ、学業や仕事が忙しいということで容赦してもらいたいなと思う。 
 そういう場合にはこっそり近くのコンビニとか生ごみが溜まりまくってしまった時には医療用廃棄物の捨て場に持っていって処分した。
 真面目で律儀な最愛の人はそんなことはしないだろう。
 さり気なさと素朴な疑問という雰囲気は崩さずにそう聞いてみた。
 最愛の人の場合、感心するほど器用なのでもしかしたら、桐の箱も化粧箱も粉々にしているのかも知れないが。
「ああ、確かにこの箱もそうだが、ダストシュートには入れないな……。そういう大きな物が出た時にはマンションの裏側にあるゴミ捨て場に持って行くが?」
 そんな場所が有ったのか……と初めて知った。
 まぁ、最愛の人が住んでいるこのマンションに祐樹が一緒に住むようになった経緯からマンションの説明は祐樹が直接聞いたわけでもないのでそれほど詳しいコトを聞いたこともなかったし、それからも全く日常生活に不自由はしていなかったので詳しくは知っていない。
 ちなみに車を買った時もマンションに標準装備として駐車場まで付いているのも知らなくて駐車場代も計算の上で大丈夫だろうと思って買ったものだった。
「なるほど、ゴミ捨て場があるのですね……。
 了解しました」
 詳しい場所は最愛の人に聞かずに――何故そんなことを聞くのかと突っ込まれた時に困る――受付嬢にでも聞いてみようと密かに決意した。最愛の人は特に疑いを抱いた様子はないのも幸いだった。
 まあ、あまり詮索する人ではないものの、万が一ということもある。
「あ、祐樹手伝う。私は織姫と彦星を折ることにする。あとカササギとお星さまも……」
 マカロンを食べ終わった最愛の人は色紙を嬉々とした感じで色紙を細く長い指で楽しそうに取っている。
「そんなものを折るのですか?いえ、貴方が折って下さったモノは永久保存版として残したいレベルなのでとても嬉しいですが……」
 そう言うと最愛の人はマカロンよりも甘い微笑を浮かべている。
「祐樹が作っているのは『あみ飾り』だろう?それも永久保存にしたいのだが、飾っておく場所が見当も付かないので残念ながらパスするしかないだろう、な……」
 ゴミ捨て場を聞いたことへの疑念は持っていないような雰囲気なので安心してしまう。
 これで寝室に鏡を運び込んでサプライズ付きの「逢瀬」が出来るかと思うと早く七月七日になって欲しいなと、クリスマスとかサンタさんを待ち望む子供のような気持ちになってしまう。
 まあ、子供は「愛の行為」を待ち望んでいるわけでは絶対になかったが。
 しかし気分はそんなモノだった。



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最後まで読んで下さいまして誠に有難う御座います。
 
そして天候不順のせいでダウンしてしまっておりました。

熱はないし、味覚なども有るのでコロナではないと思います。

今年は梅雨が明けるの遅いですねぇ……

  こうやま みか拝

◇◇◇

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