白く薄いカーテンから健康的な陽射しが降り注ぐ中で、奥処はまだ熱を持って疼いている花園の門を開くのは背徳的な昏い悦びと集中に指先が震えてしまう。
指の動きに従って太ももを伝う裕樹の真珠の迸りをまざまざと感じて、声を上げてしまいそうになるのをため息でごまかした。
「花園の中も胸の尖りと同様に真紅で、とても綺麗ですよね。いつも以上に紅さを増しています。真紅の薔薇の花びらに真珠の雫が宿ってとても蠱惑的な眺めです。
……それに聡の爪の色からは貧血は認められません……一安心しました、よ」
裕樹の強い眼差しの光が花園を焼くような勢いで凝視されているだけで花園の中が勝手に動くのを止められなかったが、裕樹の満足そうな低い明晰そうな声を聞くと心が愛情の甘い蜜で満たされるような気分が羞恥心を上回るのも事実だった。
自分が裕樹の怪我を心配しているのと同じ量で裕樹も自分の体調を案じてくれたかと思うと苺の甘酸っぱさを彷彿とさせる気持ちも湧いてくる。
「心配してくれるのはとても嬉しいが、本当に大丈夫だから。愛する裕樹と二人きりで過ごすのが私に取っては一番の薬だと思う」
花園の開いた部分をお湯で濡らしたタオルで丁重この上ない仕草で拭われてから太ももに下りていく厚いタオルの感触がとても気持ちが良かった。先程までの目眩く悦楽の炎のような快楽ではなくて甲斐甲斐しく世話を焼かれている乳幼児になったような気がして安らぎで心が凪いでいく類いの心地良さだった。
「二人きりで部屋に篭って過ごすのも捨て難い魅惑的なプランですが……そうしましょうか」
裕樹の声に僅かな不満の響きをーー多分今までの自分だったら気付かなかった程度で、これ以上好きになることはないと思っていた、昨日までの自分ではなく「惚れ直した」今だからこそ分かるのだろうーー察知して首を横に振りながら答えた。
「どこに行くにせよ、裕樹が連れて行ってくれるなら、そこが私の居たい場所だから。二人だけで散策するのも大好きだし、その辺りは裕樹に任せる」
付き合い始めてからずっとデートプランは裕樹に考えてもらっていて裕樹もそれを苦にしている様子は全くなく、むしろ嬉々としてプランニングしている感じだったが、これからは裕樹の喜ぶような場所を自分でも考えないといけないなと密かに決意した。
「最愛の聡に喜んで頂けるような場所にお連れしますよ。聡は前髪を下ろすと随分印象が変わりますが、念のために貴方が最もカジュアルだと思われる服を買って来てくださいね。二人の自宅まったりデートの時に一緒に観た『ローマの休日』ごっこを楽しみましょう」
あちこち濡れた場所を全て拭き取られてからワイシャツまで着せようとしてくれる優しい恋人の手を制止した。
「裕樹、この神様の贈り物のようなこの休日の間は……私のことだけではなくて、左腕のことも考えて欲しい」
腱などの重要な場所の怪我ではないものの鋭利なメスで切った傷なので安心は出来ない。
「ああ、この怪我ですか?大丈夫ですよ。最愛の聡が傍に居て下さりさえすれば、精神力で治します」
病院で打った鎮痛剤が効いているのだろう。裕樹の明晰な声には痛みを堪えている感じも全くなかったし、太陽を彷彿とさせる笑みにも欠けたところはなさそうだったので一安心したが。
精神力で治せるなら自分達の出番のないことも当然裕樹は弁えているだろうが、何だか裕樹太陽の光のように力強い揺るぎのない眼差しを見つめていると本当に精神力だけで治しそうな感じもしないわけではなかったが、我慢強い裕樹のことなので鎮痛剤の効果が切れる時間だけは自分が把握していなければならないなと思いながら微笑みを返した。
「そうだな。ただ、『ローマの休日』ごっこはとても嬉しいが、そんなに顔を……あ、テレビか」
二人きりになった嬉しさの余りうっかり忘れていたし、その上別世界のような「日常感」溢れるーーこのホテルは初めて裕樹と肌を重ねた自分にとって一生の記念日とも言える日からずっと使っているので第二の我が家のような感じのーー場所なので気が緩んだせいと、理性を飛ばすほどに愛された身体の熱い疼きも加わっていたので、何だか遠い日のことのように思えていたが、実際は今日の朝のニュースからずっと同じ映像が使い回されていたことを思い返して自分の考えの至らなさに頬が赤くなった。
「そうですよ。だからなるべくカジュアルな恰好をして東京からとか、ああ、何だったら日系アメリカ人が観光に来たとという設定にでも致しましょうか?私の英語力『も』格段の進歩を遂げたことを聡に認めて貰う絶好の機会ですから」
アメリカの病院で勤務歴がある自分と異なり、裕樹はずっとーーむしろその方が大学病院では普通なのだがーー日本暮らしだが、最初は二人の真の関係が周囲に露顕した時に備えて、その後は国際公開手術という難易度は物凄く上がる目標のために英語のレッスンも激務にも関わらず続けていたことも知っている。自分の手技を唯一の頼みの綱としてアメリカから医療費全額負担で病院にいらっしゃる患者さんの主治医を裕樹が率先して引き受けてくれていることも。
「そうだな……不思議そうな顔をされたら英語に切り替えようか」
裕樹の神懸かり的な手技がどの程度映っているかはまだ観ていないので何とも言えないが、この目で見た全てが記録されているなら、アメリカの医学界も裕樹に注目をするに違いなかったので、なおさら英語力は必要だった。
「ワイシャツのボタンなのですが、三つくらい外した方が宜しいかと。ノーネクタイとはいえ、一番上まで留めるとーーその方が禁欲的で素敵ですがーーカジュアルには見えない上に怜悧で涼やかかつ華やかなお顔は職場でのものと変わらないので。ココだけは紅く尖っていますが、ね」硬く凝った場所を裕樹の指で弾かれて背筋に紅く細い稲妻が奔った。あらぬ声が出てしまいそうなのを唇を噛んで堪えた。
身支度をしている間中、裕樹の視線を感じて甘い疼きが身体の奥からシャンパンの泡のように後から後から込み上げてくる。








何だか長くお休みを頂いている間にYahoo!さんにも日本ぶろぐ村にも仕様変更が有ったらしく、メカ音痴な私はサッパリ分かりません(泣)

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◇◇◇
都合により、一日二話しか更新出来ないーーもしくは全く更新出来ないかもーーことをお詫びすると共に、ご理解とご寛恕をお願いいたします。
やっとリアバタがー段落ついたので、次回更新分からは毎日更新を目指します!(目指すだけかも……(泣)
早く「夏」も再開させないといけないですし。自業自得とはいえ宿題は山積みです。