腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

2020年05月

気分は下剋上 カラオケ編 21

「ああ、画一的な動きとか、軍服風というのが確かにナチスに通じるところが有りますね?
 そういう意味ではナチスドイツを彷彿とさせる部分が有りますね。
 まあ、国際的にタブーなモノを病院主催でしてしまったらマズいとお考えなのでしょうか?」
 最愛の人の懸念はその辺りにあるような感じだった。
 すぐ横に腰を下ろして祐樹を見上げる白皙の顔が薄紅色に艶めいている。
 川のせせらぎの音をBGMにして密やかな会話を交わす時間が――話題は何であれ――宝石のように貴重だった。
「そうだな……。彼女たちの制服なのか衣装なのか分からないが、あれはそういう面でも充分配慮されているのだろうなと思わせるモノだったので大丈夫だろうし、しかもアイドルグループなので世界中にも発信されるものだろうから、色々な人にチェックされるだろうが、看護師有志の場合でも最近はスマホで動画を撮ってネットに上げれば世界中に見られるだろう?
 どこから非難の矢が飛んでくるか分からないので、ナチス風というのは絶対にやめた方が良い」
 最愛の人の言う通りだった。
 以前なら病院の親睦会とかそういうのは身内だけで楽しむだけだったし、その画像がインターネットに上がることはなかっただろう。
 しかし、YouTubeのような画像アップのプラットフォームだけでなくてツイッターやインスタグラムでも60秒程度の動画は簡単にアップ出来る世の中だ。
 看護師は割と収入もあるし、好きな物も充分買えたり食べたり飲んだりも出来る。
 ちなみに柏木先生の奥さんはシャネ〇の新作バックの購入を諦めて最愛の人と祐樹の共著を多数買ってくれたという――有り難いことだが――過去も有った。
 インスタで映えるお店での食事とか、誰もが羨むハイブランドの服やカバンなどを自慢するついでに「自分の歌とダンス」を「悪気なく」アップする人は居そうな気がした。
 ツイッターなどでバカなことを仕出かす人のことをバカッターと言うそうだが、ああいうのは多分確信犯のような気がしたが――まあ、その結果その後の人生が生き辛くなることまで想像していないのだろうが――ナースの場合は多くが専門学校とか短大卒なので、世界史はおろか日本史もまともに勉強していないという人の方が多い。
 まあ、その分専門分野の勉強はきっちりとしていなければ看護師の国家試験に合格することは出来ないが。
 だから「悪気なく」インスタやFBに投稿してしまってそれが炎上してしまっても「何故??」というのが大半だろうな……とは思う。
 そういう世界的なタブーを含めて指導する立場に居る最愛の人なのでそこが気になったに違いない。
「すみません。そこまで気が回りませんでした。衣装については『欅坂』のメンバー達の衣装を完全にコピーすれば大丈夫ですよね?」
 横に腰を下ろして薄紅色の花のような風情の最愛の人に頭を下げた。
 その後公式動画を頭の中で再生してみたが、彼女達の衣装はどこにもナチス風の感じはなかった。
「そうだな……あれだと別にナチスを彷彿とさせるものはなかった。
 やはり、誰かが細心の注意を払っているに違いない。世界史のタブー、しかも日本はかつての同盟国だったので、シンパシーを感じていると世界発信されたら困る立場なのを分かっているからに違いないだろうが……。
 ま、ナチスの罪は罪として、アウシュビッツなどの強制収容所での『人体実験』で医学的な知識が格段に上がったのも昏い過去ではあるが……」
 そういう話は医学部生にとっては半ば本気で半ば都市伝説のように伝わっていた。
「ああ、それは本当だったのですか……。まあ、マウスとか明らかに人間とは違った生き物で臨床実験をするよりも、人体の方が効き目も凄いとは思いますが……。ただ、そこまですると色々とマズイですよね。
 勉強になりました。久米先生辺りが何も考えずに『ナチス風』の衣装にしそうな気もするので、それは断固として阻止します。
 教えて下さって有難うございます。仕出かして世界的に炎上してしまってからでは遅いので……」
 細い顎をくいっと持ち上げてお礼の意味を込めて唇を重ねた。
 ひんやりとした唇の感触が心地よい。それに衝動のまま接吻を深めていくと、長い睫毛が川面のうすぼんやりと映える光の影を宿して華麗な扇のようにごくごく小さな艶めきを滑らかな素肌に落としている。
 唇を舌でノックすると、待ちかねたような感じで綻んで舌の先端を歯で弱く噛まれた。
 当然のことながら舌の先端も「感じる」場所の一つだ。
 最愛の人の幾分華奢な肩を抱きよせながら舌の先端部分をゆっくりと辿っていく。
 そして、肩がヒクリと跳ねたのを良いことに、舌の裏側を通って付け根まで丹念に愛すると、最愛の人の柑橘系のコロンの香りがやや強めに祐樹の鼻孔をくすぐる。
 接吻のせいで体温が上がって来たのだろう。
 深い口づけを角度も変えて交わしていると、川のせせらぎも二人の秘められた愛の仕草を応援してくれているように高まっていくような錯覚に襲われた。
 名残惜しげに唇を離すと、二人の口づけの余韻のように銀色の糸が一瞬だけ虹のように二人の唇に掛かって泡のように消えていった。
「ああ、そう言えば初カラオケの感想は如何でしたか?」
 最愛の人の予想以上に上手かった歌を思い返してしまう。
 まあ、祐樹にとって最愛の人の歌というだけで嬉しかったし、何でもソツなくこなす人なのだな……と愛情が増してしまったのは言うまでもない。
「物凄く楽しかった。
 大きな声とか普段よりも高い声を出すのがあんなに気持ちいいとは思っても居なかったし……。
 まあ、家事をして流しっぱなしのテレビの音楽番組を観ながら口ずさんでいたのは事実だが、本気で真似ようとしていたわけではなかったので、あのカラオケボックスで歌手、いやアーティストかもだが、とにかくそういう人が歌っているのを再現して物凄く気持ちが良かったのは確かだな……」
 紅色に弾んだ声が薄紅に濡れた唇から紡がれる。


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すみません!体調不良でブログお休みしてしまっておりました。熱はないのでコロナではないと信じたいですが。
1月に母が亡くなってバタバタしていた(今も継続していますが)の疲れが出たのかな?と思っています。
今後も不定期更新になると思いますが、読んで頂けたら嬉しいです。

    こうやま みか



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気分は下剋上 公認カップル騒動 29

「ったく、遅いですね、同居人……。貴重なお二人の時間を奪ってしまっているというのに。
 見てきましょうか?」
 呉先生が焼きティラミスを未練っぽく、そして最愛の人と祐樹を交互に見ながらそう言ってくれた。
「いえ、私たちは別に構いませんよ?今日は休日ですし、久しぶりにお二人とお話をしたくて参ったという側面も有りますから」
 森技官も疲労困憊と言った感じなのでもしかしたら、どこかの部屋で仮眠を取っているのかもしれないなと思ってしまった。
 祐樹にも多々経験があるが、ベッドなどで充分に休養を取る暇がない場合、机に突っ伏して数分から数十分寝るとかなりリフレッシュ出来る。
 祐樹以上に激務の森技官の場合、そういう仮眠の方法も良く知っているのだろう、多分。
 それに最初疑っていた厚労省の内部の犯行(?)ではなくて、火遊びの末に捨てた人が嫌がらせをしてきたというのも――まあ、自業自得の側面が有ったにせよ――森技官的にはショックなことだったのだろう。だから余計に心労を抱えているハズだったし。
「別にこれからの予定は決めていませんし、貴方も呉先生と召し上がる焼きティラミスとコーヒーを嗜んでいるお時間は貴重なのではありませんか?」
 祐樹だけでも最愛の人は最高の笑みを見せて花のような唇と大輪の花のような雰囲気なのは確かだったが、あいにく祐樹の場合食べるスピードが異なってしまう。
 仕事などで時間が押している時には早く食べるのが「普通」だったし、食事のスピードは速い方だったものの、休日に寛いで嗜むお菓子などはやはり甘い物が苦手な――と言っても最愛の人との二人の時間は祐樹には心の底から寛がせてくれるし、以前よりはマシになったものの――祐樹にとって同じスピードで食することは出来ない。
 そういう点では呉先生のピッチの方が最愛の人と同じような感じだった。
 まあ、お酒とは異なって同じペースで呑むようなモノでもないが、やはり同じピッチで食べる方が良いような気がする。
「そう言えば、新聞報道で見ましたよ?開業した精神科医が患者さんに強制わいせつをしたという――あ、そういうのはもしかして言ってはならないコトですか?」
 呉先生の大嫌いなスプラッタやホラーの話題よりは良いかなと思っての話題転換だったが、細い眉根が思いっきり寄ったので、話題を間違えてしまったのかと思ってしまう。
「いえそうではなくて、同じ精神科医としてお恥ずかしい限りの事件です。あ、逮捕されただけでまだ裁判にかけられていないので、犯罪が確定したわけではないのですよね?香川教授?
 しかも診療時間中に患者さんと『わいせつ』な行為をするなんて何を考えているのかサッパリ分かりません」
 最愛の人がこの場では最も法律に詳しいのはこの場にいる人間の共通認識だった。
 呉先生は焼きティラミスのほろ苦さよりも、同業の人間が仕出かした醜態の方を苦々しく思っているような感じだった。
 まあ、コーヒーと焼き菓子を交互に口に運びながらだったが。
 そして最愛の人も同じ間隔で焼きティラミスを幸せそうに薄紅色の唇に運んでいる。
「そうですね。逮捕した段階では容疑者ですので検事が起訴して裁判官の判決が出た時点で犯罪者になります。それまでは推定無罪の原則が働きますので、被告人でいる間はまだ有罪ではないでしょうが……。
 しかし、兵庫県でしたか?警察が逮捕に踏み切ったという時点でかなりの証拠固めはしているでしょうね。私は患者さんと二人きりになる機会はないのですが……」
 確かにそうだし、二人きりではなくて手術台に横たわった患者さんに対して手術以外のことを仕出かすようなことは第一助手を始めとする手術スタッフが止めようとするだろう。
 まあ、そんなことをしない人だという確固たる自信は有ったが。
「オレの古巣の精神科の場合は病気のせいで妄想を抱く患者さんも多いです。統合失調症の方が多いのですが、関係念慮の歪みも有りますから。『誰かに愛されている』という妄想も良くありますね。後は被害妄想も。極端な話、誰かというか団体に――例えば自衛隊など普通に考えたらそんなことをしないと直ぐに分かるでしょう――ストーカーをされているとか平気で言いますね。
 だから、精神科でもそうだったのですが、不定愁訴外来ですら――不定愁訴の場合は精神病ではないのですが――看護師は必ず居ますし、二人きりにはならないです。
 精神科の場合も二人きりどころかナースが複数人付きます。暴れだしそうな患者さんの場合は女性だけでなくて屈強なメンズナースが絶対に付きますよ。
 素手でも、ほらキチガ〇のバカ力というか『火事場の馬鹿力』とでも表現したいほど、物凄い力が出る場合も有りますから。
 眼鏡なんて何個壊したか分からない同僚も居ますよ」
 そういう「頭のおかしい」患者さんは最愛の人の科には絶対入院してこないし、救急救命室でもそういうヤバそうな患者さんの場合は鎮静剤を打って取り敢えず寝かしてしまうので、それほどとは思ってもいなかった。
「メンズナースが居ても防げなかったのですか?」
 最愛の人が端整な仕草でフォークを操っている。
「咄嗟のコトですからね。確かにメンズナースも身体能力とか反射神経も良い人が選ばれているのですが、それすら間に合わないことが有ります。
 ただ、開業医の場合は患者さんと二人きりになるパターンは多いです。
 しかし、警察も精神疾患の人が駆け込んで来た場合、一応は被害妄想を疑いますね。
 そして内々に大学病院とかそれに準ずる病院の複数の医師に聞いたり、被害者の話が二転三転しないかを確かめたりします。 
 そういう点は香川教授のご専門の科よりも患者さんに問題が有ることが多いので……」
 精神科にはさして造詣が深いわけでもない祐樹にも警察が慎重になるのも分かるような気がした。





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更新時間だけでなくて日付までバラバラになってしまって本当に申し訳ありません。
宜しければ下の「読者ボタン」を押して更新のお知らせを受け取って下さればと思います。
体調不良(コロナでは多分ないかと……)とリアバタで中々更新出来ません。
気長に待って下さると嬉しいです。

   こうやま みか拝








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気分は下剋上 公認カップル騒動 28

 確かに皮膚科という科は緊急性が最も高くない科だと言われている。だから森技官の場合も臨床医としての経歴などはないこともあって「無難」な科の医師にされるのだろうが、皮膚の病気でも見た目が悲惨なモノもある。
 それに比べて精神科の場合――他の疾病を持っていても精神科の医師が患部を診るとかいうコトもないだろうし――患者さんの心の病というか闇に向き合うという祐樹的にはそっちの方が難しいと思えることをしているのだろうが、一般人の感性としてグロい患部を診る機会などないだろう、多分。精神科時代もそうだろうし、今の不定愁訴外来などは他科に入院している患者さんのメンタル的なケアが中心のハズなので尚更。
 精神科の場合も祐樹の拙い学生時代の知識ではあったが、リストカットとかをしてしまう患者さんは居るだろうけれども、少なくとも入院患者の場合は凶器になりそうな危ない物は病室には持って入れないとか聞いている。
 だから血が苦手な呉先生が貧血の発作に見舞われることは大学病院の精神科勤務時代からなかっただろう、多分。
「私も多少はエイズ治療の最前線でもあるアメリカの医師に知り合いはいることは居るのですが、心臓関係とかがメインでして、他はサッパリなのです。
 だから森技官にお伺いしようかと思って、祐樹が写真を持って来ているのですが、それをご覧にならない方が良いかと思いますよ。
 確か『天使の〇り』のラストシーンって、かなりグロテスクなモノでしたよね?
 しかし、あれはあくまでフィクションなので――まあ、呉先生ほどの感性をお持ちの方はフィクションでもリアルでも同じかとも思うのですが、見ない方が良いレベルの写真だと思います……」
 最愛の人が熱心な感じで言い募っている。
 まあ、火遊びが祟ってこうなってしまっている森技官に「配慮」して、巻き込まれ被害者でもある呉先生に予め言っておいた方が良いという最愛の人の細心の配慮の深さには祐樹も惚れ直してしまったが。
「え?……」
 呉先生が凍り付いたような感じで一切の動きを止めてしまっていた。
 最愛の人が先に「言葉」で言ったのをアリアリと想像してしまったのかも知れない。
 祐樹的にはもっとフォローすべきだろうと、必死に頭を働かせた。不幸中の幸いと言ったら何だが、脳に必要なブドウ糖は焼きティラミスで充分摂取していたし。
「いえ、呉先生が感受性も豊かでいらっしゃることも良く存じ上げています。想像力も人並み以上でいらっしゃるのですから、先に言って置いた方が良いことをすっかり失念してしまって申し訳ありませんでした」
 最愛の人に感謝の眼差しを送った後は、まず謝罪をすることにした。コーヒーカップをソーサーに置いてから深々と頭を下げた。
 その一連の動作を済ませた後に呉先生を見遣ると先ほどよりも蒼褪めているような気がした。
「ですからそのような写真はわざわざご覧になる必要もないと思います。
 森技官にだけ見せるように計らいますので、少しだけ二人きりになるお時間を頂きたく思います」
 精神科のデリケートな感性などは祐樹には全く分からなかったが、血だけでなくてスプラッタもホラーも「文字」でダメなのか……と異人種を見たような気になってしまった。
「えと。二人きりというと、同居人と田中先生ですよね?」
 スミレの可憐さと臆病そうな感じが何かの小動物のようだった。
 嬉々とした感じでフォークを動かしていた細い指がぎこちない感じで動いて、指で確かめるように祐樹とどこかに消えた森技官の方向へと向けられた。何だか鉄道員が指さし確認している感じで。
「そうです。あくまでも私の知り合いの知り合いなので、恋人とは一面識もない人のケースなのです。
 それこそレインボーフラッグが店の入り口に掲げてあるようなお店で知り合った人なのですが、私も一時期とはいえ『そういう』店の常連だった頃もありましたし……そして昔と異なって今は医師と明らかにしているので、そういう無料相談――まあ、ここまで悲惨なケースはないのですが――を受けたもので、渡りに船だと思って。
 色々と『情報だけ』はお持ちのようなので一応、相談してみようかと思った次第でして……」
 スミレの花が突然の雨に打たれたように仰天している風情だった。
 先ほどまでの蒼褪めた感じではなくて。何か引っかかることでもあったのかと思ってしまった。
「つまりは、田中先生と同居人が別の部屋に行くということですよね?
 ちょっと見せられないような有様でして……」
 きっと想像力過多の世界から一気に「現実」に引き戻されたらしかった。
「この面子の中で几帳面で綺麗好きなのは私の恋人です。 
 女性の部屋――と言ってもキチンと関係各所に許可は貰ってありますが、その某女性の部屋のあまりの乱雑さに思わず『掃除しましょうか?』とか言ってしまうような人ですから」
 想像の中のことよりも現実の方が呉先生も大切らしかった。
 そして最愛の人は呉先生のことを気遣って言っているので、この程度のことは言っても良いだろうなと思った。
 掃除が行き届いていないのはどの程度なのか分からなかったものの、最愛の人が「掃除をしたい」と言い出すよりも「埃で人は死なない」と思っている祐樹と森技官が部屋を替えた方が良いと思ったので。
 最愛の人は花の綻ぶような笑みを浮かべて香り高いコーヒーと焼きティラミスを交互に唇に近づけている。
 自分の役割は終わったと言わんばかりの静謐な雰囲気を纏って咲く大輪の花のように。
 古くても重厚な感じのする部屋に――ここだけは二人が来ると聞いて慌てて掃除も済ませたらしい――瑞々しく咲き誇っているような鮮やかさだったが。







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リアバタ&体調不良のため、更新が遅れまして申し訳ございません。
うっかり寝落ちしておりました。
しかも今日も予定が立て込んでいるので、一話だけになりますことをご理解とご容赦下さいませ。


     こうやま みか拝








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気分は下剋上 公認カップル騒動 27

「――あのう、美味しそうに召し上がって下さっているのに、申し訳ないのですけれども……呉先生もそのう、外科医の端くれでもある我々が平気なモノを苦手だとお思いになっていることは知っていますが……」
 薄紅の唇が言葉を選び選び話しているのが分かってしまう。
 食事中に手術の話とかを「ごく普通」にする祐樹などの世界とは異なった精神構造にある人なので最愛の人も気遣ったのだろう。
 そして、最愛の人が先ほどから祐樹に眼差しの合図を送って来ていたのは、きっと予想以上に消耗している二人だったので、その精神状態を慮ったに違いない。
 直截かつ端的な会話が「日常」の外科医の世界とは異なって精神科とかそういうメンタルを直視する呉先生の場合、会話の節々とかから不定愁訴の原因を聞き取るというテクニックを持っているので、割と雑談めいた話からも精神状態を察知しているらしい。
 そういう特性を持つ科の呉先生の「日常」に配慮して最愛の人は祐樹が用意したトラップに――と言っても実際は最愛の人の写真だったが――嵌めるのも何だか気が引けたのだろう。
 春爛漫の光の中に咲き誇るスミレの花といった呉先生の笑顔はきっと焼き菓子とコーヒーの効果だったのだろうなと思える。
 その表情がスッと蒼褪めてしまっていて、最愛の人の心遣いは的を射たモノだと思えてきた。
「えと。スプラッタ映画とかは苦手ですよね?それは存じていますが、ホラー映画とかグロいのもダメなのですよね?」
 慌てて言葉を足した。
 睡眠不足で体力も精神力も落ちている今、呉先生の繊細な気持ちがささくれ立っていることは想像に難くない。
 森技官は自業自得の側面の方が多いので――と言っても呉先生はそのことを知らないが――ある意味仕方ないが、考えてみれば一番の被害者は呉先生だし、その被害者の気持ちを最優先すべきだったことに今更ながら気づいた。
 最愛の人は多分もっと早い段階からこのことに思い至っていたに違いないが。
「映画は両方ともダメです。
 それどころか、小説の中でもグロい描写が有りますよね?推理小説とかでも割と描写が細かくされているモノとか有りますよね……。だから推理小説系は余り読まないのですが、やっぱり話題の本とかは知っていた方が良いので読む場合も有ります。
 その中で40人殺しとかを延々描写されるとダメです……。文章が脳裏では映像に変換されてしまってですね……。途中で読めなくなった作品が有りますね。
 しかし、それが何か?」
 40人殺しと聞いて祐樹の脳裏を過ったのは「八墓村」だったが、そんなにグロかったかな?と内心で首を捻ってしまう。
 割とホラー系も読む祐樹はどんなにグロテスクな描写でも大丈夫だったし「ふーん、40人もね。ただその方法だったら現実的には多分無理だろう、な」みたいにするっと思ってしまう方が変なのかも知れないなと苦笑してしまった。
「文章が映像化ですか?それはある意味お得ですよね。ほら、小説などが映画化されることも有りますよね?そうなる前に自分で出来るのだったら、俳優さんとか女優さん、そして映画監督などの多くの人の手を借りなくても、お一人で楽しめるのでしょう?
 想像力に乏しい私などは無理ですが……。40人殺しというのは『悪の経典』か何かですか?」
 最愛の人が取り成すような感じの笑みを浮かべて話を続けている。
 確かに想像力に欠ける――と言っても祐樹ほどではない――最愛の人の本音だったのかもしれないが。
 ああ、「悪の経〇」もサイコパスな主人公の高校教師が教え子のクラス全員を……という話だったな……と思ってしまった。
 確かに話題になった本だし映画化もされていた。祐樹も一応は見たが、アメリカの有名な投資銀行に――日本の銀行のイメージは全くなくて、株式とか金融商品を莫大な額買ったり売ったりして儲けを出す銀行が有るらしい――居て、その莫大な富を横領しようとして重役にバレてしまってクビになったほどの人間が、高校の自分が担当するクラスを「自分の王国」として君臨したい!と思い込む、そのギャップが正直分からなかった。
 主人公は女性好きで、自分の「ハーレム」としてのクラス編成を目論んでいたようだが、女子高生に過度に入れ込むという設定も――世の中には久米先生みたいにJK大好きとかそういう嗜好を持っているという人間も確かに存在する――ピンと来なかった。
 そんな大きな投資銀行に勤務していたならモデルとか女優さんみたいな「大人の美人でスタイルも抜群な女性」との出会いなども普通にあったのでは?と思ってしまった。
 そして映画化された主役も何だか体育会系な感じの強い俳優さんだったので、それなりに知的なサイコパスという感じでもなかった。
 ただ、呉先生の頭の中では本を読んでいる最中にそんな映像が浮かぶのなら主人公はもっと知的な印象の強い俳優さんになっているのかもしれなかったが。
「その本は私も読んだのですが、同じ作者の『天〇の囀り』はお読みになられましたか?」
 最愛の人が普段よりもゆっくりとした口調で話しているのはおそらく呉先生の反応次第で即座に止めようと思っているからだろう。
「『天使の〇り』は最後のシーンで吐き気を催しました……。死ぬことが物凄く怖い元作家とか醜形恐怖症の青年の話は精神医学の観点からも興味深く読みましたが……」
 幸せそうに口に運んでいた焼き菓子がピタリと空中に止まっている上に、フォークを持った手が震えているので、脆いお菓子がテーブルの上にポロポロと零れている。
 気の毒なことを言ってしまったとは思ったが、最愛の人の意図は多分カポシ肉腫――呉先生が最も恐れているグロテスクなモノで、そして学生時代に必ず画像などで見せられた昏い記憶が有ったと思しきものだった。
「すみません、ヘンな話をしてしまって。しかも夜中の訪問者とか鳴りやまない電話に悩まされているというのに……。しかし、これには訳が有ってですね……。祐樹の知り合いがエイズに掛かってしまって……末期だそうです。
 それでアメリカで治療をすべきか日本でも対応可能かどうか森技官に判断してもらおうと写真を持って参ったのです。そうだったよな?祐樹?」
 気遣わしそうに呉先生を見ながらも、最愛の人は焼きティラミスとコーヒーを交互に口に運んでは、花が開くように唇を綻ばして優雅に楽しんでいる風情だった。
 まあ、最愛の人はそういう意味では外科医的な反応だったが。
「そうなのです。
 ご存知の通り末期患者は免疫力が無くなりますよね?だからその患部の写真もかなりグロテスクなのです……。
 森技官の判断を仰ごうと思ったのですが、彼の場合は大学病院とかから派遣の医師として皮膚科とかに回されているのですよね?
 皮膚炎も重度になると悲惨な肌になってしまうモノとか有るので、そういう意味では慣れているのかな?とも考えたのですが、呉先生は多分学生時代でそういう知識は終わっていますよね?」












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最後まで読んで下さいまして有難う御座います。(拍手とかを下さる読者様がいらっしゃるのだから、もう一本書けるところまで書いてみよう)とワードにチマチマ入力していたら、一話分の文字数をクリアできました!!

無理な時には本当に無理なのですが、読者様からモチベーションを頂いているのだからそれをお返し出来る限りは頑張ろう!と思ってしまいます。
 
なので、もう一話更新致します~!

更新の活力を頂いて本当に感謝致しております。
  こうやま みか拝


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気分は下剋上 カラオケ編 20

「実際彼女達が歌っているのをご覧になったことは有りますか?」
 話がバラバラになったような気もするが、祐樹的にはそんなに飛躍していないことを分かってもらおうと話を続けた。
「ああ、歌番組で見た覚えがあるが?」
 最愛の人の若干華奢なウエストに手を添えて、橋から完全に見えない場所に腰を下ろすように誘導した。
「あの軍服的な衣装だったら、みだりに皮膚を見せませんよね。
 ほら、私が歌った曲でも露出の多い、実際には有り得ない『男性の夢』の――いや妄想かもですが――セーラー服を着たアニメなどの服をナースに着せるのは問題が有ります。
 久米先生的には大歓迎でしょうが、ウチの医局からアイディアが出された場合だとある意味オフィシャルなモノになりますよね?
 セクシャルハラスメントとか言われると後々厄介なことになります。
 外科の医局親睦会は皆仲良しなので足を引っ張る人間は居ないと思いたいですが、念のためにそういった配慮は必要ですよね?
 あの軍服めいた服なら完璧かと思いますが?ああいう衣装を皆に着せて『有志』が歌って踊る分には批判も起こらないでしょう」
 妬みややっかみを――しかも最愛の人が祐樹のために病院長選挙に出馬予定というのだから尚更だ――むやみやたらに他の人間に抱かせてはならないとより一層警戒してしまう。
「確かに――そういう点では完璧かもしれないが、番組で見た限りはあの画一化された動きなどを見る限り、衣装に物凄く気を使わなければならないと思ってしまうな……」
 祐樹のごく近くに腰を下ろして、白磁の素肌がやや紅に染まっている怜悧で落ち着いた顔が思慮深そうな表情を浮かべている。
「それはどのような意味で、ですか?」
 最愛の人が久米先生のような――ある意味真っ当な――「男性」としての視点に欠けていることは熟知していたしそれほど女性心理に通暁していないので、祐樹のアドアイスを何時ものようにすんなりと受け入れてくれるかと思っていたので少々意外だった。
 まあ、別に久米先生が期待に満ちているだけで、祐樹的にはどうでも良い問題ではあったのだが、最愛の人がなぜそう思うのか是非とも聞いてみたかった。
 この場でわざわざそういう話題を出してきたのもきっと理由が有るのだろう。
 天城越えの歌詞の解説よりももっと重要度の高い問題が最愛の人の中には有って、それを祐樹に伝えたがっているに違いない。
 先ほどの物解いたげな視線もそうだったが、ナースに着せる服にも「院内政治」を考えているのだろうな……とは思う。以前はこれ以上の出世などは望んでいなかったのも確かだったので、最低限度の配慮しかしていなかった最愛の人の考えが深化してくれたのは「望外の喜び」ではあったものの。
「祐樹は『映像の世紀』のナチスドイツ編を観たことは有るか?」
 最愛の人が意外極まる言葉を薄紅の唇で真剣に紡いでいた。
 慌てて記憶の底の方に沈んでいる知識の欠片をスキャンした。
 NHKで放映されたドキュメンタリー番組で、印象的な音楽や貴重な映像が淡々とした語り口で述べられていて、物凄くインパクトが有った作品なので繰り返し再放送されている番組だった。
「ナチスドイツ編ですか?
 視たことは有りますね。ナチスドイツがアウシュビッツで行った愚行というか蛮行は決して許されるものではないですが、ビジュアル的には物凄く洗練されていましたし、ドイツ国民や同盟国のかつての日本人が熱狂した理由も分かるような気がしました」
 何でもヒットラーユーゲントとかいう「典型的なゲルマン民族」で顔立ちも整っている青年団が日本に来た時の熱狂ぶりも紹介されていた。
「そうだ。あの鉤十字とか、一糸乱れぬ統制振りは確かに見る者を熱狂させるだろうな……とは思った。
 しかし、今でもナチス戦犯の人は時効もなくて――まあ、今生きていればかなりの高齢だろうが――身元が露呈したら逮捕されるほどの重罪人だろう?
 それにアウシュビッツのジェノサイドなどは明らかに負の歴史だろうし、そういう意味ではやはり表立って褒めることは出来ないだろう?」
 川のせせらぎに交じって聞こえる凛とした声が祐樹の鼓膜を心地よく弾いてくれる。
 話題は話題として、二人の親密な時間が取れることの喜びを感じてしまったが。
 ナチスの罪はいまだに許されていないのも――まあ、ドイツなどは「あれはヒットラー率いるナチスドイツがしたことで、ドイツの罪ではない」とかの言い訳に使われているような気もするが――世界的には事実だったのだが、最愛の人が何を言いたいのか正直ピンと来なかった。そしてドイツでもいまだにナチスを信奉する人間が居るというのも知識としては知っていた。
 祐樹の頭よりも更に回転も速い上に記憶容量も多すぎる最愛の人の中では繋がっているのだろうが。
「それはもちろんダメですよね?ナチスを称賛するような行為は……」
 そう言った時に脳裏に最愛の人が何を言いたいのかが閃いた気がした。
 正解かどうかは分からなかったが。







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最後まで読んで下さいまして誠に有難う御座います。リアバタが加速してしまいまして、昨日アナウンスさせて頂いたように一話しか更新出来ない可能性の方が高いです。
しかも、更新時間がマチマチになっておりまして、本当に申し訳なく思います。

     こうやま みか



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