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 見慣れてはいるものの、生涯見飽きることのない祐樹の凛々しさと優しさとそして欲望を潜めた男らしい眼差しの輝きに瞳が外せない。
 祐樹が困ったような苦い笑みを甘く浮かべて自分を見下ろしている。その視線を受け止めているだけでチョコレートのような甘さと苦さで心が満ちていく。身体は祐樹を欲して甘く疼いていたものの。
「私との愛の交歓の夜を重ねたせいで、すっかり淫らな大輪の花を瑞々しく咲かせた肢体と異なって……そういう無垢な眼差しとかお顔の表情は出会ったばかりの頃と変わっていないので、毎回拝見する度にドキドキします。
 何だかいけないことをしているような背徳感すら感じられて……。
 そういう精神の無垢さとかひたむきさも大好きなのですが……」
 繋いだままだった手を解いて、祐樹の額の輪郭を眼差しだけでなく指でも確かめるように辿った後で、額を小さく弾いた。
「最愛の祐樹にされる『いけないこと』なら何でも大歓迎だが」
 文字通り身も心も愛されているという揺るぎない安心感からつい軽口を言ってしまった、唇にはきっと極上の笑みを浮かべながら。
「聡もそんなことを……しかも薄紅色に染まった瑞々しい唇に極上の艶やかさを浮かべて仰って私を両面で煽るようになったのは、鮮やかな開花の一つですね。
では、遠慮なく……」
 唇同士が触れ合って直ぐに舌と口腔を溶かすような熱く甘い濃厚なキスを交わしながら祐樹の指が上半身のあちこちに優しく触れるだけの指使いで辿り下りていく。
「あっ……」
 胸の尖りの側面部を強く弾かれて、喘ぎ声が祐樹の唇の中に淡く溶けていく。
「こちらの花の芯のような、そして水晶の雫を止め処なく零しては濡れていく場所もとても綺麗で、愛さずにはいられませんが、私の唇はあいにく一つしかないもので……。
 真剣に愛する人が出来たら唇も指ももっとあればと望んでしまうのはある意味必然かも知れませんね」
 祐樹の歯で甘く噛まれた胸の尖りと声に伴う息の熱さに薔薇色の眩暈にも似た甘い旋律が脳裏を過った。
「あっ……ゆ……祐樹っ……。とてもっ……悦いっ……。
 熱いのにっ……何だか研ぎ澄まされたっ……氷を当てられているようなっ……そんな悦楽がっ……」
 思わず床の上から背筋を浮かせて愛撫をせがんでしまうほどの紅い色の花火が脳裏に爆ぜる。
「普段のこの尖りは、本当のルビーのように冷たいのですが……今夜はそれほど触れてもいないのに熱いです」
 祐樹の歯だけでなく尖らせた舌が全体を転がすような愛の仕草を受けて背筋が跳ねる。
「ゆ……祐樹っ……。それ以上愛されたらっ……」
 絶頂の甘い予感に震える部分を祐樹の身体へと押し付けてしまう。本当は着衣のままの状態なので遠慮すべきだと理性が後に告げたが、熱く滾る情動に突き動かされて。
「夜露に濡れる大輪の薔薇のような綺麗で艶めかしい聡の姿とか……。ルビーよりも紅くて硬く熱い二つの尖りとか、悦楽の涙を宿した紅色のお顔を見ていると、流石に我慢の限界です……。
 挿れて……良いですか」
 返事の代わりに要を失った扇のようにしどけなく大きく足を開いて、期待のうねりに唆されるまま腰を掲げた。
「ゆ……祐樹っ……来てっ……ああっ……。
 濡れて開かれる感じが堪らなく悦っ」
 一瞬奇妙な間が出来たので、我に返って祐樹を見上げた。
 二人が魂までを深く繋がった状態のまま。
「え?……もしかして悦くない……とか……」
 言葉にしてしまうと先程の熱がさっと引いて唇が氷のように冷たくなった気がした。
 祐樹は何が可笑しいのか甘く熱い笑みで唇を弛めているので内心は安堵してしまったが。
 恋人として楽しませなければ何だか祐樹の傍にいる資格がないような気がしてならない。
「まさか……。
 聡の凄まじく艶っぽい姿に見惚れていただけですよ……。動くのも――いえ、動きたいのはヤマヤマですが――忘れてしまうくらいにね。
 血よりも紅いルビーの尖りとか八重桜の濃艶さを放つ肢体、そして私を嬉々として受け入れて下さっている場所がこの姿勢だとハッキリ見えてしまって……。
 その上育ち切って先端から水晶の雫を零している、咲き始めるのを待つ風情の聡自身とか。
 とても、素敵です。
 夜に咲き誇ろ大輪の瑞々しさと妖艶さに薫り立つ肢体とは裏腹に透明な涙の雫を零している滑らかな紅色の頬もとても綺麗で、そして初々しい色っぽさに満ちています。
 そのギャップにも惹かれてしまいますが」
 射抜くように見下ろす祐樹の瞳の光りの熱さすら素肌を悦楽に焦がしていくようだった。
「そうか……。それなら……良い。
 あっ……ゆ……祐樹っ……動いてっ。もっ……う……」
 大輪の花火が頭の中を次々と上がっていくような甘く狂おしい切なさに身を震わせた。絶頂の予感に慄きながら、祐樹の動きに合わせて身体が揺れた。
 身体、しかもごくごく一部分が濡れた淫らな音と確かな熱を共有しているだけなのに、身体だけではなく魂までが一つに溶けて甘美で淫らな協奏曲を奏でている――その充足感に揺蕩いながら――物理的な極みだけでなくて魂までが祐樹と二人して天上まで上り詰めて極上の目くるめく世界に「一つになって」上り詰めているようだった。









 リアバタに拍車がかかってしまいまして、出来る時にしか更新出来ませんが倒れない程度には頑張りたいと思いますので何卒ご理解頂けますようにお願い致します。
 
【お詫び】
 リアル生活が多忙を極めておりまして、不定期更新になります。
 更新を気長にお待ち下さると幸いです。
 本当に申し訳ありません。




        こうやま みか拝