腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

2019年11月

気分は下剋上 学会準備編 352

「では、記念撮影行って来ます。わぁ、凄く楽しみ!それにこんな3ショットをお母……家族に見せたら絶対に喜んでくれるしさ、行こう」

 久米先生が岡田看護師が「お母さん」という単語に微妙な表情を見せたのを見て慌てて言葉を替えたのも何だか微笑ましい。

「貴方は『主役』として、グラスにシャンパンを注ぎながら歓談をされると良いと思いますよ」

 ああ、そういう意味か……と新しいボトルも祐樹の手から受け取った。

 確かに、畏まって座っている――いや、実際には何とか首相にお近づきになろうとして気もそぞろな感じでいっぱいいっぱいだろうが――テーブル席とは異なってこちらでは病院関係者同士の交流の場所という感じで盛り上がっている。

「香川教授、田中先生この度はおめでとうございます!」

「ちょっと、貴方、飲み過ぎよっ!!

 教授すみません。無事にパーティが進行しているのを確かめて、気が緩んでしまったみたいで。

 あ、シャンパンは私が頂きます。貴方はビール、いいえ、発泡酒で充分だわっ!」

 柏木先生夫妻が仲が良いのか分からない「夫婦漫才」のようなやり取りをしているのを祐樹が口角を上げながら意味深な眼差しを自分に向けている。

 半ば公的な場所で柏木先生がお酒に酔った時には必ずこういう展開になるんだろうな……と内心可笑しく思いながら、柏木看護師のグラスにシャンパンを注いだ。

「有難うございます。教授にお酌をして頂けるなんてとても光栄です」

 柏木看護師は普段のひっつめ髪ではなくて、髪の毛を巻いているのもとても綺麗だった。

「いえいえ、普段からお世話になっているのでこの程度は当たり前です。

 それに柏木先生、発泡酒の方がお好みですか?」

 道後温泉の時は確かビールをしこたま聞し召してたようだったし、たまに行く飲みの時もビールを注文していたようだったが。

「いえ、シャンパンでお願いします。発泡酒は給料前かつ家計が厳しい時ですね……。お前が色々買って夫婦の予算を食いつぶす時には仕方がないだろう……」

 柏木看護師が綺麗にそろえた眉毛を逆立てている。

「お前って誰のことかしら?貴方にお前呼ばわりされるいわれはありません!!」

 祐樹がナースは総じて気が強いと言っていたが、本当だなとシミジミ思ってしまう。

 自分の前では借りて来た猫のように大人しくなっているのが「職場」での姿だったし、特に柏木看護師は、プライベートな頼みごとをした時に限って脱線しがちではあったものの、職務の時は誰よりも有能だ。

「いや、それはカタカナのオマエだろう。俺は漢字の御前――つまりは尊称だ――と言った積もりだが?

 香川――教授、有難うございます。あ!注ぎますね。グラスはっと」

 祐樹と雛壇の上でたっぷりと呑んだ上に、普段なら酔わないのに「披露宴」という人生で一度きりしかない「ハレの場所」のせいか身体中に心地よい酔いが泡のように弾けていたのでこれ以上呑む必要性は特に感じなかったが、お祝いの席なので多少の無礼講に付き合うことも必要だろう。

「もう、貴方ったら屁理屈だけは上手いのだから!

 ほら新しいクラスはこれね!

 んー美味しい!」

 柏木先生が奥さんから手渡された新しいグラスにシャンパンを満たしてくれた。

「有難うございます。では乾杯を!」

 祐樹は他のグループに混じって同じようなことをしていた。話したことはなかったが、放射線科の先生達だった。

 祐樹の場合はAiセンター長なので、そちらの先生達とも若干の面識は有る。だからこそそちらに呼ばれたのだろうが。

「香川外科の益々の隆盛を願ってカンパっ!え?」

 柏木先生の上げた腕を制止されて、シャンパングラスが危うく零れそうになった。

 その飛沫がかからないようにと身体を慌てて引いた。

 普段だったら、その程度のことは気にならないが、この「披露宴」の次は「初夜」だし、そのために用意してきた諸々のモノにシャンパンが掛かっては台無しになりそうなので。

 特に、青い薔薇が描かれたシルクのネクタイとかには。

「ああ、遠藤先生。お疲れ様です。あ、お注ぎします」

 柏木先生の手を強引に止めたのは遠藤先生だった。その後ろに黒木准教授の何時もよりも更に温和そうな顔が笑み浮かべていた。

「あちらのテーブル席はどうも居心地が悪いので、いえ、席を下さったことには感謝しておりますが、ああいうふうに首相へとお偉方の気持ちが逸れているのを見ているといささか興醒めが致しまして。

 このパーティの主旨を忘れたのかと個人的に思ってしまいます。

 ですから、医局の若い人に囲まれながら呑んでいる方が良いと思いまして。

 いや、細君は久米先生よりも先に写真撮影をして貰いに行ったようですが……」

 黒木准教授は以前自分に「大学病院でこれ以上出する気はない」と言っていたことを思い出した。

 医局のナンバー2なので一応テーブル席を割り振られていた。席を決めたのは斉藤病院長だったが。

 その席にいつの間にかいなくなっていたのは一応把握していたが、こちらに来て呑んでいたとは知らなかった。

「黒木准教授も柏木先生、そして遠藤先生もパーティのスタッフとして色々とお骨折り下さいまして有難う御座います」

 順番にシャンパンを注いでいく。

 そんな自分を祐樹が満足そうに唇を緩めて見ているのを視界の隅で感じでよりいっそう心が薔薇色に弾んだ。


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更新がますますマチマチになって申し訳ありません。。

ショーから始まる恋もある ユキ視点 4





「子供は親を選べない」と言うコトも知っていたし、お母様は昔の小説なんかに出て来る「ご令嬢」から進歩していないのも知っていた。

 僕はせめてお父様に気に入って貰って名ばかりではあるけれど、籍を置いている大学にちゃんと通って、その後は「カタギ」の世界に普通に就職して平凡に暮らしたいという希望をずっと持っていた。

 だから、こういう組関係のことは物凄くどうでも良いし、栞お姉さんのお母さんに籠絡された若頭一派が、このショーを使って僕のことをこの世界から永久追放してくれてもそんなに痛手ではなかった。

 ただ、お尻の穴にあんなモノを挿れるというのがどのくらい痛いのかとかが恐怖だった。

 ユリさんは本当に気持ち良さそうに二人の男との「行為」を続けている。

 僕の方に視線が時々流れてきたけれど「こうするのがコツよ」みたいな先生というか、その道のベテランが初心者に対して「上から目線」で教えているって感じだった。

「女王様も無事お着きになりましたし、これからショーを始めたいって支配人が言っていました。ユキさん……という名前でイイんすよね?」

 伝令役と思しき若いスタッフ――この店の従業員なのは知っていた。

 一回死ぬほど痛いのを我慢すれば良いだけの話だと腹を括った。怖いけど、一度「オンナ」になったら嫌で仕方ない世界からは逃げることが出来る。そのための通過儀礼だと思って我慢しなければ!!と決意を固めた。

 そして女王様と言われているのは栞お姉様だろう。

 お母様は周章狼狽していたけれども、栞お姉様に連絡を取ったのだろう、必死に考えて。僕も人のことを言えないとは思うけど、狭い世界に住んでいるお母様なのでその位の解決策しか思い浮かばないだろう。

 それに、僕でも「あれ?これはこうすれば良いんじゃないかな?」と思うことでも全く思いつかない人なのは知っていたし。だから栞お姉様に連絡を取ってくれたことはお母様にしてはGJだ。

 そして、舞台に上がると、栞お姉様のボックス席に「あの人」が居た!!

 栞お姉様が画像を見せてくれたことが有って、そのくっきりとした顔立ちの良さとか高貴な感じが全身に漂っている人は、僕の密かな憧れでもあった。

「この人は私の王子様なの」

 栞お姉様の恋人さんなのかと思っていたの「王子様」という言い方に何となく違和感を抱いた覚えが有る。

「恋人ではなくて……?だって栞お姉様と凄くお似合いなのに……」

 栞お姉様は複雑そうな笑みを綺麗な顔に浮かべている。

 お姉様は金の粉を撒いたような華やかな雰囲気を持っている美人さんだし、実際映画女優として活躍中だ。

 テレビCMなんかで良くあるけど、化粧品とか美容サプリとかで全然知らない人が「女優の○○さんもご愛用」とかって、わざわざ紹介されている。そう紹介しないと僕を含めた大多数の人は知らないから分からないという作り手の配慮なのだろけど、お姉様の場合はそんなテロップが必要ない。だってテレビや映画に全く興味がない人でもワイドショーなんかで良く流れているので。

 そして、画像の「その人」はクッキリとした眉がとても印象的なモノ凄くカッコ良い人だったし、その男らしい端整さだけでなくて、何て言うか優しいというか人を拒まない笑みを優雅に浮かべていたのが印象的だった。

「恋人ではないわね……。何故ならこの人は異性を愛する人ではないから。

 歌舞伎町のホストをしていて、普通は疑似恋愛で女性客を惹き付けておくのがセオリーなのに『同性しかそういう対象になりません』と言い切ってもナンバー1を張っている人なの。

 もちろん私もちょくちょくお店に行って会話をしたり、一緒に出掛けたりはしているけれど『下心』がないのは本当に良く分かって……安心して、指名も出来るし出掛けることも出来るわよ」

 「王子様」に「下心がないの」が分かって安心という言葉の意味がちょっと分からなかったけれど、何だか聞いてはいけないような雰囲気を纏っていた。

 お姉様は本当に綺麗な人だし、男性からも物凄くモテるのは分かるけれど「熱愛スクープ」とかをされたこともない。

 ただ、その点も何だか聞いたらダメな雰囲気を纏っていたのも事実だった。

 それにユリさんとかと知り合いになっていたことも有って、同性にそういう気持ちを持つ人がたくさん居るのも事実として受け止めていた。

 僕は女性にも男性にもそれほど興味が持てないのだけれども、画像の向こうの「王子様」に心が熱くなってしまっていた。

 そんなことを想っていたのは乳首を弄られたり、そして、お尻の穴に当てられている硬いモノの怖さからの現実逃避をしようとしていたからかも知れない。

 だって、経験豊富な上にあんなに良さそうだったユリさんと違って、僕は怖さしか感じなかった。

 ユリさんのさっきの行為の時、本当に気持ち良さそうだった。僕もああいうふうにしろっていう、ユリさんなりのエールだとは思うんだけれど、実際に熱くて硬いモノをお尻の穴にねじ込まれようとするのは恐怖でしかなかった。



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最後まで読んで下さって有り難うございます!PCが瀕死状態で、入力したモノが全部吹っ飛んでしまって、心が折れてしまったので毎晩更新も出来ずにいます。


早く新しいのが来ないかなと待ち望んでいる今日この頃です。遅くなって申し訳ありません!


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最近【も】抜けている私

ミカンが美味しい季節になりましたね。

最近本棚が飽和状態なので、マンガは電子書籍と決めています。

ちなみに、某アメーバマンガというサイトと、e-booksを使い分けています。

そして、最近ドハマり中なのが「憂国のモリアーティ」なのですが(ちなみにジャンプSQはネカフェで読んでいます!だって、読んでいるのは「るろうに剣心」これだけなので、コスパを考慮してです~!


最初は「ああ、ホームズのライバルで負けちゃった人ね」とアメーバの無料キャンペーンで一冊読んでしまって、まんまとその目論見にハマり、「これ!面白い!!」と毎回読んでいます。

ずっとずっと昔子供の頃、コナンドイルのホームズにもハマっていましたが当たり前のように出て来る「階級制度」がサッパリ分からなかった覚えがあります。

で、この漫画なのですが、貧民階級に生まれた兄弟が貴族制度を憎み、モリアーティ伯爵家の養子になった主人公がモリアーティ家の長男でありながら、貴族制度が大嫌いという「お兄様」と結託して貴族制度を【犯罪】によって変えようとする話です。

正義感かつ犯罪者といえば、かの「デスノート」のライト君もそうですが、私は大のLファンでして「ライト君の壊れっぷりが辛くて読めない!!」と脱落した友達を尻目に「ニア!Lの仇を取るんだ!」と応援していました。


が、しかしですね「憂国のモリアーティ」の主人公ウィリアムに感情移入してしまい、ライバルとして良い味を出している(本来ならこっちにハマっていたハズです)ホームズがそろそろ気づき始めているので「あの滝のシーンで死んじゃうのか……」とその日が来ないことを祈っているという。


で、小説版が出るのも知っていて(キンドルとかは持っていない)アマゾンでポチっとしました。

ええ!自分のノルマの小説を書き上げた後で。そして届くのを指折り数えて待っていたのですが、来たのはコレ……。

憂国のモリアーティ 10 (ジャンプコミックス) [ 三好 輝 ]

価格:528円
(2019/11/25 19:06時点)
感想(0件)



は?これは、マンガの最新刊!既にアイパッドに入っているヤツ!!と愕然としました。。。。。

きっと眠りの国に半分入りかけていた私はクリックをミスったかと思われます。
期待が大きかったのでショックも比例しまくりでした。


私が欲しかったのはこっちです。

↓↓↓

憂国のモリアーティ 禁じられた遊び (JUMP jBOOKS 憂国のモリアーティ “ 緋色 ” の研究) [ 竹内 良輔 ]

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感想(0件)



泣きながらもう一度ポチりました……。
どんな「禁じられた遊び」をするのか、物凄く気になっていたので。

「犯罪卿」こと伯爵家の二男になったウィリアムとホームズが協力して命を賭けた頭脳戦のゲームに挑むというお話でした。

マンガでハマればきっと面白いハズです。

ちなみにアメーバアカウントをお持ちでしたら、時々キャンペーンで一巻無料で読めます!!

ちなみに、ウィリアムはモリアーティ伯爵家を炎上させて、協力的だった長男のアルバート以外は焼き殺してしまうという恐ろしい完全犯罪をするのですが、その後、ダラムという町にお城を買います。

その時に、最も貴族的な雰囲気を纏っている(まあ、生まれも育ちもお貴族様ですから)アルバート兄さんが家具も付いたお城を【値切って】買ったと、ウィリアムは言っていました。

その、値切り交渉の場面、物凄く見たい!!と今でも密かに思っています。


雑誌の方では、いよいよ最終章に向けて来ているな……と月の四日が待ち遠しいような怖いような気持ちです。

いやぁ、推理小説は好きなのですが、基本探偵が好きなのでこういうスリルを味わわせてくれる作品に出会えて良かったと思っています。



◇追記◇

ノベルバも無事更新致しました~!途中でフリーズしてデータが吹っ飛ぶという惨事にもめげずに頑張った私です!
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気分は下剋上 学会準備編 351

「オレ……いえ、私で出来ることなら喜んで!!」

 久米先生は何だか柏木先生と呑みに行くような居酒屋さんの店員のような元気の良さで答えている。

 岡田看護師と首相との3ショット実現に――いや、久米先生のことだから首相は抜きでも良いような気がする――浮かれてハイテンションになっている感じだ。

「ウチの母とも意気投合したと思いますが、今でも話し掛けに行って大丈夫ですか?」

 祐樹のお母様は容姿よりも性格の方が遺伝(?)している感じだ。性格とかそういう精神に関係の有ることは学者によって遺伝説と生育説に分かれているので議論の余地があるが。

 祐樹も人懐っこい上に面倒見が良い性格だし、それはお母様譲りだと認識している。実際は辛辣な意見を持っていてもそれをオブラートに包むところとかも良く似ている。そのオブラートの包み方が物凄く上手いところなども。

「はい。私がというより、彼女の方がもっと意気投合したようですね。

 『ああいうお姑さんだったら一緒に住んでも良い』とか言っていました」

 それはつまり久米先生のお母様とは同居不可ということだろうか?と勘ぐってしまう。

 祐樹も同じ結論に達したのか、唇を魅惑的に吊り上げて皮肉な笑みを浮かべている。

 ただ、久米先生の場合、祐樹のそういう表情に慣れているようで気に留めた様子はなかったが。

「では、首相と撮影が終わった後に、ウチの母のテーブルに行って『次はどうぞ』とか何とか言って連れ出して――あ!そう言えば母の手の痺れは大丈夫でしたか?バタバタして忘れ果てていましたが……」

 半ば本気、半ば照れなのかも知れない。祐樹はマザーコンプレックスを持ってはいないようだが、やはり気にしてはいるようだ。まあ、育てて貰った恩も有るだろうし、祐樹が親御さんを気にしない人だとそちらの方こそ問題だろうと思う。

 世の中には虐待とかで親の資格がないと個人的に思ってしまうような人間が新聞紙上に溢れているけれども、祐樹のお母様は息子が同性愛者だと知っても、そして恋人の自分にもとても良くしてくださっている。

この頃はドラマでも同性愛者を扱ったモノもあったし、毒舌おねえキャラの男性がカミングアウトをした上でテレビにレギュラー出演をしているが、そのほとんどのケースが「親に勘当された」という過去を持っている。まあ、ドラマはフィクション部分も強いけれどもごくごく一般的な世間の人がどう考えるのかという一つの指針になると思っている。

 塩を撒かれても仕方ないと覚悟して初めて訪れた自分に対して、物凄く良くして下さったのは一生忘れないだろう。

 縁起でもない仮定だが、祐樹のお母様に万が一のことが有った場合に棺に取りすがって一番泣くのは自分のような気がする。

 実母が亡くなった時には覚悟していたということもあったし、今より感情が平坦だったこととか喪主としてしっかりしなければなどと考えていただけだったが。

「田中先生のお母様の手の痺れは神経由来かと個人的には考えています。詳しいことは念のために検査してみないと分からないですが。

 あくまでも問診と触診では、そんな印象を受けました」

 祐樹が微かにため息を漏らしていた。やはり「忘れ果てて」いなかったらしい。

 自分も物凄く安心したが、それを表情に出すことは出来ない。

「そうですか。『医師としての』久米先生は信頼出来るので、一安心です。

 それはそうと、ウチの母を総理大臣とツーショットの画像を撮って帰したいのです。

 ウチの実家の地方では『自民と共産しか政党がない。そして共産主義はソ連がそうだからけしからん!』とか考えている高齢者が多いので、その自○党のトップの方と写真が撮れたら親孝行になると思います。

 『テツ子の部屋』に教授と出ましたよね?あの時も、市長様や町長さんがウチのボロ屋に来て下さったとそれはもう嬉しそうでしたので」

 久米先生は怪訝な顔をしている。

「その程度であれば喜んでさせて頂きます。何ならこのパーティの主役の教授と田中先生も一緒に写ったらどうですか?

 その方が『列席者代表』って感じがする上に、主役のお一人がご子息だとご町内とかに自慢出来ませんか?」

 久米先生の「無邪気」な提案はナイスだった。祐樹は謙遜してボロ屋とか言っていたが、ごくごく普通の一戸建てで、その点は久米先生もスルーしてくれて良かった。

「ああ、それは良いですね」

 祐樹の声がより一層の快活さを帯びている。その上パチっと指まで鳴らしていたのは、自分と同じく「久米先生ナイスアイデア」と思ったからだろう。

「承りました。でもなんでソ連がダメなんですか?まあ、崩壊してしまった共産主義を嫌うのは分からなくもないですが……?」

 久米先生は素朴な疑問といった感じでふっくらと肉の乗った首を傾げている。

「ウチの母世代のもう一個上は第二次世界大戦体験者なのですよ。

 で、日本がポツダム宣言を受諾して、当時の昭和天皇が初めてラジオで直々に玉音放送をなさった後に条約を無視して当時のソ連が攻めて来たのです。

 アメリカとかとは最初から敵国なので『原爆はまあ、百歩譲って仕方ないことだ。広島・長崎の人には申し訳ないけど……しかし、ソ連は卑怯で寝返った裏切り者の国』みたいな認識が沁みついているようですよ」

 久米先生は納得したように頷いた。

「え?天皇陛下って普段はラジオで話さなかったのですか?ほら、今の天皇陛下とかは録画した映像だと思いますが『お言葉』が流れますよね……。

 あー、最初から敵だったのなら仕方ないですけど、降伏した後に攻めてくるとかそれは確かに卑怯ですよね。教科書でさらっと読んだだけなんで、ふーん!でしたが、当時の人からすれば確かにそう思いますよね」

 祐樹は岡田看護師がにこやかに差し出したグラスにシャンパンを注ぎながら「母が嫌がっても、それはタテマエに過ぎないので宜しくお願いします」と言っていた。

 岡田看護師はアクアマリンの微笑みを浮かべて頷いている。清楚で控え目な感じの外見だが、芯のしっかりした女性だと聞いているので大丈夫だろう。

「国民に周知させる方法が当時はラジオしかなかったらしいです。

 それに『天皇は神様』という扱いを受けていたので、当然ラジオなどに出るハズもなかったらしいです。

 生まれて初めて天皇のお声を聞いた国民は抵抗を止めて、敗戦を受け入れたとモノの本に書いてありました」

 それは知らなかったなと思いながら聞いていると、祐樹がシャンパンのボトルを手渡して来た。

 一体何の積もりだろうかと祐樹の輝く眼差しとか、シルクの鈍い光沢のスーツ姿をしげしげと見てしまった。

 何度見ても見惚れてしまうほどの恰好の良さで、この雰囲気にメガネと前髪を上げるという工夫を加えれば「人は見た目が10割」とか思っているアメリカ人医師の視線も強く引くだろうと思いつつ。

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最後まで読んで頂きましてありがとうございます!!

以前からの読者様がどの程度いらっしゃるのか分からないのですが、ヤフーに無かった機能の一つ余白投稿をしています。(いや、予約投稿自体は有ったのですが、ブログ村や人気ブログランキングには記事更新を主導でしか出来なかったので、必然的にその時間まで待っていました。
ライブドアさんは自動で出来る仕組みで非常に助かっています。

今からノベルバ用の記事を書こうと思っていますが、何しろ瀕死なPCなのでお約束出来ないです。

ツイッター(画面左上)のフォローなどで確認して頂ければと思います。



気分は下剋上 横浜編 6 (I8禁)





「ああっ……ゆ、祐樹っ……とても、悦いっ……。

 深くまで……届いてっ……、いてっ……。あ、そこっ……すごく……感じるっ……。その……動きを……続けてっ……欲しっ……」

 最愛の人の花園の中で一際、貪婪な感じで動いては包み込む場所が感じるのではないかと思って突いたらビンゴだった。

 純白のシーツに跳ねる紅色の肢体が半ば浮き上がって、祐樹の腰に回した足で辛うじて身体を支えている。

 真っ白なシーツの上に舞う紅い蝶のような最愛の人の姿を見ることが出来るのは祐樹だけだと思うと、愛しさが加速してしまって、浅く深く花園を蹂躙していた。

「あっ……その……凝った……場所っ……そんなにされたらっ……花火が連続して……爆ぜて、しまっ!あっ」

 見下ろした最愛の人の紅色に染まった端整な顔が法悦に歪んでいるのも物凄く艶っぽくて、ついつい動きを止めて見惚れてしまいそうになる。

「あっ……もうっ……」

 一際甘くて切羽詰まった声と共に長い睫毛から零れ落ちる涙の雫が大粒になっている。

 しかし、予想していた腹部に飛び散った感覚は無くて、その代わりというか花園の中が熱くて厚いベルベットがヒクリヒクリと大きく動きながら包み込んでくれている。緻密で繊細な動きと嵐に吹かれた布のような感じも相俟って祐樹をこの上もなく愛おしげに、そして熱い物狂おしさに駆り立ててくれる。

「乾いた頂点にいらっしゃる……聡の……そのお顔は……、普段よりももっと……艶やかさと紅い瑞々しさに……満ちていて……素敵過ぎます……。

 そのお顔だけでなくて、極上の花園の……精緻な動きで、私を昂ぶらせて……下さっているのも、天国に……近い場所……ですね。

 油断すると、直ぐに……爆発してしまいそうです……。

 どちらが良いですか?奥処にばら撒くのと……凝った場所に……当てるのと……では?」

 今回の場合は、祐樹一人の勝手な嫉妬と独占欲だと理性では分かっている。

 最愛の人に何ら落ち度が有ったわけでもないし、独りよがりというか勝手な「一目惚れ」を――まあ、あれほどの勢いで来られるとは思いも寄らなかったが――冷淡かつキッパリと断って良いのは高校生の時くらいだろう。

 社会人として普通の対応をしていただけだとは分かっている。まあ、屋上に誘われた時には警戒していなかったのは物凄く気になるが、最愛の人のある意味「鈍感さ」も加味すれば仕方ないのかもしれない。

 だから、その贖罪の代わりに最愛の人の望む形で、一回目の愛の行為はピリオドを打ちたかった。

「奥の奥まで……濡らして欲しい、祐樹の……でっ」

 紅色に染まった頬に水晶のような涙の川が流れているのもとても綺麗だった。

 そして紅いシルクのような唇から甘い声を紡いでいるのも。

「分かりました……」

 いったん門の辺りまで退いて、凝った場所の心地よい弾力を先端部分で二回味わっていると最愛の人の唇がシルクを引き裂いたような妙なる声を零している。ついでに唇の端からも水晶の雫も転がり落ちている。

「聡の……極上の花園……いつも以上に、素敵な動きで……包み込んで下さって、いますね。もう、限界です」

 ベッドの軋む音が一際高く部屋に響いた。

「ああっ……悦っ……。頭の中っ……真っ赤と真っ白の……」

 祐樹の腰にクロスした最愛の人の脚の力が強くなったかと思った瞬間に、祐樹も禁を放った。

 同時に腹部にも暖かい白い蜜が飛び散ったのを感じた。

「すみませんでした。大人げなく嫉妬してしまって……」

 嫉妬の理由を説明しようかと一瞬思ったものの、何だか言い訳がましくなるような気がして、唇を重ねるだけに留めた。

「どうしてだ?嫉妬は愛情の裏返しなのだろう……。だから逆に嬉しかった。

 ほら、世界の名言集にそういう言葉が書いてあった。『愛情の反対は無関心』とかも有ったな……。世界中の誰でもなくて、祐樹だけにこんなに愛されているのかと思うと嬉しかった。

 最初は正直戸惑ったが……。

 ただ、私も祐樹が綺麗な男性に囲まれていて、しかも満更でないような笑顔を――今は祐樹が内心どう思っているか何となく分かるようになったが――浮かべていたら、心が物凄くざわめいてしまうだろうから、お互い様だと思う」

 一つの枕の上で額がくっつくほどの距離で向かい合っていると、それだけで幸せだった。

 心も身体もお互いで満たされていくような。

「今夜の愛の交歓で思い知りました。

 貴方が公的な場所で涼しげで端整な雰囲気を纏った『高嶺の花』として誰もが称賛を浴びせるのはある意味当然なのですが、こういうふうに瑞々しい艶やかさとか乱れた肢体を見せるのは私限定なのですよね?」

 「当たり前だ」という答えを期待していたが、祐樹の腕に頭を載せた最愛の人は戸惑った表情をしている。

 そういう無防備な顔を見るのは心が弾むものの、何故そこで戸惑うのかが分からない。

「もしかして、他の人にも見せたいのですか?」

 それはないだろうと思ってはいたが、愛の行為の後の戯れの一環として聞いてみた。


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何とか瀕死のパソが動いているウチにと書きました。

雑談記事とかなら、アイパッドで大丈夫なのですが、小説はやはりPCでしか書けないです。

最後まで読んで頂き有り難うございます!!





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