腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

2018年12月

気分は下剋上 学会準備編 215

「ゆ……田中先生、これは凄い……な」
 それは自分でも知っているシャンパンのメーカーのCMで、シャンパンタワーの煌めきと古城の中と思しきパーティ会場に金の吹雪が螺旋階段から散っているという、豪奢ではあるものの、重厚で荘厳さに満ちた空間を醸し出している。
 この企業は――日本人が最も好むブランドとしても名高いフランスの鞄などのメーカーも傘下に入っているだけに――広告にもお金をかけているのだろう。
「確かにこのような感じにすれば、ホストクラブのような軽佻浮薄な感じとか成金趣味のようなモノにはならないので、病院長もイエスと言う可能性が高くなりますね。
 次の書店で熱狂ぶりをその身で体感して頂いて、その余熱と余韻が冷めやらぬうちにこの画像を見せればその気になって下さいそうです。こういう場合は勢いで決めてしまった方が良いかと思います。
 雑誌社の方々の取材も入っているのですよね……。そういうのも病院長は大好きですから、よりいっそう説得がしやすく……と、ああ、私達はサイン会が有りましたよね。
 お願い出来ますか?」
 店長に挨拶をした後にリムジンへと乗り込んだ後も何回も動画を再生してしまう。
 パーティ会場のオー○ラには螺旋階段がないのが残念だが――その点大阪の第二の愛の巣とも言うべきホテルの方がこの画像に相応しい絵になるだろう――その辺りは何とか演出で乗り切ろう。
 斉藤病院長も――何しろ大学のトップである学長しか執筆依頼が掛からないと実しやかに言われている日本経○新聞の「ワタシの履歴書」にこんなにも早くオファーが来たのは高木氏の人脈のお蔭なので――ムゲには出来ないだろうし。
「まさに幸せのドミノ倒しみたいですね……。幸せという本来は目に見えないモノがこうして次々と具現化していく様子は。
 このシャンパンタワーの頂上から私達二人が黄金色のお酒を注げるのですね……。しかも『金の吹雪』が舞い散るという演出は是非とも実行したいので、どうか斉藤病院長への説得も宜しくお願い致します」
 祐樹も熱の籠った声で、高木氏へと頼んでいる。
「承りました。こういう画像を見せた方が斉藤病院長も説得しやすいですよね。後はつつがなくサイン会を終わらせることだけに集中してください。 
 後顧の憂いは――憂いではない歓喜でしょうが――私にお任せください。
 おお、あんなに列が店の外にまで出来ているとは」
 高木氏の嬉しそうな声に車窓に目を遣ると、確かに書店の前には画期的な新製品の売り出しの時のような行列が歩道に出来ている。
「あれ?何だか前の三店舗と雰囲気が異なるような気がしませんか」
 祐樹も書店側に近い自分の方に身を乗り出して眺めていて、その確かな感触と熱に頬が更に上気してしまっていた。ただ、その指摘を受けた後に見ると確かに先程の書店とは異なる感じだった。
「え……。ああ、男女比率の問題ではないでしょうか?車道の関係上、迂回していたので良く目に入ったのですが、スーツ姿の男性が多い感じがします。今までは女性の色とりどりの洋服の方が目立つこともあって男性はくすんで見えましたが。
 ただ、一般作家の先生のサイン会の場合は男性客の方が多いのです。しかし、スーツ姿というのは……。これが平日だったら会社帰りというパターンも考えられますが、日曜日なのにこれだけ背広とかコートが目立つというのも不自然ですね……」
 動体視力も我ながら良いと自覚している自分は正解に気付いた。リムジンが書店近くまで来たせいで速度を落としているからかも知れないが。
「ああ、あのスーツ姿の人達は皆病院の関係者ですね。事務局の人間とか、一度来て下さった先生方も混じっています」
 祐樹が腑に落ちたという感じで頷いている。
「斉藤病院長が向かっているという情報を掴んだか、もしくは病院長が再動員令でもかけたのか……どちらにせよ、病院長に対して点数稼ぎをしたいという人が集まっているような気がします。事務局の人達は休日返上した――良いのです、あの人たちもそういうハードな仕事をさせて現場の苦労を味わって貰いたいと常々思っていました――帰り道に違いないです」
 そう言えば、残業が有ればこの時間になるなと思える時間帯だ。
 書店の裏側に車が停まったので、高木氏はカーネルサンダース人形のような体型にも関わらず敏捷な感じで勝手に下りた。リムジンなら運転手さんがドアを開けてくれるまで待つのが普通だと思っていたものの「時は金なり」を実践している高木氏なのでその程度の横紙破りは許されるらしい。
「斉藤病院長は店長室で待機なさっているそうです」
 書店の人と慌ただしそうに会話している――ただ何となくおどおどした感じから店長ではなさそうな感じだった――高木氏は運転手さんがドアを開けてくれるのを待ってから下りた祐樹と自分に教えてくれた。
「了解です。店長室へと案内お願い出来ますか?」
 汗をかく季節ではないものの、会場の熱気のせいかもしれない汗だくな感じの主任に――とネームプレートに書いてあった――頭を下げた祐樹が言った。
「本来ならば店長直々、いえ、こんなお客様の数ですと本社に居る社長が出迎えるのが筋のような気もしますが……。対応に追われておりまして失礼するとのことです。病院からのボランティアの方が着いたのでとても助かっています。重ね重ね申し訳ありません」
 非常時に力を発揮するタイプ――祐樹などがまさにそうだ――ではないのだろう、この主任は。
「こちらこそどうか宜しくお願い致します。木村主任」
 笑みを浮かべて挨拶しつつ、もはや勝手知ったる――どうやら書店の裏側は皆同じような造りらしい――裏口へと急いだ。
「どうして私などの名前を……ああ、名札ですか……」
 焦っている感じが――自分の医局には居ないが――どこか初めて手術室に入って何をすべきか分からなくてパニクっている研修医のようだった。やはり木村という人はのんびりと本を売っているのが性格的に合っているような人らしい。
「いやあ、香川教授、そして田中先生ここまでの盛況振りとは私も驚いたよ」
 店長室へ入ると上機嫌を絵に描いたような斉藤病院長に出迎えられた。
 ただ、その次の言葉には呆気に取られてしまったが。




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       こうやま みか拝

「気分は、下剋上」<夏>後日談27

「祐樹、良い御天気で良かったな」
 キッチンに足を踏み入れると、コロッケを揚げる準備をしていた最愛の人が振り返って割と明るい声で言った。
「お早うございます。そうですねぇ。しかし、私達が割と遠出をする時に雨が降らないのは普段の行いが良いからでしょう」
 冗談めかして言ったものの、遠出のデートの予定を組んでいた場合――と言っても雨で困るような場所なら次週に延ばす程度の柔軟性は有ったが――雨で困ったということはない。
「それは祐樹の運の強さだろうな。
 あ、そちらの紙袋は『おやつ』の駄菓子類なので、今は開けない方が良い」
 最愛の人の笑みが可憐な小さな花のように咲いている。以前のような大輪の花に似た笑みでないのが痛々しいが、それでも笑ってくれるだけましのような気もした。
「駄菓子類……貴方もお好きですね。ただ呉先生はともかく森技官には不評のような気もしますが。ま、文句が有るなら食べるなと言えばそれで大丈夫でしょうし、この芸術品のように瑞々しくも美しい『リンゴのウサギ』のように意外と喜んで食べてくれるかもしれません」
 お弁当も三段重ねという豪華版だった。タコの形のウインナーとか菊の花のような卵焼きなどの「遠足の時のお弁当」の定番が入っていたが、最愛の人の魔法の指で作りだされた料理の数々なので手術用具でも流用したのではないかと思うほどの――実際、祐樹も手伝ったので使用していないことは知っている――見事な出来栄えだ。
「何か手伝えることは有りますか?」
 昨夜のデートも――他人の「そういう」行為を実際に見てもらうという荒療治が功を奏して何よりだったが――予想していた以上に楽しかった。しかし、呉先生と森技官が加わってくれるのも割と楽しみではあった。毎回ならば迷惑だがたまにならそういう企画があった方が楽しい。特に二人きりで部屋に居るよりも外に出掛けた方が気分転換になるのも事実だった。
「いや、祐樹は車の運転が有るだろう?他には誰にも任せられない重要な役目なので、朝はゆっくりしてくれ」
 最愛の人が揚げるコロッケの良い香りが漂ってキッチンの色もこんがりとしたキツネ色に変えていくような錯覚を抱く。
「美味しそうですね、本当に。昼になるのが待ち遠しいです……。
 確かに森技官があんなに頑なに拒むということは免許を持っていたとしても『絶対に』運転席に座らせたくないですし、呉先生は実は割と短気なので運転には向かないかと。
 消去法の結果で私しか居ないのですが、まさか森技官が車中でケンカを売ってくるようなことはないでしょう、友人の車ですので……。
 ただ、黒いアルマーニが制服みたいな森技官がサングラスをかけて『なにわ』ナンバーのベンツを運転していたら善良な運転手さんは皆避けてくれるかもしれません、関わり合いになりたくない一心で」
 祐樹のために御味噌汁を運んでくれた最愛の人がごく淡い笑みを唇に浮かべていた。
「私達でも威圧感を与えることが出来るベンツとサングラスの取り合わせだからな……。
 ただ、暴力団に対する法律が出来たせいで一般人対構成員だったら、一般人の方に有利になっている現状を踏まえるとどうなのだろう?」
 最愛の人の方が祐樹などよりも遥かに法律に詳しいので、細く長い首を傾げている。
 朝の瑞々しい光りが秋の気配を微かに含んだ感じで降り注ぐキッチンで交わす会話は、多少なりとも祐樹の心の傷を癒してくれそうだった、最愛の人の存在も相俟って。
 受付嬢に繋がっているインターフォンが軽やかな音を立てた。
「森様と呉様がいらっしゃっていますが」
 もうそんな時間かと皿洗い機に朝食に使った皿を二人して入れた。上がって来て貰うようにと伝えた後に。
「お邪魔します」
 最愛の人が出迎えに行ったかと思うと呉先生の軽やかな声が玄関から聞こえて来た。
「こんにちは……。って、何ですかその木箱は?」
 森技官は――完全にオフ、しかも行先は遊園地だというのにノーネクタイながらもアルマーニを手放せなかったスーツ姿だった。三つ揃えではなかったのが幸いと言えばそうだったが――何故か大きな桐の箱と思しきものを四つも抱えている。森技官の腕の長さでも持て余し気味な大きさで、一体何が入っているのかと思ってしまう。
「これはフェラーリを借りる約束を交わしに赴いた先での頂き物です。貰いもので申し訳ないのですが、手土産にと思いまして」
 桐の箱の手土産……。何だか森技官が持っていると悪代官からの「お菓子」と称した木箱の中に小判でもぎっしりと詰め込まれているようなイメージを持ってしまうのは森技官の「人徳の賜物」だろう。
「何でもイチゴとか……」
 内心、え?と思ってしまう。職業柄さくらんぼやメロンなどを見舞いの品として病院に持ち込まれているがこんな木箱四つ分のイチゴは見たことがない。
「イチゴって果物の、ですよね?何だかこうして立派な桐の箱に入っていると賄賂に見えてしまいます」
 森技官も内心はどうか分からないが広い肩を優雅に竦めている。
「昨夜、お邪魔したお邸で賞味しましたが、とても美味しかったです。そう素直に感想を述べたら頂けました。田中先生が内心で思っていらっしゃる『人徳の賜物』という感じでしょうか。
 ただ、室内で食べるのに適していると判断したので、敢えて持参した次第です」
 イチゴなどは室内でも外でも同じだろうと思ってしまったが、仰々しい桐の箱に入っているだけに「格別の特別」に違いない。最愛の人も涼やかな目を見開いている。
「これは知る人ぞ知るイチゴらしいですよ……。教授もお好きだと伺っていましたので手土産にはちょうど良いかなと」
 呉先生が勝手知ったるという感じでリビングの方へと森技官を案内している。
「では、開けますね」
 リビングのテーブルの上に鎮座したイチゴの木箱を開けた。その瞬間に、瑞々しい芳香が辺りの空気を薄紅色に変えていくようだった。




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気分は下剋上 学会準備編 214

「リムジンも用意が出来ていますので、予定時間よりも早く次の書店に参りましょう。
 病院長からの激励の花束授与というイベントも急遽組み込まれましたし、その上テレビ局の系列の週刊誌の記者達も詰めかけて来ているそうなので。ああ、また電話ですので失礼します」
 店長室のソファーで束の間のコーヒータイムと洒落込んでいた。
「高木氏も大忙しですね……。
 それだけ私達の本が反響を呼んでいるのかと思うと嬉しいですが」
 それは全くその通りだったので――お客さんからの手土産と思しきマカロンを口に入れた。自分の大好きな洋菓子メーカーの定番のマカロンだったが、普段よりも美味しく感じるのは薔薇色に弾んだ気持ちのせいだろう。
「それはそうと、手の甲にキスというのは――個人的にはとても嬉しかったが――どのような意図で?」
 公衆の面前で許される程度のもっと際どいのを予測していただけに意外だったのも事実だった。
「ああ、ウチの母の目が有ったでしょう?年寄りにはあれ以上の刺激は強すぎるかと思いまして。
 それに一度は騎士役をしてみたかったのです。女王にも負けない気品に満ちた貴方に忠誠を捧げる一介の騎士役を。
 それにナース達も喜んでくれていたようなので、良かったと思います。
 薔薇の花がテーブルの上に有ったら、一輪の薔薇の花を捧げた上で貴方の手の甲に誓いの接吻を落とすということも出来たのですが、あいにく胡蝶蘭しかなかったので……。騎士に胡蝶蘭は似合わないかと思って」
 祐樹の唇が触れた手の甲が熱い。
 そして、祐樹のお母様の反応も上々だったので祐樹の選択は正しかったようだ。
 ハグでも良かったのだが――割とスポーツ選手などがテレビカメラの前でしているがお母様はスポーツそのものを見ないと聞いていた――祐樹はお母様のことを考えてああいう行動をしてくれたのだろう。
 口では割と悪しざまに言い合っている感じの親子だが、実際は自分には想像することしか出来ない「親子の情愛」とか「絆」がしっかりと根元には存在する――そして自分もその中に入れて貰っていると思えば尚更に――嬉しくて薔薇色の眩暈がしそうだ、この企画が決まって以来何度目かもう分からなくなるほどの幸せの余りに。
 祐樹の力強い感じのする首筋に腕を縋らせて感謝の口づけをしようとした瞬間、携帯電話が着信を告げた。
 自分の携帯電話にそもそも掛けて来る人間はごく少数だし、その上今日のサイン会に来てくれた人が大多数を占める。
 怪訝に思って画面を見ると斉藤病院長からだった。
「病院長から電話が入っている……」
 キスを中断した言い訳のように呟いた。
「それはとても珍しいですね……。出た方が無難ですよ。キスなんて――というと最愛の貴方に有らぬ誤解を招きそうですが――いつでも出来るので、病院長の電話を最優先してください」
 頷きながら通話ボタンを押した。
『香川教授、今K書店の中に居るのだが、私の控室はないというニベもない返事を店長から貰った。名刺もキチンと渡したので身元は先方も分かってくれたものの、便宜を図るわけにはいかないとかで……』
 斉藤病院長ほどの偉い人になるとどこでも顔パスが習慣になっているのかもしれない。
 そして、自分が行きさえすれば特別室の用意が出来ているのも。
 しかし、今日は祐樹と自分の「共著」のサイン会なので、書店側には自分達への便宜を図ってくれるのはある意味当然ではあるものの、病院長はあくまでも部外者だ。
 ただ、「披露宴」に金の粉を撒くという新たな野望が出来た今、病院長の機嫌を損ねるわけには行かない。
「分かりました。私達もこれから直ぐに向かいます。そして、高木氏にお願いして店長室に入る許可を貰っておきます」
 高木氏に直接電話を何故しないのか――書店に顔が効くのは祐樹や自分ではなくて高木氏だということも分かっているハズ――謎は直ぐに解けた。
「いやあ、参りました。スマホが電池切れで……。出版社の局長に電話している時からバッテリーの『残り5%です』などの通知は来ていたのですが、割と込み入った話をしていたので無視していたら電源が落ちてしまいました」
 ――斉藤病院長が高木氏に掛けたのは充電がゼロの状態の時だったようだ。
「今しがた斉藤病院長がK書店に着いたのに、控室もないとのことで……困っていらっしゃいました」
 「困っていた」というより怒っていた感じなのは伏せておくことにした。
「そうですか……。しかし今日は香川教授と田中先生が主役ですかね。書店側もいくら大学病院のトップという社会的地位の有る人でも便宜は図らないと思いますが。
 ただ、私のクライアントでもありますので、控室を用意するようにと向こうの店長にお願いしておきます」
 高木氏の華麗な人脈のお蔭で日本経○新聞の全国区の著名人しか依頼されない「ワタシの履歴書」に執筆のチャンスを得たので、次は本にして売り出すために高木氏の力を借りようとしていることは知っていた。
 祐樹も、彼にしか出来ない優美かつ皮肉な笑みを浮かべている。斉藤病院長の「どこでも」通用すると思い込んでいた病院長の特権の脆さのせいかもしれないが。
「両先生方もリムジンに乗って下さいませんか?次の書店でも『長蛇の列』というよりも何だか八岐大蛇がとぐろを巻いているという有様だそうですので……。
 加速度的に人数が増えていっている感じです。開始時間を早めると同時に、田中先生が呼びかけて下さったボランティア達のお力を是非お借りしたいのです。それに、病院長もお待ちかねでいらっしゃいますので。
 ――最後の書店なので、お開きにする時間は厳守しなくても大丈夫です。読者の皆様との交流なども行って下さっても構いません」
 リムジンの後部座席を振り返りながら高木氏が現状報告とアドバイスなどを語ってくれている。
「ああ、そういえば『金の粉』の件ですが……。こんな感じで如何でしょう?ただ、この画像の場合『粉』と言うよりは『紙吹雪』の大きさですが。
 K書店の店長さんと思しき人に「病院長を宜しく」という旨の会話を切った後に、スマホを渡してくれた。その表示されている動画を見て上品な豪奢さに息を飲んでしまった。




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すみません!

うっかり寝落ちしてしまいまして、今日の更新は8時を目処に頑張ります、
しかも、リアル多忙なため一話しか無理です!
すみませんがご理解とお容赦お願い致します。

気分は下剋上 学会準備編 213

「裏技ですか?それはどのような」
 祐樹の相槌に高木氏は何となく恥ずかしそうな笑みを浮かべていた。
「大したことでは全くなくて、店長の携帯電話の番号に掛けてみただけのことです。そういう私的な番号はどこにも当然載っていないので、簡単に繋がります」
 確かにその通りなのだが、大型書店の店長さんの――高木氏の人脈を考えれば多分全国規模だろう――私的な携帯番号を全て知っているという点が単純に凄いと思ってしまう。
「ああ、なるほど、確かに携帯番号は、書店のホームページには載ってないですよね。コロンブスエッグというか逆転の発想ですね……」
 祐樹も多分三店舗目が無事に終わって――しかも最後の「コアなファン(?)」向けの企画が大好評で終わったことも相俟っているのかもしれない――普段よりも大げさな言葉で褒めている。コロンブスの卵ほど難しい問題とは正直思えなかったので。ただ、それを指摘するほどの問題ではないので黙って笑みを浮かべているだけにした。
「……ありがとうございます。サイトに載せている電話番号には整理券の入手方法だとか、今からでもサイン会に行って大丈夫なのかなどの問い合わせがひっきりなしに掛かって来ている状態です。扱っている商品が商品だけに普段はそれほど電話もかからないのはこの書店でも同じなのですが、さらに輪をかけて電話がかかってきている状態で、電話対応専属になってしまった店員さんがなんだか待たせてしまってイライラしたお客さんに慣れないクレーム対応までさせてしまっているような感じですね。
 あと、SNSでも拡散されていますので、それで興味を抱いたというお客様もいらっしゃるようですし……。
 テレビ局の方は、明日がちょうど月曜日ということもあって、ワイドショーの枠で放映して貰えるようです。まあ、お昼の時間のワイドショーは旬のネタを求めて流動的なので、確約は取れないのが現状ですが、今のところ大丈夫だそうです。
 あと、斎藤病院長に大盛況の動画を送ったら『そんなことなら是非』と陣中見舞いに意欲的でしたよ」
 祐樹が今日二回目の「マジか?」と呟いている。ただ高木氏の耳に入るほどの大きさではなかったようだが。
「斎藤病院長が何時ごろいらっしゃるか分かりますか?――やはり、病院のトップとして相応しいのはサイン会の冒頭でしょうが……」
 年末年始は例年祐樹と過ごしているので――どうせ手術室はお休みになる上に救急救命室勤務も細やかな特権で免除して貰っていた――旅行に行かない限り大晦日はゆっくりと寛いで過ごしていて、当然紅白歌合戦もチラ見程度だが観ている。確かに最初の歌手も大御所とも呼ばれるような超有名な歌い手さんであることも多いが、それよりも最後の人の方がさらに知名度が高いような気がする。ただ、祐樹が病院長を、いわゆる「大トリ」の時間帯に誘導しないように頑張っているのは「ごく一部の熱狂的なファンサービス」を病院長に見せたくないからだろう。
 その気持ちは痛いほど分かるが。
 そして、祐樹がお母様の目の前で――まさか来てくださるとは思ってもいなかったので嬉しい誤算だったが――ハグや肩を抱くといったことを自粛した気持ちも分かってしまった、今更になって。
「最も時間が読みやすい、そしてVIPに相応しい大人数の前で……ということを勘案した結果、次の書店で店長が開催を告げる時に病院長も激励の花束を渡すというのが最良かと判断しました。ほら、最後の方では確かに熱狂的な女性達は残っていますが、大人数という点では最初の方が見栄えがします。
 本日最後のサイン会なので、お開きの時間は多少とも融通が利きますが、開始時間はほぼ定刻通りに始めます。病院長のように多忙な方には最初の時間を指定した方が良いかと思いまして」
 高木氏のソツのない対応は相変わらずだった。
「それで大丈夫ですが……、ただ病院長の公用車が京都名物の渋滞にハマってしまっても、開始時間は延ばせませんよね?」
 地震の時のことを思い出したのか、祐樹の口角が皮肉そうに上がっている。あの日も仕方のないことではあるものの、病院長は公用車の中から「全権委任」の院長命令しか出せなかったので。
 高木氏はカーネルサンダース人形に良く似た感じの体型に相応しい笑みを浮かべていた。
「この書店でのサイン会が始まった直後に大盛況の画像をお送りしたら、直ぐに外出の用意をなさって駆けつける、自動車では時間が読めないので電車でとのことでした。
 ですから間に合わないということはないかと思います」
 斉藤病院長は病院の公用車でふんぞり返っている印象しか抱いていなかったので、電車などの公共交通機関を使う図というのは意外だったが、確かに日曜の夕方という点を考えると自動車よりも電車の方が時間も読み易い。
「ああ、失礼。知り合いの雑誌記者からの取材依頼だと思いますので席を外させて頂きます。店長室で休憩しつつお待ち下されば」
 スマホの画面を見ながら高木氏が迷路のように入り組んだ書店の従業員用というかバックヤードの廊下を曲がって見えなくなった。
「病院長にあれだけの大盛況振りを実際に見せると、パーティで金の粉を撒くという私達の計画がより具体化しそうですね……。それに実際に読んだ人が多数カメラマンの前でインタビューに答えて下さっていたので、明日のワイドショーを観た方が突如として購買意欲に駆られるというのも充分見込めますし。
 サイン会も上手く回って本当に良かったです」
 祐樹が極上の笑みを浮かべて自分を見ている。
「そうだな……。祐樹のお母様も来て下さって本当に良かった。それに他にも懐かしい人がたくさん詰めかけてくれて、サイン会をして良かったと心の底から思った。
 祐樹のお母様と言えば……ほら最後のナース達へのサービスにハグとかそういうのではなくて手の甲にキスをしてくれたのはどんな意味が有るのだ?」
 従業員用の――多分本も台車などで運ぶのだろう――大きなエレベーターに乗り込んで店長室の階のボタンを押した。
「それを説明する前に、キスしても構いませんか?」
 当然ながら二人きりの密閉された空間だ。そうでないと祐樹がそんなことを言うハズもないが。
「タバコを吸いに行かなくても良いのか?」
 多分今の自分の笑みは会場に有った胡蝶蘭よりも活き活きとした笑みを浮かべているだろう。
「ニコチンよりも貴方の花のような唇の方が依存性も高いので……。貴方の唇の感触を先に補充したいのです」
 祐樹の首筋に手を回して顔を上に上げると、祐樹の唇がしっかりと重ねあわされた。
 確かに、祐樹の唇には自分も依存していると実感しながら、唇だけでなくて舌も絡める本格的な、そして刹那のキスに溺れてしまっていた。




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読者様も良いクリスマスをお過ごしくださいませ。
 
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