最愛の人が愛の交歓の余韻を微かに残した薄紅色の首を優雅に縦に振っている。どうやら合っていたようで何となく嬉しい。
「銀行保有分が5%と佳世さんは言っていたけれど、担保として株を持っているだけで株主総会の議決権は付与されていないのが普通だな。万が一付与されていても決議に参加しないのが不文律だ。それに長楽寺氏の会社の株は株式市場(しじょう)に上場していない会社なので換金性が低いこともあって故長楽寺氏の全株式を西ケ花さんが相続しても何のメリットもないから他の遺産、例えば現金とか金の延べ棒とかを分けて欲しいと言うだろうし……」
 ん?と思った。
「為替と株の値動きです。昨日の日経平均株価は……」とか朝のニュースで聞いた覚えはある。だから株が売買されているからこその平均だと思っていたのだが。
「市場に上場されていないってどうして分かるのですか?」
 思ったことをつい口に出してしまって自分のバカさ加減にうんざりした。
「そうですね……。市場(しじょう)で売られていたら家族や親族と銀行だけで保有率が100%になるわけがないです。上場しない会社って結構あるのですか?」
 どこそこの会社が新規上場したとか最愛の人が読んでいる日経新聞に良く出ているのを横で見ていた覚えもある。だから会社は皆「上場」とやらを目指すのだと漠然と思っていたのだが。ただ、最愛の人の場合、祐樹の質問に答えられるのが嬉しいといった感じで花のように笑っている。
「上場すると会社の株を買ってもらうことで資産が流入するのが強みだが、株主総会での発言権がたくさん株を持っている株主の意見が通ってしまうこともあって、創業者の意見が退けられることもある。ウイスキーなどで有名なサントリーも確か非上場企業だったと思う。普通は上場することで企業のイメージが上がったり資金調達が容易になったりするけれどもそもそも企業にそれなりの知名度が有るとか、資金は潤沢にあるとか、何より株主の意見で経営を左右されたくない企業が多いようだ。長楽寺氏の場合はかなりのワンマンなので多分この理由だろう」
 なるほどと思ってしまった。
「とても勉強になりました。でも、故長楽寺氏は直哉さんを次期社長から外す考えも持っていたのでしょう?株主総会とやらで否認されたらどうするのですか?」
 祐樹の認識が正しいのかは分からないが、家族で95%も持っているのだから何となく家族会議の公式版という感じのイメージだった。
「そういう場合は株主総会の議題にしなければ良いのだ。故長楽寺氏が具体的にどの人を次期社長に据えたがっていたのかはまだ不明だけれど、その人には敵わないと直哉氏に思わせて直哉氏の口から『次期社長は諦める』と言わせるとか、他の役職に就けるとかやり方は色々あるらしい。そういう企業の生々しい内情は分からないが……。二年前に長楽寺の会社でそういう骨肉の争いが有ったかどうかは調べないと分からないが……。
 ただ、直哉氏はいまも会社に留まっているし、後継者の地位に居ると少なくとも佳世さんは思っている点が引っ掛かるな……」
 最愛の人が愛の交歓の気怠さを残した怜悧な声で呟いている。
「そうですよね……。故長楽寺氏が骨肉の争いを二年前からずっと続けていたのなら野上さんとの性行為も同じように執拗なモノが継続していたと思われますから……」
 日本史の知識は大学受験で終わっているが、戦国時代とかでは親殺しとか兄弟殺しなどもザラに行われている。だから「親子は仲が良い」というのは単に理想論に過ぎないことも知識として知っていた。そしてそういう相克が継続していたとしたら、野上さんへの非道な扱いがまだ続いているハズで。そういうことがないということはピンポイントで二年前に何かがあったということなのだろう。
 取り敢えず考えが一段落したなと思ったらスイッチが切り替わった。何故なのか祐樹にも分からないものの、愛の交歓の跡が残る瑞々しい素肌とか露出部分が多い手術着でも隠せる位置に付けた紅の情痕とかルビー色に煌めく尖りに見入ってしまう。
「ノートに書くのは明日で良いですか?」
 取って置きの甘く低い声で囁きながら最愛の人の滑らかな素肌を抱き締めて薄紅色の額にキスを落とした。
「大丈夫……祐樹が言ってくれたら私が思い出すから……」
 艶っぽい声と共に紅色の長く細い指が祐樹の半ば育った場所に絡んで淫らな水音を響かせている。
「聡との愛の時間を平日の夜に作れるのは素直に森技官に感謝したいです。出来れば……ソファーではなくて、床で愛し合いたいです……」
 丁重かつ荒々しく艶やかな肢体を床へと押し倒した。
「ゆ…祐樹っ……ソコも()いっ……。()いけれども……何だか恥ずかしいっ……」
 足の指の間を舌で愛していると慌てた天使のような声が最愛の人の唇から紡がれる。
 最愛の人の感じる場所は祐樹が最も良く知っているけれども、普段はあまり触れない場所のせいか、一度目の愛の交歓で感度が上がっているせいかは分からないものの、艶やかな肢体が綺麗に反っている。
「聡の肢体の全てが愛おしいです。ここはあまり愛していない場所なので、たまにはじっくりと丹精を込めて……愛して差し上げないと……」
 足の指の付け根を舌で辿って息を吹きかけると、長い脚が次第に開いてくる。扇を開くような鮮烈な色彩を伴って。そして最愛の人の大輪の花のような花芯も肢体の動きに連動して揺れている。
「ゆ……祐樹っ……ここも、愛して欲しっ……」



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