イメージ 1

「ゆ……祐樹っ……」
 背後から聞こえてくる熱い息遣いにすら声を上げてしまう。深く浅く身体の奥へと刻まれる律動にも。
「普段以上に艶やかで艶めかしい声ですね……
 小ささは同じですが……。
 二人の身体が繋がっている場所を高く掲げて、しどけなく開かれた場所から真珠の雫が転がり落ちて紅の素肌を転がっていく様子も、絶景……ですね」
 祐樹の低く濡れた声に背筋が撓っていく。
「ゆ……祐樹っ……とても悦いけどっ……」
 熱く甘い嬌声混じりの吐息を止め処なく零していたため閉じられなくなった唇が切なく震えている。
「けれど……。何ですか?」
 祐樹の力強い律動と共に一際大きくなった灼熱の楔が身体だけでなく魂をも甘く濡らしていくようだった。
 それに祐樹の声も甘やかな苦痛を帯びていて、極みが近いことを告げていた。
「身体の……向きを……変えて欲しっ……。
 祐樹の顔を見ながら最高の時を迎えたいので……。
 私もそんなには保たなっ……いっ……し」
 繋がった場所から甘く熱い花火が脊髄に弾けるような悦楽を絶え間なく浴びせかけられた感じが堪らない。
 何を思ったのか祐樹はピタリと動きを止めて、撓む背中に身体を預けて耳朶を甘く噛んできた。
「聡のお願いなら何でもお聞きしますが……。身体の位置を変えるというリクエスト……聡の愛らしい唇から出たのは初めてです。
 以前、行為の流れでそうなってしまいそうな時に物凄く不安そうなお顔をなさったでしょう。
 貴方の極上の花園はすぐさま真珠の放埓を放ちたくなるほどの名器なので……愛の営みの形を変えるのは、少しでも長く絶頂を長引かせるための些細なテクニックだったのに、それすらご存知なかったようでした。
 それに比べると随分進歩なさったものだと……思いましてね……。その開花がとても嬉しいです。
 良いですよ。一旦繋がりを解きますね……」
 祐樹の熱い愛情の塊がゆっくりと出ていくことに刹那の寂しさと空虚さを感じながら、そういえばそういうことも有ったなとぼんやりと思い出してしまった。
 長く保たせることがそれほど重要だと個人的には全く思っていないのだが、祐樹の男としての矜持は異なるらしい。
 むしろそちらの方が普通なのかもしれなかったが、自分にとって祐樹がしてくれる愛の仕草の一つ一つが宝石のように貴重だったし、そもそも祐樹が自分に欲情してくれることだけで甘く切なく身体も心も疼いてしまっているだけなのだが。
「向きを変えるだけで良いのですか?お好みの姿勢とかが有りましたら何でもお聞き致しますよ」
 祐樹の甘く低い声が濡れた熱帯の夜の闇のような湿度と熱を感じさせてくれる。
「祐樹の……、頂点に達する時の……ほんの一瞬浮かべる甘くて辛そうな……そして無防備でいてこの上もなく満たされた表情を見るの『も』大好きなので……。
 それ以外は祐樹のしたいように振る舞ってくれれば……、それで良い。祐樹にして貰える行為全てが私の宝物なのだから……」
 汗に濡れた手を繋ぎ合わせて、祐樹のリードに任せることにした。
「こんなにあちこちを愛らしく尖らせたり濡らしたり、そして艶やかな煌めきに満ちて滴っていたりして下さったのですね」
 祐樹の瞳の輝きが灼熱の炎の熱を纏って焦がすように身体のあちこちを見下ろしている。
 どこを見られているか分かってしまうほどの確かな熱を帯びて愛の行為に乱れた自分を見下ろしている。
 僅かな羞恥心を必死に押し殺してその視線を甘く受け止めて、更に息が甘さを帯びていく。
「花園の中の甘く熱いうねり……あんなふうになったのは初めてですが、また開花を遂げて更に狂おしく私を誘っているようです。極上の大輪の花のように。
 しかし、あの場所は直ぐに持って行かれそうなので……。
 そうですね……あまり触れてもいないのに、ルビーよりも紅く硬く尖った場所を愛しても構いませんか……。
 私も貴方の薫る肢体全部に乾いているので……。
 もう少し愛の交歓の時間を長引かせたいです……。熱烈に愛し合う二人にしては御無沙汰してしまっていましたので。
 慎ましやかに尖った場所も、先端から雫を溢れさせて育ち切った場所も瑞々しい蠱惑に満ちて私を誘ってやまないのですが……。
 聡の方でご希望があればお聞き致しますよ……」
 祐樹は――肝心な場所こそ空気に触れてはいるが――スーツ姿というのも何だか却って新鮮だし、それに自分が部屋着を乱すだけ乱した肌の露わな状態でいることへの甘い背徳感すら抱いてしまう。
「祐樹の……好きな方を愛して……くれれば、それで良いのでっ」
 大粒の汗の雫を纏った祐樹の男らしい凛々しい顔――しかも前髪が汗のせいで後ろに流れていて秀でた綺麗な額のラインが露わになっていているというおまけつきだ――思わずマジマジと見入ってしまう。










 リアバタに拍車がかかってしまいまして、出来る時にしか更新出来ませんが倒れない程度には頑張りたいと思いますので何卒ご理解頂けますようにお願い致します。
 
【お詫び】
 リアル生活が多忙を極めておりまして、不定期更新になります。
 更新を気長にお待ち下さると幸いです。
 本当に申し訳ありません。




        こうやま みか拝