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「はい。ただその前に……。少し首を私の方へと近付けて下さいませんか?
 ベッドルームへ行く前に『入浴介助』をお教えしたいので……」
 紅色と白色の淡い煌めきとプラチナリングで彩られたチェーンが祐樹の指で着けられた。
 だた「入浴介助」に祐樹が贈ってくれた細い滝のようなチェーンが必要なのか全く分からないままだったが。
 カーディガンも肩から絹擦れの音を立てて床へと落ちていく。同時にチェーンが大きく揺らされて水晶の涼やかな音を立てながら胸の尖りをチェーン部分では弱く琥珀やリング部分では強く刺激されて薔薇色のため息交じりの嬌声を漏らしてしまう。
「聡の胸の慎ましやかに煌めくルビーには柔らかな色がお似合いだと思っていましたが……予想以上に綺麗で……そしてとても艶っぽく聡の肌を飾りますね……胸のルビーが恒星みたいですし、紅や白の翡翠は惑星のようでとても綺麗です」
 この愛の行為――プラチナのチェーンや宝石達で触れられたのは初めてだったが――が苺とか生クリームなどが小道具だったことや、祐樹の贈ってくれた指輪の冷たい感触が火照った胸の尖りを程よく冷ましてくれた後に更に疼きを強めた過去の愛の交歓とどう異なるのか全く分からない。
「少し待っていて下さい。私も服を全て脱ぎますので……」
 「それなら寝室でも大丈夫だろう?」と言いかけて慌てて言葉を飲み込んだ。「入浴介助」のレッスンはどう考えても祐樹が身に着けている物全てを脱がないと不可能なことくらいは常識で考えても分かるので。
「手伝おうか?ポロシャツは脱ぎにくいだろうし……」
 鎮痛剤を打ったとはいえ、左手の負担は極力減らしたい。いや、祐樹には普通のシャツで充分だったのを、自分の我が儘――胸の尖りを隠したいことと、色違いとはいえお揃いの服で街を歩きたかったこと――で選んだ負い目も僅かながら存在したのも事実だった。
「大丈夫ですよ。この程度のことは何でもありません。それよりも砂を掬うような感じでチェーンを弄って下さって戴いたほうが贈った甲斐が有ります。
 いつも以上に紅く煌めく慎ましやかな尖りに涼しげな細いプラチナのチェーンやリングが当たったり、宝石と相乗効果で艶めいたりするのも素敵ですし、それに先程から放置されている育ちきった先端から滴っている水晶の雫とか紅薔薇よりも紅い花園の動きも白い滝のようなチェーンが更にそれぞれの色を増すのかと思うと、綺麗過ぎて眩暈がしそうになります、よ」
 祐樹が――鎮痛剤が効いているとはいえ――怪我人とは思えないほど素早く着衣を脱ぎ捨てていく。
 精妙なバランスの取れた筋肉質の身体は見慣れたものになっていたが、前髪を全て後ろに流した理知的さの勝る端整な眼差しとか、いつも以上に凛々しくて頼もしそうな大人の余裕を併せ持った表情に見かけよりも柔らかい唇が悪戯っ子めいた笑みを浮かべているそのギャップが堪らなく良い。
 祐樹を見ながら胸に掛かったチェーンを掬い取っては胸へと落とすという単純作業なのに身体に力が入らなくなって先程のカウチに腰を下ろした。
 それでもチェーンを掬っては胸へと落としていると、いけない一人遊びに耽っているような気分になってくる。
「あっ……」
 水晶の澄んだ音と共に紅色の翡翠が胸の尖りの先端部に当たってもう片方の尖りには祐樹がバレンタインに贈ってくれたプラチナのリングが側面部を強く擦ってしまって甘い喘ぎ声交じりの吐息を零してしまう、ついでに育ちきった先端部からも水晶の大粒の雫が幹を転がり落ちて花園の門へと滴っていく。
「胸のルビーの尖りも、そして紅色に染まった素肌もさらにしっとりと上気して汗の雫をまとった薔薇のように綺麗ですね。
 普段は――そして今日の貴方は稀有な特別さを強く放っていましたから紫っぽい青い薔薇ではなくて、万人がイメージする大輪の蒼い薔薇のようでした――いつもは怜悧さとか理知的な感じのする真紅の薔薇とかカトレアの風情なのですが。悦楽に我を忘れて乱れていても咲き誇った肢体はやはり真紅の薔薇のイメージです。
 では『入浴介助』のレッスンを致しましょうか。左手は濡らしてはならないことは言うまでもなくお分かりかと。ただ、包帯から出ている場所には注意深くシャワーを当てて下さいね。そこまでは『普通』と同じです。その後、ボディソープを身体の前の部分全てに付けて下さい。
 お顔は別です。ボディソープを付けるとどうなりますか?」
 祐樹が手慰みといった感じで胸のチェーンを前後左右に動かして涼やかな音と共に胸の尖りの疼きが全身に燃え広がるような悦楽で瞼までが紅く染まってしまう。
「ボディソープ?付けると滑らかさが増すのと泡が立つな」
 何だかナゾナゾをしているような気分だった。祐樹が普段のように明確な意図を持って質問をしているのだろうが、その意図が全く不明だったし何故そんな質問をされるのかも尚更分からなかった。
「そうです。ボディソープを付けたという前提で、聡の肢体で私の背中を洗うような動きをしてみてください」
 祐樹が広い肩や背筋が伸びた背中を向けてすくっと立ったので、自分も後ろから抱き付いて身体を動かした。
「あっ……胸の……尖りとか、下半身が……当たって……気持ち……悦っ……」
 祐樹がレッスンだと言っているしボディソープはもちろん付けていないのに祐樹の背中だと思うと焼けるような悦楽の疼きが全身を真紅の炎に包みこんでいくようだった。
「私も、とても気持ちが良いです。胸の尖りとか、ついでに宝石も、ですが。
 それに下半身の水晶の雫を浮かべた場所が背中を弾いて下さっていて。
 背中だけでなく前も同じようにして下さったら、それが『入浴介助』ですよ?」
 え?と目を見開いてしまった。ついでに紅色に染まった唇も半ば開いて祐樹の端整な顔立ちを問うように見つめてしまう。
 祐樹が可笑しそうな感じで唇を弛めて僅かに笑みを浮かべた後に口を開いた。












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                            こうやま みか拝