「んっ……悦っ……。ただ、これ以上されたら、検査など……どうでも良くて……。祐樹の執務室に……連れて行って欲しくなるので……止めて欲しい……」
 唇で吸うだけの愛撫に最愛の人は祐樹の髪の毛をかき乱して胸の尖りの熱を散らしているようだった。 
 普段はもっと強い刺激でこういう甘く高い声になるのだが、検診衣の粗い織りに尖りが当たっているせいも有ったのだろう。
「愛らしくて、つい唇と指で触ったり弾いたりし続けたくなる部分ですけれど、検査が終わってからゆっくりじっくり愛して差し上げます。断腸の思いですが……」
 検査は一時間も有れば充分終わる。
 しかも病院指定の検査の中には身体を捩って割と無理な体勢を取らないと写すことが出来ないようなモノも数枚有った。
 しなやかな肢体に相応しく身体能力にも秀でている最愛の人にはさして苦にもならない体勢だろうが、ご遺体しか扱わないAiセンターの機械を使うことへの抵抗感がある職員の方が多いので、祐樹が無理やり頼める相手には放射線科ではなくて――職員の検診は義務なので皆が受けないといけないし、放射線科もそれほどヒマではない――こちらで受けて貰っている、ほぼ無理やり。
 久米先生などは外科医に求められる身体能力に「も」優れているものの――だから祐樹も将来の脅威として密かなライバル心を持っていることは内緒だ――夜勤の時に好物だけをしこたま食べていたツケが回って来てぜい肉のせいで無理やり身体を捩ったら筋肉痛になってしまったというオチが付いた。
 祐樹最愛の人はそんな無様なことにはならないことは知ってはいるものの、布地が擦れて今でもツンと愛らしく尖っている場所が更に硬くなることは想像に難くない。
「そうですね……。先に検査をさっさと終わらしてしまいましょう。
 お愉しみはそれからに致しましょうか?ああ、良いことを思い付きました。
 もっとココが感じて下さるような……」
 ツンと緑色の布地を愛らしく押し上げている場所を二つとも指で挟んで捩じる。
「ああっ……ゆ、祐樹っ……悦いっ…けど、我慢が……出来なくなるので……。止めてっ……」
 最愛の人が愛の行為をしている時に「止めて」と言うのは物凄く珍しい。
 生理的に受け付けない「おとなのおもちゃ」などは予め言ってくれていたし、祐樹もそういう物には頼りたくないというか、ハマっている呉先生と森技官はどは当人同士の勝手なので何も言う積りはないけれども、自分の身体を使って愛の交歓に耽る方が好みだった。過去の一夜の恋人にもそんな「おもちゃ」は使ったこともない。
 だから検査の後のお愉しみに期待ということで名残惜しげに指を離した。
 「おもちゃ」が苦手なのは知っていたが、祐樹がふと思いついたモノはどうなのだろうか?
「あのう、呉先生が言っていたような『製品として売っているようなおもちゃ』は苦手なのは存じています。
 しかし、指とか唇よりももっと快楽を得ることが出来そうな『日常品』もダメですか?」
 タンと一歩下がって最愛の人の全体の肢体をしげしげと眺める。
 検診衣は男女兼用ということもあって、太ももが半分露出しているワンピース型だった。
 白磁のような滑らかな肌の持ち主なのは知っていた。
 その白色が仄かな桜色に染まってすらりとした足も物凄く綺麗だったし、緑色の検診衣をツンと押し上げている胸の二つの尖りも物凄く可憐でそして淫らだった。
「日常品?モノにもよるな……。
 クリップと言ったっけ?呉先生が言っていた乳首に挟む『おもちゃ』だが。ああいう物に類似したモノは苦手だが……。
 あからさまにそういうコトを連想させるようなモノでなければ構わないと思う。
 しかし、実物を見てみないと何とも言えない……興を削ぐようで申し訳ないのだが……」
 考えながら話している感じで、時々薄紅色の唇が止まるのもとても色っぽい。
 多分祐樹のリクエストには何でも応えたいとは思いつつも、彼自身が抵抗のあるモノを受け入れたくないという葛藤からだろうが。
「貴方が嫌がるようなことは致しませんよ。
 もし、私の見せたモノが嫌ならはっきりと断って下さい。二人が気持ち良くて楽しくなるようなモノしか取り入れたくないですし。
 貴方を不快にさせる気も毛頭有りませんので。ただ、最高の悦楽を感じて下さればそれで良いと思っています。
 抵抗感があるようなモノだったら、肝心の最高の悦楽とは程遠くなってしまうので先に仰って下さいね。
 さてと、では検査を始めますか?
 要領はお分かりですよね?毎年放射線科でしている検査なので……」
 普通の人間なら一年に一度の検査の内容などは覚えていない。しかし祐樹最愛の人は驚嘆すべき記憶力の持ち主なので祐樹がマイクで指示しなくても去年のことを全て覚えているだろう。
「ああ、それは大丈夫。去年は野口准教授が指示してくれた通りに身体の向きを変えれば良いのだろう?」
 野口准教授は放射線科所属でもあり、兼任が標準仕様になってしまっているAiセンター所属の医師だった。
「そうです。では始めますね。写りにくいと思ったらスピーカー越しで申し上げますのでご協力宜しくお願い致します」
 一応放射線を扱っているので、重いドアを開いて最愛の人を中に入るように促した。
「スリッパを用意していなくて済みません。来年には容易しておきますので……」
 律儀に全てを脱いでいる最愛の人の蝶のように綺麗な足の裏が少し寒そうな感じだったのでついつい弁解口調になってしまう。
 そう言えば久米先生は靴下を履いたまま検査を受けていたなと己の不明を恥じた。
「別に冷たくない……というか、祐樹がココを愛してくれたので体温が上がっていたので却って気持ちがいいくらいだし。
 それに、この機械類を使うのはご遺体がメインなのでそんなモノは必要ないだろう?
 検診のためにここに来る人にはスリッパ持参を促したらいいことだし」
 振り返ってそう告げる最愛の人の細い首筋が花の芯のように綺麗だった。




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最後まで読んで下さいまして誠に有難うございます。

更新お休みしてしまい申し訳ないです。肉体的にも精神的にも慣れないことで思っている以上に消耗しているみたいで、アラームに気付かず寝落ちして気付けば朝だったりしております。


また、ヤフーブログからお引越ししてこのブログにも機械的に入っている「心は闇に囚われる」ですが、エブリスタ様にも上げています。現在65話まで予約投稿済なのですが、あちらの方がルビとかも付けられるので読みやすいと思っています。興味のある方は下記リンクからお願い致します。

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   こうやま みか拝




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