蛍の乱舞の下でいつもよりも艶やかさを増した素肌を手早く拭って甘く香る肢体に浴衣をさらりと着せ掛けた。
「愛の交歓の後の色香と蛍の仄かな瞬きの乱舞の灯火以外何も身に纏っていない聡もとても魅惑的でずっと眺めていたいのですが紺色の禁欲的な浴衣を乱す悦びも与えてくださいませんか?」
白い毛氈の上で紅色に艶めいた素肌が乱れ飛ぶ蛍の光りで神秘的な美しさを添えていたが、紅色の指が幾分気だるげな甘さを蛍の光りに映えさせながら紺色の浴衣を身に着けていく様子も壮絶な色香を放っていて、魅入られて魂が「憧れ」てーー最愛の人に寄って行きそうな錯覚を抱く。古文的な意味での「あくがれ」を実感したような古代めいた感慨だった。
端整で怜悧な容貌にも愛の行為の後の甘やかな艶めきと仄かな笑みを含んだ唇も乱れ飛ぶ蛍の光で幻想的な煌めきを飾りにしてさらに神秘的な大輪の花のような感じで艶めいている。実際の沙羅双樹の花ではなく、昔の日本人が夢見た空想かつ理想的な花の「沙羅双樹」の花の盛りのような神的な艶めきは多分蛍や旧家めいた作りの部屋の雰囲気のせいだろう。
「裕樹、蚊帳だ。初めて見た」
部屋に先に入った最愛の人が「見返り美人」の絵よりも鮮やかな笑みを浮かべて裕樹の方を振り返った。
「私も実物を拝見するのは初めてですよ。ただ、蚊帳が有るならこの扉は開けておいても大丈夫ですね。
聡の蜜よりも甘い素肌に寄って来る蛍はこの二人だけの空間の外でしか瞬かないでしょうから、愛の交歓を彩ることは出来ても邪魔することは不可能ですから」
蚊帳を釣る作業は具体的には知らないが、薄く透ける白い布に覆われた二人だけの空間を強調してくれそうで胸が期待に高まる。この旅館の顧客へのもてなしだろうが、行き届いているのかぞんざいなのかは意見が分かれるだろう。ただ、最愛の人もとても満足そうな笑みを瞬かせていたので全く問題ではなかったが。
「蚊帳の中で愛を交わすのは素敵でしょうね。しかも乱れ飛ぶ蛍の光の仄かな瞬きの下で。
二組みの布団がこんなに近くに敷いてあるのも何だか私達の愛を象徴しているようで……。道後温泉では『夜這い』の密会気分でしたが、この空間だと旧家の屋敷で公認の恋人同士のようで嬉しいです」
布団が密着しているのは多分蚊帳の総面積のせいだろうが、この際そんなことはどうでも良い。
薄い布地をそっと捲って最小限の空間を作って最愛の人の耳元で囁く。
「蚊がそんなに居るとも思えませんが、素早く入って布を下ろしてしまいましょう。それが蚊を入れないためには最良かと存じますし、それに二人だけの狭い場所、しかもこの上もなく愛し合う二人に相応しい白くて涼やかな風が愛の交歓の熱を冷ましてくれそうな趣きですし」
神妙そうな、それでいて楽しそうな無垢な笑みと浴衣から花の芯のように艶めいた甘い素肌が精緻な対照で照り映えていた。
普段よりもさらにしなかやかな身のこなしで蚊帳の中へと入る最愛の人の動作を飽かず見惚れた後に裕樹も素早く入ってごく薄い布を下ろした。
白い布団の上に紺色の浴衣に包まれた最愛の人をゆっくりと押し倒して、帯はわざと解かずに浴衣の襟の合わせ目を開いて淡く紅色に艶めいた素肌を徐々に露わにしていく。
部屋に迷い込んだ蛍の光を受けて紅く艶めく胸の尖りもいつも以上に儚げな慎ましい煌めきを放っていた。蛍の光よりも裕樹の愛を求めて焦がれたような趣きだったので、唇で確かめずにはいられない衝動に駆られてしまって性急に唇を落とした。
「愛の交歓の後の色香と蛍の仄かな瞬きの乱舞の灯火以外何も身に纏っていない聡もとても魅惑的でずっと眺めていたいのですが紺色の禁欲的な浴衣を乱す悦びも与えてくださいませんか?」
白い毛氈の上で紅色に艶めいた素肌が乱れ飛ぶ蛍の光りで神秘的な美しさを添えていたが、紅色の指が幾分気だるげな甘さを蛍の光りに映えさせながら紺色の浴衣を身に着けていく様子も壮絶な色香を放っていて、魅入られて魂が「憧れ」てーー最愛の人に寄って行きそうな錯覚を抱く。古文的な意味での「あくがれ」を実感したような古代めいた感慨だった。
端整で怜悧な容貌にも愛の行為の後の甘やかな艶めきと仄かな笑みを含んだ唇も乱れ飛ぶ蛍の光で幻想的な煌めきを飾りにしてさらに神秘的な大輪の花のような感じで艶めいている。実際の沙羅双樹の花ではなく、昔の日本人が夢見た空想かつ理想的な花の「沙羅双樹」の花の盛りのような神的な艶めきは多分蛍や旧家めいた作りの部屋の雰囲気のせいだろう。
「裕樹、蚊帳だ。初めて見た」
部屋に先に入った最愛の人が「見返り美人」の絵よりも鮮やかな笑みを浮かべて裕樹の方を振り返った。
「私も実物を拝見するのは初めてですよ。ただ、蚊帳が有るならこの扉は開けておいても大丈夫ですね。
聡の蜜よりも甘い素肌に寄って来る蛍はこの二人だけの空間の外でしか瞬かないでしょうから、愛の交歓を彩ることは出来ても邪魔することは不可能ですから」
蚊帳を釣る作業は具体的には知らないが、薄く透ける白い布に覆われた二人だけの空間を強調してくれそうで胸が期待に高まる。この旅館の顧客へのもてなしだろうが、行き届いているのかぞんざいなのかは意見が分かれるだろう。ただ、最愛の人もとても満足そうな笑みを瞬かせていたので全く問題ではなかったが。
「蚊帳の中で愛を交わすのは素敵でしょうね。しかも乱れ飛ぶ蛍の光の仄かな瞬きの下で。
二組みの布団がこんなに近くに敷いてあるのも何だか私達の愛を象徴しているようで……。道後温泉では『夜這い』の密会気分でしたが、この空間だと旧家の屋敷で公認の恋人同士のようで嬉しいです」
布団が密着しているのは多分蚊帳の総面積のせいだろうが、この際そんなことはどうでも良い。
薄い布地をそっと捲って最小限の空間を作って最愛の人の耳元で囁く。
「蚊がそんなに居るとも思えませんが、素早く入って布を下ろしてしまいましょう。それが蚊を入れないためには最良かと存じますし、それに二人だけの狭い場所、しかもこの上もなく愛し合う二人に相応しい白くて涼やかな風が愛の交歓の熱を冷ましてくれそうな趣きですし」
神妙そうな、それでいて楽しそうな無垢な笑みと浴衣から花の芯のように艶めいた甘い素肌が精緻な対照で照り映えていた。
普段よりもさらにしなかやかな身のこなしで蚊帳の中へと入る最愛の人の動作を飽かず見惚れた後に裕樹も素早く入ってごく薄い布を下ろした。
白い布団の上に紺色の浴衣に包まれた最愛の人をゆっくりと押し倒して、帯はわざと解かずに浴衣の襟の合わせ目を開いて淡く紅色に艶めいた素肌を徐々に露わにしていく。
部屋に迷い込んだ蛍の光を受けて紅く艶めく胸の尖りもいつも以上に儚げな慎ましい煌めきを放っていた。蛍の光よりも裕樹の愛を求めて焦がれたような趣きだったので、唇で確かめずにはいられない衝動に駆られてしまって性急に唇を落とした。
どのバナーが効くかも分からないのですが(泣)貼っておきます。気が向いたらポチッとお願いします!!
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都合により、一日二話しか更新出来ないーーもしくは全く更新出来ないかもーーことをお詫びすると共に、ご理解とご寛恕をお願いいたします。
やっとリアバタがー段落ついたので、次回更新分からは毎日更新を目指します!(目指すだけかも……(泣)
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諸般の事情で、クライマックス近くにも関わらず中断してしまっていた「気分は、下剋上」夏 ですが(プロットは流石に覚えていましたが、ちょっとした登場人物の名前などその場で思いついた名前とかは忘れてしまっていたため、復習に時間がかかりましたが、「ドライブ~」か「震災編」が終了次第再開する予定ですのでもう暫くお待ちくだされば嬉しいです。
あと、熱烈リクエストがあった「蛍の光の下のデート」も超短編で書こうかと目論んでいます!ただ、ストーリー性が強いのは「夏」なので、そちらを優先したいのですが、予定は未定(泣)
あと、熱烈リクエストがあった「蛍の光の下のデート」も超短編で書こうかと目論んでいます!ただ、ストーリー性が強いのは「夏」なので、そちらを優先したいのですが、予定は未定(泣)