腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

2023年02月

気分は下剋上 映画館にご一緒に 6

「こういう場所も何だか新鮮だ」
 弾んだ声で周りを見回している最愛の人が言う通り祐樹にも目新しいエリアだった。
 地下鉄を降りて映画館の方へと歩き出したら、周りはショッピングモールと飲食店の複合型のエリアで、しかも飲食店が独立しているわけではなくて壁で仕切られただけで、お寿司屋さんの隣にスペイン料理といった感じに雑多に同居している。
「お値段的にも安いですね。ただ長居は出来そうにないので色々なお店でちょい呑みを楽しむ趣向なのでしょう」
 店の前にはメニューが様々な意匠で書かれてあった。その価格帯は驚くほどリーズナブルで驚いてしまう。こういう一等地で元は取れるのか他人事ながらも心配してしまうほどだ。
 定時で上がったと思しきサラリーマン風の男性客が居酒屋風の店に居て、その横ではОL風の女性客のグループがシャンパングラスと見た目も物凄く綺麗な海老のマリネや何だかミルフィーユみたいになっているスモークサーモンと思しき料理などをスマホで撮影していた。多分SNSで拡散されることを前提とした所謂(いわゆる)()え」を狙った料理だった。
 そういう光景を見ながら通路を歩くというのは祐樹も初めてだった。
 祐樹以上に出歩くことの少ない最愛の人なので殊更珍しいのだろう。普通はお店の入り口から入らないとこういう光景も見ることが出来ないので。
「このエリアも映画が終わった時間には閉店しているのが残念です……。ただ、大阪の例のホテルからきちんと連絡はして貰えましたので、予約はしています。
 ああ、それから病院関係者に遭った場合は『鬼退治映画を観に来た。内田教授や浜田教授に勧められて』だけ言えば大丈夫です。ウソは真実を混ぜると本物っぽさが増しますので……」
 楽しそうに微笑み、周りを見回しながら歩いている人に一応注意はしておくことにする。
「分かった……。祐樹はウソをつく時には色々考えているのだな……そういうのは……」
 一瞬だけ()が空いたので、ネガティブな言葉が返ってくるのかなと思って内心身構えた。ただ、魑魅魍魎の跋扈(ばっこ)する大学病院で生き残っていくためには嘘も方便だと思っている。
 そんな祐樹も最愛の人に対してはウソをついたことはない。というのも、この無垢な心を持った人に方便とはいえウソを言うことは祐樹自身が薄汚れた人間であることを思い知らされるだけのような気がしていたので。
「これから色々と祐樹に教えを請うことになると思う。祐樹にとって負担にならないようにするので……。浜田教授とあんなに仲良く話せるようになったこと自体も嬉しいことだし、そもそも小児科病棟のハロウィンでの仮装を祐樹が快く引き受けてくれたからなのだけれど……。
 ただ、共通の話題で盛り上がれるような私的な交流ではなくて、これからの……選挙に向けた取り組みもしていかなければならないなとは思っていて、そういう意味では祐樹のアドバイスとかコミュニケーション能力がこれまで以上に必要となって来るので……。『嘘も方便』という(ことわざ)の実践を私も学ばないと……」
 ああ、そっちかと心の構えを解いた。
「それは任せてください。それに貴方だって人間関係構築能力は目覚ましい進歩が有りますよ。
 それは(はた)から見ていて強く感じます。また、先程『選挙』としか(おっしゃ)らなかったですよね?この人ごみで不用意な発言だと咄嗟に判断されたのではないでしょうか。誰が聞いているかも分からない場所での対処法も上手くなりましたよね」
 以前は確かな手技に裏打ちされた患者獲得数という点だけで教授会に存在感を示していた。それが今は来たる病院長選挙に向けて色々な科の準教授などにも自然な笑顔で接するようになったのは見て知っていた。
 基本的には教授が停年などで辞めた場合准教授が繰り上がるので妥当な判断だと思っている。
「そうか?祐樹にそう言って貰えるととても嬉しい。ただ、自分ではまだまだ未熟だとも思っているので以後宜しくお願いする。気が付いたことが有れば何でも言って欲しい」
 そんなことを話しながら映画館のエリアに着いた。
「ネットで申し込んだ場合は自動発券機を使えというメールが来たのですけれども……発券機とやらは窓口ではないですよね……」
 祐樹も映画館に足を運んだのはいつ以来なのか記憶も定かではないのでスムーズに行動出来ない。映画の大型のポスターなどが貼られていたり飲食物の――最愛の人が食べたがっていたポップコーンもしっかり売られている――コーナーが有ったりする独特の雰囲気を瑞々しい笑み浮かべて珍しそうに眺めていた最愛の人が真顔になって辺りを見回した後に、祐樹の贈った手袋に包まれた指を向けている。
「あの機械ではないかと思うのだが?何故なら祐樹と同じようにスマホを片手に操作している人が居るので」
 言われてみればその通りのような気がする。
「有難うございます。行ってみます。はぐれてしまった場合には……」
 鬼退治映画の開演時間にもまだまだ余裕が有るので、初めて来た映画館を散策したいのではと思って言葉を掛けると、細く長い首が優雅な動きで横に振られた。
「一緒に行く。時間は大丈夫なのだろう?発券した後で祐樹と一緒に色々見たいし、もしかしたらあの機械ではないかも知れないし……」
 映画館というのも何となく非日常といった感じなので最愛の人もスーツ姿ながらもとても楽しそうな弾んだ笑みを浮かべている。話題の映画だけに周りの人も皆同じような表情を浮かべているので違和感はない。
 最愛の人が指し示してくれた(ほう)へと歩みを進めた。
「ビンゴでしたね。教えて下さって有難うございます」
 そう言いながらメールに記された数字列を入力してから機械の指示に従って電話番号を打ち込んだらレシート状のモノが出て来た。
「こういうシステムになっていたのですね……。これ、貴方の分です」
 紙片を渡すと黒い手袋の上に置いて切れ長の目を楽しそうな感じで見開いているのが印象的だった。
「やはり、祐樹の横の機械で男性が発券したのは豪華客船の映画だった。あの女性と来ているのだな……」
 祐樹だけに聞こえる声で言葉が紡がれる。
「鬼退治映画はアニメなので――いや、内田教授や浜田教授も観に行くと仰っていましたけれども――以外にも大人が多くてある意味ビックリしました」
 ハロウィンの仮装の一件で今時(イマドキ)のアニメを知ったのだけれども、それまでは子供向きかと思っていただけに。
 最愛の人はごく薄い紅色の唇を楽し気に開いた。どんな言葉が紡がれるのだろう?




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寒暖差にすっかり体調を崩してしまっている今日この頃です。
実は今回更新分は18禁を書く気満々だったのですが、「鬼退治」はともかく「豪華客船」は上映終了でして……。先を急ぐことにしました。楽しみにして下さった読者様(いらっしゃるのかな?)は申し訳ありませんでした。映画が終わった後に回しました。

読者様もお身体くれぐれもご自愛ください。
  こうやま みか拝


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気分は下剋上 二人がどうして探偵役? 142

「西ケ花桃子さんですね。お手数ですが署にご同行をお願いします」
 年かさの警察官が自信満々といった感じで宣言している。
「分かったわよ。ただ、身支度をする時間を頂戴」
 彼女はむしろ清々した感じだった。
「了解しました。こちらの女性がお付きしますので」
 昔は婦人警官と言ったが看護婦が看護師に替わったように呼び名も異なるのかどうかまでは祐樹も知らない。
「分かったわよ。散らかっているけれど、どうぞ」
 無表情でもきびきびとした動作の女性を伴って奥の部屋に消えて行った。
「本当に警察が来たのですね?」
 森技官は警察を動かせないからという理由で最愛の人と祐樹に頼んで来たのに、自供したら異なるのだろうか?
「森技官に『西ケ花さんが自供しましたけれども、どうすれば良いですか?』と連絡したら『警察官を向かわせるのでその後は署に行って詳しく事情を教えて欲しい。そうでないと全然こちらでは事態を把握出来ない』とのことだった」
 最愛の人が疲れたような溜め息を零しながら祐樹に教えてくれた。
「確かにそうですよね。まさか警官の方が来られるとは思ってもいなかったです。……初めましてK大附属病院の田中と言います。宜しくお願い致します」
 年かさの警官がこの場を取り仕切っている感じだったので挨拶をすると戸惑ったような笑みを浮かべている。
「ご丁寧に有難うございます。いや、我々も署長の指示でして。『西ケ花桃子さんを署に連れて来い』とだけ申し付かりまして。
 こういうことは前例がないので戸惑いました。改めまして半田と申します」
 先ほどの自信満々な態度はどうやら演技だったらしい。もしくは警官だけに一方的な命令は慣れているのでその通りにしただけかも知れない。祐樹にはどちらかは分からなかったけれども。
「半田さん、我々はどうしたら宜しいでしょうか?」
 刑事ドラマなどでは犯人を見つけるのも警察の仕事なので事件の動機とか経緯は当然知っている人達が逮捕までしている感じだった。
 しかし、この「事件」は警察には経緯すら分からないのでこの後も最愛の人と祐樹が説明をしなければならないくらいのことは分かった。
「香川教授と田中先生は別の車を用意してありますのでどうぞそちらにお願いします」
 やはり有無を言わせない感じでキッパリと言われた。
「分かりました。かなり時間は掛かりますか?」
 どの程度の時間が必要なのか程度は把握しておきたいのでそう聞いてみた。
「本官はそれ以上の命令を受けていないので分かりかねます……」
 物凄く申し訳なさそうな感じで言われた。「夏の事件」の時には森技官の大学時代の同好会だかクラブ活動だかの繋がりで島田署長という人に会ったし話したことがあった。ただ、彼はキャリア官僚だし祐樹が普段接する警官と――救急救命室に搬送されて来た怪我人で様子のおかしい人に対して尿検査を行い、薬物反応が出たら警察に知らせる義務が医師にはある――同じく低姿勢だったけれども、半田さんももう一人の警官も何が何だか分かっていなさそうだ。
 多分森技官が署長にだけ説明してその命令だけを受けてここに来たという感じだろうか?
「ああ、手伝いますよ?」
 最愛の人は血液検査の結果のプリントアウトとかの書類を束にしている。
「有難う。ゆ……田中先生。血液検査以外の書類を纏めてくれると助かる」
 西ケ花さんを自白に追い込むために色々な書類を大胆に披露していっていたので、リビングは紙の山だった。
 ただこの資料は警察にも提出しないと引継ぎを受けた警官だか刑事さんだかが困るだろう。
「では、お二人は車に乗って署までご足労願います」
 まあそういう流れになるだろうなとは思っていたので素直に頷いた。
 西ケ花さんは最愛の人と祐樹を警察庁の人間だと思っていて――というよりも森技官がお得意のでっち上げだか、本当にそう登録したのかは分からない身分証を持っていたのだから当然だったけれども――お得意の捏造だったらかなりややこしいことになるので早々に離れた方が良さそうだ。
「これで最後ですよね?」
 ウーバーで頼んだと思しきお弁当箱が散乱するリビングの机の周りに持ち込んだ書類が残っていないかの最終チェックを行おうとした。
「大丈夫だ。書類の枚数は覚えているので」
 空恐ろしいことをサラリと告げる最愛の人の端整で怜悧な顔をギョッとして眺めてしまう。
「では後は宜しくお願い致します」
 半田さん――階級は知らない――にそう告げる最愛の人に半田さんは敬礼で返してくれた。もう一人も半田さんに倣って敬礼をしてくれて何だか本当に警察の上部組織でもある警察庁所属の人間になったような、そして刑事ドラマの出演者になった気分だった。
 マンションの車寄せには――と言っても住民がタクシーを降りる時程度にしか使われないだろう。最愛の人のマンションでも同様だったけれども自家用車は直接駐車場に入れる規則になっている――パトカーと白塗りのセダンが停まっていた。偶々(たまたま)帰宅したと思しきマンションの住人が「何が有ったのだろう?」と思っている感じの表情でパトカーの横を通り過ぎている。まあ、祐樹だって最愛の人のマンションの車寄せにパトカーが停まっていたら同じような表情になってしまうだろうけれども。
「香川教授、田中先生ご協力感謝致します。署長の代理で参りました、長谷川と申します」
 警察手帳でも身分証でもなく名刺を差し出して挨拶してくる長谷川警部補は、警官というより何となく営業マンといった感じだった。
 パトカーまで停まっているという「非日常」な空間で祐樹も名刺を取り出して挨拶をするという「日常」――と言っても祐樹が名刺交換をするのは心臓外科の医局ではなくてAiセンター長として医療機器メーカーの営業さんとその上司が挨拶に来た時くらいだ――的なことをするのが何だか可笑しい。最愛の人も淡い笑みを浮かべて名刺入れを取り出している。













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気分は下剋上 映画館にご一緒に 5

「……ただ、YouTubeで活躍している人なのでツイッターとかも物凄い数のフォロワーが居て拡散されるみたいですけれども、私達はそういうことはないので大丈夫だと思いますが」
 「例の地震」の時のニュースとかそれに付随するドキュメンタリー番組とかトーク番組に出たので知名度は格段に上がった。
 以前は最愛の人はビジネスパーソンが読むような雑誌に病院長命令で取材を受けていて一定の知名度が有ったものの、テレビの影響力の凄まじさは身を以って体験している。
 二人で街を歩いている時にはすれ違った後に振り向かれて同行者と囁きかわされることなど良く有ったし、いきなり声を掛けてこられて「応援しています」とか「感動しました」とか言われて握手を求められたことも数えきれない。割と有名人でもスルーする京都ではなくて人との距離感が近い大阪の街でのことだったけれども。
YouTubeはPCやスマホを注視するのが普通だと思うのだが?久米先生などは違うのか?」
 最愛の人が不思議そうな響きで聞いてきた。
「そうですね。特にそのYouTubeチャンネルは視聴者からの相談を皆で解決するスタイルなので久米先生は医療関係などの相談の場合は良く連絡を取っています。救急車からの直通電話が来ないかハラハラしてアドバイスしていますよ」
 話がつい脇道に逸れてしまう。ただ、後の戯れの一環として髪を梳いたり優しいキスを顔や肢体に落としたりしながら交わす言葉は全て睦言になる。
「医療関係のアドバイス……?医師は直接患者さんを診ないと診断出来ないハズだが?」
 紅色に染まった花のような顔が匂いやかな笑みを浮かべている。教授執務室で交わしていると割と深刻な話題だけれども、ベッドの上だと恋人同士の軽やかな雑談になる。
「いえ、例えば診断書が偽物(ぎぞう)なのかとかそういうのを協力していました。スマホの画面を必死に見て真偽を判断していましたよ。特に痛快だったのは『癌』という字が間違っているのを発見した時の喜びようでしたね。何だか躍り上がって喜んでいましたし、その配信者にも感心されてしかもコメントも賞賛で溢れていて小躍りしていました。医師なら癌の文字を間違えるはずはないですからね」
 紅色の額に唇を落としながら告げた。
「なるほど……。久米先生もだけれども、YouTubeの場合はスマホなどの画面を注視するだろう?
 それに比べてテレビの場合は他のことをしながら、重要なことや関心のあることだけを注目して観るだろう?
 少なくともニュースとかはそうだし。例えば東京行きが決まっている日の朝は東京の天気もキチンと聞くけれども他の日はそうでもない。
 だから画面に対する集中力がYouTubeとテレビでは異なると思うのだ。だからそのYouTube配信者さんほど世間に周知されているとは思えないな……」
 最愛の人の言う通りだ。そこまでテレビとYouTubeの視聴の違いを意識していなかった自分が情けない。
「仰る通りですね……」
 ツンと可憐に尖ったルビーを掌で転がすように撫でた。
「祐樹……。それ……とても気持ちが()い……」
 艶やかさを帯びた声はともかくとして上半身がしなやかに反って祐樹の手に強く押しあてられた。その愛の反応がとても嬉しい。
「そう言えば、鬼退治の映画は遊郭が舞台なのですよね?花魁(おいらん)の夜の描写まではされないと思いますが……。例えばこういった、ね?」
 胸の小さな硬く魅惑に満ちた粒を歯で挟んで舌で転がす。
「あっ……()っ……。
 確かに全く描写はされていないな。少年誌に連載されていたわけだし……んっ……。花魁(おいらん)道中(どうちゅう)はとても……綺麗に描写されていたけれどっ……。
 ただその花魁道中に付き従う禿(かむろ)の女の子二人は……和歌や古典の英才教育を……受けているハズなのにっ……絵本を読んで欲しいと……敬愛する花魁にねだっていた……あれには違和感を……抱いたな……」
 祐樹の指や唇での愛撫が最愛の人の肉体の悦楽具合が声の旋律で分かってしまう。
「それはワザと幼く描いたのでは?遊郭の実態を知らしめるアニメではないでしょうから……。遊郭と言えば、まあ、女性に興味は抱かないですけれども、正装した花魁と(つか)()の情交を愉しむ『昆布巻(こぶま)き』はしてみたいですね。特別な関係ではないと出来ないらしいですから」
 鬼退治映画の舞台の大正時代には存在したのかどうか知らないが陰間(かげま)茶屋(ぢゃや)の、将来の女形(おやま)候補として春を売っていた女装の人の方がよほど好みだった。最愛の人は現代風の女装は似合わない――別に祐樹も求めていない――けれども、花魁の恰好だとしっくりと馴染むような気がするので。
「昆布巻きっ……?」
 随喜の涙に濡れた艶めいた眼差しが疑問の光を揺らめかせている。
「聡が作って下さったお節料理にも入っていましたよね?
 あれって昆布を(おび)みたいな物で巻いているでしょう。元旦だったか二日だったかは忘れましたけれど、その日だけは客と『そういう』行為はしないで単なる挨拶の日が有ったらしいです。
 ただ、特別な客には帯を解かないで肌を許したらしいです。肝心な場所だけを露出しているのって却ってそそられますので……。帯以外の上半身のココとか……双丘の奥とかだけを愛するのも大好きですので」
 歯で強く噛むと上擦った嬌声が艶やかで濡れた空気を醸し出している。
「聡の場合、胸の尖りを強く愛すると……花園の凝った場所が、ね?」
 三本の指を使って強く弾くと祐樹の指の間から煌めくルビー色の慎ましやかな尖りが扇情的な光を放っていてそそられる。先ほど真珠の白濁をばら撒いた花芯もすっかりと育ち切ってオパール色の液体が先端部分から茎の部分に滴り落ちている。
 その紅さと乳白色の煌めきも綺麗で触れずにはいられない吸引力を持っていたけれども敢えて無視する。
「うつ伏せになって下さい。出来れば腰を掲げて……」
 祐樹の言葉に最愛の人の紅色の肢体が蝶のように翻った。後の戯れから愛の交歓へと移行するのは最愛の人も望んでいるようだった。
 その証拠に足を開いただけではなくて先ほどの行為の痕が色濃く残っている双丘の熟した桃の色が大きく開かれて、祐樹の指を誘っている。
 そして紅色の素肌には祐樹のばら撒いた真珠の迸りがそこかしこに宿っているのも扇情的過ぎる眺めだった。





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気分は下剋上 二人がどうして探偵役? 141

 西ケ花さんは諦めたような放心したような表情を浮かべている。
「そんなの簡単よ。『コレステロールを溜めない食生活』というパンフレットが処方箋薬局に置いてあって、NGって書いてあったモノを逆に利用しただけ……」
 ああ、そういうことかと得心した。理解はしたけれども、医療従事者の努力が悪用されてしまっていることについて個人的には憮然たる思いがした。
「もう一度確認致します。要するに貴女は長楽寺氏が最悪死ねば良いと思って料理をし続けたのですよね?二年前からずっと……」
 諦念めいた雰囲気を漂わせている西ケ花さんは祐樹の言葉に素直に頷いている。
「前に訪れた時と今とではリビングの……雰囲気がかなり異なりますけれど、それはどういう理由ですか?」
 最愛の人は几帳面かつ綺麗好きなので気になったのだろう。祐樹の大学生時代など、掃除は週に一度すれば良いほうで、常に散らかっているといったのが当たり前だった。まあ、最愛の人と暮らすようになってからはなるべく整理整頓を心掛けているけれども。
「絶対に疑われないしバレないと思っていたのよ……。事実警察がこの部屋に来ることもなかったし。でも、貴方達が来たでしょう?それで怖くなって……。何をする気にもなれなくてずっとこうして部屋に閉じこもっていたの……」
 要するに抑うつ状態になったのかなと思う。確かに高コレステロールの食事を作り続けて最悪死に至らしめるという方法は警察には疑われないと――そういう難しい事件(?)を森技官が洗い出して来たのは天網恢恢(かいかい)()にして漏らさずという感じなのだろうか。まあ4億5千万のお金が動くともなれば目立つだろうけれども――ただでさえ性格が楽天的な快楽主義者の西ケ花さんだけに想定していなかったのだろう。
「何もしたくなくなったのですか……?食欲は如何(いかが)ですか?」
 祐樹はこの捜査の切っ掛けとなった森技官の恋人の精神科出身の呉先生から「田中先生は精神科には向いていない
ですよね」とスミレの花のような笑みを浮かべて言い切られてしまっている。
 その点心配そうに言葉を紡いでいる最愛の人は精神科にも造詣が深いので気になるのは当然だろう。
 祐樹などの拙い知識では食欲も性欲も減退するのが抑うつ状態だったような覚えがある。確かにこの前会った時には「三人で愉しみましょう」とかとんでもないお誘いを受けたし、その後で大甘な愛人(パトロン)の長楽寺氏のことを「あの男」呼ばわりが不審だと思い至った最愛の人に頼まれて二人きりになって口説く芝居をした時もノリノリだった。
 それなのに今日は確かにそういう気には全くなれないといった雰囲気を漂わせている。
「食欲はないわね……」
 テーブルの上に積んであるウーバーで頼んだと思しき紙製のお弁当箱の中をさり気なくチェックしたらご飯もおかずも残った状態だった。クーラーが効いている部屋なので腐敗は免れているようだったけれども、このまま放置すれば……あまり考えたくない事態になりそうな感じだった。腐敗はともかく虫が湧くとかは内心苦手だったので。
「そうですか。貴女の精神状態も含めて、上に報告しますので。そう酷くは扱われないように一言申し添えますからご安心を」
 最愛の人が眼差しで「祐樹はここに残って欲しい」と合図してきた。
 彼は森技官の指示を仰ぎにマンションの部屋から出ていったのだろう。
「どこで間違えたのかしら……。あの男が死んだって聞いても全く喜べなかったわ。それに貴方達のような人がいつ来るかと怯えてしまって。
 その怖さを紛らわすためにもアルコールが欲しかったのよ。バレない!!絶対に警察なんて来ない!!だから私の『女の格』に見合った次の男を探そうって自分に言い聞かせていたんだけれども。
 そう言えばカルティエの時計、次に会う時にプレゼントしてくれるって言っていたわよね?」
 何だか時計が欲しいというよりも必死に他のことを考えてこれから起こることから逃避しているような印象を受けた。
 実際は「あんなの嘘に決まっています。捜査の一環ですよ」と言いたかったのだけれど、何だか親にはぐれた迷子のような雰囲気を漂させている彼女に残酷な現実を言わなくても良いような気がした。
「デートの時にお渡ししようと思っていました。残念ですが今は職務中ですから」
 西ケ花さんは何だか投げやりな感じの笑みを浮かべている、しかも無理やりっぽく。
「そうね。デートがいつになるかは分からないけれども……。どうせ死刑になったりするのだから……」
 その辺りの詳しいことは祐樹にはサッパリ分からない。
「死刑にはならないと思います。キチンとした弁護士をつけて戦って下さい。貴女に恋い焦がれる個人的な意見ですけれども……」
 嘘をつくこととか何なら心にもない謝意を込めた土下座だって平気な祐樹だ。
 だからいくばくかの惻隠(そくいん)の情を覚えてしまってそう告げた。
「弁護士の先生……。そうね、お店のお客さんの中で弁護士の先生は数人知っているので、その人の誰かに依頼すれば良いのかしら?」
 何だか洗いざらいぶちまけて清々したといった感じの西ケ花さんだったけれども、何だか心ここに有らずといった感じで会話をしている。
「逮捕状が出る時に『黙秘権とか弁護士を呼ぶ権利が有る』とか言われた場合にその先生に連絡されたら宜しいかと思います」
 そもそも逮捕されるかどうかも祐樹には分からない。警察庁の人間には逮捕権が有るかどうかも知らなかったし、そして正式には警察庁の人間でもないので。
「そう……。そうだわよね……」
 割と高級なマンションだったけれども百貨店からも近い立地なだけにパトカーや救急車の音は良く聞こえる。そのサイレンの音に一々細い身体を震わせている。すっかり観念しきったような感じだった。
「お待たせいたしました。西ケ花さんに事情聴取したいそうです」
 最愛の人が三人の制服警官を連れて戻ってきた。




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気分は下剋上 映画館にご一緒に 4

「それは何度聞いても可笑しくて笑ってしまう……」
 彼がそう言うからには何度か言ったのだろう。
 愛の言葉とか誓いの言葉は絶対に忘れない自信があるけれども、他愛のない話まで記憶しておけるほどの脳の容量は持ち合わせていないのが残念だ。
 まあ、最愛の人は聞くたびに笑ってくれるのでそれはそれで嬉しい。
「豪華客船の恋愛映画が終わるのが22時30分なので、それからでも入店可能かつ本格的なフレンチの店を探しておきますね……」
 そう言ったのだけれども、スマホで確認すると東京とは異なってそんな遅くまで開いているお店が存在しない。
 いやラストオーダーが23時という店はあることは有る。ただ、映画館から出る人の波は「観光地仕様」と祐樹が名付けているゆっくりとした足取りなので23時に到着しない可能性の方が高いだろう。どうしたものかと楽しい思案を巡らせてしまう。
 ホテルのルームサービスという手段が最も良いような気がする。ただ、夜中近くの時間帯にはフレンチのフルコースは中々難しいような気がした。
「映画を観終わった時間で、フレンチというとホテルのルームサービスしかないような気がするのですけれども、聡もご存知のように夜中の限られたメニューになってしまいそうです……」
 あれこれと考えてみたけれども――そしてデートのプランを考えるのはとても楽しい――中々実現は難しそうだ。
「ああ、確かに大阪のリッツだって23時以降は厨房が火を落とすとか料理人さんのシフトの関係とかで夜間は鍋焼きうどんとかのメニューになったな……。あれはあれで美味しいので大好きだけれども……」
 最愛の人が花のような笑みを浮かべている。確かに愛の交歓の後に食べる物は何でも美味だったし、そもそもあの大阪のホテルは何でも美味しい。
 ただ、ケーキ類だけは最愛の人曰く「本店の有るフランスのパリのケーキの味付け」とのことであまり口に合わないらしいけれど。
「大阪のホテルのコンシェルジェさんから京都のホテルに要望を伝えて貰いましょうか?聞いて貰えるかどうかは分からないのですけれども、ダメ元といった感じで……」
 京都にも同じ系列のホテルがあるし、二人もデートの流れで足を運んだことはあったのだけれども「大阪の(ほう)が良い」というのが二人の結論だった。ただ、大阪のホテルは度々泊まっているので常連客というかお得意様扱いになっているようなので、名乗る前にスタッフの(かた)が名前を呼んでくれる。だから多少の融通は効くだろう。
「明日にでも大阪のホテルに聞いてみますね」
 鮮やかな花のような笑みを浮かべた最愛の人が真摯な光を瞳に宿らせている。
「祐樹と映画を一緒に観ることが出来るだけで充分過ぎるほど幸せなのであまり無理はしないで欲しいなと思う。それにバターを掛けたポップコーンとかでお腹が一杯になっているかも知れないし……。鬼退治の(ほう)は『やまかけうどん』がとても美味しそうだったし――まあ、今回のアニメでは食事のシーンはなさそうだけれども――舞台は大正時代の日本だから和食でも良いと思うし……。
 それはそうと、祐樹は鬼退治アニメの最新作を救急救命室の凪の時間とかに観ていないのだろう?」
 何だか探るような感じだった。それほど深刻なものではないにしろ。
「遊郭が舞台の分ですか?観ていないですね。観ておいた方が良いのでしょうか?」
 確かアニメの終わりの二話と新作が映画になるので、常識的に考えて最初から観ている方が物語も分からなくならないだろうなと思い至った。
「どうだろう?観ているに越したことはないけれども、10話以降は映画で観た方が多分良いだろうと思う。
 私は祐樹と異なって時間に余裕が有るので観てしまったけれども、出来れば記憶を消して10話を観に行けたら良いなと思ってしまうので……」
 弾んだ声の中にも何だか残念そうな感じが滲んでいる。愛の交歓の後の戯れが次のデートの話だなんて贅沢過ぎる甘い時間だ。
「聡が定時に上がれるのは卓越した事務処理能力の賜物だと思っていますよ。他の教授では恐らく無理でしょうから」
 何しろ手術(オペ)を午前と午後の二件をこなして医局の責任者としての仕事とか――まあ、(えん)の下の力持ちに徹している黒木准教授という得難い人材が居るとはいえ――その他の業務で普通は残業を余儀なくされていると聞いている。
 頑固な手術職人とか手術室の(ぬし)とか外科医の間で呼ばれていた悪性()新生物()科の桜木先生――今では脳外科の白河教授と外科的アプローチが不可能なレベルの悪性脳腫瘍の全摘手術方法を確立するのが病院長命令だったので以前ほど手術室に入り浸ってはいない桜木先生だったけれども、祐樹が知り合った頃には教授が執刀すると表向きは言っておいて、実際は難易度の高い手技を桜木先生に丸投げをしているというのは公然の事実だった。
 その悪性新生物科の教授――つまりは桜木先生が影武者として執刀している時間が空くハズなのに――残業していた。
「そうかな……。祐樹がそう言ってくれるのだからそうなのだろう……」
 春の陽射しのような声が灯りを落とした寝室に照りわたるような錯覚を覚えた。
「そういえば、映画館のスタッフに顔バレする可能性は有りますね。久米先生が熱心に見ているYouTubeのチャンネルがあるのですけれども、そのユーチューバーさんが豪華客船の映画をわざわざ僻地の映画館に観に行ったらしいです。顔も出している有名な人らしいのですけれども。
 だから自宅は都心の一等地にも関わらずバレるのが嫌で遠い所まで行って観たらしいです。そしてラストのシーンで大泣きをしてしまって、エンディングの途中で抜け出したらしいです。そんな配慮をしたにも関わらずポップコーンとか飲み物を回収するスタッフ二人に容器を渡したら『あ!〇〇さんだ』とその二人が囁いていて物凄く恥ずかしかったとか……。たまたまその部分は久米先生のスマホで見ました。
 そういう顔バレのリスクは私達にも有るかもしれないです」
 懸念点を思い出して話すことにする。何しろ二人の真の関係を公にするのは好ましいことではないので。





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仕事が忙しくて、しかも寒暖差で体調を崩してしまいまして更新が滞ってしまったことをお詫びいたします。楽しみにしていて下さった読者様には申し訳ありませんでした。
周りでも体調を崩している人が多いので読者さまもくれぐれもお気をつけてお越しくださいませ。
  こうやま みか拝




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