腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

2019年09月

ショーから始まる恋もある 40





「ああ。要留守に……洋幸をベッドの上に押し倒すなってことだ。

 ほら、初めてだし色々疲れているだろうから」

 ユキは顔から火が出ているのではないかと思うくらい真っ赤になった。その様子もとても可愛い。詩織莉さんの遠回しな制止が効かなくなりそうなほど・

「リョウがしたいなら、良いよ。

 さっきも物凄く広い湯船に浸かりながら、フカフカのベッドでされるのってどんな気分かな……とか思ったら。乳首がこんなになっちゃったし。

 ココも、むずむずしていて……そして熱いんだ」

 ユキはハラリとバスローブを華奢な身体から滑り落とした。

 薄紅色の乳首も可憐に尖っていて、思わず視線がそこに集中してしまう。

 オレが見ているのが分かったのか、紅色が濃くなって薔薇の蕾のように綺麗だった。

 そして半ば立ち上がっている下半身も華の茎のような瑞々しさに溢れている。

 クルリと後ろを向くと、ユキは両手でお尻を開いて見せてくれた。

 ショーの余熱が残っているのか紅色に染まった門がヒクヒクと動いているのもとても初々しくて、そして清楚な蠱惑に満ちている。

「どこがムズムズするんだ?」

 そのシミ一つない綺麗な身体を――しかも色々な所に情事の痕跡が色濃く残っている――見ていると、自然に咽喉が乾いて声が低くなってしまう。

「乳首と、お尻の中……。ユリさんから『慣れれば物凄く気持ち良い場所になれる』と聞いていたけど、一晩で慣れちゃたみたい……・リョウが上手いからなのかな?

 それとも舞台の上でお客さんに言われたでしょ、インランって。実は僕、そうだったのかも……」

 確かにそんなヤジは飛んできたような気がする。

「その言葉は……そうだな、例えばこれから店に戻って誰とでもしたいとか、店に行かなくても色々な所に有る『したい人が集まる場所』に行ってみて知らない人としたいと思っているなら当てはまる気もするが……」

 多分、洋幸は違うだろうと思いつつ解説してしまった。

 紅色の頬が透明な感じで匂い立つような顔をオレに向けたユキは細い首を思いっきり横に振っている。

 紅色の胡蝶蘭が強風に煽られた感じで、とても綺麗で艶やかだった。

「リョウとはしたいと思うけど、他の人じゃヤダ。

――舞台の上から見てたけど、床でしている人もいたよね?複数の人とではなくてサ。

 しかも物凄く丁寧で無理のない形でしていた。

 あのさ、ショーだからああいうふうにするのは仕方ないって思ってたんだけど、そしてリョウと出来て良かったんだけど――ああいうふうに丁寧に愛されるってどういう気分なんだろ?とかお風呂場で思ってたら、湯あたりしたみたいになっちゃった。

 そして身体のあちこちがムズムズして熱くなった。ココとか」

 ユキの紅色に細い指が乳首を見せつけるように弾いている。ユキにはその効果が分からないっぽい感じだったが、自らを慰めているような指の動きは物凄くクるものがある。

「門の中にも指を入れてみてくれ……。バスルームでちゃんと掻き出せたかどうか確かめないと、な」

 そんな大義名分をすんなりと信じたのか、ユキは綺麗に身体を反転させると、お尻の奥に指を入れてVの角度を広くする。

 多分、バスルームで必死に出したのだろう。指の動きは滑らかで、そしてエレガントだった。

 詩織莉さんのような女王様然とした雰囲気はまだ持っていないけど――そしてそもそもユキにそんなモノを求めてもいない――お城の奥に育った王女様が何だか「いけない」お遊戯をしているようで物凄くそそる。

「洋幸、ベッドに行こう……。身体が大丈夫そうなら、だが……」

 ショーの「演出」のせいで随分無理をさせた。だからユキだって相当疲れているハズだ。

 それに精神的にも「初めて」の体験だけでなくて、屋敷から連れ出された恐怖感とかも加わって。

 それこそユキのお母さんが泣くほど心配していたというのは、かなり荒々しくされたに違いないのだから。

「うん。とっても嬉しい。ユリさんが言ってたけど、モノみたいに乱暴に扱われるのも凄くイイけど、宝物みたいに丁寧にされるのは違った意味で素敵なんだって……。お姫様になったみたいな気分が味わえるからって」

 そんな可愛い言葉を告げるユキの唇に唇を重ねた。

「お姫様じゃなくて……、王女様を抱くように愛してみせる。

 それで良い……か?」

 ユキの切れ長な目が清廉かつ艶めいた煌めきを放っている。

「洋幸じゃなくて……リョウにはユキって呼んで欲しい、な。

 だって、その名前をいっぱい呼んで、色々なことを教えてくれたのがリョウだから。

 リョウにだけはユキって呼んでもらいたい。ダメかな?」

 薄紅色の唇が健気な言葉の花を咲かせている。

「ユキ、愛している。ショーじゃなくて、恋人としての行為をしよう、フカフカのベッドの上で」

 そう低く甘く告げながら強く細い身体を抱き締めると、ユキの息子がオレの足に当たって心地よい熱と甘い硬さを伝えてくれる。

「僕もリョウを愛している、よ。寝室はどこ?

 これが、お姫様……じゃなくて、王女様気分かぁ……」

 清楚な色香しか纏っていないユキの細い身体を横抱きにしていわゆる「お姫様抱っこ」をして運んでいると、ユキの唇がオレに近付いて来てそんな言葉を紡いでいる、花のような笑顔と共に。

「今度は王女様気分を充分味わわせてやるので、ユキは何もしなくて良いからな。

 ただ、感じたらそのまま声に出して貰えればそれだけでイイ。

 それと、リョウは店でしか使っていない源氏名で、本名は……。今となっては親も呼んでくれない名前だが。

 何せ、この職業に就いたと明かしたら親子の縁を切られた……。お硬い市役所務めの親父と専業主婦のお袋には受け入れがたい職種だったし。

 ま、高校と大学の時にも散々やんちゃをしてその度に迷惑を掛けたし、しかもホストなんてチャラチャラした仕事は仕事とは言わないとかキレられた。

 実家にはそれきり帰っていないんで」

 ユキをベッドに丁重な仕草で横たわらせながら言った。白いシーツの上に薄紅色の花が咲いたようになった。しかも乳首とか息子に触れるとしなやかに反る綺麗な花だ。

「リョウの本名って何?」

 服を脱ぎながらユキにしか言う積もりのない本名を口に出した。


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更新出来ました。実はこのお話し、主人公が全然活躍していないわ!!とお思いの貴女。実はクライマックス、次なので、それまで気長に(と言っても後10話くらいかと。ただ、悪癖の長くなるというのが出なければですけれど……)お待ちいただければ嬉しいです。



























気分は下剋上 帰国編 1

「間もなく着陸致しますので、シートベルトを装着下さい」

 懐かしい風景が窓外に広がっているのを見てやっと帰って来たのだな……と感慨を新たにしつつも学会での発表も会場に設えたやたらと高そうなカメラと本格的な集音マイクが――祐樹の知る限りNHKの記者さん達が持っていたのよりも高性能そうだった――リアルタイムで日本にも配信していると思うと、出席者に語りかけるよりもむしろ固唾を呑んで見守ってくれているハズの最愛の人に向かっているような感じで話した。

 アメリカの学会の動画の――そのサイトに登録出来るのはあちらの学会員のみというセキュリティらしかったが、最愛の人もアカウントを持っているので何本か見せて貰っていた――ほとんどが何だか大統領選みたいな「聴衆の熱気を煽って更に自分も興奮気味に語る」というスタイルではなかった。しかし、そちらの方が斬新だという意見が大多数だったので結果的には良かったと思う。

 それにアメリカ人には欠かせないジョークも日本語で考えて上手く入れることが出来たし。

 ほとんどとんぼ返りという有様だったが、最愛の人が一緒ならばともかく一人では――と言っても学会の後の親睦会ではキチンと人脈も出来たし、遠藤先生の売り込みも成功した。

 そして何より最愛の人と同じくあちらの学会にも入会出来たし。

 関西空港は24時間飛行機の受け入れをしているので、こんな夜中でも大丈夫だった。

 何しろ窓の外は半分ほど電気が消えている「大都会」の様子で、そんなのは大阪のリッツのクラブラウンジでも見たことがない。

 最愛の人と愛の交歓を済ませてから……という時間帯には時々有ったものの。

 何しろファーストクラスなので最優先で無事入国することが出来た。

 最愛の人は迎えに来てくれるという約束だったが、詳しいことは決めていない。ただフライトの便と到着予定時刻は知らせて有るので大丈夫だろうなと思いながらモノレール(?)状の物に乗って空港ロビーに向かった。

 その途中で電源を切っていた携帯をオンにした。

 すると「祐樹お帰り。物凄く講演も良かった!!医局員も出迎えに行くと言っていたので私はホテルの部屋に居る」とのメールが来ていた。

 医局の誰が来るのかは知らないが、同じホテルか――この時間にはリムジンバスしか出ていないハズだったと思う――もしくは近くのホテルに泊まって明日の早朝に電車で帰るしかない。

 だとしたら自分と最愛の人がホテルに二人きりで消えて行くというのも不自然極まりないので、祐樹でも同じ選択をしたと思う。

 出迎えの人間に無事に終わった挨拶をして「流石に疲れましたよ。詳しくは医局で皆に発表します」と言うと皆がそそくさとバス停の方に向かってくれたのはラッキーだった。

 ホテルの部屋に内線から電話を掛けた。

「私です。無事帰って来られました。今から部屋に行って良いですか?」

 何だか本当に不倫をしているカップルの逢引きみたいだな……と思うと笑いがこみ上げてくるのは多分学会の余熱めいたものが心と身体に残っているからだろう。

 ちなみに22時を過ぎているので部屋番号を間違えたら他の人の迷惑になると思ってもう一度画面で確認した。

 最愛の人のレベルには及ばないものの特に数字の暗記は得意ではあったが、一応念のために。

 数値を――バイタル――即座に暗記してから処置に当たるというのが救急救命室で叩き込まれた教えだったし、内線で電話をかけたので復唱までバッチリだったが。

「祐樹、お帰り」

 チャイムを押した直後にドアが開いて、最愛の人の幾分弾んだ声に出迎えられた。

 それは大変嬉しいし祐樹も心待ちにしていた瞬間だったが、最愛の人の顔を見て驚いてしまった。

「そういう髪型に黒縁メガネをかけると学生でも通るのではないでしょうか?そういうのもとても好きですが」

 深く重ねた唇を少しだけ離して呟くと、先程のキスの余韻の銀色の細い糸がお互いの唇に掛かっている。

 右手は付け根まで絡ませて、左手は最愛の人の背中からウエストの辺りまで輪郭を確かめるように辿りながら。

「医局の誰に見られるか分からないので……。PCの画像越しだが、祐樹のシャープかつクレバーな感じもまるで別人のような感じだった。

 だから、私もこういう格好なら露見する率が下がるかと思って……」

 前髪を下ろした上に黒のフチのついたメガネ、そして襟ぐりの深い薄手のニットにチノパンという格好は意外過ぎた。

「お帰り。画像を見たが大成功だったみたいだな。祐樹のことだから心配はしていなかったが……。ただ予想以上に素晴らしかった。特に始まって5分23秒とか、12分15秒とかが秀逸なアドリブだった。台本も素晴らしい出来だったのに、即興で変えた上に更に良くなっていたし……」

 最愛の人の頬が祝福の紅い色に染まっているのも綺麗だった。何だか咲き初めた薔薇の花に朝露が宿っているような。

「そこまで覚えてくださったのですか?5分23秒ってどういう発言でした?」

 最愛の人は時計がなくても時間が分かるという特技も持ち合わせているがあいにく祐樹はそこまでの天賦の才能までは持ち合わせていない。

 襟ぐりの深い服なので、少し引っ張れば鎖骨よりも下までが露わになる。

 シトラスの香りが普段よりも匂い立っているのは最愛の人の体温が上がっているせいだろう。胸の尖りは紅色にツンと存在を主張していたし。

「説明するよりも動画を見た方が早いのだが。あいにくPCを持って来ていない。ワイファイは有るらしいが……」

 軽く啄むようなキスを交わしながら、胸の尖りをウール越しに摘まんだ。そして背中からウエストにかけての見事な曲線を左手で確かめながら。

「PCが有れば良いんですよね?ビジネスセンターも有るので、そっちに行って見ませんか、一緒に」

 一瞬だけ最愛の人の視線がベッドへと流れた。「愛人ごっこ」の約束を確かしていたハズなので当然「その気」だったのだろう。

 ただ、襟ぐりの深い服は――最愛の人は室内着として使っているものの、充分外でも通用する――嬉しいサプライズだが、それ以外は本当に学生のようで大変新鮮で、メガネを外させるのが勿体ない。

「5分23秒までは一緒に見ませんか?」

 良いコトを思いついたので畳み掛けるように言った。

 指で感じる胸の尖りは硬度を増しているものの、布地が厚いので目で見ただけでは分からないし。

「――祐樹がそう言うなら……。祐樹を待っている時には飛行機をずっと見ていた。どの飛行機がそうかと想いながら、焦がれるように……」

 

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スミマセン!!体調不良でして、新規記事書かずに休んでしまいました!
今はこれは前に書いていて「そのうち時系列に沿って出そう」と温めてたのを急遽出します。

なお、「ショーから」の更新は未定です(泣)更新出来ればしますが、あまり期待はしないでください><
























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気分は下剋上 学会準備編 359

 この感じは柏木看護師をアドバイサーとして写真館に行って撮影している時に彼女が浮かべていたのとほとんど同じだった。もちろん顔の造りとかは違うが。

「香川も私も大好物のお菓子でして、兵庫県の芦屋市――ご存知ですよね?そちらからわざわざ取り寄せたものでして、その美味しさを充分に引き出すためには温めないとならないのです。

 夜食にでも――皆様はダイエットの必要などない方ばかりですので――召し上がって下されば幸いです。

 そして――――ここのホテルで売っているモノよりも美味しいというのが二人の一致した意見です」

 その言葉に思わず吹き出しそうになるのを危うく堪えた。

「きゃー教授のそのお顔、ス・テ・キ。

 撮影はダメですか?」

 自分の――祐樹は大好きだと言ってくれて嬉しいが――何の変哲もないこの顔、しかも吹き出しそうな顔に需要があるのだろうか?

 そんなことを考えていると祐樹は慌てた感じで口を開いた。

「写真はご遠慮ください。

 女性の場合は特に最近は拡散した写真から所在地とかの位置情報を元にストーカー被害に遭ってしまうという事例も報告されていますので、身の安全のためにも止めた方が賢明なことはお分かりですね、賢明そうな貴女には」

 そんなに詳しくはないものの、取材を受けたビジネス雑誌社が律義に送ってくれる本には確かにそんなことが書いてあった。「貴方の行動は上司に筒抜けになる」とかいう記事で。

 ただ、スマホの位置情報をオフにしておいたらそれは防げるらしいが、祐樹が「撮影禁止」と言ったのは口に出した言葉とは異なった考えがあるのだろう。だから深刻そうな表情を繕って大きく頷くだけにしておいた。

 ちなみにこのホテルのお菓子は食べたこともない。甘いモノが大好きな自分ですらそうなのだから祐樹などは絶対に食べた経験はないと断言出来る。

 退院したり、手技を控えたりする患者さんからの「お志」は山のように頂くが、芦屋のメーカーのギネスブックにも載ったとかいうフィナンシェなどの――ちなみに大好物なので医局の皆に人数分だけ分けた後に持ち帰って食べるのも楽しみの一つだった――「その場で食べられる」モノではなくて加熱した方が格段に美味しいのも事実だった。

 ただ、そういう「お志」を下さる方の大半は「一口で食べられるモノ」を選んで下さっているようだった。中には活き伊勢海老とか「普通の独身男性」どころか黒木准教授のような妻帯者ですらパスするようなモノを送ってくれる方も居るが。ただ、幸いというか自分は料理が大好きなので、調理して祐樹と二人で美味しく頂いた。

 「焼きティラミス」はカリッとして中はトロッと解けたチョコの配分が絶妙だ。

 しかし、他社商品をこんなに大声で言って大丈夫なのかな?と心配してしまう。営業妨害にならないかな?と。

 芦屋の洋菓子メーカーと老舗ホテルという違いはあるが、ここの売店だって洋菓子は売っているので。

 祐樹のことだから大丈夫だろうと思ってはいたものの。スタッフの目や耳が気になってしまってそっと辺りを見回すと、清水研修医と昵懇らしい総支配人の柔和な笑顔を見つけた。

 多分、この「騒動」が拡大しないように黒子のように佇んでいるのだろうが、自分の視線に気付くと「大丈夫ですよ」的な目配せを送ってくれた。

 多分、他のお客様の迷惑にならないことを第一に考えていて、その他は大目に見てくれる感じだった。

「そんなに美味しいんですか?」

 一席目のテーブルに向かって歩いていく祐樹を慌てて追い掛けた。傍目にはそう見えていないだろうが。

 芦屋を中心とする神戸では抜群の知名度だが、京都ではどうやらそうでもないらしい。

「美味しいですよ。甘いモノは正直、あ、すみません」

 女性が大きめのバックを席から下ろして荷物入れのための籐のバスケットに入れて二人分の席を作ってくれているのを見た祐樹がその女性に極上の微笑みを浮かべて御礼を言っている。

 ただ、その笑みは患者さんにも向けられる類いのものだとは知っていたので別に何とも思わない。

 自分を見つめてくれる時には、眼差しに熱がこもっているし輝きも更に有ったので。

「美味しいですよ。甘いモノが好きではないと先程申し上げましたが、あのお菓子なら4つは食べてしまいます。

 まあ、ココだけの話――」

 祐樹の良く通る快活で滑舌の良い言葉は患者さんとデリケートな話しをしている時と同じ音量に下げられていた。

 そして先程まで黄色い歓声を上げていた女性達も祐樹の話を聞こうと一斉に口を閉ざして、こちらのテーブルを注視しているようだった。

 多分、その効果を予測してわざわざ小さい声で話しているのだろう。

「『焼き栗モンブラン』もお勧めです。そうですよね?教授」

 祐樹は支配人の目配せで店員さんが持って来たアイスコーヒーに口を付けながら言った。

 自分に振ったのは先程の写真撮影を断ったという点と平等に喋るべきだと判断したからかも知れない。

 バレンタインデーの医局のお祭り騒ぎの時のように祐樹一人を目当てに集まった女性だけだったら一人で対応するだろうが、先程の絹を裂くような声は明らかに二人目当てのような気がする。

 そういう心遣いも――内心は「『披露宴』の前におしかけて迷惑この上ない」とか思っていそうだが――祐樹らしくて唇に自然と笑みが浮かぶ。

 控室で二人っきりというのも宝石のような時間だったが、こんなふうに43人もの女性に囲まれるような事態はこれからそんなに有ることでもないだろうし、これはこれで楽しもうと。

「『焼き栗モンブラン』は――ああ、モンブランというのはフランス語で『白い山』を表します」

 「質問です!」と同じテーブルの女性が小学生のように手を挙げた。

 清水先生や総支配人、そして祐樹が沈静化を図ってくれただけに、集団心理の熱狂はひとまず去ったような感じだった。そうでなければ一斉に質問の嵐が来てもおかしくなかったので。




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ショーから始まる恋もある 39




「もちろん、ユキが嫌でさえなければ。是非一緒に住んで欲しい」

 そう断言するとユキの顔が朝日を浴びたピンクの薔薇の花のような笑顔を浮かべていて、食べて、いや押し倒したいほど可愛い。

「この部屋は、いわばナンバー1ホストの見栄というか、後輩たちへの憧れの対象になれば良いな程度で買った。

 ほら、車だってこの時計だってそうだが『女性に夢を与える仕事』に就いている以上はこの程度のモノは必要だと思って。ぶっちゃけオレはセイコーでもGショックでも良いんだが。それに国産車で充分だし。

 ただ、女性はそう言う点も細かく見るし、誕生日プレゼントを必死で探しているので、セイコーの時計なんか――いや、別にその会社をディスっているわけではない、ぞ。あくまで価格帯の話だ――着けていたら……」

 詩織莉さんが、昂然といった感じで胸を反らす。ルビーとダイアの首飾りが白を基調にしたこの部屋に燦然と輝いている。

「そりゃあ、リョウがGショックなんか巻いていたらお客さんはこぞってロレックスとかのハイブランドの時計を誕生日プレゼントにするでしょうね。それも1千万円以上の価格帯のを、ね。

 リョウの誕生日は10月2日だったわよね。その日にはドンペリのプラチナのシャンパンタワーとかリシャールが次から次へと。あの勢いは物凄いわよね……」

 そう言う詩織莉さんはあのショーでも呑んでいたヘンリーⅣを店中のお客さんだけでなくキャストにまで振る舞ってくれた。

「今言うのは物凄く申し訳ないのですが、私の誕生日は1月1日なんです……」

 詩織莉さんは「あらそうなの?」という感じで白鳥のような首を傾げただけだった。

「――リョウの誕生日って元旦だったの?

 でも、なんで誕生日までウソをつくの?」

 ピンクの薔薇の妖精みたいな感じで――多分「同居」の話が嬉しかったのだろう――詩織莉さんよりも細いかも知れない首を本気で傾げていた。

「ああ、普通さお正月は家族と過ごすために帰省したり、正月休みを利用して旅行に行ったりするだろう? 

 店は一応開けてはいるが、お客さんは普段の半分以下になってしまう。

 だから祝日とかそういう日が誕生日のスタッフは皆が平日に誕生日設定をしているな。

 誕生日っていうのは推しのホストが居れば必ず来店して祝うのが暗黙の了解だから、な」

 詩織莉さんはウチの店をご贔屓にしてくれる前にも色々なホストクラブに行っていたとか聞いている。だからさほどの驚いた様子はなかったが、ユキは切れ長の目を真ん丸に開いていた。それも19歳とは思えないほど可愛い。

「それはそうと、リョウのこのマンションに洋幸が住むということで良いのかしら?」

 詩織莉さんは相変わらず鳴き声が漏れてくるスマホを気の毒そうに見て確認して来た。

「それは勿論OKだ。是非洋幸には一緒に住んで欲しいと思っている。

 このだだっ広い場所でUFOとかすすっていると、余計な侘しさを感じる。

 ユキが――まあ、普通は寝ている時間帯だが――この部屋に居てくれるだけで良い」

 ユキはピンクの薔薇の花の上に乗った露のような笑みを浮かべていた。

 朝ごはんの――といっても世間的には昼メシだろうが――時にでもユキが大理石のテーブルに居てくれるだけで生活の潤いが全く異なるだろう。

「そう、有難う。奥様、セキュリティも現代最高水準を誇るマンションですから、ご安心下さい。洋幸ももうすっかり落ち着いていますので、今夜は蜂蜜入りの温かい牛乳でも飲んでお休みください。はい、分かりました」

 詩織莉さんは――多分ユキのお母様がスピーカー機能に付いていけないと判断したのだろう――スマホに耳を当てながら言っている。

「リョウさんにくれぐれも宜しくと伝言だったわ。じゃあ、私もそろそろ帰るわね。

 今日はいっぱいお酒を呑んでしまったので、殿方には醜態も見せられないし……。

 それに、洋幸の件で色々気を揉んだりもしたからその反動が来そうだわ」

 そんなに酔っぱらっているようには全く見えないが、多分オレとユキを二人きりにさせたいのだろうなと。

「じゃあ、お休みなさい。キョウ……ユキをこれからも宜しくね」

 酔っぱらうと足に来るモノだと思っていたが、詩織莉さんはスリッパからピンヒールに危なげなく蝶のような足を入れていた。

「栞お姉様、本当に有難う。特に……リョウに会わせてくれたこと。そして『初めて』の相手に選んでくれたことも」

 バスローブ姿のユキも玄関先で詩織莉さんに改まった感じで頭を下げている。

「お休みなさい。――今夜は洋幸にこれ以上無理はさせないでね、リョウ」

 意味有り気に微笑んでいる。

 ユキはポカンとしていたが、オレには真意が分かった。

「それは……、確約出来ませんが善処はしたいと思います……」

 二人だけになったら「押し倒したい」と思っているのを見透かされたのかもしれない。

「洋幸が良いなら、それは自由だけれど……。くれぐれも無理だけはさせないでね」

 そう言って紅い爪をひらひらと振りながら詩織莉さんは玄関から出て行った。

「栞お姉さん……何を言いたかったのかな?」

 ユキは詩織莉さんに礼儀正しく腰を折って挨拶をした後にあどけない感じで聞いて来た。

 その仕草も食べてしまいたいほど可愛い。





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気分は下剋上 学会準備編 358

「きゃあ、田中先生と香川教授よっ!!」

 テーブルに目印のように本を置いて、スマホで撮影会のようなものに勤しんでいたり、興奮気味にお喋りをしていたりしていた女性の一人が椅子を蹴り倒して立ち上がった。

「お会いできて嬉しいですっ!!」

「さっきの先生が言ってたのホントだったのねっ!!」

「有給取ってまで来たの……ホントに良かったぁ!!」

 などと言う言葉が黄色い歓声の中に混じって聞こえた。

 もちろん、ティールームには一般客も居たし、彼女達は奥の方に固まって座って――いや、祐樹や自分を視認した瞬間立ち上がって椅子を蹴り飛ばして立った人も半分くらいはいた。

 普段なら無意識にその数を確認してしまうが、その勢いといか異質さに驚いて頭が半分くらいしか回っていないので正確な人数は分からない。

 たまたまその場に居合わせたと思しき初老のご夫婦と思しき人なども入口付近と奥に交互に視線を向けている。

 その他の「一般客」も同じようなリアクションだったが、自分がその立場だったとしても、そうするだろうな……と半ば思考を止めた頭で考えた。

 祐樹は大袈裟な感じで腕時計に視線を落としている。ちなみに祐樹の腕に巻かれているのは自分がベルリン土産に――と言っても祐樹も駆けつけてくれたので厳密な意味での「お土産」ではなかったが――贈った時計なのも嬉しい。嬉しいが先程のように、心の中に花が咲いたりシャンパンの泡が弾けたりするような気がしないのも仕方のないことだろう、多分。

「皆様、わざわざ来て頂いて本当に感謝に堪えません。貴重なお時間を割いて頂いたことも……。

 自己紹介は必要ですか?」

 祐樹の声は快活さに満ちていたものの、若干沈んで聞こえるのはワザとだろう。そういえば呉先生も声の大きさは異なるものの――まあ、不定愁訴外来のこじんまりとしている場所でこんな音量で喋る必要は皆無だが――患者さんと接する時にはこのトーンなので、祐樹はそれに倣っているのかもしれない。

 自分と異なって祐樹は精神科のことはまるっきり勉強しなかったと言っていたし、自分だって臨床経験は皆無だ。

 しかし、呉先生との交流の中でコツみたいなものを習得したのかも知れない。そういう適応力というか吸収力は驚くばかりなのが祐樹の真骨頂なのだから。

 そんなことを考えてしまったのも、見た限りアルコールこそテーブルの上に置いていないとはいえ「杯盤狼籍」とも――ちなみに医師・教員・役人の宴会が歩く無礼講と言われていると祐樹に聞いたことがある。そして後の二つは知らないものの、医局の慰安旅行では幹事役の祐樹がかなり必死で抑えていた。柏木先生の呑み過ぎを始めとして――表現出来るほどの傍若無人だった。

 こういう事態には全く慣れていないので、必死に淡い笑みを浮かべるのが精一杯だった。

 引きつりそうになりそうな頬を――最近は表情筋を動かすことに慣れて来たのは幸いだと心の底から思う。

 そして祐樹が隣に立ってくれていなければ多分、この場からは逃げ出したいと思うほどだった。滅多なことでは動じないと自己判断していたが、どうやら気のせいのような気がした。

「ご多忙の中いらして頂きまして有難う御座います。

 しかし、誠に遺憾ではありますが、私も、そして香川も――ああ、香川は感謝の余り言葉が出ないようですが、その点はご容赦下さればと思います」

 祐樹の口の上手さは知っていたが、自分が余りの事に固まっているのをそういうふうに言い繕うのかと半ば呆れてしまいつつ、引きつった笑みを浮かべ続けた。

 そして祐樹も自分がフリーズしているのを充分承知しているのだろう。横目で窺う眼差しには力付けるような輝きを宿していた。

「何とか大丈夫だ」と目配せは返したが上手く伝わったかどうか。

「それでこそ、わ・た・し・の教授よねー」

 何故そこで所有権を主張されるのかサッパリ分からなかった。

「いえ、わ・た・し!のよ!!」

 祐樹が言うなら分かるが――サイン会で見た覚えのある顔だったが、ただそれだけの関係性なのに。

 祐樹がどういう表情で聞いているのか非常に気になってチラリと窺うと全く動じた感じは受けなかった。

 そのことに少しだけ安堵してしまう。

「皆様、そう口々に話されてしまうと、こちらも脳の容量がいっぱいになりますし、しかもこの場所には無関係な方も多数いらっしゃいます。

 ですから、皆様のテーブルに順番に回って個別にお話しするということで宜しいでしょうか?

 そしてとても残念なことに時間の制約もありますので、各テーブル1分のみとさせて頂きます」

 それで腕時計を普段とは違ってあんな動作で見たのかと思ってしまった。

 全てが計算なのだろう。

 それに43人とはいえ、6人掛けとか8人とかのテーブルに付いているので7つのテーブルを占拠――いや座っていたり立っていたりする――しているだけだった。

 7つなので計7分で済むなら何とかこの「苦行」に耐えられそうな気がする。

「そして教授も私も『人見知り』なのです、ここだけの話。

 ですから、とても緊張していますので、その点は悪しからずご了承ください」

 祐樹の口から出任せには慣れている積もりだったが、こともあろうに「人見知り」とは。

 祐樹はむしろ人と話す――初対面の相手であっても数分で打ち解けて楽しそうに話しているし、自分は単に人間そのものに興味がなかったので、必要以上のことは話さなかっただけで、別に他人に対して人見知りはしない。

「えー?そうは見えないですぅ!!」

 妙にテンションの高い声で叫ばれた。だからここは一応公共の場所で……。

 ただ、この女性達がパーティの受付の設置された空間でもこんなふうに騒いでいたのなら確かに迷惑極まりない。だから祐樹に連絡が入ったのだろう。

 そして清水先生もこの連中を引き連れながらクールダウンに努めてくれたのは本当に大変だったのだろうな……と思う。

 お父様譲りの肝の据わった研修医だとは思っていたが、どうやら想像以上に精神科にも集団心理にも精通しているのだろう。

「そう見えないとは、有難うございます。内心を押し隠すのに成功しているということですから」 

 祐樹の内心はさっさとこの場を立ち去りたいというのが正解のような気がするが、そんなことはおくびにも出さずに振る舞っているのも流石だった。

「では、二人で各テーブルを回ります。

 ああ、先程清水からお聞きかと思いますが、今ここに来て下さった方限定でささやかなお土産を用意しています。それもメッセージカード付きのを。 

 それはご自宅で開封して下さるようにお願い致します。宜しいですか?

 このホテルの品物ではない上に――そしてここだけの話ですが――」

 祐樹が思わせぶりに言葉を切った。

 女性達は「何?何?」という感じで瞳をキラキラさせている。


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現在ノベルバ様で「下剋上」シリーズのスピンオフ作品を書いております。

もし、読みたいという方は是非!!
こちらでもお待ちしております。

https://novelba.com/publish/works/884955/episodes/9398607
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すみません!試したらノベルバ様のトップページにしか飛べなかったので、「こうやまみか」と検索して頂ければと思います!!


最近、アプリの不具合かノベルバ様から更新通知が来ないのです……。
基本的にこちらのブログを更新した日は何かしら更新しておりますので、読んで頂ければ幸いです。
























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創作BL小説を書いています。ご理解の有る方のみ読んで下されば嬉しいです。
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  • ㊗「憂国のモリアーティ」アニメ化㊗
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  • 気分は下剋上 公認カップル騒動 95
  • 気分は下剋上 学会準備編 431(I8禁)
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