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「聡の……極上の……花園は……締め付けるのではなくて……熱く厚いベルベットの感触で包み込んだ後に、薔薇の花びらの一枚一枚程度の……面積で……強く……弱く動くのが、堪らなく……良いです。
 我がままというか、贅沢な悩みは……悦すぎて……直ぐに……放ってしまいたくなる……ことですね」
 祐樹の熱い吐息と声を背後に、そして胸の尖りを掌で固定されながら双丘を開いては強く弱く打ち付ける肌の濡れた音が潮騒のように聞こえてくる。
「ゆ……祐樹っ……何度でも……構わない……。それに早いとか……そういうのは……気にならない……。
 祐樹が、こうして……私の……花園の……中を……熱くて……確かな感触で……拓いて……くれる時が……、一番……好きな……時間なので……」
 祐樹の腰の動きに翻弄される素肌に汗の滴っていく感触にすら感じる。
 祐樹は「早い」とかの時間を気にしているようだったが――そして医学書レベルではそういうことは読んで知っていたが――その点でも全く不満に思ったことはない。
 それよりも、祐樹に身体の内側まで満たされて浅く深く拓かれる感触とか尖り切った胸を愛されている方がよほど重要だった。
「ゆ……祐樹っ……胸の尖りと……花園の凝った場所を……同時に愛されて……。
 それに、強く揺さぶられると……ルミナリエの……光の……建築物よりも……精緻な……愛の建物を……二人で築いている……ようで……堪らなく……悦いっ」
 後ろ手で祐樹の汗に濡れた腰を掴んで、さらに奥処まで届くように力を込めた。
「二人の……愛の……建築物ですか……。それは……とても……素敵ですね」
 頭の中に、先程見た精緻な光が一斉に燃えて弾けるような気がした。
「……今は……大輪の……花火が……爆ぜる感じではなくて……、先程のイルミネーションの小さな……光が……それぞれに煌めいては……炎を纏って……燃え盛っている……ような気がする……身体全部で……小さな炎が……甘くて……濡れた感じで……泡のように……弾ける……感じだ……
 そういうのも……新鮮で……とても……悦い……。
 私も……そろそろっ……」
 背後に撓る身体を祐樹の素肌に押し付ける形になって、お互いの身体の大粒の汗が混ざり合っていくのも嬉しい。
「もっと……奥処に来て……、そして……、祐樹の熱い飛沫で……花園を……潤して……欲しっ……」
 出来るなら二人一緒に極めたい。
 その気持ちで必死に弾けるのを耐えていた。それに、深すぎる悦楽を我慢すればするほど、その後に訪れる超新星の爆発のような極みが大きくなることも身体が覚えていたので。
「分かりました……。多分、次の……大きな動きで……、私も……限界です……」
 一度しどけなく開いた門の入口にあてがっただけの祐樹の灼熱の楔と共に先程注がれた真珠の雫が太ももへと滴っていく。
 それに胸の二つの尖りのみを祐樹の指が器用に挟んで強く捻られると、それだけで先程見たルミナリエの光りよりも鋭い閃光が身体と心に奔っては背筋が祐樹の方へと傾いだ。
「ゆ……祐樹っ……もうっ……」
 少しでも深く一つになれるように祐樹の素肌へ密着してその確かな硬い感触と滴った大粒の汗の雫を、素肌がいつまでも覚えていられるように試みた。緑や白の先程見た光のアーチが脳裏を過るものの、それよりももっと鋭い小さな光が脳の中で爆ぜ続けた。
「一緒に……。
 聡、心の底から愛して……います」
 一際強く揺さぶられて、繋がった場所からも海の底にある真珠のような濡れた音が聞こえてくる。
「私も……身体と魂ごと……全てで……祐樹を…愛っ……ああっ」
 弾けた瞬間に、花園の奥のさらに奥処に熱い飛沫を感じて頭の中にあらゆる色の煌めきが一斉に弾けて、その気持ち良さと解放感で魂が空中に飛ぶような気がした。
「素敵でしたよ。
 聡の揺れる肢体もそうでしたが……、私も随分揺さぶりました。
 実際に船に乗っている感じを……、少しでも味わって……頂けましたか?」
 二人して倒れ込んだ木のベランダに潮風が吹いて、熱く滾った素肌を心地よく冷やしていく。
「ああ、大きな船に乗っているというよりも……。嵐の中に迷い込んでしまって難破寸前の船のようだったな……。
 とても感じた……。
 リタイア後の豪華客船の旅でも味わえないほど……」
 繋がりを解いた祐樹はベランダの上に横たわった自分の後頭部を腕枕のように保護してくれるのもとても嬉しい。
 熱い呼吸がまだ整っていない状態で唇を重ねると、祐樹の瞳が夜空を焦がすような輝きで自分だけを見てくれている。
「リタイア後の客船の旅も楽しみではありますが、その時にはこんな激しい愛の交歓が出来るかどうか、はなはだ心許ないのも事実です。
 人間、加齢には逆らえませんからね……。
 ですから、出来る時にこうしてしなやかな肢体に、覚えてもらって……。豪華客船での旅の時にはそれを思い出して貰えればと思います」
 祐樹の指が硬く尖った胸の尖りを愛おしむように撫でてくれた。
 それだけで背筋に強い電流が奔ってしまう。
「それはそうだな……。ただ、今のような激しい愛の交歓が出来なくとも、私は祐樹さえ傍に居てくれれば、そして手を繋いで客船の中とか寄港先の街を歩くだけで充分過ぎるほど幸せだと思うので、それはそれで楽しみだ。
 リタイアしないと纏まった時間が取れないのも事実だし、今は今で心ゆくまで愛し合った記憶を素肌や頭で覚えておくので、手を繋いで散歩する時にはそういう想い出話のネタが今まで以上に増えれば良いと思う。
 今日の愛の交歓では、嵐に巻き込まれた船の感じを充分過ぎるほど感じたので、その記憶も、心の中の宝石箱に仕舞われたことだし……。
 そういう宝石のような想い出を一個一個増やしていって、たくさんの宝石箱の中身を祐樹と語り合える日を楽しみに待っている。
 愛の交歓だけでなくて……二人で出掛けた場所での想い出の話とか、分かち合った栄光とか皆の祝福の記憶も私にとって宝石のような鮮やかさだし、その煌めきは何十年後も変わりなく覚えているだろう。
 もちろん、今夜のルミナリエの光りの建築物もその一つだ。
 そういう意味でも連れて来てくれて有難う
 そして来年も時間を見つけてあの見事なアーチを二人してくぐりたい」
 祐樹の唇が近付いてきて「約束します」と厳かな口調で断言した後に唇が重なった。
 その目くるめく幸せに先程とは異なった種類の涙が上気した頬を伝っていた。

                                <了>












 
【お詫び】
 昨日更新が出来ずに申し訳ありませんでした。


【お心当たりが有る方への私信です】

 今の私の心境は「この季節咲き誇る白い花を摘んで……貴女に届けば良い」という、「シスター」の歌詞そのものです。。。

 「貴女のために祈ることなら今の僕にも許されるでしょう」のフレーズも。。。。



                       こうやま みか拝 
 




        こうやま みか拝