「ああっ……んっ……零しちゃう……」

 先程の声よりも艶っぽさが増している。素人どーてー君だったら、それだけでイってしまいそうなほどだった。先ほどのショーでオレが舞台に上がる前にあんなに嫌がっていたのと同じ人間だとは思えないほどに艶やかさと淫らさと無垢さがオパールのように多彩な色を放つような綺麗な喘ぎ声だった。

 片手で谷間を開きつつ、中指を肝心な場所を確かめるように動かした。

「あんっ……中から零れて……止まらないっ」

 白いワイシャツを着たユキの乳首もオレの舌と歯で弄っていたお蔭で布地にピタリと貼り付いていて可憐かつ淫らな突起と化していた。

「下着もだいぶ濡れているな……。ほら聞こえるだろう?」

 指を動かすと、淫らな音が路地裏に小さく響いている。

「うん……。聞こえる……。でも、ああんっ……」

 濡れて貼りついた乳首が可憐過ぎてつい舌で全体を確かめるように辿っていると、よりいっそうユキの身体がオレの方へと仰け反って来る。

「こっちはどうなっている?」

 前に手を回すとしっかり立ち上がっている。

 これが二回目とは思えないような適応力に内心驚いていた。

「ああっ……拓かれていくのが……あんっ……あん……」

 ユキの声ではなかったし、何だかワザとらしい感じの喘ぎ声だった。

 この辺りは「そういう」店が多いので「店外デート」の――もしかしたらオレの業界のようにお客さんと店の外に出るには別料金になっているのかもしれない――お取込み中なのだろうか。

 そこそこ綺麗な顔立ちをした華奢な青年とお金持ちオーラ全開の中年男性が繋がっていた。

 そして、男性が後ろから衝きたてる度に「あんっ……おっきくて……硬いの……僕のお腹に……入っているっ」と言っているものの、こちらからはそんなに興奮していないことも分かってしまう。

 多分、「そういう目的」の店外デートの料金は高いのだろう。だから嫌々ながら付き合っているといった感じだった。

「今頃、あの店では群集心理で大変なことになっているのは想像がつくよな?」

 ユキも身体を繋げている二人を見ていた。それも他人の「行為」を覗き見しているという感じではなくて、研究者が対象物を観察しているような眼差しで。

「それはそうだね……。ユリさんなんてノリノリだったし……。ただ、ユウジさんのおっきいのじゃないと奥まで届かないとかで……。本当はユウジさんとしたかったと思う。

 だけどそれとリョウが手を止めたのはどう関係が有るの?」

 ユキが不思議そうに聞いている間にもお盛んな二人の――いや本気で興奮しているのは一人だけかも知れないが――行為は続いている・

「ああっ……奥の奥まで届いてっ……気持ちイイっ!!」

 そんなことを言いながらオレの顔を見て嫣然と微笑んでいる。まあ、ルックスもだが、その中年男性の息子よりも立派な物を持っている自覚は有ったので、当然かも知れないが。

 ただ、お相手をする気にはなれないが。顔は整ってはいるが、いかにも頭の弱そうな感じだったし「奥まで届く」とか言っている時点で――まあ、それを信じる人間も居るのだろう――括約筋の奥のS状結腸まで届いているという意味ならあの小父さんのモノは長さが足りない。

「ユキ、あの青年は演技をしている。それでもああやって盛り上がっているだろう?

 粗末なシロモノでもあんな演技が出来るのだから、ああいうのも見ておいた方が良い。

 それに、オレ達の場合は舞台に上がるわけだからその点も加味して勉強をしておいた方が良いと思う……」

 ユキとのお愉しみを邪魔されたのは残念だったが、それよりも優先すべきは舞台に上がったオレ達、いやユキが皆の視線を集めて、そして目当てのお金を稼ぐことだろう。

「そうだね……。人がしているのを見るのも勉強だし、舞台の上で一番観客の目を惹くようなショーを見せないといけないもんね……」

 先程のオパールのような艶っぽさではなくて、何だか真摯な声でそう言って来た。

 オレもユキの身体から手を離して、その真剣さを助けようとした。

 ただ、ユキはオレの肩に頭を載せて来たのは嬉しかったが。

「ああっ……。ああんっ……。乳首も虐めてっ……。

  イケメ……じゃなくて……あの可愛い子が、興味津々で……見てるから、あの二人にっ、あんっ強いっ……当ててるだけでも、凄いのに……動かれたらっ

 あの二人に見せつけようよ。ヒロシさんも、興奮するでしょう……だから……頑張って」

 どうやら見物の許可を貰ったようだったし、ユキもこんな特等席で――と言う割には寂れているが仕方ないだろう――「他人の行為」をじっくり見る方がこの後に控えている本番ショーの参考になるに違いない。

「ああっ……イク……イクっ……。ヒロシさんが凄すぎてっ」

 青年が自分の息子を擦りたてながらオレの顔を見ている。何だか「おかず」にされたような気もしたが、その辺りは気にしないようにしよう。

「そうか。私の息子がそんなに良いかね……」

 荒い息を吐きながら満足そうな声で確かめている中年男ももうすぐフィニッシュだろう。

「ああっ……イクっ……。乳首ももっと虐めてっ」

 中年男のモノも――多分だが――極限まで大きくなっている。

 少女のような乳首だったが、色素沈着が気になってしまった。そこにも太い指が強く摘まんで捻っていた。

「ああっ……」

 青年が白い液をピシャっという音を立てた。

「うう。もう堪らないっ!!」

 中年男の律動が一際激しくなった末に、満足そうに身体を震わせてフウと息を吐いた。

「ヒロシさんのおっきなの、とても良かった。また誘ってね。アイのココ、ヒロシさんのじゃないと嫌だって言っているし……」

 こんな気持ち良いコト、ヒロシさんとなら毎日したい」

 アイという青年はオレの顔を見ながら言っている。しかも、その眼差しは明らかにオレに媚びを売っていた。

 ヒロシというのは良い金蔓なのだろうが、だったらそっちの客に集中しろと思ってしまった。

 ユキはずっと身じろぎもしないで行為を見ていた感じだったがどう感じたのだろうか?






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