「権力とか権威に弱い斉藤病院長のことですから、百合香ちゃんが薔薇の花が大好き!とか言ったら、まだまだ余っている花束の中から薔薇の花を取り出して病室に飾ると思いますよ。
全国を応援演説などで飛び回っているお父様はお見舞いにいらっしゃることは少ないですが、お母様やお祖父様は地元である神奈川ではなくて、百合香ちゃんの手術が成功して無事に退院するまでホテル住まいでしたよね。
百合香ちゃん本人の歓心を買っておいて、彼女の口からお祖父様やお父様・お母様に伝わるようにそれとなく誘導するのでしょう。そういうのも腹黒タヌキの……いや、太っ腹な斉藤病院長の得意技ですから。
推理小説が好きとはいえ女の子ですからね……。花も好きだと――アレルギーが無いのは病室を見たら明白です――思いますので、何色が好きかをさり気なく聞いておいて、それを病院長に伝えれば、彼女の個室は薔薇のお花畑のようになるでしょうね」
言葉の合間にキスを交わしながら、そして祐樹の悪戯な指はジャケットとシャツの布地の隙間に入り込んで、ワイシャツを押し上げている尖りの輪郭を確かめるように辿ったり、側面部を軽く弾いたり先端を宥めるように指で転がしたりしている。
その度ごとに薔薇色の吐息を零してしまっていたが。
性感を高めるのが目的ではなくて、後の戯れなのだろうが。
激しい愛の動作も大好きだが、その後に身体のあちこちを軽く触れてくれながら話しをする時間も自分にとっては宝石のように貴重な時間だった、しかも甘くて蕩けそうになるほど。
「それは分かったが、純白でも真紅の薔薇でもどちらでも良いけれどそれらをマンションに届けさせる口実になるのか?」
斉藤病院長は百合香ちゃんの――その背後に存在する華麗なる政治家一族――歓心を買いたいと切望しているからこその特別扱いをしている。だからどうせ余っている、そして枯れてしまえばただのゴミになってしまう薔薇の花を百合香ちゃんの病室に、それこそ「眠れる森の美女」のお姫様のように飾ることに異論は挟まないだろうが。
「聡の胸の尖り、硬さと大きさが物凄く好みです。ワイシャツを押し上げて……指を弾く感じがとても良いですね。
この程度の強さでは大丈夫ですか?花園の凝った部分にまで響いていないでしょうね……。時間の関係上、流石にもうこれ以上は愛の交歓を出来ないので」
祐樹の上半身に背中を預けて硬いベッドの上に座っているのも、そして胸の尖りを愛されながら耳朶を甘く微細な力で噛まれたり、後ろ手で首に縋ってキスを強請ったりする時間も砂糖菓子で作られた紅色の薔薇のような時間だった。
「先程の熱い疼きとは異なって……凪いだ春の海の煌めいたさざ波のような感じなので大丈夫だ。
祐樹と二人きりでこうして過ごすのも心も身体も満たされるようで……。大好きな時間だし、しかも今日の祐樹は白衣姿なので、物凄く新鮮な気持ちだ……」
後ろを向いて顔を上げると、即座に唇が重なって啄むような接吻を交わした、尖りとその周辺を丸く動かす指もとても気持ちが良い。
「――花束って、解体作業とでも言うのでしょうか?その辺りの用語は知らないのですが。
とにかくサイン会で頂いた花束は陣中見舞いの差し入れとか贈り物用でしたよね。
そういう場合は綺麗にアレンジメントが施されてあるので、単品の花ではなくて数種類、もしくは数十種類の花とか観葉用の葉っぱも入っていたでしょう?
だから、百合香ちゃんの好きな薔薇を――いやカスミ草とかが好きかもしれませんが――その辺りは上手く誘導して聞いてみます。ピックアップしたついでに、一色限定の薔薇も纏めて頂いて、それを教授のマンションに送って欲しいと、しれっと頼めば何とかなります。
そもそもあの花束は聡と私に下さった物ですので」
なるほどなと思ってしまう。確かに病院に事実上の寄付をしたが、数が多すぎて色々な場所に飾ってはあったが、まだ残っていると事務局の内部に急遽出来た「出版部」のスタッフに聞いていた。大手出版社ならば別部門で管理をするのかもしれないが、元々は出版課、しかも兼務している人の方が多かったのを、斉藤病院長はうやむやのうちに出版部に格上げして人数も増やした。ただ、祐樹と自分の共著本の増版業務以外は病院に所属している医師の論文などの専門書しか作っていないし、もちろんそういう本を買うのはごく少数の限られた医師限定だ。
だったら、また「課」に戻せば良いと個人的には思っていたものの、今度は――ある意味、祐樹との共著よりも――「病院長的には」重要な「ワタシの履歴書」作成業務が待っているので、当分は飼い殺し状態なのも事実なので、花束の解体作業も喜んでしてくれるような気がする。
「というわけで、百合香ちゃんの好きな花を聞いておきます、今日中に」
「それなら私が」と言いかけて止めた。まだ上気した頬とか身体のあちこちに残っている――特に花園の奥処には真珠の迸りで濡れている、しかもご無沙汰していたせいで大量に――姿は祐樹にしか見せたくない。
「残念ながらタイムアップのようです。今度は薔薇を敷き詰めたベッドの上で愛し合いましょうね。
それと、これ。一応着けていて下さい」
祐樹が差し出してくれたのは、市販のマスクだった。
怪訝そうな表情を浮かべたら、祐樹が太陽に似た笑みを見せてくれた。
「人が使わないあそこから出るとはいえ、暇を持て余した患者さんとかに見つかると厄介です。そんな瑞々しくて匂い立つ大輪の花のようなお顔を誰にも見せたくないので……。『花粉アレルギーで困っています』と誰かに会ったらおっしゃってくださいね。スギ花粉が最も有名ですが、それ以外にもアレルゲンになるのは多いので誤魔化せます。その涙の膜もアレルギーのせいだと思ってくれるでしょうから」
手術用のマスクとは異なって、耳にかけるだけという楽さは新鮮だった。
マスクをする前に、祐樹の唇にキスの雨を降らせた、こういう祐樹の独占欲が嬉しくて。
そして重なった唇を強く吸ってから唇を離して、マスクを着用した。手術の時は手で結ぶように作られているマスクがこんなに簡単に着用出来るとは知らなかった。
全国を応援演説などで飛び回っているお父様はお見舞いにいらっしゃることは少ないですが、お母様やお祖父様は地元である神奈川ではなくて、百合香ちゃんの手術が成功して無事に退院するまでホテル住まいでしたよね。
百合香ちゃん本人の歓心を買っておいて、彼女の口からお祖父様やお父様・お母様に伝わるようにそれとなく誘導するのでしょう。そういうのも腹黒タヌキの……いや、太っ腹な斉藤病院長の得意技ですから。
推理小説が好きとはいえ女の子ですからね……。花も好きだと――アレルギーが無いのは病室を見たら明白です――思いますので、何色が好きかをさり気なく聞いておいて、それを病院長に伝えれば、彼女の個室は薔薇のお花畑のようになるでしょうね」
言葉の合間にキスを交わしながら、そして祐樹の悪戯な指はジャケットとシャツの布地の隙間に入り込んで、ワイシャツを押し上げている尖りの輪郭を確かめるように辿ったり、側面部を軽く弾いたり先端を宥めるように指で転がしたりしている。
その度ごとに薔薇色の吐息を零してしまっていたが。
性感を高めるのが目的ではなくて、後の戯れなのだろうが。
激しい愛の動作も大好きだが、その後に身体のあちこちを軽く触れてくれながら話しをする時間も自分にとっては宝石のように貴重な時間だった、しかも甘くて蕩けそうになるほど。
「それは分かったが、純白でも真紅の薔薇でもどちらでも良いけれどそれらをマンションに届けさせる口実になるのか?」
斉藤病院長は百合香ちゃんの――その背後に存在する華麗なる政治家一族――歓心を買いたいと切望しているからこその特別扱いをしている。だからどうせ余っている、そして枯れてしまえばただのゴミになってしまう薔薇の花を百合香ちゃんの病室に、それこそ「眠れる森の美女」のお姫様のように飾ることに異論は挟まないだろうが。
「聡の胸の尖り、硬さと大きさが物凄く好みです。ワイシャツを押し上げて……指を弾く感じがとても良いですね。
この程度の強さでは大丈夫ですか?花園の凝った部分にまで響いていないでしょうね……。時間の関係上、流石にもうこれ以上は愛の交歓を出来ないので」
祐樹の上半身に背中を預けて硬いベッドの上に座っているのも、そして胸の尖りを愛されながら耳朶を甘く微細な力で噛まれたり、後ろ手で首に縋ってキスを強請ったりする時間も砂糖菓子で作られた紅色の薔薇のような時間だった。
「先程の熱い疼きとは異なって……凪いだ春の海の煌めいたさざ波のような感じなので大丈夫だ。
祐樹と二人きりでこうして過ごすのも心も身体も満たされるようで……。大好きな時間だし、しかも今日の祐樹は白衣姿なので、物凄く新鮮な気持ちだ……」
後ろを向いて顔を上げると、即座に唇が重なって啄むような接吻を交わした、尖りとその周辺を丸く動かす指もとても気持ちが良い。
「――花束って、解体作業とでも言うのでしょうか?その辺りの用語は知らないのですが。
とにかくサイン会で頂いた花束は陣中見舞いの差し入れとか贈り物用でしたよね。
そういう場合は綺麗にアレンジメントが施されてあるので、単品の花ではなくて数種類、もしくは数十種類の花とか観葉用の葉っぱも入っていたでしょう?
だから、百合香ちゃんの好きな薔薇を――いやカスミ草とかが好きかもしれませんが――その辺りは上手く誘導して聞いてみます。ピックアップしたついでに、一色限定の薔薇も纏めて頂いて、それを教授のマンションに送って欲しいと、しれっと頼めば何とかなります。
そもそもあの花束は聡と私に下さった物ですので」
なるほどなと思ってしまう。確かに病院に事実上の寄付をしたが、数が多すぎて色々な場所に飾ってはあったが、まだ残っていると事務局の内部に急遽出来た「出版部」のスタッフに聞いていた。大手出版社ならば別部門で管理をするのかもしれないが、元々は出版課、しかも兼務している人の方が多かったのを、斉藤病院長はうやむやのうちに出版部に格上げして人数も増やした。ただ、祐樹と自分の共著本の増版業務以外は病院に所属している医師の論文などの専門書しか作っていないし、もちろんそういう本を買うのはごく少数の限られた医師限定だ。
だったら、また「課」に戻せば良いと個人的には思っていたものの、今度は――ある意味、祐樹との共著よりも――「病院長的には」重要な「ワタシの履歴書」作成業務が待っているので、当分は飼い殺し状態なのも事実なので、花束の解体作業も喜んでしてくれるような気がする。
「というわけで、百合香ちゃんの好きな花を聞いておきます、今日中に」
「それなら私が」と言いかけて止めた。まだ上気した頬とか身体のあちこちに残っている――特に花園の奥処には真珠の迸りで濡れている、しかもご無沙汰していたせいで大量に――姿は祐樹にしか見せたくない。
「残念ながらタイムアップのようです。今度は薔薇を敷き詰めたベッドの上で愛し合いましょうね。
それと、これ。一応着けていて下さい」
祐樹が差し出してくれたのは、市販のマスクだった。
怪訝そうな表情を浮かべたら、祐樹が太陽に似た笑みを見せてくれた。
「人が使わないあそこから出るとはいえ、暇を持て余した患者さんとかに見つかると厄介です。そんな瑞々しくて匂い立つ大輪の花のようなお顔を誰にも見せたくないので……。『花粉アレルギーで困っています』と誰かに会ったらおっしゃってくださいね。スギ花粉が最も有名ですが、それ以外にもアレルゲンになるのは多いので誤魔化せます。その涙の膜もアレルギーのせいだと思ってくれるでしょうから」
手術用のマスクとは異なって、耳にかけるだけという楽さは新鮮だった。
マスクをする前に、祐樹の唇にキスの雨を降らせた、こういう祐樹の独占欲が嬉しくて。
そして重なった唇を強く吸ってから唇を離して、マスクを着用した。手術の時は手で結ぶように作られているマスクがこんなに簡単に着用出来るとは知らなかった。
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◆◆◆お知らせ◆◆◆
何も考えていなさそうで、そして主体的に動かなかった彼ですが、何故そういう風に振る舞ったのかを綴っています。
興味のある方は、是非♪♪
PCよりも、アプリの方が新着を通知してくれるとかお勧め機能満載ですし、読み易いかと思います~♪
こちらは不定期更新ですので、本当に投稿時間がバラバラですので、アプリのお気に入りに登録して頂くとお知らせが来ます!興味のある方は是非♪♪
<夏>後日談では祐樹が考えてもいなかったことを実は森技官サイドでは企んでいますので。
興味のある方は、是非♪♪
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◆◆◆バレンタイン企画始めました◆◆◆
といってもそろそろネタもないため――そして時間も(泣)
ノベルバ様で「後日談」の森技官視点で書いています。
ノベルバ様で「後日談」の森技官視点で書いています。
覗いて下さると嬉しいです!
また、本日も向こうの更新は済ませました!
両方とも、独白部分は終わって物語が進みます。
森技官は「夏」の事件でキーパーソンでしたが、割と簡単に人をこき使ったり、のびのびと振る舞ったりしていましたが、実際は彼もかなりの苦労をしています。その辺りのことを書いて行こうと思っています♪
また、本日も向こうの更新は済ませました!
両方とも、独白部分は終わって物語が進みます。
森技官は「夏」の事件でキーパーソンでしたが、割と簡単に人をこき使ったり、のびのびと振る舞ったりしていましたが、実際は彼もかなりの苦労をしています。その辺りのことを書いて行こうと思っています♪
こちらのブログと違って隙間時間に書いたら即公開していますので、更新時間がバラバラです!
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こうやま みか拝