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「絢爛豪華な蛍の乱れ飛ぶ川の近くよりも、蚊帳の白い布に数十程度の瞬きしかない二人だけの闇の中の方が視覚よりも他の感覚でお互いの愛情を冴え冴えと感じることが出来ますね。次の愛の仕草が紅絹のように仄かな光しか放たないのですから、聡にも分からないでしょう。
たまにはこういうのも素敵ですね。
それにこの旧家の天井の高さとか、愛の交歓に耽っていても人の気配が全くしなかったでしょう。ということは鳴かない蛍に代わって甘い艶やかな声でどこを愛して欲しいのか仰言ってくださいね」
仄かな紅さしか見えなかった胸の尖りを唇に軽く挟んで熱い息吹で言葉を紡いだ。
紺色の浴衣から覗く艶やかな白く紅く染まった素肌が紺の褥の上で蛍の光よりも鮮やかな艶やかさを纏って微風を受けた絹のように艶めいているのも普段とは異なった儚げで朧げな色香を放ち続けているのもこの蚊帳の中で愛を交わす秘めやかさに相応しかったが。
「ああっ……ゆ、裕樹っ……」
唇の代わりに歯で挟んで硬く尖った側面部を左右に揺らすとほんのりと紅く色付いたような艶めいた慎ましやかな嬌声が灯火のない部屋を染めていく錯覚に酔いしれた。
恋に焦れた蛍のように乱れた浴衣から練り絹のような艶めく腕が裕樹の旅館備え付けの浴衣の帯を解いてくれるのを視覚よりも最愛の人の素肌の方を念入りに拭いていたし、そもそも同じ浴衣といっても最愛の彼が行きつけの百貨店で購入したーー普段は和服を扱っている階には足を踏み入れないものの、京都の街は和服の需要が多いこともあって裕樹の勧め通りに購入したーー職人の匠の技で精魂込めて作ったものと、多分素材は同じでも単価の安そうな裕樹が身に纏っている物では素材すら異なるのではないかと思われるほどの雲泥の差がある分、腕の中の最愛の人の器用さを以ってしても素肌に纏わり付いたままだったが。
サラリと艶めいた素肌を微かな衣擦れの音も涼しげに練り絹のような艶めく素肌の面積を確実に広げていく最愛の人は夜に咲き誇る艶やかな大輪の牡丹の趣きでーー蛍の光よりも裕樹の愛に身を焦がしているようにーー仄かな光を帯びて艶やかに震える脚を裕樹の腰へと巻きついてきた。
「ゆ…裕樹っ…花園の……中の……蕾もっ……胸の尖りと……同じように……愛して……欲しっ」
温度のない蛍の煌めきよりも熱を帯びた艶やかな小さな声が風情の有る蚊帳の中を一際鮮やかに彩っていくような錯覚を覚えた。
裕樹のばら撒いた熱い白珠の雫を花園の外へと煌めく場所を変えさせた時に敢えて蕾を避けていたことに焦れたのだろう。もちろん裕樹も愛の具体的な行為をねだる最愛の人の甘く艶やかな声を聞きたかったので大歓迎だったが。
「指は何本お望みでしょうか」
指でも、そして裕樹の魂に一番近い場所ではないかと思える熱い楔でも知悉した極上の花園の最も弱い場所だったが、仄かな光しかない蚊帳で覆われた愛の空間では普段と異なる甘く乱れた肢体を視覚以外で愉しむのも新鮮な体験だったし、最愛の人も多分同じだろう。
裕樹の浴衣に宿った最愛の人の先端部分から溢れた水晶の雫が蛍の光よりも鮮やかに空間に煌めいた後に紅絹のような素肌に堕ちていくのも幽玄の幽けさに相応しい眺めだった。ごく一瞬の煌めきだけにより一層の鮮烈さと儚さで目を奪われてしまった。
「に……二本の……指で……愛して……欲しっ……」









どのバナーが効くかも分からないのですが(泣)貼っておきます。気が向いたらポチッとお願いします!!


◇◇◇
都合により、一日二話しか更新出来ないーーもしくは全く更新出来ないかもーーことをお詫びすると共に、ご理解とご寛恕をお願いいたします。
やっとリアバタがー段落ついたので、次回更新分からは毎日更新を目指します!(目指すだけかも……(泣)


あと、熱烈リクエストがあった「蛍の光の下のデート」も超短編で書こうかと目論んでいます!ただ、ストーリー性が強いのは「夏」なので、そちらを優先したいのですが、予定は未定(泣)