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「壮絶に艶っぽい色香だけを纏って、繋がったまま私の上にいらっしゃる時の聡の方が絶景です。
 あのポートタワーの優美な曲線と赤いイルミネーションなどとは比べ物にならないくらいです。
 紅いと言えば血の赤よりも綺麗な煌めきを放つ胸の二つの尖り……何時もよりももっと艶やかで瑞々しい赤に染まっていて、放置プレイの甲斐が有ったかと思うと……とても嬉しいです」
 祐樹の熱く射るような視線が当たっているだけで、更に硬度が増したような気がして背筋を撓らせた。
 祐樹の熱い灼熱の楔を花園全部で包み込んで嬉しげにさんざめく場所も迎え入れた悦びのあまり脳まで紅く染める小さな花火が爆ぜ続けていたものの、聞いたことが有るような無いような単語を理性の最後の「よすが」にしようとした。
「放置プレイとは?」
 ポートタワーは多分あの全体的には紅くて部分的には緑色の――多分ルミナリエに合わせているのだろうが――ライトが綺麗な塔のことだろう。
「性的興奮を高めるだけ高めて、その後時間を置く趣向ですね……。元々感じやすい場所でしたが『披露宴』の後は更に感度が上がったでしょう……。今夜はワイシャツの布地で擦れただけで……薔薇色の吐息も艶っぽく零していらっしゃったでしょう……タクシーの中で……。
 今度あの状態にした後に、車に乗ってドライブに出掛けませんか……。アップダウンの激しい道を選んで……もちろん、シートベルトはしっかりとつけたままで……」
 シートベルトが胸の尖りに当たった時の悦楽は当然ながら体験済みだったが、祐樹の指摘通り前よりもさらに感じやすくなったのも事実で、あの締め付けに加えて高低差のある道を走ると、どんな悦楽をもたらしてくれるかは想像に難くなかった。
 考えた瞬間に、頭の中と胸そして祐樹を包み込んでいる花園全てが同時多発的な火花が爆ぜたような気がした。先ほど祐樹とそぞろ歩きをしたルミナリエは「光の建築」と称されているが――観賞する人の数は圧倒的に異なるものの――愉しむ人の目を計算し尽した結果という点では祐樹の愛の言葉も変わりがない。
「凄いですね……。花園の中……私を包み込む熱さと厚さまで変わって……いますし……私一人だけのために……計算され尽くした……精緻な動きが……堪らなく……悦いです……。しかし、放ってしまうのも……勿体ない……ので」
 祐樹の腰を上に突き上げられて、理性のタガが外れた。
「胸……祐樹の……指で……押さえて……いて……欲しっ」
 腰を大きく上げていったん門の外まで出すと、粘度の高い淫らな水音が鼓膜まで紅色に染められるようだった。
 直ぐに一気に奥処まで腰を落とすと普段よりも更に深い場所まで拓かれて、赤や緑の大輪の花火が続けざまに爆ぜて魂までもが祐樹と繋がって一つになったまま砕け散ったような錯覚を抱いて、祐樹の指を縋るように絡めた。
 祐樹の熱い迸りを奥処で受けた感触に真っ新の命までも吹き込まれた不思議でそして今までにはない悦楽に自分も放っていることに気付いた。
 祐樹の素肌に倒れ込むように重なった時の濡れた熱い感触で。
「とても……良かったです。大輪の花が乱れては散るような、そして咲き初めた花の瑞々しさの不思議な調和が素敵でした」
 まだ整わない息で祐樹が熱く甘く囁いてくれて、唇を重ねてくれた。
「私も、怖いほど感じた……。理性が飛んだのは久しぶりで……。
 何かヘンなことを言っていなかったか?」
 脈絡のない言葉を口走っていたような気もするし、吐息や嬌声だけを零しながら悦楽だけを一心に求めていたような気もしたので。
「ヘンなことは特に……。ただ私の名前だけですね、仰っていたのは。あと……声が普段よりもさらに艶やかでした。特に頂点を迎える直前の声は艶やかさが花開いたような声でした。
 大きさはいつもと同じでしたが」
 どちらの汗の雫かも分からない熱い膜に覆われた素肌の輪郭を祐樹の指が優しく辿っている。
「そうか……良かった。
 あんなに深くまで――それこそ魂が混じりあうかと思えるほどに――祐樹を、それも性急に迎え入れたからかも知れないが。
 いつもよりも更に深化した悦楽に理性が消滅してしまった感じで……。
 それに、せっかくの特等席を譲ってもらったのに、景色を見るゆとりは全くなかった……」
 祐樹の素肌の熱さとか、まだ繋がっている場所の確かな感触の方が景色よりも大切なのは言うまでもないが、この部屋を……と思った瞬間に唇が動いた。
「このホテルはいつ予約したのだ?それに何だか来慣れている感じだったし……」
 素朴な疑問を思ったままに口にしただけで、他意は全くなかったのだが誤解を与える余地は有ったと内心思ったものの後の祭りだ。
 祐樹がクスリと笑って胸の尖りを羽毛のように優しく辿っただけで素肌だけでなく魂までが震えた、悦楽の余り。
「いえ、実は初めてです。何となくこういう流れになる程度の予測は立てていましたので、その時に森技官に協力要請しました。私の名前で予約して貰って、部屋への見取り図というか要所要所は画像で送って貰っていました、実は。ガラケーからスマホに替えたのでこういうことも出来るようになったので便利は便利ですよね。部屋の番号などは先に教えて貰っていました。この部屋だと分かった瞬間にラインの転送機能でホテルの方と森技官を挟んでやり取りが出来ましたし。だから迷わなかっただけです」
 部屋番号を先にというのが分からない。というのは、チェックインした時点で初めて部屋番号が分かるシステムだと思っていたので。











 
【お詫び】
 リアル生活が多忙を極めておりまして、不定期更新になります。
 更新を気長にお待ち下さると幸いです。
 本当に申し訳ありません。
 お休みしてしまって申し訳ありませんでした。なるべく毎日更新したいのですが、なかなか時間が取れずにいます……。
 目指せ!二話更新なのですが、一話も更新出来ずに終わる可能性も……。
 なるべく頑張りますので気長にお付き合い下されば嬉しいです。
 




        こうやま みか拝