腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

2019年05月

気分は下剋上 学会準備編 287

「きょ……キョウジュっ……!!」
 斉藤病院長の「親友・戦友」として教授選から医学部長・病院長選挙まで経験しているので、絶対に修羅場をくぐり抜けているハズなのにグラスを取り落そうとしている。
「父がこのように取り乱すのは初めて見ました。しかし、本当に……そんなチャンスを与えて下さるのですか?」
 滅多に動じない清水研修医も、若干早口かつ上擦った声だった。
 祐樹が可笑しそうな笑みを浮かべて麗しい親子愛を見た後に自分を見詰めて来る。そういう秘密めいた目配せを送り合うのも心に黄金色のシャンパンの泡が細かく弾けるような感じだった。
「ウチの病院限定ですが……、脳外科は白河教授の年齢を考えると充分教授職狙えますよね」
 祐樹が畳み掛けるように言ってくれた。
 年齢差で考えるとその発言は妥当だったが、祐樹は何故自分が病院長選挙に臨むかまでは思い至らなかったようだ。
 まあ、目の前のタスクを――幸せ過ぎるモノばかりだ、最近は――こなすことで流石の祐樹もキャパを超えそうなのかも知れないが。
「そっ!!そうですねっ!!いやぁ、産まれて来て良かった……というか、愚息を斉藤病院長や香川教授に預けて本当に良かったと申した方がより正確です……」
 さほど呑んでもいないのに――とはいえ清水氏のアルコール分解酵素がどの程度体内に存在するかは分からないが――清水氏の顔は泥酔者のような色に染まっている。
「あ、失礼します。電話が……。久米先生からです」
 久米先生と聞いて清水研修医は咄嗟に仕事か明日のパーティのことだと察したらしい。
「田中先生、奥に寝室が有るので、宜しければそちらでお話し下されば大丈夫です」
 病院関係者御用達、つまりは斉藤病院長も良く使っているホテルなだけに通い慣れている感じだった。
「有難うございます。では教授、少し席を外して宜しいですか?」
 総回診の時の、患者さんを前にしたのと同じ感じの恭しさで「お伺い」を立ててくるのは清水氏の目を気にしてのことだろう。
 ただ、普段の清水氏は「権謀術数腹黒タヌキ」とあだ名で呼ばれている斉藤病院長の親友に相応しい対応を多分見せるハズだったが、今は気持ちが宙に浮いている感じを受けるので大丈夫っぽいが。
「もちろん。こちらは大丈夫だからゆっくり話して来たら良い。『例の』患者さんのことかも知れないので慎重に対処しなければならない」
 久米先生からの電話ということは祐樹のお母様を医師の視点で診た結果報告だろう。そちらも当然ながら気になっていたので。
「承りました。では少しの間、失礼します」
 祐樹が携帯を持って清水研修医が丁重に指で示した方角へと足早に歩み去った。
「医学部教授の父親と――と言っても医者の不養生を地でいっていますので生きていられるか分かりませんが、こうなれば意地でも長生きしなければならないと思ってしまいます――ウチの病院の立派な跡取りという贅沢過ぎる二者択一が出来る己の幸福を噛みしめるばかりです。
 独立行政法人になったとはいえ、身分は公務員に準ずるので副業は禁止でしたよね?教授職は……。籍は大学病院に置いてウチの病院にというのが最高なのですが……。ああ、教授、遠慮せずにどんどん召し上がって下さい。いや、これだと少ないでしょうか?何か追加オーダーをしますか?」
 艶々と黒く煌めくキャビアの――何だか祐樹の眼差しに似た光だったのもとても嬉しい――味と良く調和しているクラッカー状の物を唇に運んでいると、分厚いメニューを寄越すようにウエイターに目で合図を送っている清水氏が目に入った。
「いえ、私はこれで充分です」
 それでなくともテーブルの上には山のように軽食類が並んでいる。
「教授、イチゴがお好きだと田中先生にお聞きした覚えがありますが、このシャンパンに最も合うイチゴが有れば……」
 清水研修医が躊躇なく言い募ってきた。確かにイチゴは大好きだし、その程度はご馳走になっても良いような気がした。
「そうですね。在庫が有ればそれをお願いします」
 清水氏は何だかイチゴ農家に――どこに有るのかは知らないが――本当に行きそうな勢いでスタッフに食いついていた。
「先程のお話しですが、そもそも大学病院に籍を置くことなくアメリカに行ってしまった人間が教授職として出戻って来るという事態も旧来の常識にはかからないと思います。
 ただ、海外で実績を積んだ人間が教授職や准教授職で招聘される例も多くなってきましたよね。
 ですから白河教授が停年を迎えるまでの長い時間にはどんなことが起こるか分からないです。もしかしたら兼業可能になっているかもしれません。
 日本の社会も働き方改革とか色々変わって来ていますので」
 清水研修医がなるほどという感じで頷いている。どうやら脳外科に移籍する話しに乗り気のようだった。
 そう言えば、彼のお兄さんが外科に一時籍を置いていたので選択肢から外されたという兄弟の確執が有ったようだった。
 家族として普通に仲は良さそうな感じだが、家庭内のことは誰にも分からない上に自分も、そして祐樹も一人っ子なので兄弟がどんな感情を持つかなど分かるハズもない。
 ただ、日本史を紐解けば兄弟間でも血で血を洗う抗争とかも有ったようだし、清水研修医だって鬱屈した思いを抱いていた感じだった。まあ、精神科の真殿教授に対して反感を抱いているせいもあったのかも知れないが。
「兼業が可能になったら良いですね。その辺りは運動を継続しつつ様子見です……。
 ああ、教授チルドのなら有るようですよ、御所望のイチゴが」
 夢見るキツネといった感じの清水氏が教えてくれた。
「教授『例の』患者は、当面の間は何の問題もないようです。念のために引き続き様子を診るようですが。
 ご存知の通り久米先生は慎重ですからね……。医局での職務上に限って申し上げれば……」
 祐樹が足早に戻って来て席に優雅かつ尊大な感じで腰を下ろした。
 ただ「久米先生は慎重」と話した時に清水研修医が何か言いたそうにして慌てて唇を閉ざしたのを見ていたのだろう、動じずに言葉を付け足していた。
 「医局内」を持ち出せば、清水研修医には確かめようがないのも計算の内なのだろう。




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「下剋上」シリーズは一人称視点で書いていますので、他の人がどう考えているのかは想像するしかないのですが、こちらはそういう脇役がこんなことを考えているとか書いています。
今は、久米先生が医局に入れてハッピー!な話とかですね。

スマホで読んで頂ければと思います。その方が読み勝手が良いかと。

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       こうやま みか拝

気分は下剋上 学会準備編 286

「香川教授と田中先生のこれからの益々のご清栄を祝って」
 ホテルの客室では有ったものの、レストランのようにウエイターだかスタッフだかは分からないものの従業員がきびきびと動き回っている。
 その中で繊細なフルートグラスが澄んだ音を響かせている。
 清水研修医もこういう場所に来慣れているのだろう、普段よりも寛いだ笑みを浮かべている。
 そして祐樹も如才ない笑みを――しかも着実に医師としての清々しい貫録が付いた感じで――浮かべてグラスを合わせている。
 シャンパンの泡が細かく立ち昇る――視界と心の両方で――爽快感と共にグラスを傾けた。
「香川教授は愚息に『多次元尺度構成法』……でしたか?そういうモノを作るように頼まれたとか。
 斉藤の時は、人脈と資金力で勝負したのですが、世の中変わりますね。医療も進化していますが、大学病院の病院長選挙も愚息の意見を聞いて変わったなとつくづく思いました。
 いや、変わらない部分はもちろんご助力を惜しみませんが」
 清水氏は息子さんの方へと頼もしそうなそして満足そうな眼差しを注いでいる。
 多次元尺度構成法とは、とある人間が誰をどれだけのプラスかマイナスの感情を抱いているかを調べ上げて相関図を作り出すというモノで、それは清水研修医が提案してくれていたので、仲の良さそうなお父様の耳には入るだろうと思っていたら案の定だった。
「その節はご助力を賜れば幸いです。何しろ全く未知な分野ですので。
 もちろん、御礼はさせて頂きます」
 御礼と言っても、この何でも持っている人に何を差し出せば良いのか全く分からなかったので、祐樹へと目配せをした。
「救急救命室でご一緒させて頂いています。
 外科医の才能も充分お有りのようですね?そして清水先生も精神科には未練もないと伺っております。
 それでしたら、香川の医局は無理ですが……それこそ親の七光りなどとウワサになってしまいますし、久米という研修医が既におりますので尚更に反発も大きいかと存じますので、研修医不在のままの脳外科に行って貰うという心積もりは有りませんか?」
 その手が有ったかと内心で舌を巻いた。白河教授はウチの医局、特に裕樹には「唯々諾々」という言葉が相応しいほどだったし、研修医を補充することも後回しになっていたのも事実だった。
 清水親子の手がピタッと止まった。
「ほ……本当ですか?確かに医局である程度の箔を付けた後に……ウチに戻って来る方が確かに良いです……。講師などのブランドは輝きますから……」
 確かに清水氏の言う通りだった。というか街中のクリニック程度だと医学部卒とか博士課程で――ちなみに昔は6年間医学部の修士課程まで進んだ後に2年の博士課程も取得するのが当たり前で、確か清水氏もそうだったと記憶しているが、今は修士課程のみの医師も多いし、そもそも自分も博士号は持っていない――充分だが、清水氏の病院だともっと上のポジションを持っていた方が何かと有利だ。
「え?本当に良いのですか?」
 普段は物事に動じない清水研修医も呆気に取られた感じで瞳を輝かせていた。
「はい。外科の親睦会で脳外科の白河教授は清水先生を気に入って下さっていましたし、病院長からの口添えさえあればすんなり決まるでしょう。
 それに、脳外科では『あの』悪性脳腫瘍の手術実用化を目指して術式を模索中です」
 清水氏が繊細極まりないフルートグラスを折りそうな勢いで握り締めている。
「悪性脳腫瘍ですか!!手の施しようのない病気ですよね……。ウチでも当然対応はしていますが、いわゆるホスピス的な治療法しかしていません。ま、患者さんはいわゆるガンのように苦痛を感じることもなくずっと眠っていらっしゃるだけですが、そんな画期的なことが?」
 俄かに信じられないのだろう、頭上に煌めくシャンデリアを感極まった感じで見上げている清水氏と、何だかここが東京の高層ホテルの最上階から都心を一望しているような遠い目をした清水研修医を裕樹が口角を優雅に上げて見ている。
「画期的な手技を確立したチームの一員になっていれば、国際的な知名度すら上がります。
 良いお話しだと思うのですが?」
 脳外科が見つけたというよりも悪性新生物科の――いわゆるガンだ――手術職人こと桜木先生が教授の丸投げの手術を行っている過程で見つけた方法だったが、そういう細かいことは良いだろう。
「こ……国際的知名度!!
 今回の田中先生よりも……ですよ……ね?いや、それも大変素晴らしい快挙ですが……。それ以上……」
 祐樹の場合は気まぐれな医療の神様が降臨してくれる一瞬をすかさず掴んだ「だけ」で――いや、それでも凡庸な医師は一生どころか三回生まれ変わっても巡り合えないと言われているが――術式を構築するのとでは全く異なる話しだった。
「そうですね。私達は先人の快挙を模倣しているに過ぎません。
 今現在の大学病院でパイオニアになりそうな科は脳外科でしょうね。そちらに移るようにした方が将来のためになりますよ。
 それこそ、講師ではなくて、アメリカかヨーロッパの有名大学の教授職のオファーが来てもおかしくないレベルの話です」
 そもそも自分達の世界では「教授」はそれほどの権威はない。それよりも国際公開手術を成功させる方が注目度は上がる。
 ただ、清水氏の概念では「講師」でブランドだと言っていたので「教授」職は――しかも、誰でも知っているような医科大学だと尚更――ブルーダイアモンドよりも稀少価値が有りそうな感じだった。
 祐樹だからこそ、この場で思い出して交渉出来た快挙に、自分の目はブルーダイアモンドよりも煌めいて惚れ惚れと見詰めてしまう。




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すみません、ただ今職場とクリニックのハシゴ&(しょぼい)相続会議紛糾中でして、心身共に疲れ果てています。

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       こうやま みか拝

気分は下剋上 学会準備編 285

「宜しいのですか?私達は前泊している病院長のお客様にご挨拶に伺うだけの用事しかありませんが、香川教授や田中先生は明日のパーティの主役ですので、何かとお忙しいでしょう? 
 そんな貴重なお時間を割いて頂くのも申し訳ないような気が致します」
 清水氏は通りかかったホテルマンを呼び止めて、何やら話している。普通にお茶を飲む場所を変えるだけだと思っていたのだが、どうやらそうでもなさそうだ。
 まあ、ホテルマンと話しているので、このホテルから離れる気はなさそうだが。
 少し離れた場所で清水研修医がやや案じるような感じで聞いてきた。病院長の親友として、そして京都一の私立病院の経営者としても大物政治家とか医学界の重鎮と交流する絶好の機会なので、このホテルに来たのだろう。
「それは別に構わないです。ただ、私達も明日の大切なお客様のご機嫌伺いに参っただけですから。
 ただ、また連絡が有ればそちらに向かわないとならないので、その点は先にご了承頂ければと思います」
 祐樹のお母様は大丈夫そうだったが、久米先生が診て異常が有れば連絡をしてくれるだろう。そうなればそちらを優先するのは「私的」な問題では有るが、優先順位は最も高い。
「はい。教授ほどの方になると色々とお忙しいのは父も良く存じていますから。
 父は上席に――本人は当然だと思っていたようですが――私までテーブル席を用意して下さったのが香川教授だと知って狂喜乱舞していました。
 研修医、しかも精神科所属にも関わらず、あんな上席に座って良いものかとも思いましたが、まあ真殿教授の御機嫌を損ねても知ったことではないので……」
 ハッキリと物事を言う点も外科医に向いている。それに清水研修医は最初会った時とは別人のように明るい表情に変わっていたし、精神科には未練がなさそうだ。
「一応精神科所属の呉先生もテーブル席に呼んでいるので、真殿教授の怒りの矛先はそちらに向かうでしょうから大丈夫だと思いますよ。
 清水先生のお父様が病院長と親友だという話は教授会では常識なのですよね?」
 祐樹も――お父様が居る間は遠慮して丁重かつ親しみのこもってはいるものの、型通りの挨拶しか発言していないのはお父様の居る「公的」な場所だからだったのだろう――救急救命室で共に勤務しているので遠慮せずに会話に加わってきた。
「そうだな。知らない教授はいないだろう。教授会で最もウワサに疎い私が言うのだから間違いはない。
 真殿教授も研修医としてではなくて、あの病院の御曹司として上席に座っていることは軽く納得してくれます」
 今までは義務というか職務の一環として仕方なく出席してきたが、病院長選挙に臨むと決めた今となっては積極的に関与していこうと内心で思いながら。
 それに、祐樹と一緒に居れば――とても贅沢な悩みだと自覚はしている――明日のことを考えたり、過去のことが胸に去来したりして涙腺が決壊しそうになりそうなので、ある意味「公人」として振る舞える場所の方が有り難い。
「そうですか?それなら良かったです。ただ、呉先生も病院長の密かなお気に入りですし、それに主役の一人でもある教授と個人的にもお親しいことも真殿教授は知っていますから大丈夫でしょう」
 清水氏は支配人まで呼びつけて何だか交渉中なので、こちらはこちらで世間話が出来ている。
 そう言えばこの廊下にも明日の招待客が――主に斉藤病院長が呼んだのだから直接の面識はないものの、医学界の専門誌で見た顔とか政治家などは新聞などで見た顔――こちらに会釈や目礼をしながら歩んでいく。当然向こうもそういうメディアを通して知っているだけなので話しかけるのは明日にしようといった感じだった。
 呉先生が――まだまだ真殿教授に含むところは有っても――精神科での出世は諦めて不定愁訴外来というブランチ長で充分満足していることも知っていたので、呉先生的にも真殿教授を怒らせることくらいは何ともないのも知っている。
 それに真殿教授も自分の医局では絶対権力者だろうが、呉先生だけでも充分な戦闘力を持っている上に明日は森技官まで一緒に居るだろうから却って喧嘩を売ったほうが面白い展開になりそうだ。まあ、お互い常識を弁えた大人なのでパーティの会場ではそんなことにはならないだろうが。
「そうですね。それに呉先生と同じテーブルには私達ともとても親しい厚労省の技官が一緒に居ますから、そんなところで内輪の悶着なんて多分見せないと思いますよ」
 祐樹も森技官と呉先生連合が真殿教授との舌戦を開始した方が面白いという感じの悪戯っぽい眼差しで自分を見た後に真顔になって清水研修医に告げていた。
 同じことを考えられるというか、以心伝心めいたものが以前よりも深くなっているような気がして真紅の薔薇の花に銀の雪が降りしきるような多幸感を覚えた。
「お待たせ致しました。ささ、こちらへどうぞ」
 清水氏がキーを持って近付いてきた。
 わざわざ部屋まで取ってくれたのだろうが、病院にMRIをポンと寄付出来るような人なので、それが「普通」なのかも知れない。
 それにアメリカ時代には全額実費かつ一括払いの患者さんしかあの病院には受け入れて貰えなかったということもあって国際的な富裕層の財力は知っていたので、そこまで抵抗はなかった。
 それこそ自家用ジェットや豪華客船だとしか思えない船を自己所有しているような人々が多かったし、御礼として豪華な船で一流ホテルのグラン・シェフを引き抜いての料理などを振る舞って貰ったことも度々有った。
「香川教授、本当に愚息のことを引き立てて頂き有難う御座います。
 それに、次期病院長兼医学部長選挙に出馬予定とか。そして、その件を愚息に漏らして下さって本当に有難うございます。
 そこまで信頼されているとは……親として感無量です」
 ホテルのスイートルームに特別に設えられた大きなテーブルにはアフタヌーンティ一式とかカナッペなどが所狭しと並んでいた。
 そのせいであんな時間が掛かったのだろう。といっても、自分の常識では物凄く手際が良いと内心で感心していた。
「シャンパンで乾杯で宜しいでしょうか?」
 清水氏が心の底から嬉しそうな表情で自分を見ていた。そっと横目を使うと祐樹も眼差しで了承を伝えてきた。




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       こうやま みか拝

気分は下剋上 学会準備編 284

 一応「下見」ということになってもいたし、久米先生も――彼も優秀な救急救命医なので、専門分野に特化した大学病院では異質な存在だ――祐樹のお母様の様子を診て緊急性が有れば連絡してくるだろう。
 確かにプライベートでは頼りにならない面も垣間見えたものの、仕事面では優秀なのは言うまでもない。
 だから当分――着付け教室めいたものにどの程度の時間がかかるか全く分からないし、祐樹のお母様から「夫」「嫁」としてどのように振る舞えば良いかというレクチャーを受けるかもしれなかったので――このホテルを散策することにした。
「貴方のお蔭で親孝行が出来るようになりました。
 いや、親孝行だけでなくて、何だか人間としてマトモになったような気がします。
 それまでは忙しさにかまけて……というか、どうしても後回しにしてしまいがちだったので。
 貴方を紹介して――気に入って貰えるだろうという確信は有りましたが――想定を遥かに上回った好感度とか、そして私の代わりに母に色々と気を遣って頂いて本当に有難うございます」
 ふんだんに射し入る陽光に京都のホテルらしい和のテイストを取り入れた空間を二人だけでそぞろ歩きしているだけで薔薇色に弾んだ心に銀の粉が舞い散っているような気持ちになった。
「それは私が祐樹にお礼を言わなくてはならない、な。
 私も人間関係構築力には全く興味もなかったし、祐樹と恋人になれたことだけで私にとっては生まれて来て本当に良かったと思える奇跡的な幸せだった。
 それなのに、あんな良いお母様に格別な好意を持っていただけたし、それに他の人に興味が持てるようになった。
 天涯孤独だと思っていた――実際は今でもその通りなのだが――私にお母様まで与えてくれて、祐樹には感謝してもしきれない。
 初めてキャンパスで見掛けた時に祐樹は太陽のようなオーラを放っていた。そして『この人の傍に居れば周りの人が悲しい亡くなり方をしないのでは?』という直感が当たっていたのだから。
 祐樹は、生涯でたった一人居てくれれば充分な……、私だけの太陽だから」
 先程のように薔薇色の涙腺が決壊するぎりぎりのところで思いの丈を伝えた。
「あれ?香川教授……。そして田中先生も。奇遇ですね」
 後ろから声を掛けられた。
 毛足の長い絨毯や、多分どこかに工夫がされているのだろうがこのホテルの話し声などの音は吸収されている感じだったので迂闊にも気付かなかった。
 祐樹も先程の甘くて熱い言葉を紡いでいた唇もそして表情筋全体を営業用の雰囲気に改めた後におもむろに振り返った。当然ながら自分も同じようにしたのは言うまでもないが。
「清水先生、本当に奇遇ですね。ご活躍の噂はかねがね伺っていました。
 北教授から病院長にも正式な感謝の言葉が有ったそうですし」
 隣に立っているのは顔立ちとか背格好からしてお父様に違いない。
「ご紹介致します。父です。こちらは……」
 京都で最も大きい病院の御曹司に相応しいラフな格好ながらも充分以上に上品そうな私服姿の清水研修医が晴れやかな笑みを浮かべて傍らの男性へと手を翻した。
 慣れ切った感じで名刺入れを取り出している男性に倣ってジャケットのポケットに入っていた――ちなみに、自分の場合は名刺が入っていない「名刺入れ」を肌身離さず持っている習慣が有ったので、そのカモフラージュ的な感じで二つ胸ポケットに入れてあった――名刺を取り出した。
「香川教授、そして田中先生。ご多忙でしょうから直接のご挨拶は控えさせて頂いておりましたが、改めまして。
 愚息の才能を開花させて頂きまして有難うございます」
 鷹揚そうでいながらも如才ない感じが岩松氏と似ている。きっと大規模な病院経営者はこういうタイプが多いのだろう。
「いえ、本当にたまたまです。それに救急救命室へのご厚意への御礼につきましても直接御礼が申せないままで、誠に申し訳ありません」
 名刺交換をしながら笑みを浮かべた。
 何しろ、この人は斉藤病院長の「親友」というか「戦友」だ。だから病院長が然るべき対応をしてくれているだろうし、自分などが出て行くと却ってややこしいことになりはしないかと遠慮をしていた。
 ただ、精神科所属だった清水研修医を――万年赤字の――救急救命室への出向、つまりは大学病院からの給与支払いではなくてお父様からの「お小遣い」という名目で支払って貰っているし、何より億単位の医療機器を「入学金」という名目で寄付にこぎつけた、祐樹の機転で。
「いえいえ、そんなことはお気になさらずに。
 そもそも愚息が『ひとかど』の医師として育てるのは親の役目と申しますか義務だと思っております。
 特に香川教授に鉗子と攝子の使い方まで直々に教わって下さったのは本当に光栄の至りです。
 父親としても本当に嬉しくかたじけなく思っております。
 それに、田中先生に教わる、救急救命術も面白いと、以前よりも物凄く明るい表情で申してくるようになりました。
 30分ばかりお時間を頂戴しても宜しいでしょうか?」
 「披露宴」の前の日なので二人きりで過ごしたいのはやまやまだったが、これ以上祐樹と公共の場に居たら涙腺が決壊してしまいそうな気がする。
 自宅ならば物思いにふけっていても問題はないだろうが。
 どうする?という眼差しを一瞬だけ祐樹へと向けた。ほんの刹那のアイコンタクト――病院長選挙に勝ち抜いた斉藤病院長は多大な協力を清水氏にして貰っていたという件は聞いていた。しかし、その頃の大学病院では今よりも更に旧態依然としていただろうから、自分の科では一介の医局員に過ぎない裕樹と曲がりなりにも教授職の自分が親しいというようなことは「常識」では考えられないだろうから。
 祐樹が目に面白そうな輝きを湛えて微かに頷いた。
「私達は構いませんが?」
 清水氏の表情もパッと灯りが射し込んだような笑みを浮かべていた。
 この親子が何故この日にこのホテルに来たのかも――確か、病院経営で家族がそれぞれ忙しいので、週に一度だけの決まった曜日に共に夕食の席に着くのが家庭内の規則だと聞いた覚えが有った――そして、いずれは自分が出るハズの病院長選挙に備えてこの際交誼を深めておく方が良いのは分かっていた。
 そして、自分ですら分かるのだから政治力も持ち合わせている裕樹がその重要性に気付かないわけがない。
 それに明日のパーティにも出席予定ではあったが、その席で話せるかどうかも分からないほどの人数を斉藤病院長も選びに選んで招待しているのも知っていた。
「では、こちらにご足労頂くということで」
 さっさと前を歩く、背筋の伸びた姿は流石に大病院の長としての風格が漂っている。
 医局では一介の医局員ではあったが、祐樹が渡した名刺を――お母様が「ごちゃごちゃしている」と酷評していらしたモノだ――満足そうに眺めていたので、同席するに相応しいポジションだと判断したのだろう。





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       こうやま みか拝

気分は下剋上 学会準備編 283

「母さんはこの久米先生に肌を見せても大丈夫だろう?」
 コーヒーを飲みながら祐樹がごく事務的な口調で言った。
「ええ。お医者さんなんでしょ?別に構わないわよ?恥ずかしがる年でもない上に入院も経験しましたからね。『患者サマ』になれば、世の中の常識から解放されるのも知っているもの……」
 確かに、病室とかその廊下では患者さんは昼間からパジャマ姿で点滴台まで持った人とか、今居るホテルの喫茶室とか百貨店では確実に不審者扱いされてしまいそうな格好でも普通と見做される空間だ。
 まあ、祐樹も隠れ場所を――患者さんの方が暇を持て余しているので、ニコチン依存の度が高い人などは割と本気でこっそり吸える場所を探しているらしい。そして病院がそこを喫煙禁止にすると、更に他の場所を求めて彷徨っているらしい――探す際には、そういうパジャマ姿にカーデガンを羽織った患者さんを見つけてはこっそりと逃げるということを繰り返しているそうだ。
 だから厳密には病院周辺までが「非常識エリア」といった感じだったが、確かにお母様も入院経験が有るのでそういう点はご存知なのだろう。
「久米先生、母は右手の痺れが時々起るようになったので、その点も留意して『医師』としての目でも診てもらって構いませんか?
 バイタルは――」
 祐樹が具体的な数字を早口で告げていく。――正直、最新の数値ではなかったし、所々間違っては居たのも事実だった。ただ看過出来ないほどの数値の相違ならば何らかの方法で祐樹に告げなければならないな……とは思っていた。どう考えても「上司で居ながらも医局内で親しい関係で、時々は夕食を共にする仲だ」という祐樹の病院内での公式アナウンスに従えば、そのお母様のバイタルまでを把握しているのは流石に不審に思われるだろうから。
「あ、了解です。復唱しますね」
 久米先生が祐樹の「細かく間違った」バイタルデータの数字を完璧に暗唱している。
 その様子を岡田看護師が驚嘆の眼差しで見ている。バイタルなどは看護師も暗唱すべきとされてはいるがメモを取る人の方が多い。しかも久米先生の割と何も考えてなさそうな感じがそこはかとなく漂うデートの日に「仕事の出来る医師」像が垣間見られて新鮮だったのだろうか?
 自分の周りには――それが普通のことなのか、異常なのかは狭すぎる人間関係しか持っていないので判断のしようがない――仕事は出来るが、私生活は頭を抱えるレベルの人が多い。長岡先生などは――岡田看護師も密かに「仕事の出来る『女医』」かつファッションセンスが良いと憧れているらしい――婚約者に貰ったダイアモンドを好奇心から叩き割ってしまったり、卵を割らずにそのままレンジに入れて爆発させたりとそういう爆笑エピソードに困らないタイプの女性だと知っているのは病院内では祐樹と自分だけだったし。
「久米先生、そちらのほうは宜しくお願いします。お母さんもさ、タダで健康診断が受診出来る上に、オレ……いや、私に告げてネチネチと文句を言われるよりも、久米先生の方が気も楽でしょ?
 その対価交換として着付けを教えるということと、姑に愛される嫁とはどんなモノなのかとか、夫として姑から愛妻を守るコツとかを伝授して貰えば良いですよね?
 鍵はコレだから、後のことは宜しく。
 久米先生も、何か有ったら連絡下さい」
 祐樹がテキパキと物事を決めていくのを薔薇色に弾んだ気持ちのまま唇に笑みを浮かべてただ見ていた。
「あ、代金はこちらで支払っておきますので、気になさらずに」
 テーブルの上に置いてあった、伝票を手に取って見ていた岡田看護師は多分このお店の代金を支払う積もりなのだなと思って声を掛けた。
「有難うございます。何から何まで……。
 思い切って、田中先生に連絡を取ってとお願いして本当に良かったです。
 明日は受付に座る前にお母様の着付けの手伝いの本番を頑張りますので」
 アクアマリンの清澄な煌めきに似た微笑が先程よりも緊張が解れた感じを受けた。
「良い花嫁さんになれそうね……。
 しかし、ウチの愚息には勿体ないほどの素晴らしい人が私には居るので、そちらの方が幸せだけれども、ね」
 祐樹のお母様の慈しむような眼差しが自分へと向けられた。
「あ!そうですよね。当然、お母様は田中先生の彼女さんをご存知なのですよね!今まですっかり忘れていました!!」
 久米先生が先程の真剣さを忘れたようにはしゃいだ声を出している。
「『個人』情報保護法に抵触しない限りは、言っても大丈夫ですから」
 顔はあまり似ていないと思っていたが、臨機応変さに富んだ性格とか度胸が据わっているところなどは確かな血の繋がりを感じさせる。だから、祐樹が居なくても久米先生の無邪気な問いにもソツなく答えてくださるという確信めいたものはあった。
 それに、祐樹の「彼女」像はお母様にもプロフール程度に伝えてある。電話が掛かって来た時に「職場ではどういうふうに説明しているのか?」的なことを聞かれていたので。
 その時は世間話の延長線上のような気持ちで話したのだが、世の中どんなことが有るか誰にも分からないので、お母様はもしかしたらこういう時のことを想定してわざわざ聞いて下さったのかもしれない。
「では、明日のパーティでお会いしましょう。シャンパンタワーも楽しみだわ」
 祐樹のお母様が久米先生を「従えた」という感じで歩み去っていく。その三歩下がった位置を歩む岡田看護師のほっそりとした後ろ姿を見送った。
「……裕樹みたいな良く出来た息子を持てたお母様は本当に幸せだろうな……」
 何気ない言葉で、お母様の最後の慈しみの眼差しのせいで涙腺が崩壊しそうなのを誤魔化した。
 祐樹は真顔に戻った後に、一際輝く瞳で自分だけを見詰めてきた。
 そういう細やかな幸せも、薔薇色に痺れるほどに心が震えた。






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◆◆◆お詫び◆◆◆

今後もこのブログは不定期更新しか無理かと思います……

ただ、アイパッドで隙間時間OKのこちらのサイトでは何かしら更新します。
下記サイトはアプリで登録しておくと通知が来るので便利かと思います。


勝手を申しましてすみません!!




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あと、BL小説以外も(ごく稀にですが……)書きたくなってしまうようになりました。
本業(本趣味)はもちろんBLなのですが。

こちらでそういった作品を公開していきたいと思っています。




「下剋上」シリーズは一人称視点で書いていますので、他の人がどう考えているのかは想像するしかないのですが、こちらはそういう脇役がこんなことを考えているとか書いています。
今は、久米先生が医局に入れてハッピー!な話とかですね。

スマホで読んで頂ければと思います。その方が読み勝手が良いかと。

落ち着くまでは私ですら「いつ時間が空くか分からない」という過酷な(?)現実でして、ブログを更新していなくてもノベルバさんには投稿しているということもあります。
なので、お手数ですが「お気に入り登録」していただくか、ツイッターを見て頂ければと思います。




更新出来る時は頑張りますが、不定期更新となります。すみません!!



 

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