ニュースやドキュメンタリー番組とは異なって、凛然と座っている静謐な太陽のようなオーラに自分が選んだ限りなく黒に近い紺色のスーツや、派手すぎない赤のタイ、そして純白のシャツが祐樹の生命の躍動感を引き立ててくれていて、ただ黙って見惚れてしまう。
アメリカの学会には――講演者に選ばれたことも、確かにそれ自体は大変名誉なことではあったが、世界の外科医といういわば同業者の集まりの中のみで評価されて一般社会には浸透しない類いのモノなのも事実だ――「上司としての列席」が叶わない。
これがノーベル賞などの――といってもこちらの賞は研究者の独壇場と言った感があるので自分達のような立ち位置だと無理なのは分かっている――新聞の一面トップ記事に載るレベルになると話しは別で、病院長も快く許可を出しそうだ、この番組の出演を快諾したように。
祐樹の生来の魂の輝きが夜空に浮かんだ、かがり火のように鮮烈さと吸引力に溢れている。惚れた弱みを差し引いたとしても第一印象で錚々たる世界レベルの外科医達の関心を惹くことは間違いないだろう。
それに今日の祐樹は普段と同じく前髪を下ろしている上に伊達メガネもかけていない。いわゆる白人に東洋人種は若く見られてしまうというのは割と良く知られた事実だが、講演者の場合は当然、大人びて見える方が好ましい。そのために自分なりに考えた服装や髪形は――まだ完全ではないものの――予想以上に良く映えていて、息を殺して見惚れてしまった。
前髪を上げてメガネをかければ更に祐樹の男らしく整った顔は知的な落ち着きを増すだろうと思うと先程とは異なった意味で心が躍った。
祐樹の黒く輝く眼差しがやや不審そうに自分へと注がれていることに気付いて佇んでしまっていた場所から煌煌と照らされた場所へと向かった。
このスタジオに来た密かな目的が無事に果たして――今の段階では祐樹にも内緒にしている――そして予想以上の効果を上げたことに内心で安堵と感嘆のため息を零しながら。
「お疲れ様でした。本日は番組に出て頂きまして有難うございました」
女史がトレードマークになっている独特な髪型に結われた頭を下げてくれた。
「いえ、こちらこそこういう由緒ある番組にお声をお掛け頂き誠に光栄です」
テレビカメラが回ったり強力な照明が当たったりしてはいたものの、女史の巧みな会話術のせいもあって和やかな雰囲気で会話のキャッチボールもスムーズに出来たような気がする。
それに話は地震のことや救急救命医療の実情について、そしてついでのような感じのさり気なさで共著の本の営業だけしか話していない。
まあ、この番組の場合、深夜の放送などに有りがちな論争に発展することや、プライベートなことを根掘り葉掘り聞かれることもないだろうと思っていたが、予想以上のマイルドさだった。
「スタジオで行うテレビ撮影というのは、特別な感じがしますね。
このような晴れがましい場所に呼んで頂いて本当に有難う御座います」
祐樹が女史とカメラの両方を意識した感じで軽く頭を下げていた。
「いえ、こちらこそ実りのあるお話を伺えることが出来てとても有意義な時間になりましたわ。
ドーランを落としてから私の控室に寄って下されば嬉しいです。ささやかな食事も用意させて頂いていますので是非とも」
カメラが回っていないのを確かめて女史がより親しみのある笑みを浮かべてくれた。
「はい。喜んで参上致します」
高木氏からも女史が心臓バイパス術などに深い関心を持っているということは聞いていたので、番組の枠では話せなかったことを補足という感じで付け加えればいいのだろう。
「すみません……。不躾な質問に当たるかもしれませんが……」
祐樹が珍しく当惑した笑みを浮かべた上に躊躇いがちに言葉を挟んで来た。
不躾なこととは一体何だろう?と、一仕事を終えた安堵感に包まれながら疑問に思った。
アメリカの学会には――講演者に選ばれたことも、確かにそれ自体は大変名誉なことではあったが、世界の外科医といういわば同業者の集まりの中のみで評価されて一般社会には浸透しない類いのモノなのも事実だ――「上司としての列席」が叶わない。
これがノーベル賞などの――といってもこちらの賞は研究者の独壇場と言った感があるので自分達のような立ち位置だと無理なのは分かっている――新聞の一面トップ記事に載るレベルになると話しは別で、病院長も快く許可を出しそうだ、この番組の出演を快諾したように。
祐樹の生来の魂の輝きが夜空に浮かんだ、かがり火のように鮮烈さと吸引力に溢れている。惚れた弱みを差し引いたとしても第一印象で錚々たる世界レベルの外科医達の関心を惹くことは間違いないだろう。
それに今日の祐樹は普段と同じく前髪を下ろしている上に伊達メガネもかけていない。いわゆる白人に東洋人種は若く見られてしまうというのは割と良く知られた事実だが、講演者の場合は当然、大人びて見える方が好ましい。そのために自分なりに考えた服装や髪形は――まだ完全ではないものの――予想以上に良く映えていて、息を殺して見惚れてしまった。
前髪を上げてメガネをかければ更に祐樹の男らしく整った顔は知的な落ち着きを増すだろうと思うと先程とは異なった意味で心が躍った。
祐樹の黒く輝く眼差しがやや不審そうに自分へと注がれていることに気付いて佇んでしまっていた場所から煌煌と照らされた場所へと向かった。
このスタジオに来た密かな目的が無事に果たして――今の段階では祐樹にも内緒にしている――そして予想以上の効果を上げたことに内心で安堵と感嘆のため息を零しながら。
「お疲れ様でした。本日は番組に出て頂きまして有難うございました」
女史がトレードマークになっている独特な髪型に結われた頭を下げてくれた。
「いえ、こちらこそこういう由緒ある番組にお声をお掛け頂き誠に光栄です」
テレビカメラが回ったり強力な照明が当たったりしてはいたものの、女史の巧みな会話術のせいもあって和やかな雰囲気で会話のキャッチボールもスムーズに出来たような気がする。
それに話は地震のことや救急救命医療の実情について、そしてついでのような感じのさり気なさで共著の本の営業だけしか話していない。
まあ、この番組の場合、深夜の放送などに有りがちな論争に発展することや、プライベートなことを根掘り葉掘り聞かれることもないだろうと思っていたが、予想以上のマイルドさだった。
「スタジオで行うテレビ撮影というのは、特別な感じがしますね。
このような晴れがましい場所に呼んで頂いて本当に有難う御座います」
祐樹が女史とカメラの両方を意識した感じで軽く頭を下げていた。
「いえ、こちらこそ実りのあるお話を伺えることが出来てとても有意義な時間になりましたわ。
ドーランを落としてから私の控室に寄って下されば嬉しいです。ささやかな食事も用意させて頂いていますので是非とも」
カメラが回っていないのを確かめて女史がより親しみのある笑みを浮かべてくれた。
「はい。喜んで参上致します」
高木氏からも女史が心臓バイパス術などに深い関心を持っているということは聞いていたので、番組の枠では話せなかったことを補足という感じで付け加えればいいのだろう。
「すみません……。不躾な質問に当たるかもしれませんが……」
祐樹が珍しく当惑した笑みを浮かべた上に躊躇いがちに言葉を挟んで来た。
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◆◆◆お詫び◆◆◆
近親者の他界の件で、リアバタに拍車が掛かってしまいました。
毎日振り掛かる事務作業や身内のゴタゴタ……。
そのせいで、「ネット生活もう大丈夫だろう」と再開したにも関わらず、PCに向かう時間がなくて……。
楽しみにして下さっていた方(いらっしゃるのか?)とも思いますが、誠に申し訳ありません!!
今後もこのブログは不定期更新しか無理かと思います……
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ただ、アイパッドで隙間時間OKのこちらのサイトでは何かしら更新します。
勝手を申しましてすみません!!
◆◆◆宜しくです◆◆◆
ツイッタ―もしています!
更新時間が本当にバラバラになってしまうので、ヤフーブログの更新を呟いているだけのアカですが、ぶろぐ村や人気ブログランキングよりも先に反映しますので「いち早く知りたい」という方(いらっしゃるのか……???)はフォローお願い致します。
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最近はブログ村の新着に載らなかったり、更新時間も滅茶苦茶になっているので、ツイッターアカウントをお持ちの方は無言フォローで大丈夫なので、登録して下されば見逃さずに済むかと思います!!宜しくお願いします。
◇◇◇お知らせ◇◇◇
あと、BL小説以外も(ごく稀にですが……)書きたくなってしまうようになりました。
本業(本趣味)はもちろんBLなのですが。
本業(本趣味)はもちろんBLなのですが。
こちらでそういった作品を公開していきたいと思っています。
「下剋上」シリーズは一人称視点で書いていますので、他の人がどう考えているのかは想像するしかないのですが、こちらはそういう脇役がこんなことを考えているとか書いています。
今は、久米先生が医局に入れてハッピー!な話とかですね。
今は、久米先生が医局に入れてハッピー!な話とかですね。
スマホで読んで頂ければと思います。その方が読み勝手が良いかと。
落ち着くまでは私ですら「いつ時間が空くか分からない」という過酷な(?)現実でして、ブログを更新していなくてもノベルバさんには投稿しているということもあります。
なので、お手数ですが「お気に入り登録」していただくか、ツイッターを見て頂ければと思います。
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今日も更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした!!
こうやま みか拝