「私にとって世界で最も大切な祐樹――プライベートでは宝石の煌めきにも似た至福の時間をいつも味わわせてくれた最上の恋人だ――仕事面でも帰国して以来ずっと手技にしか取り柄のない私の確かな道しるべになってくれていたし、祐樹の外科医としての類稀なる天稟を伸ばすために私が思い付ける全てのことをした。それがこんなに早く結実したのは祐樹の寝食も忘れた努力の賜物なのだろう……。
 世界的な名声を誇る優れた外科医ですらその生涯において一度も顕現しないこともあるという気まぐれな医療の神の顕現を地震の時に発揮出来たのがその証拠だ。
 あの奇跡的な手技が『たまたま』カメラに映っていたのも祐樹の運の強さなのだろうが、祐樹のそういう試練をチャンスに変える力強さにずっと救われて来たのも事実だ。
 いつもいつも本当に有難う。
 そしてこれからもその太陽のような存在で私を照らしてくれればそれだけでとても幸せに生きられるので、ずっと傍に居て――いや物理的に離れていても存在だけは――私に感じさせて欲しい。陽光がなければ枯れてしまう植物のように、私は祐樹がいないと生きていられないので」
 愛情を紡いだ言葉も今は薔薇色の煌めきを帯びて祐樹に受け入れて貰えると思うとそれだけで嬉しい。
 片想いの時は心の中でしか言えない、そして身体だけでも愛してくれれば良いと思っていた頃には――言語能力の乏しさも相俟って――言ってしまって祐樹に重荷を背負わせるくらいなら何も語らない方がマシだと頑なに思い込んでいた時期は卒業したという確かな実感があった。
 祐樹がふんだんに浴びせてくれた珠玉の愛の言葉に比べればまだまだ拙いだろうが、祐樹が外科医として一人前になったのと同様に練習を重ねれば自分だってよりいっそう的確な言葉を紡げるようになるだろう、多分。
 祐樹が春の陽だまりのような眼差しで自分を見てくれていることだけでも充分薔薇色の幸せが心を満たす。
「こちらこそ。
 貴方と肩を並べることが出来る外科医になるために更に実力を付けたいと思いますのでこれからも公私共々宜しくお願い致します。
 貴方に会えて、そして理想の恋人として生涯を共にするだけでも望外の幸せです。
 それに加えて貴方という『高みを見た』上司に巡り合わなければ、大学病院という小さな世界が全てだと思えるような視野の狭い、そしてプライドだけは高いものの結局は不平不満を心の中に溜めこんでしまっているような医師にしかなれなかったと思いますし、プライベートでもちゃちな恋愛ごっこという名前を盾にした己の欲求の解消しか考えていないろくでもない人間にしかなれなかったと思います。
 私も貴方に会えて世界が薔薇色の煌めきに満ちたような感じです。それまでは色は有るものの、せいぜいモノトーンといった感じでしょうか……。
 こんな極上の彩りと煌めきに満ちた時間を与えて下さって本当に有難う御座います。
 そしてこれからも幾久しく宜しくお願いします」
 祐樹の生気に満ちた眼差しの輝きが愛おしさとか称賛を込めて自分の方へと注がれるのを無上の喜びで受け止めた。
 祐樹の恋人になれただけでも嬉しいのに、今度は――まだ本人には告げていないイベントも含めて――二人の共同作業が目白押しに並んでいるのも濡れた薔薇の花びらの艶やかさと艶やかさで心を満たしていく。
「こちらこそ一生涯、一緒に過ごして貰えるように……そして祐樹に相応しい人間でいられるように頑張るので宜しくお願いしたい」
 極上の笑みと共に言葉を紡いだ。祐樹に受け取って貰いたい花束を捧げるような感じで。
 実際は花束を貰うだけで、祐樹に贈ってはいなかったが祐樹も「花束」などは望んでいないだろうし、それならば今自宅で制作中の――八割がた出来たが自分でも満足出来る程度に完成度は高い、初心者にも関わらず――手編みのマフラーの方がまだ喜んで貰えるだろう。
 応接机を挟んで笑い合うとそれだけで心が薔薇色の濡れた煌めきで満たされていく。
 愛の交歓――もちろん祐樹に求められていると身体で実感出来るのでそれはそれで大変嬉しかったし大歓迎だったが――ではなくとも眼差しを絡めただけで心が春風に舞う桜吹雪のような晴れやかさだった。
「約束ですよ。望みうる最高の伴侶を見つけられたことが、私の人生の最大の喜びです。色々な試練があっても二人でなら乗り越えることが可能ですよね」
 太陽よりも晴れやかな笑顔と共に祐樹の長くて男らしく整った小指が「指きりげんまん」状態で差し出された。
 その指に自分の指を重ね合せると祐樹の確かな温もりが魂の底まで浸透していく束の間の幸せを噛みしめていた。
「針ではなくて……メスでも飲ませましょうか?約束を破った場合……そちらの方が私達には相応しいような気が致します」
 祐樹の唇は優しい笑みを浮かべているものの、眼差しは真剣そうな輝きを放っているのも。
「最愛の祐樹になら何をされても構わないが、私の方からメスなどを飲ますことは出来ないな……」
 薔薇色の煌めきを放つ言葉と絡めた小指で愛を紡ぐ。お互いが同じ分量で愛しているのが分かるだけに幸せ感が薔薇色の泡になって心と身体を満たしていくようだった。












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昨日はお休みしてしまいまして誠に申し訳ありませんでした。

最後まで読んで下さいまして感謝です!!

        こうやま みか拝