「今夜は最高の夜でした。何だかいつも以上に忙しかった仕事が終わってココが元気になってしまって困っていたのです。聡がお眠りだったら一人でこっそりと処理しようと思って帰って来たのですけれども……。天国のような悦楽を与えて下さって有難うございました」
繋がりを解いた、愛の交歓の後のこういう触れ合いも大好きだった。
最愛の人の汗の雫が小さなダイヤのように散らばっている紅色の額や涙の雫が宿っている長い睫毛にキスを落としながら告げた。
「いや、私こそとても気持ち良かった。まだ身体の奥の奥がジンジンしている。それに祐樹の欲求を晴らすのは恋人として当然のことなので……、一人で処理されると悲しいと思う……」
愛の交歓の余韻の甘さを残した唇がはにかんだような笑みを浮かべて祐樹のキスを楽しんでいるようだった。
「奥処の奥に迎え入れて下さったのは嬉しかったです。聡から動いて下さったでしょう?」
最愛の人の切れ長の目が訝しそうな光を宿していた。
「あれは、祐樹が快楽のままに振る舞って良いと言ってくれたので……。奥の奥まで祐樹を欲しかったからだけれども……?」
早速祐樹の睦言を実践してくれたのは律儀で真面目な最愛の人らしくて思わず笑みを深くして唇を無理やり重ねた。
唇での愛の奉仕の後は最愛の人に抵抗感があるのを承知の上で。
「決して美味しいモノではないですけれどもね、聡の唇の甘さで相殺されているので極上の味になっていますよ」
祐樹は先ほど見栄を張るような人は……的なネガティブなことを言ったのだけれど祐樹自身もそうだなと思うと何だか可笑しくなった。
「ああ、聡がこの指で弄っていた尖りを是非見せて頂けませんか?」
濡れそぼった青いシルクのパジャマのボタンを外して、布をはだけていく。
しっとりと濡れたシルクが素肌に貼りついていて中々紅色に染まった素肌が露わにならないのも一興だった。愛の交歓の後といった感じがして悪くない。
シルクでも木綿でも愛の行為の前だとハラリと落ちていくのも素敵だけれども、こうして手間が掛かる布地から素肌を露わにする作業も心が躍ってしまう。
祐樹が過去に関係を持った人たち――顔も名前も忘却の彼方だったけれども――そういう人達には服を脱がす時間は早い方が良くて手の込んだ衣服だとイラっとした覚えが有る。今思えば早く欲望を発散したいという一念からそう思ったのだろう。
それに比べると最愛の人の青色のパジャマを脱がせる過程を楽しんでしまうのは深過ぎる愛情の賜物に違いない。やっと青色のパジャマから紅色に染まった素肌が見えてきた。尖りはまだまだ露出出来ていないものの、素肌に貼りついているので尖りが青色のシルクの布地を可憐に押し上げているのは分かっている。
それだけで扇情的な眺めではあるものの、最愛の人が身に纏っているシルクは厚いので透けて見えないのが残念と言えば残念だったが時間が掛かる分それだけに期待値も高まる。
やっと直接見た尖りは最愛の人が育ててくれていたせいでルビーの紅さと硬さに煌めいていた。
祐樹が唇で触れずにいられないくらいに魅惑的過ぎて、片方は指で優しく撫でてもう一方は唇で挟んで吸い上げる。
「あっ……そういう……やわやわとした……感じも……愛の……交歓の後なので……余計に……気持ちが……悦い……」
紅色に染まった肢体が花の開花よりも鮮やかに震えては両脚も開いていく様子も絶品だった。多分、無意識の動作なのだろうが最愛の人の所作には優雅な大胆さが常に宿っていてとても魅惑的だ。
身体の輪郭を確かめるように優しいキスの雨を上半身から下半身まで降らせていく。
先ほどまで祐樹の愛と欲情の嵐のような律動を受け入れてくれていた花園の門は愛の営みの余韻で紅くぷっくりと熟していて、その厚い花びらの上に祐樹のばら撒いた真珠の雫が草に宿る露のように散っているのも鮮烈な色香を放っているせいで目が離せなくなる。
「明日、いや既に今日ですけれど……、二人で奈良県に行く計画がなければ、もう一度愛し合いたいのですけれど……?」
多分断られるだろうと思いながら言ってみた。休日しか乗らない祐樹が買った車も既にスタッドレスタイヤに交換して貰ったし、行く気は満々だった。
それに最愛の人も色々と用意をしているだろうから急な予定変更は――そんなことで怒るような人ではないものの――不本意だろうし。
「祐樹が疲れて外出が嫌でなければ雪を見に行きたい。本当は祐樹とスキーというものやスノーボードとかいうものもしてみたいなと思っていたのだけれどもそれは無理なので、せめて雪の道を二人で歩いてみたい」
愛の交歓の余韻の残る甘く掠れた声が紡がれる。
「確かにそうですよね。スキーやスノボは骨折のリスクが日常の生活に比べれば高くなりますので、停年後に取っておいた方が良いですよね。体力維持にさえ気を付けていれば、停年後でも充分に楽しめますよ。私も学生時代に付き合いで数回行っただけなのですけれども、スキーは割と得意だと思います。手ほどきくらいは出来ますよ。スノーボードの方が怪我のリスクは低いというデータが有りますけれども、何故かウチの高校はスキー合宿だったのでついついスキーを選んでしまったのです」
私生活では熱烈に愛し合う恋人同士でも職場に行けば最愛の人は言うまでもなく祐樹だって数人の患者さんが執刀を待ってくれているので骨折などは絶対に避けたい。日本一の心臓外科医として名を馳せている最愛の人もその辺りは充分に弁えているので自重していたのだろう。執刀医がやむを得ない事故で骨折ならばまだマシだけれども、スキーに行って骨折したという理由では間抜け過ぎて患者さんは怒るだろうし、病院内の人々の失笑と落胆を買うのが目に見えている。だから停年後にしかそういう遊びは出来ないと最愛の人も考えているのだろう。
紅い秀でた額にキスをとしていると躊躇いがちにより紅い唇が開かれた。
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2023年01月
「あのう、呉先生にお電話を替わって頂いても宜しいでしょうか?」
最愛の人が遠慮がちな感じで言葉を紡いでいる。
『はい。それは構いませんが……』
電話の向こうで「香川教授がお話したいそうです。その代わりスマホ貸してください」という声が微かに響いてきている。
『お電話替わりました。もう、ウチの同居人がワガママばっかり言って本当に申し訳ありません。国家権力を盾にした役人根性は手に負えないというか……。私だって厚労省は嫌いなのですけれど……』
精神科で重宝して使っていた薬の――正式名称は忘れ果ててしまっている――認可が急に取り消されて精神科の医師達が「この薬を処方できなければ外来で充分だった患者さんが入院しないといけなくなる」と激怒した話なども伝わってきている。そういう点で呉先生も厚労省を嫌っているのは分かる。ただ、一個人としての森技官のことは好きなのだろう。
「いえいえ、二人で探偵ごっこが出来て楽しいですよ。先ほど森技官にもお伝えしましたけれど、私は夢のような定時上がりが病院長命令のせいで実現しましたし、救急救命室にも頼りになる医師が、ああ、呉先生もご存知でしょうけれど精神科所属の清水研修医です。『あの』地震の時に外科医としての天稟を発揮した人です。すっかり救急救命室にも慣れて水を得た魚のような感じで大活躍しています。ですから私一人が抜けたところで何の問題もないのです。
森技官を急かしてしまったのはとある資産家の死因に重大な関与をしたと思しき人が判明して早くその人に証拠を突きつけたかったからなのです。それ以外は森技官に大変感謝していますよ……」
「そうです。私は手術の時間こそ拘束されますけれども、後の業務は黒木准教授に任せても大丈夫なものが大半ですし。祐樹と二人で探偵というか捜査ごっこのために色々な人の話を聞けたり、証拠を掴むために必死に頭を使ったりして日常では味わえないような刺激的な体験が出来て本当に良かったと思っています。そういう点からも森技官には感謝しかないです」
最愛の人が花の綻ぶような笑みを浮かべて話している。「証拠を掴むため」というのは多分祐樹を「西ケ花さんに恋した男性」という体で一人きりで彼女の部屋に返したことを指しているのかな?と思った。あの「作戦」は最愛の人が立案して祐樹が実行した。その真っ最中は最愛の人も気が気でなかったとは思うものの、成功裏に終わったので「良い思い出」へと昇華したに違いない。
「そして呉先生が私たち二人のために怒ってくださったこともとても感謝しています。そのことで是非ともお礼を申し上げたくてお電話を替わって貰ったのです。森技官には感謝こそすれ含むところなど全くないのです。平日の夕方から夜にかけて祐樹と二人きりで行動出来ることはなかなかないので、とても楽しかったですし……」
最愛の人が切々と話している。その唇は薔薇色の笑みの花が咲いていてとても魅力的だった。森技官の話し声がかすかに聞こえてくる。そういえば呉先生のスマホを貸して欲しいと言っていた。それを使ってどこかに連絡でもしているのだろうか?
「詳しいことは後日お会いした時に――ああ、森技官が話して良いと許可を下さったらという前提があるのですけれども――致しますけれど、私は主にメスを使って患者さんの命を延ばす仕事なのはご存知ですよね?そのことだけで充分過ぎるほど幸せでしたし充足感も抱いてきました。しかし、森技官からの依頼が切っ掛けで私が学んできた医学の専門知識がメス以外の方法で人助けが出来るかもしれないと思えるようになりました。その点でも森技官に感謝の念しかありません。呉先生も私達の捜査の件で怒ってくださって有難うございます。そのことを申し上げたくてお電話を替わってもらったのです……」
最愛の人が薔薇色の笑みを唇に浮かべたまま深々と頭を下げている。
『いえ、そういうご事情ならオレじゃなくて私が何も言うことはないのですが。ただ、厚労省の都合でしかも無料でこき使っておきながら、厚労省の一員でもある同居人が『こちらの都合』とやらで両先生をお待たせするというのは何か違うと思ったもので……。本当ならば同居人の頭も同時に下げさせたいのですけれど、あいにく私のスマホで密談中なのです。改めてお詫びに行かせますね』
萎れそうな菫の花といった感じで呉先生が誠実そうな言葉を紡いでくれている。それほど責任を感じなくても良いのでは?とも思ったけれども、そういう責任感の強さも呉先生の長所の一つだ。確かに祐樹も最愛の人も「バイト」として大学病院以外の病院で執刀をした場合――病院長の許可が必要だしそんなことをする積りは毛頭ないものの――確か100万単位の報酬が貰える。最愛の人の場合は世界的な知名度を誇っているのでもう一桁か二桁上でも全然おかしくはない。そういう副業(?)で報酬を得るのはある意味当たり前のような気もするけれども、調査だか捜査は素人同然なのでお金が発生するほどの価値があるとは到底思えなかった。
「いえいえ、お詫びだなんてそれほどのことはしていないので大丈夫です。ああ、そういえば関係者のお宅にお邪魔した時に焼き菓子を頂きました。私が二番目に気に入っているお店のものです。まだ包装紙も外していないのですが、この事件が終わったら報告がてら不定愁訴外来にお寄りしますので、その時にご一緒に食べませんか?」
最愛の人は祐樹がそれほど甘い物を好まないと知っている。以前は全く食べなかったけれどもこの人と付き合うようになって徐々に食べられる物が増えた。しかし、あくまでも付き合いとして食べるだけで心の底から美味しいと思った覚えはない。だから長楽寺瑠璃子さんから貰った洋菓子を祐樹とではなくて呉先生と食べた方が作った人も喜ぶだろうと考えたらしい。それは全くその通りなので祐樹としては苦笑いを浮かべるしかなかった。
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繋がった箇所から淫らで湿った音が奏でられる。
祐樹が腰を進めるとその音がより一層の熱を帯びてきた。
「聡の凝った蕾……。先端部分に当たってコリコリとした感触が……堪らなく良いです……」
比較的浅い部分で抜き差しを繰り返すと、最愛の人が自ら弄っていると思しき腕の動きも大胆さを増している。
「んっ……。とても悦ぃっ……。ああっ……」
若木のように反りかえった背中と幸福な断末魔の声、そして祐樹の手には真珠の放埓がばら撒かれていた。
「……祐樹……すまない……一緒に頂点を極められなくて……」
荒い呼吸の中で紡がれた謝罪の言葉が充足した律儀さを感じさせる。
別に謝ることではないだろうと思いながら最愛の人に告げる言葉を探した。
「私は先ほど聡の極上の口から喉で一回逝きましたので、ノーカウントですよ。それに愛の交歓の時には必ず一緒というルールはないのです……。ただ、聡との愛の行為の時には同じ時に絶頂を極めたいなと勝手に思っていまして、偶々同じになっていただけなので気になさらないで下さいね。それに己の快楽に素直な姿が、とても素敵で、とても好ましいです」
先端部分で凝った蕾を味わいながら微細に動かすと繋がった部分から濡れた肌が奏でる水音が寝室に愛の花を咲かせているようだった。
「それを聞いて安心した……。ただ……快楽に素直な点が分からない……な……」
二人して悦楽の頂点を極めたその後の束の間のインターバルといったところだろうか。身体を繋げたままで激しく求め合うのではなくて、こうやって会話を交わす時間も宝石のように貴重な時間だった。
「潔さと言い換えても良いかと思いますけれど……先ほど『腕は二本しかないので自分で弄って下さい』とか申し上げたでしょう?ああいう時って躊躇する人が多いのです。本当は触れたくて触れたくて堪らないのに、やせ我慢というか恰好を付けてパートナーが愛撫してくれるのを待つというタイプの人なのですけれど。
そういうパートナーにも見栄を張っている態度は逆に興醒めしてしまうのですよ、少なくとも私はね。聡にはそういう点が一切ないのも好きな理由の一つです。己の快楽に忠実に従っている姿に興奮します」
祐樹が話している間に熱く荒い息もかなり収まってきたようなので先端部分を凝った蕾に強く押しあてた。
「あっ……。祐樹っ……、そこを衝かれるとっ……悦過ぎてっ……ただっ……」
甘く熱い濡れた声が寝室に小さく響いている。
「尖りに直結している場所ですよね、ココは……。この愛の営みの形は手が自由になるので尖りも愛しましょうか?」
最愛の人は紅色に染まった長い首を左右に振っている。絶頂の際に滴ったと思しき汗の雫が束の間煌めいてはシーツへと落ちている様子も絶品だった。
「いや……祐樹が言ってくれたように弄れる時には自分でするのでっ……。そういう私が好きでいてくれるのだろう……。だったら祐樹に委ねるのではなくて……自分でする……のでっ……」
健気な言葉を紡ぐ最愛の人への愛しさが募る。
「それは嬉しいです……。もっと淫らで大胆な姿を見せて下さいね……。ああ、花園の奥へとお望みでしたけれども、そろそろ愛の交歓を本格的に再開しても良いですか?聡の天国よりも気持ちの良い花園は焦れているような動きで中へと誘ってくれていますけれど……」
青い絹よりも艶やかさを放っている紅色の首が上下に動いた。その仕草も紅色と銀色の粉を撒いたように綺麗だった。
「あっ……祐樹っ……開かれる感じがっ……堪らなく……悦ぃっ……」
熱く厚いシルクというよりベルベットという感じで祐樹を包み込んでくれる花園の感触は筆舌に尽くしがたいほど気持ちが良い。しかも花びらが何枚も重なったような感じである花びらは強く、また異なる花びらは弱い力を祐樹の最も敏感な場所に加えてくれるのも。
強いて欠点を探すなら良すぎて即座に放ってしまいたくなる点だろうか。贅沢な悩みだとは我ながら思ってしまうけれども。
一旦、しどけなく開いた門まで引くと、汗の雫で貼りついた青色のシルクの生地が最愛の人の肢体に密着して綺麗なラインを描いているのを見るだけで欲望が滾ってしまう、即座に真珠の放埓を撒き散らしたくなるほどに。
最愛の人のやや細い腰を両手で掴んだ。当然ながら女性のような丸みではなく四角い腰のラインも絵に描いたように綺麗に浮かび上がっている。
「ゆ……祐樹っ……来て欲しっ……私の中にっ……」
薔薇色の言葉を紡ぐ最愛の人の声も普段以上に熱がこもっているような気がした。促されるままに花園を強く穿つと熱くて厚いベルベットの感触が祐樹の欲情の象徴を狂おしく包んでくれる。
「祐樹っ……とてもっ……悦っ……」
身体だけでなく精神までの繋がりを示すかのように湿った音が寝室を愛の色に染めていくようだった。腰を固定して根本まで埋め込むと最愛の人の下半身がしなやかに反って更に奥へと導かれた。
奥処の奥には天国以上の場所が有ることは知っていたけれども、その場所へと招いてくれたのだろう。先端部分を其処に密着させると祐樹のためだけに誂えたようにピタリと密着して精緻さを増した動きで祐樹を天国よりも更に上の場所に連れて行ってくれるような気がする場所だった。
「あっ……祐樹っ……。其処……とてもっ……。ただっ……もうっ……」
甘く熱い声が限界を訴えている。
「私もです。……今度こそ、一緒に……」
奥処の奥へと真珠の放埓をばら撒くのは普段以上に最高……と思った瞬間に、しなやかな肢体が優雅かつ淫らに反って震えている。声もなく絶頂を極めたらしいのは分かったものの。
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『田中先生のお気持ちも分かるのですけれども、出来ることと出来ない……えっ?どうしてそんなに怒って……?』
森技官の困惑した感じの声がスマホ越しに聞こえた。「怒って」というのは祐樹のことではなくて恋人の呉先生のことだろう。祐樹はお願いしただけで全く怒ってはいなかったので。
『あのさ、お前がウチ病院の看板かつ稼ぎ頭の香川教授と田中先生に貴重な時間を割かせているのだろう?病院長まで動かしてさ!!捜査ってさ、お二人の業務とは全く関係ないだろっ!!香川教授は秀逸過ぎると評判のしゅ……手技のイメージトレーニングとか教授職として医局のこととかで忙しいだろっ!田中先生だって、病院一の激務を誇る貴重な人材だっていい加減分かれよ!通常業務だけでもオレなんかよりも忙しい二人に病院長を動かして依頼したんだろ!?だったらさ、全面協力して早くその『余計な』仕事から解放するのが筋なんじゃないかっ!!』
激昂とまでは行かないものの、かなり激しい口調がスマホから聞こえてくる。声の主は森技官の恋人の呉先生だったのは言うまでもない。
『いや、こちらにも都合というものが……』
普段は憎たらしいほど落ち着いた森技官が恋人の怒りの発露に圧倒されたのか、守り一辺倒という感じになっている。そしてスマホで話しているのだから先ほどの長楽寺佳代さんとの固定電話の会話とは異なってミュート機能が使えるのに使っていない点からも慌てていることは明白だろう。
「は?都合!香川教授と田中先生は多忙な業務を縫っての厚労省だか警察庁だか知らないけれど、そっちの都合に合わせてくれているんだぞっ!だったらお前も都合を合わせて協力しないとダメだろっ!」
そして森技官は最愛の人とか祐樹に振った任務のことを呉先生には伝えていないのだろうなと話の節々で分かってしまう。「病院長経由」とか「捜査」としか呉先生は口にしていない。
先ほどの森技官の話の中には出て来ていたので、一緒の部屋に居たらしい呉先生は漏れなく聞いていただけだろうなと。そして手技を口籠ったのは血を見るとか手術の具体的な内容が大嫌いな呉先生だからだろう。
先生の城でもある不定愁訴外来に最愛の人が居合わせていた時に「私は内科ではなくて外科に入院して手術を希望したい」とか言う奇特な患者さんが来たらしい。普通だと手術を怖がったり親から貰った身体を切ったりするのは気が進まないと言う患者さんが多いと聞いている。
ちなみに通称香川外科では心臓バイバス術によってQОLが劇的に改善するのでそう訴える患者さんは居ない。その点を考えると手術希望というのは余程変わった患者さんなのだろうと祐樹などは思うのだが。それはともかく、最愛の人が手術に関するリスクを具体的に説明して患者さんを思い留まらせようとした。
その説明を聞いて呉先生はお手洗いに走って行ったと聞いている。具体的な説明というのは呉先生には生々し過ぎて嘔吐感をもよおしたらしい。重度の外科アレルギーなのでそういうことが起こったらしいけれども、ただ、森技官の方が手術とか血液に関する生理的嫌悪は酷いのも事実だった。
今度救急救命室で患者さんの血を浴びた服のままで森技官に会ってみたらどうだろうか?とか思ってしまう。ちなみに不定愁訴外来に手術希望と言ってきた患者さんは最愛の人の手術のリスクを聞いて思いとどまったらしい。
それはともかく呉先生の助太刀は嬉しい限りだ。森技官が最も機嫌を損ねたくないのは恋人である呉先生だろうから。
『いや、確かにそうなのでしょうけれども、今その知人は某国に重要な折衝をしに行った某大臣のブレーンとして寝る暇もないほど働いているので……』
先ほどまでとは明らかに口調が異なるのは呉先生が傍で聞いているからだろう。
「だったら、顔の広い森技官なので、ご自慢の華麗な人脈の中から適任者を探して下さい。可及的速やかにお願いいたします。そうですね、期限は今夜中と申したいのですが『ご都合』もあるでしょうから、明日の17時まででお願いします」
呉先生には後日お礼に行かないとなと思いながらこちらの要求を通した。
「分かりました。心当たりを当たってみます。先生方の要求は長楽寺氏が西ケ花さんを受取人にした保険契約の締結日時を知りたいという一点ですよね?」
諦めきった口調だったのは、きっと呉先生がキレそうな顔で恋人を睨みつけているとかそういう感じで通話をチェックしているからに違いない。呉先生は春の陽だまりに咲く菫の花といった風情の人だし普段は温厚そのものだ。ただ、恋人の森技官にはまれにこういうことになる。
呉先生は森技官のことも愛しているのは多分事実だろうけれど、精神科の真殿教授と大喧嘩をした時に――教授職に逆らうと最悪は僻地の公立病院、良くて京都市内の公立病院や私立病院に左遷というのがほぼ確定する――呉先生の精神科医としての資質と実績を見込んだ斎藤病院長が精神科は離れるものの、不定愁訴外来という小さなブランチを病院内に設置してそこの主に据えてくれた。まあ、主といっても医師は一人きり、看護師一人といった小さな城ではあったものの、呉先生はその「厚遇」に心の底から感謝しているらしいので病院に関係することに対しては森技官の言うことよりも病院優先になって祐樹や最愛の人の味方に回ってくれるのは有難い限りだ。
「そうです。何卒宜しくお願い致します。
あと、呉先生にお伝えください。病院一の激務から森技官のお陰で束の間解放されましたし、私の恋人は事務処理能力も早いので業務に支障をきたしてはいないのです。そうですよね?」
最愛の人に視線を転じると力強い頷きが返ってきた。
「ですから、定時上がりなど夢のまた夢といった私が、森技官の捜査依頼のおかげで大手を
振って定時に上がることが出来て、その上最愛の恋人と二人であちこちの容疑者候補の話を聞きに行けたというのは僥倖以外の何物でもないのです。そういう二人きりの時間を作って下さった森技官にはとても感謝していると」
先ほどよりも深々と頭を下げてしまった。
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「ゆ……祐樹っ……ソコはっ……とてもっ……感じっ」
上半身に纏っているシルクよりも艶やかな声が寝室に響いている。
花園の中の凝った蕾を軽く強く指で叩くとしなやかな背筋が反ってシーツの上に上半身が触れる格好になる。そして凝った蕾と直結している尖りをシーツに擦りつける淫らな動きが堪らない。
祐樹の指が強く蕾を押すとシルクで包まれた肢体がシーツの波を漕ぐような感じで動いている。
祐樹の指が挿った紅壁の中も熱く厚いシルクが祐樹の指をひたりと包み込んで更に奥へと誘うように蠱惑的な動きを強めている。その甘美なお誘いを無視して指を三本に増やして祐樹を誘っているしどけなく開いた花園の門から中へと挿れた。
Vの字に指を広げると濃い紅色に染まった花のような場所が貪婪なで淫らな動きを繰り返していて思わず見入ってしまう。硬い蕾のような場所を二本の指で摘まんで割と強めに捻りながら残った指で愛でるように撫でた。
「あっ……ゆ……祐樹っ……。そこだけをっ……んなふうにっ……愛されたらっ……。悦いっけれどもっ」
シーツの波に上半身を擦りつける淫らで無垢な動きがより一層激しくなっている。
「こちらはどうでしょうね?」
最愛の人の前に手を回して確かめてみると花芯が熟して先端部分からは透明な蜜がポトリポトリと滴ってシーツに零れ落ちている感じだった。
「悦いけれども……の続きは何ですか?」
妖しく祐樹の指を誘う紅壁の凝った蕾を強く弾く。もう片方の手でしとどに濡れそぼった括れの部分を指で微細に動かしながら先端部分は円を描くように動かした。
「シーツではっ……物足りないっ……のでっ……指で愛してっ……欲しっ……」
シーツで尖りを慰めていることを自己申告した最愛の人の素直さが愛しさを強めた。あくまで祐樹の経験則なので一般的にはどうかまでは知らない。ただ、こういう行為の最中に自分で慰めていると言った人間は居なかったし、自分の屹立を扱いていた人は居たもののそれを口に出していた人も居なかったので。多分、自分で慰めているという状態を言葉にするのは見栄とかプライドが許さなかったのではないのかなと勝手に思ってしまう。
その点最愛の人は衒いも虚栄もなく感じたことを唇が紡いでくれている。
「愛したいのは山々なのですけれど、あいにく手は二本しかないので。花園の中の凝った部分とかすっかり育った花芯のどちらかを一旦休止して尖りを愛するか、それとも聡の指で慰めてくださるかですね。どうするか選んで頂きたいのですけれども……?」
祐樹の読みでは育ち切った花芯への愛撫を中断して尖りを愛して欲しいと強請るかなと予想していた。
「あっ……とてもっ……悦いっ……。特に、凝った場所っ……。分かったっ……尖りはっ……自分でっ……するのでっ……」
予想外の言葉を紡いだ最愛の人はシーツを掴んでいた紅色の指をシーツと肢体の間に入れている。艶やかに青いシルクのパジャマの上から尖りを自分で弄るのかと思いきや腕の動きから判断してボタンを外している。
布地越しではなくて直截に指で慰めたいのだろう。青いシルクの布地から紅く染まった素肌とさらに紅い尖りが見えないのが残念だ。そしてその紅さを更に深めていく紅色の指の動きも想像するだけで扇情的過ぎる。腕の動きから尖りを摘まんだだろうと予測してパジャマを乱しやすくするために中断していた愛撫を再開した。
「ゆ……祐樹っ……とてもっ……悦ぃっ……。祐樹のっ……指と……私の指っ……そしてシーツの感触がっ……」
甘く蕩けた小さな声が寝室の温度を上げていくような気がした。外はあんなに寒いのに、この部屋はエアコンのせいだけでなく二人の愛の行為で初夏の暑さのような感じだ。
「花園も綻んできたようなので……、私の愛情と欲情の象徴を迎え入れて下さいませんか?」
悦楽に忠実な動きをしている最愛の人の背中が撓って肩甲骨が先ほどよりもくっきりと見える。艶やかなシルク越しなのでより一層艶めかしい。
「んっ……。祐樹、早く私の中へ……来て欲しっ……」
それに最愛の人が紡ぐ小さな声とか率直に紡ぐ悦楽の言葉で先ほど果てた祐樹の欲情の象徴もすっかり勃ち上がっている。
指で感じる花園の中も貪婪さを増して祐樹を迎え入れたがっている。「そういう」ⅮVDでは――学生の頃付き合いで観ていた――「身体は嫌がっていない」とか「身体は正直だよな」などと男性が女性に言っていたけれども本当に最愛の人の艶やかな肢体は全身で祐樹を求めてくれているのが分かって物凄く嬉しい。
嬉し過ぎてゾクリと震えてしまう。その震えで育ち切った祐樹の屹立がより逞しく成長してしまった。花園から指を抜くと名残惜しそうな、そして更に大きな物を迎え入れる期待に満ちた動きをしてくれる。そして祐樹の指で更に紅く染まった花びらがチラリと見えたのも魅惑に満ちた眺めだった。
「聡の中の極上の天国を、私の最も敏感な場所で味わわせてくださいね」
しどけなく開いた門に祐樹の育ち切ったモノを密着させると恋人は焦れったそうに祐樹の身体の方へと肢体を動かしてくれる。その青いシルクの艶めきが肢体のラインに沿って青は青でも場所によって異なる色になっているのもとても綺麗で扇情的だった。
無垢な蠱惑に満ちた動きで祐樹の欲情の証しを先端部分まで自ら迎え入れてくれるのも最高の眺めだった。勿論、魔性の天国の熱さと厚さは最高過ぎる悦楽を運んできてくれる。
「ゆ……祐樹っ……もっとっ……中にっ……。あっ……」
無垢さと妖艶さの混ざった嬌声が素肌で奏でる協奏曲と相俟って耳まで悦楽の紅さに染まるような気がした。
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