「これはカブトムシのオスだ!

 本当に捕まえられるとは……」

 表彰状でもかざすように最愛の人は満面の笑みで祐樹を見ている。その指にはもちろん戦利品でもあるカブトムシの(おす)をしっかりと握っている。

「ね?言った通りでしょう……。

 クワガタは居ないでしょうか?大体同じ地域に棲息しているので、カブトムシが居るなら探せば絶対に見つかりますよ」

 街灯の灯りに惹かれてやって来た虫達が――()や祐樹の知らない羽虫も多かった――地面を這ったり飛び回ったりしている。

「祐樹の言った通りだな……。これが生きて動いているカブトムシ……」

 切れ長の目が無邪気な煌めきを放って手に取った虫を眺めている。

「捕虫網を要らないと言った祐樹の言葉は正しかった。いや、もちろん疑っていたわけではないのだが、ただ図鑑などには『夜の林に入って樹液を吸っているカブトムシやクワガタを網で捕りましょう』と書いてあったので……。こんなに簡単に捕まえる方法が有ったのだなと思って……」

 祐樹を見つめる最愛の人の視線には感嘆の光が宿っていてとても綺麗だった。そして、細く長い指でしっかりと持ったカブトムシを喜びに溢れた無邪気な目で見ていた。

「樹液はカブトムシなどの餌ですので、そちらにも居るでしょうが、夜の林は危険過ぎますね。

 小学校の頃でしたが、うっかり(うるし)に触れたせいで、その翌日は左手が真っ赤になってとても痛かったです。それ以降、山に入る時は長袖(ながそで)を着るようになりました。

 貴方の指が――いや指限定ではないですが――そういう悲惨な目に遭うのは職業上も避けなければいけませんし……、何より私自身がそんな貴方を見たくないので、こういう捕り(かた)をお勧めした次第です。山の中でカブトムシを探すとそういった不慮の事故のリスクも高まりますからね。

 ただ、昼間のように思いっきり虫を追って走り回るとか林の中で一生懸命樹液を分泌している木を見つけて、それを網で捕まえた時の達成感の方が大きいでしょうが……」

 右手に持ったカブトムシを左手に持ち替えた最愛の人は祐樹へと歩み寄ってきた。

 しなやかな指が祐樹の左手を確かめるように辿っている。若干体温の低い彼の指の感触が心地いい。

「痛かったか……?

 いや、確かに昼間の虫取りも楽しかったけれども、こうやって捕るのもなかなか良いものだな……。集光性なのは知っていたが、それを具体化した採集方法に気付いた祐樹も凄いと思う。

 漆は葉に触れただけで痛みを伴うのも知っていたが、実際に触れたことはなくて……祐樹は痛かったか?」

 本当は腕が爆発するのではないかと思うほど熱を持っていたし激痛で夜も眠れないほどだった。

「いえ、それほどでも有りません。ただ、明らかに皮膚に炎症を起こしているのが分かるほど真っ赤になりました、よ。この山に漆が有るかどうかは分からないのですが、万が一そういう危険な植物に触れてしまって……貴方の白い肢体にそういう炎症が出たら自分が許せなくなります。

 こんなに綺麗な肌なのに……」

 この程度の強がりは許して貰えるだろうなと思いつつ、長い首から(あご)にかけて指を動かした。

 キスを強請(ねだ)るように最愛の人の顔が上を向いて、しかも薄紅色の唇が半ば開いている。

 瑞々しい花のような唇に祐樹の唇を重ねた。彼自身の羽化はホテルのバスルームで行おうと思っていたが、前の戯れは行っていた(ほう)が良いだろう。ポロシャツの上から胸の二つの尖り――といっても、今は平坦だったが――を指で円を描く、強く弱く。

「ゆ……祐樹っ……。直接……触れて……欲しっ……」

 樹液よりも甘い、そして小さな声が切なさを含んで夜の(とばり)の中で艶やかに煌めいているかのようだった。

 祐樹の指の戯れのせいでツンと布地を押し上げている小さな尖りが可憐だった。

 リクエストには応じずに、強く抱きしめて肢体を上下に揺すった。愛の交歓の時のように。

「あっ……祐樹っ……。それを……されたら……、とても()いっ……。けれど……」

 祐樹の肌にも最愛の人の二つの尖りと、半ば育った下半身のモノが当たっている。

「こちらの樹液は……出ていますか、ね?」

 人っ子一人居ないのを良いコトに、下半身を露わにした。他の車が近づいて来ればヘッドライトで分かるだろうし。

「透明な樹液が出ていますね……。とても綺麗です……」

 先端部分から(したた)っている水滴を指で集めて、最愛の人の艶っぽい煌めきを見せる目の前でかざした。

 指から落下した透明な雫が街灯の光を反射してトパーズ色の煌めきを放って落ちていく。

 滑らかな先端部分だけを掌で転がしつつ、白桃のような双丘の狭間を広げて指を一本だけ挿れた。

「あっ……祐樹っ……。中途半端は……辛いっ……。奥が疼いて……切ないっ……」

 祐樹が最高に気に入っている嬌声の慎ましさも普段通りだが、切羽詰まった声が甘美な密のように祐樹の耳に入ってくる。

「もう少し、我慢してください。

 聡の羽化がこの夜の一番の目的なのですから……」

 宥めるように口づけをしたにも関わらず、最愛の人は祐樹の口腔の感じる場所を舌で丹念に辿っている。祐樹の性感を高めるかのように。

 二人の唇と最愛の人の下半身から濡れた音が街灯の灯りの下で淫らな愛の協奏曲を奏でている。

 今は出来るだけ声を出させて、喉を乾かせるのが目的だった。

 だから、最愛の人の弱い場所を狙って甘い刺激を重ねて行く。

 決定打になるような愛撫ではなく。


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