腐女子の小説部屋

創作BL小説を綴っています。ご理解の有る方【18歳以上】のみ歓迎致します

2017年08月

気分は下剋上≪震災編≫182

 ただ――何だかもう物凄く過去の出来事のように感じられてしまう――震災の時にも祐樹が野口陸曹のことを評した言葉にも自分の知っている意味ではない単語が混ざっていたこともあって、その時は「貴方は知らなくていい言葉」だと暖かな口調と可笑しげな眼差しで言われたし、祐樹は必要な言葉だったら必ず解説をしてくれるので「入浴介助」の具体的内容はさっぱり分からないものの、二人で浴室に入った時には多分分かるだろうと途方に暮れた頭の中で漠然と考えて、シリンジの空気抜きをして注射の態勢に入った。
 包帯は祐樹が話しながら解いていてくれたし、呆然と祐樹の日本語らしき言葉の羅列を聞きながらも手は淀みなく動いて消毒は済ませていた。
「チクッとするが……。大丈夫だろう?」
 祐樹の縫合痕も生々しい傷――抜糸はしなくていい糸を使用していた――の状態を細心の注意を払って仔細に診ながら注射を打った。
 祐樹が痛みにも強いことは経験上知っているが、やせ我慢をしてしまいがちな性格なことも考慮する必要は有ったが。
「こんなに艶っぽい服を身に着けられているのに、注射の時は職場に居る時の怜悧で理知的な端整な涼しさを纏うのですね。
 そのギャップも堪らなくそそりますが。
 下手なお医者さんごっこなどよりも余程官能的です、よ」
 「ローマの休日」ごっこは語感で大体分かったが「お医者さん」ごっこというのは――実際医師免許も当然持っているので「ごっこ」ではないし――良く分からなかった。「ごっこ」とは遊びのようなモノという意味だろうが、確かに祐樹からは金銭の授受はこの行為に限ってはなかったものの「遊び」でしているわけでもないのも事実だったのだが。
「『ごっこ』ではなくて……医療行為だが?」
 途方に暮れた感じでそう呟いてしまう。先程から意味不明な言葉の羅列が続いていたので、何も知らない自分がおかしいのだろうかと思いつつ。
 確かに世間知とか人間関係構築能力に劣っていることは充分自覚していたものの、これからは努力で何とかする積もりだったし。
「ええ、それも貴方がなさるには低レベル過ぎるほどの医療行為ですけれども、ね」
 祐樹が物凄く可笑しそうな表情を必死に堪えて笑いの発作が起きないようにしている程度のことは分かったものの、何故笑われなければならないのかはさっぱり分からい。
 ただ、自分よりも有事に強い祐樹だって未曾有の――祐樹の過去の話でも聞いた覚えはなかったし、少なくとも病院の実質的な指揮官となったことは生まれて初めてだろう――災害に遭って慣れない精神的な疲れが溜まっていたことも相俟ってだろうが「自分の言動」で祐樹が笑ってくれるのはかなり嬉しい出来事だった。
 今までは自分が笑わせて貰うばかりだったし、祐樹の笑いを取るために長岡先生の破天荒過ぎる私生活でのエピソードくらいしか持ち合わせていなかったし、冗談のセンスが絶望的に不足していることくらいは弁えていたので。
「そうか?私は最愛の祐樹に注射出来る資格を持ち合わせていたことに心の底から喜びを感じているが?」
 インシュリン注射などの患者さん本人が行う場合以外、シリンジを扱うことが出来るのは医師と看護師だけなので、ごく真面目に思ったままを口にしたら、祐樹が堪り兼ねたように肩を揺らして笑っている。
 何か可笑しなことを言ってしまったようだが全く心当たりはないので、途方に暮れて見守るしかなかったが。
「ええ、有難う御座います。しかも、私の怪我のことまで考えて下さって、多分黒木准教授からこれらのものを調達して戴いたことにも貴方の愛を感じます。
 私も惚れ直しました、よ。
 それに、肢体は私好みの華麗な花を咲き誇らせて下さいましたが、精神の……無垢さを再確認したので、何だか私好みの色に染めてみたくなりました。紫の上を見初めた光源氏の気持ちが分かったような気が致します」
 祐樹の唇が「無垢」と動く前に、別の音を発音しようとして慌てて言い直した感じだったのが多少気になると言えば気になったが、満足そうな笑みを浮かべているし、眼差しは柔らかくて暖かい光を宿している上に、前髪を上げたせいで普段以上に凛々しくて頼もしそうな整った容貌に見惚れて言葉を失ってしまう。
 機械的に手は動いていたが。
 無垢かどうかは自分では分からないものの、世間知のなさとか一般常識に欠ける部分は多々有ることは自覚していた――多分他人に心を開いて接する生育環境に居なかったせいと「人間」そのものよりも病変部「のみ」に関心が行き過ぎたせいだろう。
「至らない私だが、気が付いたことがあれば遠慮なく指摘して欲しい。
 更に祐樹の好みになれるのなら、私自身も嬉しいし……」
 容姿が好みだと言われたことは散々有った――最初は信じられなかったが、祐樹の普段の言動を見るにつけて徐々に納得してしまった――し、性格も気に入られていることははっきり言葉に出して言われてきたが、これ以上祐樹の「好み」になれるならどれほど嬉しいか分からないので。
「確かに承りました。
 今までは割と大人のデートに拘ってしまっていたのですが、そしてそれを充分愉しんで下さっていたようなので軽率に思い込んでしまっていましたが……、もう少し認識を改めるべきでしたね。
 ヒントはあちこちに散らばっていたというのに、見落としていた私自身に自己嫌悪をしてしまいそうでしたよ」
 祐樹の意外過ぎる言葉を聞いて目を瞠ってしまう。いつも太陽のように自信に溢れているように見えた祐樹でも自己嫌悪を感じることもあるのだと知って。
 まだまだ中身が詰まっている銀色のケースを閉じて、祐樹と間近で視線を交わした。
 熱い眼差しに促されるままに左手の指からリングを外して、祐樹へと手渡した。
 テーブルの上で小さな滝のように煌めいているチェーンを祐樹の右手が掬い取って涼しげなプラチナの輝きよりも紅色の翡翠の触れ合う微かな音とか官能的な艶やかさに部屋の空気を替えていくようだった。
 それに、祐樹に贈られたプラチナのリングも一際艶やかな音を奏でて身体の疼きを代弁してくれているかのようで。
「ゆ……祐樹っ……ベッドルームに行こう」
 甘いミントの薫るブルーハワイのカクテル――しかも器は一つだけという「恋人のイベント」に相応しい――を呑んだ直後なのに、衝き上げる欲情で声が掠れてしまう。











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最近、体調不良にも泣かされておりまして、更新時間すらバラバラなこともお詫び致します。こまめに覗いて戴くか、ぶろぐ村の新着などを見て下さればと思います。
 
誠に申し訳ありませんが、本日は体調不良の限界が来てしまったので、二話しか更新出来ないことをお許し下さいませ。


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「気分は、下剋上」<夏>155

「それが、東京で私立病院を建てるので宜しくと井藤達也の代理人を名乗る人間から岩松の方へと挨拶にいらしたらしくて……」
 私立病院?しかも研修医が?と絶句してしまう。
 ただ、井藤の実家は「ダークサイドに近い」商売をしているらしいし――祐樹から見れば、結婚式の披露宴で開陳された柏木先生の実家の豪華な感じとか、久米先生だって軽井沢に別荘を持っているなどの話を聞くと充分資産家のような気がするが、それらとはケタ違いの――現金を持っているに違いない。
 そして、よくよく考えてみれば「医院経営」という社会的なステイタスというか社会的には好意的に見られるし――実際は訴訟リスクを負っていたり、病院が赤字という話しは良く聞いたりするが――世間様の評価としては一般的な会社経営とは格が異なる。
 裏でどんなにあくどい商売をしていようとも、少なくとも息子は――この大学の医学部を確かに卒業しているし、医局でどんなに嫌われていようともそんなことは世間様が知るわけはないのだから「井藤達也」院長先生の誕生はもしかしたら、両親の悲願なのかも知れない。
 実際、病院経営は医師が行っていることの方が多いが、本人に医師の資格がなくても理事長とか事務局長として実質的に病院を取り仕切っているパターンも多々あることは専門雑誌で読んだ覚えがある。
「代理人……ですか?本人ではなく」
 長岡先生の怒りに燃えた感じの表情を頼もしく見つめた。
「はい。実は岩松の元にそういう『挨拶』は良くあることなのです。地方で病院を経営していても、過疎化などで東京に進出したいとか、息子三人を見事に医師にした代々の医師の家系なのに、兄弟仲が悪くて一緒に病院を仲良く継ぐことが不可能な場合に、遺産分けの前渡しのような感じで病院を一軒持たせるとか」
 最愛の彼や祐樹などはごく稀な成育歴の持ち主なのだと、こういう時にはシミジミと思ってしまう。それに岩松氏は色々な名誉職にも就いているので、東京に私立病院を建てるとなったら挨拶に赴くのは頭では理解出来た。
「それでも、本人や、親御さんではなく弁護士が代わりに来るというのは初めてだったようで……特に印象に残ったのと、ウチの病院――医局は異なりますが――勤務という点でかなり異色だと判断したようですわ」
 狂気の井藤の矛先が、全くもって忌々しいことに祐樹最愛の彼に向いていることは明白な事実だし、本人よりも親御さんが乗り気で勝手に話を進めただけかも知れなかった。
 戸田教授がバックれたせいで混乱を極める脳外科の医局はどうなっているのか断片的にしか情報は入って来ないものの、井藤が「未だ」出勤していないのは確かなようだった。
 そして岩松氏は、最初は祐樹最愛の彼の手技を高く評価してヘッドハンティングの好機を虎視眈々と狙っていたようだったし、最近は祐樹の手技も高く買ってくれている。ただ、岩松氏の場合は思ったことをストレートに伝えてくれるので嫌みは全くなかった。
 婚約者の長岡先生も――出身大学は違うとはいえ――この病院勤務だし、祐樹最愛の彼もそうなので、記憶には残りやすいだろう。
「弁護士……ですか?ああ、しかし井藤達也の個人情報は何か残っていませんかね?」
 井藤達也は多数の「自宅」を持っているようだったが、脳外科の岡田ナースが目撃した猫の無残な様子などの――悪趣味という範疇を超えているが――趣味のための部屋というか根城を持っているに違いない。ただ、それがどこなのかがハッキリしていないのが現状だった。
「聞いてみますわ。すみませんそこまで気が回らなくて」
 長岡先生がスマホを取り出した時に多機能プリンターがファックスを受信した音を立てた。
「会話に割り込んでも構いませんか?」
 いかにも育ちの良さそうな罪のない豪放磊落さを岩松氏が持ち合わせているのは知っていたし、その割には慎重な性格でもある――そうでなければあんなに大きな病院経営を常時黒字、しかも莫大な利益を上げていた――ことも。
 戸田教授のような張りぼての豪放磊落さではなく、地に足のついた感じがこの際頼もしい。
 祐樹はいわゆるガラケー使いだが、救急救命室の凪の時間などに久米先生のスマホを半ば無理やり取り上げてゲームアプリなどを使用してみたことは有ったし、久米先生が大好きな美少女系のアダルトなゲームアプリで「好感度」を下げる遊びを楽しんだこともないわけではない。
「はい。それは構いません。失礼してファックスを取りに参りますね。多分岩松からだと思いますので」
 仄かな香水が好ましく薫ったのは長岡先生も怒りの感情のせいで体温が上昇しているからだろう。
「井伊玲子さんが救急搬送されていないことを証明する印鑑付きの証明書と、後は井伊玲子さんの健康保険番号ですわね。この番号は厚生年金の番号なので、御主人はおそらく大企業にお勤めかと思います」
 戸田教授の妹さんの名前が勝手に使われただけ――京都在住だと病院関係者は優先的にウチの病院に搬送されるので、ウソが直ぐにバレる――なのは多分確定だろう。厚生年金の番号――どんな区分がしてあるのか実は祐樹自身知らなかったが、この情報を森技官に流せば、更に精度の高い井伊玲子さんの周辺情報まで探ってくれそうだ。
 情報は多いに越したことはなかったので。
 ハンズフリーというかスピーカー機能に祐樹が切り替えてから長岡先生にスマホを渡しつつ、狂気の研修医井藤についての情報を岩松氏がさらに持っていてくれることを念じながらファックスを斜め読みした。












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気分は下剋上 ジャズナイト 11

イメージ 1

「お連れするのもやぶさかではないですが、この情熱的なジャズの音色に相応しく、慌ただしいオフィスラブモードは如何でしょう?
 職場では絶対に出来ませんから、この機会に一度試してみたいかな……と。ダメですか?」
 濃い紅色に香る耳朶に熱い息吹を吹きかけて、絡めた指をさらに深く握って夜目にも鮮やかなルビーの尖りの先端部分をゆうるりと撫でながら側面部を強く抓った。
「ああっ……。ゆ……祐樹の言う通りに……するのでっ……
 ただ、私は……会社というか……オフィスを……良く知らない」
 甘く掠れた艶やかな声がジャズよりも蠱惑的な音色を奏でる。
 几帳面で律義な彼らしい発言に、愛おしさが募って、ついでに下半身の熱も上がっていく。
 祐樹だって会社員を――医師だとバレたら健康上の些細な悩みまで相談されるハメになるので、今思えばチャチな恋愛ごっこの時には――名乗っていた過去も有ったが、勤務歴は当然ないので、実のところ祐樹だって良く知らないものの、そういうのはノリで誤魔化せそうな気がするし、実際バレたことは皆無だったが。
「夜這いの簡略版です……。このハンカチを差し上げますから、唇はそれで覆って下さいね。
 あの建物の一階にトイレが有りますので、行けば分かりますよ、表示されていますから。その一番奥の個室に入って、私に愛されたい場所だけを晒して少し待っていて下さい。
 ああ、触れていないのに、こちらも愛らしくツンと尖って布地を押し上げていますね。
 そういう淫らに咲き誇った場所は直接指や唇、そしてココでも」
 深く繋いだ指を祐樹の下半身へと当てた。
 ついでにニットを押し上げているだけの場所を唇で挟んで上下に揺すりながら舌で弾いた。
 慎ましく尖った場所の硬度が舌を弾き返す勢いと熱さがずっとこうしていたくなる誘惑に駆られてしまったが、ここではこれ以上するのは流石に危険だった。いつ誰がここに足を踏み入れる気になるかも分からないので。チケットを譲ってくれた柏木先生はこの場所には来ていないだろうが、ジャズの街として有名な神戸ほどではないものの、京都の町でジャズを楽しもうとする病院関係者が居ないとも限らないので。
「先に行って、私を待ち焦がれていて下さい。出来ますよ、ね?」
 祐樹の下半身にあてがった二人の指が――甘く震える長く紅い指は熱さと質量に驚いたように離れようとしたし、祐樹の指はそそのかすように動かしたので微細な力の均衡が思わぬ動きとなって表れて――思いも寄らぬ悦楽を生んでいた。
「分かった……。一階の……一番奥の……トイレの個室、だな」
 艶やかな声が甘さと期待で弾んだ音色を響かせてジャズよりも耳に心地よい。
「暗号を決めましょうか……。二回ノックして、その後十秒後に軽くもう一度叩きます。
 間違っても他の人を誘わないための、おまじないみたいなモノですよ」
 紅色に染まった長い首が期待の甘さを撒いた感じで縦に振られた。
「誰にも気取られないように……何しろ二人の関係は『会社』では秘密なのですから」
 睦言めいた囁きを胸の尖りを歯で甘く噛みながら伝えた。
「分かった……。早く……来て……欲しいっ」
 襟ぐりの深いニットの縁を上げて胸のルビーの尖りを一度隠した。
 もう片方は濡れて貼りついているものの、この闇ではそんな細部まで観察出来る人間が居るとも思えないので大丈夫だろう。
 しなやかな肢体がゆっくりと立ち上がって、潤んだ瞳に切なそうな無垢な光を宿して祐樹を見下ろして、一際艶めいた眼差しで見た後にゆっくりと古い建物の方へと歩み去っていく後姿を見送った。
 幾分覚束ない感じの歩き方だったが、会場内ではアルコールも売られていたので――祐樹は車なので敢えて買わなかったし、最愛の人は祐樹が口にしないとアルコールは摂取しない――程よく酔った人間だと「錯覚」される程度だった。
 一応、棒だけになったリンゴ飴とか綿あめの袋やたこ焼きの白いプラスチックなどのゴミを片づけて時間をずらして最愛の人の待ち焦がれていると思しき建物へと向かった。
 メイン会場から離れていることとか、人の気配が全くしない場所だったし、その上祐樹がたまたま見つけたプレートのことなど知る由もない最愛の人は羞恥とそれを上回る悦楽への期待に震えて待っているに違いない。
 祐樹が隠さなければ多分気付くだろうが、今の彼には辺りの人の気配などは気にするだろうが、些細なモノは見落とす程度に焦らしてあったので大丈夫だろう。
 トイレの個室とは言っても、流石は明治だか大正時代に建てられただけに大学病院の無機的かつ用途がむき出しナモノとは全く異なっているのも愛する二人がお互いを切羽詰まって求めあう趣向には相応しい雰囲気を醸し出していたし、それに最愛の人がどんな姿で出迎えてくれるのかと想像するだけで胸が高鳴った。
 天井がやけに高い豪壮な建物の中の大理石の廊下を歩んだ。プレートを隠した場所で立ち止まってこっそりと取り出してトイレの扉に掛けた。











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気分は下剋上≪震災編≫181

「下手なストリップよりも断然艶っぽくて、素敵過ぎますが……」
 祐樹の熱い眼差し――本当に熱を持っているようで素肌のそこかしこが疼きを増してしまったが――と少し掠れた声が部屋の中の愛の温度と湿度を上げていく。
 ストリップという言葉は漠然と聞いた覚えはあるものの、具体的には何を指すのか分からないが、下手に聞き返すと二人きりの熱い密度が上がるような気がして黙って隠しておいた目的のモノをクローゼットの中から取り出して祐樹の元へと戻った。
 ただ必要なモノとはいえ「恋人達の細やかなイベント」には「無粋」だとは流石に分かるので、後ろに回した手で背中の方へ回して祐樹の見えないように工夫はしたが。
「ツンと硬く尖った胸のルビーが一際綺麗ですね。左手のリングを外して下さる気になって下さいましたか?」
 祐樹が右の指で細く煌めくチェーンや翡翠の紅さと白さが仄かに光を放っている細い銀の滝のような光を部屋の中で揺らしているのも「恋人達のイベント」の延長線上だろうが。
「祐樹、鎮痛剤を打つついでに消毒をして包帯を替えよう。ポロシャツはそのままで構わないが、左腕を出して欲しい」
 大学病院を出る寸前に医局に寄って黒木准教授に用意してもらった銀色のキットを取り出して祐樹に見せた。
 祐樹はなるほどという感じの表情を浮かべてはいたものの、驚きは隠せていないのが微かな喜びだった。祐樹の傷は自分が診ると祐樹のお母様にも約束していたし、そもそも震災の時に患者さんの身体にメスを衝きたてるのを防いだ名誉の負傷だったので恋人の自分が診るのも当たり前のような気がした。
「腕を出す分には構いませんし鎮痛剤の注射もそろそろ切れる頃なので大歓迎なのですが、包帯を替えるのですか?それは勿体ない気が致します」
 銀色のケースに必要最低限のモノしか詰めて貰っていないのを素早く見てとった祐樹が唇を不満そうに尖らせた。
 前髪を上げた、いつもよりも理知的さの勝る凛々しい顔に不似合いな表情だったが、祐樹はどんな表情を浮かべても絵になるな……と消毒薬の独特の香りに理性が完全に支配した頭の中で考えてしまう。
「しかし、消毒しないと……」
 腱などの重要な部分は渾身の努力で外していたとはいえ――あの地震が自分の手技の途中に起こったら……と思うと背筋が粟立つようだったが――裂傷は裂傷なだけに後の処置も完璧にしないと気が済まない。自分の生来の性格的にも、恋人としての義務感からも。
「それは分かっています。しかし、汗をかくのはこれから……ですよね。
 貴方とは異なって……、いえ、嬉しいだけなので誤解はなさらないで下さい。私は自転車程度ですので、そんなに汗をかいたわけではありません。
 それよりも寝室のベッドの上の方が絶対に発汗量が多くなるのは、貴方だって簡単に予想は付きますよね?」
 祐樹は注射を嫌がっているわけではなくて、包帯の量を把握した上で理論を組み立てているのだから、自分には強く言えない立場だった。
 乾いた絶頂とはいえ、汗の雫を大量にかいたのも身に覚えが有り過ぎて何も言えないどころか頬が更に上気してしまう、余りの恥ずかしさに。
「ああ、愛の交歓が終わって……『香桃』の中華を食べに行く前に入浴するでしょう?その時に替えて下さればそれで結構です」
 予想以上に楽しかった「ローマの休日」ごっこのデートの時間が、祐樹の解熱剤の効果が切れる頃になるのを内心危惧して、さり気なく聞いただけのホテル内の中華レストラン――大好物だが今の今食べたいわけではなくて、あくまでデートの時間の目安を聞いただけだったが、祐樹は誤解しているらしい――の予約までこの調子なら入れていそうな感じだったが。
「……入浴介助もして下さるととても嬉しいですね」
 祐樹が唇を悪戯っぽく歪めて独特の笑いを刻んだ。滅多に自分には向けないものの、祐樹の豊かな表情のウチでかなり気に入っている笑顔なだけに胸の鼓動がトクリと跳ねた。
「介助くらいお安い御用だが?」
 祐樹も優秀な外科医が皆そうであるように左手も右手と同じように動かせる祐樹には「入浴介助」という多分この業界の専門用語などよりも、一緒に何時もの愛の交歓の後にバスルームで後始末をしてくれる、二人だけの秘めた「後朝の行為」の延長線上に、祐樹の左腕を使わせないようにこっそりと注意して見ていれば良いだけのような気もしていたが。
「祐樹が望むならば、入浴介助はもちろんするが……?」
 祐樹の笑みがますます悪戯っぽい感じを深めて自分の顔を見詰めてくる。
「教科書で一通り学んだレベルの『入浴介助』ではないですよ?」
 清拭とかそういう、いわゆる雑務に分類されることは――もちろん医師免許が上位資格なので医療に関することは全て行えるが――看護師の仕事なので教科書をざっと読む程度で流してしまう業務の一つが「入浴介助」なのだが、祐樹が要求しているのはどうも自分が考えていたのとは異なるらしい。
 首を傾げて祐樹の前に座って、包帯を手早く解きながらも凛々しく整った顔とか力強い光を放つ瞳を見詰めてしまった。
「久米先生辺りが具体的なコトを聞いたら、羨ましさの余り憤死しかねないような、いや彼もアクアマリン姫にして貰いたがって、逆にドン引きされるかのどちらかですね。
 まあ、男というか青年というかの頭の中の妄想というかドリームがマンガとか動画の中で再生されて、一人歩きした行為、なのですが……」
 祐樹は部屋に戻って来た時からずっと日本語を話していたのだが、言っている意味がさっぱり分からなくて途方に暮れて意外に柔らかい唇が流暢な日本語らしきものを発音しているのを眺めるだけだったが。
 久米先生とかアクアマリン姫こと岡田看護師とかの固有名詞は充分分かるものの、それ以外の「行為」――何か特別なことでもするのだろうか――とか、羨ましいとか全く意味が分からなくて。
 消毒液の独特の香りが漂う――職場では馴染み過ぎた匂いだ――ホテルの密室という「日常」だか「非日常」だか判別の難しい部屋で、祐樹の話は英語以上に難しくて自分がどんな格好を晒しているかも忘れそうになりながら注射器に薬剤を詰めることしか出来なかった。












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今日も「ジャズナイト」まだ書けていません。
体力と気力が持てば更新しますが、無ければ「ああ、ダウンしたな」と生暖かく見守って下されば嬉しいです。


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「気分は、下剋上」<夏>154

「手術スタッフを多々務めていらっしゃったり、患者様の主治医をなさっていらっしゃったりと多忙を田中先生とは異なりまして……私などは言わば縁の下の力持ちという役どころですわよね?
 外科に内科医は本来必要ないというのがウチの病院の主流の考え方ですし。アメリカなどでは全くシステムが異なるのですけど、それはまた別のお話しに致します。
 明後日の金曜日の教授会の議題が院内LANにアップされているのを拝見致しまして、内田教授らしからぬ抽象的な発案で、どなたかが『心身の危険』に立たされているのではと推論致しましたの」
 院内でしか見られない院内LANだったが、内容は多岐に渡っているし、祐樹などは教授会の議題が院内LANに公表されていることすら知らなかった。最前線で働く医師は多分皆同じような関心度の低さだろうが。
「そうなのですか?」
 内田教授は病院改革とか黒字化に向けての努力を惜しまないタイプ――医局クーデターを「病院のために」完璧に遂行したという経歴の持ち主だった。私利私欲で動く戸田教授とか、祐樹が提供した情報で圧倒的有利に進められるハズの医局クーデターですら、もたついている白河准教授と異なって、ほぼ徒手空拳で快挙を収めた手腕は――当時はそれほどクーデターそのものの過程はあまり関心がなく、ただ、最愛の人に感化されてのクーデターなだけに味方に回ってくれる教授職が一人増えた点だけが喜ばしいことだと思っただけだったが、白河准教授の穴だらけのクーデター計画を見聞きするにつけて、内田教授の水も漏らさぬ計画の進行具合などはまさに森技官が喜びそうなネタだった。
 祐樹は医局では一介の医師に過ぎないのでクーデターを起こそうと考えると――最愛の人に取って替わろうとする意思は皆無だったが――ポジション的に弱いものの、森技官だったら一介の医局員であったとしても嬉々としてクーデター計画を練り上げて、成功しそうで怖かったが。
「はい、内田教授の教授会での提出用の議題はいつも具体的なので何を意図なさっているのかある意味分かり易いのですが、今朝アップされた『病院の名誉を傷つけた者、若しくは病院関係者の名誉や身体を傷つけた者』というのは内田教授にしては抽象的過ぎて内心首を傾げておりましたの。
 ただ、あの教授のことも良く存じておりますけれども、無駄なことはなさいません。何か意図がお有だろうなと漠然と考えていたところに、田中先生が私の部屋にわざわざいらして下さって……いえ、それはとても嬉しいのですけれども……緊急の事態であることくらいは分かります。
 そして、田中先生がそこまで真剣に慮ってお考えになるのは、ご自身のことではなく、香川教授のことだと咄嗟に考えましたの。
 それに『名誉』はともかくとして『身体』の危険とまで内田教授がわざわざお書きになったのも、田中先生がこうしていらっしゃったからには香川教授だと分かります。しかも手術スタッフから外れてまで……。まあ、田中先生なら多分教授に本当のことを知らせずに、無用な心配は避けなさったのでしょうが、それでも重大な緊急事態だということは分かります。
 また内田教授も香川教授が凱旋帰国なさらなければ医局内クーデターなどを起こす職階ではなかったですものね。
 内田教授にとって『も』香川教授は別格なのですわ。ですから、この議題は香川教授絡みなのだと直感的に悟りました。
 田中先生もそうでしょうけれど、それとは異なった意味で。そして私も、ですけれど。
 お話しを伺ってみれば案の定、井藤とかいう脳外科の狂気の研修医のお話しで……。
 それに戸田教授までどこぞの不祥事が露見した政治家のようにどこかに雲隠れでしょう。
 開いた口が塞がらないとはまさにこのことを表現するに適した言葉ですわね」
 長岡先生の口調も普段の倍近くの速さだったし、上品に顰められた眉も怒りに震えている感じだった。
 そして、彼女の指摘は至極尤もだったし、普段の、のんびりおっとりした彼女とは別人を見るような感じだった。
「その通りです。
 卓越した手技か、優れた容姿かは未だ分かりませんが、井藤の狂気のターゲットになっているのは確かなようです。
 ただ、どうして岩松氏が井藤達也のことをご存知だったのですか?」
 祐樹最愛の人のように外科医として世界的名声――とまではいかなくとも、日本国内で有名な外科医のウワサは業界の中では広まるし、ヘッドハンティングにも精力的に取り組んでいる岩松氏なら祐樹が知らない専門違いの国内では有名な医師を知っていても全くおかしくはなかったが、井藤はそもそも研修医なので名声の上がりようはなかった。
 祐樹が内心密かに天賦の才能を恐れている久米先生も同じ研修医なので、岩松氏は知らないだろう。真面目に職務に励んでいても研修医の場合はそういうモノだし、井藤はそもそも「表向き」は医局の鼻つまみ者として蛇蝎のように嫌われているのだから手技の実績すらない、飼い殺し状態で、ついでに言えば戸田教授が執刀予定をキャンセルするという職務怠慢――内田教授もかなり怒っているようだが当然だ――のせいで飼い殺しどころか「放ち飼い」になってしまっているのが現状だった。その件には相当危機感を抱いたが、最愛の彼が病院内に居る間は人目が必ずある場所に居る――教授執務室にも頼り甲斐のある秘書は存在する――ので井藤とはいえ無闇なことは出来ないだろう。
 やはり行き帰りが危ないが、今のところ万全の手は打った積もりだったが、まだまだ甘いような気がしたものの有効な手段を思いつけないのがもどかしい。
 しかし、岩松氏――東京一、いや日本一かも知れないが私立病院の副院長先生だし、御曹司とは思えない――二代目三代目になると、親御さんを超えようと無謀な賭けに出たり、分不相応なことを企んだりすると読んだ覚えがある――着実な経営手腕と温厚かつ寛大な人格なだけに色々と名誉職にも就いている、いわば私立病院のサラブレッドという感じだったが資産の総額は全く分からないものの、岩松氏は「日の当たる」道を着実に歩いて来た品格の備わった資産家なのに比べると井藤の場合は限りなく「ブラックに近いグレー」のお金儲けをしているらしいので接点はなさそうなのに。












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都合により、一日二話しか更新出来ないーーもしくは全く更新出来ないかもーーことをお詫びすると共に、ご理解とご寛恕をお願いいたします。
やっとリアバタがー段落ついたので、次回更新分からは毎日更新を目指します!(目指すだけかも……(泣)
最近、体調不良にも泣かされておりまして、更新時間すらバラバラなこともお詫び致します。こまめに覗いて戴くか、ぶろぐ村の新着などを見て下さればと思います。
 
今日も、「震災編」「ジャズナイト」まだ書けていません。
体力と気力が持てば更新しますが、無ければ「ああ、ダウンしたな」と生暖かく見守って下されば嬉しいです。


最後まで読んで下さって有難う御座います。
                            こうやま みか拝
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