腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

2023年01月

気分は下剋上 二人がどうして探偵役? 116

「お電話替わりました。田中です。西ケ花さんは森技官もご存知のように――その節はご協力頂きまして有難うございました。心よりお礼申し上げます――」
 ムッとしたような雰囲気がスマホ越しに漂ってきた。
 弱みを握って交渉を有利に進めるのは森技官の得意技だけれども、するのは良いけれども、されたら腹立たしいのだろう。それに何より負けず嫌いな性格なので。ま、祐樹も同じタイプなので気持ちは痛いほど分かってしまう。
「世の中には正妻タイプと愛人タイプに分類されますよね?西ケ花さんは絶対に後者でしょう?」
 気にしていないふうを装って話を続けることにした。
『絶対に後者?はっ!!実際に愛人として囲われているのですから『ご高説』を伺うまでもなくその通りではないのですか』
 スマホの向こうから侮蔑(ぶべつ)度マックスといった感じの言葉が返って来た。普段なら祐樹も倍返しで応じるところだけれども、そうなると話に収拾がつかなくなる。
「……それがそうでもないのです。西ケ花さんのマンションの部屋に二人して行った時にはクッキーだかを焼いた後の香りが残っていましたし、ブランド物至上主義なのは確かですけれども、マイセンの食器類の選び方が可憐な小花模様で、実際は少女趣味なのかな?とも判断しています。実際に長楽寺直哉さん、つまり真司氏の息子ですけれども、その奥さんの瑠璃子さんも小花のカップを使う人は少女趣味ということを(おっしゃ)っていました。
 それにキッチンには料理上手の恋人が感心するレベルで充実していました。愛人タイプなのは間違いがないのですが、逆に言うと生まれついての水商売に染まった女性なら、調理用具はあれほど揃えないと思います。家庭的なアピールをすることで男性の心を掴むような手管(てくだ)も存在するとは思いますが、彼女の場合、贅沢なレストランでの食事とかハイブランドの贈り物といったモノに『女の格』とやらを見出すタイプなので、そういった殊勝な心掛けは持っていないと判断したのですけれども」
 森技官の挑発には乗らず淡々と言葉を続けた。
『確かにそれはそうですね。田中先生に強請(ねだ)ったカルティ〇の時計にしてもそうですけれど、そういう高価なブランド物を贈られることこそが彼女の存在意義と言いますか……彼女の市場価値を計っている感じですよね。それなのに、料理上手を装ってという手段は取らないような気もします。彼女のマンションに充実した調理用品が有ったとしたら……。今居る私の恋人の家には確かに台所には調理用品が存在しますが、彼のお母さまの代に揃えた物で今は完全に(ほこり)をかぶっていて使っていませんし……。恋人は家を手放す気は毛頭ないでしょうが、仮に引っ越しをしたとした場合でも必要最低限の鍋とかフライパンしか買わないような気がします』
 電話の向こうで『あ!それ喧嘩売っているのか?』という声が微かに聞こえた。森技官は呉先生の薔薇屋敷に居るらしいので、同居している呉先生も電話の内容を聞いているのだろう。
「私の大学時代からの下宿先もそんな感じでした。鍋やフライパンは必要最低限しかなかったです。包丁は一本きりとか、お箸はコンビニで貰ったのを使っているとか。根っからの愛人タイプの女性もそんな感じではないかな?と判断しました。今はコンビニで切った野菜とかも売られていますし、包丁がなくても生活出来ますよね。ウーバーなどを使うと――実際に彼女はお得意さんとして配達員には認識されていましたが――美味しい料理が家まで届きますよね?だからお金さえあれば調理器具など必要ないのに、クッキーまで手作りをするという矛盾が納得出来ないのです……」
 納得した感じになったのは何となく伝わって来た。
『なるほど。二年前に何らかのことが起こって西ケ花さんの心境がこれまでとは異なったということですか?それで高コレステロールの食事を振る舞ったと?』
 質問というより確認といった感じで尋ねられた。
「その可能性が高い上に、二年前に養子縁組もしています。故長楽寺氏と西ケ花桃子さんの関係性が変わった可能性が高いです。ですから生命保険の契約も同じく二年前ではないかと推測されるのですが、契約の日にちを知りたいのです」
 スマホ越しに溜め息が伝わって来た。
『いや、最も詳しい情報を持っている知り合いは海外に行っていまして、帰国の予定はしばらくないのです……残念ですが、それまでお待ち下されば幸いです』
 森技官は官僚様には珍しく臨機応変に対応してくれる時の(ほう)が多いのだけれども、今の返事はまるっきりの「お役所仕事」という感じだった。
「そう仰らずにそのお知り合いの人に連絡を取って下さるか、それが無理ならば他に分かる人に確かめて頂きたいのですけれども」
 ここは押しの一手だろうと思って頼み込んだ。
『田中先生、知人が帰国するまで待って頂けませんか?確かに私が病院長経由でお二人に捜査を依頼した立場ですけれども、無理なことは無理なのです』
 うんざりしたような口調で言われてムッとしてしまった。
「生命保険までが二年前の契約であるならば、西ケ花さんのマンションに行って問い詰めることが出来るのです。養子縁組を知らないと(とぼ)けられたのはこちらの不行き届きですけれども、他の関係者も真相をはっきりと知りたいと思っている人も居ます。
 長楽寺氏は妻の佳世さんをそれだけで苦しめる愛人を囲っただけではなくて、使用人の野上さんとかご子息の配偶者の瑠璃子さんまで性行為を強いるような人でした。ただ、瑠璃子さんの場合は未遂で済んで何よりでしたけれども……。家族とか屋敷内の人全員が被害に遭っています。ですからこの事件を解明するのは早ければ早いほど良いのです。お願いします。西ケ花さんに一日でも早く我々が掴んだ証拠を持って行って聞いてみたいのです」
 電話の向こうにも伝わることを祈って深々と頭を下げた。





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気分は下剋上 彼は魅力的か? 最終話

 今でこそ思ったことや感じたことを言葉で表現してくれる最愛の人だけれども、初めて結ばれた時には言葉が極端に少なかった。だから強引に身体を開いて我を忘れさせて本音を紡がせようと必死だった。
 後で聞いたら、何を言えば全く分からなかったという不器用さのせいだったのだが。
「いや、最初の頃は祐樹が私に欲情してくれるだけで嬉しくて、それこそ有頂天になっていた……。そういう夜でもこうして優しく触れてくれたな……と思って……。それに祐樹は絶対に私を(おとし)めるような抱き方はしなかったし……。例えばリッツのクラブラウンジのお手洗いで求められた時も絶対に他人に聞かせないように気を配ってくれていたのは途切れ途切れながらも記憶に残っている」
 そうだったかな?とは思うものの否定しても意味がないような気もした。たしかに他人には聞かせたくないとは――存在を示唆して羞恥に我を忘れさせようとした覚えは有ったけれども、それは最愛の人が理性を飛ばした状態に零れる本音が聞きたかっただけだ――思っていたけれどもそれは祐樹の独占欲の発露だったと今ならハッキリと分かる。最愛の人の気持ちをずっと祐樹に向けて欲しいという強すぎる感情というか。
「そうですか?私に心を開かないならば、身体を開かせるというか、理性を奪って本音を聞き出したいと思っていましたね。今思えば更にいい方法を取るべきだったと反省しています。聡の過去の――今ではそんなことは全く思っていませんが――男性達に嫉妬したり、こんなに素晴らしい肢体の持ち主なので、何人くらいに抱かれたのかを聞き出そうと必死だったりしました。アメリカの人って日本人を好む傾向に有ると言うのは知っていたので聡のこの身体を好きに扱ったのがアメリカ人かどうかを確かめた記憶が有ります……。杉田弁護士の的確なアドバイスを受けてですけれど……」
 こういう話は何度しても良いかと思った。
「アメリカ人?確かに私の初めての男性はアメリカ国籍だったけれども、日本に居て黙っていたら100人中100人が日本人だと思う人だったな。祐樹に少し似ていた……。もちろん祐樹ほど魅力的ではなかったけれども」
 最愛の人の紅色の指が愛の交歓の余韻で震えながらも愛おしそうに祐樹の顔を確かめるように辿ってくれるのも気持ち良い。
「それが……お恥ずかしい話ですけれども。今思えば子供っぽい独占欲だったと思います。今夜、聡がどれだけ魅力的な存在として男性の目を強く惹くかはお分かりになったと思いますけれど……」
 最愛の人の愛の行為の余韻で紅く染まった端整な顔がはにかんだような表情を浮かべている。
「あれだけのエビデンスが有ったので、そうなのだろうな……。努力して得たものではなくて親から貰ったモノなので全く重きを置いていなかったのだけれども……。ただ、誰に好ましく思われたとしても、私は祐樹以外の人間には『そういう』意味で反応を返す積りは全くない……」
 紅色に染まった唇がキッパリとした言葉を紡いでくれた。
「それはとても嬉しいです。私も聡の本質を知るにつれて火遊びというか、刹那の衝動では肉体関係を持たない人だと分かりましたけれども」
 胸の尖りをやんわりと撫でた。
「あっ……。今、そういうことをされると……また花園の中に祐樹の硬くて熱いモノが欲しくなってしまう……のでっ」
 熱く甘く紡がれる小さな声も艶やかだった。
「私を求めて下さるのですよね。お付き合いしますよ……聡の花園は絶品ですので……。それはそうと、私の欲情の象徴を『硬い』と(おっしゃ)ってくださいましたよね?日本人は硬度という点では勝っていますけれど、アメリカ人というか白人種の場合は大きさというか長さが自慢なのはご存知でしたか?その点硬度はイマイチらしいですけれど」
 性的なことに対しては無知無関心な最愛の人は、祐樹の愛の手管(てくだ)だけを絶対視してくれているのは知っている。ただ、医学的な統計とかは勿論(もちろん)職務の一環として知っている可能性が高い。
「え?それは知らなかった……。第一専門外だし……」
 愛の行為の余韻が残る艶やかな目を瞠って祐樹の顔を見る最愛の人の眼差しには真摯な光が宿っている。
「興味がお有りなら調べて下さっても構いませんけれど、実際はそうなのです。勿論個人差は有ると思いますが。それに客観的に『も』魅力のある聡なら、アメリカ人は尚更好きになると思いまして。それで大きさのことを愛の行為の最中(さなか)に聞いた覚えがあります。杉田弁護士からのアドバイス通りに、ね。聡の返事は『大きくなかった』でした。だから安心しました。嘘は(おっしゃ)っていないのだろうと」
 紅色に咲いた尖りを指で挟んでやや弱い力で引っ張った。
「祐樹っ……それ以上された……らっ……また欲しくなるのでっ」
 切羽詰まった天使が慌てているような声がホテルの豪華な部屋に艶めかしく小さく響く。
「聡が望むなら何回でも……。この尖りをルビーの煌めきに変えるのも私の特権ですよね、恋人として……」
 戸惑いがちな瞳が揺れているのも最高に綺麗だった。
「……そういえば、森技官なっ……、ちらっと見ただけだったっ……のだけれど……男性にお酒をっ……奢りに行って……いたよなっ?あれって……」
 最愛の人の紡ぐ言葉が途切れ途切れなのは勿論祐樹が尖りを愛しているからだった。
「『グレイス』でお酒を奢るのは求愛の印ですけれど、彼の場合は読めないですね。ただ、呉先生を悲しませるようなことはしないでしょう」
 断定的に言ったものの、今頃はあの野の花の風情(ふぜい)を漂わせている男性と一夜のお愉しみに耽っている可能性は充分に有る。本命が呉先生なのは間違いではないけれども、つまみ食いも多いに楽しむタイプなので。ただ、最愛の人はそういう割り切り方をしないので――というか出来ないというかそもそもそういう発想は皆無のような気がする――友人でもある呉先生のことを(おもんぱか)って悩みそうだ。だからここは敢えて否定した。
「そうかっ……。祐樹がっ……そう……言うならばっ……、そうなのだろうなっ」
 尖りを指で弾き続けたせいでルビー色に染まっていて魅惑的な光を放っている。
「では、もう一度愛し合いましょうか……。誰もが魅力を認めた聡を独占出来るのは私だけですから……」

 

    <了>






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やっと「了」の字が打ててホッとしています。
お読みくださった読者様には感謝しています。リアル生活でバタついていて、しかも体調がイマイチ(今も微熱出ています)苦肉の策で「雪遊び」を更新しましたが、これからは「探偵役?」と「雪遊び」頑張ります。ただ、更新時間と頻度は微妙です(泣)気長にお付き合い下されば嬉しいです。
 こうやまみか拝



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気分は下剋上 二人がどうして探偵役? 115

「こういうふうになったからには、一気にけりを付けたいのです。西ケ花桃子さんが黒に果てしなく近いグレーですよね。最初は定時上りで貴方と一緒に行動出来る良い機会だと思って引き受けたのも事実なのですが……」
 向かい側に座った人は白皙の頬が薄紅色の微笑みを浮かべている。
「私も祐樹と探偵ごっこという名目で一緒に仕事が出来て良かったと思っている。しかし、長楽寺氏が多数の女性に好き放題して……、それに苦しんでいる女性がたくさん――いや、直哉氏も瑠璃子さんの件でも被害者と言えば被害者なので男性も含まれる――居て白黒をはっきりつけないといけないと思うようになってきた。森技官の友達だか知人だかはまだ海外に居るだろうけれど、彼なら色々な伝手(つて)を持っているので……」
 厚労省内部でも事務次官に最も近いと(もっぱ)らの噂だったし、それに外面(そとづら)は良いのは知っている。その上色々な省庁に所属している人の弱みを収集して将来に備えている。生命保険会社との契約内容に最も近いのは――正攻法だけではなくて弱みを握った人間も含めて――森技官が適任だ。
「そうですね……。ああ、私のスマホで掛けたら『呪いの留守番電話』とやらに切り替わる可能性が有ります。こういう正念場でイラっとさせられるのも嫌なので貴方のスマホから掛けて貰えませんか?最初からストレスの掛かる言葉を聞いた後に即座に冷静さに切り替えるのも出来ないことはないですけれども、相手は『あの』森技官なので」
 最愛の人がスマホを取り出している。何だか嬉々としたような表情を浮かべながら。
「私が祐樹の役に立てるのなら」
 白く長い指が水の流れるような感じでスマホを操作している。
「祐樹に替われば良いのか?」
 考え事をする時の癖で唇を引っ張ってしまった。
「その辺りは臨機応変に行きましょう……。貴方から話した(ほう)(かど)も立たないような気も致しますし……」
 森技官には西ケ花さんを口説く役を演じて貰っている。その時は祐樹が弱みに付け込む「取引」をしたのだけれども、今度の「お願い」はいわば「交渉」なので、最愛の人の方が当たりは柔らかいような気もする。それに交渉なら最愛の人もかなりの能力が有るので安心だし。それに気の()いている今は森技官の嫌味な返答に祐樹が応戦するといったやり取りにならない(ほう)が望ましいのも確かだ。そういう会話も嫌いではないものの、今は避けたいような気がする。
「分かった」
 最愛の人のスマホは祐樹も会話に参加できるようにと思ったのかスピーカー機能を使って応接用の机に置かれている。
『もしもし、森です、香川教授何か進展でも有りましたか?』
 電話の向こう側からやや面白がっているような感じの声が流れてくる。
「こんばんは。長楽寺家の使用人である野上さんから二年前に故長楽寺真司氏は不可解な行動が有ったと証言を得まして。それで確かめてみたのですけれども、西ケ花桃子さんとの養子縁組が二年前だったと戸籍謄本から分かりました。生命保険の契約締結が何時(いつ)なのか気になりまして。西ケ花さんは養子縁組の件は(とぼ)けられたのです。そして真司氏が亡くなった太田医院――ああ、この病院は運営方法にかなりの問題が有りまして、その件についてのご報告を公式にさせて頂きたいと思っています――そのカルテから二年前から真司氏のコレステロールの二つの値が異常な変化を遂げています。奇数月に突出して高い数値になっているという結果が累々と。そして西ケ花さんが故長楽寺氏をマンションの部屋に呼ぶのは偶数月なのです。そのことから西ケ花さんが高コレステロールの食事を作って長楽寺氏に食べさせたのではないかと私達は推論しています」
 怜悧な口調で淡々と話す最愛の人の話を聞いていると思しき森技官は10秒くらいの()を置いている。
『……まずは太田医院の件の報告書、お待ちしています。必要とあらば監査に入りますので。……コレステロール値の件は非常に興味深いのですけれども、愛人のマンションに行っているのは一日とかですよね?その一食や二食でそんなに影響って出ますか?』
 確かにその点が弱いかも知れないなと祐樹も思ってしまった。
「出ると考えています。アメリカのレポートでちょうどそういう医学的根拠を明示したものがあるので、それを添付してお送りしますけれど……。長楽寺氏の配偶者である佳世さんは家族性高脂血症でして……。生まれつきコレステロールが血管に溜まりやすい体質です。なのでご家庭では低コレステロールの食事がメインです。また接待という名目で色々と食べ歩いたり飲み歩いたりしていたようですけれども、それは偶数月も奇数月も同じです。異なる点はやはり西ケ花さんのマンションを訪れているかどうかなのです……。
 で、二年前以前の長楽寺氏のコレステロールの二つの数値は高止まりこそしていますけれども、突出はしていなかったです。二年前からの奇数月の数値が高くなるといった現象は人為的なモノだと考えています」
 そんなレポートが有ったとは知らなかった。日本の専門誌は祐樹も目を通しているけれどもアメリカまではカバーしきれていない。その点最愛の人の事務処理能力と卓越した記憶力でそういったモノまでキチンと覚えているのだろう。
『ほう。人為的と(おっしゃ)いましたね。それは西ケ花さんが引き起こしたとお二人は考えていらっしゃるのでしょうか?』
 やや興味深そうな感じの声だった。最愛の人が祐樹の目を真っ直ぐに見つめてくる。その真摯で熱意を帯びた眼差しに見惚れながら頷きを返した。
「今のところそう考えています。それに森技官もご存知だと思いますが、西ケ花さんはそのう……」
 言葉に詰まっているのは西ケ花さんの言う「女の格」という独特の価値観が理解出来ないとかそういう問題だからだろう。祐樹のターンかも知れないなと思いながら言葉を選んだ。





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リアル生活でバタバタしておりまして(泣)更新が滞りまくっております。すみません!!
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  こうやまみか


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気分は下剋上 雪遊び 2

 猫がミルクを舐めているような音が静謐な寝室に濡れた彩りを添えていく。
 サラリとした髪の毛の感触も捨て難かったものの、やはり祐樹の最も敏感な場所を舌で愛して貰っている快楽と、そして心の充足感の方が勝ってしまっている。
 最愛の人が大きく頭を動かしてくれて前菜と言うべき愛撫ではなくてメインデッシュの唇から喉にかけての愛の仕草に変わるのだと思うとあれほど冷たかった身体の体温が一気に上昇していく。先端部分を上顎のざらついた場所で擦られて最愛の人の口の中で更に大きくなってしまった。
「とても気持ちが良いです。いつも思うのですけれども聡の口技も最高ですよね……」
 絶頂の時間が愉しみなような、それでいてこの状況を長引かせたいような矛盾した気持ちになる。最愛の人は一旦、祐樹の爆発寸前なモノを口の外に出した。
 先端部分からは先走りの水滴が溢れ出ていてやや薄い唇と束の間の銀色の架け橋がとても扇情的に煌めいて、消えて行った。
 幹の部分を薄紅色に濡れた唇で挟んで頭を細かく動かしてくれて、唇と舌で愛される。何だか焦らされた気分になってしまうけれどもそれはそれでとても気持ちが良かった。
 唇と舌が熱く濡れた精緻な愛の旋律を奏でている。
「凄く素敵です……。出来れば口の中で出したいのですけれど……」
 堪えきれない絶頂感を必死で耐えながらそう告げた。
「分かった……」
 最愛の人が紡ぐ声も艶やかに染まっていて、祐樹の欲情を加速させる。再び熱く濡れた口から喉までの割と硬い感触がとても良い。
「そろそろ……」
 祐樹の真珠の放埓が気管に入らないようにと注意を促す積りで告げるとサラリとした髪が大きく揺れているなと思った瞬間に弾けた。
「とても気持ちが良かったです……。有難うございました……」
 息を整えてからそう告げると最愛の人は身じろぎして祐樹の顔を見上げてくる。祐樹が満足しているかを目でも確かめたかったのだろう、多分。
 上品なブルーのシルクのパジャマを纏った肢体だったけれども、胸の二つの尖りが可憐に存在を主張していることに気付いた。
 口の中にも性感帯は多数存在するので祐樹の欲望に奉仕したせいで、そちらも刺激されたらしい。
 濡れそぼった唇からは一滴祐樹の放った真珠が滴っているのも脳髄を焼くくらい扇情的でそそられる。ただ、口淫の後は最愛の人が抵抗感を示すので、お礼のキスはお預けだ。
「いや……。恋人の欲望を発散させるのはむしろ嬉しい義務なので……。お礼を言われるほどのことではないけれど……。ただ……」
 言い淀んだ感じで言葉を切ったのは、最愛の人も明日のデートを控えていて、密かに灯った欲情からの愛の交歓を希望して良いものか迷っているのだろう。思いっきり愛し合って明日のデートが延期になるのを多分憂慮したのだと思う。祐樹も最愛の人も職業柄か体力はある(ほう)なので愛し合っても問題はなさそうだけれども。
「ただ……って、これのことですか……」
 パジャマの上から尖りを軽く弾くとしなやかに反った肢体がシルクの艶やかさ以上の色香を纏っている。下半身を注視したら半分程度は実っていて、続行の兆候だろうなと判断した。
「身体で愛し合って良いですか……?」
 一瞬の躊躇の後に最愛の人は目を伏せて頷いてくれた。こういう控えめな愛情表現も最愛の人の美点の一つだなと思いながら先に下半身からパジャマと下着を抜き取った。シルクの感触か祐樹の指のせいかは判別不能だったけれども、花芯がさらに実っていてとてもそそられる眺めだ。
 上半身は艶やかな青いパジャマを乱さずに着ていて、そこから下は生まれたままの姿というのも。そして艶やかな青い布地をツンと押し上げている二つの尖りが先ほどよりも硬さを増しているようだったのもあらゆる意味で眩し過ぎる光景だった。
 欲情を隠さない扇情的な肢体が祐樹の目をくぎ付けにしたのは言うまでもない。その視線を敏感に感じたような感じで花芯が更に実って先端から水晶の雫を煌めかせている。
「あっ……」
 両の胸の尖りを指でキュっと挟んで強く引っ張ると甘く蕩けた声がシーツの波に落ちるような錯覚を覚えた。
「うつ伏せになって下さい……。そして両の足を出来るだけ大きく開いて……腰を高く上げて下さるととても嬉しいです……」
 祐樹の言葉通りにシーツの上で足を開いて白桃のような双丘が目の前に晒される。その蠱惑に満ちた素肌を指で割り割いていくと、花園の門が紅い花のように祐樹を誘っている。
 その誘惑に抗えるはずもなく、湿らせた二本の指をツプリと()れた。
「綺麗ですよ、聡の花園も……。そして魅惑に満ちた肢体全部も……」
 指の動きに合わせて綺麗に反った背中はシルクの艶やかさを纏った肩甲骨がくっきりと見えて健康的な色香をふんだんに撒き散らしている感じだった。




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気分は下剋上 二人がどうして探偵役? 114

「電話をして確認しますね。えっと」
 スマホを出して資料の紙の束を探そうとしたら最愛の人の唇が仕事モードといった感じで知性的な怜悧な感じを漂わせている。
「番号なら覚えているので今から言う……」
 こういう点「も」祐樹が敵わないと思っている。
「お願いします。とても助かります……貴方と動いているとストレスが全く掛からない点も素敵ですよ」
 最愛の人に感謝の眼差しを向けると、白皙といった感じの肌がごく薄い紅色に染まってとても綺麗だった。卓越した記憶力はビデオカメラ並みなことも知っている。森技官に貰った資料よりも最愛の人に聞く方が断然早いし正確だ。彼の口が数字を祐樹の入力のペースに合わせて紡いでくれるのも、とても有難い。
「もしもし、長楽寺さんのお宅ですか?K大付属病院の田中です。昨日は有難うございました」
 電話に出るのは佳世さんか野上さんの二択だろうなと思ってそう告げた。
『まあ、田中先生。昨日は何のお構いもせずに申し訳ありませんでした。それに取り乱してしまったでしょう……反省しておりましたのよ』
 佳世さんの声が流れて来たので、応接スペースの紙が散乱しているテーブルにスマホを置いてスピーカー機能にした。
「いえいえ、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。お手元に長楽寺氏と西ケ花桃子さんが養子縁組した日付が分かる物は有りますか?具体的には戸籍謄本なのですけれど?」
 電話の向こうで息を飲む気配が伝わってきた。
『あの女が怪しいのですか?』
 明るい声がさらに朗らかさを増している。まぁ、佳世さんは西ケ花桃子さんが犯人だったら都合が良いのでそういう声になるのは分かる。
「今の時点では断言は出来ないのですが、確認したい点が出て参りましたので」
 スマホの向こうで『野上さん、戸籍謄本を持ってきて』と鮮明に聞こえている。固定電話のマナーでは受話器を手で覆って会話を遮断するのが一般的なマナーだと祐樹は認識しているし、祐樹の母の世代もそうしている。佳世さんがその常識を知らないハズはなくて、単に動転しているとか慌てていてうっかり塞ぎ忘れているらしい。
『奥様、こちらの書類入れですよね?』
 昨日よりも何だか明るい感じの野上さんの声が聞こえて来て長楽寺氏との過去は水に流せたのだろうな……と思うと何だか嬉しい。多分、ハリーウィンスト〇の指輪ももう付けてはいないのでは?という感じだった。長楽寺氏が野上さんに酷いコトをしなければ、野上さんも佳世さんに(わだかま)りを持たない関係がもっと早く築けただろうにとしみじみ思う。
 書類を(めく)る音と共に佳世さんが告げた日付に二人して顔を見合わせてしまった。向かい側に座った最愛の人も切れ長な目を大きく瞠っている。ただ、祐樹も同じような表情を浮かべていてお互い様といった感じだった。
「……それって、二年前に入籍しているとことですよね?」
 手元に書類がないために確認のしようがない。だから佳世さんに確かめるように聞いた。
『はい。二年前ですね……?あら……野上さん大丈夫!?』
 スマホ越しに何か――多分人が何かにぶつかったような――大きな音が聞こえてきた。佳世さんは二年前と他意なく声に出していたのだろうけれども、野上さんにとっての二年前というのはある意味地雷だ。そのショックで立ち(くら)みでも起こしたのではないだろうか?
『田中先生、野上さんの様子がおかしいので……』
 動転した感じの佳世さんの声が響いている。「
「具体的には?出血とか頭を打ったとか有りますか?」
 相手方が軽いとはいえパニック状態になっている時に同じテンションで話すのは良くない。だから事務的かつ平淡なさを繕って聞いた。
『いえ、床に倒れ込んだだけです。頭は打っていないと思います。出血も大丈夫そうです……』
 幾分冷静さを取り戻した声がスマホから流れて来た。
「念のためにですけれど、頭を打っていた場合は容態の変化に注意した方が良いです。吐き気とか嘔吐が有ったり、意識がぼんやりしたりした場合は即座に救急車を呼んでください。それと身体を揺すったり叩いたりは絶対にしないで下さいね」
 思いつく限りの注意事項を冷静かつ的確に伝えた。
『具体的なアドバイス有難うございます。野上さん、大丈夫っ!?』
 最愛の人が堪り兼ねたような表情を浮かべて唇を固く引き結んでいたかと思うと口を開いた。
「大丈夫という言葉は使わない方が良いです。心理学的にも『大丈夫?』と聞かれると反射的に『大丈夫です』と反応しがちなのです。だから『どこが痛いの?』とか『傷口を見せて』など個別具体的に言葉を掛けた方が良いですよ」
 祐樹には思いもつかないアドバイスだった。確かに「大丈夫か?」と聞かれて「大丈夫ではない」的な反応を返すのは余程の時だろう。しかし、最愛の人の知識の抽斗(ひきだし)はビックリ箱みたいだ。良い意味で祐樹を驚かせてくれる。祐樹一人ではそこまでのアドバイスは出来ないので。
『奥様、腕から倒れ込んだので打ち身くらいだと思います。すみません、あのう生理中でして、貧血を起こしたみたいです。ご心配をお掛けして……』
 生理中というのは多分方便(ほうべん)だろうなとは思ったが、野上さんは未来に生きると決心してくれているので佳世さんとのトラブルは避けたいに違いない。
『田中先生、香川教授適切なアドバイス有難うございます。少し心配なので……』
 佳世さんの声も切実な響きだったのが救いといえる。
「はい。用件は既にお聞き致しましたので野上さんについていて上げてください」
 終了ボタンをタップした。
「養子縁組が二年前だったとは……。これは生命保険の加入日も同じだという可能性が高くなりました……」






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